【デスクトップ】「Core」と「Ryzen」の違いを比較【ざっくり解説】

Intelの主流CPUシリーズのCoreシリーズと、AMDの主流CPUシリーズのRyzenシリーズの違いについてざっくり解説しています。(Coreの末尾Xシリーズや、Ryzen Threadripperシリーズは除外しています)
デスクトップPC向けの主要世代(2024年11月15日時点)のものを対象としています。

注意

掲載の情報は記事更新時点(2024年11月15日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。また、価格は主に価格.comやAmazonを参考とした市場価格となっています。

主にデスクトップPC向けの新しい世代のCPUが対象

本記事は、PCの主流CPUであるIntelのCoreシリーズとAMDのRyzenシリーズ各種の主にデスクトップPC向けの市場で主要な新しめの世代のものを対象としています。
現在(2024年11月時点)で主要モデルとして扱うのは、Coreは「Core Ultra 200S(Arrow Lake)」と「Core 第13/14世代(Raptol Lake)」で、Ryzenは「Ryzen 7000~9000シリーズ」と「Ryzen 5000シリーズの一部」です。

ざっくり比較

まずは、細かい数値を見ていく前に主要な「Core」と「Ryzen」の各性能についてざっくりとした比較を載せています。「なんとなく各シリーズの特徴を掴めれば」といった感じのものになります。

しっかりとした比較ではないため、そのことを頭の中に置いた上でご覧ください。


Core Ultra 200S
※K付き
Ryzen 9000Core 第13,14世代Ryzen 7000Ryzen 5000Ryzen 8000
※内蔵GPUが魅力
コア
Pコア:高性能コア
Eコア:高効率コア
14~24 コア
Pコア:6~8コア
Eコア:8~16コア
6~16 コア
4~24 コア
Pコア:4~8コア
Eコア:0~16コア
6~16 コア
6~16 コア
4~8 コア
スレッド
14~24スレッド
12~32 スレッド
8~32 スレッド
Pコア:8~16スレッド
Eコア:0~16スレッド
12~32 スレッド
12~32 スレッド
8~16 スレッド
マルチスレッド性能
Cinebench R23
Ultra 9:~42,900
Ultra 7:~37,000
Ultra 5:~25,400
※全てK付きのもの
Ryzen 9
 16コア:~42,100

 12コア:~32,500
Ryzen 7:~20,900
Ryzen 5:~17,000
i9:32,600~40,000
i7:24,800~35,000
i5 K:24,700前後
i5 K無:14,500~20,000
i3:8,800
Ryzen 9
 16コア:~38,500

 12コア:~29,500
Ryzen 7:~20,000
Ryzen 5:~15,000
Ryzen 9
 16コア:~28,700

 12コア:~21,900
Ryzen 7:~15,200
Ryzen 5:~11,300
Ryzen 7:17,700
Ryzen 5:11,500~14,000
シングルスレッド性能
Cinebench R23
Ultra 9:~2,380
Ultra 7:~2,200
Ultra 5:~2,140
※全てK付きのもの
Ryzen 9:~2,070
Ryzen 7:~2,010
Ryzen 5:~1,980
i9:~2,317
i7:~2,174
i5 K:~2,060
i5 K無:~1,940
i3:~1,720
Ryzen 9:~2,070
Ryzen 7:~2,010
Ryzen 5:~1,980
Ryzen 9:~1,640
Ryzen 7:~1,600
Ryzen 5:~1,570
Ryzen 7:1,800
Ryzen 5:1,780
ゲーミング性能
※ハイエンドGPU使用時
7 / 9:~
5:
X3D:
X:
i7 / i9:
i5(K):
i5(無印):
i3:
X3D:
その他:
参考価格
※2024年11月時点
Ultra 9:~115,800円
Ultra 7:~69,800円
Ultra 5:~52,980円
Ryzen 9:~114,800円
Ryzen 7:~86,800円
Ryzen 5:~44,800円
Core i9:~82,480円
Core i7:~58,880円
Core i5:~41,980円
Core i3:~19,980円
Ryzen 9:~104,800円
Ryzen 7:~81,800円
Ryzen 5:~34,800円
Ryzen 9:~60,800円
Ryzen 7:~34,800円
Ryzen 5:~18,600円
Ryzen 7:~49,800円
Ryzen 5:~32,980円
Ryzen 3:OEM
対応メモリ
※公式最大速度
DDR5-6400DDR5-5600DDR5-5600
DDR5-4800
DDR4-3200
※Core i5 K付き以降
DDR5-5200DDR4-3200DDR5-5200
消費電力
Blender Testの消費電力

K(9):~235W
K(7):~155W

X:~220WK:~287W
K無し:~65W
X:~237W
X3D:~147W
X無し:~88W
全体的に少なめ
~約133W
非常に少ない
※省電力モデルしかない
~88W
内蔵GPU
3DMark Time Spy
×
~2,200程度
※末尾FはGPU非搭載

2CU:720程度
×
~800程度
※末尾FはGPU非搭載
×
2CU:720程度
※末尾FはGPU非搭載
×
Vega 8:1570程度
※末尾GのみGPU搭載
現在は8000Gの方が良い
×
780M:3,350程度
760M:2,700程度
740M:1,900程度
※末尾FはGPU非搭載
NPU
~13TOPS
××××
~16TOPS
付属クーラー
※BOX版
K付きは無しX付きは無しTDP:65W以下のみ付属
※一部例外あり
(性能は良くはない)
TDP:65W以下のみ付属
※一部例外あり
(性能は良くはない)
X付き以外は付属
(性能は良くはない)
基本付属
※一部例外あり
(性能は良くはない)


各シリーズの特徴をざっくりとまとめています。ここで言及する「ゲーム性能」とは、基本的にハイエンドなグラフィックボードを使用した場合のものな点を留意してください。

各シリーズの特徴ざっくり解説
Core Ultra 200S:競合モデルに劣るゲーム性能が残念だけど、NPU搭載で電力面も改善
Core Ultra 200Sシリーズは、数多くの刷新を伴うCoreの新世代です。コアアーキテクチャの刷新だけでなく、プロセスの大幅微細化、タイル設計の採用、NPU搭載、内蔵GPU性能の向上などたくさんの改善が含まれます。Intelは設計刷新による電力面の改善を特に大きくアピールしていました。
CPUのコア数と構成は前世代と同じで、マルチスレッド性能も前世代や競合のRyzen 9000と大差ないレベルです。少し上回ってはいるものの、差は1割未満なので同等レベルです。
それだけ聞くと微妙に聞こえますが、Pコアのハイパースレッディングが無くなり1コア=1スレッドになったことで、スレッド数が大幅に減った上での結果なので実は結構凄いです。要するに、Eコアの性能が大きく向上しています。とはいえ、結局最終的な性能は大差ないので、大きな優位性とまではいきませんでした。
そして、凄く残念なのが、グラボ利用時のゲーム性能が前世代から若干低下している点です。ゲーム性能は非常に注目度が高い項目なので、これは結構致命的に感じる人が多いと思います。競合のRyzenに対しても少し劣りますし、X3Dモデルが相手となると大きめに劣る結果になります。
ゲーム時の電力面や温度は前世代から改善している朗報もありますが、肝心の性能がダウンとなってしまうと中々評価し辛いところです。
そこで決め手となりそうなのはNPUです。前世代や競合のRyzen 9000ではNPUは搭載されていないので明確な優位性です。
ただし、最近の高性能グラボは高いAI性能も持ち合わせているため、ゲーミングPCではスマホやノートPCほどはNPUが重要ではなかったりはします。GPUからAI処理の負荷を切り分けるメリットはあるものの、基本的には大きな優位性ではないという点も考慮して判断することになります。
また、ゲーミングPCではあまり意味がありませんが、内蔵GPUの性能が先代から2~3倍に性能が向上し、軽いゲームなら快適にプレイできるくらいになりました。
Ryzen 7 9800X3D:ゲーム最強を維持していた先代から更に性能を伸ばす。ただし、8コアCPUにしては非常に高価
X3Dはモデルは、64MBの追加L3キャッシュ「3D V-Cache」を搭載したモデルです。これにより、特にゲーム時の性能が高められているのが魅力です。X3D以外のRyzenや、競合のCoreを上回るゲーム性能を持ちます。
Ryzen 9000X3Dの第2世代の「3D V-Cache」は、CCDの下に配置されるようになったためコアの冷却効率が高まったため、クロックが増加し、オーバークロックも可能になりました。
9800X3Dはゲーム最強を長期間維持し続けた7800X3Dの後継モデルですが、アーキテクチャ更新やクロック増加によりゲーム性能が更にやや向上しました。7800X3Dからのゲーム性能向上率(RTX 4090使用時)は、フルHD平均で10%前後を記録するなど、2024年11月時点ではダントツの性能のゲーム最強CPUとなっています。
更にマルチスレッド性能も先代から20%以上の向上となっており、長所を伸ばしつつ弱点が補強された新しい最強ゲームCPUです。
その代わり、消費電力がやや増えてしまった点は少し残念。ゲーム時に関してはそれでも十分良い数値なので気にしなくて良いものの、高負荷なマルチスレッド処理時には消費電力が先代から大幅に向上し、効率も格段に悪くなっているので、気になる方は少し電力制限等をする方が良いかもしれません。
また、価格が非常に高価になった点もネック。先代の7800X3Dは6万円以下で販売される期間も長かったのに、9800X3Dは発売時価格が86,800円と超高価に。為替の影響ももちろんあるけど、希望小売価格から高くなっており、最盛期の7800X3D並みのコスパになることは難しそうです。予算をグラボに回した方が良いケースも多くなると思うので、ゲーム重視だから9800X3Dではなく、慎重に選択したいです。
Ryzen 9000(X):優れたマルチスレッド効率と低めの消費電力&温度が魅力だが、7000と大差ない
Ryzen 9000は「Zen 5」アーキテクチャ採用の最新シリーズです。Core(13000/14000)よりも優れたマルチスレッド効率を持ち、2027年までの長期サポートが明言されているソケットAM5採用なのが魅力です。しかし、前世代の「Zen 4」のRyzen 7000シリーズから処理性能では少しの向上に留まっており、新世代という感じは正直しないです。
消費電力が前世代からやや低下し、温度が大きめに改善している点は良いですが、総合コスパは大して変わらないので、価格がCoreやRyzen 7000シリーズと大差ない程度まで下がらない限りは有力ではないと思います。
また、2024年10月時点では「Xモデル」しかありませんが、前世代ではゲームで強力な大容量キャッシュ搭載モデル「X3D」があり、Ryzen 9000の非X3Dモデルよりも、Ryzen 7000 X3Dモデルの方がゲーム時には性能でも効率でも上です。そのため、ほとんどの人にとっては追加の予算を掛けるなら、「Ryzen 9000X3D」を待つか、既存の「Ryzen 7000X3D」を選ぶ方がおすすめだと思います。
Ryzen 7000(X3D):優れたゲーム性能を持ち、どの用途でも優れた電力効率
X3Dはモデルは、64MBの追加L3キャッシュ「3D V-Cache」を搭載したモデルです。これにより、特にゲーム時の性能が高められているのが魅力です。X3D以外のRyzenや、Core(13000/14000)を上回るゲーム性能を持ちます。
また、電力設定がXモデルよりも少し低い120W-162Wとなっていることもあり、冷却要件がやや低めなのも嬉しい他、電力効率も非常に優れており、特にゲーム時の効率は非常に優れており、他の主要CPUを1,2段上回ります。
ゲーム時の性能が魅力のX3Dモデルですが、マルチスレッド処理時の効率も普通に優れているので、どの用途でも優れた効率を求める場合にはおすすめできるCPUです。総合的な実用コスパはものすごく良いと思います
Ryzen 7000(無印 / X):優れたマルチスレッド効率と長期サポートのAM5が魅力
Ryzen 7000は「Zen 4」アーキテクチャ採用のシリーズです。X3Dモデルについては後述で、ここではXおよび無印モデルについて触れます。
Ryzen 7000の魅力は、Core(14000/13000番台)よりも優れたマルチスレッド効率を持つことと、ソケットのAM5が2027年までの長期サポートが明言されている点です。同じPCを出来るだけ長く使いたい場合にはおすすめできるシリーズです。
ただし、Core i7 / Rzyen 7以降の場合、X3D以外のモデルはCore(14000/13000番台)よりもゲーム性能で基本的に少し劣るため、ゲーム特化なら若干劣ります。マルチスレッド効率や長期サポートを重視するなら悪くないですが、ゲーム時の性能に特化したいならCoreやX3Dモデルを選ぶ方が適していると思います。
Core 14000 /13000番台:全体的な処理性能コスパの良さが魅力。高負荷時の効率が悪いので、K無しモデルがおすすめ。
第13,14世代のCore(14000/13000番台)は、処理性能コスパに優れたシリーズです。ゲームも含めて高い処理性能を備えつつ、Ryzenよりもマルチスレッド性能コスパで若干優れる価格を維持していることが多いので、コスパ重視なら魅力的な選択肢です。
CPUの特徴としては、Eコア(小型の効率コア)を搭載することで、マルチスレッド性能を引き上げている点があります。現状の主要ゲームの性能は、Pコア(高性能コア)が8コアあればほぼ変わらないというデータがあるので、Pコアは最大8コアにして、後は低コストなEコアにすることで性能コスパを高めています。
ただし、EコアはPコアと比べると、コアあたりの処理性能では大幅に劣るので、全コアを使うような高負荷な処理の場合の電力効率がRyzenよりも悪いのが気になる点です。また、製造プロセスが10nmとなっており、Ryzen 7000~9000の4nm/5nmよりも劣っているため、基盤の効率でもやや劣ります。そのため、マルチスレッド効率を求めるならRyzenに劣る点は注意です。
また、ゲーム時の性能および効率でも、Ryzen X3D(キャッシュ大容量モデル)に劣る側面があるのも注意です。雑に全体的な性能コスパを高めたい場合には良いですが、電力面重視だったり、ゲーム重視だったり、用途や要望に合わせた性能にしたいなら微妙な選択肢かもしれません。
プロセスやEコア採用の点から、どうしても高負荷時の効率面ではRyzenに敵わない現状があるので、個人的にはK付きよりも電力設定が始めから低めのK無しモデルがおすすめです。K付きモデルを使う場合でも、電力設定を少し引き下げて使うことをおすすめしたいです
Ryzen 5000:旧世代だが、非常に安価で効率も悪くない。低価格PCで強力な選択肢
Ryzen 5000は「Zen 3」アーキテクチャ採用のシリーズです。旧世代となりますが、価格が非常に安価で、電力面も悪くないのが魅力です。
Ryzen 7でも2万円台前半から販売が続けられており、最新世代のCore i5 / Ryzen 5でよりも安価で、マルチスレッド性能コスパが非常に優れています。しかも、旧世代ながら省電力で扱い易くて効率も悪くないです。そのため、2024年現在でも低価格PC用のCPUとして非常に強力な選択肢です。
グラボ利用時のゲーム性能は最新世代には劣るものの、低価格PCではハイエンドグラボは採用されず、ミドルレンジ以下のグラボなら大したネックにならないので、無視できるレベルということもあって、実質的に弱点も気にならないのも強さの要因です。
Ryzen 8000(G):優れた内蔵GPU性能が魅力。上位モデルはNPU(AIユニット)も一応搭載。
Ryzen 8000Gは「Zen 4」アーキテクチャ採用で、強力な内蔵GPU(グラフィック)が魅力のモデルです。グラボを利用せずにグラフィック性能を出来るだけ高めたいなら一択レベルの強力なCPUです。ただし、末尾Fモデルでは内蔵GPUが使えないので要注意
「Ryzen 7 8700G」の「Radeon 780M」では少し前のエントリーGPU「GeForce GTX 1650」に迫る性能を持っており、重めのゲームも可能なレベルになっており、ゲームではフレーム生成機能の「AFMF」も利用できるため、数値以上に使える性能となっています。
中身はモバイル向けのCPUをデスクトップ向けに流用したものとなっているため、非常に省電力で発熱も少ないので、小型ケースなどでも採用しやすいですし、ライトユーザーには非常におすすめできるCPUです。
また、8600以降のモデルではNPU(AIユニット)も搭載しています。残念ながらAIに関しては高性能ではありませんが、将来性を考えてAI対応もしておきたい人には嬉しいと思います。
マルチスレッド性能:「7」はCoreが有利で、他は同等レベル

マルチスレッド性能は全コア稼働時の処理性能のことで、コア・スレッド数が多い方が有利な傾向があります。ゲーム性能と必ず関連がある訳ではない点に注意(ゲーム性能比較は後述)。

下記にレンダリングのベンチマークであるCinebench 2024での比較表を載せているので、見てみましょう。

Cinebench 2024 Multi
CPU名称スコア
Core Ultra 9 285K
2448
Ryzen 9 9950X
2305
Core i9-14900K
2257
Core i9-13900K
2187
Ryzen 9 7950X
2142
Ryzen 9 7950X3D
2094
Core Ultra 7 265K
2090
Core i7-14700K
1950
Ryzen 9 9900X
1829
Core i7-13700K
1713
Ryzen 9 7900X
1668
Core i9-12900K
1589
Ryzen 9 5950X
1535
Core Ultra 5 245K
1492
Core i5-14600K
1410
Ryzen 7 9800X3D
1372
Core i5-13600K
1322
Core i7-12700K
1312
Ryzen 9 5900X
1258
Ryzen 7 9700X
1208
Ryzen 7 7700X
1149
Ryzen 7 7700
1106
Ryzen 7 7800X3D
1104
Core i5-12600K
1023
Ryzen 5 9600X
975
Ryzen 5 7600X
886
Ryzen 7 5800X3D
885
Ryzen 5 7600
849
Core i5-13400F
837
Ryzen 7 5700X
826
Core i5-12400F
679
Ryzen 5 5600X
676
参考:TechPowerUp

2024年11月時点の最新世代で価格の近い競合モデル同士を比較すると、マルチスレッド性能は「7」ではCoreが有利で、その他のモデルは同程度の性能です。

ただし、実際の選定には市場価格、電力面、ゲーム性能などの他の要素も考慮する必要がある点に注意が必要です。

ゲーム性能:Ryzen X3Dが強力で、Core、Ryzen(X3D以外)と続く

高性能なGPU(グラフィックボード)と併用した際のCPUのゲーム性能について触れています。内蔵GPUの性能ではないので注意。また、そこまで高性能ではないグラフィックボードと併用する際には、新しめのCPUならどれでも大差ない点も留意しておくと良いです。

それを踏まえた上で、ハイエンドグラボと併用した場合のCPUのゲーム性能は、現状ではRyzenのX3Dモデル(大容量キャッシュ搭載)が一番強力です。

性能で強力なだけでなく、電力効率も非常に優れているため、2024年時点ではゲームでは頭一つ抜けた強さと言っても良いと思います。

本体価格は他モデルより少し高価にはなるものの、電力効率も良くなることを考えればコスト的にも悪い選択肢ではないので、ゲーム特化なら2024年10月時点ではX3Dモデル一択レベルにも感じレベルです。

その後には基本的に、Core(14000 / 13000)、Ryzen(9000 / 7000のX3D以外)、Core(Ultra 200)といった感じで続きます。

下記に「GeForce RTX 4090」を使用して重量級ゲーム(フルHD/最高設定)でのfpsを比較した表を載せておくので、詳しくはそちらを確認してみてください。

ただし、より低い性能のグラフィックボードを使用する場合にはCPUによって差は生じにくくなる他、非常に軽いゲームの場合は、マルチスレッド性能が重要になったりする点も留意してください。

10種類のゲームでの平均fps(1080p/RTX 4090)
CPU名称スコア
Ryzen 7 9800X3D
208.6
Ryzen 7 7800X3D
193.1
Core i9-14900K
186.3
Ryzen 9 7950X3D
186.1
Core i9-13900K
185.1
Core i7-14700K
182.5
Core i7-13700K
181.1
Ryzen 9 9950X
180.0
Ryzen 7 9700X
178.4
Ryzen 9 9900X
178.2
Ryzen 5 9600X
177.5
Ryzen 9 7950X
177.0
Core Ultra 9 285K
176.3
Ryzen 7 7700X
175.9
Ryzen 9 7900X
175.2
Ryzen 7 7700
174.8
Ryzen 5 7600X
173.2
Core i5-14600K
172.9
Core Ultra 7 265K
172.1
Ryzen 7 5800X3D
171.7
Core i5-13600K
170.1
Core i9-12900K
168.7
Core Ultra 5 245K
167.1
Core i7-12700K
164.2
Ryzen 9 5950X
158.2
Ryzen 9 5900X
156.2
Core i5-12600K
153.4
Core i5-13400F
145.9
Ryzen 7 5700X
147.5
Ryzen 5 5600X
147.1
Core i9-11900K
146.6
Core i5-12400F
142.7
Ryzen 7 5700G
128.7
Core i5-11400F
114.9
参考:TechPowerUp
電力面:無印(KやX無し)は大差なく省電力だけど、その他はCPUによる

電力面についての比較です。

電力面は、TDPが低く設定されているモデル(主にKやX無しモデル)の場合はどれも省電力ですが、それ以外ではCPU次第です。

前まではTDP PL2にあたる数値に近い傾向がありましたが、最近ではそれを大きく下回るCPUが増えてきたので、実測値を確認する方が良いです。

やや抜けはありますが、「全コアの最大負荷時(レンダリング)」と「ゲーム時」実測の電力テストの結果を載せておきます(海外レビュー参考)。

消費電力(Blender CPUのみ)
CPU名称消費電力
Ryzen 7 5700X
56
Ryzen 5 5600X
60
Core i5-12400F
63
Core i5-13400F
65
Ryzen 7 7800X3D
74
Ryzen 9 7900
74
Ryzen 7 7700
80
Ryzen 5 9600X
80
Ryzen 7 9700X
80
Ryzen 7 5800X3D
89
Ryzen 5 7600X
102
Ryzen 9 5950X
117
Core i5-12600K
119
Ryzen 9 5900X
133
Core Ultra 5 245K
134
Ryzen 7 7700X
135
Core i5-13600K
139
Core i5-14600K
145
Ryzen 9 7950X3D
147
Ryzen 7 9800X3D
155
Core Ultra 7 265K
155
Core i7-12700K
164
Ryzen 9 9900X
173
Ryzen 9 7900X
197
Core i7-13700K
212
Ryzen 9 9950X
220
Core i7-14700K
222
Core Ultra 9 285K
235
Core i9-12900K
237
Ryzen 9 7950X
260
Core i9-13900K
279
Core i9-14900K
281
参考:TechPowerUp
消費電力(13ゲーム平均)
CPU名称消費電力
Core i5-12400F
40
Ryzen 7 7800X3D
46
Ryzen 5 5600X
47
Core i5-13400F
48
Ryzen 7 5700X
49
Ryzen 7 5800X3D
58
Ryzen 7 7700
60
Core Ultra 5 245K
61
Core i5-12600K
61
Ryzen 7 9800X3D
65
Ryzen 5 9600X
66
Ryzen 5 7600X
66
Ryzen 9 7950X3D
68
Ryzen 7 7700X
70
Ryzen 9 7900
71
Ryzen 7 9700X
71
Core i7-12700K
74
Core i5-14600K
76
Core Ultra 7 265K
77
Core i5-13600K
79
Core Ultra 9 285K
94
Ryzen 9 5900X
98
Core i9-12900K
98
Ryzen 9 9900X
100
Core i7-13700K
102
Ryzen 9 9950X
104
Ryzen 9 7900X
104
Ryzen 9 5950X
108
Core i7-14700K
116
Ryzen 9 7950X
116
Core i9-13900K
145
Core i9-14900K
149
参考:TechPowerUp

上述の表を見ると、KやXの無い省電力なモデルはどちらも良好な結果を示していますが、それ以外ではRyzenの方が全体的に消費電力が少ないことが分かると思います。

プロセス面などを見てもRyzenの方が有利なこともあり、やはり電力面ではRyzenの方が基本有利です。特に、CoreのK付きの電力面は全体的に悪いですし、下記のような問題(後述)も出てきているので、電力面を気にするなら現状はRyzenの方がおすすめです。

ただし、Coreでは小型コアが含まれる関係で、アイドル消費電力に関してはCoreの方がやや少なめな傾向があるので、アイドル時間が長い場合にはCoreも有力です。

注意:第13世代・14世代のCoreの電力設定不具合による問題

第13・14世代のCoreでは、電力設定の不具合で仕様よりも高い負荷で動作する不具合があるようで、そのまま使い続けるとエラーが出たり動作が不安定になったり、CPUにダメージが入る(要確認)ことにより使用を始めた当初よりもパフォーマンスが低下する問題などが報告されており、Intelもこの問題を認めています。

2024年8月現在では問題修正用のBIOSが各社から提供されているので、そちらを適用すれば問題ないですが、既存のマザーボードやPCでは適用されていない可能性もあるので確認が必要となる点に注意が必要です。

しかし、そもそもCoreのK付きに関しては、該当の不具合が無かったとしても電力面は悪くて勧められるものではなかったので、Coreを選ぶならK無しモデルが安心だとは思います。

内蔵GPU:Ryzen 8000Gがズバ抜けて高性能

内蔵GPUについては、グラフィックボードを搭載する場合には基本気にする必要がない部分ですが、搭載しない場合には重要です。GPUを搭載しないモデルもあるので、必要な場合には事前のチェックを忘れずにしましょう。

現行モデルの内蔵GPUの性能は、Ryzen 8000Gがズバ抜けて高性能となっています。Coreには2024年2月時点では対抗できるモデルが無いため、実質的に独壇場となっています。各性能はざっくり下記のようになっています。


内蔵GPU比較(2024年10月時点)
項目Core Ultra 200

Ryzen 7000 / 9000

第13,14世代CoreRyzen 8000
内蔵GPUIntel Graphics
(Xe-LPG 4コア)
Radeon Graphics
(RDNA2 / 2CU)
UHD Xe Graphics 770
UHD Xe Graphics 730
※730はCore i5 400番台以下
Radeon 780M(12CU)
Radeon 760M(8CU)
Radeon 740M(4CU)
内蔵GPUの有無
ほぼ全モデルで選択可能
※末尾Fが非搭載
ほぼ全モデル搭載
※末尾Fのみ非搭載
ほぼ全モデルで選択可能
※末尾Fが非搭載
ほぼ全モデル搭載
※末尾Fのみ非搭載
ゲーム性能
3DMark Time Spy
やや高性能
2,200程度
低性能
720 程度
低性能
700~800 程度
高性能
780M:3,350程度
760M:2,700程度
740M:1,900程度


内蔵GPUの性能は、Ryzen 8000Gシリーズが最も高いです。先代のRyzen 5000GのVegaからRDNA 3アーキテクチャへと世代が一気に更新し、性能が飛躍的に向上しました。
次点は「Core Ultra 200」で、こちらも先代と比べると性能が飛躍的に向上し、軽いゲームなら快適にプレイすることが可能になりました。

最後に残りのモデル、「第13、14世代Core」および「Ryzen 7000 / 9000」ですが、これらの内蔵GPU性能は低性能です。先に触れた「Ryzen 8000G」と「Core Ultra 200」の3分の1/3~1/5程度の最低限の性能です。ただ、どのモデルもAV1デコードには対応しているので、動画視聴での不自由はないのでその点は安心して大丈夫です。

まずRyzen 8000から見ていきます。上位の「Ryzen 7 8700G」搭載の「Radeon 780M」のゲーム性能は「GeForce GTX 1650」という少し前のエントリーグラボに迫るレベルにまでなっており、軽いゲームなら非常に快適ですし、やや重めのタイトルも設定など次第である程度動かせるレベルになっています。更に、2024年1月下旬に「AFMF」というフレーム生成機能がRadeon(RDNA 2以降)で非常に手軽に利用できるようになったので、実質ゲーム性能は更に上がります。内蔵GPUながら重量級ゲームも大体動作はできるという凄い内蔵GPUになっています。

「Ryzen 7 8700G」の一つ下位の「Ryzen 5 8600G」だとGPUコア数が12→8へと減少するため、どちらにするか迷う人が多いと思いますが、760Mでも性能低下は思ったよりも小さくて1~2割程度に留まるので、軽い処理前提なら8600Gでも意外と実用性面での差はあまり無いと思います。

しかし、更に一つ下の「Ryzen 5 8500G」ではGPUコア数が4つになってしまい「Ryzen 7 8700G」の3分の1です。そのため、グラフィック性能は大きく下がるので注意が必要です。とはいえ、グラフィック性能は3分の1までは下がらず、3~4割減に留まっているので、軽い処理しかしないなら十分ではあります。ただ、8700Gや8600Gでは搭載するNPU(AI処理用のユニット)が無くなっていたり、グラボ用のPCIeレーンがx4しか用意されていなかったり、CPUのコアも小型コアが含まれていたり、かなりのコストカットが施されたモデルとなっているので、出来れば8600Gか8700Gの方がおすすめです。

「Core Ultra 200」の「Intel Graphics 4コア(Xe-LPG)」は、前のUHD 770の3倍近い性能となっており、軽い処理なら非常に快適になりました。性能的には「Ryzen 5 8500G」のGPUに近いですが、そちらと違ってグラボのレーン数はしっかり確保されているので、後にグラボ有り運用へ移行する場合にも不安がないのは魅力です。NPU搭載もあるので、Ryzen 5 8500Gよりは少し有利です。

NPU:Core Ultra 200 と Ryzen 8000(8600以降)で搭載

「NPU」はAI処理用のユニットです。2023年頃から急速にAI発展&普及が進んでおり、NPUを搭載するプロセッサが多くなっています。WindowsにもAI機能が統合されるなど、NPUは非常に注目されている項目です。

ただし、最近ではGPU(グラボ)も非常に優れたAI処理性能を持ち合わせていることが基本なので、ゲーミングPC利用が多いデスクトップ向けプロセッサでは、モバイル端末ほどはNPUは重要ではない点は留意しておいて良いかなと思います。

2024年10月時点のWindowsデスクトップ向けのプロセッサとしては、「Core Ultra 200」および「Ryzen 8000(8600以降)」でNPUが搭載されています。


NPU比較(2024年10月時点)
項目Core Ultra 200Ryzen 8000
※8600以降
Core 第13、14世代
Ryzen 7000 /9000
NPUIntel AI Boost
(NPU3)
AMD Ryzen AI
(XDNA)
無し
ピーク性能
13TOPS
16TOPS


「Core Ultra 200」および「Ryzen 8000(8600以降)」のAIの最大理論性能は13~16TOPSとなっています。この数値はあまり高くはないです。モバイル向けの最新プロセッサだと50TOPS前後です。

しかし、10TOPS台でもIntelは多くのアプリケーションで活用できるとしています。スマホではもっと低性能なNPUでもAI処理を取り入れた端末もあるので、これは事実だと思います。

GPUで十分なAI性能があるとしても、NPUの方が基本的には効率では優れており、NPU処理できるものは任せた方がGPU負荷を下げることにも繋がるのでメリットはありますので、その辺りも考慮して判断することになります。

メモリ:第13,14世代CoreはDDR4にも対応

メモリについては、第13、14世代CoreはDDR4とDDR5の両方に対応できるのが強みです(DDR4とDDR5は互換性がなく、マザーボードによって決まるので注意)。DDR5の方がやや高価なので、安価な選択肢があるDDR4の方が有利と言えます。

しかし、DDR5の方が大幅に高速ですし、今後主流になるのはDDR5です。将来性や使い回す可能性を考慮するとDDR5の方が有利です。

しかし、現状の多くのアプリケーションではDDR4でもパフォーマンスが大して変わらない(参考:https://www.techspot.com/review/2351-intel-core-i9-12900k/)という検証結果もあるため、メモリ帯域幅が重要な処理をほとんどせず、パーツの流用なども考えない人は、DDR4でも実用性は実は大して変わらないようです。そのため、DDR4も予算節約を重視する場合には選択肢に入ります。

とはいえ、これから出てくるCPUはDDR5に統一されていくと思いますし、消費電力が若干下がっているというメリットもあるので、将来性も加味すれば出来ればDDR5の方が個人的にはおすすめです

付属クーラー比較:省電力モデルのみ搭載で、どれも最低限な性能

付属クーラーについての比較ですが、CoreとRyzenのどちらともTDP(PL1)が65W以下のKやXが付かないモデルのBOX品において付属します(一部例外モデルもあるので事前に要チェック)。TDPが65Wを超えるモデルについては付属しないため注意してください。

省電力モデルにしか付属しないことからも推測できますが、CPU付属クーラーは基本的に冷却性能が低いです。これはIntelもAMDも共通です。基本的に使えれば良いというレベルのもので、静音性と冷却性は共に良くはないです。その点は留意した上で使用するか検討する必要があります。特に、BTOや既製品を購入する場合には初期構成では付属クーラーの場合もあるため、事前の確認は必要です。

別売りの2,000円~程度の安価なクーラーでも大きく性能が向上するため、出来れば別途用意することを個人的にはおすすめしますが、クーラーが付属するモデルが大体65W~88W程度の省電力CPUなので、静音性の低ささえ気にならないなら使用自体には問題はないレベルだと思います。グリスだけ別のものを用意して使うというのも選択肢としては十分ありだと思います。

各モデルごとの比較【最新世代】

ここでは、各モデルナンバーごとで比較していきます。

Core シリーズとRyzen シリーズは、Core i9にはRyzen 9、Core i7にはRyzen 7といったように、各モデルナンバーごとに対抗製品が存在します。

そのため、各対抗製品同士を比較することによって、両者の差をより分かり易く知る事ができます。

以下から主要シリーズの主流製品をざっくりと比較しながら見ていきます。

補足説明
  • Coreでは高性能コア(Pコア)と高効率コア(Eコア)の2種類のコアが搭載されていますが、クロックは高性能コアのものを掲載しています。
  • 内蔵GPUは末尾Fモデルでは搭載されない点に注意(Ryzen 5000以下は末尾G以外非搭載)
  • TDP(PL2)が実質の最大消費電力の目安です。PL1やベース電力は、PL2を維持するには冷却や電力に問題がある場合に適用されます。また、省電力モデルでは冷却などに問題がなくてもPL2の継続持続時間に制限が設けられており、一定時間後にPL1に移行するようになっているモデルもあります。


Core Ultra 9 / i9 と Ryzen 9

Core Ultra 9 / i9およびRyzen 9は主流CPUにおける最上級モデルです。いわゆるハイエンドと呼ばれる区分に含まれ、ハイエンドの中でも最上位の製品群となります。
主流CPUとしてトップの性能を誇り、両者素晴らしい性能を持っています。その代わり価格は非常に高く、人気モデルの価格は8~11万円程度となっています(2024年11月時点)。

Core Ultra 9 / i9と Ryzen 9(2024年11月時点)
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング※
消費電力
発熱
Core Ultra 9
Core Ultra 9(200)
24コア24スレッド
285K 等
★5.0★5.0★4.5★2.0
Ryzen 9(9950X)
16コア32スレッド
Ryzen 9 9950X
★5.0★5.0★4.5★2.0(X)
Core i9(第13,14世代)
24コア32スレッド
13900K、14900K 等
★5.0★5.0★4.75★1.25
Ryzen 9(7950系)
16コア32スレッド
7950X、7950X3D 等
★5.0★4.75★4.75(X3D)
★4.5(その他)
★2.75(X3D)
★1.75
(X)
Ryzen 9(9900X)
12コア24スレッド
Ryzen 9 9900X
★4.5★5.0★4.5★2.75(X)
Ryzen 9(7900系)
12コア24スレッド
7900X、7900X3D 等
★4.5★4.75★4.75(X3D)
★4.5(その他)
★4.0(無印)
★3.0(X3D)
★2.25
(X)

Ryzen 9(5000番台)
12/16コア
24/32スレッド
5900X、5950X 等
★4.5(16コア)
★4.0(12コア)
★3.75★4.0★3.25
※ゲーム性能評価はハイエンドGPUとの併用時のもの。


Core Ultra 9 / i9とRyzen 9の人気モデルを一部抜粋して比較しています。クロックは最も高性能なコアのものです。

主要スペック
CPUCinebench R23
Multi
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
コスパ電力効率参考価格
Core Ultra 9 285K42,88924/243.7 / 5.7GHz125W250W0.3701716115,800円
Ryzen 9 9950X42,06216/324.3 / 5.7GHz170W230W0.366182.9114,800円
Core i9-14900K40,58124/323.2 / 6.0GHz125W253W0.492162.882,480円
Core i9-14900KF40,58124/323.2 / 6.0GHz125W253W0.527162.876,980円
Core i9-13900K38,88924/323.0 / 5.8GHz125W253W157.9
Core i9-13900KF38,88924/323.0 / 5.8GHz125W253W157.9
Ryzen 9 7950X38,65716/324.5 / 5.7GHz170W230W0.455168.184,980円
Ryzen 9 7950X3D35,76916/324.2 / 5.7GHz120W162W0.341220.8104,800円
Core i9-1490033,82024/322.0 / 5.8GHz65W219W0.399154.484,800円
Core i9-14900F33,82024/322.0 / 5.8GHz65W219W0.408154.482,800円
Core i9-1390032,60524/322.0 / 5.6GHz65W219W148.9
Core i9-13900F32,60524/322.0 / 5.6GHz65W219W148.9
Ryzen 9 9900X32,49112/244.4 / 5.6GHz120W162W0.404200.680,450円
Ryzen 9 7900X29,51612/244.7 / 5.6GHz170W230W0.463128.363,800円
Ryzen 9 5900XT?16/323.3 / 4.8GHz105W142W60,800円
Ryzen 9 7900X3D27,08412/244.4 / 5.6GHz120W162W0.304167.288,980円
Ryzen 9 790025,06212/243.7 / 5.4GHz65W88W0.406284.861,800円
Cinebench R23 Multi
CPU名称スコア
Core Ultra 9 285K
42889
Ryzen 9 9950X
42062
Core i9-14900K
40581
Core i9-13900K
38889
Ryzen 9 7950X
38657
Ryzen 9 7950X3D
35769
Core i9-13900
32605
Ryzen 9 9900X
32491
Ryzen 9 7900X
29516
Ryzen 9 5950X
28641
Core i9-12900K
27198
Ryzen 9 7900X3D
27084
Ryzen 9 7900
25062
Ryzen 9 5900X
21878
10ゲームの平均fps(1080p/RTX 4090)
CPU名称スコア
Core i9-14900K
186.3
Ryzen 9 7950X3D
186.1
Core i9-13900K
185.1
Ryzen 9 9950X
180.0
Ryzen 9 9900X
178.2
Ryzen 9 7950X
177.0
Core Ultra 9 285K
176.3
Ryzen 9 7900X
175.2
Ryzen 9 7900
171.3
Core i9-12900K
168.7
Ryzen 9 5950X
158.2
Ryzen 9 5900X
156.2
参考:TechPowerUp
消費電力(高負荷時 / Belnder)
CPU名称スコア
Ryzen 9 7900
74
Ryzen 9 5950X
117
Ryzen 9 5900X
133
Ryzen 9 7950X3D
147
Ryzen 9 9900X
173
Ryzen 9 7900X
197
Ryzen 9 9950X
220
Core Ultra 9 285K
235
Core i9-12900K
237
Ryzen 9 7950X
260
Core i9-13900K
279
Core i9-14900K
281
参考:TechPowerUp
消費電力(13ゲーム平均)
CPU名称スコア
Ryzen 9 7950X3D
68
Ryzen 9 7900
71
Core Ultra 9 285K
94
Core i9-12900K
98
Ryzen 9 5900X
98
Ryzen 9 9900X
100
Ryzen 9 9950X
104
Ryzen 9 7900X
104
Ryzen 9 5950X
108
Ryzen 9 7950X
116
Core i9-13900K
145
Core i9-14900K
149
参考:TechPowerUp
重視項目・用途別のおすすめCPU(Core i9 / Ryzen 9)

筆者が選ぶ、用途や重視項目別のおすすめCPUを表にざっとまとめています。末尾Fは省略しているので注意(内蔵GPUが使えない以外は同じ性能)。


重視項目おすすめCPU
※上の方が高評価
総合・実用コスパRyzen 9 7950X3D / 7900X3D >
Core i9-14900K / 13900K
Ryzen 9 7950X / 7900 ≧
Core Ultra 9 285K / Ryzen 9 9950X
ゲーム性能
※高性能グラボ使用時
Ryzen 9 7950X3D / 7900X3D >
Core i9-14900K / 13900K
Ryzen 9 9950X / 9900X 
マルチスレッド性能Core Ultra 9 285K ≧
Ryzen 9 9950X ≧
Core i9-14900K
/ 13900K
Ryzen 9 7950X3D / 7950X
電力・発熱面Ryzen 9 7950X3D / 7900X3D / 7900
Core i9-14900
 / 13900
NPUCore Ultra 9 285K

下記からは、一部のCPUをピックアップして、所感をざっくりと触れていきます。

Core Ultra 9 285K:競合に劣るゲーム性能が懸念点。NPU搭載をどれだけ重視するか

アーキテクチャ完全刷新のCoreの新世代の「Core Ultra 9 285K」です。

Pコアが1コア=1スレッドになったため、スレッド数は大幅に減少したものの、Eコアの性能が大きく向上したので、24コアによるマルチスレッド性能は非常に優れており、「Ryzen 9 9950X」や「Core i9-14900K」を少し上回る圧倒的な性能です。

ただし、ゲーム性能が競合に劣るのがハイエンドCPUとしては致命的に感じるところです。「Ryzen 9 9950X」や「Core i9-14900K」にも若干劣り、「Ryzen 9 7950X3D」を含むRyzen X3Dには大きく劣るゲーム性能です。

ゲーム時の電力・温度面は先代よりは改善しているものの、これは先代が悪すぎたのが大きいので、今回の「Core Ultra 9 285K」も普通に悪い部類です。コア数の割には優秀だよねってレベルです。当然、Ryzen X3Dモデルを上回るほどではなく、やはり肝心のゲーム自体のパフォーマンスが劣っていると評価は難しいです。

性能だけ見ると正直微妙感がありますが、明確な優位性としては「NPU」の搭載があります。最大13TOPSなので高性能ではありませんが、競合のRyzen 9000や前世代ではNPUは搭載されていません。今後のAIの将来性を見ると気になる項目です。

ただし、最近の高性能なグラボはAI性能も非常に高いので、NPUが大きな優位性になるかと言われるとそうでもない点は留意。GPUからAI処理を切り分けられるケースがあるということをどれだけメリットに感じるかという感じですね。

Ryzen 9 7950X3D:優れたゲーム性能と電力効率で、一番おすすめのモデル

2024年10月時点の「9」モデルで一番おすすめなのは、「Ryzen 9 7950X3D」です。

16コア32スレッドによる非常に優れたマルチスレッド性能に加え、「3D V-Cache」という追加のキャッシュメモリが搭載されていることで、合計128MBという驚異的なL3キャッシュを備えており、競合モデルよりもゲーム性能でも優れているのが魅力です。「Core Ultra 9 285K」や「Core i9-14900K」を少し上回るゲーム性能です。

更に、標準のTDPが120W~162Wに設定されており、このクラスのハイエンドCPUにしては消費電力も少なめで電力効率も非常に優れているのが非常に嬉しい点です。空冷でも高性能なものなら運用可能なレベルです。

電力が制限されているため、最大のマルチスレッド性能自体は、Core i9-14900KやRyzen 9 7950Xに少し劣りはするものの(-10%~ほど)、十分に高性能で実用性に大きな影響があるほどではないです。

Core i9-14900Kは電力面が弱点だったり、Ryzen 9 7950Xはゲーム性能が少し低いのが弱点だったり、他の同クラスCPUはどこかしらに少し劣る面がある中で、目立った弱点がないのが好印象なのが「Ryzen 9 7950X3D」です。

しかし、ネックなのは価格です。2024年8月時点でのCPU単体価格はCore i9-14900Kと同等ですが、初動価格が高価だったことや需要の大きさのせいか、BTOなどではCore i9よりも一段高価となっていることが多いです。

ただし、個人的には多少高価だとしても価値を感じれる総合性能はあると思うCPUです。

Core i9-14900K:性能は良いけど、電力面はかなり悪い

Core i9-14900K/13900Kは、24コア32スレッドによる非常に優れたマルチスレッド性能と、優れたゲーム性能が魅力のハイエンドCPUです。

その性能は素晴らしいですが、気になるのは電力面です。消費電力が非常に多いため、CPUクーラーは水冷が必須レベルになりますし、電力効率もRyzenに劣っているため、電力・発熱面を気にするならおすすめはできないCPUです。

使うにしても、ある程度電力を制限して利用することをおすすめしたいCPUとなっています。

上述の理由から、そこまでおすすめのモデルではないのですが、BTOなどではRyzenよりもやや安価になっていることが多いため、初期費用の安さと電力面を抜きにしたコスパの良さから選ばれることが多い気がするCPUです。

個人的には、どうせ高い費用を掛けるなら2万円の費用を追加してでも「Ryzen 9 7950X3D」を選ぶことをおすすめしたいですが、Core i9も処理性能自体は優れているのは間違いなく、処理性能のみのコスパも悪くないのも事実なので、人によって評価が分かれるCPUだと思います。

Ryzen 9 9950X / 7950X:優れたマルチスレッド効率が魅力だが、ゲームではX3DやCore i9の方が強い

「Ryzen 9 9950X / 7950X」は16コア32スレッドによる非常に優れたマルチスレッド性能と、優れたマルチスレッド効率が魅力のCPUです。

9950Xは「Zen 5」アーキテクチャ採用なので7950Xとは世代が異なりますが、基本的な特徴はそのままに少し強化されただけという感じなので、まとめて扱うことにします。

マルチスレッド性能は強力なコスパと効率を備えたハイエンドCPUですが、ゲーム性能ではCore i9-14900KやRyzen 7000X3Dに少し劣るのが弱点です。

また、標準設定では水冷推奨レベルで消費電力が多く、14900Kほどでないものの扱いにくいのもやや気になります。

確かにマルチスレッド性能と効率に限れば強力ではあるのですが、そこもRyzen 9 7950X3Dと実用性を画するほどの差がないですし、ほとんどの消費者にとってはゲーム性能と電力面の良さの方が重要度が高いので、あえて選ぶ理由があるかと言われると正直微妙に感じるCPUです。

Ryzen 9 7900(無印):コスパ的には良くはないけど、電力面は非常に強力

「Ryzen 9 7900」は12コア24スレッドで65W~88Wの省電力CPUです。価格は2024年10月時点で6万円程度なので、どちらかというとCore i7に近い立ち位置のCPUです。

このCPUの魅力は省電力さと非常に優れたマルチスレッド効率です。他の「9」モデルと比べるとやや低性能ですが、12コア24スレッドの処理性能は十分に高性能で、非常に優れたマルチスレッド性能を発揮します。

ゲーム性能は他の競合CPUより若干劣るものの、その省電力さのおかげでゲーム時の電力効率は悪くないのも魅力です。

また、無印モデルでは「Wraith Prism RGB」クーラーが付属し、これが付属品にしては悪くない性能です。標準の最大88Wなら実用レベルなので、費用を抑える選択肢として考えることができるのも強みです。

突出した性能やコスパの良さこそありませんが、電力面の良さ、AM5の長期サポートの期待、目先のコスパや性能よりもバランス重視の思考の人向きのCPUとして、割とおすすめできるCPUです。


Core Ultra 7 / i7 と Ryzen 7

Core Ultra 7 / i7およびRyzen 7は主流CPUにおける上級モデル(上から2番目)です。立ち位置はハイクラスと呼ばれる区分に入りますが、現在では性能が非常に高くなっているので、ハイエンドと評しても良いレベルです。
人気モデルの価格はおおよそ4万円中盤~6万円程度となっています(2024年10月時点)。
性能は9モデルよりはやや劣るものの、十分に高性能です。ハイエンド用途でも使える性能を持ち、ゲーミング性能だけなら9と大差ないことも多いので、性能もさほど妥協しないコスパ重視CPUとして人気のシリーズとなっています。

Core Ultra 7 / i7と Ryzen 7(2024年11月時点)
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング※
消費電力
発熱
Core Ultra 7
Core Ultra 7(200)
20コア20スレッド
265K 等
★4.75★5.0★4.5★2.75(K)
Ryzen 7 9800X3D
8コア16スレッド
★4.0★5.0★5.0+★4.25(ゲーム)
★2.75(全コア負荷)
Ryzen 7 9700X
8コア16スレッド
★3.75★5.0★4.5★4.25
Core i7(第14世代)
20コア28スレッド
14700F、14700K 等
★4.75★4.75★4.75★4.0(K無し)
★1.5
(K)
Core i7(第13世代)
16コア24スレッド
13700F、13700K 等
★4.5★4.75★4.75★4.0(K無し)
★1.75
(K)
Ryzen 7 7800X3D
8コア16スレッド
★3.75★4.5★5.0★4.5(ゲーム)
★4.25(全コア負荷)
Ryzen 7 7000 X3D以外
8コア16スレッド
7700X 等
★3.75★4.75★4.5★4.25(無印)
★3.0(X)
Ryzen 7(8000G)
8コア16スレッド
8700G 等
高性能内蔵GPU
★3.5★4.25★3.75★4.0
Ryzen 7(5000番台)
8コア16スレッド
5700X 等
★3.25★3.75★4.5(X3D)
★4.0
★3.5
※ゲーム性能評価はハイエンドGPUとの併用時のもの。


Core Ultra 7 / i7とRyzen 7の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPUCinebench R23
Multi
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
コスパ電力効率参考価格
Core Ultra 7 265K36,82320/203.9 / 5.5GHz125W250W0.528147.369,800円
Core Ultra 7 265KF36,82320/203.9 / 5.5GHz125W250W0.542147.367,980円
Core i7-14700K35,23720/283.4 / 5.6GHz125W253W0.598140.658,880円
Core i7-14700KF35,23720/283.4 / 5.6GHz125W253W0.635140.655,480円
Core i7-13700K30,62916/243.4 / 5.4GHz125W253W122.8
Core i7-13700KF30,62916/243.4 / 5.4GHz125W253W122.8
Core i7-1470028,45220/282.1 / 5.4GHz65W219W0.517129.954,980円
Core i7-14700F28,45220/282.1 / 5.4GHz65W219W0.571129.949,800円
Core i7-1370024,96016/242.1 / 5.2GHz65W219W113.1
Core i7-13700F24,96016/242.1 / 5.2GHz65W219W113.1
Ryzen 7 9800X3D22,9118/164.7 / 5.2GHz120W162W0.264114.086,800円
Ryzen 7 9700X20,8248/163.8 / 5.5GHz65W88W0.343236.660,800円
Ryzen 7 7700X19,9738/164.5 / 5.4GHz105W142W0.418140.747,800円
Ryzen 7 770018,7208/163.8 / 5.3GHz65W88W0.409212.745,800円
Ryzen 7 7800X3D18,4758/164.2 / 5.0GHz120W162W0.226114.081,800円
Ryzen 7 8700F18,0408/164.1 / 5.1GHz65W88W0.392205.046,000円
Ryzen 7 8700G17,6768/164.2 / 5.1GHz65W88W0.357192.049,470円
Ryzen 7 5700X14,2118/163.4 / 4.6GHz65W76W0.569187.024,980円
Ryzen 7 5700G14,0418/163.8 / 4.6GHz65W88W0.487159.628,860円
Ryzen 7 5700X3D13,7868/163.0 / 4.1GHz105W142W0.394105.734,980円
Cinebench R23 Multi
CPU名称スコア
Core Ultra 7 265K
36823
Core i7-14700K
35273
Core i7-13700K
30629
Core i7-13700
24960
Ryzen 7 9800X3D
22911
Core i7-12700K
22812
Core i7-12700
21568
Ryzen 7 9700X
20824
Ryzen 7 7700X
19973
Ryzen 7 7700
18720
Ryzen 7 7800X3D
18475
Ryzen 7 8700G
17676
Ryzen 7 5800X
15245
Ryzen 7 5800X3D
15003
Ryzen 7 5700X
14211
Ryzen 7 5700G
14041
10ゲームの平均fps(1080p/RTX 4090)
CPU名称スコア
Ryzen 7 9800X3D
208.6
Ryzen 7 7800X3D
193.1
Core i7-14700K
182.5
Core i7-13700K
181.1
Ryzen 7 9700X
178.4
Ryzen 7 7700X
175.9
Ryzen 7 7700
174.8
Core Ultra 7 265K
172.1
Ryzen 7 5800X3D
171.7
Core i7-12700K
164.2
Ryzen 7 5700X
147.5
Ryzen 7 5700G
128.7
参考:TechPowerUp
消費電力(高負荷時 / Belnder)
CPU名称スコア
Ryzen 7 5700X
56
Ryzen 7 7800X3D
74
Ryzen 7 9700X
80
Ryzen 7 7700
80
Ryzen 7 5700G
81
Ryzen 7 5800X3D
89
Ryzen 7 7700X
135
Ryzen 7 9800X3D
155
Core Ultra 7 265K
155
Core i7-12700K
164
Core i7-13700K
212
Core i7-14700K
222
参考:TechPowerUp
消費電力(13ゲーム平均)
CPU名称スコア
Ryzen 7 5700G
44
Ryzen 7 7800X3D
46
Ryzen 7 5700X
49
Ryzen 7 5800X3D
58
Ryzen 7 7700
60
Ryzen 7 9800X3D
65
Ryzen 7 7700X
70
Ryzen 7 9700X
71
Core i7-12700K
74
Core Ultra 7 265K
77
Core i7-13700K
102
Core i7-14700K
116
参考:TechPowerUp
重視項目・用途別のおすすめCPU(Core Ultra 7 / i7 , Ryzen 7)

筆者が選ぶ、用途や重視項目別のおすすめCPUを表にざっとまとめています。末尾Fは省略しているので注意(内蔵GPUが使えない以外は同じ性能)。


重視項目おすすめCPU
※上の方が高評価
総合・実用コスパRyzen 7 5700X >
Core i7-14700

Ryzen 7 7800X3D
ゲーム性能
※高性能グラボ使用時
Ryzen 7 9800X3D >
Ryzen 7 7800X3D
 >
Core i7-14700K
Ryzen 7 7700(X)
/ 9700X
マルチスレッド性能Core Ultra 7 265K ≧
Core i7-14700K
 >
Core i7-14700 ≧
Ryzen 9 9800X3D ≧
Ryzen 7 7700(X)
/ 9700X
電力・発熱面Ryzen 7 7800X3D / 7700 ≧
Ryzen 7 9800X3D(ゲーム時) >
Core i7-14700 , Ryzen 7 5700X
安さRyzen 7 5700X
内蔵GPU
※グラボ無し構成
Ryzen 7 8700G >
Core Ultra 7 265K
NPURyzen 7 8700G(~16TOPS)
Core Ultra 7 265K(~13TOPS)

Core Ultra 7 265K:競合に劣るゲーム性能が残念。NPU搭載をどう捉えるか

待望のアーキテクチャ完全刷新のCoreの新世代の「Core Ultra 7 265K」です。プロセスの大幅微細化のおかげで先代の「Core i7-14700K」から電力面が格段に改善されています。

Pコアが1コア=1スレッドになったため、スレッド数は大幅に減少したものの、Eコアの性能が大きく向上したので、20コアによるマルチスレッド性能は非常に優れています。先代の14700Kをも少し上回り、「Ryzen 7」には圧倒的な差を付けて優位に立っています。性能自体もコスパもマルチスレッド性能では非常に強力です。

ただし、ゲーム性能が競合に劣るのが残念です。先代の「Core i7-14700K」や「Ryzen 7 9700X」には少し劣り、「Ryzen 7 7800X3D」には大きく劣ります。最新世代のK付きの上位CPUながら、一つ前の世代の省電力CPUと競うレベルになっています。ゲーム性能は特に注目度の高い項目なので、ここが劣っているのがやはり致命的に感じます。

電力面も、先代の「Core i7-14700K」と比べると劇的に改善しており、空冷でも高性能なクーラーなら運用が可能そうなレベルにまでになっているのは良い部分です。ただし、やはりクロックや電力設定が高いK付きなので、「Ryzen 7 7800X3D」や他の省電力CPUと比べると一段劣ります。その上で上述のゲーム性能が劣る点があるので、ユーザーのニーズ的に評価は厳しくなりそうです。

性能だけ見ると正直微妙感がありますが、明確な優位性としては「NPU」の搭載があります。最大13TOPSなので高性能ではありませんが、競合のRyzen 9000や前世代ではNPUは搭載されていません。今後のAIの将来性を見ると気になる項目です。

ただし、最近の高性能なグラボはAI性能も非常に高いので、NPUが大きな優位性になるかと言われるとそうでもない点は留意。GPUからAI処理を切り分けられるケースがあるということをどれだけメリットに感じるかという感じです。

Ryzen 7 9800X3D:ゲーム最強CPUだが、価格は高いので実用コスパに注意

ゲーム性能で競合製品にやや差を付けてトップの君臨するゲーム最強CPUです(2024年11月時点)。

「3D V-Cache」というL3キャッシュが64MB搭載されており、合計96MBという大容量L3キャッシュを備えているため、ゲーム性能が非常に優れているのが特徴です。ゲーム性能は一般消費者が特に意識する性能なので、そこが強力なのが大きいです。

先代の7800X3Dでは「3D V-Cache」がCCDの上にあることにより、コアの冷却が難しいという課題がありましたが、9800X3DではCCDの下に配置されるようになったため、コアの冷却がしやすくなり、クロックが上がった上にオーバークロックが可能になりました。

そのおかげで、ハイエンドGPU使用時のゲーム性能は2024年11月時点ではダントツに近いレベルのトップとなり、マルチスレッド性能も先代から20%以上向上し、8コアCPUとしては非常に強力となりました。

ただし、高負荷なマルチスレッド処理時には消費電力が大幅に増加し、発熱も増えてしまっているので、マルチスレッド処理を多用するなら少し電力制限をした方が良いかもしれません。

そして、一番のネックは価格です。発売時の価格は86,800円となっており、8コアCPUとしては超高価です。マルチスレッド性能コスパは明らかに悪い点は要注意です。

それでも、マルチスレッド性能はほとんどの人にとって十分な性能ですし、ゲーム性能は重視する人が多いので需要はあるし売れると思います。

ですが、上述のようなゲーム性能の強力さというのは、あくまで同じGPU(ハイエンド)で比較しや場合の話です。それよりもfpsが出にくい低性能なGPUの場合には、fps自体が下がることでCPUがボトルネックになりにくくなるので、差がやや縮まる傾向がありますし。1440pや4Kなど解像度が高くなる場合も、描写負荷が高まってGPUの方がボトルネックになりやすくなるので、CPUのゲーム性能差はでにくくなります。

そのことを考慮すると、いくらゲームで強力でも、超高価な8コアCPUを導入するよりもGPUのグレードを一つ上げた方が最終的なゲーム性能は高まるというケースはかなり多いと思うので、その辺りも考慮して選択したいCPUではあります。

Ryzen 7 5700X:旧世代だけど、非常に安価で超高コスパなCPU

「7」モデルで予算節約も考えた上でのコスパ重視で筆頭となるのは、「Ryzen 7 5700X」です。

旧世代のため各種性能は最新世代には劣るものの、2万円台前半という安さが非常に強力です。旧世代のおかげでマザーボードも安価な上、メモリも安価なDDR4なので、実質コスパは更に良くなります。

また、旧世代ながら電力面も優秀で、省電力・低発熱で効率も悪くないというのも選び易いです。

他の最新のCore i7 / Ryzen 7と比べるとマルチスレッド性能は大きく劣りはするものの、性能自体は十分に高性能と言えるレベルで一般用途は困ることはほとんどないです。

ゲーム性能が劣るのは気になる点だとは思いますが、このレベルの安さのCPUの場合、ハイエンドグラボと組み合わせることがほぼなくて、ミドルレンジ以下のGPUなら多少ゲーム性能が低くてもネックになりにくいので、意外と気にならない部分です。

むしろ、安さの分グラボのグレードを一つ上げることができるレベルですから、旧世代なのにゲーム面でも実質的にはマイナスではないというのがズルい強さ。

ちなみに、5700Xにも「3D V-Cache」を搭載した5700X3Dというモデルがあり、こちらならCPUのボトルネック問題も若干改善できます。ただし、最大クロックは下がったりしますし、価格も上がるのでこちらはやや評価が難しいです。

キャッシュ容量の恩恵を受けにくいゲームではむしろ5700Xに劣るケースもあるので、安さの強みを最大化するためにも、5700Xの方が安定の選択だと思います。

Core i7-14700(F:省電力で優れた総合コスパの安定CPU

Core i7-14700(F)は、20コア28スレッドによる高いマルチスレッド性能を持ちつつ、省電力で扱い易くて実用コスパが良いのが魅力のCPUです。

「7」モデルで高性能高コスパに特化したい場合の安定の選択肢です。

ただし、標準のベースTDPが65Wの状態ではマルチスレッド性能が少し勿体ないので、クーラーの性能に合わせて125W~180Wくらいで調整するのがおすすめです。

Ryzen 7 7800X3D:未だに9800X3Dを除けば最強のゲームCPU。効率も非常に良く、実用コスパに優れる

「Ryzen 7 7800X3D」は非常に強力なゲーム性能が魅力のCPUです。電力効率も非常に良いため、一般用途での実用コスパが非常に高い人気CPUです。

7800X3Dは、「3D V-Cache」という追加のキャッシュメモリが64MBも追加で搭載されており、合計96MBという驚異的なL3キャッシュを備えているため、ゲーム性能が非常に優れているのが特徴です。ゲーム性能は一般消費者が特に意識する性能なので、そこが強力なのが大きいです。

更に電力効率も非常に優れている上、価格もCore i9やRyzen 9ほど高価でないため、ゲーム特化の実用コスパが非常に優れており、特に人気度の高いRyzenです。

他にもX3Dモデルはありますが、この7800X3Dは特にゲーム性能が高いのが人気の理由です。その理由は、現状のほとんどのゲームでは高性能コアが8コアあれば、それ以上は大して意味を成さないという通説ありますが、逆に言えば、8コア以上があると効率の悪い処理が発生してしまう可能性があるということで、8コアぴったりの方が無駄なコアに処理が割り当てられるリスクがないためです。

実際のゲームテストでも他の競合CPUよりも高いゲーム性能が確認されており、その理論を裏付けています。

また、CPUの構造としても、7800X3Dは8コア全てが1つのCCD(コアのまとまり)に収まっているので、無駄な通信や電気的なロスも発生しにくいという利点があり、ゲームにおいては非常に優れた性能を発揮しつつ、電力効率も非常に優れているのが非常に大きな強みです。

ただし、弱点として、マルチスレッド性能コスパは良くないという点があるのは注意です。2024年10月時点で7800X3Dは約7万円ほどの価格ですが、これはCore i7-14700Fよりも1~2万円も高価です。

ですが、14700Fは少し電力設定を引き上げれば7800X3Dの1.5倍以上のマルチスレッド性能を発揮することも可能なので、コスパは圧倒的に劣ることになります。

ただし、7800X3Dのマルチスレッド性能も低い訳ではなく、一般消費者にとっては十分な性能を備えているため、大きなデメリットとしては捉えられることが少ないため、一般の人にとって無駄になるマルチスレッド性能がゲーム性能や効率に振り分けられた、実用コスパが高いCPUとして、非常に人気となっています。

Ryzen 7 9700X:性能は7700から少しの向上なのに、価格が高すぎる

Ryzen 7 9700Xは、「Zen 5」を搭載した2024年10月時点で最新のRyzen 7です。

X付ながらTDPが65W~88Wとなったため、省電力で効率に優れるCPUとなっています。

CPU単体で見れば悪くはないのですが、7700と比較すると性能向上率は小さい割に価格が高すぎますし(発売時:70,800円)、ゲーム性能も7800X3Dに大きく劣るのが致命的です。

価格が最低でも5万円以下くらいになれば、低消費電力&低発熱CPUとして選択肢に入る可能性も無くはないですが、ゲーム性能の差を考えると7800X3Dより人気になる可能性はあまり感じないCPUです。

Ryzen 7 7700 / 7700X:価格次第ではありだけど、やや厳しい立ち位置

「Ryzen 7 7700 / 7700X」は8コア16スレッドCPUで優れた性能と効率を持ちますが、Core i7-14700や7800X3Dなど、競合相手が強いので厳しい立ち位置のCPUです。

Core i7-14700と比べてマルチスレッド性能差が非常に大きい上にゲーム性能も負けるため、性能コスパは負けます。

7800X3Dにも、当然ゲーム性能では敵いませんし、7800X3Dは電力面でも優れるため、実用性能では正直競合モデルに勝ち目がないです。

ただし、上述のCPUよりも価格が一段安いのは強みです。特に安い時期には4万円台前半まで下がることもあって、その場合には上述のCPUよりも1~2万円も安いことになるので、予算節約を考えている場合には魅力的になる可能性もあります。

Ryzen 7 8700G:高性能内蔵GPU搭載で、重めのゲームにも対応可能に

「Ryzen 8000Gシリーズ」は高性能な内蔵GPUを搭載しているシリーズです。2024年8月時点ではIntelに対抗製品がないので、グラボ無しPCを検討する際には独壇場のCPUです。

Ryzen 7では「Ryzen 7 8700G」が登場しています。CPUは8コア16スレッドで、GPUは12コアの「Radeon 780M」が搭載されています。

この「Radeon 780M」が内蔵GPUとしては非常に高い性能を持っているのが大きな魅力です。

ゲームのベンチマークでは「GTX 1650」という少し前のエントリーグラボに迫る性能となっており、軽いゲームなら非常に快適ですし、重めのタイトルもある程度動かすことが可能なレベルです。

更に、2024年1月下旬にRadeon(RDNA 2以降)で「AFMF」というフレーム生成機能が手軽に使えるようになったので、フレームレートの底上げも可能となったこともかなり大きいです。AFMF前提なら、結構重めのゲームでもプレイ自体には支障が無いレベルの動作が可能です。そのため、かなり重量級のゲームを想定したり、常に高fpsを安定させたい訳でないなら、ゲームでグラボの搭載は不要になったと言っても過言ではないレベルです。

また、標準TDPが65W~88Wに設定されているため、非常に省電力・低発熱で扱い易いのも嬉しいです。

動画編集についても、フルHD以下のものなら意外と対応できるレベルですし、高い性能を求めないライトユーザーならこれ一つで全ての処理に対応できるレベルのものとなっており、その汎用性の高さが非常に魅力的です。

しかし、約5万円という価格が難しいところです。「Ryzen 7 5700X」+「RX 7600 or RTX 3060」などが視野に入るレベルだったりして、同費用でゲーム性能を3倍くらいに引き上げることが出来ちゃったりします。

そのため、超小型PCで採用したいとか、内蔵GPUで省電力運用という点に魅力を感じているなど、割とマニア向けのニーズに対応したCPUになってしまっているかなとは思います。

Ryzen 5 8600Gとどっちが良い?

また、一つ下位の「Ryzen 5 8600G」とどちらが良いのか迷う方も多いと思いますので、そちらも少し触れておきます。8700Gと8600Gの主な違いは、CPUのコア数が8→6、GPUコア数も12→8になる点です。特にGPUのコア数差が大きいのが気になる点だと思いますが、8600Gでも意外とコア数差ほどの性能能低下はなく、マイナス2割程度までに留まっています。そのため、高いCPU性能を求める訳でないなら、8600Gの方が実用コスパは少し上になると思うので、CPU性能も出来るだけ高くしておきたいなら8700G、内蔵GPUさえそれなりに使えればOKという場合には8600Gという感じで、用途や好みに応じて選択すると良いと思います。


Core Ultra 5 / i5 と Ryzen 5

Core Ultra 5 / i5およびRyzen 5は主流CPUにおける中級モデルです。いわゆるミドルレンジに区分されます。

中級とはいっても現在では十分に高性能で、「可・不可」でいえば不可能な事はないレベルの高性能さです。数年前のハイエンドCPUを大きく上回るレベルの性能を持っています。価格はやや幅が広く、おおよそ2万円台~4万円台となっています。

Core Ultra 5 / i5と Ryzen 5(2024年10月時点)
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング※
消費電力
発熱
Core Ultra 5 ロゴ
Core Ultra 5 245K(F)
14コア(6P+8E)
14スレッド
★4.0★4.75★4.25★3.75
Core i5-14600K(F)
Core i5-13600K(F)
14コア(6P+8E)
20スレッド
★4.0★4.5★4.5★2.75
Core i5-14500
Core i5-13500
14コア(6P+8E)
20スレッド
★3.75★4.25★4.25★4.0
Ryzen 5(9600X)
6コア12スレッド
Ryzen 5 9600X
★3.75★4.75★4.25★4.0(X)
Core i5-14400(F)
Core i5-13400(F)
10コア(6P+4E)
16スレッド
★3.5★4.0★4.0★4.0
Ryzen 5(7000)
6コア12スレッド
7600X 等
★3.5★4.25★4.25★4.0(無印)
★3.5
(X)
Ryzen 5(8000G)
6コア12スレッド
8600G 等
高性能内蔵GPU
★3.25★4.0★3.75★4.0
Ryzen 5(5000番台)
6コア12スレッド
5600X 等
★2.75★3.5★3.75★4.0
※ゲーム性能評価はハイエンドGPUとの併用時のもの。


Core i5とRyzen 5の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPUCinebench R23
Multi
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
コスパ電力効率参考価格
Core Ultra 5 245K25,34914/144.2 / 5.2GHz125W159W0.478159.452,980円
Core Ultra 5 245KF25,34914/144.2 / 5.2GHz125W159W0.497159.450,980円
Core i5-14600K25,07414/203.5 / 5.3GHz125W181W0.597136.441,980円
Core i5-14600KF25,07414/203.5 / 5.3GHz125W181W0.647136.438,780円
Core i5-13600K24,52514/203.5 / 5.1GHz125W181W135.5
Core i5-13600KF24,52514/203.5 / 5.1GHz125W181W135.5
Core i5-1450022,04914/202.6 / 5.0GHz65W154W0.588143.237,480円
Core i5-1350021,13514/202.5 / 4.8GHz65W154W137.2
Ryzen 5 9600X17,0366/123.8 / 5.5GHz65W88W0.380193.644,800円
Core i5-1440016,07410/162.5 / 4.7GHz65W154W0.495104.432,480円
Core i5-14400F16,07410/162.5 / 4.7GHz65W148W0.574108.627,980円
Core i5-1340015,89010/162.5 / 4.6GHz65W154W96.5
Core i5-13400F15,89010/162.5 / 4.6GHz65W148W100.4
Ryzen 5 7600X15,3156/124.7 / 5.3GHz105W142W0.438107.935,000円
Ryzen 5 760014,2406/124.7 / 5.3GHz65W88W0.445161.832,000円
Ryzen 5 7500F14,1606/123.7 / 5.0GHz65W88W160.9OEMのみ
Ryzen 5 8600G14,0676/124.3 / 5.0GHz65W88W0.427153.932,980円
Ryzen 5 8400F13,3616/124.2 / 4.7GHz65W88W0.481151.827,800円
Ryzen 5 8500G11,5216/123.5 / 5.0GHz65W88W0.465130.924,770円
Ryzen 5 5600X11,2686/123.7 / 4.6GHz65W76W0.610148.318,480円
Ryzen 5 5600GT?6/123.6 / 4.6GHz65W88W21,980円
Ryzen 5 560011,077?6/123.5 / 4.4GHz65W76W0.634145.817,480円
Ryzen 5 5600G11,0776/123.9 / 4.4GHz65W88W125.9
Ryzen 5 5500GT?6/123.6 / 4.4GHz65W88W18,980円
Ryzen 5 550010,6056/123.6 / 4.2GHz65W88W?0.625120.516,980円
Cinebench R23 Multi
CPU名称スコア
Core Ultra 5 245K
25349
Core i5-14600K
25074
Core i5-13600K
24525
Core i5-14500
22049
Core i5-13500
21135
Core i5-12600K
17660
Ryzen 5 9600X
17036
Core i5-14400
16074
Core i5-13400
15890
Ryzen 5 7600X
15315
Ryzen 5 7600
14240
Ryzen 5 8600G
14067
Core i5-12400
11448
Ryzen 5 5600X
11268
Ryzen 5 5600G
11077
10ゲームの平均fps(1080p/RTX 4090)
CPU名称スコア
Ryzen 5 9600X
177.5
Ryzen 5 7600X
173.2
Core i5-14600K
172.9
Ryzen 5 7600
170.5
Core i5-13600K
170.1
Core Ultra 5 245K
167.1
Core i5-12600K
153.4
Ryzen 5 5600X
147.1
Core i5-13400F
145.9
Core i5-12400F
142.7
参考:TechPowerUp
消費電力(高負荷時 / Belnder)
CPU名称スコア
Ryzen 5 5600X
60
Core i5-12400F
63
Core i5-13400F
65
Ryzen 5 7600
76
Ryzen 5 9600X
80
Ryzen 5 7600X
102
Core i5-12600K
119
Core Ultra 5 245K
134
Core i5-13600K
135
Core i5-14600K
145
参考:TechPowerUp
消費電力(13ゲーム平均)
CPU名称スコア
Core i5-12400F
40
Ryzen 5 5600X
47
Core i5-13400F
48
Ryzen 5 7600
50
Core Ultra 5 245K
61
Core i5-12600K
61
Ryzen 5 9600X
66
Ryzen 5 7600X
66
Core i5-14600K
76
Core i5-13600K
79
参考:TechPowerUp
重視項目・用途別のおすすめCPU(Core Ultra 5 / i5 , Ryzen 5)

筆者が選ぶ、用途や重視項目別のおすすめCPUを表にざっとまとめています。末尾Fは省略しているので注意(内蔵GPUが使えない以外は同じ性能)。


重視項目おすすめCPU
※上の方が高評価
総合・実用コスパRyzen 5 7500F / 7600 / 7600X ≧
Core i5-14500
/ 13500 ≧
Core i5-14400 / 13400
ゲーム性能
※高性能グラボ使用時
Core i5-14600K / 13600K ≧
Ryzen 5 7500F / 7600 / 7600X / 9600X 
Core Ultra 5 245K
Core i5-14500 / 14400 / 13500 / 14400
※ミドルレンジ以下のグラボならどれも大差無し
マルチスレッド性能Core Ultra 5 245K
Core i5-14600K / 13600K
>
Core i5-14500
/ 13500 >
Ryzen 5 9600X
Core i5-14400 / 13400 ≒
Ryzen 5 7500F / 7600 / 7600X
電力・発熱面Core i5-14400 / 13400
Core i5-14500 / 13500 >
Ryzen 5 7500F / 7600 / 7600X / 9600X
>
Core Ultra 5 245K
安さCore i5-14400F / 13400F ≧
Ryzen 5 7500F / 7600 / 7600X
内蔵GPU
※グラボ無し構成
Ryzen 5 8600G >
Core Ultra 5 245K

Ryzen 5 8500G
>
Ryzen 5 5600GT
NPURyzen 5 8600G(~16TOPS)
Core Ultra 5 245K(~13TOPS)

Core i5 / Ryzen 5 も今では十分高性能

まず言っておきたいのが、Core i5Ryzen 5と聞くと性能に不安を感じる人も居ると思いますが、今では十分に高性能と言えるレベルの性能を持っていることです。基本的に不可能なことは無いくらいの高性能さを持ちつつも価格が上位モデルよりも安いため、一般用途でのコスパが非常に良いのが魅力です。

中でもゲーミングコスパが非常に良い点は魅力的です。レビューのベンチマークテストなどを見るとゲーム性能でも大きく劣る印象も受けるかもしれませんが、これはレビュー記事では基本的に超高性能なハイエンドGPUと共に使用されるためです(現在ならRTX 4090とか)。

実際には5モデルはミドルレンジGPUと組み合わせるのが基本で、その場合にはCPUへの要求スペックも下がるため、上位CPUと比べてゲーム性能差は実はほとんど無いことも多いです。

Core i7 / Ryzen 7と比べるとコア数で劣るため、マルチスレッド性能を重視する場合には微妙なのは確かですが、ゲーミング単体に限れば、大きなネックになることは思ったよりも少ないため、コスパが良い点は留意しておきましょう。

Ryzen 5 7500F / 7600 / 7600X:優れたコスパとAM5の長期サポートが魅力の低価格CPU

Ryzen 5 7500F / 7600 / 7600Xは、3万円クラスという安価で優れたコスパが魅力のCPUです。

6コア12スレッドで一般用途なら十分なマルチスレッド性能を持ち、Core i5-14400/13400よりも少し優れたゲーム性能を持ち、ソケットAM5による長期サポートを得ることができます。

マザーボードとメモリ対応の関係で、Core i5-14400/13400よりは若干の費用は高くなることが多いですが、AM5の長期サポートと若干のゲームでの優位性を考えると、個人的にはRyzen 5 7500F / 7600 / 7600Xの方が若干高評価です。

比較的安価なので、後に登場するRyzenの追加モデルへの交換を意識した「とりあえず用」のCPUとしても丁度良く、低価格PCなら現在では非常に選び易い強力な選択肢だと思います。

Core i5-14400/13400(F):低価格ゲームPCの定番で、確かに強力だけど、実は一択レベルではない

「Core i5-14400/13400(F)」は10コア16スレッドによる高いマルチスレッド性能コスパが魅力の、低価格PCで特に採用率の高いCPUです。

3万円台前半という価格で10コアを搭載するのは魅力的で、実際にマルチスレッド性能コスパは非常に優れていますし、一般用なら十分すぎる性能があります。

ただし、コスパが良いのは間違いないですが、今では同価格帯で一択レベルではないということは覚えておいて損は無いかもしれません。

これは、前述の「Ryzen 5 7500F / 7600 / 7600X」があるためです。価格はほぼ同額ですが、7000シリーズの方が若干ながら優れた性能を発揮するためです。

Core(14000/13000)の末尾が500番以下のCPUは、実はPコアの仕様が第12世代の旧世代のものを引き継いでいるため、キャッシュ容量が少なめになっていることが実はポイントです。そのため、Ryzen 5 7500F / 7600 / 7600Xに対して、ゲーム性能でわずかに劣る結果になっているのがまず気になる点です。

また、それだけでなく、Coreはソケットサポート期間が短い傾向がある中、Ryzen 7000シリーズのAM5は最低でも2027年までの長期サポートが明言されている点でも差があります。要するに、Ryzen 7000以降ならマザボードをそのままに新CPUへと移行することが可能となっています。

正直、実用性能ではRyzen 7000とほぼ変わらなくはあるので、CPU交換を意識しないならどちらを選んでも後悔することはないと思いますが、もしCPU交換も視野に入れたいのであれば、7000以降のRyzen 5を選ぶ方が良いという点は留意しておいて損はないかなと思います。

Core i5-14500/13500:4万円以下で14コアの超強力なマルチスレッド性能コスパ。採用製品が少ないのが難点

「Core i5-14500/13500」は4万円以下という価格で14コア(6P+8E)を搭載するため、非常に優れたマルチスレッド性能コスパを発揮するのが魅力のCPUです。

「Core i5-14400/13400(F)」からEコアが4つ追加されている形ですが、価格は5,000円~7,000円程度しか変わらないので、マルチスレッド性能コスパがとにかく強力です。

しかし、従来からこの500番台のCore i5は供給量が少なめで、BTOでは採用数が多くないのが難点です。

また、増えるのがEコアなので、ゲーム面ではさほど恩恵が無いですし、14400等と同様に、Ryzen 7000シリーズに対して、ソケットのサポート期間について劣る点もあります。

総合コスパでは非常に強力なので選べるなら嬉しいですが、こちらも一応一択レベルでは無い点には注意です。

とはいえ、全CPU中で見てもかなりのコスパを誇るので、低予算でコスパ特化を目指すなら最優先で検討したいCPUです。

Core i5-14600K/13600K(F):強力なゲームコスパが魅力だけど、Pコア単価の高さが気になる

「Core i5-14600K/13600K(F)」は、14コア20スレッドで、6P+8E(高性能コア+高効率コア)という構成です。「Core i5-14500/13500」と同じコア構成ですが、こちらはコア仕様が古くないため、コアあたりのキャッシュ量が多くてゲーム性能がCore i7やCore i9と比べても大きくは劣らないのが魅力です。

そのため、ハイエンドGPUとの組み合わせによるゲームコスパでいえばかなり強力です。

しかし、気になるのは価格です。Pコアが6コアしかないのに、価格は5万円弱なので、Pコア単価は高いです。

また、20コアのCore i7と比較して価格が1~1.5万円程度しか変わらないため、費用は高くなるものの、マルチスレッド性能コスパではCore i7の方が明らかに上です。

各指標とハイエンドGPUとのゲームコスパを見ると強力なのですが、Pコアはやはり8個欲しいという気持ちもありますし、少し上の価格では「Ryzen 7 7800X3D」や「Core i7-14700F」といった強力なCPUが多数存在するので、最優先で検討する選択肢には入りにくいCPUだと思います。

Ryzen 5 9600X:非常に優れた6コアCPUだけど、7600からの性能向上は少しなのに高すぎる価格

Ryzen 5 9600Xは、「Zen 5」を搭載した2024年8月時点で最新のRyzen 5です。

X付ながらTDPが65W~88Wとなったため、省電力で効率に優れるCPUとなっており、6コアCPUとしては非常に優れたCPUです。

CPU単体で見れば悪くはないのですが、7600と比較すると性能向上率は小さい割に価格が高すぎます(発売時:54,800円)。ゲーム性能もマルチスレッド性能も7800X3Dに劣るのに、7800X3Dと価格が近いので、あえて9600Xを選ぶ理由が見当たりません。

価格が4万円未満になれば、比較的低価格かつ、低消費電力&低発熱CPUとして選択肢に入る可能性も十分あるとは思いますが、節約重視ならより安価な7600で良い感が強いですし、7600が生産終了となるか、価格が予想以上に安くなるかしない限りは、選択肢には入ってこなさそうなCPUです。

Ryzen 5 8600G/8500G:高性能内蔵GPU搭載

「Ryzen 8000Gシリーズ」は高性能な内蔵GPUを搭載しているシリーズですが、2024年8月時点ではIntelに対抗製品がないので、グラボ無しのPC用のCPUとしては独壇場となっています。

Ryzen 5では「Ryzen 5 8600G」および「Ryzen 5 8500G」が登場しています。CPUはどちらも6コア12スレッドです。

ただし、8500Gは小型の「Zen 4c」コアが4つ含まれているため、8600Gの方がやや高性能な点に注意が必要です。更に、AI用のNPUである「Ryzen AI」が8500Gには含まれていないのも注意です。

また、GPUコア数にも差があります。8600Gは「Radeon 760M(8コア)」で、8500Gは「Radeon 740M(4コア)」となっています。8500Gだと内蔵GPUコア数が半分になってしまうので、性能には大きな差があります

このように、8600Gと8500Gは価格差の割には性能差が大きいので、基本的には「Ryzen 5 8600G」の方がおすすめです。

また、8500Gではグラボ用のPCIeレーンがx4しかないのも気になるところです。帯域がかなり制限されるので、高性能なGPUを搭載するには適さない仕様です。8600Gもx8なので良くはありませんが、アッパーミドル程度までのグラボではネックにならないレベルですから、かなり大きな差があります。

購入後にグラボの増設を検討したくなったときに、8500Gでは対応が難しいことを事前に割り切るのは難しい部分かなと思います。

ただし、2024年8月時点では8600Gと8500Gとの価格差は約1万円と大きいので、そこは予算と相談になるかなと思います。8500Gでも内蔵GPUとしては比較的高性能な部類ではあるので、軽いゲームなら十分に対応できますし、AFMFを駆使すれば重めのゲームにもある程度は対応できます。高い性能も求めないレベルのライトユーザーなら8500Gでも正直困ることはあまりないと思うので、グラボ増設を今後絶対にしないと割り切った上での安さ重視なら、8500Gも悪くはない選択肢です。

Ryzen 7 8700Gとどっちが良い?

また、一つ上位の「Ryzen 7 8700G」と「Ryzen 5 8600G」のどちらが良いのか迷う方も多いと思いますので、そちらも少し触れておきます。8600Gと8700Gの主な違いは、CPUのコア数が6→8、GPUコア数も8→12となる点です。特にGPUのコア数差が大きいのが気になる点だと思いますが、意外とコア数差の1.5倍ほどの差はなく、1.2倍程度までに留まっています。価格も発売時点では8700Gの方が1.8万円も高い点も大きいので、高いCPU性能を求める訳でないなら、8600Gの方が実用コスパは少し上になると思います。なので、CPU性能も出来るだけ高くしておきたいなら8700Gの方がおすすめではありますが、内蔵GPUさえそれなりに使えればOKという場合には8600Gという感じで、用途に応じて選択すると良いと思います。


Core i3 と Ryzen 3

Core i3およびRyzen 3は主流CPUにおける中の下くらいに位置するモデルです。いわゆるミドルレンジ下位くらいに区分されます。価格は安く、おおよそ1万円台前半~2万円程度となっています。
価格の安さが魅力のモデルなので、性能はCore i5 / Ryzen 5以上と比較すると格段に低いです。

とはいえ、現在ではWeb閲覧やOffice作業などの軽作業であれば十分すぎるくらいの性能は持っています。その安価さのおかげで、特に重い作業をしないのであればコスパは良いです。また、消費電力や発熱も少ないため、小さなケースで運用するのにも適しています。ゲーミング用途でも、上位モデルと比べるとパフォーマンスが劣るというだけで、普通に使えはします。

ですが、価格差の割にCore i5Ryzen 5との性能差が大きいため、コスパを考えれば「3を買うなら、少しプラスして5買った方がお得」というのが明らかなので、他モデルより人気は低めです。

そのことをメーカーも承知しているのか、特にデスクトップではIntelもAMDもCore i3およびRyzen 3の販売にあまり積極的ではない印象です。Ryzenに至っては、Ryzen 5000シリーズ以降は消費者向けの一般販売モデルが無いなど、かなり影の薄いCPUになっているレベルです。

とにかく動けば良いので安いPCが欲しいという場合に限り有用なCPUかなと思います。

Core Ultra i3と Ryzen 3(2024年10月時点)

総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング
消費電力
発熱
Core i3(第13,14世代)
★2.0★3.75★3.25★4.25
Core i3(第12世代)
★2.0★3.75★3.25★4.25
Ryzen 3(8000G)/OEM限定
※内蔵GPU重視モデル
性能の詳細不明
★1.0★1.0★1.0★1.0
※ゲーム性能評価はハイエンドGPUとの併用時のもの。


Core i3とRyzen 3の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPUCinebench
R23
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
クーラー
の付属
コスパ参考価格
Core i3-141009,0914/83.5 / 4.7GHz60W89W0.45519,980円
Core i3-14100F9,0914/83.5 / 4.7GHz58W89W0.60614,980円
Ryzen 3 8300G4/83.4 / 4.9GHz65W88WOEM限定
Core i3-131008,8124/83.4 / 4.5GHz60W89W0.44119,980円
Core i3-13100F8,8124/83.4 / 4.5GHz58W89W0.58814,980円
Core i3-121008,1724/83.3 / 4.3GHz60W89W0.46517,580円
Core i3-12100F8,1724/83.3 / 4.3GHz58W89W0.63012,980円
Cinebench R23 Multi
CPU名称スコア
Core i3-14100
9091
Core i3-14100F
9091
Core i3-13100
8812
Core i3-13100F
8812
Core i3-12100
8172
Core i3-12100F
8172
Cinebench R23 Single
CPU名称スコア
Core i3-14100
1742
Core i3-14100F
1742
Core i3-13100
1716
Core i3-13100F
1716
Core i3-12100
1679
Core i3-12100F
1679

軽作業限定の安さ特化なら悪くはないけど、コスパを少しでも考えるなら上位モデルの検討を

Core i3 / Ryzen 3は、特に一般消費者向けとしてはコスパは正直微妙です。実際人気もあまり無く、メーカー側もそこまで力を入れていない印象のモデルになります。

なので、基本的には出来ればCore i5 / Ryzen 5以上の上位モデルの検討をおすすめします。

ただ、一応現行モデルの比較はざっくりとやっておきたいと思いますので、興味があればご覧ください。

比較について、Ryzenでは5000/7000シリーズでは一般消費者向けのRyzen 3は一つも投入されなかったためにCore i3との比較が不可能でしたが、2024年1月にようやく「Ryzen 3 8300G」が登場し、比較対象が生まれました。ただ、こちらもOEM限定(ショップ等の既製品PCでのみの販売)なので、ほとんど流通はしなさそうな気はしますが…。それはとりあえず置いておきます。

「第13・14世代のCore i3」と「Ryzen 3 8300G」のコア・スレッド数はどちらも4コア8スレッドです。ただし、Ryzen 3 8300Gは小型の「Zen 4c」コアを3つ含むため、Core i3の方がCPU性能はやや有利です。とはいえ、劇的な差があるほどではないですし、元々軽作業前提のCPUですから、実用性にはさほど影響はないレベルだと思います。

一応、安価なグラボと併せて安さ特化のゲームPCとして運用したい場合にはCore i3が有利にはなりますが、「Ryzen 3 8300G」がOEM限定のため、気にする必要が生まれていません。

そして、最大のポイントは内蔵GPUです。内蔵GPU性能は「Ryzen 3 8300G」の「Radeon 740M」の方が大幅に有利です。

8300Gの内蔵GPUも特別高性能ではないものの、軽いゲームやFHD以下の簡単な動画編集なら比較的快適に行える性能があります。それに対し、Core i3の内蔵GPUはゲームのベンチマークだと半分程度の性能になってしまうので、大きな差です。動画視聴や特に軽いゲームでは問題ないレベルなものの、その他のグラフィック処理は基本厳しめなので、少しでも良いからグラフィック性能を欲しい場合にはRyzen 3 8300Gの優位性は大きいかなと思います。

前述のように、CPU性能やグラボ利用時のゲーム性能ではCore i3が有利な側面もあるものの、立ち位置的にはそれらは基本求められないのが「Core i3 / Ryzen 3」だと思われ、軽作業前提の汎用PCとして考えるなら「Ryzen 3 8300G」がやや有利だと思います。

47 COMMENTS

さむらい

現在本気でPCを買いたいのですがCore I514400fとRyzen7 5700xはどちらの方がゲームに向いてますか?

返信する
ttt

詳しい解説参考になります。
年内を目途にデスクトップPCの新調を考えているのですが、ゲームも”少し”したいと考えています。
現在だとryzenよりintelの方がよいとのことですが、他所で聞くと、ゲームならryzen、という意見もあり、他のサイトも色々拝見しているのですが、決めかねているところです。

実際のところ、したいゲームによって最適化されているcpuが違うというのもあるのかと思いますが、全体的な傾向として、ゲームをするのならこっちが無難、という意見はありますでしょうか?

最初に書きましたように”少し”したい程度なのでグラボの購入はしない予定ですが、予算は10万程なので、GTX1650搭載機なら手の届くところではあります。
このあたりも踏まえてアドバイスいただけますと幸いです。

返信する
とねりん:管理人

はじめまして。

グラボを使用した際のゲーム性能を「第13世代Core」と「Ryzen 7000」で比較した場合、全体の傾向でいうとCoreの方が少し優れている傾向があります(RyzenのX3Dモデルは除く)。とはいえ、ゲームによってはRyzenが有利になるケースもあるため、一応やるゲーム次第という形にはなります。
ただし、上記は質問者様のケースでは恐らく気にする必要はないと思います。

理由は、一般的にCPUのゲーム性能というのは、ボトルネック差を出来るだけ詳細に知るために、高性能なハイエンドGPU(グラボ)を使用した際のfpsで比較するものとなっているためです。ゲームでCPUに求められる処理というのは、GPUが処理した量(主にフレーム数)に応じて増えるため、基本fpsが高いほど高性能なCPUが求められます。「GTX 1650」レベルのエントリークラス以下のGPUを使用する際には非常に軽いゲームでしか高いfpsは出ないため、現在の最新CPU(Core i5 / Ryzen 5 以上)ならボトルネックが発生することはほとんど無く、ゲーム性能差はほとんど出ません。そのため、質問者様のケースではCPUのゲーム性能はあまり気にする必要はないかと思います。その他の処理も同時に処理したりする場合には多少差が出てくる可能性も考えると、どちらかというとマルチスレッド性能差の方が重要かもしれません。

あと、余談にはなりますが、エントリーレベルのGPUを今検討するなら「GTX 1650」よりも「Arc A380」の方がコスパ的には良いと思います。Arcは発売当初は最適化不足が深刻で評価されませんでしたが、現在ではドライバによる改善が結構進んでいる上に値下げも進み、結構お得になっています。
また、「GTX 1650」ではAV1と呼ばれる映像コーデックに対するサポートが無いのが気になります。詳しくは触れませんが、AV1は将来性が期待されており採用率が増えているコーデックです。今購入するPCでは、出来ればデコードは対応しておきたいです。一応、「第13世代Core」も「Ryzen 7000」も内蔵GPUの方でAV1デコードのサポートがあるので、アプリケーションごとに指定したりすれば対応は不可能ではないかもしれませんが、あまりメジャーとは言えない方法にはなりますし、CPU負荷を下げるためにも出来ればグラボ側で対応しておきたいです。

返信する
ttt

詳細なアドバイスに感謝いたします。
エントリークラスのグラボだとCPUはボトルネックにならないのでどちらでもよいが、動画再生面で足を引っ張る可能性があるということですね。
となると下手にグラボに予算をさくくらいなら、少しでも高性能なCPUに予算を割り振るべき、という考えもあるのでしょうか?
所詮内蔵GPUはそれなりなので、ゲームをするなら安物でもグラボを積む方がよい、と思っているのですがどうでしょう?
それとも、予算を少し超えてでもGTX1660程度は積むべきでしょうか?

私の場合、買ったPCは6年以上使うつもりなので、ひとまず内蔵GPUで使ってみて後々必要になった時点でグラボを検討するという方が結果的に無駄が少なくなりそうでしょうか?(中途半端なCPUとグラボの両方を買い替えすることと比べて)
私が何に比重を置くのか次第になるのかとは思いますが、さらなるアドバイスいただけますと幸いです。

とねりん:管理人

全体を通して概ね正しい認識だと思います。

現状の3万円以下のエントリーレベルのグラボではAV1のサポートが無いものがほとんどなので、AV1コーデックの動画再生では役に立ちません。AV1はまだ普及段階なので現状で困ることはほぼないですが、最低6年使うと考えるならAV1対応の優先度は高いと思います。

ゲームとCPUに関しても概ね認識の通りです。内蔵GPUの性能も向上しているとはいえ、現状はゲームに限れば安物でもグラボの方が高性能なことが基本です。一応、今年後半の発売が予測されている「Ryzen 7000」のAPUモデル(恐らく末尾G)では飛躍的に内蔵GPU性能が向上することが期待できますので、それが登場すれば少し事情が変わるかもしれませんが、現状では重めのゲームも視野に入れるならグラボは必須に近いです。

グラボ分の予算をCPUに予算を割り振るのも、ゲームを意識しないなら十分理にかなった選択肢です。ただし、低グレードなCPUからアップグレードすることを考えると、CPUクーラーで更なる予算追加が必要になったりする点には注意が必要です。

重いゲームが用途に含まれていないなら、内蔵GPUで様子を見るのも手かなと思います。ただ、質問者様がプレイしたいゲームの重さがわからないので、具体的には何とも言えないです。

一応、最後に低価格帯のグラボについてざっと触れておきますが、まず、「GTX 1650」や「GTX 1660」を含む「GTX 16」シリーズは共通してAV1のハードウェアサポートが無いので、個人的には今購入するのはおすすめしません。
今の市場でいうと、2万円台なら「Arc A380」ほぼ一択で、少し予算を増やせるなら「RTX 3060」、「RX 6600 / 6600 XT / 6650 XT」、「Arc A750 / A770」あたりになるかと思います。

ttt

詳しく解説いただきありがとうございます。
今すぐ購入するというわけではないので、Ryzen 7000での大幅な性能向上が見込めるとのことを期待してしばらく待つことにします。
大変参考になりました。

とねりん:管理人

全然ありな選択だと思います。
ただ、一応予測で確定情報という訳でもないので、間違っていたらその際には申し訳ありません。

ヒロト

core i7-12700とRyzen7 5700XのPCで12700の方が5700Xよりも2万円ほど高い構成を見つけたのですが、その値段の差に見合う性能は見られるのでしょうか。その他の構成は同じものとします。

返信する
とねりん:管理人

用途とGPUによると思います。
まず、「Core i7-12700」の方がコア数が多い新しいCPUのため、マルチスレッド性能が「Ryzen 7 5700X」の約1.5倍と大幅に高いです。そのため、高負荷なマルチスレッドが重要な処理で使う場合には十分価値はあると思います。一般的なものでいうと、マルチタスク処理全般や、CPUレンダリング・エンコードなどがあります。
関連して、12700の方がGPUのボトルネックもやや発生しにくい他、単純なゲーム性能もCore i7-12700の方が若干上なので、ハイエンドGPUと組み合わせる際には12700の方が有利になると思います。

総評としては、ベンチマークスコアを見るとやはりマルチスレッド性能差が大きく違うため、2万円(恐らく全体の10%~15%程度?)で1.5倍と考えると価格差から得られる性能としては十分な上、ゲームパフォーマンスやボトルネック面でも少し優秀な「Core i7-12700」の方が純粋なコスパは上だと思います。
ただし、重いマルチスレッド処理を頻繁にする訳でなく、ゲームパフォーマンスなども少しでも高い方が良い訳でないなら、実際の使用感はほぼ変わらないと思うので、安い「Ryzen 7 5700X」の方が良いとなると思います。
また、CPU以外の構成は同じものということでしたが、CPUクーラーが低性能なもので統一されている場合には、省電力な「Ryzen 7 5700X」の方が良いという可能性もあると思います。

返信する
ヒロト

返信ありがとうございます。
この場合のハイエンドGPUというと何番あたりからのことを指すのでしょうか。
また、12700の発熱ではBTOでよく使われるクーラーでは排熱は足りないですか。その場合、どの程度のクーラーが必要ですか。

とねりん:管理人

ゲームや解像度にもよるので一概には言えないですが、ベンチマークテストの3DMark Time Spyのスコアを参考に見てみると、

【RTX 3060】
5700X:8874(-2.8%)
12700:9128

【RTX 3060 Ti】
5700X:11523(-2.8%)
12700:11855

【RTX 3070】
5700X:12932(-4.4%)
12700:13531

【RTX 3080】
5700X:15929(-6.5%)
12700:17029

上記のような感じになっているので、RTX 3070から少しボトルネック差が出てきているという感じになります。

排熱については、PCケースにもよりますし、CPUクーラーについても具体的な製品がわからないと何とも言えないですが、Core i7-12700の安さ重視製品では120mmファン1基の空冷が多い印象なので、その場合には十分とは言えないかなと思います。
とはいえ、高負荷時に少しだけ性能が落ちるかもって程度で、後から調整も可能な部分なので、CPU付属のクーラーでなければ気にするほどでもないかもしれません。余計なことを言ってしまったかもしれません。
一応、Core i7-12700で空冷なら120mmファン2基 or 140mmファン1基のクーラーがあると安心ではあると思います。

たかし

AMD Ryzen 7 5700GとIntel Core i5-12400で迷てます。
タスクをたくさん開くので一度Ryzenを使ってみたいのですがソフトの相性や不具合、故障が
心配です。

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とねりん:管理人

恐らく想像しているほどRyzenの方が問題が多発している状況は今ではないと思います。
逆にCoreの方で脆弱性や不具合が発生していることも普通にありますし、よく使用するソフトで問題が多発していないか事前に調べるのは必要だと思いますが、個人的にはそれ以上は気にしても仕方無いのではないかと思います。

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たかし

ありがとうございました。
今までIntelばかり使用していたので不安でした。
ちなみに、とねりんさんは、どちらがお勧めですか。

とねりん:管理人

価格差と自作とBTOなどで購入するかでも話が変わりますし、どちらが良いとは言えないですね。
理解されているような気がしますが、Ryzen 7 5700Gの他の競合モデルよりゲーミング性能がやや低い点と、Core i5-12400の方がややマルチスレッド性能が低い点を踏まえ、自分の用途や予算などを考慮して決めることになると思います。

また、Ryzenは次世代からチップセットやソケット形状が刷新されるため新世代のものへの交換は不可能になる可能性が高いですが、Coreの方は次世代(13世代)でもソケット形状は維持され既存のマザーボードでも対応されることが予測されているため、後のCPU換装を考えるならCoreの方が有利な点や、DDR5メモリへの対応などでも差があります。

たかし

ありがとうございました。
BTOで Ryzen 7 5700GはWindows10でi5-12400はWindows11で価格は同額です、
とねりんさんのおっしゃる通り後の事も考えて、パソコンショップに行って来ます。

とねりん:管理人

差し支えなければ、もう少し詳しい構成(もしくは型番)と価格を教えていただけないでしょうか?
今は次世代のCPUやGPUが控えていて難しい時期なので、一応コスパチェック的なことくらいは出来るかなと思うので、良ければ。

うどん

Ryzen3 3250UとRyzen5 4500Uのどちらを購入しようか検討しております。
用途としては初心者のword,excel練習用で、コスト重視です。
どちらがおすすめですか?

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とねりん:管理人

オフィス程度の軽作業なら、処理性能はRyzen 3 3250Uでも十分だと思います。
ただ、Ryzen 5 4500Uの方が処理性能は圧倒的に高く、電力効率も大幅に良いです。
長期利用を想定しており、バッテリー駆動時間も長い方が良い場合にはRyzen 5 4500Uの方がおすすめです。

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うどん

コメントありがとうございます!
有益なご意見とても参考になります。
再度、検討致します。

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