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「Radeon RX 9060 XT 16GB / 8GB」のざっくり性能比較・評価です。
特に注目なのは16GBモデルで、349ドル(国内では61,980円~)という安価で16GB VRAMを搭載しつつ、コスパも悪くないモデルとして期待されています。
実際の性能や価値について、海外レビューを参考に性能をざっくりと確認していきます。
本記事の情報は記事執筆時点(2025年6月9日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
仕様
まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。
※価格は2025年6月9日時点での米での希望小売価格です。一部は確定情報じゃないものもあり、異なる可能性もあるので注意。
※GPU名のリンクはAmazonのものです。
GPU | シェーダー ユニット数 | メモリタイプ | VRAM速度 VRAM帯域幅 | レイトレ用 ユニット数 | ダイサイズ (おおよそ) | 消費電力 (TGP等) | 希望小売 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
RTX 5090 | 21760 | GDDR7 32GB 512bit | 28.0Gbps 1792GB/s | 170 | 750㎟ | 575W | 1,999ドル |
RTX 4090 | 16384 | GDDR6X 24GB 384bit | 21.0Gbps 1008GB/s | 128 | 608㎟ | 450W | 1,599ドル |
RTX 5080 | 10752 | GDDR7 16GB 256bit | 30.0Gbps 960GB/s | 84 | 378㎟ | 360W | 999ドル |
RTX 4080 SUPER | 10240 | GDDR6X 16GB 256bit | 23.0Gbps 736.3GB/s | 80 | 380㎟ | 320W | 999ドル |
RTX 4080 | 9728 | GDDR6X 16GB 256bit | 22.4Gbps 716.8GB/s | 76 | 380㎟ | 320W | 1,199ドル →市場廃止 |
RTX 5070 Ti | 8960 | GDDR7 16GB 256bit | 28.0Gbps 896GB/s | 70 | 378㎟ | 300W | 749ドル |
RX 7900 XTX | 6144 | GDDR6 24GB 384bit | 20Gbps 960GB/s | 96 | 36.6㎟*6 + 300㎟ | 355W | 999ドル |
RX 7900 XT | 5376 | GDDR6 20GB 320bit | 20Gbps 800GB/s | 84 | 36.6㎟*6 + 300㎟ | 315W | 799ドル →749ドル? |
RX 9070 XT | 4096 | GDDR6 16GB 256bit | 20Gbps 640GB/s | 64 | 356.5㎟ | 304W | 599ドル |
RTX 4070 Ti SUPER | 8448 | GDDR6X 16GB 256bit | 21.0Gbps 672GB/s | 66 | 295㎟ | 285W | 799ドル |
RX 9070 | 3584 | GDDR6 16GB 256bit | 20Gbps 640GB/s | 56 | 356.5㎟ | 220W | 549ドル |
RTX 4070 Ti | 7680 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 60 | 295㎟ | 285W | 799ドル →市場廃止 |
RTX 3090 Ti | 10752 | GDDR6X 24GB 384bit | 21.0Gbps 1008GB/s | 84 | 628.4㎟ | 450W | 1,499ドル |
RX 7900 GRE | 5120 | GDDR6 16GB 256bit | 18Gbps 576GB/s | 80 | 36.6㎟*6 + 300㎟ | 260W | 549ドル |
RTX 5070 | 6144 | GDDR7 12GB 192bit | 28Gbps 672GB/s | 48 | 263㎟ | 250W | 549ドル |
RTX 4070 SUPER | 7168 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 56 | 295㎟ | 220W | 599ドル |
RTX 4070 | 5888 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 46 | 295㎟ | 200W | 549ドル 前:599ドル |
RX 7800 XT | 3840 | GDDR6 16GB 256bit | 19.5Gbps 624GB/s | 60 | 37.5㎟*4 + 200㎟ | 263W | 499ドル |
RTX 5060 Ti 16GB | 4608 | GDDR7 16GB 128bit | 28Gbps 448GB/s | 36 | 181㎟ | 180W | 429ドル |
RTX 5060 Ti 8GB | 4608 | GDDR7 8GB 128bit | 28Gbps 448GB/s | 36 | 181㎟ | 180W | 379ドル |
RX 7700 XT | 3456 | GDDR6 12GB 192bit | 18Gbps 432GB/s | 54 | 37.5㎟*4 + 200㎟ | 245W | 419ドル 前:449ドル |
RX 9060 XT 16GB | 2048 | GDDR6 16GB 128bit | 20Gbps 322GB/s | 32 | 199㎟ | 160W | 349ドル |
RX 9060 XT 8GB | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 20Gbps 322GB/s | 32 | 199㎟ | 150W | 299ドル |
RTX 4060 Ti 8GB | 4352 | GDDR6 8GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 34 | 190㎟ | 160W | 399ドル |
Arc A770 16GB | 4096 | GDDR6 16GB 256bit | 17.5Gbps 560GB/s | 32 | 406㎟ | 225W | 349ドル |
Arc B580 | 2560 | GDDR6 12GB 192bit | 19Gbps 456GB/s | 20 | 272㎟ | 190W | 249ドル |
RX 7600 XT | 2048 | GDDR6 16GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 32 | 204㎟ | 190W | 329ドル |
RTX 4060 | 3072 | GDDR6 8GB 128bit | 17Gbps 272GB/s | 24 | 156㎟ | 115W | 299ドル |
Arc B570 | 2304 | GDDR6 10GB 160bit | 19Gbps 380GB/s | 18 | 272㎟ | 150W | 219ドル |
RX 7600 | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 32 | 204㎟ | 165W | 269ドル |
Arc A750 | 3584 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 28 | 406㎟ | 225W | 289ドル |
RX 6600 | 1792 | GDDR6 8GB 128bit | 14Gbps 224GB/s | 28 | 237㎟ | 132W | 239ドル |
RTX 3060 12GB | 3584 | GDDR6 12GB 192bit | 15Gbps 360GB/s | 28 | 276㎟ | 170W | 329ドル |
RTX 3050 | 2560 | GDDR6 8GB 128bit | 15Gbps 224GB/s | 20 | 276㎟ | 130W | 249ドル |
「RX 9000シリーズ」と前世代「RX 7000シリーズ」の簡易比較表です。
しかし、「RX 9000」では1CUあたりの性能が大幅に向上しているので、GPUのコア数関連の数字はあまり参考にならないかもしれません。
GPU | 希望 小売価格 | GPU | VRAM | TBP | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
CU | AI Accelerator | Ray Accelerator | クロック 最大(GHz) | 容量/タイプ | バス幅 | 帯域幅 (GB/s) | |||
RX 7900 XTX | 999ドル | 96 | 192 | 96 | 2.50 | 24GB GDDR6 | 384bit | 960 | 355W |
RX 7900 XT | 799ドル →749ドル? | 84 | 168 | 84 | 2.40 | 20GB GDDR6 | 320bit | 800 | 315W |
RX 9070 XT | 599ドル | 64 | 128 | 64 | 2.97 | 16GB GDDR6 | 256bit | 640 | 304W |
RX 9070 | 549ドル | 56 | 112 | 56 | 2.52 | 16GB GDDR6 | 256bit | 640 | 220W |
RX 7900 GRE | 549ドル | 80 | 160 | 80 | 2.245 | 16GB GDDR6 | 256bit | 576 | 260W |
RX 7800 XT | 499ドル | 60 | 120 | 60 | 2.43 | 16GB GDDR6 | 256bit | 624 | 263W |
RX 7700 XT | 419ドル | 54 | 108 | 54 | 2.544 | 12GB GDDR6 | 192bit | 432 | 245W |
RX 9060 XT 16GB | 349ドル | 32 | 64 | 32 | 3.13 | 16GB GDDR6 | 128bit | 322 | 160W |
RX 7600 XT | 329ドル | 32 | 64 | 32 | 2.755 | 16GB GDDR6 | 128bit | 288 | 190W |
RX 9060 XT 8GB | 299ドル | 32 | 64 | 32 | 3.13 | 8GB GDDR6 | 128bit | 322 | 150W |
RX 7600 | 269ドル | 32 | 64 | 32 | 2.655 | 8GB GDDR6 | 128bit | 288 | 165W |
今回見ていくのはAMD「Radeon RX 9060 XT 16GB / 8GB」です。
「RDNA 4」世代の「Radeon RX 9000 シリーズ」のミドルレンジのモデルです。16GBと8GBの2つが用意されています。
特に16GBモデルは「比較的安価に16GB VRAMを備えつつコスパも悪くないモデル」になるのではないかと期待されていたのではないかと思います。
「RTX 5060 Ti」と同様に発売前のサンプル提供&レビューは16GBモデルに限定されていましたが、少し待った事で8GBモデルのレビューも同時に扱える形にしましたので、両方同時に見ていこうと思います。
価格と市場でのポジシヨン
「RX 9060 XT」の米国におけるメーカー希望小売価格は、16GBモデルが349ドル、8GBモデルが299ドルです。筆者が確認した発売時点での国内最安値は16GBモデルが61980円、8GBモデルが52,980円でした。
発売前の噂では16GBモデルが6.5万円とされていたので、予想よりも少し安かったです。また、抽選ではなく一般販売が普通でしたが、発売から20~30分経った後でも最安値モデルの在庫を割と見掛けました。
16GBモデルの需要は高いはずだと思いますが、「RX 9070 / 9070 XT」のときと違って深刻な在庫不足という印象はありません。従来通り少し待てば適正価格で普通に買えるようになるのではないかと思います。
5~6万円程度のモデルということで、価格はミドルレンジとして適正かなと思いますし、後に見ていく性能もミドルレンジとして低くもなく高くもなく妥当な感じです。
16GBモデルは大容量VRAMを備えつつも妥当なコスパを備えているので、ミドルレンジの選択肢としては非常に魅力的だと思います。
対抗製品は「RTX 5060 Ti」になると思いますが、そちらと比べると価格が大きく安いのが魅力です。記事執筆時点では「RTX 5060 Ti 16GB」は79,800円~程度ですが、「RX 9060 XT 16GB」は61,980円~ですから、約1.8万円も安いです。
希望小売価格と需要を考えると差はもう少し縮まっていくとは思うものの、多少縮まったと仮定しても1万円以上安いのは大きいです。
これまでも「RX 7600 XT」や「RTX 4060 Ti 16GB」といった16GB VRAMのミドルレンジGPUは出たことはあるものの、基本性能コスパが悪いことが通例であったため微妙でしたが、その弱点を払拭したモデルとして非常に期待が掛かります。
設計面について(製造プロセス等)
「RX 9060 XT」はNavi 44が使用されています。製造プロセスは4nm(TSMC N4P?)で単一のモノシリック設計です。
「RX 9070 / 9070 XT」に使用されているNavi 48と比較すると、ちょうど半分くらいのユニット類の仕様を備えています。
Navi 44 のダイサイズは約199㎟で、トランジスタ数は約297億です。Navi 48 の約365.5㎟と比べると、ユニット数の割にはやや大きめです。
先代の「RX 7600 XT」がサイズがほぼ同じ約204㎟でトランジスタ数が133億だったことを考えると、トランジスタ密度は2倍以上となっており、格段に向上していることがわかります。前世代よりもダイの利用効率が劇的に高まっています。
既に「RX 9070 / 9070 XT」でCUあたりの大幅な性能向上が判明していますが、素材の仕様だけ見てもその向上の理由を知ることができます。
各種コア数
「RX 9060 XT」主要なコア類に関しては、CU(コンピュートユニット)は32でSM(ストリームプロセッサ)は2048、レイアクセラレータは32、AIアクセラレータが64、TMUは128、ROPは64 などとなっています。
リファレンス仕様では、ゲームクロックが2530MHz、ブーストクロックが3130MHzとなっています。8GBモデルと16GBモデルと共通です。
GPUのクロックで3GHz超えは非常に高いです。前世代では2.5GHz前後くらいが主流でした。しかし、後に見る電力面も悪化した様子もないので、プロセスやアーキテクチャによる効率が非常に良いことが垣間見えます。
しかし、これだけのクロックの高さは効率面で多少は悪影響があると想定されます。そのため、実際「RX 9070 XT」で確認されたように、電力面での制限が加わると効率が格段に良くなる可能性もあると思います。
とはいえ、「RX 9060 XT」は「RX 9070 XT」と違って基本性能に余裕があるGPUではないので、軽いゲームでの効率改善のためにある程度フレームレート制限をしておくと良い、程度のことはあるかもしれませんが、決め手を左右する要素にはならないと思います。
VRAM(ビデオメモリ)
「RX 9060 XT」の一番のポイントはVRAMです。「RX 9060 XT」のVRAMは16GBと8GBの2モデル展開で、128bit GDDR6が採用されています。
注目なのはやはり16GBモデルです。最近はVRAMをたくさん使う用途が増えているので、VRAM容量は非常に重要な項目です。
その今、実売6.2万円で16GB VRAMのミドルレンジGPUというのは非常に需要があると思います。
細かい性能は後ほど見ていきますが、基本性能は「RTX 4060 Ti」を少し上回るレベルとなっているため、先代の「RX 7600 XT」と比べると飛躍的に向上しています。
ちゃんとしたミドルレンジの性能を備えた16GB VRAM GPUが6万円台前半というのはみんなが待ち望んだものだと思います。
しかし、懸念点としてバス幅が128bitしか無い点があります。転送レートも20Gbpsで高速でもないので、最終的な最大帯域幅も約322GB/sしかないです。
「RTX 5060 / 5060 Ti」も128bit を採用していますが、28Gbpsと高速なため、帯域幅は448GB/sと狭くないです。その辺りでどう差が出るかが気になるところです。
消費電力
「RX 9060 XT」のTBPは、16GBモデルが160W、8GBモデルが150Wです。先代の「RX 7600 XT / 7600」が 190W / 165W なので少し減少しています。
CUあたりの性能の大幅向上もほぼ確約されていますから、カタログスペックだけで見てもワットパフォーマンスは劇的に改善しています。
RDNA 4(レイトレーシング、AIアクセラレータ)
ここからはアーキテクチャ等の設計やソフトウェア面です。シリーズ共通の内容なので、ご存じの方は飛ばして貰って大丈夫です。
RDNA 4(RX 9000)シリーズで注目したいのは、レイトレーシングとAIの基本性能が前世代から飛躍的に向上した点です。この2つは、RadeonのGeForceに対しての弱点として数えられてきた部分ですが、そこが大きく改善しています。
まずレイトレーシング性能ですが、RDNA 4でレイアクセラレータが第3世代に更新され、CUあたりのレイトレーシングパフォーマンスは約1.4倍(表から目視での大体の差)程度になったと主張する表が提示されました。
RDNA 3(RX 7000)ではレイトレーシング性能がRTX 40シリーズに劣るのが弱点の一つだったので、これが本当なら競争率を一気に引き戻す大きな要因となり得ます。
更に、RDNA4ではAI性能も進化し、FP16(16ビット浮動小数点数)での性能が2倍になります。それだけでなく、従来は非対応だったFP8にも対応します。
FP8はFP16より精度は落ちてしまいますが、理論上はFP16の2倍の性能となり、VRAM使用量も半減することが大きなメリットです。FP8が主流として利用できる環境が整えば、AI利用のハードルを格段に下げることができることになると思います。
RTX 40/50シリーズでは既に対応していた点ですが、主流となる前にRadeonも対応できたのはAMDとしては良かった点です。
また、INT8 / INT4での性能もRDNA 3比で4倍になるようで、AIの理論性能が飛躍的に向上しています。
RTX 50もAI性能の飛躍的な向上を主張しており、「AIはまだGeForce有利自体が続くんだろうな」となんとなく思っていましたが、考え直す必要がありそうな内容となっています。
とはいえ、現状のRadeonではROCmがWindowsではネイティブで使えないという不利がある点は留意すべき点です。
FSR 4、ニューラルレンダリング
主にアップスケーリングやフレーム生成に関する点です。シリーズ共通の内容なので、ご存じの方は飛ばして貰って大丈夫です。
FSRはAMDの提供するアップスケーリングで、RDNA 4の発表と同時に「FSR 4」が発表されました。
従来のFSRは同社のGPUに限らず、幅広いGPUをサポートしていましたが、「FSR 4」は「RDNA 4(RX 9000シリーズ)専用の機能」としてデビューしたことがポイントです。
「FSR 4」の大きな変更点は、従来から変わって、AIベースのアップスケーリングとなったことです。NVIDIAのDLSSに近付きました。
これによってGPU側にAIアクセラレータが必須となるため、必然的に古いGPUの多くがサポートを失うことになり、性能や最適化面の関係で、当初はRDNA 4のみの対応となるようです。
一応、AMDはRDNA 3でも対応できるようにしたい姿勢を示してはいたものの、明言はしませんでした。
また、対抗のRTX 50シリーズで対応する「DLSS 4」では、従来の1つのフレームにつき1つの追加フレームではなく、2~3の追加フレーム生成にも対応できる「マルチフレーム生成」が目玉機能としてありましたが、FSR 4ではマルチフレーム生成の話は出ていません。
しかし、ハイエンド帯のGPUではそもそも「アップスケーリング + 従来のフレーム生成(x2)」でも事足りるケースがほとんどであり、マルチフレーム生成は遅延や安定性の懸念もあるため、現状はそこまで重視しないユーザーがほとんどなようです。
また、RTX 50シリーズでは、グラフィックスAPI内で直接AIアクセラレータにアクセスし、AIで元のレンダリングすらも高速化するニューラルレンダリングが、革新をもたらすレンダリングとして大々的にアピールされていましたが、
Microsoftがニューラルシェーダーを標準化したので、AMD(FSR 4)もニューラルレンダリングを使う基盤が実はできています。現時点では詳細は明らかになっていないと思いますが、今後の対応を期待したいところです。
といった感じで、カタログスペックについてはここまでとして、下記から実際の各性能について見ていきたいと思います。
ゲーミング性能(ラスタライズ)
ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。
まずは、レイトレーシングやアップスケリーング等は無効の状態での性能、いわゆるラスタライズ性能(ラスター性能)を見ていきます。今回は24種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。
使用されたグラフィックボードは「ASUS Radeon RX 9060 XT Prime OC 16GB」「PowerColor Radeon RX 9060 XT Reaper 8GB」です。CPUは「Ryzen 7 9800X3D」で、OSはWindows 11が使用されています。
その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします(ただし、各項目で別の環境となっていることがあります。その際には記載しています)。
また、一部テストでは他の構成が使用されている場合もありますのでご注意ください(その場合にはその旨を記載しています)。
フルHD(1920×1080)
フルHD(1920×1080)です。最低限の解像度という印象ですが、2025年現在ではまだ主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、競技性の高いゲームでは出来るだけ高いフレームレートを維持するためにこの設定にすることは珍しくないと思います。ただし、新しい世代のハイエンドGPUでは低負荷感も強くなっているので、より高い解像度への移行も近そうな印象です。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 5090 | |
RTX 4090 | |
RTX 5080 | |
RTX 4080 SUPER | |
RTX 4080 | |
RX 7900 XTX | |
RTX 5070 Ti | |
RX 9070 XT | |
RTX 4070 Ti SUPER | |
RX 7900 XT | |
RX 9070 | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 5070 | |
RTX 4070 SUPER | |
RX 7900 GRE | |
RTX 4070 | |
RTX 3080 10GB | |
RX 7800 XT | |
RX 6800 XT | |
RTX 5060 Ti 8GB | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RX 7700 XT | |
RTX 3070 | |
RX 9060 XT 16GB | |
RTX 4060 Ti 16GB | |
RTX 5060 | |
RTX 4060 Ti 8GB | |
RX 9060 XT 8GB | |
RTX 3060 Ti | |
Arc B580 | |
RTX 4060 | |
RX 7600 XT | |
RX 7600 | |
Arc A770 16GB | |
RTX 3060 12GB |
フルHDラスタライズは「RTX 5060 Ti」に少し劣る性能。VRAM帯域が足を引っ張っている?
フルHDのラスタライズ性能は、16GBモデルが「RTX 5060 Ti 16GB」に約9%劣る性能となっています。主要ベンチマークソフトでは近い性能となっていることが多いのですが、実性能だと少し違いが見受けられます。
「RTX 5060」と比べても約2.9%しか高速ではなくて、価格を考えると微妙です。
これは重量級ゲームが中心でウルトラ設定が基本となっていることが影響しているかもしれません。「RX 9060 XT」はVRAM帯域が322GB/sしかなく、「RTX 5060 Ti」の方が約1.4倍も高い448GB/sなので、差が出るとしたらそこが一番あり得そうです。
「RTX 5060 Ti 16GB」との比較は価格を考えれば不利という訳ではないものの、重量級ゲームでのフルHDや高設定を前提としている場合には、判断材料の一つにはなるかもしれません。
ちなみに、先代の「RX 7600 XT」と比べると約30.3%もの向上となっており、飛躍的な向上となっています。
次に8GBですが、こちらは16GBモデルよりも約6%低いパフォーマンスとなっています。
16GBモデルだけOCモデルなので、多少性能差が出ることは自然ではあります。ただ、他レビューを参照して近いクロックのモデル同士で比較しても、若干8GBモデルの方が低いことが多く見えました。
VRAMの使用量はどんどん増えている状況も鑑みると、8GBは現状のフルHDコスパが良くてもやはり少し選びにくいのかなと思います。
1440p(2560×1440)
WQHD(2560×1440)です。1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、GPUが高性能なために1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度はフルHDだと思いますが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、少なくともデスクトップでは徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 5090 | |
RTX 4090 | |
RTX 5080 | |
RTX 4080 SUPER | |
RTX 4080 | |
RX 7900 XTX | |
RTX 5070 Ti | |
RX 9070 XT | |
RTX 4070 Ti SUPER | |
RX 7900 XT | |
RX 9070 | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 5070 | |
RTX 4070 SUPER | |
RX 7900 GRE | |
RTX 3080 10GB | |
RX 7800 XT | |
RTX 4070 | |
RX 6800 XT | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RX 7700 XT | |
RTX 5060 Ti 8GB | |
RTX 3070 | |
RX 9060 XT 16GB | |
RTX 4060 Ti 16GB | |
RTX 4060 Ti 8GB | |
RX 9060 XT 8GB | |
RTX 5060 | |
RTX 3060 Ti | |
Arc B580 | |
RX 7600 XT | |
RTX 4060 | |
Arc A770 16GB | |
RX 7600 | |
RTX 3060 12GB |
1440pでは16GBモデルが8GB組にわずかな優位性
1440pラスタライズでは、16GBモデルはフルHDのときよりも8GB組に対してわずかな優位性があります。
「RTX 5060 Ti 8GB」と比較すると、フルHDのときは約10.1%負けていた差が7.7%になっています。約2.4%縮まりました。「RTX 5060」との比較では、フルHDのときは2.9%しか無かった優位性が6.7%広がり、約3.8%差が広がりました。
平均での差は思ったよりも大きくはならないものの、1440pへの対応力は8GB組よりも上回っていることがわかります。
重量級ゲームの1440pでは8GBでは大きめの性能低下を受けるケースも増えるということなので、やはり16GBあると安心です。1440pに比較的に安価に重量級ゲームにも対応できる選択肢としては、「RX 9060 XT 16GB」は魅力的だと思います。
「RTX 5060 Ti 16GB」と比較すると約10%負けていますが、価格差が現状で20%以上あるので、コスパでは上回っています。
次に8GBモデルですが、こちらは正直やや微妙寄りです。「RTX 5060」よりもわずかに良い程度になってしまっています。
価格を考えればコスパは同等ですが、現状はやはりGeForceの方がCUDAやTensorRTなどのおかげで汎用性が高いので、同等の性能・コスパなら「RTX 5060」の方がまだ有利かなと思います。
もっというなら、1440pではそもそも8GB VRAMの懸念があるので、VRAM 12GB以上のGPUから選ぶ方が無難です。
4K(3840×2160)
「超高解像度の代名詞」という感じの解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、負荷が非常に大きいです。画素数はフルHDの約4倍です。その負荷の大きさから高いフレームレートを出す事が難しいため、TPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはほとんどないです。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。また、高リフレッシュレートの4Kモニターが高価という問題もあるため、一般層への普及にはややハードルが高いです。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 5090 | |
RTX 4090 | |
RTX 5080 | |
RTX 4080 SUPER | |
RTX 4080 | |
RX 7900 XTX | |
RTX 5070 Ti | |
RX 9070 XT | |
RTX 4070 Ti SUPER | |
RX 7900 XT | |
RX 9070 | |
RTX 5070 | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 4070 SUPER | |
RX 7900 GRE | |
RTX 3080 10GB | |
RX 7800 XT | |
RX 6800 XT | |
RTX 4070 | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RX 7700 XT | |
RTX 3070 | |
RX 9060 XT 16GB | |
RTX 5060 Ti 8GB | |
RTX 4060 Ti 16GB | |
RX 9060 XT 8GB | |
Arc B580 | |
RTX 4060 Ti 8GB | |
RTX 3060 Ti | |
RTX 5060 | |
Arc A770 16GB | |
RX 7600 XT | |
RTX 4060 | |
RTX 3060 12GB | |
RX 7600 |
4Kでは16GBが8GB組に大きな優位性
4Kでは16GBモデルが強力です。8GB組に対して大きく優位性を広げています。1440pでは「RTX 5060 Ti 8GB」に対して約7.7%負けていましたが、4Kではほぼ同等になりました。
それでも同等か…と思いそうですが、これは平均値なのがポイントです。4Kで8GBというのは、重量級ゲームではVRAMの不足が顕著になり、極端なfps低下も散見されるようになります。そのことを考えると、安定性や使用感では「RX 9060 XT 16GB」の方が少し上になる点で優位性があります。
基本性能を考えると重量級ゲームでの使用ではまだ厳しめの印象はありますが、プレイ自体は普通にできる水準だと思います。
また、「RTX 5060 8GB」との比較でも優位性は約17%にまで広がっており、1440pのときの6.7%から10%も差を広げています。
ただし、正直もう少し差が広がると思っていました。「RTX 3070」などが未だにそこそこに位置に居ることを考えると、VRAM帯域の影響は思ったより大きめに出ているのかなと思いました。
次に8GBモデルですが、使えないことはないですが、やはり微妙な立ち位置です。「RTX 5060」や「Arc B580」よりもわずかに有利という程度となっています。
価格(約5.3万円)を考えればコスパこそ悪くはないものの、やはり4Kで8GBだと安定性への懸念があります。また、VRAM帯域の低さの懸念もあります。8GBモデルは4Kでは基本非推奨なのは否めないと思います。
電力関連
消費電力
ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。
測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」、「S.T.A.L.K.E.R. 2」、「Marvel’s Spider-Man 2」の3種類で「3840×2160(4K)」のウルトラ設定でレイトレーシングは無効です。ただし、VRAMサイズによる影響が大きくなりすぎないように、テクスチャ設定は「低」に設定されています。
GPU名称 | 消費電力 |
---|---|
RTX 4060 | |
RTX 5060 | |
RTX 4060 Ti 8GB | |
RTX 4060 Ti 16GB | |
RX 9060 XT 8GB | |
RX 7600 | |
RTX 5060 Ti 8GB | |
Arc B580 | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RTX 3060 12GB | |
RX 9060 XT 16GB | |
RX 7600 XT | |
RTX 4070 | |
RTX 3060 Ti | |
RTX 4070 SUPER | |
RX 6700 XT | |
RTX 3070 | |
RX 7700 XT | |
Arc A770 16GB | |
RTX 5070 | |
RX 9070 | |
RX 7800 XT | |
RTX 4070 Ti | |
RX 7900 GRE | |
RTX 5070 Ti | |
RTX 4070 Ti SUPER | |
RTX 4080 SUPER | |
RTX 4080 | |
RX 6800 XT | |
RTX 5080 | |
RX 7900 XT | |
RX 9070 XT | |
RTX 3080 10GB | |
RX 7900 XTX | |
RTX 4090 | |
RTX 5090 |
180W未満で省電力
ゲーム時の平均消費電力は、8GBモデルで155W、16GBモデルで177W程度です。比較的省電力です。デュアルファンモデルも十分出せる電力なので、小型PCでの採用でも重宝しそうです。
TBPよりも高めの数値が出ている点は少し気になりますが、非常に高いクロックが大きめに悪影響を与えている可能性もあるので、ほんの少し最大クロックを制限するというのも悪くないと思います。
一応「RTX 5060 Ti」よりもわずかに多い値ですが、特に優劣を付けれるほどの差でもないかなと思います。
ワットパフォーマンス
ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています
消費電力は上記に示した時のもので、上の別項目で示した24ゲーム平均fpsを使用したものです。消費電力は別計測のもので算出しており、実際に各ゲームでの動作時の効率を求めたものではなく、正確な値ではなく参考値となっているため注意してください。
GPU名称 | 1フレームあたりの消費電力 |
---|---|
RTX 5060 | |
RX 9070 | |
RTX 5060 Ti 8GB | |
RTX 4060 Ti 8GB | |
RTX 4070 SUPER | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RTX 5080 | |
RTX 5070 | |
RTX 4070 | |
RTX 4080 SUPER | |
RTX 5070 Ti | |
RTX 4080 | |
RTX 4060 Ti 16GB | |
RTX 4060 | |
RTX 4070 Ti | |
RX 9060 XT 8GB | |
RTX 4070 Ti SUPER | |
RTX 4090 | |
RX 9060 XT 16GB | |
RX 9070 XT | |
RX 7900 GRE | |
RX 7900 XT | |
RX 7900 XTX | |
RX 7800 XT | |
RX 7700 XT | |
Arc B580 | |
RTX 5090 | |
RX 7600 | |
RTX 3070 | |
RTX 3060 Ti | |
RX 6800 XT | |
RX 7600 XT | |
RTX 3060 12GB | |
RTX 3080 10GB | |
Arc A770 16GB |
GPU名称 | 1フレームあたりの消費電力 |
---|---|
RX 9070 | |
RTX 5080 | |
RTX 4070 SUPER | |
RTX 4080 SUPER | |
RTX 5060 | |
RTX 5070 Ti | |
RTX 4080 | |
RTX 4060 Ti 8GB | |
RTX 5070 | |
RTX 5060 Ti 8GB | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RTX 4070 | |
RTX 4060 Ti 16GB | |
RTX 4090 | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 4060 | |
RX 9060 XT 8GB | |
RTX 4070 Ti SUPER | |
RX 9070 XT | |
RTX 5090 | |
RX 9060 XT 16GB | |
RX 7900 XTX | |
RX 7900 XT | |
RX 7900 GRE | |
RX 7800 XT | |
Arc B580 | |
RX 7700 XT | |
RTX 3070 | |
RX 7600 | |
RTX 3060 Ti | |
RX 6800 XT | |
RTX 3080 10GB | |
RX 7600 XT | |
RTX 3060 12GB | |
Arc A770 16GB |
GPU名称 | 1フレームあたりの消費電力 |
---|---|
RTX 5080 | |
RX 9070 | |
RTX 5070 Ti | |
RTX 4080 SUPER | |
RTX 4080 | |
RTX 4070 SUPER | |
RTX 5070 | |
RTX 4090 | |
RTX 5090 | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RTX 4070 | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 5060 | |
RTX 4060 Ti 8GB | |
RTX 4070 Ti SUPER | |
RTX 5060 Ti 8GB | |
RTX 4060 Ti 16GB | |
RX 9070 XT | |
RX 9060 XT 8GB | |
RX 7900 XTX | |
RTX 4060 | |
RX 9060 XT 16GB | |
RX 7900 XT | |
RX 7900 GRE | |
Arc B580 | |
RX 7800 XT | |
RX 7700 XT | |
RTX 3070 | |
RX 6800 XT | |
RTX 3060 Ti | |
RTX 3080 10GB | |
RX 7600 XT | |
RTX 3060 12GB | |
RX 7600 | |
Arc A770 16GB |
電力効率は「RTX 50シリーズ」に少し劣るけど、先代からは改善して悪くない数値
「RX 9060 XT」の電力効率は、RTX 50 シリーズには少し負けています。プロセス面では劣ってはいないはずなので、少し古いGDDR6と帯域幅の狭さが少し影響しているかもしれません。
とはいえ、その数値自体は悪くないです。RTX 50シリーズも電力効率の向上はわずかでしたから、相対的には差を縮めています。
先代の「RX 7600 XT」は電力効率の悪さもネックでRTX 40シリーズと比較するのが難しかったですが、そこが改善されたのは良かったと思います。ちゃんと「RTX 5060 Ti 」と比較できる域に達しています。
レイトレーシング性能
レイトレーシング性能
リアルタイムレイトレーシングを有効にした際の相対性能を見ていきます。レイトレーシングはメインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性があります。DLSSやFSRといったアップスケーリングは無効の状態の性能を見ていきます。
また、レイトレーシングはVRAMを大量に使う処理な上、VRAMが不足するとパフォーマンスが一気に低下するので、特に1440p以降はVRAM 8GB以下のようなGPUは大きく不利になっています。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 5090 | |
RTX 4090 | |
RTX 5080 | |
RTX 4080 SUPER | |
RTX 4080 | |
RTX 5070 Ti | |
RX 9070 XT | |
RTX 4070 Ti SUPER | |
RX 7900 XTX | |
RX 9070 | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 3090 Ti | |
RTX 5070 | |
RTX 4070 SUPER | |
RX 7900 XT | |
RTX 4070 | |
RTX 3080 10GB | |
RX 7900 GRE | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RX 7800 XT | |
RX 9060 XT 16GB | |
RTX 4060 Ti 16GB | |
RX 9060 XT 8GB | |
RTX 3070 | |
RX 7700 XT | |
RTX 5060 Ti 8GB | |
RTX 4060 Ti 8GB | |
RTX 5060 | |
RTX 3060 Ti | |
Arc B580 | |
RTX 4060 | |
Arc A770 16GB | |
RTX 3060 12GB | |
RX 7600 XT | |
RX 7600 |
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 5090 | |
RTX 4090 | |
RTX 5080 | |
RTX 4080 SUPER | |
RTX 4080 | |
RTX 5070 Ti | |
RX 9070 XT | |
RTX 4070 Ti SUPER | |
RTX 3090 Ti | |
RTX 4070 Ti | |
RX 9070 | |
RX 7900 XTX | |
RTX 5070 | |
RTX 4070 SUPER | |
RX 7900 XT | |
RTX 3080 10GB | |
RTX 4070 | |
RX 7900 GRE | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RX 7800 XT | |
RX 9060 XT 16GB | |
RTX 4060 Ti 16GB | |
RX 7700 XT | |
RTX 3070 | |
RX 9060 XT 8GB | |
Arc B580 | |
RTX 5060 Ti 8GB | |
Arc A770 16GB | |
RTX 4060 Ti 8GB | |
RTX 3060 12GB | |
RTX 3060 Ti | |
RTX 5060 | |
RX 7600 XT | |
RTX 4060 | |
RX 7600 |
16GBモデルは「RTX 5060 Ti 16GB」や「RX 7800 XT」に近いレイトレーシング性能
レイトレーシング性能は、16GBモデルは「RTX 5060 Ti 16GB」や「RX 7800 XT」にわずかに劣るくらいの性能となっています。価格を考えれば凄い性能です。
VRAM使用量が大きく増えるレイトレーシングでは、8GB組との差も顕著となっており、明確な優位性を感じることができます。
fps自体が下がることでVRAM帯域の狭さへの懸念が少し払拭されている印象もありますし、ミドルレンジでのレイトレーシング向けのGPUとしては非常に強力だと思います。
続いて8GBモデルですが、レイトレーシングではやはり16GBに劣ります。ただし、なぜか他の8GB組よりもfps低下が少なめな印象でした。
「Alan Wake 2」や「モンハンワイルズ」など、8GBではfpsが劇的に低下することが多いタイトルでもある程度のfpsを維持することなどが散見され、RDNA 4ではVRAMの使い方が少し上手くなっている可能性があるかもしれません。
ただし、12GB以上のGPUと比べるとやはり不利だなという印象なので、レイトレーシングを前提とするならやはり8GBは選択肢から外れてはしまうと思います。
コストパフォーマンス
上述のfpsを基にGPUの1フレームあたりの価格を算出し、コストパフォーマンスを比較しています。数値が低い方が良い点に注意です。ラスタライズとレイトレーシング時の両方を見ていきます。
元のゲーミング性能の解像度は1440pを用いています。4Kなどではやや結果が異なる可能性がある点に注意です。
1フレームあたりの価格(ラスタライズ)
まずはラスタライズ性能のコスパです。上述の1440pゲーム時の性能と現在の市場価格を基に、1フレームあたりの価格を算出し、コスパとして比較しています。
GPU名称 | 1フレームあたりの価格 | 参考価格 |
---|---|---|
Arc B580 | ¥43,800 | |
RX 7700 XT | ¥58,980 | |
RX 7600 | ¥37,980 | |
RTX 4060 | ¥41,980 | |
RX 9060 XT 8GB | ¥52,980 | |
RTX 5060 | ¥53,980 | |
RX 7800 XT | ¥73,980 | |
RTX 5060 Ti 8GB | ¥65,800 | |
RTX 4060 Ti 8GB | ¥58,800 | |
Arc A770 16GB | ¥45,000 | |
RX 9060 XT 16GB | ¥61,980 | |
RX 7900 XT | ¥104,800 | |
RTX 5070 | ¥98,800 | |
RX 7900 XTX | ¥126,800 | |
RTX 4070 SUPER | ¥99,980 | |
RX 9070 | ¥114,800 | |
RX 9070 XT | ¥127,800 | |
RTX 5060 Ti 16GB | ¥79,800 | |
RTX 5070 Ti | ¥144,800 | |
RTX 5080 | ¥185,000 | |
RTX 4090 | ¥323,800 | |
RTX 5090 | ¥428,000 |
ラスタライズコスパは16GBモデルでも悪くない
「RX 9060 XT」の1440pラスタライズコスパは、8GBモデルはトップクラスの良さで、16GBモデルも比較的良い部類です。
16GBモデルから見てみると、全体の真ん中あたりに位置しています。特別良い位置でもないですが、実は16GB以上のVRAMを持つGPUとしてはトップクラスのコスパの良さです。
6万円台前半で1440pでも実用的で安定した性能を備える上にコスパも悪くないということで、非常に魅力的だと思います。
8GBモデルについては、全体で見てもトップクラスの良さです。1440pで見てもトップクラスですから、フルHDなら更に若干地位を上げます。フルHDに限定するなら非常に強力なコスパを持ちます。
しかし、やはり8GB VRAMの懸念があります。
16GBモデルとの価格差は1万円以内ですし、GPU単体のコスパ差も10%程度しかないですから、実用性と将来性と考えると少し躊躇したくなります。
また、安さとそこそこの性能での実用コスパ特化なら「Arc B580」が強力ということもあって、軽めの用途に限定すれば非常に強力ですが、割り切れないなら第一の選択肢としては選びにくいかなと思います。
1フレームあたりの価格(レイトレーシング)
次にレイトレーシング時のコスパを見ていきます。DLSSやFSR等のアップスケーリング技術は使用していない場合のものになります。
また、レイトレーシングではVRAM容量や最適化不足でパフォーマンスが極端に下がるケースが散見されるので、通常の平均値(算術平均)ではなく、幾何平均(相乗平均)を基に算出しています。
GPU名称 | 1フレームあたりの価格 | 参考価格 |
---|---|---|
Arc B580 | ¥43,800 | |
RX 9060 XT 16GB | ¥61,980 | |
RX 9060 XT 8GB | ¥52,980 | |
RTX 5070 | ¥98,800 | |
Arc A770 16GB | ¥45,000 | |
RX 7700 XT | ¥58,980 | |
RTX 4070 SUPER | ¥99,980 | |
RTX 4060 | ¥41,980 | |
RX 7800 XT | ¥73,980 | |
RTX 5060 Ti 16GB | ¥79,800 | |
RTX 4060 Ti 8GB | ¥58,800 | |
RX 7600 | ¥37,980 |
レイトレコスパは良い
「RX 9060 XT」のレイトレーシングコスパは良いです。全体でもトップクラスで、RDNA 4によるレイトレーシング性能改善の成果が出ています。
特に良いのはやはり16GBモデルです。レイトレーシングコスパを重視したミドルレンジとして非常に強力です。
上に「Arc B580」があるものの、基本性能の差が大きくて直接の競合という訳でもないので、重めのゲームでもそこそこ動くという前提なら事実上のトップといっても良いかもしれません。
次に8GBですが、こちらも良いです。ただし、レイトレーシングで8GBはやはり不安が残りますし、コスパ自体も16GBモデルの方が上なので、レイトレ重視なら尚更8GBモデルは微妙な立ち位置です。
AI・クリエイティブ用途
比較の最後は、AI・クリエイティブ用途でのパフォーマンスを見ていきます。
一般的な動画編集等の基準性能としてFP32(単精度浮動小数点演算)の理論演算性能、「MLPerf Client」におけるAI性能、「Procyon」ベンチマークを用いたAIイラスト生成ソフト「Stable Diffusion」、「Blender」におけるGPUレンダリング性能、「Blackmagic RAW 」によるビデオフレームのデコード速度の性能をそれぞれ見ていきたいと思います。
また、ここのテストは上述までとは異なるテストシステムを使用した海外レビュー(後述)を参考にしています。
GPUは8GBが無くなり「RX 9060 XT 16GB」のみで、CPUには「Ryzen 7 9800X3D」、メモリには「DDR5-6000 CL28 32GB(16GBx2)」が使用されています。他の条件について気になる方は参考リンクをご覧ください。
理論演算性能(FP32)
FP32(単精度浮動小数点演算)は、理論演算性能を示す一つの指標です。単位はTFLOPS(テラフロップス)を用います。実際のテストから算出するものではなく、シェーダーユニット数(対応の演算器の数)とクロックから計算した、理論上の処理性能を表します。製品によってクロックが異なるので、下記の表の数値と異なる可能性がある点に注意です。
もちろん処理によりますが、一般的な動画編集においてのクリエイティブ性能は、このFP32とVRAMの性能(データ量が多い処理の場合)によって比例する傾向が見られたりします。実際「Premiere Pro CC」や「Davinci Resolve」などの主要な動画編集ソフトでの編集やプレビュー速度はある程度比例する傾向があるので、まず参考に見ていこうと思います(完全に一致する訳ではないので注意)。
GPU名称 | FP32(TFLOPS) |
---|---|
RTX 5090 32GB 1792GB/s | |
RTX 4090 24GB 1008GB/s | |
RX 7900 XTX 24GB 960GB/s | |
RTX 5080 16GB 960GB/s | |
RTX 4080 SUPER 16GB 736.3GB/s | |
RX 7900 XT 20GB 800GB/s | |
RTX 4080 16GB 716.8GB/s | |
RX 9070 XT 16GB 640GB/s | |
RX 7900 GRE 16GB 576GB/s | |
RTX 4070 Ti SUPER 16GB 672GB/s | |
RTX 5070 Ti 16GB 896GB/s | |
RTX 4070 Ti 12GB 504GB/s | |
RX 7800 XT 16GB 624GB/s | |
RX 9070 16GB 640GB/s | |
RTX 4070 SUPER 12GB 504GB/s | |
RX 7700 XT 12GB 432GB/s | |
RTX 5070 12GB 672GB/s | |
RTX 3080 10GB 760GB/s | |
RTX 4070 12GB 504GB/s | |
RX 9060 XT 16GB 16GB 322GB/s | |
RX 9060 XT 8GB 8GB 322GB/s | |
RTX 5060 Ti 16GB 16GB 448GB/s | |
RTX 5060 Ti 8GB 8GB 448GB/s | |
RX 7600 XT 16GB 288GB/s | |
RTX 4060 Ti 8GB / 16GB 288GB/s | |
RTX 3070 Ti 8GB 608GB/s | |
RX 7600 8GB 288GB/s | |
RX 6800 XT 16GB 512GB/s | |
RTX 3070 8GB 448GB/s | |
RTX 5060 8GB 448GB/s | |
Arc A770 16GB 16GB 560GB/s | |
RTX 3060 Ti 8GB 448GB/s | |
RX 6800 16GB 512GB/s | |
RTX 4060 8GB 272GB/s | |
Arc B580 12GB 456GB/s | |
RX 6700 XT 12GB 384GB/s | |
RTX 3060 12GB 12GB 360GB/s | |
Arc B570 10GB 380GB/s | |
RX 6600 XT 8GB 256GB/s | |
RTX 3050 8GB 224GB/s | |
RX 6600 8GB 224GB/s |
FP32の理論性能コスパはまずまず
FP32の理論性能コスパは比較的良いです。8GBモデルは大分良い方かもしれません。最新の機能を取り入れつつミドルレンジで理論性能コスパを重視したいなら悪くない選択肢です。
ただ、RadeonがAIやクリエイティブ用途では現状GeForceと比べると汎用性で少し負ける印象がある点に注意が必要です。
MLPerf Client(AI性能)
「MLPerf Cliend」ベンチマークは、MLCommonsによって設計された、AI性能を測るベンチマークです。ここでは4つのワークロードの幾何平均のスコアを見ていきます。
幅広い環境で使えるONNX(DirectML)をサポートしていますが、Intelでは専用のOpenVINOパスも取得できるようです。
GPU名称 | 総合スコア(幾何平均) |
---|---|
RTX 5090 | |
RTX 4090 | |
RTX 5080 | |
RTX 5070 Ti | |
RTX 4080 | |
RX 7900 XTX | |
RX 9070 XT | |
RX 9070 | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 5070 | |
RTX 4070 | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RX 7700 XT | |
RTX 5060 | |
RX 9060 XT 16GB | |
RTX 4060 Ti | |
RX 7600 XT |
AIは汎用のONNX(DirectML)は「RTX 5060」と同等の性能
「RX 9060 XT 16GB」の汎用のAIテスト(ONNX)は「RTX 5060」とほぼ同等の性能です。16GBの優位性こそあるものの、価格を考えるとコスパはやや悪めです。
「RTX 5060 Ti 16GB」の方が約24.5%高速となっており、価格差を考慮してもコスパは同じくらいです。API面などでGeForceの方が汎用性が高い点を考慮すると、AIではまだ強力な選択肢とまでは言えないかなという印象です。
ただし、6万円台前半で16GB VRAMの優位性はAIにおいても魅力的ではありますし、先代から改善した性能で実用性は上がっているので、AIを視野に入れた場合でも選び易くはなっていると思います。
Procyon Stable Diffusion(AIイラスト生成)
現在、AIイラストソフトで人気のある「Stable Diffusion」での画像生成性能をUL Procyonの「AI Image Generation Benchmark」を用いて比較しています。
「Stable Diffusion XL」は1024×1024の高負荷なテストとなっています。XLではVRAM容量の要求度が高くなるため、特にVRAMが8GB以下のようなGPUではパフォーマンスが極端に低下したり、テストそのものが不可能なケースが基本となります。
ベンチマークではFP32、FP16、INT8といったデータ型のオプションがありますが、今回はFP16でのテストになっています。
また、各社のGPUにはAIの推論性能を高めるために特化したAPIとして、Tensor RT(NVIDIA)、Open VINO(Intel)、ROCm(AMD)といったものがありますが、2024年12月時点ではROCm(AMD)は現状Windowsでのネイティブ動作に対応していません(Linux前提で、WSLを用いてWindows上でLinuxを動作させて使用することは一応可能だけど)。
そして、ProcyonがWindowsを前提としたベンチマークであるため、サポートしているのはTensor RT、Open VINO、汎用のDirect ML(ONNX)の3つとなっており、AMD製のGPU(Radeon等)のみ汎用のDirect ML(ONNX)を使わざるを得ず、低めの性能となっている点に注意が必要です。
※RTX 5070 登場時までRTX 50(Blackwell)がベンチマークがTensorRTコア向けに更新されていなかったため、RTX 5070~はONNXでの測定値のみの掲載となっています。
GPU名称 | スコア |
---|---|
RTX 4090(Tensor RT) | |
RTX 5090(ONNX) | |
RTX 4090(ONNX) | |
RTX 4080(Tensor RT) | |
RTX 4070 Ti(Tensor RT) | |
RTX 5080(ONNX) | |
RTX 4080(ONNX) | |
RTX 5070 Ti(ONNX) | |
RX 9070 XT(ONNX) | |
RTX 4070(Tensor RT) | |
RTX 4070 Ti(ONNX) | |
RX 9070(ONNX) | |
RTX 5060 Ti 16GB(TensorRT) | |
RTX 4070(ONNX) | |
RX 7900 XTX(ONNX) | |
RTX 5070(ONNX) | |
RTX 4060 Ti(TensorRT) | |
RX 9060 XT 16GB(ONNX) | |
RX 7700 XT(ONNX) | |
RX 7600 XT(ONNX) |
まだGeForceには及ばないけど、先代から飛躍的な向上で一気に実用的な性能に
FP16のStable Diffusionの画像生成テストでは、先代から大きな向上を記録しました。「RX 7600 XT」と比較して1.82倍の向上です。驚異的な向上率です。
「RX 7700 XT」をも上回り、ROCm無しでも一気に実用的な性能まで到達しました。大きな進歩です。
前世代まではAIを考えるならGeForceほぼ一択でしたが、RX 9000ではAIに特化したい訳でなければ妥協できるレベルになっていると思います。
「RX 9070 / 9070 XT」でもその影響が少なからずあったと思いますが、市場での価値を大きく高めた要素だと思います。
しかし、未だにGeForceには及ばない点は留意しておく必要があります。TensorRTを利用した「RTX 5060 Ti 16GB」の方が59%も高速です。
価格の安さを考慮しても正当化できない差です。個別でまとめはしていませんが、電力効率でもGeForceの方が格段に良いです。
予算の問題でどうしても「RTX 5060 Ti 16GB」を検討できないなら、妥協案としてはアリなレベルにはなったのかなとは思っていますが、AI重視ならやはりまだGeForceの方が安定かなと思います。
Blender(GPUレンダリング)
「Blender」は定番の人気レンダリングソフトです。「Blender 4.3」を用いた「Blender Benchmark」の3つのテスト結果の幾何平均を総合スコアとし、比較していきます。
「Blender 4.3」では、Nvidia Optix、Intel OpenAPI、AMD HIPをサポートしており、それぞれが最善の性能が出せる方法で計測されています。しかし、それぞれの最適化には差があり、メインのGPUコアでも幅広い用途に対応できる「Nvidia Optix」が特に高い性能を出すため、現状ではBlenderのレンダリングは基本的にGeForce一強です。
GPU名称 | 総合スコア(幾何平均) |
---|---|
RTX 5090 | |
RTX 4090 | |
RTX 5080 | |
RTX 4080 | |
RTX 5070 Ti | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 5070 | |
RTX 4070 | |
RX 9070 XT | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RX 7900 XTX | |
RTX 4060 Ti | |
RX 9070 | |
RX 7700 XT | |
RX 9060 XT 16GB | |
RX 7600 XT |
BlenderのレンダリングはGeForce有利な上にコア数が重要なので、RX 9060 XTでは微妙
BlenderのGPUレンダリングはまだGeForce一強状態が続いています。
最適化面での優位性はもちろん、コア数が重要なので「RX 9060 XT」では厳しめな用途です。「RTX 5060 Ti 16GB」の方が2.67倍も高性能です。
一部の条件下ではRadeonでも近い性能を発揮するといった報告も一応あるものの、機能自体がRadeonだと少し制限されますし、条件付きでようやく同等というのも微妙すぎるので、BlenderではあえてRadeonを選ぶのはおすすめはできないかなという印象です。
Blackmagic RAW(RAW デコード速度)
「Blackmagic RAW Speed Test」はRAW画像のデコード速度を測定するベンチマークです。GPUを使用する場合にはCUDAかOpenCLを使うことになり、CUDAを使えるGeForceが有利な傾向があります。
また、このテストは圧縮率が低い場合にはシステムメモリの帯域幅の影響を受けやすくなり、GPU毎の差がでにくくなります。そのため、CPUおよびメモリの影響を小さくするため、高い圧縮率(12:1)での8Kおよび4Kのテストでのデコード速度(1秒あたりのフレーム数)を見ていきます。
GPU名称 | スコア |
---|---|
RTX 5090 | |
RTX 5080 | |
RTX 5070 Ti | |
RTX 4090 | |
RTX 5070 | |
RTX 4080 | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 4070 | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RTX 5060 | |
RX 9070 XT | |
RX 9070 | |
RX 7900 XTX | |
RX 9060 XT 16GB | |
RX 7700 XT | |
RTX 4060 Ti | |
RX 7600 XT |
GPU名称 | スコア |
---|---|
RTX 5090 | |
RTX 5080 | |
RTX 5070 Ti | |
RTX 4090 | |
RTX 5070 | |
RTX 4080 | |
RTX 4070 Ti | |
RTX 4070 | |
RTX 5060 Ti 16GB | |
RTX 5060 | |
RX 9070 XT | |
RX 9070 | |
RX 7900 XTX | |
RX 9060 XT 16GB | |
RX 7700 XT | |
RTX 4060 Ti | |
RX 7600 XT |
OpenCLを用いたメディア処理性能は先代から約1.5倍向上
OpenCLを用いたデコード速度は先代から飛躍的に向上しています。
「RX 7600 XT」と比べると約1.5倍という驚異的な向上率となっています。「RX 7700 XT」と同等の性能となっています。メディア・AIの基本性能は前世代からやはり大きく向上しており、弱点が大きく緩和されました。
しかし、やはり立ちはだかるのはGeForceの壁です。CUDAの適用範囲が非常に広く、ソフトもそちらに最適化されていることが多いので、実パフォーマンスでは完敗です。CUDAを用いる「RTX 5060 Ti 16GB」の方が更に1.5倍近く高速です。
とはいえ、差が一気に縮まったことはプラス材料ですし、性能自体は実用レベルになっているので、メイン用途でなければ妥協できるようになったということ大きな進歩だと思います。
まとめ
RX 9060 XT 16GB:コスパも悪くないミドルレンジで16GB VRAM搭載
「RX 9060 XT 16GB」は6万円台前半~と比較的安価で基本性能コスパも悪くないながら、16GB VRAMを搭載するのが魅力のミドルレンジGPUです。
最近ではゲーム全体のグラフィックが向上していることでVRAM使用量が増えてきていますし、レイトレーシング・生成AI・メタバースなど、VRAMを多く消費する用途も急速に普及してきているため、VRAMは出来るだけ欲しい人が多いと思いますが、すぐに必要という訳ではないので多額の費用は出したくない、という人に丁度良いのが「RX 9060 XT 16GB」です。
6万円台前半~という価格の割には多い16GB VRAMを備えつつも、価格に見合った基本性能も提供してくれます。
モニターの主流解像度が1440pへ移行してきていることも感じますが、「RX 9060 XT 16GB」なら1440pでも実用的な性能を出せるので、その点でも安心できます。
従来の似たようなコンセプトのGPU、「RX 7600 XT」や「RTX 4060 Ti 16GB」は基本性能コスパの悪さで微妙感が拭えませんでしたが、「RX 9060 XT 16GB」はそこが改善されていて良い感じです。
電力面はRTX 50シリーズには少し劣るものの、ネックというほどでもないため、従来のRadeonよりもかなりおすすめしやすい仕上がりになっていると思います。
しかし、VRAM帯域の狭さとAI・クリエイティブ面ではGeForceにまだ劣る点は注意が必要です。
まず VRAM帯域の狭さですが、322GB/sしかないです。対抗の「RTX 5060 Ti」は448GB/sなので、大きな差があります。
その影響なのかは定かではありませんが、「RTX 5060 Ti」に対して主要なベンチマークソフトでは両者は同等の性能を示すのに、重量級ゲームが中心の実際のゲームテストでは「RTX 5060 Ti」よりも少し低めのパフォーマンスとなっていたりします。
安さの優位性があるので、それ込みでも不利というほどではないものの、VRAM帯域の影響が大きい用途では一考の余地はあるかもしれません。
次に、AI・クリエイティブ用途に関してです。
前世代の「RX 7000」と比べると基本性能が格段に向上したため、AI・クリエイティブ用途でも妥協はできるくらいの性能にはなったと思いますが、未だにCUDAやTensorRTなどが使える用途では大きく劣ります。
そのため、AI・クリエイティブがメイン用途と事前にわかっているのなら、基本的にはまだGeForceがおすすめです。
ただし、16GB VRAMでコスパ重視のミドルレンジGPUとしては他に代わりが無いので、そこに大きな魅力を感じるなら、妥協して選択するのもナシではないかなとも思えるくらいにはなりました。
総評としては、少し注意点はあるものの、ヘビーな用途でなければ妥協できる部分ではあるし、かなり無難でおすすめしやすいミドルレンジGPUだと思います。
RX 9060 XT 8GB:フルHDでは超強いけど、8GBはどうしても気になる
「RX 9060 XT 8GB」は安価でフルHDでは非常に強力なコスパを持つGPUです。
「RX 9060 XT 8GB」は、発売時で約5.3万円~という安価さで「RTX 4060 Ti 8GB」や「RTX 5060」と同等以上の性能を持ち、タイトルや設定次第では「RTX 5060 Ti」にも匹敵する性能となります。その性能と価格のおかげで、フルHDではトップクラスのコスパを誇ります。
フルHDゲームがメインなのであれば、約6.5万円の「RTX 5060 Ti 8GB」よりは「RX 9060 XT 8GB」の方が、実用性はほぼ変わらずに予算を節約できる選択肢として優秀だと思います。
しかし、VRAMが8GBしかないのがやはり大きなネックです。
1440pやレイトレーシングではVRAM不足が気になるケースが増える他、フルHDにおいても一部の重量級ゲームでは設定を最適化する必要が出てきたりします。
ゲーム以外でも、生成AIやメタバースなどのVRAM容量が重要な用途では使いにくいのもデメリットです。
価格を考えれば仕方ないとも言えますが、+9,000円すれば「RX 9060 XT 16GB」を選ぶことができますし、ほとんどの用途では基本性能もちょこっと上がります。
正直、汎用性や将来性を考えれば16GBモデルの方が明らかに魅力的です。後悔したくないなら16GBにするのが得策だと思います。
また、どうしても安さを重視したい場合で、VRAM容量も8GBが嫌だという場合でも、「Arc B580」という選択肢が今ならあります。
B580は基本性能こそ大きめに下がりますが、フルHDなら十分実用的な水準は維持できる性能があります。1440pやレイトレーシングで十分な性能は得られませんが、8GB VRAMがネックとなる「RX 9060 XT 8GB」も安定して運用できるとは言い難いとは思うので、思ったよりも実用性での差は小さめだと思っています。
それだけ、8GB→12GBの壁は結構厚いと個人的には思っています。価格が4万円台まで下がれば安さ特化の選択肢としてアリかなとも思いますが、現状の5.3万円~なら頑張って予算を追加することをおすすめしたいです。
といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。
9950X3D の性能比較みたいな記事って出てましたっけ?
ちょこちょこ覗かせてもらってますが、見当たらないのですが、今後もレビュー予定はないんですか??
9950X3Dの個別の記事は出してないですね。お待ち頂いていたのにごめんなさい。
発売から時間も経ってしまったので、今のところは予定も無かったです…。