無線LANルーター選びの要点や注意点まとめ【ざっくり解説】

無線LANルーターを選ぶときに知っておいた方が良いことを、要点を絞ってざっくりとまとめています。随時更新予定。

注意

本記事の情報は、記事執筆時点(2020年5月4日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるので注意してください。

はじめに

Wi-Fiを含むインターネット関連のことはものすごく複雑です。また、それぞれの状況によって必要な対処法や改善法は変わります。一概にこうすれば良いということは基本的にありません。自分の状況を自分で知り、必要なことを見極めて対処していく必要があることを留意して欲しいと思います。

また、正直にいうと筆者もネットワークに凄く詳しいという訳ではありません。現状のネット上の記事が、項目が細かく分かれすぎていたりとか、詳しすぎて逆に分かり難い記事とかばっかりだった気がしたので、一通りの要点をざっと見たいって人向けの記事を作ってみようかな、ということで作成しています。そのため、詳しすぎず詰め込みすぎないよう心掛けているので、1から10まで説明しろというのは聞けないですが、間違っている箇所や不足している情報などがあれば、コメント欄等でご指摘いただければ幸いです。

よくある悩みポイントと対処法

まず、よくありそうな悩み(改善したいポイント)と主な対処法をざっくりまとめています。

改善ポイントと対処法まとめ
※リンクは全てページ内リンクです(読込無)。
  • 夜間など混雑時に遅くなる
    → IPv4 over IPv6(IPv6 IPoE)を利用できるようにしましょう。対応ルーターを所持していない場合は用意する必要があります。
  • 速度を根本的に速くしたい
    → 現在数Mbps~数十Mbpsくらいしか速度が出ず、その速度を大幅に上げたい人です。契約プランがそもそも遅い(100Mbps以下)ことはないかの確認と、IPv4 over IPv6(IPv6 IPoE)を利用していない場合は利用できるようにしましょう。また、Wi-Fi 6への対応も効果が期待できるかもしれません。
  • ルーターから遠い場所で遅くなる
    → 中継機やメッシュWi-Fiの導入を検討しましょう。また、現在かなり古かったり安いルーターを使用している場合は、交換するだけでも多少改善するケースもあります。ただし、有線を引っ張らない限り、ルーターから遠い場所での多少の速度低下は必至です。

誤解が多そうな部分

どの機種でも電波の強さ(届く距離の上限)はほぼ変わらない

いわゆるWi-Fiの電波の強さですが、これはどの機種も上限値はほとんど変わりません。なぜなら、出力の上限が電波法によって決められているためです。上限は結構低めに設定されているので、大体の機種では上限値が出せるように設計されているはずです。また、ビームフォーミングという接続端末に向けて集中的に電波を飛ばして安定性等を高める技術もありますが、最近の機種であればほぼ全てが対応しています。そのため、一台の無線LANルーターで接続する前提なら、電波の届く最大距離はどの機種でも大差は無いはずです(凄く古かったり、安い機種であればもしかしたら変わるかもしれませんが)。

もちろん、個体差やアンテナ種類・性能により多少の距離の差・安定性や掴みやすさの差は出ます。しかし、上限の距離自体はあまり変わりません。なので、たとえば「無線LANルーターが1階にあり、3階で利用するのに電波が届かないのでルーターを替えようと思っています」というのはほとんど意味無く終わる可能性も高いです。それは無線LANルーターという機器自体の限界で、機種の性能によるものではありません。アクセスポイントからかなり離れた位置で使う場合の大幅な速度低下は、避けることはできません。このような悩みの場合には、中継機やメッシュWi-Fiによる有効距離の延長化(後述)や有線で接続できるようにすることを検討することをおすすめします。

アンテナ本数が増えれば速くなる、とは限らない

ルーター名に「1733+800Mbps」みたいな速度がよく併記してあると思います。これが速いほど通信速度も速くなる、という印象を受けますが、そうとは限りません。というか、一般的な家庭での一般的な端末(スマホやPC)での利用の場合、アンテナは3本以上あっても最大速度はほとんど速くなりません。

ルーター名に併記してあることの多い「1733+800Mbps」のような通信速度は、アンテナ1本あたりの規格理論上の最大通信速度を、搭載アンテナの数で単純に掛けたものです。「1733Mbps(5.0GHz帯 11ac)」を例にすると、アンテナ1本(1×1)の最大通信速度が約433Mbpsで、それが4本(4×4)あるので、『433Mbps × 4 ≒ 1733Mbps』という計算です。ですが、実際に1733Mbps出ることはまずありません。

まず、私たち一般的な人が使うWi-Fi機器といえば、スマホやタブレット、ノートPCが主です。これらのほとんどの無線LAN仕様は、アンテナ2本(2×2)です(2020年5月時点)。要するに、基本的にルーター側のアンテナ2本としか同時通信はできません。ルーター側にアンテナ4本同時に通信する能力があったとしても、端末に2本しかアンテナが無いのであれば、結局速度は2本分しか出ません

また、規格の最大値がどんなに高くても、そもそも大元の回線の通信速度以上には速くならないです。2020年5月現在では、1Gbpsのプランで契約されている方が最も多いと思いますが、1Gbpsのプランの回線なら実際に1Gbps出るという訳ではありません。状況によりさまざまだとは思いますが、1GbpsプランでONUに有線直挿ししたとしても通信速度は300Mbps~400Mbpsあたりが平均になるのではないかと思います。規格値がどんなに速くても、この速度以上には速くなりません。ちなみに、最近は10Gbpsのプランも最近出てきてはいます。しかし、筆者は試したことがないですし、導入費用が凄く高いのでレビューも少なく、正直よくわからないのでコメントは控えておきます。

もちろんアンテナが多い方が、同時に複数台接続するときの速度低下を抑えられるなどのメリットもあります(MU-MIMO利用時)。ただし、子機のアンテナ数は大体2本なので、アンテナは2本以上あれば、基本的に最大速度はほとんど変わりません。ただし、基本的にアンテナ本数が多い機種ほど処理性能の高いプロセッサを搭載しているので、それで通信品質の向上を期待することはできるかもしれません。

基本事項

IP(IPv4とIPv6)と接続方式(PPPoEとIPoE)についての基本的な事柄です。凄くざっくりとした説明なので、詳しくはご自分でお調べくださいませ。

IPv4/IPv6とPPPoE/IPoE

かなり基礎的なことながら、意外と理解が広まっていない部分です。文章で説明すると分かり難いし長いので、簡単に表にまとめました。

PPPoEとIPoE
PPPoE IPoE
終端装置を経由する 直接インターネットに接続
遅い 速い
混雑で遅くなる 混雑せず遅くならない
IPv4とIPv6
IPv4 IPv6
PPPoE接続:遅い
(混雑時には更に遅くなる)
PPPoE接続:遅い
(混雑時には更に遅くなる)
IPoE接続:不可 IPoE接続:速い

PPPoE接続は遅いし、混雑時には更に遅くなる

ポイントは見出しの通りです。PPPoE接続ではネットワークの終端装置というものを経由します。まず、この終端装置を経由するという過程があるだけで、時間的なロスが少し生じます。更に、夜間などのアクセスが増加する時間帯では終端装置の負荷が大きくなり、処理が追い付かなくなって通信速度が低下します。

この速度低下を解消したのがIPoE接続です。IPoE接続では終端装置を経由しないで直接インターネットにアクセスするので、その分の時間的なロスが発生しないです。また、終端装置の負荷も関係無いので、混雑時にも速度低下はほとんど発生しません。

このIPoE接続ですが、実質IPv4では利用することができません。IPoE接続をするにはIPv6でなければなりません。ただし、このことからか「IPv6が高速」と思われがちですが、実際に高速なのは「IPv6(IPoE接続)」であって「IPv6(PPPoE接続)]は遅いです。

IPv4 over IPv6

上の項目で、IPv6(IPoE)が高速だと説明しました。しかし、IPv6(IPoE)さえ利用できるようになれば速いのかというと、実はそうとも限りません。

なぜかというと、IPv6で接続するにはサイト側もIPv6に対応していないといけないためです。残念ながら、現在多くのサイトではIPv6には対応しておらず、IPv4でしか接続できません。そういうサイトでは、IPv6(IPoE)を使える状況でもIPv4で接続することになるので、当然通信速度は遅いです。

これを解消するための仕組みが、IPv4 over IPv6です。「IPv6 IPoE + IPv4 over IPv6」などと呼ばれることもあります。プロバイダによって提供サービスは異なりますが、V6プラスとかV6オプションとかtransixとかOCNバーチャルコネクトなどがこれにあたります。規格は2020年5月現在「MAP-E」と「DS-Lite」というものが主流です。どちらが優れているとかいう話は無いと思うので、特に気にしなくて大丈夫だと思います。

IPv4 over IPv6は、IPv4のデータをIPv6に変換してインターネットに接続する仕組みです。「IPv6に見せかけたIPv4のパケット」に変換することで、IPv6の通信経路を利用(IPoE)して、通信先の直前でIPv4へと再変換されます。これによって、IPv6(IPoE)の速度的な利点を維持したままIPv4で接続することができます。

そのため、2020年5月現在、実質的にインターネットの通信速度の高速化および混雑時の速度低下を避けるためには、IPv4 over IPv6を利用することが必須といえます。「主要であるIPv4接続を高速化するにはIPv4 over IPv6が必要」というとことは留意しておきましょう。

IPv4 over IPv6を利用するのに必要なもの

IPv4 over IPv6を利用するには、対応したプロバイダーとルーターの両方が必要です。

ただし、市販のルーターを利用する際に必ずIPv4 over IPv6(IPv6 IPoE)サービスに対応したルーターが必要かというと、そうでないケースも多いです。これは、プロバイダや回線契約時に、IPv4 over IPv6サービスに対応したホームゲートウェイ(ひかり電話対応ルーター)やルーターをレンタルする事になる場合も多いためです。下記にざっくりとまとめています。

これから買うルーターにIPv4 over IPv6対応は必要?
  • 対応機器を現在利用している場合
    持っているIPv4 over IPv6対応ルーターをルーターモードで使用し、これから買うルーターをブリッジモード/APモードで運用すれば良いので、これから買うルーターにIPv6関連の対応は一切必要ありません。ちなみにIPv6ブリッジ(パススルー)機能は最近のほぼ全てのルーターで利用できます。
  • 対応機器を持っていない場合
    お使いのプロバイダのIPv4 over IPv6技術に対応したルーターが必要となります。事前の確認を怠らない様にしましょう。

そのような場合には、レンタルしているルーターをルーターモードで使用(IPv4 over IPv6はここで対応)するため、いわゆるアクセスポイント(ブリッジモード/APモード)で使用するための市販ルーターでは、IPv6関連に対応している必要はありません。

逆に、IPv4 over IPv6対応ルーターのレンタル等をしておらず、現在手元に無い場合には、市販のルーターを購入する際には、利用しているプロバイダのIPv4 over IPv6方式に対応したルーターを選ぶ必要があります。ここで注意すべきなのが、日本でのIPv4 over IPv6サービスに対応したルーターは、海外製のものは数が少ない点です。逆に日本製のものは対応率が高く、意識せずとも対応していることが多いと思います。海外製のものは性能コスパも良く、新規格や新技術への対応も早いので魅力的ですが、しっかりと仕様を確認し、自分の利用機器の状況を考えた上で購入するようにしましょう。

ルーターの「IPv6対応」は注意

また、無線LANルーターのカタログスペックとしての「IPv6対応」ですが、少し注意が必要です。前述の通り、高速なのは「IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6」です。ですが、カタログスペックでのIPv6の記載はこれとは限らず、「IPv6のPPPoE接続ができますよ」というのを指している場合もあるので注意が必要です。仕様をしっかりと確認しましょう。

IPv4 over IPv6の対応ルーターは、下記のページが綺麗にまとまっていて見易いので、是非参考にしてください(多分個人のブログですが)。

中継機とメッシュWi-Fiの違い

無線親機から距離が遠かったり障害物の影響で電波の届きが悪い場合には、中継機やメッシュWi-Fiの導入を検討することがあります。この二つの違いをざっくり説明しています。

中継機 メッシュ Wi-Fi
親機の電波を橋渡しをするだけ 親機と子機(サテライト)が
同一ルーターとして扱える
アクセス先は自分で選択 アクセス先は自動で最適なものが選ばれる

また、中継機やメッシュWi-Fiを導入する際に特に留意しておくべき注意点が下記です。

補足説明、注意点
  • 子機への通信の規格(速度)は、遅い方に合わせられる。
    子機へ接続する場合です。たとえば、無線LAN親機のアンテナが4本でWi-Fi 6(11ax)に対応していたとしても、子機がアンテナ2本でWi-Fi 5(11ac)までの対応であれば、子機へ接続する場合は子機側(遅い方)の仕様に合わせられ、PCなどの端末側でアンテナ4本通信やWi-Fi 6(11ax)で通信することはできません。逆に、中継機の方が良い性能だったとしても、親機の方に合わせられますので注意が必要です。

     

  • 有線LAN接続可能(ポートがあれば)
    中継機やメッシュWi-Fiは親機と無線で繋がっているので、無線LAN(Wi-Fi)でしか接続できないような印象を持ちそうですが、有線LANポートがあれば、有線LAN接続が可能です。中継機(サテライト)と親機との通信の際にロスは生じるため、親機のルーターへ有線接続するよりは速度は低下してしまいますが、有線の方が安定性や遅延の少なさが期待できる場合もあります。ちなみに、有線LANポートはあっても1つか2つとかなので、たくさん繋げるのは難しいという点も一応触れておきます(スイッチングハブで増やせますが、そこまでやるなら無線で良い気がします)。

また下記から、中継機とメッシュWi-Fiのそれぞれについてざっくりと説明を添えておきます。

中継機

無線LANの中継機は、無線LAN親機の電波を橋渡しするだけのものです。

良い点
  • 安価(人気製品で2,000円~5,000円程度)
  • 古いルーターを中継機として再活用できる可能性がある
悪い点
  • 親機の負荷は減らない
  • アクセス先を自分で選択しなければならない(自動で近いやつに変更されたりしない)

無線LANの中継機は、基本的に電波を橋渡しするだけのものです。そのため、処理自体は親機がしているため、親機の負荷は減りません。中継機の導入を検討するのは、元の回線速度や親機の性能自体には問題無さそうだけど、親機から距離が遠いので電波届きにくい、という場合です。

中継機は接続先を端末側で一つを選択しなければならず、自動で電波の強いやつに切り替わったりしません。たとえば、親機は1階にあり、普段は2階で使うので、2階に設置している中継機へ接続設定しているという場合を考えます。2階で利用する場合は問題ないですが、1階でその端末を利用するとしても、それは中継機への接続になります。すぐに傍に親機があるとしてもです。端末側で接続先を変更する必要があります。

やや使い勝手は悪く見えますが、機器自体の価格が安いのが魅力です。

また、実はそこらのルーターでも中継機能を備えている場合が結構あるので、新しいルーターを購入したときに古いルーターを再活用できる可能性があります。中継機の導入を検討している方は、一度お使いのルーターの仕様を確認することをおすすめします。もし中継機能があれば、中継機を購入するよりは新しい親機ルーターを購入して、古いルーターを中継機として運用する方がコスパ良く通信環境を構築できる可能性があります。

メッシュWi-Fi

メッシュWi-Fiは、網(メッシュ)のように張り巡らせてWi-Fi環境を構築できるものです。最近急速に対応端末が増えています。

良い点
  • ルーターの負荷を分散できる
  • 自動で電波の強いものへ接続される(SSIDが同じ)
悪い点
  • 高価

メッシュWi-Fiは、単なる中継機と違い機器同士で相互に通信をします。そのため、親機のルーターだけに負担が掛かりません。また、単なる中継機と違い、構築したメッシュネットワーク内であれば、自動で最適なアクセス先へ接続されます(SSIDが共有)。中継機よりも使い勝手が良いです。また、追加のユニットを購入すれば簡単に対応範囲を広げることができます(一応中継機でもできるけど…)。

ただし、価格が高価です。メッシュWi-Fiはいわば、新たな独自ネットワーク構築機能を持ったルーターを複数台で運用するって感じです。一台あたりのコストも従来のルーターよりも高くなる上、それを複数台で運用する前提な訳ですから、導入コストは当然高くなります。

アンテナ

アンテナについてざっくり説明しています。

本数

ここまで既に触れたりもしていますが、アンテナ本数についてです。

「ルーターアンテナ本数が多い=一度に送れるデータ量が多い=通信量を増やせる」ということなので、基本的な図式としては「アンテナが多い=通信速度が速い」というのは間違いではありません。

ただし、結局通信というのは端末側があってのもので、2020年5月現在ほとんどの端末のアンテナ本数は2本なので、ルーター側で3本以上のアンテナがあっても、端末側の最大通信速度自体はほとんど変わりません。下記に参考リンクを置いておきます。

一般的な家庭でのアンテナの数を増やす事による実際の利点としては下記のような感じになると思います。

アンテナ本数が多いことの利点
  • 同時接続台数が増えても速度低下が起きにくい
  • 多いほど死角が減り、広範囲をカバーできる
  • MIMOをより有効に活用できる(要調査)

効果が実際どれほどかというのは環境によっても異なりますし、実際に検証してみないとわからないので詳しい言及は止めておきます。

内蔵アンテナと外部アンテナ

結構諸説あるところだと思います。参考までにご覧ください。

内蔵アンテナ

内蔵アンテナは、アンテナがルーターの筐体の中に収めらており外部に露出していないタイプです。

外部アンテナと比較して、周辺を幅広くカバーしており死角が少ないと言われています。筐体に全てアンテナを収めるという仕様上、アンテナ自体が外部アンテナと比べて小型となるため、電波の出力効率が悪く遠いと掴みが悪いと言われることもありますが、詳しくは不明です。

外部アンテナ

外部アンテナは、アンテナが筐体の外に露出していて、角度を調整できるタイプです。

アンテナの向きを調整することで電波の向きをある程度調整することが出来るため、遠い場所やよく端末を使用する場所に電波を集中させることが可能です。ただし、内部アンテナと比較して、電波の方向性を調節できる一方、死角は多少増えるようにも見えますが、詳しくは不明です。

Wi-Fi仕様関連

言わずと知れているであろうWi-Fiについて、基本的なことを軽く触れています。

2.4GHz帯と5.0GHz帯

2020年5月現在、Wi-Fiで主に利用されている周波数帯は2.4GHz帯と5GHz帯です。双方にはそれぞれ特徴があります。

2.4GHz帯

良い点
  • 壁や床などの障害物に強い
  • 電波が遠くまで届きやすい
悪い点
  • 他の機器でも多く使われる周波数帯なので電波干渉しやすく、速度低下や切断が起きてしまう恐れがある
2.4GHz帯は、障害物に強く遠方まで届きやすいという魅力的な長所がある反面、Bluetoothや電子レンジなど、他の機器でもよく使われる周波数帯なので、電波干渉が起きやすく、通信が不安定になりやすいです。
また、Wi-Fi 5(11ac)では2.4GHz帯は対応していないので、Wi-Fi 6が利用できない状況での2.4GHzのWi-Fiは必然的にWi-Fi 4以下となってしまいます。

5GHz帯

良い点
  • Wi-Fi以外での利用が少ないため、電波干渉が起きにくく、通信が安定している
悪い点
  • 壁や床などの障害物に弱い
5GHz帯は、他の機器での利用が少ないため電波干渉が起きにくいのが長所です。その代わり、障害物には弱めです。
しかし、障害物に弱いという弱点はあるものの、Wi-Fi 5では5GHz帯しか対応していない点や、電波干渉が起きにくいという長所のおかげで、2.4GHz帯より5GHz帯で接続した方が大体速いし安定しています(2020年5月時点)。Wi-Fi 5までしか対応していないのであれば、とりあえず5GHz帯で接続することをおすすめします。

補足:6GHz帯も近年には利用可能に?

まだ標準化されるのはしばらく先になるようですが、2020年1月に発表されたWi-Fi 6EというWi-Fi 6の拡張規格に6GHz帯が使われており、日本でも将来のWi-Fiでの6GHz帯での利用可能化がほぼ確実となっています。

Wi-Fi 6ですら普及が進んでいない状況なので、まだまだ先の話にはなりますが、余談として触れておきます。

参考:Wi-Fiで増える6GHz帯、日本ではしばらく利用不可? 次世代「Wi-Fi 7」では必須? – INTERNET Watch

Wi-Fi 5(11ac)とWi-Fi 6(11ax)

2020年5月現在、恐らく最も広く利用されているWi-Fiの規格はWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)です。そして、こちらはまだあまり普及が進んでいないですが、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)という一つ新しい規格の製品も数を増やしてきています。違いをざっと見ていきます。

名称 Wi-Fi 5(11ac) Wi-Fi 6(11ax)
周波数帯 5GHz帯 2.4GHz帯/5GHz帯
最大通信速度(理論上) 6.9Gbps 9.6Gbps
実効スループットの一般的上限値 約800Mbps 1Gbps以上
MU-MIMOの最大同時接続数 4台 8台
接続方式 OFDM OFDMA
その他   子機の消費電力を
抑える技術(TWT)追加
Wi-Fi 6で良くなったところ
  • 通信速度の向上
    実効スループットの一般的上限値…要するに実際の通信速度で2割以上くらい向上すると言われています。
  • 2.4GHz帯と5.0GHz帯両方に対応
    Wi-Fi 5では5GHz帯しか対応していませんでしたが、Wi-Fi 6では5GHzと2.4GHz帯両方に対応しています。
  • MU-MIMOの最大接続台数増加
    MU-MIMO(後述)の最大接続数がWi-Fi 5の4台から8台へと増加しました。
  • OFMDA方式になり複数台接続時の遅延が減少
    従来のOFMD方式では1台ずつ順番に通信しているような状況で、接続台数が増えると遅くなる傾向がありました。OFMDA方式は一度に複数台分の電波を送れるような感じになり、遅延が軽減されるらしいです。
  • 子機の電力消費を抑える技術追加(TWT)
    Wi-Fi 6では、スマホやPCなどの子機の待機時に通信機能をスリープ状態に移行させて、消費電力を抑える技術「TWT(Target Wake Time)」というものが採用されています。モバイル端末等では、バッテリー消費の軽減が期待できます。

通信速度の向上以外にも良さげな点が多いです。性能面に関しては、Wi-Fi 5以下と比較してデメリットのようなものはありません。しかし、2020年5月現在では、Wi-Fi 6対応の子機(スマホ等)やルーターの種類が少なく、高価なためあまり普及は進んでいません。

Wi-Fi 6E(Wi-Fi 6の拡張規格)も発表されています

周波数帯の項目でも触れましたが、2020年1月にWi-Fi 6EというWi-Fi 6の拡張規格が発表されました。変わる点は6GHz帯が追加されるだけで、その他の基本仕様はWi-Fi 6と同じです。帯域が増える事により、接続台数増加による通信品質の低下をより軽減できることなどが期待されています。

ただし、新しい周波数帯の利用可能化は、色々面倒なようで、実用化・標準化されるのはまだまだ先になりそうですが、一応余談として触れておきます。

参考:Wi-Fiで増える6GHz帯、日本ではしばらく利用不可? 次世代「Wi-Fi 7」では必須? – INTERNET Watch

帯域数(デュアルバンドやトライバンド)

デュアルバンドやトライバンドは、使用する周波数帯域の数を表します。通信に使う道路の数と思うと分かり易いと思います。デュアルバンドは2帯域(2.4GHz帯が1つと5GHz帯が1つ)で、トライバンドは3帯域(2.4GHz帯が1つと5GHz帯が2つ)となっています。

この帯域ですが、基本的には一つの帯域で同時に1台の端末としか通信ができません。そのため、同時に複数台で接続する際に、使用できる帯域の数の方が少ないと順番待ちが発生してしまい、通信品質が低下してしまいます。同時接続台数が多い場合には、帯域の数が多い方が良いという訳です。

2020年5月現在では、デュアルバンドが主流で、トライバンドは高級機を中心に採用されています。

設置場所

無線LANルーターの最適な設置場所について簡単に触れています。

ルーターの置き場所
  • 床から離した高いところに置く
    ルーターの電波は下方向にも出ており、床が近いと乱反射して電波干渉の原因となる可能性がありますし、高いところに置いた方が上方向の電波をより遠くまで届けることもできます。置き場所としての特に重要なポイントだと思います。
  • なるべく家の中心に近いところに置く
    端や隅に置くと、家の反対側への電波が弱くなってしまうためです。ただし、家(部屋)がさほど広く場合で外部アンテナタイプのルーターの場合は、やや端よりでアンテナを水平方向に向けた方が良いような気もします。
  • 電波を発する機器(家電等も)の近くは避ける
    電波干渉を避けるためです。2.4GHz帯は家電などでも幅広く使われています。
  • 水回りは避ける
    電波が水に吸収されやすい特性があるらしいので、水槽や花瓶などの水が入ったものの近くは避けた方が良いようです。

参考:ホントはもっとつながるWi-Fi – バッファロー

その他機能

その他の追加機能などをまとめてざっくり説明しています。

ビームフォーミング

ビームフォーミングは、所定の方向に電波を集中的に送る技術です。ルーターにおいては、Wi-Fi子機のある場所を特定しそこに集中して電波を送ることで、通信の安定性や速度が向上すると言われています。最近のルーターではあるのが当たり前なので、特に意識しなくてもいいです。

MIMO/MU-MIMO

MIMO(Multiple Input Multiple Output)は、送信側と受信側の双方で複数のアンテナを使って通信速度を向上させる技術です。MU-MIMO(Multi User MIMO)は、MIMOを複数の端末で使うことを言います。MIMOは、送信側と受信側(ルーター、スマホ、PC等)の双方とも対応している必要があります。

普通のMIMOはSU-MIMO(Single User MIMO)と呼ばれることもあり、名前の通り1台ずつしか利用できません。これはWi-Fi 4(IEEE 802.11n)から対応しています。MU-MIMOは、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)からの対応です。

アンテナ2つのMIMOの場合の伝送方法をざっくりいうと、1つのデータを2つに分割してアンテナ2つのそれぞれで送信し、受信側も2つのアンテナでそれぞれ受け取り、元の一つのデータに復元するという感じです。弱点として、アンテナ数が増えるごとに計算負荷が増大する点や、それによる消費電力の上昇などが挙げられますが、通信速度が向上し一度の通信時間自体は減少するはずなので、一概にいえることではないと思います。

中継機能

単なる中継機としても使えるという機能です。ルーターを買い替える際に古いルーターが中継機能を持っていれば、有効活用できる可能性があります。ただし、中継機へ接続する場合は、通信の規格は遅い方に合わせられてしまう点は注意が必要です。

バンドステアリング

バンドステアリングは、使用している周波数帯(2020年5月時点だと2.4GHz帯と5GHz帯)の中から、混雑していない(もしくは速い?)周波数帯を選んで自動で接続してくれる機能です。この機能がONだと、周波数帯で別々になっていたSSIDや暗号化キーを一つにまとめられるので、設定が楽になったりします。

簡易NAS機能(USB)

無線LANルーターの中には、LAN内でUSB接続のストレージを共有して利用できる機能が付いているものがあります。

NAS

NASは「Network Attached Storage」の略称で、ネットワーク(LAN内)で利用できるストレージを指します。NASがあれば、LAN内に接続した端末(PCやテレビ等)同士でデータの共有やバックアップが行えるというものです。

NASは本来、NAS自体を購入し、それを接続して利用するものです。無線LANルーターの簡易NAS機能は、NASではないただのHDD(USBで接続)を、NASのようにストレージ共有できるようにしたものです。最近ではクラウドストレージサービスが普及してきているので、利便性や必要性はやや薄れてきていますが、少し前までは非常に役立てていた人も居た機能だと思います。

ただし、無線LANルーターのNAS機能(USBストレージ共有機能)は、あくまで簡易的なもので、本来のNASと比べると機能が劣っています。OSでの制御がないので、自動バックアップ機能などは無いですし、常に通電状態となりますので、製品寿命の短縮や消費電力の増加も懸念されます。おまけみたいなものと思っておきましょう。


記事は以上になります。冒頭でも述べましたが、間違っている箇所や不足している情報などがあれば、コメント欄等でご指摘いただければ幸いです。

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