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「Core Ultra 9 285H」搭載のミニPC「GEEKOM IT15」の実機レビューです。
コンパクトな筐体に高性能な「Core Ultra 200Hシリーズ」が詰め込まれた、優れた性能が魅力のミニPCです。
CPUは TSMC N3B(3nm)で採用の最高16コアで高性能な上、優れた性能の内蔵GPU「Arc 130T / 140T」搭載でゲームも割と動くし、内蔵GPUにはAIエンジン「XMX」まで搭載されており、隙の少ない高性能プロセッサです。そんな「Core Ultra 200H」採用のミニPC「GEEKOM IT15」の性能を見ていきたいと思います。
2025年6月26日追記:このサイト限定クーポンの割引率が5%から10%にアップしました。
仕様など
まずは「GEEKOM IT15」の仕様を見ていきます。

製品名 | GEEKOM IT15 |
CPU | Core Ultra 9 285H(16コア) Core Ultra 5 225H(14コア) |
GPU | Arc 140T(8コア,285H) Arc 130T(7コア,225H) ※CPUに統合 |
RAM(メモリ) | 32GB DDR5-5600 |
ストレージ | 1TB ~ 2TB |
NPU | 最大 13 TOPS |
無線機能 | Wi-Fi 7 / Bluetooth 5.4 |
インターフェース | 3 × USB 3.2 Gen 2(Type-A、背面2、前面1) 1× USB 2.0(Type-A、背面) 2× USB 4.0(Type-C、背面2、PD×1) 3.5mmヘッドホン端子 SD 4.0 カードリーダー |
OS | Windows 11 Pro |
通常価格 | 285H:149,800円 225H:109,900円 285H(Amazon):149,900円 225H(Amazon):104,900円 |
クーポン価格 2025/8/30まで | 285H:134,820円 225H:98,910円 285H(Amazon):134,910円 225H(Amazon):94,410円 |
レビュー機:Core Ultra 9 285H / 32GB / 2TB
Core Ultra 200H 搭載のミニPC
「GEEKOM IT15」は「Core Ultra 200H シリーズ(Arrow Lake-H)」を搭載するミニPCです。
発売時点で2モデル「Core Ultra 5 225H(14コア14スレッド) / Core Ultra 9 285H(16コア16スレッド)」がラインナップされています。
「Core Ultra 200H シリーズ」のCPUには、記事執筆時点での先端プロセス「TSMC N3B(3nm)」が採用されており、高い性能とワットパフォーマンスが魅力です。
そして、内蔵GPUには「Arc 130T / 140T(7 / 8コア)」が搭載されており、こちらも非常に強力です(こちらは5nmと言われている)。
「Arc 140T」は「RTX 3050 4GB」にも迫る性能を備えており、少し前のエントリーグラボ並みの性能を持ちます。
しかも、GPUにはXMX AIエンジンまで搭載されています。GPUのピークAI性能(int8)はIntel公式によると 64 / 77 TOPSとなっています。NPU単体でも40~50 TOPSが現状は高性能というレベルなので、それを大きく上回るAI性能です。
NPUなどの単体のAIユニットは使い道がほとんどない現状ですが、XMXはIntelが開発したアップスケーリング「XeSS」で使えたりするので、現状でも使い道が一応あるのも良い点です。
といった感じで、高いCPU性能、高性能な内蔵GPUによる重めのゲームへの対応力、優れたAI性能、の3つを兼ね備えた汎用性の高さが魅力なのが「Core Ultra 200H シリーズ」で、そんなプロセッサを搭載するのが「GEEKOM IT15」ミニPCです。
また、細かい性能は後で見ていきますが、IT15は厳しめの電力制限と優れた排熱性により、ミニPCながら安定&長期運用を意識した設計となっています。
GEEKOMは3年メーカー保証もありますし(後述)、ミニPCだけど長く使いたいという人には嬉しい仕様だと思います。
Core Ultra 200H(Arrow Lake-H)について
「Core Ultra 200H シリーズ」についてもう少しだけ説明です。

Core Ultra 200Hシリーズ | |||
コードネーム | Arrow Lake-H | ||
---|---|---|---|
プロセス | 3nm(CPU)、5nm(GPU) | ||
コア | Ultra 7 / 9:16コア (6P + 8E + 2LPE) Ultra 5:14コア (4P + 8E + 2LPE) | ||
スレッド | コア数と同じ | ||
内蔵GPU (iGPU) | Arc 100T(Xe-LPG+) 140T:8コア(255H / 285H) 130V:7コア(225H) | ||
TDP (ベース) | 285H:35W~115W (ベース:45W) その他:20~115W (ベース:28W) | ||
NPU (AIユニット) | ~13TOPS | ||
XMX (GPU統合AIユニット) | 〇 | ||
対応メモリ | DDR5,LPDDR5,LPDDR5X | ||
発表時期 | 2025年1月~ |
汎用性の高さとコスパの良さが魅力
「Core Ultra 200H シリーズ」は優れたCPU&GPU性能を持ちつつ、GPU搭載のAIエンジンXMXにより、プロセッサ全体でのAI性能も高いという隙の少ないプロセッサです。
気になる点を強いて言うなら、末尾がUの省電力モデルと比べると消費電力がやや高いくらいです。
細かい概要は既に上で触れたので省略しますが、コアの構造について補足説明をしておこうと思います。
「Core Ultra 200H」では3種類のコアが採用されています。
高性能コア(Pコア):高性能だけどサイズが大きく、消費電力が多め | 一つ目はPコアです。文字通り性能重視のコアです。後述の2種類よりも高性能ですが、サイズが大きくて消費電力も多めというデメリットがあります。 「Core Ultra 7 / 9」では6コア搭載されますが、「Core Ultra 5」では4コアという違いがあります。 |
高効率コア(Eコア):超小型で省電力だけど、性能がやや低め | 二つ目はEコアです。Pコアと比べると圧倒的に小型で消費電力が少ないため、サイズ面でも電力面でも効率的なコアです。ただし、Pコアと比べるとコアあたりの性能がやや低めです。 Core Ultra 200Hでは共通で8コア搭載されます(2025年6月時点)。 |
低電力高効率コア(LP Eコア):アイドル時や低電力時の消費電力を減らせる | 三つ目はLP Eコアです。小型で省電力な点はEコアと同じですが、SoCタイルに配置されるのが大きなポイントです。 本来システム処理をする際には「SoCタイル」からPコアやEコアのある「コンピュートタイル」への通信が必要となるのですが、LP EコアはSoCタイルに配置されているため、タイル間の通信が必要なく処理を行えます。 これにより、アイドル時の消費電力や超低負荷な処理の際のタイル間の通信を減らせるため、電力効率の向上に繋がります。 Core Ultra 200Hでは共通で2コア搭載されます(2025年6月時点)。 |
上記のような感じになっています。
今回レビューする「GEEKOM IT15」は「Core Ultra 9 285H」搭載モデルですが、「Core Ultra 5 225H」との違いについても触れたかったので、この項目を作りました。
端的に言うと、225Hは285Hと比較して、CPUの高性能コアが2つ減り、GPUコアが1つ減ります。また、クロックも少し下がります。
結構大きいようにも思いますが、IT15は電力制限が結構厳格で、285Hでも常にフルパワーが出せるって感じでもないです。そのため、恐らく225Hでも劇的には性能が低下しないと思いますので、性能の高さよりも安さや実用コスパを求めるなら「Core Ultra 5 225H」でも正直良いのかなと思っています。
GEEKOM:3年保証が魅力の2003年設立のブランド
今回レビューする製品のブランド「GEEKOM」についても軽く紹介しておきます。
GEEKOMは、2003年に中国の深センで設立されたブランドです。実はGEEKOMはブランド名で、本社名は「Shenzhen Jiteng Network Technology」です。2010年頃からミニPCの販売に特化し始めたようです。
ミニPCは最近台頭してきた印象が強く、高コスパなミニPCで有名なのは「MINISFORUM(2012年設立)」や「GMKtec(2019年設立)」などがありますが、それらよりも実は長い歴史のあるブランドとなっています。
GEEKOMの魅力:3年無料保証
GEEKOMのミニPCの大きな魅力は、3年間の無料保証です。一般的には1年であることが多いため、2年も長いです。
更に、楽天市場店では購入時の注意書きでレビューを投稿して連絡すると、保証が延長されて5年になるという特典もあります。
ミニPCは耐久性に不安がある方も多いと思いますので、長期保証は大きな部分だと思います。
更に、7日間の価格保証や30日の交換&返品などもあり、こちらも競合他社と比べると良いです。これがGEEKOMの大きな魅力です。
ただし、販路によって対応が違ったり、今後変更となる可能性もあるため、購入時によく確認してください。
3年間の無料保証 | GEEKOMでは公式から購入すると、3年間の無料保証が標準で付いています。また、GEEKOMは公式ストアだけでなく、Amazonや楽天市場店にも公式ショップがありますが、そちらでも3年保証が明記されています(2025年6月時点)。 また、楽天市場店の方ではレビュー特典で5年への延長保証などもあります。 |
7日価格保証 | 購入した製品が7日以内に値下がりした場合に、差額の返還を要求できます。 |
30日間の返品・交換保証 | 製品が正常に動作しない場合や、未使用の状態で商品や箱に破損が見られた場合、連絡後に不具合と確認されたら同一製品との交換か返金対応をして貰える保証です。 |
外観・ポート類
まずは、外観や付属品を見ていきます。

箱は黒が基調で、本体色に合わせられています。
アップ画像なので大きく見えますが、縦×横が 17cm x 21cm くらいで結構小さいです。


本体はマットブラックです。表面がつや消し加工されているので、指紋は付きにくく映り込みも無いです。
サイズは 135.5 x 115.5 x 34.5 mm となっており、公称0.46Lの手のひらサイズです。
材質については、裏蓋と内部フレームは金属ですが、その他はプラスチックです。要するに、外から確認できる部分はほぼプラスチックです。ただし、つや消しで質感は良いです。
天面には「GEEKOM」のメーカーロゴがありますが、主張は控えめなので気にならないと思います。

フロントパネルです。USB 3.2 Gen 2(Type-A)が2つと、イヤホンジャック、電源ボタンがあります。

リアパネルです。高負荷時には上部の穴から勢いよく熱が排出されます。
下部にはインターフェース類が配置されています。USBポートには転送速度が併記されていて分かり易いです。
- USB-C × 2(USB 4.0 40Gbps、内1つPD対応)
- USB-A × 2(USB 3.2 Gen 2 10Gbps + USB 2.0)
- HDMI 2.0 × 2
- 2.5G LANポート(RJ45)
があります。

サイドはほぼ全面がメッシュになっています。熱がこもりにくく、冷却のための吸気にも事欠きません。埃の侵入が心配ですが、裏蓋が簡単に開けられるようになっているので、エアダスター等で簡単に手入れは可能です。
左サイドには、SD 4.0 カードスロットがあります。PC標準のSDスロットにしては良いものです。

右サイドにはケンジントンロックがあります。盗難防止のためにワイヤー等で繋ぐためのものです。主にビジネス用途向けのものですね。

付属品です。
- HDMIケーブル
- ACアダプター(最大120W)
- 電源コード(3ピン)
- VESAマウンタ(+ネジ)
- マニュアル
電源コードは日本の家庭で一般的な2ピンではなく3ピンとなっており、大体の場合は変換アダプターが必要になるかと思うので注意してください。
ネットでも買えますし、実店舗でも割とあちこちで安価に売っています。

ACアダプターにはPSEマークが確認できます。

底面です。技適マークも確認できます。
また、ここから蓋を外して内部にアクセスできます。ネジはゴム製の足で囲まれていますが、上部が覆われていないので、ゴム足を付けたままネジを簡単に外せます。
他製品では足を外す必要があったり、ソールのようなゴムを剥がす必要があるものも多いですが、戻したあとにガタついたり心配があるのが少し嫌なところなので、本製品はそういうのが無いのは良いですね。
ミニPCメーカーとしては老舗だけなあって、このあたりの気配りはさすがといったところです。
内部については後で見ていきます。
各種設定や仕様のチェック
Windowsから確認できるもの
Windowsから確認できる仕様等のチェックです。

まずはOSです。Windows 11 Pro が採用されており、ライセンスは正規のOEM版であることが確認できます。

CPUには「Core Ultra 9 285H」が採用されており、16コア16スレッドです。内訳は高性能コアが6(Pコア)、高効率コアが8(Eコア)、低電力高効率コア(LP Eコア)が2となっています。
「Core Ultra 5 225H」の場合はPコア2つ少なくなり、高性能コアが4(Pコア)、高効率コアが8(Eコア)、低電力高効率コア(LP Eコア)が2となります。
メモリはDDR5-5600 32GB(16GB×2)です。

GPUは「Core Ultra 9 285H」の内蔵GPU「Arc 140T」です。GPU名の横に(16GB)と付いており、16GB VRAMが割り当てられているかのように感じますが、専用VRAMの表示はないです。
共有GPUメモリが18GBと表示されているので、要求された負荷や使用するアプリケーションに応じて動的に最大16GBまで割り当てられるという意味?なのかなと思われます。
処理の種類にもよりますが、性能を考えれば4GBでもOKで6GBあれば十分という感じになると思うので、問題はないと思います。
「Core Ultra 5 225H」の場合は「Arc 130T」となりXeコア数が8→7になります(-12.5%)。性能低下は小さめです。
BIOSと電力設定
BIOSと電力設定について見ていきます。BIOS画面は以下のような感じになっています。ちなみに、画像には載っていませんが、BitLockerは標準で無効に設定されていました。
電力モード設定が無い?
従来のGEEKOMのミニPCでは「Main」のタブに「Power Mode」みたいな項目があり、「Quiet」「Normal」「Performance」の3つ設定が用意されていることが通例だったはずなのですが、そもそも項目自体が無いです。
従来機のレビューなどを見ると、設定があったとしても消費電力の差はわずかなことが多いっぽいので、まぁ良いかなというところで今回はこのままテストします。
ただ、発売前にレビューサンプルを提供していただいたので、もしかしたら正規販売後のものでは用意されている可能性もあるかもしれません。
標準の電力設定:33W / 64W(Core Ultra 9 285H)
電力設定について、システム上で確認するとデフォルト設定は「33W / 64W(PL1 / PL2)」となっています。他のモードもないので、ここからのテストはこの設定のものとなります。
Windows の設定の電源オプションも初期設定の「バランス」のままテストしています。
TDP制限 | 数値(W) |
---|---|
PBP(PL1) | 33W |
MTP(PL2) | 64W |
この数値は「Core Ultra 9 285H」のものとしては低い数値です。
Intelの公式スペック表を見ると、PL1については、標準ベースパワー(PBP)は45Wで、最小保証電力が35Wです。33Wはそれよりも低い数値が設定されています。
PL2については、最大ターボパワー(MTP)は標準115Wなので、64Wは非常に低いです。ただ、115Wモバイル向けとしては多すぎるので、それよりも大幅に低い数値が設定されることは珍しくないですが、他の設定もなくマイナス50Wの値が設定されることは結構稀だと思います。
先に少しネタバレしてしまうと、GEEKOM IT15 はこの厳格な電力設定により、「Core Ultra 9 285H」としては少し低めのパフォーマンスが基本となります。
しかし、逆に消費電力は285Hの割には少なくなっており、安定性と長期持続性を重視した設計に見えます。
一応電力に関わる設定として、[Advanced] タブ内の [CPU Configuration] の [Turbo Mode] については変更が可能で、標準では有効に設定されています。
こちらを無効にしてテストしてみると、高負荷時の消費電力が30W強に固定されて大きく超えることが無かったので、恐らく常にPL1(33W)が適用され、PL2が意味を成さなくなる設定だと思います。
ちなみに、GPUの専用VRAM割り当て量を調整する項目も用意されていないので、特にいじらずにテストしています。
CPUのベンチマーク
まずはCPU性能のベンチマークを見ていきます。CPUによるレンダリングでスコアを計測する「Cinebench R23 / 2024」というベンチマークソフトで比較していきます。
Cinebench 2024
CPU名称 | スコア |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Ryzen AI 9 365 | |
Core Ultra 7 255H | |
Apple M4(10コア) | |
Ryzen 7 8845HS | |
Ryzen AI 7 350 | |
Core Ultra 9 285H | |
Core Ultra 7 225H | |
Core i7-13700H | |
Core i9-13900H | |
Core Ultra 7 155H | |
Ryzen 5 8645HS | |
Core i7-13620H | |
Ryzen 7 7735HS | |
Ryzen AI 5 340 | |
Core Ultra 5 125H | |
Apple M3(8コア) | |
Core Ultra 5 226V | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 5 8540U | |
Apple M2(8コア) | |
Ryzen 7 7730U | |
Ryzen 5 7530U | |
Core i7-1355U | |
Core i5-1235U |
CPU名称 | スコア |
---|---|
Apple M4(10コア) | |
Apple M3(8コア) | |
Core Ultra 9 285H | |
Core Ultra 7 255H | |
Apple M2(8コア) | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Ryzen AI 7 350 | |
Ryzen AI 9 365 | |
Ryzen AI 5 340 | |
Core Ultra 5 226V | |
Core i7-13620H | |
Core Ultra 7 225H | |
Core i7-13700H | |
Core i9-13900H | |
Core i7-1355U | |
Ryzen 7 8845HS | |
Core Ultra 7 155H | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8645HS | |
Ryzen 5 8540U | |
Core i5-1235U | |
Ryzen 7 7735HS | |
Ryzen 5 7530U | |
Ryzen 7 7730U |
Cinebench R23
CPU名称 | スコア |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core Ultra 7 255H | |
Core Ultra 9 285H (ループ無し短時間) | |
Ryzen AI 9 365 | |
Core i9-13900H | |
Ryzen AI 7 350 | |
Ryzen 7 8845HS | |
Core Ultra 7 225H | |
Core i7-13700H | |
Core i7-13620H | |
Core Ultra 7 155H | |
Core Ultra 9 285H (10分間持続、ほぼ33W) | |
Core Ultra 9 285H (Turbo Mode 無効) | |
Apple M4(10コア) | |
Ryzen 7 7735HS | |
Ryzen 5 8645HS | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen AI 5 340 | |
Ryzen 7 7730U | |
Core Ultra 7 258V | |
Apple M3(8コア) | |
Core Ultra 5 226V | |
Ryzen 5 8540U | |
Apple M2(8コア) | |
Core i7-1355U | |
Ryzen 5 7530U | |
Core i5-1235U |
CPU名称 | スコア |
---|---|
Apple M4(10コア) | |
Core Ultra 7 255H | |
Core Ultra 9 285H | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core Ultra 7 225H | |
Ryzen AI 9 365 | |
Ryzen AI 7 350 | |
Core i9-13900H | |
Ryzen AI 5 340 | |
Apple M3(8コア) | |
Core i7-13700H | |
Core Ultra 7 258V | |
Core i7-13620H | |
Core i7-1355U | |
Ryzen 7 8845HS | |
Core Ultra 7 155H | |
Core Ultra 5 226V | |
Ryzen 5 8540U | |
Ryzen 5 8645HS | |
Core Ultra 5 125H | |
Apple M2(8コア) | |
Core i5-1235U | |
Ryzen 7 7735HS | |
Ryzen 7 7730U | |
Ryzen 5 7530U |
高い性能で快適な動作
16コアを備える「Core Ultra 9 285H」のCPU性能は、とても高いです。重めの処理にも十分に対応が可能です。
特に、シングルスレッド性能は2025年6月時点のモバイル向けプロセッサでトップクラスです。非常にキビキビと動作してくれて、細かな動作でストレスはありません。
285Hより上となると「Apple M3以降」くらいなので、Windows向けとしてはトップと評して良いと思います。
マルチスレッド性能も非常に優れています。285Hより上となると、現状はデスクトップ向けのCPUの設計を流用した、ハイエンドゲーミングノートなど向けの超高消費電力モデルがほとんどです(HXなどが付くものが主)。
表にはありませんが、デスクトップ版でいうと「Ryzen 7 7700」に迫る性能を持っており、現役のミドルレンジデスクトップCPUに迫る性能です。
作業をしている際にも、モバイル版のCPUであることや、ミニPCであることを全く感じさせない快適なパフォーマンスを発揮してくれます。
筆者のメイン機はそこそこ高性能なゲーミングデスクトップなのですが、夏場はやはり熱が気になるので、重いゲームをやらない時ならミニPCにするのも悪くないなと普通に思いました。
そんな感じで、パフォーマンスに不満はないのですが、285Hの割にはレビュー機のスコアはやや低くなっています。
メモリがハイエンドゲーミングノートよりは遅い点の影響も少しあると思いますが、恐らく主な原因は電力設定です。
細かな動きについては後で触れますが、高負荷なワークロードが入ると、短時間60W~50Wで稼働した後に33Wに移行し、そのまま持続します。
そのため、データ量が膨大で時間の掛かるCinebench 2024や、10分持続に設定したCinebench R23 ではスコアが低く出ています。
安定稼働や電力効率を考えればむしろベストな調整と言えますが、スコアが低く出ると弱い印象を受けるのがちょっと勿体ないですね。
GPUのベンチマーク
GPUはグラフィック面の処理を担当するユニットです。
レビュー機のIT15の「Core Ultra 9 285H」に内蔵されている「Arc 140T」のベンチマークスコアを見ていきます。
※スコアはすべてモバイル向けのものです。
3DMark
GPU名称 (搭載CPUの例) | スコア |
---|---|
RTX 4060 8GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
Radeon 8060S (Ryzen AI Max+ 395) | |
RTX 4050 6GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
RTX 3050 4GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
Intel Arc 140T (Core Ultra 9 285H,Turbo Off) | |
Intel Arc 140V (Core Ultra 7 256V 等) | |
Intel Arc 140T (Core Ultra 9 285H,レビュー機) | |
Radeon 890M (Ryzen AI 9 HX 370 等) | |
Intel Arc 130T (Core Ultra 5 225H 等) | |
GTX 1650 (モバイル版 , 単体GPU) | |
Intel Arc 8コア GPU (Core Ultra 7 155H 等) | |
Intel Arc 130V (Core Ultra 5 226V 等) | |
Radeon 880M (Ryzen AI 9 365 等) | |
Arc 7コア GPU (Core Ultra 5 125H 等) | |
Radeon 860M (Ryzen AI 7 350 等) | |
Radeon 680M (Ryzen 7 7735U 等) | |
Radeon 760M (Ryzen 5 8640U 等) | |
Intel Graphics 4コア(Arc) (Core Ultra 7 155U 等) | |
Iris Xe G7 96EU(1250MHz-) (Core i7-1360P 等) | |
Radeon 840M (Ryzen AI 5 340 等) | |
Radeon 660M (Ryzen 5 7535U 等) | |
Radeon 740M (Ryzen 5 8540U 等) | |
Iris Xe G7 80EU(1200MHz-) (Core i5-1335U 等) | |
Radeon RX Vega 8 (Ryzen 7 7730U 等) | |
Radeon RX Vega 7 (Ryzen 5 7530U 等) | |
UHD Xe 64EU (Core i7-13620H 等) | |
Radeon RX Vega 6 (Ryzen 3 5300U 等) | |
Radeon 610M (Ryzen 5 7520U 等) |
GPU名称 (搭載CPUの例) | スコア |
---|---|
Radeon 8060S (Ryzen AI Max+ 395) | |
RTX 4060 8GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
RTX 4050 6GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
RTX 3050 4GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
Radeon 880M (Ryzen AI 9 365 等) | |
Intel Arc 140V (Core Ultra 7 256V 等) | |
GTX 1650 (モバイル版 , 単体GPU) | |
Radeon 890M (Ryzen AI 9 HX 370 等) | |
Intel Arc 130T (Core Ultra 5 225H 等) | |
Intel Arc 140T (Core Ultra 9 285H,Turbo Off) | |
Intel Arc 8コア GPU (Core Ultra 7 155H 等) | |
Intel Arc 140T (Core Ultra 9 285H,レビュー機) | |
Intel Arc 130V (Core Ultra 5 226V 等) | |
Arc 7コア GPU (Core Ultra 5 125H 等) | |
Radeon 860M (Ryzen AI 7 350 等) | |
Radeon 680M (Ryzen 7 7735U 等) | |
Radeon 760M (Ryzen 5 8640U 等) | |
Radeon 840M (Ryzen AI 5 340 等) | |
Radeon 740M (Ryzen 5 8540U 等) | |
Intel Graphics 4コア(Arc) (Core Ultra 7 155U 等) | |
Radeon 660M (Ryzen 5 7535U 等) | |
Iris Xe G7 96EU(1250MHz-) (Core i7-1360P 等) | |
Iris Xe G7 80EU(1200MHz-) (Core i5-1335U 等) | |
Radeon RX Vega 8 (Ryzen 7 7730U 等) | |
UHD Xe 64EU (Core i7-13620H 等) | |
Radeon RX Vega 7 (Ryzen 5 7530U 等) | |
Radeon RX Vega 6 (Ryzen 3 5300U 等) | |
Radeon 610M (Ryzen 5 7520U 等) |
GPU名称 (搭載CPUの例) | スコア |
---|---|
RTX 4060 8GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
Radeon 8060S (Ryzen AI Max+ 395) | |
RTX 4050 6GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
RTX 3050 4GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
Intel Arc 140T (Core Ultra 9 285H,Turbo Off) | |
GTX 1650 (モバイル版 , 単体GPU) | |
Radeon 890M (Ryzen AI 9 HX 370 等) | |
Intel Arc 140T (Core Ultra 9 285H,レビュー機) | |
Intel Arc 140V (Core Ultra 7 256V 等) | |
Intel Arc 130T (Core Ultra 5 225H 等) | |
Radeon 880M (Ryzen AI 9 365 等) | |
Intel Arc 8コア GPU (Core Ultra 7 155H 等) | |
Intel Arc 130V (Core Ultra 5 226V 等) | |
Arc 7コア GPU (Core Ultra 5 125H 等) | |
Radeon 680M (Ryzen 7 7735U 等) | |
Radeon 760M (Ryzen 5 8640U 等) | |
Radeon 740M (Ryzen 5 8540U 等) | |
Intel Graphics 4コア(Arc) (Core Ultra 7 155U 等) | |
Radeon 660M (Ryzen 5 7535U 等) | |
Iris Xe G7 96EU(1250MHz-) (Core i7-1360P 等) | |
Radeon RX Vega 8 (Ryzen 7 7730U 等) | |
Radeon RX Vega 7 (Ryzen 5 7530U 等) | |
Iris Xe G7 80EU(1200MHz-) (Core i5-1335U 等) | |
UHD Xe 64EU (Core i7-13620H 等) | |
Radeon RX Vega 6 (Ryzen 3 5300U 等) | |
Radeon 610M (Ryzen 5 7520U 等) |
GPU名称 (搭載CPUの例) | スコア |
---|---|
Radeon 8060S (Ryzen AI Max+ 395) | |
RTX 4060 8GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
RTX 4050 6GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
RTX 3050 4GB (モバイル版 , 単体GPU) | |
Intel Arc 140V (Core Ultra 7 256V 等) | |
Intel Arc 140T (Core Ultra 9 285H,Turbo Off) | |
GTX 1650 (モバイル版 , 単体GPU) | |
Intel Arc 130V (Core Ultra 5 226V 等) | |
Intel Arc 130T (Core Ultra 5 225H 等) | |
Intel Arc 140T (Core Ultra 9 285H,レビュー機) | |
Radeon 890M (Ryzen AI 9 HX 370 等) | |
Radeon 880M (Ryzen AI 9 365 等) | |
Intel Arc 8コア GPU (Core Ultra 7 155H 等) | |
Arc 7コア GPU (Core Ultra 5 125H 等) | |
Radeon 680M (Ryzen 7 7735U 等) | |
Radeon 760M (Ryzen 5 8640U 等) | |
Radeon 740M (Ryzen 5 8540U 等) | |
Radeon 660M (Ryzen 5 7535U 等) | |
Intel Graphics 4コア(Arc) (Core Ultra 7 155U 等) | |
Iris Xe G7 96EU(1250MHz-) (Core i7-1360P 等) | |
UHD Xe 64EU (Core i7-13620H 等) | |
Iris Xe G7 80EU(1200MHz-) (Core i5-1335U 等) | |
Radeon RX Vega 8 (Ryzen 7 7730U 等) | |
Radeon RX Vega 7 (Ryzen 5 7530U 等) | |
Radeon RX Vega 6 (Ryzen 3 5300U 等) | |
Radeon 610M (Ryzen 5 7520U 等) |
数年前のエントリーグラボ並みのゲーム性能
内蔵GPUとしては非常に優れたゲーム性能を持ちます。「Radeon 8060S」のような特別なものを除けば、内蔵では2025年6月時点でトップクラスの性能を誇ります。
「GTX 1650」を上回り「RTX 3050 4GB」にもやや迫る性能で、数年前のエントリーゲーミングPC並みです。
実際のゲームのパフォーマンスはこの後見ていきますが、やや重めくらいのゲームなら実用的なパフォーマンスを実現できます。内蔵でこの性能は凄いです。
また、BIOSからTurbo Modeをオフにすると、CPUスコアが大きめに低下する代わりに、グラフィックススコアがわずかに向上します。
CPU負荷が小さそうなゲームでのプレイがメインならターボオフ運用もありかもしれません。
ただし、最新のミドルレンジGPUと比べるとさすがに負けており、重量級ゲームでは厳しめの性能ではあります(XeSSのフレーム生成の進化次第では化ける可能性もありそうだけど)。
ゲームのパフォーマンス

原神
解像度 | 画質設定 | 平均 | 1% Low |
---|---|---|---|
1920×1080(フルHD) | 高設定 | 59.9 fps | 52.1 fps |
オープンワールドゲームの原神です。思ったよりもかなり快適でした。高設定でもほぼ60fps(上限値)に張り付いていました。
オープンワールドなので局所的なfps低下が気になるところですが、そちらも思ったほど下がらず、高設定で全然運用できると思いました。許容されているVRAM容量が大きい(最大18GB)ことが活きているのかもしれません。

Apex Legends
解像度 | 画質設定 | 平均 | 1% Low |
---|---|---|---|
1920×1080(フルHD) | 高設定 | 74.0 fps | 46.1 fps |
1920×1080(フルHD) | 中設定 | 83.4 fps | 52.5 fps |
1920×1080(フルHD) | 低設定 | 94.2 fps | 62.8 fps |
一時は凄まじい人気を誇り、現在でも根強い人気があるバトルロワイヤル形式のFPSゲーム、APEXです。
高設定でも平均74fpsとなっており、十分実用的です。低設定なら94.2fpsとなり、快適と言えるレベルになっていると思います。
ただし、局所的なfps低下が大きめで、中設定以上では60fpsを下回ることが散見される点は注意が必要です。

Overwatch 2
解像度 | 画質設定 | 平均 | 1% Low |
---|---|---|---|
1920×1080(フルHD) | NORMAL | 121.0 fps | 78.7 fps |
少人数チーム戦のシューティングゲームのオーバーウォッチ2です。DX12もベータ対応してますが、DX11でのテストです。
NORMAL設定で平均121fpsを記録し、普通に快適です。簡素なグラフィックのゲームなら3Dゲームでも内蔵GPUで快適な時代となっています。
FSR(1 / 2.2)が設定項目にありますが、最適化が上手くいっていないのか、fpsが逆に低下したりするケースがあったので計測から除外しました。

モンスターハンターワイルズ:ベンチマーク
解像度 | プリセット | 平均 | スコア |
---|---|---|---|
1920×1080(フルHD) | 低 (FSRフレーム生成) | 41.9 fps | 7101 |
重量級ゲームのモンハンワイルズのベンチマークテストです。フレーム生成を有効にした低プリセットでも約42fpsしか出ていません。
内蔵GPUは、さすがに重量級ゲームで使うには厳しい性能です。画質もかなり微妙で、ジャギジャギ感が否めませんでした。
XeSSにも一応対応していますが、フレーム生成機能には未対応なので、まだ実用的ではないです。

ファイナルファンタジー14(FF XIV)黄金のレガシー
解像度 | 画質設定 | スコア |
---|---|---|
1920×1080(フルHD) | 高品質(FSR) | 6201(やや快適) |
1920×1080(フルHD) | 標準品質(FSR) | 8291(快適) |
やや重い部類のMMO RPG「ファイナルファンタジー14 黄金のレガシー」のベンチマークです。
標準品質でFSR有効時には快適と出ます。しかし、この査定は結構甘めで、60fpsくらい出てたら快適という感じの判定です。
なので、実際には実用的というくらいで、プレイに支障が無ければOKという人ならやや快適くらいの性能です。
優れたパフォーマンスとは言えないと思いますが、割と動きます。このレベルのゲームでも内蔵GPUで普通に動くようになっているのが凄いと思います。
フルHDで軽めのゲームなら快適。やや重めくらいまでも対応は可能
「Arc 140T」内蔵GPUの性能は2025年時点では非常に高く、フルHDゲームならやや重めくらいのゲームまで対応可能です。思ったよりも対応範囲が広いです。
また、オープンワールドの原神でもfpsの落ち込みが思ったほど無くて、比較的安定したパフォーマンスです。
専用VRAMがほぼ定義されておらず、最大18GBから動的に割り当てられるのが逆に良い結果を生んでいるかもしれません。下位の225Hモデルでもメモリは32GB標準でメモリの心配がないのは良いですね。
やや軽めくらいの重さのオーバーウォッチ2では、NORMAL設定なら平均で120fps出ており快適です。3Dであっても、簡素なグラフィックのゲームならゲーミングPCを買う必要性はかなり薄れてきたんだなと実感します。
フレーム生成がもっと一般的になれば、更に敷居は下がるでしょうし、高いグラフィック設定を求めないなら、重量級ゲームが内蔵GPUで対応できるのも意外と近いかもしれません。
また、CPUの性能テストではやや高めの温度が気になるところでしたが、ゲームでは低めの温度で推移しているので、長時間稼働でも安心です。ただし、ファンの動作音は大きいです。
ストレージ
ストレージは2TB SSDが採用されており、製品は「crucial P3 Plus 2TB(CT2000P3PSSD8)」でした。PCIe Gen 4対応の高速SSDですが、Gen 4対応の中では低速かつ安価なエントリーモデルにあたります。
DRAMは無しで、メインメモリの一部をキャッシュとして利用するHMB(ホストメモリバッファ)を活用するSSDです。
始めはQLC(176層 Micron)でしたが、途中から1TB以下のモデルはTLC(232層 Micron)へと仕様変更されたことでも有名なSSDだと思います。
「Core Ultra 9 285H」は2TBなので、残念ながらQLCであると思われます。ただ、2TBあれば耐久性は一般的には十分ですし、SLCキャッシュも多いので一般の方が実用上困ることはほとんど無いとは思います。
また、「Core Utlra 5 225H」モデルでは1TBなので、そちらでもP3 Plusが採用されるならTLCの可能性があります(保証はできませんが)。


シーケンシャル読み込み速度は5026MB/sでほぼ仕様値通りですが、書き込みは4770 MB/s に達しており、仕様値の4200MB/sを大きく上回る結果となっています。
消費電力と温度
少し詳しく電力面について見ていきます。設定は特にいじらず、初期設定のままです。レビュー機では「PL1:33W / PL2:64W」となっていました。室温は28℃と高めだったので、実際にはもう少し良い結果が得られる可能性もあります。
CPU負荷時
下記が Cinebench R23 を実行した際のCPUのパッケージ電力と温度の変化です。

まず消費電力について、処理開始から約15秒程度までは60W付近で維持されます。その後に54W程度に低下し、そこから徐々に減っていき、約48秒あたりで一気に33Wまで低下して、その後は33W付近で維持されます。
温度については、60W~45Wあたりのときは92℃付近となっています。
かなり高い温度ですが、IntelがCore Ultra 200Hで定める最大温度(Tjunction max)は110℃なので、メーカー的には許容範囲です。
ずっと90℃超えが維持されるなら不安ですが、今回は持続時間が短いので大きく心配するほどでもないかなと思います。
33W付近のときは78~80℃付近で推移します。最大温度的にはやや余裕がありますが、電力の割には思ったより高めです。
排熱については、本体後ろ上部の排気口から熱が勢いよく排出されます。本体表面はほんのり熱くなるだけです。PCH温度も最大58℃だったので、PC内部は高負荷時でも低温で保たれています。
高負荷時にはファンの音が大きくなるので不安になりますが、厳しめの電力制限のおかげでファンの音ほど不安になる必要はないです。
これだけの小型筐体に「Core Ultra 9 285H」を詰め込み、3年無料保証を提供しているだけあって、安定性やパーツへの負荷には気を遣っている印象です。
ゲーム時
次にゲーム時の電力や温度変化について見ていきます。オーバーウォッチ2の練習場でテストしました。

ゲーム時は非常にシンプルです。消費電力は常に33W付近で保たれ、温度は68~70℃あたりで推移します。
やはり消費電力の割には温度はやや高めですが、問題があるレベルではないです。
GPUクロックは規定値の2350MHzでほぼ固定されています。CPU負荷が高いタイトルの場合は多少下がる可能性も考えられますが、そうでなければ33Wでもネックとならずに稼働できるようです。
静音性
個人的に本製品の一番の弱点となり得ると思うのが、静音性です。
ファンによる高めの風切り音(シャーッみたいな)が常に発生します。後で見る測定した音量を見ると、大きさ自体は普通なのですが、小型の高回転ファンの高めの音はやや目立つと思います。
ただ、アイドル中には小さくなるので、イヤホンなどをしていると気づきませんし、生活音があると気になりませんので、使う人次第で印象が大きく変わると思います。
音量を実際に測定してみた結果が以下です。
アイドル時 (デスクトップ表示) | 低負荷時 (YouTube) | 高負荷時 (Cinebench) |
---|---|---|
約 32 dB | 約 36 dB | 約 39-41 dB |
※本体正面の約5cm離れたところで測定。無音・無響状態ではないので参考程度の数値です。
実際に測定してみると、やはり音量自体は大きい訳ではなく、末尾Hのプロセッサを搭載するミニPCとしては平均的だとは思います。
これだけのコンパクト筐体なので小さなファンしか採用できず、そこにハイエンドモバイルプロセッサを詰め込んでいるので、ファンが高回転で回るのは致し方ない部分ではありますが、静音PCとはちょっと呼べない印象です。
ただし、そのおかげで内部温度や本体表面は高負荷時でも低く保たれているので、難しい部分です。
内部を確認
GEEKOM IT15 は内部も簡単にアクセスできるので、軽く見ていきます。

底面の四隅にあるゴム足に囲まれたネジを緩めていきます。プラスドライバーが必要になります。
ネジとゴム足は緩めても外れないようになっており、緩めた後に引っ張れば裏蓋が簡単に外れます。ネジや足を無くさないように気を付ける必要がないのが地味に良いです。

蓋を外すとこんな感じ。
従来機では、裏蓋にSATA用端子があり、そこからケーブルが繋がっていたので、それを千切らないように慎重に開けたのですが、何も繋がってませんでした(2.5インチベイはそのままだけど)。
公式スペック表を見ると「1 x2.5インチ SATA HDD、最大 2TB」との記載がありますし、イメージ画像でも端子があるのが確認できるので、一般販売品ではもしかしたら搭載されている…のかもしれません。
ただ、どうやら頂いたレビュー機は初期ロットで一般販売向けのものとは若干仕様が異なる可能性も少し感じているので、2.5インチのSATA SSDを使いたい方は、事前に確認をしてみた方がよいかと思います。

内部です。SSDには「crucial P3 Plus 2TB」が採用されています。
メモリには「CT16G56C46S5(DDR5-5600 16GB)」が2枚搭載されています。こちらもcrucial製のもので、 JEDEC準拠メモリです。
そして、M.2 Type 2242 の空きスロットがありますが、こちらは初期ロットだとSATAです。2242のSATAだと選択肢が非常に少ないのが難点です。
ただし、公式の人に確認してみると、第2ロット以降ではNVMe(PCIe)に対応予定とのことでした。
もしNVMe(PCIe)に対応すれば、追加のM.2 SSDが使えて、SDカードスロットまで搭載しているので、ストレージ容量をたくさん使いたい人にはかなり嬉しい仕様となっています。
まとめ:全体的に高性能な上に長く使えそうなミニPC

少し重めのゲームにも使えるパワフルな性能。長期保証もあり長く使えそうなミニPC
今回は「GEEKOM IT15」の「Core Ultra 9 285H」搭載モデルを見ていきました。
モバイル向けのプロセッサ採用ですが、2025年6月時点での最新の高性能モデルなので、その性能はとてもパワフルです。わずか0.46Lの手のひらサイズに高性能が詰め込まれています。
CPU性能はモバイル向けのものとしては準ハイエンド~ハイエンドクラスの性能を誇り、デスクトップ版と比較しても「Ryzen 7 7700」に迫る性能です。多少重めの処理にも十分に対応できる性能です。
「Core Ultra 5 225H」モデルではPコアが2つ減るため、性能が少し落ちるものの、ミニPCでも採用率の高い「Ryzen 7 8845HS」に近い性能を発揮するはずなので、そちらでも十分高性能です。
そして、内蔵GPU「Arc 140T」が凄いです。少し前のエントリーグラボ並みの性能を誇ります。
APEXでは高設定でも平均74fpsを記録するほどの性能で、原神でも高設定で60fpsにほぼ張り付き、オーバーウォッチでは100fpsを普通に超えることができます。
重量級ゲームはまだ厳しいですが、やや重めくらいまでのゲームなら対応可能となっており、内蔵GPUでこの性能は凄いです。
「Core Ultra 5 225H」搭載の「Arc 130T」場合では、Xeコアの数が1つ減る(8→7)ため、若干性能が低下すると思われますが、平均ベンチマークスコアでは18%未満の差なので、実用性が劇的に変わるほどではないです。
Core Ultra 5 モデルでも性能は十分強力なので、予算次第では全然ありだと思います。
そして、最後に弱点として挙げる必要があるのが、負荷時のファンの音です。高めのシャーという感じの音が出ます。
これだけのコンパクト筐体なので仕方ない部分ですが、他で実用性や安定性重視志向が垣間見えるだけに、少し気になった部分です。
測定すると音量自体は特別大きい訳ではなかったので、気になるのは音の性質によるものだったり、個人差があるとは思います。
遮音性高めのイヤホンやヘッドホンをすれば気にならないレベルかと思いますが、少なくとも静かではないので、外部スピーカー等での運用を想定している場合には、設置場所には少し気を付ける必要があるかもしれません。
3年標準保証もあり、性能の高さも考慮すると長く使えそう
性能高さも大きな魅力ですが、GEEKOMは3年のメーカー保証が標準付属なのも非常に大きな魅力です。
ミニPCは耐久性に不安を持っている人が多いと思いますが、その不安を軽減できます。GEEKOMは長めの歴史を持つ(2003年~)という点も少し安心です。
前述の性能の高さもあり、ミニPCとはいえ出来るだけ長く使えるものが欲しいという人にはおすすめできる製品です。
ゲームコスパ重視なら「Core Ultra 5 225H」で良いかも
発売時の10%オフ適用時の各モデルの価格は以下のようになっています。
- Core Ultra 9 285H(32GB / 2TB):134,820円
- Core Ultra 5 225H(32GB / 1TB):94,410円(Amazon)
価格差が約4万円と大きいです。
225Hは最新の高性能内蔵GPU搭載モデルとしては比較的安価で、コスパが良く見えます。
メモリについてはどちらも32GBですし、GPU性能については「Core Ultra 5 225H」の「Arc 130T」でも15%程度の少しの性能低下で、軽めのゲームなら高いパフォーマンスが得られます。
CPUの重要度にもよりますが、軽めのゲームならCPU負荷も大して要らないことが多いので、予算を節約したくてゲームコスパなら225Hモデルでも良いのかなと思います。
といった感じで、本記事は以上になります。以下、主要スペック表と商品リンクを再度載せて終わりとします。

製品名 | GEEKOM IT15 |
CPU | Core Ultra 9 285H(16コア) Core Ultra 5 225H(14コア) |
GPU | Arc 140T(8コア,285H) Arc 130T(7コア,225H) ※CPUに統合 |
RAM(メモリ) | 32GB DDR5-5600 |
ストレージ | 1TB ~ 2TB |
NPU | 最大 13 TOPS |
無線機能 | Wi-Fi 7 / Bluetooth 5.4 |
インターフェース | 3 × USB 3.2 Gen 2(Type-A、背面2、前面1) 1× USB 2.0(Type-A、背面) 2× USB 4.0(Type-C、背面2、PD×1) 3.5mmヘッドホン端子 SD 4.0 カードリーダー |
OS | Windows 11 Pro |
通常価格 | 285H:149,800円 225H:109,900円 285H(Amazon):149,900円 225H(Amazon):104,900円 |
クーポン価格 2025/8/30まで | 285H:134,820円 225H:98,910円 285H(Amazon):134,910円 225H(Amazon):94,410円 |