PC用の入力デバイスの「マウス」について、全般的なざっくりとした解説をしています。
読み取り方式
マウスの読み取り方式についてです。マウスの読み取り方式は、読み取りのために利用する光線等の媒体で区別されています。
簡易比較表
各読み取り方式の主要項目についてざっくりとまとめた表を見ていきます。
読み取り 感度 |
コスト (価格) |
トラッキング 精度 |
|
---|---|---|---|
光学式 | △ | ◎ | ◎ |
レーザー | ◎ | △ | 〇 |
BlueLED | 〇 | 〇 | 〇 |
IR RED(赤外線) | △ | ◎ | 〇 |
トラックボール | – | △ | – |
トラックボールだけは少し特殊ですが、それぞれ良さがあり、一長一短といった形になっています。そのため「この読み取り方式が良い!」という簡単な選択肢はありません。
各方式の特徴
次に、各読み取り方式の特徴を一つ一つざっくりと説明しています。
光学式:安くて精度は高いが、マウスパッドほぼ必須
良い点
- 低コスト
- トラッキング精度が高い
悪い点
- 読み取り感度が悪い
主に赤色LEDを採用した読み取り方式です。低コストながらトラッキング精度も高く、安価なマウスでよく採用されます。ただし、読み取り感度は悪く、光沢のある面や透明な面では上手く読み取りません。マウスパッド役がほぼ必須です。また、「光学」というのは光全てを表すもので、広義的には全ての光線を含みます。そのため、後述する読み取り方式にどれも当てはまらない、光線を利用した読み取り方式は、赤色LEDでなくとも「光学式」や固有のセンサー名で表記される事も多いです。特別な高精度センサーを搭載したゲーミングマウスなどにおいても、「光学式」と表記されている場合がありますが、中には感度も高いものもありますし、高コストなものもありますので注意しましょう。
レーザー:ほぼ全ての面で使えるが、高価
良い点
- 読み取り感度が最も良い
悪い点
- 高コスト
不可視のレーザー光を採用した読み取り方式です。コストが高いですが、読み取り感度が非常に良く、完全に無色透明以外の全ての面を感知します。現状最高感度の読み取り方式です。ただし、弱点として「リフトオフディスタンス」と呼ばれる、マウスが面から離れていても動作する距離が長いため、マウスを持ち上げて位置を調整しようとする場合にもポインタが動いてしまう場合があります。
Blue LED:目立った欠点がない
良い点
- 読み取り感度が良い
- コストも高くは無い
悪い点
- 特に無し
青色のLEDを採用した読み取り方式です。低コストながら読み取り感度も良く、光学式(赤色LED)とレーザーの欠点が軽減されています。そのコストの低さと汎用性の高さから、登場から採用数が一気に増え、2019年現在、低価格マウスを中心に採用率が非常に高くなってきています。
IR RED(赤外線):安くて省電力だが、マウスパッドほぼ必須
良い点
- 低コスト
- 省電力
悪い点
- 読み取り感度が悪い
コストが安く、動作電圧の小さい不可視の赤外線LEDを採用した読み取り方式です。その省電力さから、ワイヤレスマウスによく採用されるのが特徴です。読み取り感度はあまり良くなく、光学式(赤色LED)と同様、マウスパッド役はほぼ必須です。
トラックボール:癖の強い方式

良い点
- 手首への負担が少ない
- 操作スペースが必要ない
- 利用する面を気にする必要がない(マウスパッドもいらない)
悪い点
- コストが高い
- 目的の箇所へ素早く合わせる事が難しい
- 特殊な形状
- 製品数が少ない
かなり特殊な読み取り方式がこのトラックボールです。主流な読み取り方式の中で、唯一光線を直接使用しません。マウス本体は動かさず、マウスに取り付けられたボールを指で転がす事で利用します。
他の読み取り方式と違い、マウス本体を動かす必要がないため、使用する面を考える必要がない他、当然動かす為のスペースも必要ないため設置スペースも少なく済み、手首の負担を軽減できるなど、多数のメリットがあります。反面、コストが高かったり、目的の箇所へ一直線で素早くポインタを合わせるのが難しかったり、製品数が少ないため選択肢が少なかったり、デメリットも多くあり、中々癖の強い読み取り方式となっています。
持ち方
マウスの持ち方は、人によって好み・癖があります。持ち方の種類は大きく分けて「かぶせ持ち」「つかみ持ち」「つまみ持ち」の3種類あり、ほとんどの人がどれかに当てはまるはずです。下記から、各持ち方についてざっくりと説明しています。
かぶせ持ち
|
つかみ持ち
|
つまみ持ち | |
---|---|---|---|
安定性 | ◎ | 〇 | 〇 |
小刻みな動き | △ | 〇 | ◎ |
ボタンを押しながらの操作 | ◎ | 〇 | △ |
小さいマウス | × | 〇 | ◎ |
大きいマウス | 〇 | 〇 | △ |
かぶせ持ち

良い点
- 安定感がある
- 正確なポインタ操作が可能
- ボタンを押したままの操作がし易い
悪い点
- 小さいマウスは使いにくい
- 小刻みな動きが苦手
マウスに手をかぶせるようにする持ち方です。手全体で持つ形になります。そのおかげで安定感が良く、操作精度が安定します。指でマウスを支える必要がないため、何らかのボタンを押したままでも安定感を損なう事なく他の操作をする事が可能です。ただし、ポインタ操作をする際には手全体を動かす必要があるため、小さな動きの時でも手全体を動かす必要があるため、少し無駄な動きが多くなります。
小さいマウスだと使いにくく、サイズが大きめのマウスや、親指部分がやや窪んでおりフィットするような形状のマウスが向いています。
つかみ持ち

良い点
- マウスの大きさに持ち易さを影響されにくい
悪い点
- サイドボタンを押しながらの操作がしにくい
- かぶせ持ちよりは安定感に欠ける
人差し指と中指を少し立て、マウスをつかむような形の持ち方です。親指と薬指を主体として、左右からマウスを支える形です。マウスの大きさによっては、手のひらも支えるのに利用できますが、かぶせ持ちのようにべったりとマウスに付ける必要は無いため、手の大きさやマウスの大きさに持ち易さを左右されにくく、汎用性の高い持ち方といえると思います。
ただし、マウスを支えるのに親指を使用するため、親指や薬指で押すサイドボタンを押しながらの他の操作はしにくいです。サイドボタンを多用する環境ではやや不便かもしれません。
つまみ持ち

良い点
- 素早く細かいポインタ操作が可能。
悪い点
- 重いマウスは指が疲れる
- ボタンを押したまま他の操作がしにくい
指先でマウスをつまむようにして支える持ち方です。人差し指と中指を立てるようにする事が多く、つかみ持ちよりも大きく指を立てるケースが多いと思います。マウス自体の移動に手首だけでなく指も使えるため、細かく俊敏なポインタ操作が可能です。ただし、マウスを指だけで支えるため、何らかのボタンを押している最中は安定感が損なわれてしまい、他の操作がしにくいのが欠点です。重いマウスだと指が疲れてしまうため、軽く小さめのマウスが向いています。
有線・無線(ワイヤレス)
有線・無線についてです。それぞれについて、良い点や悪い点などについて見ていきましょう。
有線
良い点
- 応答速度が速い
- 電池(充電)が必要ない
- ワイヤレス製品より少し安い
悪い点
- ケーブルが煩わしい
有線接続です。トラックボールを除くマウスは、マウス本体をかなり細かく頻繁に動かす事になりますので、ケーブルは煩わしく感じる事があります。PC周りの配線も気になります。ただし、有線にも「応答速度が速い」「電池(充電)の必要が無い」「本体価格がワイヤレス製品より少し安い」などのメリットもあります。
無線(ワイヤレス)
良い点
- ケーブルの煩わしさから解放される
- 離れた位置から操作できる
悪い点
- 電池(充電)が必要
- 有線マウスより少し重い
- 有線マウスより少し高い
ワイヤレス接続のマウスは、ケーブルの煩わしさから解放されるのが魅力です。近年は数が非常に増えており、スタンダードはワイヤレスといえると思います。ゲーミング用途で利用目的の方が特に気にするのが「応答速度」ですが、近年ではかなり高速化しており、有線にも引けを取らない応答速度を実現しているマウスも多いので、そこまで気にする必要は無いかと思います。ただし、電池(充電)が必須だったり、電池の搭載が必須なため本体重量が少し重かったり、必要部品が増えるため、価格が少し高かったりと、デメリットもあります。ケーブルの煩わしささえ我慢できる(気にならない)のであれば、有線マウスの方がお得だと思います。
2019年現在のワイヤレスマウスの主な接続方式について軽く説明しています。主に2つで「専用レシーバー付属」「Bluetooth」のどちらかです。
専用レシーバー付属
専用のレシーバーが付属しているタイプです。基本USBです。利用するコンピューターの無線対応状況等を確認する必要がないため、汎用性が高いです。ただし、レシーバーが付属する分価格は少し高くなってしまいます。バッテリーは、自前で用意するタイプと充電池が内蔵されているタイプがあり、後者では有線接続も可能な場合が多いです。
Bluetooth
無線通信規格の一つの「Bluetooth」を利用した接続方法です。レシーバー等は基本付属せず、利用する機器がBluetoothに対応している必要があります。主に、モバイル端末での使用が意識されています。バッテリーは自前で用意するタイプが主流です。
デスクトップPCでは標準ではBluetoothが利用できない事も多いため、注意が必要です。そのため汎用性にはやや欠けます。
その他
ここまでに挙げた以外のスペックについて軽く触れています。※やや説明不足感もあるので、後日追記等をするかもしれません。
ボタン
マウスには、メインの左右(クリック)ボタン以外にもボタンがある場合があります。特に、親指付近に配置されるサイドボタンは採用が多く「戻る」「進む」機能が標準で割り当てられている場合が多いです。この親指付近のサイドボタンは何をするにしても非常に役立つため、最低限親指付近のサイドボタンは搭載しているマウスを使用するのをおすすめします。他にも、ホイールクリックは基本標準で搭載されている他、メインボタンの端に小さめのボタンが配置されている場合などがあります。また、ゲーミングマウスや一部のマウスでは、専用のソフトを使う事でボタンに好きなキーや機能を設定する事ができるものもあり、使いこなせれば作業の効率が爆発的に向上する事もあるので、要チェックです。
カウント数(DPI)
カウント数(DPI)とは、マウスとポインタの移動距離の関係を表した数値です。簡単にいうと、「マウスをどれだけ動かすと、どれだけポインタが移動するのか」を表す数値です。ゲーミングマウス等の一部のマウスでは、カウント数(DPI)を好みによって変更する事ができるため、性質を理解しておくと良いです。
カウント数(DPI)が高いと、少ないマウス移動でもポインタを大きく動かす事ができますが、繊細なマウス操作が難しく、カウント数(DPI)が低いと、少ないマウス移動ではポインタも小さく動くため、繊細なマウス操作が可能ですが、遠い位置へのポインタ移動にはやや時間が掛かってしまうという特徴があります。
また、カウント数が高い(高DPI)ことをハイセンシ、カウント数が低い(低DPI)ことをローセンシと呼んだりします。
高速スクロール
一般的なマウスでは、ホイールを転がしてスクロールをする時「コリコリ」「コロコロ」といった感触の引っ掛かりが一定間隔で設けられています。一部のマウスでは、この引っ掛かりを無くした「高速スクロール」という機能に対応したものがあります。高速スクロール機能を使うと、ホイールを弾くように転がすことで、暫くホイールが回り続けてスクロールし続けてくれるので、長いwebページを見る際などに非常に便利です。基本的にマウス中心部に切り替えボタンがあり、従来のホイール仕様と簡単に切り替える事ができます。
発光機能(LED)
マウスの中には、LED等を利用して発光する機能を持っているものがあります。マウス本体を見ながら操作するという人はあまり居ないと思いますし、実際の使用感にはほぼ関わらない部分です。ワイヤレスだとバッテリー消費が増えてしまうので、常に利用している人は居なさそうな気がする機能です。ただ、実装のコストはほとんど掛からないっぽいですし、発光点灯用の「透かし」がデザインとしてオシャレだったりするので、そういう意味ではあっても悪い事は無いかなと思います。
ゲーミングマウス
マウスの中には「ゲーミングマウス」と銘打っているものがあります。文字通り、ゲーム用の機能や性能を持ったマウスの事です。ですが、何か定義がある訳ではないので、ただの「高性能・高機能なマウス」という認識でも構いません。ただし、価格も一般的なマウスよりは少し高めです。ゲーミングマウスの中には、ゲーミング用途でなくても使い易い製品もあるので、ゲームでの使用を想定していなくても、PCを頻繁に扱う方や予算に余裕がある方はチェックしてみると良いかもしれません。
メリット・デメリット
ゲーミングマウスのメリット・デメリットについてざっくりまとめています。
主なメリット
- 読み取りの精度が高い
- 反応速度が速い
- カウント数を調整可能(高DPIにも対応)
- フィット感が重視されている
- 重り付きで、重さやバランスを調整可能なものがある
- 専用ソフトで設定が可能
主なデメリット
- 価格が高い
- マウスパッド使用前提(読み取りの感度はあまり意識されない)
- 右利き専用製品が多い
- つまみ持ちには向かない形状・サイズが多い
ゲーミングマウスについては、本記事ではかなりざっくりとした説明しかしていません。もう少し詳しく知りたい方は下記などを見ると良いかもしれません。

それでは、記事はここまでになります。ご覧いただきありがとうございました。