【デスクトップ】「Core」と「Ryzen」の違いを比較【ざっくり解説】

Intelの主流CPUシリーズのCoreシリーズと、AMDの主流CPUシリーズのRyzenシリーズの違いについてざっくり解説しています。(Coreの末尾Xシリーズや、Ryzen Threadripperシリーズは除外しています)
デスクトップPC向けの最新世代(2023年10月20日時点)のものを対象としています。

注意
掲載の情報は記事更新時点(2023年11月13日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。また、価格は主に価格.comやAmazonを参考とした市場価格となっています。

はじめに

主にデスクトップPC向けの最新世代CPUが対象

本記事は、PCの主流CPUであるIntelのCoreシリーズとAMDのRyzenシリーズ各種の主にデスクトップPC向けの最新世代のものを対象としています(前世代でも品薄にならない内は同時に掲載)。
現在(2023年10月20日時点)の最新は「Core」は第13,14世代(13000,14000番台)で、「Ryzen」は7000シリーズ(7000番台)です。Coreが2世代分含まれているのは、第14世代は第13世代のリフレッシュ版であり、ハードウェアの主な仕様は変わらないためです(実質的には同世代)。

ざっくり比較

まずは、細かい数値を見ていく前に「Core」と「Ryzen」の各性能についてざっくりとした比較を載せています。「なんとなく各シリーズの特徴を掴めれば」といった感じのものになります。

まずは「なんとなく各シリーズの特徴を掴めれば」といった感じのかなりざっくりとした比較です。しっかりとした比較ではないため、そのことを頭の中に置いた上でご覧ください。

Core 第13,14世代 Ryzen 7000
コア
Pコア:高性能コア
Eコア:高効率コア
4~24 コア
Pコア:4~8コア
Eコア:0~16コア
6~16 コア
Pコアのみ
スレッド
8~32 スレッド
Pコア:8~16スレッド
Eコア:0~16スレッド
12~32 スレッド
Pコアのみ
マルチスレッド性能
Cinebench R23
i9:32,600~40,000
i7:24,800~35,000
i5:15,000~24,500
i3:8,800
Ryzen 9(16コア):35,700~38,500
Ryzen 9(12コア):25,000~29,500
Ryzen 7:20,000
Ryzen 5:15,000
シングルスレッド性能
Cinebench R23

(~2,351)

(~2,072)
ゲーミング性能
※ハイエンドGPU使用時
i7 / i9:
i5(K付き):
i5(無印):
i3:
X3D:
その他:
価格
※2023年11月時点
Core i9:~99,800円
Core i7:~71,270円
Core i5:~54,240円
Core i3:~21,800円
Ryzen 9:~106,800円
Ryzen 7:~60,980円
Ryzen 5:~35,980円
対応メモリ
(公式サポート)
DDR5-5600
DDR4-3200
DDR5-5200
内蔵GPU
(3DMark Time Spy)
×
(無~800程度)
※末尾FはGPU非搭載

(2CU:720程度)
付属クーラー
※BOX版
TDP:65W以下のみ付属
※一部例外あり
(性能は良くはない)
TDP:65W以下のみ付属
※一部例外あり
(性能は良くはない)
消費電力
(Blender Testの消費電力)
Ryzenより悪い
(~約287W)
Coreより良い
(~約237W)


性能:9は同等レベルだけど、 7/ 5はCoreが大きく有利

まずは処理性能面のざっくり比較です。タイトルの通りで、Core i9 / Ryzen 9の最上位モデル同士の比較なら同等レベル(わずかにCore i9が有利)ですが、Core i7 / Ryzen 7 以下同士の比較では、Eコアの差が大きく第13世代Coreの方が大幅に有利です。


ざっくり性能比較(第13世代CoreとRyzen 7000)
第13、14世代Core
※Core i5以上
Ryzen 7000
コア数
Pコア:高性能コア
Eコア:高効率コア
10~24 コア
Pコア:6~8コア
Eコア:4~16コア
6~16 コア
Pコアのみ
スレッド数
16~32 スレッド
Pコア:12~16スレッド
Eコア:4~16スレッド
12~32 スレッド
Pコアのみ
マルチスレッド性能
Cinebench R23
Core i9は同等
Core i7以下では有利
i9:32,600~40,000
i7:24,800~35,000
i5:15,000~245,00
i3:
8,800
Ryzen 9のみ同等
Ryzen 9(16コア):35,700~38,500
Ryzen 9(12コア):25,000~29,500
Ryzen 7:20,000
Ryzen 5:15,000
シングルスレッド性能
Cinebench R23
やや有利
Core i9:~2,351
Core i7:~2,228
Core i5:~2,097
やや不利
Ryzen 9:~2,072
Ryzen 7:~2,010
Ryzen 5:~1,976
ゲーミング性能
※高性能な外部GPU使用時
i7 / i9:
i5(K付き):
i5(無印):
i3:
X3D:
その他:

※同モデルナンバー内での比較(Core i9とRyzen 9等)
※2023年10月時点で最新のCPUが対象
※ゲーミング性能は高性能なGPU(グラフィックボード・ビデオカード)と同時に利用した場合のもの。


性能比較のポイントは「Eコア」です。第13,14世代Coreは通称「Eコア(高効率コア)」と呼ばれる、小型で低消費電力に特化した高効率コアを多数搭載しており、マルチスレッド性能を大きく引き伸ばしています。これに対しRyzen 7000では高性能コア(通称:Pコア)しか搭載しておらず、そのPコアの数がRyzen 7以下では第13世代Coreと同じのため、Eコア分の差で負けている点がポイントです。そのため、Pコアの数で上回る「Ryzen 9」に関しては同等の性能ですが、Ryzen 7以下ではCoreの方が有利という状況になっています。

ただし、ゲーム性能についてはEコアは大して恩恵がないのが現状なので、コア構成での大きな差はありません。

とはいえ、単純にシングルスレッド性能が高いCoreがゲームでもわずかに上回り、価格も同等レベルなので、ゲーミングコスパではCoreの方がやや有利です。コスパと安さを重視で、Core i7 / Ryzen 7 以下を検討する場合には、第13,14世代Coreが無難です。

ただし、Ryzenの「3D V-Cache」搭載の「X3D」モデル(例:Ryzen 9 7950X3D)なら、ゲーミング性能はCore i9に匹敵するレベルになるため話が変わる他、後述のワットパフォーマンスではRyzenの方が有利のため、高負荷で酷使する場合にはRyzenが有利になる場合もある点は留意しておいて損はないと思います。性能だけを見ればCoreの方が若干有利ですが、予算よりも性能と効率を重視したい場合のゲーミングCPUとしてはRyzenの方が実はおすすめできます。

後付けですが、以下にシングルスレッド性能とかマルチスレッド性能とかのざっくりとした説明を載せておきますので、ご存じない方は参考程度にご覧くださいませ。

  • シングルスレッド性能
    1スレッド(1コア)あたりの性能です。シングルスレッド性能が高いと、軽い処理の速さ(レスポンス)が良くなる他、基本的にどのような用途でも有利に働くため非常に重要です。
  • マルチスレッド性能
    CPUの全コア稼働時の処理性能です。マルチスレッド性能が高いと、動画エンコードやレンダリングなどの膨大な処理を必要とする作業で特に有利になる他、複数の処理を並行して行う場合などでも有利です。シングルスレッド性能と違い、用途によっては高くても恩恵をほとんど感じない要素という点に注意。
  • ゲーミング性能
    文字通りゲームをする際の性能。ただし、内蔵GPUではなく、高性能なグラボ(ハイエンド)と併用した際のものです。ゲームのフレーム生成の主体はGPU(グラボ)で、CPUではない点に注意です。高性能なグラボを使用する際には、GPUの足を引っ張らないように高性能なCPUが必要になるという感じです。

価格比較:ほぼ同等だけど、コスパは7以下でCoreが有利

モデルによって多少の差異はあるものの、競合モデル同士の価格は基本5,000円以内程度に収まっており、大差はないです。ほぼ同等と言って良いレベルかなと思います。

ただし、Ryzen 7 以下についてはCoreの方がコア数が多くてマルチスレッド性能がやや高いので、コスパは基本Coreの方が勝ります。

下記が2023年11月21日時点でのおおよその市場価格です。

価格比較(第13,14世代CoreとRyzen 7000)
第13,14世代Core Ryzen 7000
Core i9 / Ryzen 9(16コア) 86,700円~99,800円 84,750円~106,800円
Core i7 / Ryzen 9(12コア) 61,000円~71,270円 60,900円~73,780円
Core i5(K) / Ryzen 7 45,000円~54,240円 40,900円~60,980円
Core i5(無印) / Ryzen 5 31,900円~37,800円 29,700円~32,980円
Core i3 / Ryzen 3 17,800円~21,100円 未登場

記事更新時点だと第14世代が登場したばかりで高価な関係もあってCoreが少し高くも見えますが、基本的に同等程度です。

よって、基本的に「9」モデルを検討する場合は、メーカー信頼度重視ならCore、効率重視ならRyzenという選択で、

「7」以下のモデルを検討する場合には基本的にCoreの方がおすすめです(効率重視で安いならRyzenでも)。

メモリ:第13,14世代CoreはDDR4にも対応

メモリについては、Ryzen 7000シリーズはDDR5しか対応していないのに対し、第13,14世代CoreはDDR5に加えてDDR4にも対応しています(DDR4とDDR5は互換性がなく、マザーボードによって決まるので注意)。

2023年10月現在ではまだDDR5の方がやや高価なので、安価な選択肢があるDDR4の方が有利と言えますが、帯域幅については現在のDDR4の主流がDDR4-3200なのに対し、DDR5は基本DDR5-4800~ですから、大幅にDDR5の方が上回ります。

用途によって有利不利は変わってくると思いますが、現状の多くのアプリケーションではパフォーマンスが大して変わらない(参考:https://www.techspot.com/review/2351-intel-core-i9-12900k/)という検証結果もあるため、特にメモリの帯域幅が重要な処理を行う場合や、将来性を見据えたい場合でなければ、DDR4でも現状大きく劣る場面はほぼないようです。そのため、DDR4も予算節約を重視する場合には選択肢に入ります。

とはいえ、これから出てくるCPUはDDR5に統一されていくと思いますし、消費電力が若干下がっているというメリットもあり、大分価格も下がってきているので、将来性も加味すれば出来ればDDR5の方が個人的にはおすすめです

電力面:効率はRyzen有利

電力面についての比較です。これはRyzen 7000の方が有利です。

メーカーによって名称は異なるものの、最近のCPUの電力設定は基本的に、TDP(PL1/ベース電力)TDP(PL2)という二つの値によって制御されており、この数値を見ることで大体の消費電力がわかります(正確とは言えないですが)。下記に表を載せているのでそちらを見てみましょう。基本的にTDP(PL2)を実質の最大消費電力と見ると良いです。

TDP比較(第13世代CoreとRyzen 7000)
第13,14世代Core Ryzen 7000
※Coreの末尾Fは省略 末尾 PL1 PL2 PL1 PL2
Core i9 / Ryzen 9 K / X,X3D 125W 253W X:170W
X3D:120W
X:230W
X3D:162W
無印 65W 219W 65W 88W
Core i7 / Ryzen 7 K / X,X3D 125W 253W X3D:120W
105W
X3D:162W
142W
無印 65W 219W 65W 88W
Core i5 / Ryzen 5 K/X 125W 181W 105W 142W
無印 65W 148W~ 65W 88W
Core i3 / Ryzen 3 無印 58W~ 89W

また、やや抜けはありますが、実測の電力テストの結果も併せて載せておきます(海外レビュー参考)。

消費電力(Blender CPUのみ)
CPU名称 消費電力
Ryzen 5 5600X
61W
Ryzen 7 5700X
61W
Core i5-12400F
64W
Core i5-13400F
65W
Core i5-12600
67W
Ryzen 7 7800X3D
77W
Ryzen 7 7700
82W
Ryzen 7 5800X3D
90W
Ryzen 5 7600X
115W
Ryzen 9 5950X
117W
Core i5-12600K
121W
Ryzen 7 5800X
125W
Ryzen 9 5900X
126W
Ryzen 7 7700X
138W
Ryzen 9 7950X3D
140W
Core i7-12700K
167W
Core i5-14600K
174W
Core i5-13600K
189W
Ryzen 9 7900X
200W
Core i9-12900K
244W
Core i7-13700K
252W
Ryzen 9 7950X
254W
Core i9-13900K
276W
Core i7-14700K
279W
Core i9-14900K
282W

電力効率(Cinebench Multi)
CPU名称 1Wあたりのスコア
Ryzen 9 7950X3D
253.3
Ryzen 7 7800X3D
232.7
Ryzen 7 7700
231.6
Core i5-13400F
228.3
Ryzen 7 5700X
223.0
Ryzen 9 5950X
221.1
Core i5-12400F
188.2
Ryzen 5 5600X
186.3
Core i5-12600
178.3
Ryzen 9 5900X
169.7
Ryzen 9 7950X
158.4
Ryzen 7 5800X3D
157.1
Ryzen 9 7900X
152.2
Core i5-12600K
148.7
Ryzen 7 7700X
146.9
Core i5-14600K
145.3
Core i9-14900K
139.0
Core i7-12700K
138.6
Ryzen 5 7600X
136.2
Core i9-13900K
130.5
Core i7-14700K
126.2
Core i5-13600K
125.1
Core i7-13700K
121.4
Ryzen 7 5800X
116.9
Core i9-12900K
110.8

参考:

上述の表を見ると、消費電力ではRyzenの方が全体的に少なく、効率でもRyzenの方が良いことがわかります。電力面ではRyzenの方が有利です。

そのため、性能で拮抗するCore i9 / Ryzen 9では電力面を加味すればRyzen 9の方がやや優秀です。純粋な性能ではCore i9の方がわずかに勝るものの、電力面での差は結構大きいため、総合的にはRyzen 9有利な印象です。

ただし、7以下のモデルでは、Eコアのおかげ第13,14世代Coreの方がマルチスレッド性能が基本高いため、電力面の有利を考慮してもRyzen有利とは言い切れません。電力のみに焦点を当てればRyzen有利なのは確かですが、性能が高いほど処理を早く終えることができる分の時間が節約できるなどのメリットもありますし、Core i7 / Ryzen 7 以下ほどの性能差があると、Core側が最大電力設定を多少下げてもマルチスレッド性能では優位に立つことが出来る事情もあるため、そのあたりの設定が出来る前提での評価なら7以下ではCoreの方が優勢です。

どっちも良くはないはない

付属クーラーについての比較ですが、CoreとRyzenのどちらともTDP(PL1)が65W以下のモデル(KやXが付かないモデル)のBOX品において付属します(一部例外モデルもあるので事前に要チェック)。TDPが65Wを超えるモデルについては付属しないため注意してください。

付属モデルを見てもわかるように、CPU付属クーラーは低発熱モデルのみに付属する低性能なものです。そのため、性能は使えれば良いというレベルのものです。静音性と冷却性は共に良くはないので、その点は留意した上で使用するか検討する必要があります。BTOで購入する場合には初期構成では標準クーラーの場合もあるため、注意です。

別売りの2,000円~のクーラーでも大きく性能が向上するため、出来れば別途用意することを個人的にはおすすめしたいですが、騒音さえ気にならないなら正直問題はないレベルだと思います。

また、クーラーが付属するのが低発熱モデルであり、クーラー性能は両メーカー共に良くはないので、大きな差となることは基本ありませんが、CPU自体の電力設定や発熱には差があるため、安定性などを考えると考慮の余地はあります。

仕様を見てみると、Ryzen 7000のクーラー付属モデルのTDPの最大値は88Wで統一されているのに対し、第13世代CoreはCore i3でも89Wとなっており、Core i5なら148W~、Core i7 / i9では219Wとなっており、明らかに多いです。余裕がない場合には低い電力制限値で動作するため、実際に使用していて困るという事はありませんが、安定性やパフォーマンスの最大化を気にするなら、88Wと少ない電力で統一されているRyzenの方が安心です。

正直、付属クーラーを選択の要にするのは微妙だとは思いますが、付属クーラー運用を考えるならRyzenの方がややおすすめです。

内蔵GPU:Ryzen(末尾G)だけ少し高性能。他は同等だけど、どのモデルも重い処理は厳しい

内蔵GPUの性能です。グラフィックボードを搭載する場合には基本気にする必要がない部分ですが、搭載しない場合には重要です。GPUを搭載しないモデルもあるので、搭載モデルに注意してください。

Ryzenの末尾Gモデルのみ少し高性能となっています(2023年8月時点ではRyzen 7000シリーズでは未登場だけど、旧世代のRyzen 5000のGモデルの方が高性能)。他に関しては基本同等レベルですが、どのモデルでも重い処理は厳しい点には注意してください。


内臓GPU比較(第13,14世代CoreとRyzen 7000)
項目 第13,14世代Core Ryzen 7000
内蔵GPU名 Intel UHD Xe Graphics 770
Intel UHD Xe Graphics 730
※Core i5下位以下
Radeon Graphics (RDNA2 / 2CU)
※末尾G除く
内蔵GPUの有無
ほとんどのモデルで選択可能
※末尾Fモデルが非搭載
ほぼ全モデル搭載
※Ryzen 5 7500Fのみ非搭載
ゲーム性能
(3DMark Time Spy)
低性能
無~800 程度
低性能
720 程度
※末尾Gモデル以外

搭載モデルに関しては、第13世代Coreは従来通り末尾Fのモデルでは内蔵GPUがありませんが、Ryzen 7000で全モデルでGPUが搭載されることとなりました。

Ryzenは従来では末尾GのAPUモデルでしか内蔵GPUを搭載していませんでしたが、Ryzen 7000では全モデル搭載となりました。特にオフィスPCなどでの利用を考えると大きなプラス要素です。

次に性能面ですが、Ryzen 7000(末尾G除く)にはRDNA 2アーキテクチャを採用した「Radeon Graphics」が搭載されています。ただし、コンピュートユニットは2つしかなく、性能は低いです。基本的に画面出力などの最低限の処理のみを前提とした仕様となっている点は注意です。とはいえ、内蔵GPUが元々そういうものですし、AV1デコードも含め主要な映像コーデックにも一通り対応しているので、とりあえず用としては及第点だと思います。

第13世代Coreでは、Fモデル以外では「UHD Xe Graphics 770」もしくは「UHD Xe Graphics 730」というGPUが搭載されています。性能としてはRyzen 7000の内蔵GPU(2CU)とほぼ同等です。。やはり性能自体は低性能なので、重い処理は厳しいという点は変わりません。

前の世代では、RyzenのVegaがAV1へのハードウェア対応が無かったために劣る印象でしたが、Ryzen 7000ではその弱点が解消されたため、ほぼ同等の評価となりました。

また、Ryzenの内蔵GPUは、わずか2つのCUでCoreの内蔵GPUに匹敵しているので、後に末尾GのRyzen APUモデルが投入されれば、一強となるかもしれない期待もあります。

まだ明確な発売予定は発表されていないので、待った方が良いと断言はできませんが、予算を抑えたいライトゲーマーには魅力的な製品となるかもしれません。

各モデルごとの比較【最新世代】

各モデルごとに、少し詳しく比較・解説しています。
Core シリーズとRyzen シリーズは、Core i9にはRyzen 9、Core i7にはRyzen 7といったように、各モデルナンバーごとに対抗製品が存在します。
そのため、各対抗製品同士を比較することによって、両者の差をより分かり易く知る事ができます。

以下から最新シリーズ(第13,14世代のCoreとRyzen 7000)の主流製品をざっくりと比較しながら見ていきます。また、両者の最新世代シリーズが円安の影響が大きく前世代よりも大幅に値上がりしてしまったため、前世代も価格やコスパの面で一部モデルは未だに選択肢に入るレベルとなっているので、当面は併せて掲載しています。

補足説明
  • 第12、13世代Coreでは高性能コア(Pコア)と高効率コア(Eコア)の2種類のコアが搭載されていますが、クロックは高性能コアのものを掲載しています。
  • Coreシリーズ,Ryzen 7000シリーズは末尾F、Ryzen 5000シリーズは末尾G以外、では内蔵GPUが利用できない点に注意。
  • TDP(PL2)が実質の最大消費電力の目安です。PL1やベース電力は、PL2を維持するには冷却や電力に問題がある場合に適用されます。また、省電力モデルでは冷却などに問題がなくてもPL2の継続持続時間に制限が設けられており、一定時間後にPL1に移行するようになっているモデルもあります。


Core i9 と Ryzen 9

Core i9およびRyzen 9は主流CPUにおける最上級モデルです。いわゆるハイエンドと呼ばれる区分に含まれ、ハイエンドの中でも最上位の製品群となります。
主流CPUとしてトップの性能を誇り、両者素晴らしい性能を持っています。その代わり価格は非常に高く、人気モデルの価格は8~11万円程度となっています(2023年10月時点)。

Core i9(第13,14世代)と Ryzen 9(7000シリーズ)
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング
消費電力
発熱
Core i9(第13,14世代)
5.0
5.0
4.75
1.25
Ryzen 9(7000番台)
5.0(16コア)
4.5(12コア)
4.75
4.75(X3D)
4.5(その他)
1.75(16コア)
2.5(12コア)
Core i9(第12世代)
4.5
4.75
4.5
1.75
Ryzen 9(5000番台)
4.5(16コア)
4.0(12コア)
3.75
4.0
3.25

Core i9とRyzen 9の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU Cinebench R23
Multi
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
コスパ 電力効率 参考価格
Core i9-14900K 41,193 24/32 3.2 / 6.0GHz 125W 253W 0.413 162.8 99,800円
Core i9-14900KF 41,193 24/32 3.2 / 6.0GHz 125W 253W 0.430 162.8 95,800円
Core i9-13900K 39,652 24/32 3.0 / 5.8GHz 125W 253W 0.436 157.9 90,850円
Core i9-13900KF 39,652 24/32 3.0 / 5.8GHz 125W 253W 0.457 157.9 86,700円
Ryzen 9 7950X 38,657 16/32 4.5 / 5.7GHz 170W 230W 0.459 168.1 84,250円
Ryzen 9 7950X3D 35,769 16/32 4.2 / 5.7GHz 120W 162W 0.335 220.8 106,800円
Core i9-13900 32,605 24/32 2.0 / 5.6GHz 65W 219W 0.364 148.9 89,680円
Core i9-13900F 32,605 24/32 2.0 / 5.6GHz 65W 219W 0.378 148.9 86,200円
Ryzen 9 7900X 29,516 12/24 4.7 / 5.6GHz 170W 230W 0.423 128.3 69,800円
Ryzen 9 7900X3D 27,084 12/24 4.4 / 5.6GHz 120W 162W 0.367 167.2 73,780円
Ryzen 9 7900 25,062 12/24 3.7 / 5.4GHz 65W 88W 0.380 284.8 65,920円
Ryzen 9 5950X 28,641 16/32 3.4 / 4.9GHz 105W 142W 0.415 201.7 69,000円
Core i9-12900K 27,198 16/24 3.2 / 5.2GHz 125W 241W 0.409 112.9 66,480円
Core i9-12900KF 27,198 16/24 3.2 / 5.2GHz 125W 241W 0.420 112.9 64,800円
Core i9-12900 26,455 16/24 2.4 / 5.1GHz 125W 202W 0.354 130.1 74,800円
Core i9-12900F 26,455 16/24 2.4 / 5.1GHz 125W 202W 0.442 130.1 59,800円
Ryzen 9 5900X 21,878 12/24 3.7 / 4.8GHz 105W 142W 0.366 154.4 59,800円
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i9-14900K
41193
Core i9-13900K
39652
Ryzen 9 7950X
38657
Ryzen 9 7950X3D
35769
Ryzen 9 7900X
29516
Ryzen 9 5950X
28641
Core i9-12900K
27198
Ryzen 9 7900X3D
27084
Ryzen 9 7900
25062
Ryzen 9 5900X
21878

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i9-14900K
2351
Core i9-13900K
2271
Ryzen 9 7950X
2072
Ryzen 9 7950X3D
2043
Ryzen 9 7900X
2041
Ryzen 9 7900X3D
2041
Core i9-12900K
2002
Ryzen 9 7900
1964
Ryzen 9 5950X
1639
Ryzen 9 5900X
1622

コスパ重視ならCore i9、電力面重視ならRyzen 9 7950系(16コア)

Core i9(第13,14世代)Ryzen 9(7000シリーズ)処理性能やコスパではわずかにCore i9が有利で、電力面ではRyzen 9の方が優れています。下記から、それぞれの仕様を確認しながら比較していきます。ちなみに、第13世代と第14世代のCore i9はコア構成やアーキテクチャが変わらないリフレッシュ版なので、性能差はわずかでどちらでも大差ありませんので基本的に安い方でOKです。

ただし、Ryzen 9については16コアの「Ryzen 9 7950X」と12コア「Ryzen 9 7900X/無印」で性能に大きく差があるので、まずは16コアの「Ryzen 9 7950X」とCore i9との比較について触れていきます。

まずはコア仕様についてみていきます。第13,14世代のCore i9は24コア32スレッドという仕様です。24コアによるマルチスレッド性能は驚異的で、前世代のCore i9も遥かに上回る性能です。ただし、24コアの内16コアは小型で低消費電力に特化した高効率コア(Eコア)となっており、Pコアよりは低性能な点は要注意です。また、Eコアについてはハイパースレッディングも未使用なので、24コアながら合計スレッド数は32となっており、コアの割には少ないです。そのため、16コア32スレッド「Ryzen 9 7950X」とスレッド数は同じで、マルチスレッド性能もほぼ同等となっています

ただし、Pコア数の差があまり関係ないゲーミング性能およびシングルスレッド性能ではCore i9が基本上回っており、Ryzenでは「3D V-Cache」を搭載した「Ryzen 9 7950X3D」のみが第13世代のCore i9のゲーミング性能に匹敵しています。ただし、「Ryzen 9 7950X3D」は発売時で約11万円という驚異的な高価格になっているため、コスパではCore i9に負けており、処理性能によるコスパ勝負ではCore i9がやや有利となっています。

ただし、Eコアを大量に搭載する第13世代のCore i9は、全コア稼働時の電力効率が対抗のRyzen 9に大きく劣るのが弱点です。そのため、長期間継続して高負荷な処理をさせたい場合にはRyzenの方が最適というケースもあります。特に、「Ryzen 9 7950X3D」は「Core i9-13900K」よりも大きく少ない電力で同等のゲーミングパフォーマンスも提供できるので、総合的な意味での最強ゲーミングCPUが欲しいなら最適です。

Ryzen 9 7900系(12コア)はコスパ的には微妙だけど、電力面は非常に強力

次に、一つ下位の12コアのRyzen 9であるRyzen 9 7900X / 無印についてですが、12コア24スレッドという仕様になっており、こちらも全てがPコアです。12コアながら全てが高性能なPコアなので、旧世代の16コアCPUである「Ryzen 9 5950X」や「Core i9-12900K」に匹敵するマルチスレッド性能を持つ高性能CPUです。

そのマルチスレッド性能自体は非常に高性能でハイエンドと言えるものですが、第13,14世代Core i9や7950Xと比べると一段劣る性能となっており、この価格帯のCPUを検討する人は最高性能を求める人が多いため、第一候補となることは少ないと思います。性能・価格的にはCore i7に近いCPUです。

ただし、他のCore i9 / Ryzen 9よりは一段少ない消費電力で稼働することができるため、その点は魅力です。特に無印の「Ryzen 9 7900」は6万円台という価格で他のCore i9やRyzen 9よりも大幅に安価な上、標準設定なら最大88Wという12コアとは思えない省電力さを発揮し、抜群の電力効率を発揮します。クーラーや電源の費用を節約したい場合には優れた選択肢になりますし、性能重視の場合でもPBOという疑似オーバークロック機能を有効にすれば7900Xと少ししか変わらない性能で稼働できたりもするので、設定をいじってみたいという人にもおすすめできる高コスパで扱いやすいハイエンドCPUに仕上がっていると思いますので、効率を追求したい方にはおすすめのCPUです。

ゲームやコスパ重視ならCore i9だけど、ゲーム以外なら電力面で勝るRyzen 9も魅力的

冒頭でも触れましたが、純粋な性能やコスパではCore i9の方がわずかに有利だけど、電力面ではRyzen 9がやや大きめに有利という感じです。

正直好みや用途の話になりますが、一般的にはやはりCoreの方がメーカーへの信頼性が高い傾向があり、ソフトへの最適化も実際Coreの方が少し有利な印象があるので、無難な選択肢になると思います。ただし、個人的には効率の良いCPUが好みなので、Ryzenの方を推したい気持ちもあります。

また、例外的な存在として、Ryzenには3D V-Cache搭載モデル「Ryzen 9 7950X3D / 7900X3D」があります。これに関してはゲーム性能では第13,14世代Core i9に匹敵するものを持ちつつ、Ryzenの効率の良さも兼ね備えているため、総合性能は明らかにトップのゲーミングCPUです。ただし、価格は9モデルの中においても高価で、7950X3Dは10万円以上です。マルチスレッド性能は向上している訳ではないので、ゲーム性能の少しの向上のために2~3万円の追加費用を用意することになり、それを良しとするかは人によるので難しいというのが本音です。ただ、予算が潤沢なゲーマーに限っては非常に強力なので、検討して損は無いと思います。

例外があるためややこしくなっているものの、やはり純粋なコスパではCore i9が有利です。Ryzen 9よりも消費電力が多いのはの弱点ですが、9モデルを採用するPCでは元々強力なCPUクーラーと電源を搭載するのは前提条件みたいな部分がありますから、実質的にはさほどネックにならない場合があるのも選び易い理由だと思います。ただし、ゲーム以外の効率がRyzen 9に大きく劣る点は明らかなので、高負荷なマルチスレッド処理を日常的に行う場合にはRyzen 9の方がおすすめかなと思います。

また、ソケット(マザーボード)面ではRyzenの方がやや有利なのも長期利用を考えるならポイントです。第13,14世代CoreのソケットはLGA1700で、これは恐らく次の世代から変更となりますが、Ryzen 7000シリーズのAM5は最低でも2025年までのサポートが名言されています。新しい世代が登場しても、CPUだけを交換できる状況が続くのは嬉しい点ですし、消費電力の少なさと効率の良さも長期利用を考えるなら重要度は高まると思います。


Core i7 と Ryzen 7

Core i7およびRyzen 7は主流CPUにおける上級モデル(上から2番目)です。いわゆるハイクラスと呼ばれる区分に入ります。
価格はおおよそ4万円~7万円台となっています(2023年10月時点)。
性能はCore i9やRyzen 9よりはやや劣るものの、十分に高性能です。ハイエンド用途でも使える性能を持ち、ゲーミング性能だけならCore i9やRyzen 9とも大差ないことが基本なので、性能もさほど妥協しないコスパ重視CPUとして人気のシリーズとなっています。

Core i7(第13,14世代)と Ryzen 7(7000シリーズ)
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング
消費電力
発熱
Core i7(第14世代)
4.75
4.75
4.75
1.5
Core i7(第13世代)
4.5
4.75
4.75
1.75
Ryzen 7(7000番台)
3.75
4.75
4.75(X3D)
4.5
3.5
Core i7(第12世代)
4.0
4.75
4.5
2.75
Ryzen 7(5000番台)
3.25
3.75
4.0
3.5

Core i7とRyzen 7の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU Cinebench R23
Multi
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
コスパ 電力効率 参考価格
Core i7-14700K 35,572 20/28 3.4 / 5.6GHz 125W 253W 0.494 140.6 71,970円
Core i7-14700KF 35,572 20/28 3.4 / 5.6GHz 125W 253W 0.528 140.6 67,370円
Core i7-13700K 31,062 16/24 3.4 / 5.4GHz 125W 253W 0.476 122.8 65,200円
Core i7-13700KF 31,062 16/24 3.4 / 5.4GHz 125W 253W 0.508 122.8 61,090円
Core i7-13700 24,770 16/24 2.1 / 5.2GHz 65W 219W 0.403 113.1 61,400円
Core i7-13700F 24,770 16/24 2.1 / 5.2GHz 65W 219W 0.433 113.1 57,250円
Core i7-12700K 22,812 12/20 3.6 / 5.0GHz 125W 190W 0.461 120.1 49,450円
Core i7-12700KF 22,812 12/20 3.6 / 5.0GHz 125W 190W 0.493 120.1 46,280円
Core i7-12700 21,568 12/20 2.1 / 4.9GHz 65W 180W 0.471 119.8 45,780円
Core i7-12700F 21,568 12/20 2.1 / 4.9GHz 65W 180W 0.507 119.8 42,580円
Ryzen 7 7800X3D 18,475 8/16 4.2 / 5.0GHz 120W 162W 0.303 114.0 60,980円
Ryzen 7 7700X 20,399 8/16 4.5 / 5.4GHz 105W 142W 0.480 143.7 42,480円
Ryzen 7 7700 18,720 8/16 3.8 / 5.3GHz 65W 88W 0.458 212.7 40,900円
Ryzen 7 5800X3D 15,003 8/16 3.4 / 4.5GHz 105W 142W 0.306 105.7 49,000円
Ryzen 7 5700X 14,211 8/16 3.4 / 4.6GHz 65W 76W 0.551 187.0 25,780円
Ryzen 7 5700G 14,041 8/16 3.8 / 4.6GHz 65W 88W 0.487 159.6 28,860円
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i7-14700K
35572
Core i7-13700K
31062
Core i7-13700
24770
Core i7-12700K
22812
Core i7-12700
21568
Ryzen 7 7700X
20399
Ryzen 7 7700
18720
Ryzen 7 7800X3D
18475
Ryzen 7 5800X
15245
Ryzen 7 5800X3D
15003
Ryzen 7 5700X
14211
Ryzen 7 5700G
14041

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i7-14700K
2228
Core i7-13700K
2126
Core i7-13700
2107
Ryzen 7 7700X
2010
Core i7-12700K
1939
Ryzen 7 7700
1916
Core i7-12700
1862
Ryzen 7 7800X3D
1817
Ryzen 7 5800X
1594
Ryzen 7 5700X
1522
Ryzen 7 5700G
1517
Ryzen 7 5800X3D
1491

性能やコスパはCore i7の大幅有利、電力面ではRyzen 7が有利だけど、性能差が大きいので良いとも言えない

Core i7(第13,14世代)とRyzen 7(7000シリーズ)は、性能はCore i7の方が大幅に有利で、電力面ではRyzen 7の方が優れているという感じになっています。ただし、マルチスレッド性能差が大きいため、基本的にはCore i7が安定の選択だと思います。

まず、第14世代のCore i7は合計20コア28スレッドとなっており、高性能コア(Pコア)が8コア、高効率コア(Eコア)が12コアという構成です。非常に優れたマルチスレッド性能を持っており、Core i9と比較しても-10%~-15%程度に留まっています。

Core i9と比較して、追加のEコア4つ分の恩恵を感じる使い方をするような一般の人は結構稀だと思いますので、実用性的には大差ないことを考えると、2万円~3万円安価ならほとんどの人はCore i9よりも実用コスパは良いと思います。また、ゲーム性能はほとんど変わらないので、ゲーム用の高性能CPUとしてのコスパは非常に良いです。記事更新時点では発売直後で高価なのでそこまで秀でたコスパではありませんが、価格が落ち着き次第高性能CPUの安定択となると思います。

そして、アーキテクチャなどは同じ第13世代のCore i7は、合計16コア24スレッドとなっており、高性能コア(Pコア)が8コア、高効率コア(Eコア)が8コアという構成です。Pコアの数は第14世代でも変わらず、ゲーム性能差もわずかなので、価格差が大きい内でゲームコスパ重視なら、まだ有力な選択肢です。Ryzen 7と性能を比較すると、Eコア8つ分の優位性があるため、マルチスレッド性能は圧倒的にCore i7の方が有利です。

また、シングルスレッド性能およびゲーミング性能でも、Ryzen 7相手なら若干Core i7の方が有利なので、処理性能はどの方面から見ても基本的にCore i7が有利です。価格はRyzen 7の方がやや安価ですが、マルチスレッド性能がCore i7の方が圧倒的に高くて他の面も同等以上なので、性能コスパもCore i7の方がやや有利です。

ただし、「Ryzen 7 7800X3D」に関しては、「3D V-Cache」というL3キャッシュを大容量搭載したことでゲーミング性能が向上しており、このモデルだけはゲーム性能はCore i7を若干上回るか同等レベルです。ただし、価格は同等ながらマルチスレッド性能が圧倒的に劣るという弱点は変わらないので、基本的にはやはりCore i7の方が有利かなという印象です。

しかし、第13,14世代のCore i7(K付き)は消費電力が非常に多い点は要注意です。K付きモデルの最大ターボ電力はCore i9と同じ253Wとなっており、非常に高いです。Core i7という肩書きからCore i9よりはマシだろうという印象も受けるかと思いますが、実際の高負荷時には大差ない消費電力・発熱量となります。

無印モデルについてはPBP/TDP PL1が65Wに制限されているため、消費電力・発熱量は少ないですが、13700Kと13700を例に見ると、マルチスレッド性能は約2割も低下する点は留意です。ただし、水冷推奨レベルから12cmファン1基空冷などでも運用可能なレベルにまで改善し、効率も向上するために魅力は大きいと思います。

また、無印モデルでも、TDP PL1の制限値を解除(=PL2と同値)にすることでK付きモデルにも大分近付くレベルまで性能を引き上げることが可能だったりします。それをしてもK付きの性能にはやや届きませんが、高性能なクーラーを導入できる場合には設定するのがおすすめです。

そして、対するRyzen 7(7000シリーズ)ですが、先の通り性能面では基本的に劣ります。

Ryzen 7の強みは、費電力が第13,14世代Core i7より大幅に少ない点です。末尾XでもTDP PL2は142Wとなっており、Core i7(K付き)の253Wとの差は100W以上です。非常に大きいです。しかも、無印モデルなら88Wと非常に少ない消費電力で稼働します。

マルチスレッド性能差は大きいものの、圧倒的に少ない電力で稼働する上に、電力効率でもRyzen 7の方がやや優れています。Ryzen 7なら高負荷な処理前提でも空冷クーラーで運用が十分可能なレベルですし、電源でも余裕が出ますから、電力面ではRyzen 7の圧倒的に有利となっています。

価格も、発売後からRyzen 7000シリーズが軒並み値下がりしたことが大きく、記事更新時点ではRyzen 7(X3D除く)の方が約1.5万円程度も安価です。そのため、高いマルチスレッド性能よりも、電力面や価格の安さを重視するならRyzen 7は意外とアリな選択肢です。

とはいえ、Core i7も設定をいじれる人であれば省電力運用が可能ですし、マルチスレッド性能差が非常に大きいこともあり、多少制限しても性能面での優位は揺らぎませんから、それを考慮すればやはり実質的にはCore i7の一択レベルに感じてしまいます。

最後にまとめると、7モデルはやはり、マルチスレッド性能が圧倒的に勝るCore i7の方が基本有利です。

消費電力や発熱面を重視するならRyzen 7の方が優れている上に、やや安価ではあるため、Ryzen 7の優位性が一切ない訳ではありませんが、やはりこれだけのマルチスレッド性能差は、多少の他の要素では揺らがない魅力があります。

それに、電力や発熱の多さも、Core i7の設定を上手く調整すればある程度改善することが実は可能であり、それ込みでもマルチスレッド性能差は有利を維持することが可能なので、Core i7が無難な選択肢となると思います。


Core i5 と Ryzen 5

Core i5およびRyzen 5は主流CPUにおける中級モデルです。いわゆるミドルレンジに区分されます。

中級とはいっても現在では十分に高性能で、「可・不可」でいえば不可能な事はないレベルの高性能さです。数年前のハイエンドCPUを大きく上回るレベルの性能を持っています。価格はやや幅が広く、おおよそ2万円~4万円台となっています。

Core i5(第13世代)と Ryzen 5(7000シリーズ)
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング
消費電力
発熱
Core i5 K付き
(第13,14世代)
4.0
4.75
4.5
2.75
Core i5-13400(F)
(第13世代/10コア)
3.5
4.0
4.0
4.0
Ryzen 5(7000番台)
3.5
4.5
4.5
3.5
Core i5 K付き
(第12世代)
3.75
4.5
4.25
3.5
Core i5 無印
(第12世代)
3.0
3.75
4.0
4.0
Ryzen 5(5000番台)
2.75
3.5
3.75
4.25

Core i5とRyzen 5の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU Cinebench R23
Multi
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
コスパ 電力効率 参考価格
Core i5-14600K 24,683 14/20 3.5 / 5.3GHz 125W 181W 0.455 136.4 54,240円
Core i5-14600KF 24,683 14/20 3.5 / 5.3GHz 125W 181W 0.494 136.4 49,970円
Core i5-13600K 24,525 14/20 3.5 / 5.1GHz 125W 181W 0.496 135.5 49,480円
Core i5-13600KF 24,525 14/20 3.5 / 5.1GHz 125W 181W 0.541 135.5 45,340円
Core i5-13500 21,135 10/16 2.5 / 5.2GHz 65W 154W 0.560 137.2 37,730円
Core i5-12600K 17,660 10/16 3.9 / 4.9GHz 125W 150W 0.491 117.7 36,000円
Core i5-12600KF 17,660 10/16 3.9 / 4.9GHz 125W 150W 0.519 117.7 34,000円
Core i5-13400 15,890 10/16 2.5 / 4.6GHz 65W 154W 0.441 96.5 36,070円
Core i5-13400F 15,890 10/16 2.5 / 4.6GHz 65W 148W 0.497 100.4 31,940円
Ryzen 5 7600X 15,315 6/12 4.7 / 5.3GHz 105W 142W 0.472 107.9 32,480円
Ryzen 5 7600 14,240 6/12 4.7 / 5.3GHz 65W 88W 0.479 161.8 29,700円
Core i5-12400 12,454 6/12 2.5 / 4.4GHz 65W 117W 0.489 106.4 25,480円
Core i5-12400F 12,454 6/12 2.5 / 4.4GHz 65W 117W 0.572 106.4 21,780円
Ryzen 5 5600X 11,268 6/12 3.7 / 4.6GHz 65W 76W 0.524 148.3 21,500円
Ryzen 5 5600 11,077? 6/12 3.5 / 4.4GHz 65W 76W 0.616 145.8 17,980円
Ryzen 5 5600G 11,077 6/12 3.9 / 4.4GHz 65W 88W 0.693 125.9 15,980円
Ryzen 5 5500 10,605 6/12 3.6 / 4.2GHz 65W 88W? 0.731 120.5 14,500円
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i5-14600K
24683
Core i5-13600K
24525
Core i5-12600K
17660
Core i5-13400
15890
Ryzen 5 7600X
15315
Ryzen 5 7600
14240
Core i5-12400
11448
Ryzen 5 5600X
11268
Ryzen 5 5600G
11077

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i5-14600K
2097
Core i5-13600K
2026
Ryzen 5 7600X
1976
Core i5-12600K
1918
Ryzen 5 7600
1856
Core i5-13400
1794
Core i5-12400
1716
Ryzen 5 5600X
1572
Ryzen 5 5600G
1504

Core i5 / Ryzen 5 も今では十分高性能

まず言っておきたいのが、Core i5Ryzen 5と聞くと性能に不安を感じる人も居ると思いますが、今では十分に高性能と言えるレベルの性能を持っていることです。基本的に不可能なことは無いくらいの高性能さを持ちつつも価格が上位モデルよりも安いため、一般用途でのコスパが非常に良いのが魅力です。

中でもゲーミングコスパが非常に良い点は魅力的です。レビューのベンチマークテストなどを見るとゲーム性能でも大きく劣る印象も受けるかもしれませんが、これはレビュー記事では基本的に超高性能なハイエンドGPUと共に使用されるためです(現在ならRTX 4090とか)。ハイエンドGPUと下位CPUの組み合わせでは確かにボトルネックが発生してゲーム性能で大幅に劣ることが基本ですが、実際には5モデルはミドルレンジGPUと組み合わせるのが基本で、その場合にはボトルネックも大して発生せず、上位CPUと比べてゲーム性能差は実はほとんどありません。そのため、基本的にゲーミング単体のコスパであれば5が一番強いです(特に安価なモデル)。

Core i7 / Ryzen 7と比べるとコア数で劣るため、マルチスレッド性能を重視する場合には微妙なのは確かですが、ゲーミング単体に限れば、ミドルレンジGPUとの組み合わせならほとんどのゲームでは6コアCPUでも大きなネックになることは思ったよりも少ないため、コスパが良い点は留意しておきましょう。

下位モデルでは値下がりが進んだRyzen 5がやや有利に

Core i5(第13,14世代)Ryzen 5(7000シリーズ)で魅力的なのは特に安価な3万円台の下位モデルです。具体的には主に「Core i5-13400(F)」と「Ryzen 5 7600(X)」です。

最安値モデルが3万円前後という安価さは最大の魅力ですし、ミドルレンジGPUならネックにならない性能を持ち、消費電力と発熱が少ないため空冷クーラーでも十分運用ができるのも嬉しいモデルです。非常に扱いやすく、高くない性能も言い換えれば無駄にならないとも捉えることができるため、少ない予算で最大限CPUの性能を活用できる選択肢です。

各コア構成は、「Core i5-13400(F)」は10コア16スレッド、「Ryzen 5 7600(X)」は6コア12スレッドとなっており、コア数に差があるためCore i5が有利に見えますが、第13世代のCore i5のK無しモデルのコア仕様は第12世代(Alder Lake)と同様の仕様を維持しており、コア性能が少し低いため、実際のマルチスレッド性能は同等レベルで、ゲーム性能ではむしろRyzen 5の方が若干有利となっているのがポイントです(ただし、コア・スレッド数はCore i5の方が多いため、一部のスレッド数が重要な用途ではCore i5が少し有利)。ほぼ同等の性能と言っても良いのかなと思います。

そのため差を分けるのは価格です。発売当初は「Ryzen 5 7600(X)」の方がやや高価だったためにCore i5が有利でしたが、値下がりが進んだ結果「Core i5-13400(F)」と同等になったため、ゲーム性能で若干有利なRyzen 5の方がわずかに有利という感じになりました。

とはいえ、価格はほぼ同等で性能も大きな差ではないため、正直選択を大きく左右するほどではないようにも見えます。性能だけ見れば実際にそうですが、その際にポイントになるのがソケットです。第13,14世代のLGA1700は次の世代で変更になると言われているのに対し、Ryzen 7000のソケットAM5は最低でも2025年までのサポートが名言されています。ソケットAM4が長期サポートだった点を考えると期待できます。

このソケットのサポート期間の点も考えると、同額ながらやはりRyzen 5の方がおすすめかなと思います。総合性能にもRyzen 5 7600(X)の方が若干有利ですし、万が一早い段階でCPUやグラボの交換をしたくなった場合にも対応できるRyzenの方が安心かなと思います。なので、Ryzenに抵抗が無ければ「Ryzen 5 7600(X)」の方がおすすめです。

ただし、13400の一つ上の「Core i5-13500」についてはEコアが4つ増量された14コア20スレッドとなっており、「Ryzen 5 7600(X)」よりも大幅に高いマルチスレッド性能を持つため有利です。マルチスレッド性能は1.3倍~1.4倍差と大きく、上述のソケット差でも正当化できないくらいには差があるので、「Core i5-13500」が選べるならおすすめです。ただ、「Core i5-13500」はBTOや既製品PCで標準採用されることはほぼ無い自作専用に近いCPUなので、選択肢に挙がってくる人は少ないかとは思います。

最後に第13,14世代のCore i5(K付き)です。合計14コア20スレッドとなっており、高性能コア(Pコア)が6コア、高効率コア(Eコア)が8コアという構成です。K無しモデルと違い、ちゃんと第13,14世代(Raptor Lake)のコア仕様なので、ゲームも含めCore i5-13500以下よりも性能がグッと上がります。ちなみに、13600Kと14600Kの性能差はごくわずかなので、安い方で大丈夫です。

対するRyzen 7000シリーズのRyzen 5は、2023年10月時点では「Ryzen 5 7600(X)」とOEM限定の「Ryzen 5 7500F(6コア)」しかないので、実質対抗製品がないです。一応比較してみると、Pコアが6コアだけなので、コア構成はCore i5(K付き)の方がEコア8つも上回る形になっており、マルチスレッド性能は圧倒的にCore i5の方が有利で、約1.6倍も高性能となっています。

また、シングルスレッド性能およびゲーミング性能でも、K付きCore i5の方が少し有利なので、K付きのCore i5が処理性能はどの方面から見ても有利です。

価格を見ると、Core i5-13600K(F)Ryzen 5 7600Xでは、Core i5の方が約1~1.3万円ほど高価なため、安さではRyzenに優位性があるものの、やはり1.6倍のマルチスレッド性能差が非常に大きいため、コスパでもやはりCore i5(K付き)の方が勝る印象です。

一応ゲームの単体動作なら性能は大差ないため、とにかく安さを重視する場合には一応優位にはなるものの、やはりマルチスレッド性能があまりにも大きいので、個人的には総合コスパは考えればCore i5-13600K(F)が上かなと感じます。

ただし、消費電力は「Core i5-13600K(F)」の方が大幅に多い点は留意する必要があります。「Core i5-13600K(F)/14600K(F)」のTDP PL2は181Wとなっており、Ryzen 5 7600(X)の88W~142Wよりも大幅に高いです。また、Ryzenの方が効率も良く、実際には142Wも消費することはほぼないですが、「Core i5-13600K(F)」の場合は高負荷時には普通に180Wクラスを消費します。ここは大きな差です。

40W~90Wの消費電力差は、特にクーラーも安価な空冷で済ませたいこの価格帯では大きなメリットだと思います。

ただし、「Core i5-13600K(F) / 14600K(F)」も高性能なものなら空冷でも事足りるレベルに収まっているのは悪くない点です。Core i7のK付きは水冷が推奨なので、費用面でも取り回しでも大きく変わりますが、Core i5はK付きならちょっと良い空冷クーラーを導入するだけで事足りるので、扱い易さは格段に違います。

BTOのコスパ重視品では12cmファン1基の空冷クーラーが基本な点を考えると、総合的にはやはり「Core i5-13400(F)」や「Ryzen 5 7600(X)」の方が優先したくなりそうではありますが、

個人的な総合評価は「Core i5(K付き)」の方が少し上なので、自作やBTOで選べる場合には検討してみることをおすすめします。

といった感じで、最後にまとめると、下位モデルなら「Ryzen 5 7600(X)」の方がAM5のサポート面も含めると少し有利で、総合的に一番コスパが良くおすすめなのは、1万円ちょっとの追加費用で性能が大幅に上がる「Core i5-13600K(F)」かなという印象です。


Core i3 と Ryzen 3(Ryzen 3未登場

※Ryzen 3がRyzen 5000シリーズから消費者向けモデルが発売されていないので、Core i3のみの評価になります。

Core i3およびRyzen 3は主流CPUにおける中の下くらいに位置するモデルです。いわゆるミドルレンジ下位くらいに区分されます。価格は安く、おおよそ1万円台前半~2万円程度となっています。
価格の安さが魅力のモデルなので、性能はCore i5 / Ryzen 5以上と比較すると低いです。

とはいえ、現在ではWeb閲覧やOffice作業などの軽作業であれば十分すぎるくらいの性能は持っています。その安価さのおかげで、特に重い作業をしないのであればコスパは良いです。また、消費電力や発熱も少ないため、小さなケースで運用するのにも適しています。また、ゲーミング用途でも、上位モデルと比べるとパフォーマンスが劣るというだけで、普通に使えはします。

ですが、価格差の割にCore i5Ryzen 5との性能差が大きいことと、CPUは一度導入すると交換が難しいことが気になるため、優先して選ばれることはあまりないです。少し予算をプラスしてCore i5Ryzen 5を買うだけで性能が大幅に上昇するため、「3を買うなら、少しプラスして5買った方がお得」というのが明らかなので、他モデルより人気は低めです。

そのことをメーカーも承知しているのか、特にデスクトップではIntelもAMDもCore i3およびRyzen 3の販売にあまり積極的ではない印象です。実際、Ryzenに至っては、2023年1月時点でRyzen 5000シリーズおよびRyzen 7000シリーズで消費者向けモデルが1つも投入されていません。

Core i3 / Ryzen 3の最新世代はまだ未登場
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング
消費電力
発熱
Core i3(第13世代)
2.0
3.75
3.25
4.25
Core i3(第12世代)
2.0
3.75
3.25
4.25
Ryzen 3(5000番台)
※未投入なので評価無し
1.0
1.0
1.0
1.0

Core i3とRyzen 3の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU Cinebench
R23
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
クーラー
の付属
コスパ 参考価格
Core i3-13100 8,812 4/8 3.4 / 4.5GHz 60W 89W 0.408 21,580円
Core i3-13100F 8,812 4/8 3.4 / 4.5GHz 58W 89W 0.490 17,980円
Core i3-12100 8,172 4/8 3.3 / 4.3GHz 60W 89W 0.484 16,880円
Core i3-12100F 8,172 4/8 3.3 / 4.3GHz 58W 89W 0.584 14,000円
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i3-13100
8812
Core i3-13100F
8812
Core i3-12100
8172
Core i3-12100F
8172

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i3-13100
1716
Core i3-13100F
1716
Core i3-12100
1679
Core i3-12100F
1679

2023年3月時点ではRyzen 3が未登場のためCore i3一択。性能は微妙なので、出来れば上位モデルの検討を

Ryzen 3の比較モデルがないため、軽い紹介程度に触れていきます。

第12世代および第13世代CoreのCore i3は4コア8スレッドCPUです。Eコアの追加もなく、コア数は据え置きです。

コア自体の性能が以前よりも向上しているため、重い処理も不可能ではないですが、やはり上位モデルと比べると低性能感が強いのは否めません。マルチスレッド性能は、3万円前後のCore i5-13400(F)の方が約1.8倍も高性能です。

多少費用が節約できるといっても、Core i5の下位モデルと比べれば1万円~1.5万円程度です。PCの合計金額から見た割合でみれば1~2割程度の節約になると思いますが、それで性能が4割も失われてしまうのは、どう見ても割に合わないです。

軽作業前提の実用コスパという点では、安さも含めて優位性はもちろんあります。しかし、各ソフトから求められる性能は年々高くなっていくものですから、現時点でも不満がある性能のPCを悪いコスパで導入するのはおすすめはできない選択です。ある程度長く使うPCなら、やはり最低でもCore i5以上をおすすめしたいです。

結局どっちが良い?

最後に「どっちが良いか?」という点について個人的なおすすめを述べています。あくまで参考までにご覧ください。

Core i7 / Ryzen 7 では第13世代Coreがコスパで明らかに有利

「7」モデルについては、やはりコア数の多さで大きく上回るCore i7の方が有利でおすすめです。

Core i7、第13世代はは8P+8Eの16コア、第14世代は8P+12Eの20コアなのに対し、Ryzen 7はわずか8コアのみなので、やはりその差は非常に大きいです。電力・価格面ではRyzen 7の方がやや有利ではあるものの、さすがにこの性能差を覆すほどの優位性を見出すことは難しい印象で、総合コスパは第13世代Coreが有利だと思います。

また、発熱・電力・価格面についても、Core i7の無印モデルで最適な設定に調整することである程度の対応も可能だったりするので、RyzenのAM5の長期サポートによほどの魅力を感じない限りは、Core i7が無難な選択肢です。

Ryzen 5 7600(X)は値下がりのおかげで、Core i5-13400よりも若干有利に

ミドルレンジ以下のCPUに関して、発売当初からしばらくは従来通りCore i5の400番台の「Core i5-13400(F)」が総合コスパ最強筆頭でしたが、「Ryzen 5 7600(X)」が発売後から大きく値下がりが進み、2023年7月現在では「Core i5-13400」とほぼ同じ約3.2万円から購入できるようになったため、有力になりました。

ゲーム性能では「Core i5-13400」よりもボトルネックのなりにくさで若干勝っているため、少し上回る結果となっている上、ソケットAM5の長期サポートの利点もあり、安価なPCでは選び易い選択肢になったと思います。

ただし、性能と価格だけで見れば差は小さく、明らかな有利不利が付いている訳でもないです。初動価格の高さのせいか、BTOなどではやや高めの価格設定のところも多いですし、結局のところは供給が多くてお得な製品を探し易いCore i5が有利になるのかなとも思います。

5万円前後はCore i5(K付き)の独壇場

人気モデルになるかは微妙なところですが、Core i5(K付き)が価格や性能的に従来のCore i7のような立ち位置に居て、他の競合モデルもほぼおらず、コスパも実は非常に良いので、有効活用できるなら割とおすすめできるCPUです。

ゲーム性能も、RTX 4090のような超高性能GPUでなければ実はCore i7やCore i9と大して変わらないので、マルチスレッド性能を少しでも高めたい訳でなければゲーム用の高コスパCPUとしては強力な選択肢となります。

とはいえ、1万円くらいプラスすればCore i7(無印)が居て、見栄え的にもそちらの方が良いですから、あえて選ぶ人が居るかは正直微妙にも感じるのが何とも言えないCPUです。

ハイエンドのコスパはCore i9が少し有利だけど、電力面ではRyzen 9が少し有利

性能特化のハイエンドモデル Core i9 / Ryzen 9 を検討する場合ですが、コスパやゲーム性能重視ならCore i9、電力面重視ならRyzen 9 7950系(16コア)という形になります。また、予算が潤沢でゲームがメイン用途の場合に限っては「Ryzen 9 7950X3D」がそれらを差し置いて一人浮きで優位かなという感じです。

しかし、「1番」を決めるために優劣を無理やりつけるのが最上位モデルなので見落としがちですが、実は性能差はどれも小さめなので、正直好みレベルの差という印象です。迷うなら、個人的には電力効率に優れるRyzenを勧めたいかなという程度の差になります。AM5の長めのサポート期間もありますし。

とはいえ、Core i9 / Ryzen 9クラスのCPUを導入するなら電源とクーラーは高性能なものを揃えると思いますし、1~2年でCPUを交換したいという人もあまり居ないとは思うため、気にするまでもないかもしれません。やはり好みレベルだと思います。

また、Ryzen 9の12コアモデルに関しては、マルチスレッド性能が他のCore i9 / Ryzen 9よりも、大幅に低いのが厳しく、第一候補にはなりにくいと思います。

電力面では優位性があるものの、そもそも7万円~クラスのCPUを検討するならやはり性能に特化したいということだと思いますから、7950XやCore i9の方が魅力的に感じる場合が多いと思われ、候補の上位に挙がってくることはなさそうな印象です。

Ryzen 9 7900(無印)の電力面が物凄く優秀で、意外に強力?

性能コスパはそこまでですが、省電力モデルの「Ryzen 9 7900」が省電力さと電力効率は頭一つ抜けて良い結果を示しているのが個人的に気になるところです。

標準設定ではMTPが88Wとなっており、12コアとは思えない省電力さとなっており、小さめの空冷でも冷却が可能なレベルです。クーラーや電源の費用を節約することが出来るのはメリットの一つです。

性能も上位モデルと比べなければ普通に高性能でハイエンド用途にも使えるレベルながら、わずか88Wで動作するのは効率重視の人にとっては魅力的だと思います。

価格も発売から値下がりし、2023年10月時点では約6.6万円となっており、それを考えればコスパも意外と若干悪い程度で収まっていたりもします。

更に、「Ryzen 9 7900」ではPBOという疑似的な自動オーバークロック機能を利用することができ(Xモデルでは標準で有効になっている機能)、それを有効にすれば7900Xに近い性能で運用することも可能になります。電力に合わせて高性能なクーラーは必要にはなるものの、一応高負荷運用にも対応できる汎用性の高いCPUです。

このように、「Ryzen 9 7900」は高い性能と効率を備えながら、省電力CPUにも性能重視CPUにもなる面白いCPUだと思います。

やはり純粋なコスパでは第13,14世代のCore i7に負けるのは事実であり、どうせ高い性能を求めるなら高性能なクーラーは必要となりますから、ゲーミングPC向けのCPUとして勧めるならやはりCore i7にはなってしまうとは思うため、効率特化が好きで設定を調整するのが好きな人向けというニッチなCPUにはなると思うものの、ポテンシャルの高くて面白いCPUとして紹介しておこうと思います。

Ryzen 9 7950X3D は予算に糸目をつけない人ならおすすめ

かなり限定的にはなりますが、50万円~クラスのPCを予算度外視で検討中のゲームメインの人の場合には、「Ryzen 9 7950X3D」は個人的にはおすすめしたい選択肢です。

Core i9に匹敵するゲーム性能を持ちつつも、少なめの消費電力で非常に優れたワットパフォーマンスを持ち、AM5のサポート面でも第13,14世代を上回るので、価格のネックさえ許容できるなら、2023年10月時点での総合性能評価では個人的には1位のCPUです。

一応マルチスレッド性能は「Core i9-13900K / 14900K」には若干負けるものの、差は大きくないので実用性能はほぼ変わらない、トップクラスといって差し支えないハイエンドCPUです。

限定的ですが、気になる方はチェックしてみてください。



それでは、内容はここまでとなります。ご覧いただきありがとうございました。

性能スコアなどの参考

46 COMMENTS

ttt

詳しい解説参考になります。
年内を目途にデスクトップPCの新調を考えているのですが、ゲームも”少し”したいと考えています。
現在だとryzenよりintelの方がよいとのことですが、他所で聞くと、ゲームならryzen、という意見もあり、他のサイトも色々拝見しているのですが、決めかねているところです。

実際のところ、したいゲームによって最適化されているcpuが違うというのもあるのかと思いますが、全体的な傾向として、ゲームをするのならこっちが無難、という意見はありますでしょうか?

最初に書きましたように”少し”したい程度なのでグラボの購入はしない予定ですが、予算は10万程なので、GTX1650搭載機なら手の届くところではあります。
このあたりも踏まえてアドバイスいただけますと幸いです。

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とねりん:管理人

はじめまして。

グラボを使用した際のゲーム性能を「第13世代Core」と「Ryzen 7000」で比較した場合、全体の傾向でいうとCoreの方が少し優れている傾向があります(RyzenのX3Dモデルは除く)。とはいえ、ゲームによってはRyzenが有利になるケースもあるため、一応やるゲーム次第という形にはなります。
ただし、上記は質問者様のケースでは恐らく気にする必要はないと思います。

理由は、一般的にCPUのゲーム性能というのは、ボトルネック差を出来るだけ詳細に知るために、高性能なハイエンドGPU(グラボ)を使用した際のfpsで比較するものとなっているためです。ゲームでCPUに求められる処理というのは、GPUが処理した量(主にフレーム数)に応じて増えるため、基本fpsが高いほど高性能なCPUが求められます。「GTX 1650」レベルのエントリークラス以下のGPUを使用する際には非常に軽いゲームでしか高いfpsは出ないため、現在の最新CPU(Core i5 / Ryzen 5 以上)ならボトルネックが発生することはほとんど無く、ゲーム性能差はほとんど出ません。そのため、質問者様のケースではCPUのゲーム性能はあまり気にする必要はないかと思います。その他の処理も同時に処理したりする場合には多少差が出てくる可能性も考えると、どちらかというとマルチスレッド性能差の方が重要かもしれません。

あと、余談にはなりますが、エントリーレベルのGPUを今検討するなら「GTX 1650」よりも「Arc A380」の方がコスパ的には良いと思います。Arcは発売当初は最適化不足が深刻で評価されませんでしたが、現在ではドライバによる改善が結構進んでいる上に値下げも進み、結構お得になっています。
また、「GTX 1650」ではAV1と呼ばれる映像コーデックに対するサポートが無いのが気になります。詳しくは触れませんが、AV1は将来性が期待されており採用率が増えているコーデックです。今購入するPCでは、出来ればデコードは対応しておきたいです。一応、「第13世代Core」も「Ryzen 7000」も内蔵GPUの方でAV1デコードのサポートがあるので、アプリケーションごとに指定したりすれば対応は不可能ではないかもしれませんが、あまりメジャーとは言えない方法にはなりますし、CPU負荷を下げるためにも出来ればグラボ側で対応しておきたいです。

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ttt

詳細なアドバイスに感謝いたします。
エントリークラスのグラボだとCPUはボトルネックにならないのでどちらでもよいが、動画再生面で足を引っ張る可能性があるということですね。
となると下手にグラボに予算をさくくらいなら、少しでも高性能なCPUに予算を割り振るべき、という考えもあるのでしょうか?
所詮内蔵GPUはそれなりなので、ゲームをするなら安物でもグラボを積む方がよい、と思っているのですがどうでしょう?
それとも、予算を少し超えてでもGTX1660程度は積むべきでしょうか?

私の場合、買ったPCは6年以上使うつもりなので、ひとまず内蔵GPUで使ってみて後々必要になった時点でグラボを検討するという方が結果的に無駄が少なくなりそうでしょうか?(中途半端なCPUとグラボの両方を買い替えすることと比べて)
私が何に比重を置くのか次第になるのかとは思いますが、さらなるアドバイスいただけますと幸いです。

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とねりん:管理人

全体を通して概ね正しい認識だと思います。

現状の3万円以下のエントリーレベルのグラボではAV1のサポートが無いものがほとんどなので、AV1コーデックの動画再生では役に立ちません。AV1はまだ普及段階なので現状で困ることはほぼないですが、最低6年使うと考えるならAV1対応の優先度は高いと思います。

ゲームとCPUに関しても概ね認識の通りです。内蔵GPUの性能も向上しているとはいえ、現状はゲームに限れば安物でもグラボの方が高性能なことが基本です。一応、今年後半の発売が予測されている「Ryzen 7000」のAPUモデル(恐らく末尾G)では飛躍的に内蔵GPU性能が向上することが期待できますので、それが登場すれば少し事情が変わるかもしれませんが、現状では重めのゲームも視野に入れるならグラボは必須に近いです。

グラボ分の予算をCPUに予算を割り振るのも、ゲームを意識しないなら十分理にかなった選択肢です。ただし、低グレードなCPUからアップグレードすることを考えると、CPUクーラーで更なる予算追加が必要になったりする点には注意が必要です。

重いゲームが用途に含まれていないなら、内蔵GPUで様子を見るのも手かなと思います。ただ、質問者様がプレイしたいゲームの重さがわからないので、具体的には何とも言えないです。

一応、最後に低価格帯のグラボについてざっと触れておきますが、まず、「GTX 1650」や「GTX 1660」を含む「GTX 16」シリーズは共通してAV1のハードウェアサポートが無いので、個人的には今購入するのはおすすめしません。
今の市場でいうと、2万円台なら「Arc A380」ほぼ一択で、少し予算を増やせるなら「RTX 3060」、「RX 6600 / 6600 XT / 6650 XT」、「Arc A750 / A770」あたりになるかと思います。

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ttt

詳しく解説いただきありがとうございます。
今すぐ購入するというわけではないので、Ryzen 7000での大幅な性能向上が見込めるとのことを期待してしばらく待つことにします。
大変参考になりました。

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とねりん:管理人

全然ありな選択だと思います。
ただ、一応予測で確定情報という訳でもないので、間違っていたらその際には申し訳ありません。

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ヒロト

core i7-12700とRyzen7 5700XのPCで12700の方が5700Xよりも2万円ほど高い構成を見つけたのですが、その値段の差に見合う性能は見られるのでしょうか。その他の構成は同じものとします。

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とねりん:管理人

用途とGPUによると思います。
まず、「Core i7-12700」の方がコア数が多い新しいCPUのため、マルチスレッド性能が「Ryzen 7 5700X」の約1.5倍と大幅に高いです。そのため、高負荷なマルチスレッドが重要な処理で使う場合には十分価値はあると思います。一般的なものでいうと、マルチタスク処理全般や、CPUレンダリング・エンコードなどがあります。
関連して、12700の方がGPUのボトルネックもやや発生しにくい他、単純なゲーム性能もCore i7-12700の方が若干上なので、ハイエンドGPUと組み合わせる際には12700の方が有利になると思います。

総評としては、ベンチマークスコアを見るとやはりマルチスレッド性能差が大きく違うため、2万円(恐らく全体の10%~15%程度?)で1.5倍と考えると価格差から得られる性能としては十分な上、ゲームパフォーマンスやボトルネック面でも少し優秀な「Core i7-12700」の方が純粋なコスパは上だと思います。
ただし、重いマルチスレッド処理を頻繁にする訳でなく、ゲームパフォーマンスなども少しでも高い方が良い訳でないなら、実際の使用感はほぼ変わらないと思うので、安い「Ryzen 7 5700X」の方が良いとなると思います。
また、CPU以外の構成は同じものということでしたが、CPUクーラーが低性能なもので統一されている場合には、省電力な「Ryzen 7 5700X」の方が良いという可能性もあると思います。

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ヒロト

返信ありがとうございます。
この場合のハイエンドGPUというと何番あたりからのことを指すのでしょうか。
また、12700の発熱ではBTOでよく使われるクーラーでは排熱は足りないですか。その場合、どの程度のクーラーが必要ですか。

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とねりん:管理人

ゲームや解像度にもよるので一概には言えないですが、ベンチマークテストの3DMark Time Spyのスコアを参考に見てみると、

【RTX 3060】
5700X:8874(-2.8%)
12700:9128

【RTX 3060 Ti】
5700X:11523(-2.8%)
12700:11855

【RTX 3070】
5700X:12932(-4.4%)
12700:13531

【RTX 3080】
5700X:15929(-6.5%)
12700:17029

上記のような感じになっているので、RTX 3070から少しボトルネック差が出てきているという感じになります。

排熱については、PCケースにもよりますし、CPUクーラーについても具体的な製品がわからないと何とも言えないですが、Core i7-12700の安さ重視製品では120mmファン1基の空冷が多い印象なので、その場合には十分とは言えないかなと思います。
とはいえ、高負荷時に少しだけ性能が落ちるかもって程度で、後から調整も可能な部分なので、CPU付属のクーラーでなければ気にするほどでもないかもしれません。余計なことを言ってしまったかもしれません。
一応、Core i7-12700で空冷なら120mmファン2基 or 140mmファン1基のクーラーがあると安心ではあると思います。

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たかし

AMD Ryzen 7 5700GとIntel Core i5-12400で迷てます。
タスクをたくさん開くので一度Ryzenを使ってみたいのですがソフトの相性や不具合、故障が
心配です。

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とねりん:管理人

恐らく想像しているほどRyzenの方が問題が多発している状況は今ではないと思います。
逆にCoreの方で脆弱性や不具合が発生していることも普通にありますし、よく使用するソフトで問題が多発していないか事前に調べるのは必要だと思いますが、個人的にはそれ以上は気にしても仕方無いのではないかと思います。

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たかし

ありがとうございました。
今までIntelばかり使用していたので不安でした。
ちなみに、とねりんさんは、どちらがお勧めですか。

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とねりん:管理人

価格差と自作とBTOなどで購入するかでも話が変わりますし、どちらが良いとは言えないですね。
理解されているような気がしますが、Ryzen 7 5700Gの他の競合モデルよりゲーミング性能がやや低い点と、Core i5-12400の方がややマルチスレッド性能が低い点を踏まえ、自分の用途や予算などを考慮して決めることになると思います。

また、Ryzenは次世代からチップセットやソケット形状が刷新されるため新世代のものへの交換は不可能になる可能性が高いですが、Coreの方は次世代(13世代)でもソケット形状は維持され既存のマザーボードでも対応されることが予測されているため、後のCPU換装を考えるならCoreの方が有利な点や、DDR5メモリへの対応などでも差があります。

返信する
たかし

ありがとうございました。
BTOで Ryzen 7 5700GはWindows10でi5-12400はWindows11で価格は同額です、
とねりんさんのおっしゃる通り後の事も考えて、パソコンショップに行って来ます。

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とねりん:管理人

差し支えなければ、もう少し詳しい構成(もしくは型番)と価格を教えていただけないでしょうか?
今は次世代のCPUやGPUが控えていて難しい時期なので、一応コスパチェック的なことくらいは出来るかなと思うので、良ければ。

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うどん

Ryzen3 3250UとRyzen5 4500Uのどちらを購入しようか検討しております。
用途としては初心者のword,excel練習用で、コスト重視です。
どちらがおすすめですか?

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とねりん:管理人

オフィス程度の軽作業なら、処理性能はRyzen 3 3250Uでも十分だと思います。
ただ、Ryzen 5 4500Uの方が処理性能は圧倒的に高く、電力効率も大幅に良いです。
長期利用を想定しており、バッテリー駆動時間も長い方が良い場合にはRyzen 5 4500Uの方がおすすめです。

返信する
うどん

コメントありがとうございます!
有益なご意見とても参考になります。
再度、検討致します。

返信する

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