最新のiPad各種をざっくり比較しています。
新しく発表された「第10世代iPad」「第4世代iPad Pro (第4世代)」「第6世代iPad Pro (第6世代)」に対応しました。ただし、第9世代のiPadについては公式ストアでもまだ購入可能となっており、とりあえずは第10世代と併売されるようなので、最新モデルではありませんが記載しています。
本記事の内容は記事更新時点(2022年10月20日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
簡易比較表
各モデルの主要スペックをまとめた簡易比較表を載せています。2022年10月時点での最新モデルが対象です(Wi-Fiモデル)。ただし、第9世代iPadについては旧モデルですが、まだ最新モデルと併せての販売が続くようなので記載しています。
iPad 10.2 第9世代 |
iPad 10.9 第10世代 |
iPad mini 8.3 第6世代 |
iPad Air 10.9 第5世代 |
iPad Pro 11 第4世代 |
iPad Pro 12.9 第6世代 |
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価格 ※2022年10月20日時点 |
49,800円~ | 68,800円~ | 78,800円~ | 92,800円~ | 124,800円~ | 172,800円~ |
画面サイズ | 10.2インチ | 10.9インチ | 8.3インチ | 10.9インチ | 11インチ | 12.9インチ |
SoC | Apple A13 | Apple A14 | Apple A15 | Apple M1 | Apple M2 | Apple M2 |
解像度 | 2160×1620 | 2360×1640 | 2266×1488 | 2360×1640 | 2388×1668 | 2732×2048 |
ディスプレイ | Retina | Liquid Retina | Liquid Retina | Liquid Retina | Liquid Retina | Liquid Retina XDR |
重量(Wi-Fiモデル) | 487g | 477g | 293g | 461g | 466g | 682g |
ストレージ | 64G~256GB | 64G~256GB | 64GB~256GB | 64GB~256GB | 128GB~2TB | 128GB~2TB |
Wi-Fi | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 |
対応コネクタ類 | Lightning Smart Connector |
USB Type-C Smart Connector |
USB Type-C | USB Type-C Smart Connector |
Thunderbolt/USB 4 Smart Connector |
Thunderbolt/USB 4 Smart Connector |
サイズ 幅/高さ/厚み |
174.1 mm 250.6 mm 7.5 mm |
179.5mm 248.6 mm 7mm |
134.8 mm 195.4 mm 6.3 mm |
178.5mm 247.6 mm 6.1mm |
178.5 mm 247.6 mm 5.9 mm |
214.9 mm 280.6 mm 5.9 mm |
生体認証 | Touch ID (指紋認証) |
Touch ID (指紋認証) |
Touch ID (指紋認証) |
Touch ID (指紋認証) |
Face ID (顔認証) |
Face ID (顔認証) |
スピーカー | 2スピーカー | 2スピーカー | 2スピーカー | 2スピーカー | 4スピーカー | 4スピーカー |
カメラ | シングル | シングル | シングル | シングル | デュアル | デュアル |
True Tone | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
5G | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
Apple Pencil | 第1世代 | 第1世代 | 第2世代 | 第2世代 | 第2世代 | 第2世代 |
対応キーボード | Smart Keyboard | Magic Keyboard Folio | Bluetoothキーボード | Magic Keyboard Smart Keyboard Folio |
Magic Keyboard Smart Keyboard Folio |
Magic Keyboard Smart Keyboard Folio |
通販 | Apple Store | |||||
Amazon |
モデル別ざっくり評価
iPad(第10世代) 10.9インチ

(C)Apple
- AirやProよりも安い(約6.9万円~)
- 高い処理性能(Apple A14)
- 価格の割に優れたディスプレイ
- フルラミネーションや反射防止コーティング無し
- 上位モデルよりわずかに厚い(約7mm、他は6mm前後)
- 第1世代のApple Pencil対応
無印のiPad 第10世代 10.9インチは、上位モデルよりは安価ながら高級感があり、十分高性能でコスパが良いのが魅力のモデルです。外装はほぼiPad Airと同様のものとなっており、下位モデルを感じさせない見た目になっています。先代ではベゼルがやや厚かったために野暮ったさを感じた見た目が解消された点は見た目重視派には嬉しいと思います。ただし、物理ホームボタンが廃止された点は、賛否両論あるかもしれません。ただし、見た目的には今風になって良くなったと思います。
また、先代から変わった点で他にも大きいのがインターフェース面です。Lightningコネクタが遂に廃止され、USB-Cになりました。汎用性が増しました。見た目といい、USB-Cといい、先代では否めなかった古臭さの残る仕様が無くなっており、今風のタブレットとして仕上げられていると思います。
最安モデルは約6.9万円(2022年10月時点)となっており、円安の影響もあり価格自体は高価な部類ですが、AirやProよりは安価です。性能もタブレット全体でいえば十分ハイエンドといえる高性能さです。ディスプレイも解像度が高く精細です。見た目も性能も十分高性能であり、「下位モデル」という位置付けは忘れたほうが良いモデルだと思います。
性能に関わる面としてもう少し触れると、プロセッサには「Apple A14」が採用されています。やや古めのものですが、その性能は2022年現在でも十分高性能です。Androidスマホ・タブレットによく利用されるハイエンドSoCに匹敵する性能を持ちます。7万円弱~という価格もこのレベルのSoCを搭載したタブレットとしては高い訳ではないので、コスパは良い部類だと思います。ただし、先代(iPad 第9世代)の方が2万円程度も安く、性能は若干落ちるものの軽作業前提ならどちらも大差ないほど高性能という点を考えると、処理性能コスパ的には悪化してしまったのかなと感じます。先代の処理性能コスパが良すぎたのもありますが、少し残念な点です。
また、ディスプレイは高解像度で良い品質のものが採用されてはいますが、iPad無印は反射防止コーティングやフルラミネーション加工が無い点は、他モデルよりは劣っています。外装がAirとほぼ同じになったので、伴って対応するのではと期待された部分ですが、残念ながら従来通りありませんでした。
また、Apple Pencilが最新のiPadの中では唯一第1世代にしか対応していない点も先代と同じです。イラスト用途などで利用したい場合には注意が必要です。
総評として、上位機種よりは安価ながら十分高性能で高級感のある優れたタブレットです。ただし、その性能を考慮しても7万円弱からという価格は安いとは言えないレベルになってしまっているので、Apple Pencil対応や反射防止コーティングなどのディスプレイ仕様でやや劣る点は留意しておくべきかなと思います。
iPad(第9世代) 10.2インチ

(C)Apple
- iPadの中で最も安い(約5万円~)
- 高い処理性能(Apple A13)
- 安価な割に優れたディスプレイ
- 物理ホームボタン
- ベゼル幅が厚めで、画面サイズの割に本体サイズが大きめ
- 他モデルより厚みがある(約7.5mm)
- スピーカーが1側面にしかない(数は2)
- 汎用性に劣るLightningコネクタ
- 現行モデルの中で唯一Wi-Fi 6に非対応
- フルラミネーションや反射防止コーティング無し
- 第1世代のApple Pencil対応
10.2インチのiPad 第9世代は、安さと性能コスパ重視のエントリーモデルです。最安値モデルは約5万円~(2022年10月時点)と他モデルより大幅に安く、手を出し易いモデルになっているのが魅力です。その価格と軽作業には十分すぎる性能によるコスパの良さから、価格.comのタブレットランキング上位を常に維持し続ける人気モデルです。
プロセッサには「Apple A13」が採用されています。結構古めのものですが、その性能は2022年現在でも十分高性能で、Androidスマホ・タブレットによく利用されるミドルレンジSoCよりは大幅に高性能です。そのため、基本的に同価格帯の他のAndroidやChromebookのタブレットよりも大幅に高性能となっており、処理性能コスパが良いです。また、価格の割には画面の解像度も高くて、精細な映像を楽しめるのも嬉しいです。
このように、iPad(第9世代)は価格と同価格帯のAndoroidタブレットと比べれば明らかに優れたコスパを発揮し、ほとんどの人にとっては最もコスパの良い選択肢になると思います。ですが、iPadにおいては最安値のモデルなので、他のiPadと比べるとやや劣る点も多いのは覚えておくと良いかもしれません。長く使う事を想定し、予算に多少余裕がある場合には他モデルも考慮に入れて置いた方が良いと思います。
まずぱっと見でもわかるマイナスポイントは、ベゼル幅の厚さ(画面の縁の大きさ)です。10.2インチのiPadのベゼル幅は比較的厚く、正直やや野暮ったい見た目になっています。そのため、見た目を重視する人にはやや不向きと言えるかもしれません。ベゼル幅や見た目に関しては、もっと安い他タブレットの方が優れていたりする点は留意です。軽い処理しかしない前提なら、「Apple A13」ほどの性能が無くても大丈夫なので、見た目重視なら他のベゼル幅が狭くて安い他機種を検討しても良いかもしれません。
次に、メインコネクタがLightningコネクタとなっている点も注意です。Lightning – USB Type-Cの変換ケーブルが同梱しているため、充電器の互換性で困ることはありませんが、他にLightningコネクタ機器を持っていない場合にはiPad専用ケーブルとなってしまう他、他のUSB Type-Cケーブルや機器をiPadに接続したい場合には少し不便です。サブ機としての運用なら許容できる範囲だと思いますが、メイン機としてゴリゴリ使うならやや気になる人も居るかもしれません。
また、買ってから知る人も多そうな弱点がスピーカーです。iPad 10.2インチでは、スピーカーが2つとも1側面(ホームボタン側)にしかありません。そのため、その面を下にして利用すると音が篭ってしまう可能性があります。また、単純にスピーカーの質も上位機種より劣っています。
ディスプレイも、価格の割には間違いなく良い品質のものが採用されてはいますが、iPad無印は反射防止コーティングやフルラミネーション加工が無い点は留意です。無印以外のモデルでは全モデルで備えている部分なので、明確な違いです。加えて、Apple Pencilも最新のiPadの中では第1世代にしか対応していないので、イラスト用途で使いたい方はそこも注意です。
ディスプレイの品質自体は十分に高いと言えるものなので、クリエイターなどでなく、特にこだわりが無ければそこまで気にする必要は無いとは思いますが、予算に余裕があってよりキレイな映像を楽しみたい方は上位のものを検討してみるのも良いと思います。
マイナス面を多く語ることになりましたが、これは他のiPadと比較してのものです。同価格帯のタブレットと比較すると、iPadはこの最安モデルでも上回っている部分の方が基本的に多いので、そこは勘違いしないようにしましょう。
総評としては、iPad (第9世代)は、高い処理性能を持ちつつも価格を抑えた機種としては、タブレット市場全体で見ても非常に強力な選択肢です。
iPad mini 8.3インチ(第6世代)

(C)Apple
- 小型で軽量(8.3インチ、約293g)
- 高い処理性能(Apple A15)
- 優れたディスプレイ性能
- 高価(約7.9万円~)
iPad mini 第6世代は、8.3インチの小型モデルです。重量も非常に軽いため、気軽に手で持ちながら扱えるのが魅力です。
プロセッサには「Apple A15」が採用されており、処理性能も非常に高いです。小型のため非力な印象を受けるかもしれませんが、ハイエンドスマホ・タブレット並みの高性能さです。その性能を考えると約7.9万円~(2022年10月時点)という価格も高くはなく、処理性能コスパは悪くありません。
また、性能だけでなくディスプレイ性能も同価格帯の中では非常に優れています。ディスプレイは、サイズ以外はiPad Airに近い仕様となっています。サイズ的にiPad無印よりも下位という印象も受けそうなminiですが、無印よりも上位のモデルという位置付けです。
軽作業前提の小型タブレットで約7.9万円~というのは確かに高価に感じますが、プロセッサ性能やディスプレイの質などを考えるとコスパは優れている方だと思います。大型スマホのような感覚で手軽に使える機種を求めている人には魅力的だと思います。
とはいえ、現状は大型のスマホが普及してきていることが懸念点です。性能は申し分ないですが、個人的にはこのiPad miniのような8インチクラスのタブレットは立ち位置がやや微妙な気がするのが本音です(個人の主観です)。
タブレット購入を考える大体の理由は、スマホよりも大画面で手軽に使えるデバイスが欲しいという感じだと思いますが、8.3インチというサイズではその要望を十分に満たせるかは怪しい気がします。コスパやスペックが優れているとは言っても、価格自体は高価(約7.9万円から)ですし、その優れた性能も軽作業前提デバイスとして見るとオーバースペック気味です。
スマホと上手く差別化することができずに有効活用出来なければ意味が無いので、事前にちゃんと使うことになるかを考えて検討すべき機種ではあるのかなと思います。
iPad Air (第5世代) 10.9インチ

- 非常に高い処理性能(Apple M1)
- 軽量(約461g)
- 優れたコスパ
- 高い解像度の優れたディスプレイ
- 高価(9.3万円~)
- リフレッシュレートは60Hz
- スピーカー・カメラの数が価格の割には乏しい(2スピーカー・1カメラ)
iPad Airは、やや高価ながら非常に優れた性能とコスパを持つミドルレンジモデルです。価格は約9.3万円~(2022年10月時点)なので安くはありませんが、処理性能も含め色々な点が無印iPadよりも強化されています。
まず触れたいのは重量です。Airという名前の通り、重量は約461gと軽量です。同じくらいのサイズの他タブレットを見ても、このクラスの軽さの製品はほとんどありません。11インチクラスのタブレットを手軽に手で持って使えるのは魅力的です。
次に性能です。プロセッサには「Apple M1」が採用されており、第10世代無印の「Apple A14」やminiの「Apple A15」よりも大幅に高性能です。MacBook Airなどにも採用されるSoCということもあり、タブレットに採用されるSoCとしてはズバ抜けた性能となっています。以前より大幅に値上がりした9万円台という価格でも、このプロセッサ採用なら、他の面が悪くない限りはコスパは良いと言えるレベルです。
ディスプレイの質も非常に高く、精細でキレイな映像を楽しむことができます。最大輝度やHDRではiPad Proの方がやや優れてはいるものの、よほど高度なクリエイティブ用途を意識しない限りは、画面のキレイさに関してはiPad Airでも気にならないと思います。
ただし、iPad Proはリフレッシュレートが最大120Hzとなっているのに対し、iPad Airのリフレッシュレートは60Hzとなっている点は、輝度や色域以上に分かりやすく使用感に結構関わってくる部分なので、そこを重視したい方はProも検討してみると良いかもしれません(ただし、現状の動画やスマホ・タブレット向けのゲームは大体60fps上限なので、一般用途ではスクロールやUI操作が滑らかになるくらいのメリットしかないことがほとんどだったりします)。
このように、第5世代のiPad Airは、多くの面が一般的なタブレットを遥かに凌駕する非常に高性能となっており、iPad下位モデルや同価格帯のAndroidタブレットを大きく突き放す仕上がりです。当然上位のiPad Proには劣る要素はあるものの、高度なクリエイティブ用途を意識しなければ気にならないレベルです。また、iPad Proにも価格の安さで大きく勝っているので、処理性能コスパなら有利となっています。
最安値モデルが5万円程度からということを考えるとかなり高価な買い物になってしまいますが、長期間使い続けるタブレットとしては魅力的な仕上がりになっていると思います。
ただし、最小ストレージ容量が64GBと少ない点は注意が必要です。価格の割には明らかに少ない容量です。iPadではSDカードが使えない点もありますから、ゴリゴリ使うメイン機としては不安が残る容量です。超高性能なプロセッサ搭載の点を考えるとコスパは悪くないとは思いますが、長期利用を考えるならそこはネックになるかもしれません。
iPad Pro 11インチ(第4世代)

(C)Apple
- 非常に高い処理性能(Apple M2)
- 非常に軽量(約466g)
- 高い解像度の優れたディスプレイ(高い解像度、色域、120Hz)
- スピーカーを4つ搭載
- スリムベゼルですっきりした見た目
- 非常に高価(約12.5万円~)
iPad Proは、Pro(プロ)と付くように、各種性能が非常に高い、プロ仕様のハイエンドモデルです。その代わりに価格は非常に高く、11インチモデルは約12.5万円から(2022年10月時点)となっています。キーボードやスタンドカバー無しでこの価格です。
プロセッサには「Apple M2」が搭載されています。MacBookなどにも採用されているモデルで、タブレットに使うプロセッサとしては非常に高性能で、前世代のM1と並んでズバ抜けた性能を発揮します。M2ではCPU性能こそM1と大差ないものの、GPUとメモリ帯域幅が強化されており、グラフィック性能が大きく向上しています。内蔵GPUとしては破格の性能となっており、今までは外部GPU(グラボ・ビデオカード)でないと厳しいと言われていた重いグラフィック処理にもある程度対応が可能なレベルになっています。
ディスプレイの質も非常に高いです。高い解像度・高色域・120Hzの高リフレッシュレートを持ち、あらゆる面で優れています。スピーカーも4つ搭載しており、オーディオ面でも優れています(他モデルは2つ)。クリエイティブ用途で強力なのはもちろん、一般的なメディア鑑賞でも非常に高性能です。
これだけの性能を備えながら、11インチで重量は約466gと軽量です。重い処理にも対応できますし、持ち運んでの利用も苦になりません。また、搭載のUSB Type-CポートはThunderbolt4に対応しており、高速なデータ通信が可能な他、他の仕様も優れており、その面でも汎用性も高いです。
価格が非常に高く、正直ここまでの性能が要らない人の方が多いと思うので、購入前に用途からよく考えて検討した方が良いとは思います。とはいえ、その性能は非常に素晴らしく、その高性能さながら軽量で、一般用途でも非常に優れた性能を発揮する万能タブレットです。
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)

(C)Apple
- 非常に高い処理性能(Apple M2)
- 非常に優れたディスプレイ(11インチモデルよりも)
- 大画面(12.9インチ)
- スピーカーを4つ搭載
- スリムベゼルですっきりした見た目
- サイズの割には軽量
- 非常に高価(約16万円~)
- やや重い(約682g)
iPad Pro 12.9インチモデルは、各種性能が非常に高い、プロ仕様のハイエンドモデルです。その代わり、価格は非常に高く、約17.3万円から(2022年10月)となっています。11インチモデルよりも5万円近く高価になっており、価格が跳ね上がるので11インチモデル以上に人を選ぶプロ仕様のタブレットとなっています。
プロセッサには11インチモデルと同じ「Apple M2」が搭載されています。価格に大幅に差があるのに処理性能がほぼ変わらない点は要注意です。非常に高性能で、タブレットに使うSoCとしては圧倒的な性能なのは変わりませんが、さすがにここまで高価だとゲーミングノートなどが十分視野に入ってきますから、コスパが良いと言えるかは怪しくなっています。
11インチモデルとの違いはディスプレイ仕様です。
まず、サイズが12.9インチとなり、画面が見やすくなった点があります。また、11インチ以下だとやや窮屈だったキーボードと併せてノートPCのように運用するのにも程良いサイズ感です。ただし、画面サイズが大きい点はメリットにもなりますが、大きくなることで重量も増えて、持ち運び的にもややマイナスとなる点は注意です。
サイズだけでなく品質についても強化されています。「Liquid Retina XDR」となっていて、11インチモデルよりも良いものになっています。11インチモデルと同様の高い解像度・高色域・120Hzの高リフレッシュレートを持ちつつ、11インチモデルよりも高い最大輝度と非常に高いコントラスト比を持っており、より明るくて自然な映像を表示することが可能となっています。高度なクリエイティブ用途で使う場合には最も適していると言えると思います。
総評として、「総合性能」ということでは間違いなく最高のモデルですが、やはり価格がネックです。同じSoCのPro(11インチ)と処理性能はほぼ変わらないのに5万円近く高いのはさすがに高すぎるという印象です。更に、グラフィック性能が多少下がっても良いなら、Airでも大差ない性能です。プロのクリエイターでなければAirやPro(11インチ)でも大体の人は十分すぎるほど用途を満たせると思うので、慎重に用途や予算を考えて検討することをおすすめしたいモデルです。
スペック・仕様別比較
価格(2022年10月時点)
iPad(Wi-Fiモデル)の価格を表にまとめているので見ていきましょう。また、掲載していませんが、4Gや5Gなどのモバイル回線に対応したCellularモデルは大体23,000円~24,000円程度高くなります。
iPad 第9世代 |
iPad 第10世代 |
iPad mini 第6世代 |
iPad Air 第5世代 |
iPad Pro 11 第4世代 |
iPad Pro 12.9 第6世代 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
64GB | 49,800円 | 68,800円 | 78,800円 | 92,800円 | ||
128GB | 124,800円 | 172,800円 | ||||
256GB | 71,800円 | 92,800円 | 102,800円 | 116,800円 | 140,800円 | 188,800円 |
512GB | 172,800円 | 220,800円 | ||||
1TB | 236,800円 | 284,800円 | ||||
2TB | 300,800円 | 348,800円 |
予算や用途や好みは人によって異なるため、どれが良いとは一概には言えませんが、個人的には総合コスパは無印のiPad 第9世代が一番良い印象です。
約5万円~という安さながら、ほとんどの人とっては十分なスペックを提供するため、大多数の一般の人にとってのコスパという意味では1位だと思います。恐らく円安の影響で他モデルが値上がりを続ける中、旧モデル化したこともあってか値上がり幅が小さかったのも大きいです。
「Apple A13」を搭載し、iPad以外ではハイエンドタブレットでしか成しえない性能を5万円~という価格から実現できる、安価なタブレットとしては非常に優れたコスパを発揮します。処理性能だけでなく、ディスプレイの解像度「2160×1620」も5万円クラスのタブレットにしては高く、精細な映像を楽しめるのも素晴らしいです。ベゼル幅がやや厚くて野暮ったさのある見た目や、未だにLightningコネクタとなっている点は使い辛さもありますが、高コスパ機としては不動の地位を保っている機種です。
個人的なコスパ1位については上記の通りですが、その他のモデルについても軽く触れていきたいと思います。
無印 iPad 第10世代は、先代の古臭さのある仕様を取り払った新たなエントリーモデルです。画面サイズは10.9インチと少し大きくなり、ベゼルもスリムになり、外観はiPad Airとほぼ同じで高級感のある見た目になりました。Lightningコネクタや物理ホームボタンも廃止され、すっきりした見た目で汎用性が高められています。しかし、価格は先代よりも2万円近く高くなってしまい、7万円近くというエントリーモデルとは思えない価格になっています。SoCも少し強化されましたが、実用性が変わるほどのものではないので、安さと性能コスパは悪化してしまいました。上位モデルよりは安いですし、価格の割には高級感はある見た目ですが、未だに反射防止コーティングやフルラミネーションディスプレイにはなっていない点や、Apple Pencilが第1世代対応の点も従来から据え置きの点は劣ります。同価格帯のAndroidタブレットなどよりはコスパは良くて十分魅力のある製品だとは思いますが、やや中途半端感も否めない仕様なので、評価は分かれる気がします。
第6世代iPad miniは、片手でも使える小型軽量さが魅力です。また、処理性能やディスプレイ品質も価格の割には非常に優れています。ただし、8.3インチというサイズが、最近大型化が顕著なスマホとの差別化を図りにくい感が個人的には気になります。価格も2022年10月時点では8万円近くになり、ハイエンドスマホが買えるレベルの価格になってきている点もネックです。とはいえ、手軽さという点では随一のタブレットになっているので、スマホとは別に手軽に使える高性能タブレットが欲しい方にはおすすめできます。
第5世代iPad AirはSoCに「Apple M1」を搭載し、タブレットとしては破格の性能を持ちながらも軽量なタブレットです。9万円台という価格自体は高価ですが、その性能は従来のタブレットより遥かに高いので、重い処理を頻繁にさせる人にとってはコスパは優れています。軽量でモバイル用途でも使い易く、メイン機としても使える10.9インチというサイズもタブレットとして非常に丁度良いと思います。価格は決して安くはないですが、長期間しっかりめに使う前提ならおすすめできるモデルです。
iPad Pro(11インチ)は各種性能が非常に高いハイエンドモデルです。ハイエンドモデルとは言っても軽量なので、重い処理だけでなく様々な用途に利用できる万能タブレットです。クリエイターでなくても、予算に余裕があって失敗したくない人にはおすすめできるモデルです。
iPad Pro(12.9)はやや大きめのハイエンドモデルです。各種性能が非常に優れていることはもちろん、キーボードと併用すればノートPCのようにも使える点が魅力です。しかし、11インチモデルと比べて約5万円も高価になっており、最安モデルでも17万円台とさすがに高過ぎます。その価格差の割に、サイズ以外の差はディスプレイの最大輝度が高いくらいなので、正直コスパ的には悪くなっていると思います。サイズが大きいのは時にはデメリットにもなりますし、そのサイズ感がよほど自分の用途にマッチしているか、プロのクリエイター以外には一番にはおすすめは出来ないモデルになっていると思います。価格的に最近軽量化も進んでいるゲーミングノートを検討できるのも致命的です。
プロセッサ(SoC)
iPadに搭載されている各プロセッサの性能についてです。実機で測定したスコアが無い場合は、同じSoC採用の他モデルの性能を載せている場合もあるのでご了承ください。
CPU性能
まずはCPUの性能を見ていきます。CPUはタブレットの頭脳ともいえるパーツで、CPU性能がタブレット全体のパフォーマンスに影響してくるため非常に重要です。Geekbenchというベンチマークのスコアで見てみましょう。
また、グラフィックについてはCPUがメインで担当している訳では無い点に注意です。グラフィックはGPUというパーツが主に担当しているので、そちらはCPUの後に見ていきます。
SoC | スコア |
---|---|
Apple M2(8コア) iPad Pro 11/12.9インチ 予測 |
1925
|
Apple M1(8コア) iPad Air 第5世代 |
1719
|
Apple A15(6コア) iPad mini 第6世代 |
1590
|
Apple A14(6コア) iPad 第10世代 予測 |
1542
|
Apple A13(6コア) iPad 第9世代 |
1328
|
SoC | スコア |
---|---|
Apple M2(8コア) iPad Pro 11/12.9インチ 予測 |
8968
|
Apple M1(8コア) iPad Air 第5世代 |
7034
|
Apple A15(6コア) iPad mini 第6世代 |
4640
|
Apple A14(6コア) iPad 第10世代 予測 |
4017
|
Apple A13(6コア) iPad 第9世代 |
3235
|
まず触れておきたいのが、上位のiPadと並べると性能が低く見える無印iPadのApple A13も、実はタブレット搭載のプロセッサとしては十分に高性能な部類になる点です。一般的な用途なら十分サクサク動きます。下位モデルだと性能が低くて一般用途でももっさりしちゃうんじゃないかと思う人も居るかもしれませんが、そこまで低性能では無いので安心して大丈夫です。
とはいえ、上位モデルよりは低性能なのも事実です。Apple A13とApple M1を比較すると、シングルコアで約29%、マルチコアでは2倍以上もM1の方が高性能です。価格を考えるとそこまで大きな差では無いと思いますが、重い処理やサクサクさを意識するなら、Air以上とは大きな差があります。
GPU性能
次に、グラフィック処理を担当するGPUの性能を見ていきます。「GFX Bench 5.0 Aztec Ruins High Tier Offscreen」のベンチマークテストの結果です。
SoC | スコア |
---|---|
Apple M2 GPU iPad Pro 11/12.9インチ 予測 |
110
|
Apple M1 GPU iPad Air 第5世代 |
60.9
|
Apple A15 GPU iPad mini 第6世代 |
41.2
|
Apple A14 GPU iPad 第10世代 予測 |
33
|
Apple A13 GPU iPad 第9世代 |
31
|
Apple M1/M2がズバ抜けた性能を持っていることがわかります。特にApple M2は従来よりも格段にグラフィック性能が向上しており、ある程度重いクリエイティブな用途にも対応できるレベルで、動画編集など出来る事の幅が広がります。重いグラフィック処理を頻繁に行いたい人は少し高価でもiPad Proにすると大きな恩恵があるかもしれません。
ただし、一番下の第9世代 iPadのApple A13のGPUでも低性能という訳ではなく、スマホ・タブレット向けのGPUとしては普通に高性能な部類です。スマホゲームや動画鑑賞の一般的な用途では基本困らない性能があるので、重い動画編集とかを意識しなければ基本的には困らないと思います。
むしろ、M1/M2レベルのグラフィック性能が大体の人にとってはオーバースペックだと思います。
サイズ・重量
サイズと重量についてです。重量はWi-Fiモデルのものです。Cellularモデルだと数g重くなります。
画面サイズ | 重量 | 幅 | 高さ | 厚み | |
---|---|---|---|---|---|
iPad 第10世代 | 10.9インチ | 477g | 179.5 mm | 248.6mm | 7.0mm |
iPad 第9世代 | 10.2インチ | 487g | 174.1 mm | 250.6mm | 7.5mm |
iPad mini 第6世代 | 8.3インチ | 293g | 134.8mm | 195.4mm | 6.3mm |
iPad Air 第5世代 | 10.9インチ | 461g | 178.5mm | 247.6mm | 6.1mm |
iPad Pro 11 第4世代 | 11インチ | 466g | 178.5mm | 247.6mm | 5.9mm |
iPad Pro 12.9 第6世代 | 12.9インチ | 682g | 214.9mm | 280.6mm | 6.4mm |
ベゼル幅の厚いiPad(10.2インチ)は、画面サイズの割には本体サイズが大きめなのがわかります。10.9インチの第10世代 iPad/iPad Airと大して変わらないサイズとなっています。また、厚みも他モデルよりもあります。安さの代償ということになると思いますが、他モデルよりは劣る結果となっています。
無印以外のiPadはどれも厚さが薄くサイズの割に軽量です。11インチクラスで460g台、12.9インチでも700g未満というのは凄いと思います。
ディスプレイ
各モデルのディスプレイ仕様について表にまとめています。
iPad 第9世代 |
iPad 第10世代 |
iPad mini | iPad Air | iPad Pro 11 | iPad Pro 12.9 | |
---|---|---|---|---|---|---|
ディスプレイ | Retina | Liquid Retina | Liquid Retina | Liquid Retina | Liquid Retina | Liquid Retina XDR |
画面サイズ | 10.2インチ | 10.9インチ | 8.3インチ | 10.9インチ | 11インチ | 12.9インチ |
解像度 | 2160×1620 | 2360×1640 | 2266×1488 | 2360×1640 | 2388×1668 | 2732×2048 |
耐指紋性撥油コーティング | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
True Tone | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング 広色域ディスプレイ(P3) |
× | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
リフレッシュレート | 60Hz | 60Hz | 60Hz | 60Hz | 120Hz ProMotion |
120Hz ProMotion |
最大輝度 | 500nit | 500nit | 500nit | 500nit | 600nit | 600nit フルスクリーン:1000nit ピーク:1600nit |
- 耐指紋性撥油コーティング
iPadは全モデル、油分を弾いて皮脂の付着を防止するフッ素加工がされています。
- フルラミネーションディスプレイ
液晶パネルとカバーガラスを圧着加工して一体化したディスプレイです。液晶パネルとカバーガラスの隙間が無くなることで、光の反射が抑えられる他、タッチ面と映像との距離が近くなるため、直接映像に触れているようなディスプレイになります。
- True Tone
周囲の光に合わせて色や明るさを調整し、より自然な映像にする機能です。
ディスプレイは上位モデルになるほど大きくなり、質も良くなります。用途や予算に合わせて選ぶことになると思います。
最も安価なiPad無印は、iPadの中では最も質は低いディスプレイとなる点に注意です。正確には、ディスプレイの質自体は普通に高いですが、フルラミネーションディスプレイや反射防止関連の加工がされていない点で差があります。とはいえ、価格の割には十分に良いディスプレイにはなっているので、強いこだわりが無く、安く済ませたいなら悪くないです。
ディスプレイの質を重視したいなら無印以外のiPadを選ぶのがおすすめです。特に、iPad Proのディスプレイは、リフレッシュレートが120HzのPro Motionテクロノロジー搭載となっており、他モデルより滑らかな映像描写が可能になっています。他モデルは60Hzですが、120Hzとの差は一目でわかります。とはいえ、現状ではYouTubeなどの動画も基本60fpsなので、一般用途ではあまり恩恵を感じることは無いかもしれません(スクロールやUI操作が滑らかになるくらい)。
また、iPad Pro 12.9インチモデルのみ、Liquid Retina XDRディスプレイとなっており、iPad 11インチモデルよりも上位のものになっています。最大輝度がフルスクリーン時1,000nit、ピーク時1,600nitまで引き上げられている他、10万:1の非常に高いコントラスト比を実現しています。高度な画像・動画を扱うプロのクリエイターの方にはおすすめできる仕様だと思います。ただし、価格も大幅に高くなっています。
生体認証
認証 | |
---|---|
iPad 第9世代 | Touch ID (指紋認証・ホームボタン) |
iPad 第10世代 | Touch ID (指紋認証・電源ボタン) |
iPad mini | |
iPad Air | |
iPad Pro | Face ID(顔認証) |
iPadの生体認証は、iPad Proのみ顔認証(Face ID)で、他は指紋認証(Touch ID)です。
個人的にはどちらも慣れてしまえば大差ないものだと思っていますが、最近では新型コロナウィルス対策のためにマスク着用した状態での利用も多いことから、顔認証はやや不便さが触れられることがあります。
自宅等での利用なら大して気にする必要はないと思いますが、外出時によく利用する人はよく不便さを感じるかもしれません。実は、今ではマスク着用時でもFace IDでロック解除できる機能が実装されてはいますが、マスク着用姿なら本人以外でもロック解除するという、セキュリティ的には正直微妙なものなので注意が必要です。
上述のようなこともあり、現状では指紋認証の方がやや使い勝手は上なのかなという印象です。
対応コネクタ
コネクタ | |
---|---|
iPad 第9世代 | Lightning |
iPad 第10世代 | USB Type-C |
iPad mini | |
iPad Air | |
iPad Pro | USB Type-C (Thunderbolt/USB 4) |
対応コネクタは、上記の表の通りです。最新モデルでは、最も安価なiPad 10.2インチモデルのみLightningコネクタで、他はUSB Type-Cです。
Lightningは使えるケーブルやデバイスが限られるため、USB Type-Cの方が汎用性が高く便利です。他のスマホやPCとも簡単に接続することができます。規格による汎用性を重視(他のモバイル端末とのデバイスの共有)したいなら、最も安価なiPad 10.2インチは避けた方が良いかもしれません。
また、iPad ProのUSB Type-Cポートは「Thunderbolt/USB 4」対応です。超高速なデータ通信が可能で、外部ディスプレイ出力にも強い他、Macbook等で使うデバイスなどとの親和性も高いようです。サブ機ではなく、PCのような使い方も意識したメイン機として運用する場合には強みになると思います。
Wi-Fi・モバイル通信
Wi-Fi | モバイル通信 | |
---|---|---|
iPad 第9世代 | Wi-Fi 5 (802.11 a/b/g/n/ac) | 4G LTE |
iPad 第10世代 | Wi-Fi 6 (802.11 a/b/g/n/ac/ax) | 5G |
iPad Air | ||
iPad mini | ||
iPad Pro |
iPadの最新モデルのWi-Fiは、iPad 10.2インチ(無印)のみWi-Fi 5で、その他はWi-Fi 6に対応しています。
Wi-Fi 6は5より高速なだけでなく、2.4GHzと5.0GHzの同時利用に対応していたり、遅延が減少していたり、スリープ時の電力消費が減っていたりと、実は結構進化しているので、出来れば対応しておきたいです。ただし、結局最大速度が上がっても、常に最大速度が出る訳でも必要な訳でもないので、速度だけ見れば実は基本Wi-Fi 5でも十分だと思いますし、その他の面も恩恵を感じにくい部分だったりします。長期利用や新しい規格に興味がある人は、Wi-Fi 6対応の機種が良いと思いますが、現状はどちらでも使用感に大差はないかなという印象です。
モバイル回線についても、iPad 10.2インチ(無印)のみ4G LTEで、その他は5Gに対応しています。モバイル回線については利用しない人も多いと思いますし、現状は5Gが十分に活用できない環境なので、気にしない人が多いとは思いますが、こちらも無印が一段劣る結果となっています。
現状の実用性的には恐らくほぼ変わらないとはいえ、Wi-Fiとモバイル回線の両方とも無印モデルが一段劣る仕様となっている点は要注意です。
内蔵スピーカー
スピーカー | |
---|---|
iPad 第9世代 | 2(下に2つ) 縦向き時にステレオ |
iPad 第10世代 | 2(上下に1つずつ) 横向き時にステレオ |
iPad mini | |
iPad Air | |
iPad Pro | 4(上下に2つずつ) 常にステレオ |
内蔵スピーカー数はiPad Proのみ4で、他は2となっています。ただし、スピーカー数が2の3モデルについても搭載箇所やステレオ対応面で少し差があるため軽く触れていきます。
注意すべきなのは最も安価なiPad 10.2インチモデル(第9世代)です。下部にのみ2つ搭載されているため、スピーカーの付いた面を下にして置いたりすると、音が篭ってしまう可能性があります。また、横向きで使用する場合には音が片方からしか聞こえないため、やや違和感があるかもしれない点も注意です。
一応ステレオ再生には対応しているものの、下部に2スピーカーという仕様なので縦向き時限定となり、動画は横長が基本の現状と噛み合っていません。無印iPad第9世代のスピーカー仕様は、正直5万円クラスのタブレットにしては良くはないです。イヤホンなどを利用する場合には気にする必要はないですが、内蔵スピーカーを利用したい場合には注意が必要です。
無印iPad(第10世代)とiPad miniとAirでは上下に2つ搭載されています。横向きなら両側から音が聞こえますし、ステレオ再生にも対応しています。逆に縦向き時にはステレオにならないものの、下側が塞がってしまう場合でも、上側からは音が聞こえるようになっており、その点では無印よりも使い勝手が良いです。無印より価格が大幅に高いため、スピーカーのためだけに上位機種を検討するかは予算次第になりますが、内蔵スピーカーを重視するなら、無印は避けてAirかmini以上のモデルが良いです。
最後にiPad Proですが、上下に2つずつ搭載されており、どのような使い方でも複数のスピーカーから音が聞こえるようになっています。価格が高いので当然かもしれませんが、やはりiPad Proが頭一つ抜けて良い仕様です。
バッテリー持続時間
公式のスペック表では、iPadのバッテリー持続時間は全モデル共通で「Wi‑Fiでのインターネット利用、ビデオ再生、オーディオ再生:最大10時間(携帯電話ネットワーク利用時には9時間)」となっています。恐らくは実際にテストして同じくらいのバッテリー寿命となるように調整しているのだと思われます。
バッテリー持続時間は平均的なタブレットという感じですが、全体的にサイズの割に軽量なタブレットとしては、優れたバッテリー性能となっていると思います。
ただし、高い解像度と最大輝度の高いディスプレイを採用しているため、特に輝度を高く設定すると一気にバッテリー持続時間が短くなる点は注意が必要です。
カメラ
背面カメラ | 前面カメラ | LiDARスキャナ | |
---|---|---|---|
iPad 第9世代 | シングルレンズ 広角:800万画素 |
広角:1200万画素 | × |
iPad 第10世代 | シングルレンズ 広角:1200万画素 |
||
iPad mini | |||
iPad Air | |||
iPad Pro | デュアルレンズ 広角:1200万画素 超広角:1000万画素 |
超広角:1200万画素 | 〇 |
iPadは全モデル前面カメラの画素数が1200万画素と高くなっており、ビデオ通話などでもキレイな映像となる点が特徴として挙げられます。最安の無印モデルでも画素数が同じなのは嬉しい点です。コロナ流行以降、ビデオ通話の需要が急激に増えた影響も考えての仕様かもしれません。
背面カメラは、無印、mini、Airはシングルレンズで、Proはデュアルレンズとなっています。価格を考えると、カメラ性能コスパでいうとAirが一番悪くなります。タブレットのカメラ性能を重視する人は多くはないと思うので、購入の決め手になることは少ないと思いますが、重視している方は注意が必要です。
最後にiPad Proですが、カメラ性能は高いです。背面カメラはデュアルレンズ仕様ですし、「LiDARスキャナ」という光で距離を測定する技術が搭載されており、物体間の前後関係を正しく測定することができ、暗い場所でもキレイに撮影できたり、AR関係でも活躍するようです。プロのクリエイター向けというだけあり、おまけレベルの性能ではなくしっかりと重視されています。高級機でもタブレットではここまで高性能なカメラを搭載することがほとんどないので、iPad Proはカメラ重視のタブレットとしては唯一に近い優位性があると思います。
Apple Pencil
iPadでは、Apple製の電子ペンである「Apple Pencil」を利用することができます。メモ書きや絵を描いたりする際に役立ちます。世代毎の違いや、iPad毎の対応状況について、下記に画像や表を参考に載せているので見ていきましょう。

(C)Apple

(C)Apple
対応Apple Pencil ※価格はおおよその市場価格 |
充電 ペアリング |
|
---|---|---|
iPad 第9/10世代 | 第1世代(約11,800円) | Lightningコネクタ |
iPad mini | 第2世代(約15,950円) | 磁気コネクタ |
iPad Air | ||
iPad Pro |
モデルによって対応する世代が異なるため、事前に利用予定のiPadに対応したものをチェックしておく必要がある点に注意です。
双方の違いですが、ペアリングや充電方法の違いです。第1世代Apple PencilはLightningコネクタで充電とペアリングを行います。第2世代は、iPad Pro/Airの側面の磁気コネクタにくっつけることで、充電とペアリングを行います。
iPad 10.2は磁気コネクタが無くて、第2世代のApple Pencilでペアリングができないため使うことが無いという感じです。
実際の使用面での違いは、第1世代はつるつるで丸いなめらかな表面となっているの対し、第2世代ではマットで鉛筆のような見た目と質感になっています。また、第2世代では表面をダブルタップすることでツールを切り替える機能があります。特に絵を描いたりする場合には凄く便利だと思います。
それぞれ対応モデルが決まっているため後からの選択の余地はないですが、よく絵を描いたりする人は第2世代のApple Pencilに対応している無印モデル以外が良いかもしれません。
Smart Connector(対応キーボード)
対応キーボード | Smart Connector | |
---|---|---|
iPad mini | Blutooth | × |
iPad 第9世代 | Smart Keyboard | 〇(側面) |
iPad 第10世代 | Magic Keyboard Folio | |
iPad Air | Magic Keyboard Smart Keyboard Folio |
〇(背面) |
iPad Pro |
iPadの対応キーボードは、磁気コネクタであるSmart Connectorの有無と搭載箇所で決まっています。
Smart Connectorの無いiPad miniはBluetoothキーボードのみ対応です。
Smart Connectorが側面にあるiPad 第9・10世代は、9世代はSmart Keyboardに、第10世代はMagic Keyboard Folioに対応しています。
Smart Connectorが背面にあるiPad AirとiPad Proは、Magic KeyboardとSmart Keyboard Folioに対応しています。
ただ、着脱式のキーボードが全員が良いというわけでもなく、自由に動かせるBluetoothキーボードの方が良いという人も居るようですし、好みと用途次第だと思います。ただし、ノートPCのようなスタイルで持ち運びたいのであれば、Magic Keyboard(Folio)か、Smart Keyboard Folioがあった方が便利だとは思います。
まとめ
用途別おすすめモデル
最後に、用途別のおすすめモデルをざっくりとまとめておきます。
- iPad 第9世代(10.2インチ) – 主に自宅で利用する予算機
iPad 第9世代は、iPadの中で最も安い価格ながら処理性能は高性能なのが魅力です。Web閲覧がメインのサブ機なら十分すぎるものだと思います。また、解像度も同価格帯のタブレットよりは高い2160×1620となっており、安価ながら精細な映像を楽しめるのも魅力です。ただし、その他は上位モデルより劣る点が目立つ点は留意です。まず外装面ですが、ベゼル幅が大きい上に、厚みもiPadの中ではある方なので、見た目はちょっと野暮ったさがあります。ディスプレイも解像度は良いものの、iPadで唯一反射防止加工とフルラミネーション仕様が無い点は気になります。その他、未だにLightningコネクタという点も汎用性に欠けます。本体重量は軽くて持ち運びも十分できる仕様ですが、特に外見やコネクタ面がネックで、屋外や外出先での使用には他モデルよりは劣る点が目立ちます。そのため、主に自宅等で利用する場合におすすめです。安価なので上位機種より劣るのは仕方ないですし、安さと性能コスパは非常に良いです。同価格帯の他タブレットよりはベゼル幅以外は劣ることはほとんどないと思うので、コスパと予算を重視する場合には非常に強力なタブレットだと思います。
- iPad 第10世代(10.9インチ) – 出来るだけ安く高級な質感と高性能なタブレットが欲しいなら
iPad 第10世代は、価格の割に良い性能と高級感のある見た目が魅力です。第9世代では正直時代遅れ感もあった部分が排除されており、今風のデバイスへと進化しています。ただし、価格も少し高くなってしまったため、安さという点での優位性は薄れています。ちなみに、円安の影響だけでなく元値レベルで値上がりしています。安さとコスパという点では未だに第9世代の方がコスパが上だと思いますが、見た目とUSB-Cなどによる汎用性は魅力ですし、性能も少し上がっているので、安くてコスパが良い方が望ましいけど、旧世代で見た目も古臭いのは嫌だという人におすすめできる予算機です。
- iPad mini (8.3インチ) – 気軽に手で持ったまま使える高性能小型機
iPad miniは小型軽量で手で持ったまま使えるのが魅力です。第6世代からはApple A15搭載となり、小型ながら処理性能も非常に高いです。ベゼルも狭くなり、背面も変わって見た目に高級感も出ました。ディスプレイ性能もサイズ以外はAirとほぼ同等(仕様表を見る限りは全く同じ)で、非常に優れています。価格は安くないですが、処理性能やディスプレイ性能を考えるとコスパは優れている機種だと思います。ただし、スマホが大型化している現環境では、8インチクラスのタブレットの立ち位置はやや微妙な感じがします(個人の主観です)。小型ですが価格自体は安くないので、購入の際にはちゃんと有効活用するかを事前にしっかり考えておいた方が良いと思います。
- iPad Air (10.9インチ) – 一般用途で出来るだけ長く使いたい場合の高性能高コスパ機
iPad Airは、長期利用も見据えた一般用途ならiPadの中では最も実用性およびコスパに優れていると思います。最安値モデルで9万円台(2022年10月時点)と高価ではありますが、Apple M1搭載で処理性能は非常に高い点や高いディスプレイ性能を考えると、コスパは良い方だと思います。その性能に加え、重量も約461gという軽さでモバイル性も優れています。無印iPadよりも多くの面で一段上の性能を持っているのが魅力です。特別こだわりたい訳でもないけど、出来るだけ長期間メイン機として使っていきたいなら有力となる機種だと思います。ただし、Apple M1の優れた処理性能は正直一般用途ではオーバースペック感も否めないです。ライトユーザーが安さ重視で選択する場合には、無印第9世代の方が優先度は高いかもしれません。
- iPad Pro (11インチ) – 持ち運びもできる超高性能万能タブレット
iPad Proは各種性能が非常に優れているプロ向けのタブレットです。価格は12.5万円~(2022年10月時点)と高価ですし、一般用途で使うにはオーバースペックな点も多いので、名前に「Pro」とある通り、基本的にはプロクリエイター向けのモデルです。ですが、高性能なハイエンドタブレットながら軽量で、サイズも11インチと幅広い用途で使えるサイズ感です。活躍できる場所は非常に多く、プロ用途以外でも魅力的な機種だと思います。予算に余裕があって出来るだけタブレット選びで失敗したくないという人には、一般の方にもおすすめできる万能タブレットとなっています。
- iPad Pro (12.9インチ) – PCのような使い方も意識した超高性能タブレット
iPad Pro 12.9インチは各種性能が非常に優れているプロ向けの大型のタブレットです。タブレットにしては大画面なので作業がしやすいです。そのサイズを活かし、キーボードを併用すればノートPCに近い感覚で運用することも可能なのも魅力です。ただし、11インチモデルと同じく一般用途で使うにはオーバースペックな点も多く、価格も約17万円台~(2022年10月時点)と非常に高価なので、11インチモデル以上に予算に余裕がある人やプロクリエイター向けのモデルです。とはいえ、12.9インチというサイズながら、その重さは約682gと軽量で、一般的なノートPCと比べれば圧倒的に軽いのは魅力です。持ち運びを頻繁に行いつつ、ノートPCのような形で運用したい場合には魅力的な機種だと思います。
本記事の内容は以上になります。結構主観も含んだ内容になっていると思うので、参考程度に見て頂けると幸いです。何か気になった点があればコメント等でご指摘頂けると幸いです。