【デスクトップ】「Core」と「Ryzen」の違いを比較【ざっくり解説】

Intelの主流CPUシリーズのCoreシリーズと、AMDの主流CPUシリーズのRyzenシリーズの違いについてざっくり解説しています。(Coreの末尾Xシリーズや、Ryzen Threadripperシリーズは除外しています)
デスクトップPC向けの最新世代(2024年2月2日時点)のものを対象としています。

注意
掲載の情報は記事更新時点(2024年2月2日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。また、価格は主に価格.comやAmazonを参考とした市場価格となっています。

はじめに

主にデスクトップPC向けの最新世代CPUが対象

本記事は、PCの主流CPUであるIntelのCoreシリーズとAMDのRyzenシリーズ各種の主にデスクトップPC向けの最新世代のものを対象としています。最新世代というのはアーキテクチャ同一(ベースが同じ場合も同世代として扱う)の場合としています。
現在(2024年2月2日時点)で最新モデルとして扱うのは、Coreは第13/14世代(Raptol Lake)で、「Ryzen」は7000/8000Gシリーズ(Zen 4)です。

ざっくり比較

まずは、細かい数値を見ていく前に「Core」と「Ryzen」の各性能についてざっくりとした比較を載せています。「なんとなく各シリーズの特徴を掴めれば」といった感じのものになります。

しっかりとした比較ではないため、そのことを頭の中に置いた上でご覧ください。

Core 第13,14世代 Ryzen 7000 Ryzen 8000G
※高性能内蔵GPUモデル
コア
Pコア:高性能コア
Eコア:高効率コア
4~24 コア
Pコア:4~8コア
Eコア:0~16コア
6~16 コア
4~8 コア
スレッド
8~32 スレッド
Pコア:8~16スレッド
Eコア:0~16スレッド
12~32 スレッド
8~16 スレッド
マルチスレッド性能
Cinebench R23
i9:32,600~40,000
i7:24,800~35,000
i5 K:24,700前後
i5 K無:14,500~20,000

i3:8,800
Ryzen 9(16コア):35,700~38,500
Ryzen 9(12コア):25,000~29,500
Ryzen 7:18,500~20,000
Ryzen 5:15,000前後
Ryzen 7:17,700
Ryzen 5:14,000
シングルスレッド性能
Cinebench R23
i9:~2,317
i7:~2,174
i5 K:~2,060
i5
K無:~1,940
i3:~1,720
Ryzen 9:~2,070
Ryzen 7:~2,010
Ryzen 5:~1,980
Ryzen 7:1,800
Ryzen 5:1,780
ゲーミング性能
※ハイエンドGPU使用時
i7 / i9:
i5(K付き):
i5(無印):
i3:
X3D:
その他:
参考価格
※2024年2月時点
Core i9:~91,980円
Core i7:~66,980円
Core i5:~49,800円
Core i3:~23,800円
Ryzen 9:~99,800円
Ryzen 7:~52,800円
Ryzen 5:~32,480円
Ryzen 7:~57,800円
Ryzen 5:~39,800円
Ryzen 3:OEMのため不明
対応メモリ
※公式サポート
DDR5-5600※
DDR5-4800
DDR4-3200
※Core i5 K付き以降
DDR5-5200 DDR5-5200
内蔵GPU
3DMark Time Spy
×
無~800程度
※末尾FはGPU非搭載

2CU:720程度

12CU:3,300程度
8CU:2,850程度
付属クーラー
※BOX版
TDP:65W以下のみ付属
※一部例外あり
(性能は良くはない)
TDP:65W以下のみ付属
※一部例外あり
(性能は良くはない)
基本付属
※一部例外あり
(性能は良くはない)
消費電力
Blender Testの消費電力
Ryzenより悪い
~約287W
Coreより良い
~約237W
非常に少ない
※省電力モデルしかない
~約88W


CPU性能:「9」と「5の下位モデル」は同等レベルだけど、その他はCoreが基本有利

まずは処理性能面のざっくり比較です。タイトルの通りで、Core i9 / Ryzen 9の最上位モデル同士と、Core i5 / Ryzen 5の下位モデル同士の比較なら同等レベルですが、その他は基本Coreが有利です。Coreの方がEコアを搭載する分でコア数に優位性があり、マルチスレッド性能差が大きいモデルがあるためです。特に、Core i7 / Ryzen 7 同士の比較では、Eコア8個~12個分もの差があり、マルチスレッド性能差がすごく大きいので、第13、14世代Coreの方が有利です。7モデルは特に人気なので、そこで有利なCoreの優位性は大きいですし、他モデルについても性能は同等レベルなので、CPU性能重視ならCoreが無難な選択肢となっています。


ざっくり性能比較(第13,14世代CoreとRyzen 7000/8000G)
第13、14世代Core
※Core i5以上
Ryzen 7000 Ryzen 8000G
※高性能内蔵GPU搭載
コア数
Pコア:高性能コア
Eコア:高効率コア
10~24 コア
Pコア:6~8コア
Eコア:4~16コア
6~16 コア
4~8 コア
スレッド数
16~32 スレッド
Pコア:12~16スレッド
Eコア:4~16スレッド
12~32 スレッド
8~16 スレッド
マルチスレッド性能
Cinebench R23
Core i9 は同等
Core i7以下では基本有利
i9:32,600~40,000
i7:24,800~35,000
i5 K:24,700前後
i5 K無:14,500~22,000

i3:8,800
良くて同等
負けるモデルが多い
Ryzen 9(16コア):35,700~38,500
Ryzen 9(12コア):25,000~29,500
Ryzen 7:18,500~20,000
Ryzen 5:15,000前後
一段劣る
Ryzen 7:17,700

Ryzen 5:14,000
シングルスレッド性能
Cinebench R23
Ryzenより大きめに有利
i9:~2,350
i7:~2,230
i5 K:~2,100
i5
K無:~1,880
i3:~1,720
Coreよりやや不利
Ryzen 9:~2,070
Ryzen 7:~2,010
Ryzen 5:~1,980
一段劣る
Ryzen 7:1,800

Ryzen 5:1,780
ゲーミング性能
※ハイエンドGPU使用時
i7 / i9:
i5(K付き):
i5(無印):
i3:
X3D:
その他:

※同モデルナンバー内での比較(Core i9とRyzen 9等)
※2024年2月時点で最新のCPUが対象
※ゲーミング性能は高性能なGPU(グラフィックボード・ビデオカード)と同時に利用した場合のもの。


性能比較のポイントは「Eコア」です。第13,14世代Coreは通称「Eコア(高効率コア)」と呼ばれる、小型で低消費電力に特化した高効率コアを多数搭載しており、マルチスレッド性能を大きく底上げしています。

これに対しRyzen 7000は高性能コア(通称:Pコア)しか搭載していません。Pコアの数はRyzen 7以下では第13,14世代Coreと同じのため、Ryzen 7以下はCoreにEコア分の差で負けている点がポイントです。そのため、マルチスレッド性能は、Ryzen 7以下では基本Coreの方が有利という状況になっています。

ただし、Core i5下位(400番台と500番台)については、コアの仕様が旧世代の「Alder Lake」を恐らく引き継いでいる(キャッシュ量から推測)ため、Pコアの性能はRyzen 5(7000シリーズ)よりも少し劣っているため、Eコア有利分を含めても最終的なマルチスレッド性能は同等クラスの性能となっている点は注意です。また、ゲーム性能についてはEコアは大して恩恵がないのが現状なので、コア構成での大きな差はありません。

上述の理由で、コスパと安さを重視で、特にCore i7 / Ryzen 7 を検討する場合には、第13,14世代Coreが無難です。Core i5 / Ryzen 5に関しても、Core i5の14コアモデル(500~600番台)ならCoreの方が有利で、10コアモデル(400番台)ならRyzen 5と性能は同等レベルなので、基本的に7以下のモデルを検討する場合にはCoreを選ぶのが無難な選択肢という感じになっています。

ただし、Ryzenの「3D V-Cache」搭載の「X3D」モデル(例:Ryzen 9 7950X3D)なら、ゲーミング性能はCore i9に匹敵するレベルになるため話が変わる他、後述のワットパフォーマンスやソケット(チップセット)のサポート期間ではRyzenの方が有利のため、長期でしっかり使いたい場合にはRyzenが有利になる場合もある点は留意しておいて損はないと思います。

性能だけを見ればCoreが下回るケースがほとんど無いので安定には見えますが、その他の面はCoreの方が劣ることが実は多いので、表向きの性能よりも効率や長期利用の実用性を重視したい場合にはRyzenの方が実はおすすめできます。

また、Ryzen 8000Gシリーズは高性能内蔵GPUが特色のモデルのため、CPU性能だけで見れば他モデルより一段低く、コスパも良くないです。

後付けですが、以下にシングルスレッド性能とかマルチスレッド性能とかのざっくりとした説明を載せておきますので、ご存じない方は参考程度にご覧くださいませ。

  • シングルスレッド性能
    1スレッド(1コア)あたりの性能です。シングルスレッド性能が高いと、軽い処理の速さ(レスポンス)が良くなる他、基本的にどのような用途でも有利に働くため非常に重要です。
  • マルチスレッド性能
    CPUの全コア稼働時の処理性能です。マルチスレッド性能が高いと、動画エンコードやレンダリングなどの膨大な処理を必要とする作業で特に有利になる他、複数の処理を並行して行う場合などでも有利です。シングルスレッド性能と違い、用途によっては高くても恩恵をほとんど感じない要素という点に注意。
  • ゲーミング性能
    文字通りゲームをする際の性能。ただし、内蔵GPUではなく、高性能なグラボ(ハイエンド)と併用した際のものです。ゲームのフレーム生成の主体はGPU(グラボ)で、CPUではない点に注意です。高性能なグラボを使用する際には、GPUの足を引っ張らないように高性能なCPUが必要になるという感じです。

価格比較:ほぼ同等だけど、コスパは7以下でCoreが有利

モデルによって多少の差異はあるものの、競合モデル同士の価格は基本5,000円以内程度に収まっており、大差はないです。ほぼ同等と言って良いレベルかなと思います。

ただし、Ryzen 7 以下についてはCoreの方がコア数が多くてマルチスレッド性能がやや高いので、コスパは基本Coreの方が勝ります。

下記が2024年3月15日時点でのおおよその市場価格です。

価格比較(第13,14世代CoreとRyzen 7000)
第13,14世代Core Ryzen 7000 Ryzen 8000G
Core i9 / Ryzen 9(16コア) 86,700円~91,980円 84,980円~97,280円
Core i7 / Ryzen 9(12コア) 57,250円~66,980円 59,980円~68,980円
Core i5(K) / Ryzen 7 45,200円~49,800円 40,900円~49,800円 約54,970円
Core i5(無印) / Ryzen 5 31,770円~39,460円 29,800円~32,480円 27,480円~35,460円
Core i3 / Ryzen 3 17,800円~23,800円 未登場 OEM限定のため不明

時期によって多少の前後はありますが、価格は同等程度です。

よって、基本的に「9」モデルを検討する場合は、メーカー信頼度重視ならCore i9、効率重視ならRyzen 9という選択で、「7」モデルの場合はCore i7ほぼ一択、「5」モデルを検討する場合は、選べるならCore i5の14コアモデル(13500/14500)が最もコスパが良く、10コアモデル(13400/14400)の場合はRyzen 5と同等レベルの性能なのでどちらでも良いですが、ハイエンドGPU利用時のゲーム性能やサポート期間がRyzenの方が少し有利なので、お得なものがあるならRyzen 5の方が若干おすすめです。

また、Ryzen 8000Gシリーズは高性能内蔵GPUが特色のモデルで、Coremには2024年2月時点では対抗モデルがありません。比較対象は居ませんが、価格は他の同シリーズよりもやや高いのに、CPU性能はやや劣るので、CPU性能のコスパは悪いです。そのため、内蔵GPUを大きな魅力を感じなければ基本的に検討することはないモデルになると思います。

メモリ:第13,14世代CoreはDDR4にも対応

メモリについては、Ryzen 7000/8000GシリーズはDDR5しか対応していないのに対し、第13,14世代CoreはDDR5に加えてDDR4にも対応しています(DDR4とDDR5は互換性がなく、マザーボードによって決まるので注意)。

2023年10月現在ではまだDDR5の方がやや高価なので、安価な選択肢があるDDR4の方が有利と言えますが、帯域幅については現在のDDR4の主流がDDR4-3200なのに対し、DDR5は基本DDR5-4800~ですから、大幅にDDR5の方が上回ります。

用途によって有利不利は変わってくると思いますが、現状の多くのアプリケーションではパフォーマンスが大して変わらない(参考:https://www.techspot.com/review/2351-intel-core-i9-12900k/)という検証結果もあるため、特にメモリの帯域幅が重要な処理を行う場合や、将来性を見据えたい場合でなければ、DDR4でも現状大きく劣る場面はほぼないようです。そのため、DDR4も予算節約を重視する場合には選択肢に入ります。

とはいえ、これから出てくるCPUはDDR5に統一されていくと思いますし、消費電力が若干下がっているというメリットもあり、大分価格も下がってきているので、将来性も加味すれば出来ればDDR5の方が個人的にはおすすめです

電力面:効率はRyzen有利

電力面についての比較です。これはRyzen 7000の方が有利です。

メーカーによって名称は異なるものの、最近のCPUの電力設定は基本的に、TDP(PL1/ベース電力)TDP(PL2)という二つの値によって制御されており、この数値を見ることで大体の消費電力がわかります(正確とは言えないですが)。下記に表を載せているのでそちらを見てみましょう。基本的にTDP(PL2)を実質の最大消費電力と見ると良いです。

TDP比較(第13世代CoreとRyzen 7000)
第13,14世代Core Ryzen 7000/8000G
※Coreの末尾Fは省略 末尾 PL1 PL2 PL1 PL2
Core i9 / Ryzen 9 K / X,X3D 125W 253W X:170W
X3D:120W
X:230W
X3D:162W
無印/G 65W 219W 65W 88W
Core i7 / Ryzen 7 K / X,X3D 125W 253W X3D:120W
105W
X3D:162W
142W
無印/G 65W 219W 65W 88W
Core i5 / Ryzen 5 K/X 125W 181W 105W 142W
無印/G 65W 148W~ 65W 88W
Core i3 / Ryzen 3 無印/G 58W~ 89W 65W 88W

また、やや抜けはありますが、実測の電力テストの結果も併せて載せておきます(海外レビュー参考)。

消費電力(Blender CPUのみ)
CPU名称 消費電力
Ryzen 5 5600X
61W
Ryzen 7 5700X
61W
Core i5-12400F
64W
Core i5-13400F
65W
Core i5-12600
67W
Ryzen 7 7800X3D
77W
Ryzen 7 7700
82W
Ryzen 7 5800X3D
90W
Ryzen 5 7600X
115W
Ryzen 9 5950X
117W
Core i5-12600K
121W
Ryzen 7 5800X
125W
Ryzen 9 5900X
126W
Ryzen 7 7700X
138W
Ryzen 9 7950X3D
140W
Core i7-12700K
167W
Core i5-14600K
174W
Core i5-13600K
189W
Ryzen 9 7900X
200W
Core i9-12900K
244W
Core i7-13700K
252W
Ryzen 9 7950X
254W
Core i9-13900K
276W
Core i7-14700K
279W
Core i9-14900K
282W

電力効率(Cinebench Multi)
CPU名称 1Wあたりのスコア
Ryzen 9 7950X3D
253.3
Ryzen 7 7800X3D
232.7
Ryzen 7 7700
231.6
Core i5-13400F
228.3
Ryzen 7 5700X
223.0
Ryzen 9 5950X
221.1
Core i5-12400F
188.2
Ryzen 5 5600X
186.3
Core i5-12600
178.3
Ryzen 9 5900X
169.7
Ryzen 9 7950X
158.4
Ryzen 7 5800X3D
157.1
Ryzen 9 7900X
152.2
Core i5-12600K
148.7
Ryzen 7 7700X
146.9
Core i5-14600K
145.3
Core i9-14900K
139.0
Core i7-12700K
138.6
Ryzen 5 7600X
136.2
Core i9-13900K
130.5
Core i7-14700K
126.2
Core i5-13600K
125.1
Core i7-13700K
121.4
Ryzen 7 5800X
116.9
Core i9-12900K
110.8

参考:

上述の表を見ると、消費電力ではRyzenの方が全体的に少なく、効率でもRyzenの方が良いことがわかります。電力面ではRyzenの方が有利です。

そのため、性能で拮抗するCore i9 / Ryzen 9では電力面を加味すればRyzen 9の方がやや優秀です。純粋な性能ではCore i9の方がわずかに勝るものの、電力面での差は結構大きいため、総合的にはRyzen 9有利な印象です。

ただし、7以下のモデルでは、Eコアのおかげ第13,14世代Coreの方がマルチスレッド性能が基本高いため、電力面の有利を考慮してもRyzen有利とは言い切れません。電力のみに焦点を当てればRyzen有利なのは確かですが、性能が高いほど処理を早く終えることができる分の時間が節約できるなどのメリットもありますし、Core i7 / Ryzen 7 以下ほどの性能差があると、Core側が最大電力設定を多少下げてもマルチスレッド性能では優位に立つことが出来る事情もあるため、そのあたりの設定が出来る前提での評価なら7以下ではCoreの方が優勢です。

どっちも良くはないはない

付属クーラーについての比較ですが、CoreとRyzenのどちらともTDP(PL1)が65W以下のモデル(KやXが付かないモデル)のBOX品において付属します(一部例外モデルもあるので事前に要チェック)。TDPが65Wを超えるモデルについては付属しないため注意してください。

省電力モデルにしか付属しないことからも推測できますが、CPU付属クーラーは基本的に冷却性能が低いです。これはIntelもAMDも共通です。使えれば良いというレベルのもので、静音性と冷却性は共に良くはないので、その点は留意した上で使用するか検討する必要があります。特に、BTOや既製品を購入する場合には初期構成では付属クーラーの場合もあるため、事前の確認は必要です。

別売りの2,000円~程度の安価なクーラーでも大きく性能が向上するため、出来れば別途用意することを個人的にはおすすめしますが、静音性の低ささえ気にならないなら問題はないレベルだと思います。

内蔵GPU:Ryzen 8000Gがズバ抜けて高性能

内蔵GPUについては、グラフィックボードを搭載する場合には基本気にする必要がない部分ですが、搭載しない場合には重要です。GPUを搭載しないモデルもあるので、必要な場合には事前のチェックを忘れずにしましょう。

現行モデルの内蔵GPUの性能は、Ryzen 8000Gがズバ抜けて高性能となっています。Coreには2024年2月時点では対抗できるモデルが無いため、実質的に独壇場となっています。各性能はざっくり下記のようになっています。


内臓GPU比較(第13,14世代CoreとRyzen 7000)
項目 第13,14世代Core Ryzen 7000 Ryzen 8000G
内蔵GPU名 Intel UHD Xe Graphics 770
Intel UHD Xe Graphics 730
※730はCore i5 400番台以下
Radeon Graphics (RDNA2 / 2CU) Radeon 780M(12CU)
Radeon 760M(8CU)
Radeon 740M(4CU)
内蔵GPUの有無
ほとんどのモデルで選択可能
※末尾Fモデルが非搭載
ほぼ全モデル搭載
※Ryzen 5 7500Fのみ非搭載
全モデル搭載
ゲーム性能
3DMark Time Spy
低性能
700~800 程度
低性能
720 程度
高性能
780M:3,300程度
760M:2,850程度
740M:

内蔵GPUの性能は、Ryzen 8000Gシリーズがズバ抜けて高いです。先代のRyzen 5000GのVegaからRDNA 3アーキテクチャへと世代が一気に更新し、性能が飛躍的に向上しました。

上位の「Ryzen 7 8700G」搭載の「Radeon 780M」のゲーム性能は「GeForce GTX 1650」というエントリーグラボに迫るレベルにまでなっており、軽いゲームなら非常に快適ですし、やや重めのタイトルも設定など次第である程度動かせるレベルになっています。

動画編集もFHD以下程度のものなら思ったより不自由なく対応できるレベルで、Ryzen 5000Gでは対応していなかったAV1コーデックのデコード・エンコードに対応した点も大きいです。高いレベルを求めないなら、CPU一つでグラフィック処理も一通り対応できる、非常に汎用性の高いCPUとなっています。

一つ下位の「Ryzen 5 8600G」の「Radeon 760M」だとGPUコア数が12→8へと減少するため、どちらにするか迷う人が多いと思いますが、760Mでも性能低下は思ったよりも小さくて2割程度に留まるので、CPU性能が多少低くても良いなら、8600Gでも意外と実用性面での差はあまり無いと思います。

Ryzen 8000Gシリーズは、ベースがノートPC向けのCPUなので、消費電力・発熱も少なくて扱い易いこともあり、「Ryzen 7 8700G」と「Ryzen 5 8600G」はライトユーザーには非常に魅力的なCPUだと思います。

ただ、より下位の「Ryzen 5 8500G」以下ではGPUは4コアの「Radeon 740M」になるため性能は大きく低下するだけでなく、CPU面でも小型のコアが採用される関係で性能が下がる点に注意が必要です。価格も安くなるので特別コスパが悪くなる訳ではないものの、内蔵GPU性能も特別高いというほどではなくなってしまって、安さ特化だけど内蔵GPUはそこそこレベル程度の立ち位置になります。ビジネス・オフィス向けPCとしては需要がありそうですが、個人向けとしてはそこまで人気にはならないのかなと思います。

最後に、Ryzen 8000Gシリーズ以外のモデルの内蔵GPUですが、総じて3DMark Time Spy Graphicsスコアが700~800程度の最低限の性能です。ただ、どのモデルもAV1デコードには対応しているので、動画視聴での不自由はないのでその点は安心して大丈夫です。

しかし、性能自体は低く、ゲームは軽いものなら動かせる程度で、動画編集もFHD以下の非常に軽い処理のみを少しだけやるなら使える程度です。内蔵GPUを利用する目的なら、Ryzen 8000Gシリーズ一択です。

各モデルごとの比較【最新世代】

各モデルごとに、少し詳しく比較・解説しています。
Core シリーズとRyzen シリーズは、Core i9にはRyzen 9、Core i7にはRyzen 7といったように、各モデルナンバーごとに対抗製品が存在します。
そのため、各対抗製品同士を比較することによって、両者の差をより分かり易く知る事ができます。

以下から最新シリーズ(第13,14世代のCoreとRyzen 7000)の主流製品をざっくりと比較しながら見ていきます。

補足説明
  • 第14、13世代Coreでは高性能コア(Pコア)と高効率コア(Eコア)の2種類のコアが搭載されていますが、クロックは高性能コアのものを掲載しています。
  • Coreシリーズ,Ryzen 7000シリーズは末尾F、Ryzen 5000シリーズは末尾G以外、では内蔵GPUが利用できない点に注意。
  • TDP(PL2)が実質の最大消費電力の目安です。PL1やベース電力は、PL2を維持するには冷却や電力に問題がある場合に適用されます。また、省電力モデルでは冷却などに問題がなくてもPL2の継続持続時間に制限が設けられており、一定時間後にPL1に移行するようになっているモデルもあります。


Core i9 と Ryzen 9

Core i9およびRyzen 9は主流CPUにおける最上級モデルです。いわゆるハイエンドと呼ばれる区分に含まれ、ハイエンドの中でも最上位の製品群となります。
主流CPUとしてトップの性能を誇り、両者素晴らしい性能を持っています。その代わり価格は非常に高く、人気モデルの価格は8~10万円程度となっています(2024年2月時点)。

Core i9(第13,14世代)と Ryzen 9(7000シリーズ)
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング※
消費電力
発熱
Core i9(第13,14世代)
24コア32スレッド
13900K、14900K 等
5.0
5.0
4.75
1.25
Ryzen 9(7000番台)
12/16コア
24/32スレッド
7900X、7950X 等
5.0(16コア)
4.5(12コア)
4.75
4.75(X3D)
4.5(その他)
1.75(16コア)
2.5(12コア)
Ryzen 9(5000番台)
12/16コア
24/32スレッド
5900X、5950X 等
4.5(16コア)
4.0(12コア)
3.75
4.0
3.25
※ゲーム性能評価はハイエンドGPUとの併用時のもの。

Core i9とRyzen 9の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU Cinebench R23
Multi
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
コスパ 電力効率 参考価格
Core i9-14900K 40,581 24/32 3.2 / 6.0GHz 125W 253W 0.447 162.8 91,980円
Core i9-14900KF 40,581 24/32 3.2 / 6.0GHz 125W 253W 0.459 162.8 89,800円
Core i9-13900K 38,889 24/32 3.0 / 5.8GHz 125W 253W 0.436 157.9 90,850円
Core i9-13900KF 38,889 24/32 3.0 / 5.8GHz 125W 253W 0.457 157.9 86,700円
Core i9-14900 24/32 2.0 / 5.8GHz 65W 219W 89,980円
Core i9-14900F 24/32 2.0 / 5.8GHz 65W 219W 86,470円
Ryzen 9 7950X 38,657 16/32 4.5 / 5.7GHz 170W 230W 0.459 168.1 84,250円
Ryzen 9 7950X3D 35,769 16/32 4.2 / 5.7GHz 120W 162W 0.335 220.8 99,800円
Core i9-13900 32,605 24/32 2.0 / 5.6GHz 65W 219W 0.364 148.9 89,680円
Core i9-13900F 32,605 24/32 2.0 / 5.6GHz 65W 219W 0.378 148.9 86,200円
Ryzen 9 7900X 29,516 12/24 4.7 / 5.6GHz 170W 230W 0.485 128.3 60,900円
Ryzen 9 7900X3D 27,084 12/24 4.4 / 5.6GHz 120W 162W 0.377 167.2 71,780円
Ryzen 9 7900 25,062 12/24 3.7 / 5.4GHz 65W 88W 0.380 284.8 65,920円
Ryzen 9 5950X 28,641 16/32 3.4 / 4.9GHz 105W 142W 0.415 201.7 69,000円
Core i9-12900K 27,198 16/24 3.2 / 5.2GHz 125W 241W 0.409 112.9 66,480円
Core i9-12900KF 27,198 16/24 3.2 / 5.2GHz 125W 241W 0.420 112.9 64,800円
Core i9-12900 26,455 16/24 2.4 / 5.1GHz 125W 202W 0.354 130.1 74,800円
Core i9-12900F 26,455 16/24 2.4 / 5.1GHz 125W 202W 0.442 130.1 59,800円
Ryzen 9 5900X 21,878 12/24 3.7 / 4.8GHz 105W 142W 0.366 154.4 59,800円
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i9-14900K
40581
Core i9-13900K
38889
Ryzen 9 7950X
38657
Ryzen 9 7950X3D
35769
Ryzen 9 7900X
29516
Ryzen 9 5950X
28641
Core i9-12900K
27198
Ryzen 9 7900X3D
27084
Ryzen 9 7900
25062
Ryzen 9 5900X
21878

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i9-14900K
2288
Core i9-13900K
2250
Ryzen 9 7950X
2072
Ryzen 9 7950X3D
2043
Ryzen 9 7900X
2041
Ryzen 9 7900X3D
2041
Core i9-12900K
2002
Ryzen 9 7900
1964
Ryzen 9 5950X
1639
Ryzen 9 5900X
1622

コスパ重視ならCore i9、電力面重視ならRyzen 9 7950系(16コア)

Core i9(第13,14世代)Ryzen 9(7000シリーズ)処理性能やコスパではわずかにCore i9が有利で、電力面ではRyzen 9の方が優れています。下記から、それぞれの仕様を確認しながら比較していきます。ちなみに、第14世代のCore i9は第13世代とコア構成やアーキテクチャが変わらないリフレッシュ版なので、性能差はわずかです。どちらでも大差ありませんので基本的に安い方でOKです。

Ryzen 9については16コアの「Ryzen 9 7950X」と12コア「Ryzen 9 7900X/無印」で性能に大きく差があるので、まずは16コアの「Ryzen 9 7950X」とCore i9との比較について触れていきます。

まずはコア仕様についてみていきます。第13,14世代のCore i9は24コア32スレッドという仕様です。24コアによるマルチスレッド性能は驚異的ですが、24コアの内の16コアはEコア(小型で低消費電力に特化した高効率コア)となっており、Pコアよりは低性能な点は要注意です。Eコアはハイパースレッディング無しの1コア1スレッド仕様ということもあり、24コアながらスレッド数は16コア32スレッドの「Ryzen 9 7950X」と同じ32です。最終的なマルチスレッド性能もほぼ同等となっています

ゲーム性能については、Ryzenでは「3D V-Cache」を搭載した「Ryzen 9 7950X3D」は第13,14世代のCore i9のゲーミング性能に匹敵していますが、X3D以外のモデルでは若干劣る点に注意です。「Ryzen 9 7950X3D」は約10万円(2024年1月時点)という高額さで、Core i9-14900Kよりも更に1万円程度も高価なので、ゲームコスパではCore i9の方が基本的にやや有利です。

ただし、Eコアを大量に搭載する第13,14世代のCore i9は、全コア稼働時の電力効率が対抗のRyzen 9に大きく劣るのが明確な弱点です。要するにワットパフォーマンスはRyzen 9の方が良いです。そのため、長期間継続して高負荷な処理をさせたい場合にはRyzenの方が適していることが多いです。特に、「Ryzen 9 7950X3D」は「Core i9-13900K/14900K」よりも大きく少ない電力で同等のゲーミングパフォーマンスも提供できたりするので、ゲーム用CPUだけど総合性能を重視するなら「Ryzen X3D」は非常に強力です。

Ryzen 9 7900系(12コア)はコスパ的には微妙だけど、電力面は非常に強力

次に、一つ下位の12コアのRyzen 9であるRyzen 9 7900X / 無印についてですが、12コア24スレッドという仕様です。

そのマルチスレッド性能自体は非常に高性能でハイエンドと言えるものですが、第13,14世代Core i9や7950Xと比べると一段劣る性能となっています。価格も他の9よりは少し安いので、性能・価格的にはCore i7に近いCPUです。

性能的には最新の上位ハイエンドには劣りますが、他のCore i9 / Ryzen 9よりは一段安い他、より少ない消費電力で稼働することができ、非常に優れたワットパフォーマンスを発揮できる点は魅力です。

「Ryzen 9 7900/7900X」を見てみると、他のCore i9やRyzen 9よりも大幅に安価な6万円台な上、無印の場合は標準設定で最大88Wという省電力さです。12コアとは思えない抜群の低消費電力で、優れた電力効率を発揮します。クーラーや電源の費用を節約したい場合には優れた選択肢になりますし、性能重視の場合でもPBOという疑似オーバークロック機能を有効にすれば7900Xと少ししか変わらない性能で稼働できたりもするので、設定をいじってみたいという人にもおすすめできる高コスパで扱いやすいハイエンドCPUに仕上がっていると思います。逆にX付の方も電力設定を下げることで無印と同じような運用ができるため、実質的には両者はほぼ同じものと捉えてOKだと思います。コスパ重視ならやや微妙ですが、効率を追求したい方には面白いCPUです。

ゲームやコスパ重視ならCore i9だけど、ゲーム以外なら電力面で勝るRyzen 9も魅力的

冒頭でも触れましたが、純粋な性能やコスパではCore i9の方がわずかに有利だけど、電力面ではRyzen 9がやや大きめに有利という感じです。

正直好みや用途の話になりますが、一般的にはやはりCoreの方がメーカーへの信頼性が高い傾向があり、ソフトへの最適化も実際Coreの方が少し有利な印象があるので、無難な選択肢になると思います。ただし、個人的には効率の良いCPUが好みなので、Ryzenの方を推したい気持ちもあります。

また、例外的な存在として、Ryzenには3D V-Cache搭載モデル「Ryzen 9 7950X3D / 7900X3D」があります。これに関してはゲーム性能では第13,14世代Core i9に匹敵するものを持ちつつ、Ryzenの効率の良さも兼ね備えているため、総合性能は明らかにトップのゲーミングCPUです。ただし、価格は9モデルの中においても高価で、7950X3Dは10万円以上です。マルチスレッド性能は向上している訳ではないので、ゲーム性能の少しの向上のために2~3万円の追加費用を用意することになり、それを良しとするかは人によるので難しいというのが本音です。ただ、予算が潤沢なゲーマーに限っては非常に強力なので、検討して損は無いと思います。

例外があるためややこしくなっているものの、やはり純粋なコスパではCore i9が有利です。Ryzen 9よりも消費電力が多いのはの弱点ですが、9モデルを採用するPCでは元々強力なCPUクーラーと電源を搭載するのは前提条件みたいな部分がありますから、実質的にはさほどネックにならない場合があるのも選び易い理由だと思います。ただし、ゲーム以外の効率がRyzen 9に大きく劣る点は明らかなので、高負荷なマルチスレッド処理を日常的に行う場合にはRyzen 9の方がおすすめかなと思います。

また、ソケット(マザーボード)面ではRyzenの方がやや有利なのも長期利用を考えるならポイントです。第13,14世代CoreのソケットはLGA1700で、これは恐らく次の世代から変更となりますが、Ryzen 7000シリーズのAM5は最低でも2025年までのサポートが名言されています。新しい世代が登場しても、CPUだけを交換できる状況が続くのは嬉しい点ですし、消費電力の少なさと効率の良さも長期利用を考えるなら重要度は高まると思います。


Core i7 と Ryzen 7

Core i7およびRyzen 7は主流CPUにおける上級モデル(上から2番目)です。いわゆるハイクラスと呼ばれる区分に入ります。
価格はおおよそ4万円~6万円台となっています(2024年2月時点)。
性能はCore i9やRyzen 9よりはやや劣るものの、十分に高性能です。ハイエンド用途でも使える性能を持ち、ゲーミング性能だけならCore i9やRyzen 9とも大差ないことが基本なので、性能もさほど妥協しないコスパ重視CPUとして人気のシリーズとなっています。

Core i7(第13,14世代)と Ryzen 7(7000シリーズ)
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング※
消費電力
発熱
Core i7(第14世代)
20コア28スレッド
14700F、14700K 等
4.75
4.75
4.75
1.5
Core i7(第13世代)
16コア24スレッド
13700F、13700K 等
4.5
4.75
4.75
1.75
Ryzen 7(7000)
8コア16スレッド
7700X 等
3.75
4.75
4.75(X3D)
4.5
3.5
Ryzen 7(8000G)
8コア16スレッド
8700G 等
高性能内蔵GPU
3.5
4.25
4.25
3.75
Ryzen 7(5000番台)
8コア16スレッド
5700X 等
3.25
3.75
4.5(X3D)
4.0
3.5
※ゲーム性能評価はハイエンドGPUとの併用時のもの。

Core i7とRyzen 7の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU Cinebench R23
Multi
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
コスパ 電力効率 参考価格
Core i7-14700K 35,237 20/28 3.4 / 5.6GHz 125W 253W 0.531 140.6 66,980円
Core i7-14700KF 35,237 20/28 3.4 / 5.6GHz 125W 253W 0.564 140.6 62,980円
Core i7-13700K 30,629 16/24 3.4 / 5.4GHz 125W 253W 0.476 122.8 65,200円
Core i7-13700KF 30,629 16/24 3.4 / 5.4GHz 125W 253W 0.508 122.8 61,090円
Core i7-14700 28,452 20/28 2.1 / 5.4GHz 65W 219W 0.452 129.9 62,880円
Core i7-14700F 28,452 20/28 2.1 / 5.4GHz 65W 219W 0.478 129.9 59,580円
Core i7-13700 24,960 16/24 2.1 / 5.2GHz 65W 219W 0.403 113.1 61,400円
Core i7-13700F 24,960 16/24 2.1 / 5.2GHz 65W 219W 0.433 113.1 57,250円
Ryzen 7 7700X 20,399 8/16 4.5 / 5.4GHz 105W 142W 0.480 143.7 42,480円
Ryzen 7 7700 18,720 8/16 3.8 / 5.3GHz 65W 88W 0.458 212.7 40,900円
Ryzen 7 7800X3D 18,475 8/16 4.2 / 5.0GHz 120W 162W 0.371 114.0 49,800円
Ryzen 7 8700G 17,676 8/16 4.2 / 5.1GHz 65W 88W 0.319 192.0 55,480円
Ryzen 7 5800X3D 15,003 8/16 3.4 / 4.5GHz 105W 142W 0.306 105.7 49,000円
Ryzen 7 5700X 14,211 8/16 3.4 / 4.6GHz 65W 76W 0.573 187.0 24,800円
Ryzen 7 5700G 14,041 8/16 3.8 / 4.6GHz 65W 88W 0.487 159.6 28,860円
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i7-14700K
35273
Core i7-13700K
30629
Core i7-13700
24960
Core i7-12700K
22812
Core i7-12700
21568
Ryzen 7 7700X
20399
Ryzen 7 7700
18720
Ryzen 7 7800X3D
18475
Ryzen 7 8700G
17676
Ryzen 7 5800X
15245
Ryzen 7 5800X3D
15003
Ryzen 7 5700X
14211
Ryzen 7 5700G
14041

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i7-14700K
2174
Core i7-13700K
2074
Core i7-13700
2033
Ryzen 7 7700X
2010
Core i7-12700K
1939
Ryzen 7 7700
1916
Core i7-12700
1862
Ryzen 7 7800X3D
1817
Ryzen 7 8700G
1801
Ryzen 7 5800X
1594
Ryzen 7 5700X
1522
Ryzen 7 5700G
1517
Ryzen 7 5800X3D
1491

※Ryzen 8000Gシリーズは2024年時点では対抗製品がないので、後で個別に触れています。

性能やコスパはCore i7の大幅有利、電力面ではRyzen 7が有利だけど、性能差が大きいので良いとも言えない

Core i7(第13,14世代)とRyzen 7(7000シリーズ)は、処理性能はCore i7の方が大幅に有利で、電力面ではRyzen 7の方が優れているという感じになっています。ただし、マルチスレッド性能差が大きいため、基本的にはCore i7が安定の選択だと思います。

まず、第14世代のCore i7(14700系)は合計20コア28スレッドとなっており、高性能コア(Pコア)が8コア、高効率コア(Eコア)が12コアという構成です。Core i9ともEコア4つ分しか変わらないので、非常に優れたマルチスレッド性能を持っています。

Core i9と比較して、ゲーム性能もほとんど変わらないですし、追加のEコア4つ分の恩恵を感じる使い方をするような一般の人は結構稀だと思いますので、3万前後も円安価で実用性的には大差ないことを考えると、ほとんどの人はCore i9よりもCore i7の方が実用コスパは良いと思います。第14世代のCore i7は、高性能高コスパCPUを求めるなら、現状非常に安定の選択だと思います。

そして、一つ前の第13世代のCore i7(13700系)については、アーキテクチャなどの仕様は基本同じで、コア数が合計16コア24スレッドとなっています。高性能コア(Pコア)が8コア、高効率コア(Eコア)が8コアという構成です。

第14世代と比べるとEコアが4つ少ない形ですが、価格は2024年1月時点で数千円しか変わらないので、基本的には第14世代の方がおすすめです。

ただし、ゲーム性能差はわずかなので、在庫処分などで大幅値引きされている場合には有力な選択肢となる可能性も一応あるので、在庫が残っている内は価格に注目しておくと良いかもしれません。

次にRyzen 7と比較すると、Core i7にEコア8~12個分の優位性があるため、マルチスレッド性能は圧倒的にCore i7の方が有利です。

また、シングルスレッド性能およびゲーミング性能でも、Core i7の方が若干有利なので、処理性能はどの方面から見ても基本的にCore i7が有利です。価格はRyzen 7の方がやや安価ですが、マルチスレッド性能がCore i7の方が圧倒的に高くて他の面も同等以上なので、性能コスパもCore i7の方がやや有利です。

ただし、「Ryzen 7 7800X3D」に関しては、「3D V-Cache」というL3キャッシュを大容量搭載したことでゲーミング性能が向上しており、このモデルだけはゲーム性能はCore i7を若干上回るか同等レベルです。とはいえ、マルチスレッド性能が圧倒的に劣るという弱点は変わらず、ゲーム性能差も大きな差ではないので、基本的にはやはりCore i7の方が有利かなという印象です。

しかし、第13,14世代のCore i7(K付き)は消費電力が非常に多い点は要注意です。K付きの場合、最大ターボ電力はCore i9と同じ253Wとなっており、非常に高いです。Core i7という肩書きからCore i9よりはマシだろうという印象も受けるかと思いますが、実際の高負荷時には大差ない消費電力・発熱量となります。高負荷な処理を前提とするなら、最低でも240mm以上の簡易水冷が推奨となります。なので、個人的には電力制限を少し引き下げて運用するのがおすすめです。性能は少し下がりますが、効率や発熱は大幅に改善します。

無印モデルについてはPBP/TDP PL1が65Wに制限されているため、消費電力・発熱量は少ないですが、13700Kと13700を例に見ると、マルチスレッド性能は約2割も低下する点は留意です。ただし、240mm以上水冷推奨レベルから12cmファン1基空冷などでも運用可能なレベルにまで改善し、効率も向上するために魅力は大きいと思います。

また、無印モデルでも、TDP PL1の制限値を解除(=PL2と同値)にすることでK付きモデルにも大分近付くレベルまで性能を引き上げることが可能だったりします。それをしてもK付きの性能にはやや届きませんが、高性能なクーラーを導入できる場合には設定するのがおすすめです。

そして、対するRyzen 7(7000シリーズ)ですが、費電力は第13,14世代Core i7より大幅に少ないのは魅力です。末尾XでもTDP PL2は142Wとなっており、Core i7(K付き)の253Wとの差は100W以上です。しかも、無印モデルなら88Wと非常に少ない消費電力で稼働します。

マルチスレッド性能差は大きいものの、圧倒的に少ない電力で稼働する上に、価格は2万円前後安価なのは魅力的です。電力効率でもRyzen 7の方がやや優れています。Ryzen 7なら高負荷な処理前提でも空冷クーラーで運用が十分可能なレベルですし、電源でも余裕が出ますから、電力面ではRyzen 7の圧倒的に有利となっています。そのため、マルチスレッド性能の高さを追い求める訳でなく、ゲームコスパや電力面のみを重視するならRyzen 7も悪くない選択肢ではあります。X3Dモデルならゲーム性能も同等クラスになります(マルチスレッド性能コスパは悪くなるけど、Core i7よりは安価で効率も非常に良い)。

また、Ryzen 7000のソケットAM5が最低でも2025年までのサポートが明言されている点でも一応優位性があります。

このように、Ryzen 7側が優位な部分もあります。とはいえ、正直Core i7も設定をいじれる人であれば省電力運用が可能で、効率を高めることができますし、マルチスレッド性能差がすごく大きいこともあり、多少電力制限しても性能面での優位は揺らぎません。というか他の要素を考慮してもマルチスレッド性能差とコスパ差がすごく大きいのは高性能CPUとしては致命的なので、やはり実質的にはCore i7の一択レベルに感じてしまいます。

最後にまとめると、7モデルはやはり、マルチスレッド性能が圧倒的に勝るCore i7の方が基本有利で無難です。Ryzen 7が選ばれるのは、マルチスレッド性能コスパの高さを捨ててでも、安さや電力面の方を重視したいという場合のみ、Ryzen 7がおすすめできるかな

消費電力や発熱面を重視するならRyzen 7の方が優れている上に、やや安価ではあるため、Ryzen 7の優位性が一切ない訳ではありませんが、やはりこれだけのマルチスレッド性能差は、多少の他の要素では揺らがない魅力があります。

それに、電力や発熱の多さも、Core i7の設定を上手く調整すればある程度改善することが実は可能であり、それ込みでもマルチスレッド性能差は有利を維持することが可能なので、Core i7が無難な選択肢となると思います。

Ryzen 7 8700G:高性能内蔵GPU搭載

「Ryzen 8000Gシリーズ」は高性能な内蔵GPUを搭載しているシリーズですが、2024年2月時点ではIntelに対抗製品がないので、別枠として紹介です。

Ryzen 7では「Ryzen 7 8700G」が登場しています。CPUは8コア16スレッドで、GPUは12コアの「Radeon 780M」となっています。

まず、CPUとしての性能は最近の8コアCPUとしては低いです。「Ryzen 7 7700X」と比較するとマルチスレッド性能は約2割劣り、シングルスレッド性能も1割程度劣ります。価格も発売時点では「Ryzen 7 8700G」の方がやや高いので、CPU性能から見たコスパは悪いです。そのため、やはりCPU性能を重視するなら向かないモデルになる点はまず注意が必要です。

しかし、「Ryzen 7 8700G」の魅力はCPUではなく内蔵GPUです。「Radeon 780M」はゲームのベンチマークで「GTX 1650」という少し前のエントリーグラボに迫る性能を発揮することができ、内蔵GPUとしては非常に高い性能です。軽いゲームなら非常に快適ですし、重めのタイトルもある程度動かすことが可能なレベルです。

高い性能を求めないライトユーザーならこれ一つで全ての処理に対応できるレベルのものとなっており、その汎用性の高さが非常に魅力的です。

なのですが、価格が発売時点(2024年2月)で57,800円と高価なのが難点です。5.8万円あれば「Ryzen 7 5700X」+「RX 7600」などが視野に入るレベルで、さすがにRX 7600相手だとGPU性能は3分の1程度になってしまうので、総合コスパ的な意味で言えば良くはありません。

電力効率は「Ryzen 7 8700G」の方が断然良いですし、小型のケースでも採用しやすく、電源に余裕が出るというメリットはありますが、重めのゲームも楽しみたい場合にはさすがに不利かなとは思います。

また、一つ下位の「Ryzen 5 8600G」とどちらが良いのか迷う方も多いと思いますので、そちらも少し触れておきます。8700Gと8600Gの主な違いは、CPUのコア数が8→6、GPUコア数も12→8になる点です。特にGPUのコア数差が大きいのが気になる点だと思いますが、8600Gでも意外とコア数差ほどの性能能低下はなく、マイナス2割程度までに留まっています。そのため、高いCPU性能を求める訳でないなら、8600Gの方が実用コスパは少し上になると思うので、CPU性能も出来るだけ高くしておきたいなら8700G、内蔵GPUさえそれなりに使えればOKという場合には8600Gという感じで、用途や好みに応じて選択すると良いと思います。


Core i5 と Ryzen 5

Core i5およびRyzen 5は主流CPUにおける中級モデルです。いわゆるミドルレンジに区分されます。

中級とはいっても現在では十分に高性能で、「可・不可」でいえば不可能な事はないレベルの高性能さです。数年前のハイエンドCPUを大きく上回るレベルの性能を持っています。価格はやや幅が広く、おおよそ2万円~4万円台となっています。

Core i5(第13世代)と Ryzen 5(7000シリーズ)
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング※
消費電力
発熱
Core i5-14600K(F)
Core i5-13600K(F)
14コア(6P+8E)
20スレッド
4.0
4.75
4.5
2.75
Core i5-14500
Core i5-13500
14コア(6P+8E)
20スレッド
3.75
4.25
4.25
3.75
Core i5-14400(F)
Core i5-13400(F)
10コア(6P+4E)
16スレッド
3.5
4.0
4.0
4.0
Ryzen 5(7000)
6コア12スレッド
7600X 等
3.5
4.25
4.25
3.5
Ryzen 5(8000G)
6コア12スレッド
8600G 等
高性能内蔵GPU
3.25
4.0
4.0
3.75
Ryzen 5(5000番台)
6コア12スレッド
5600X 等
2.75
3.5
3.75
4.25
※ゲーム性能評価はハイエンドGPUとの併用時のもの。

Core i5とRyzen 5の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU Cinebench R23
Multi
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
コスパ 電力効率 参考価格
Core i5-14600K 25,074 14/20 3.5 / 5.3GHz 125W 181W 0.496 136.4 49,800円
Core i5-14600KF 25,074 14/20 3.5 / 5.3GHz 125W 181W 0.537 136.4 45,980円
Core i5-13600K 24,525 14/20 3.5 / 5.1GHz 125W 181W 0.501 135.5 48,980円
Core i5-13600KF 24,525 14/20 3.5 / 5.1GHz 125W 181W 0.543 135.5 45,200円
Core i5-14500 22,049 14/20 2.6 / 5.0GHz 65W 154W 0.559 143.2 39,460円
Core i5-13500 21,135 14/20 2.5 / 4.8GHz 65W 154W 0.560 137.2 37,730円
Core i5-14400 16,074 10/16 2.5 / 4.7GHz 65W 154W 0.420 104.4 38,230円
Core i5-14400F 16,074 10/16 2.5 / 4.7GHz 65W 148W 0.468 108.6 34,320円
Core i5-13400 15,890 10/16 2.5 / 4.6GHz 65W 154W 0.441 96.5 35,860円
Core i5-13400F 15,890 10/16 2.5 / 4.6GHz 65W 148W 0.497 100.4 31,770円
Ryzen 5 7600X 15,315 6/12 4.7 / 5.3GHz 105W 142W 0.472 107.9 32,480円
Ryzen 5 7600 14,240 6/12 4.7 / 5.3GHz 65W 88W 0.479 161.8 29,700円
Ryzen 5 8600G 14,067 6/12 4.3 / 5.0GHz 65W 88W 0.396 153.9 35,480円
Ryzen 5 8500G 6/12 3.5 / 5.0GHz 65W 88W 29,800円
Ryzen 5 5600X 11,268 6/12 3.7 / 4.6GHz 65W 76W 0.524 148.3 21,500円
Ryzen 5 5600 11,077? 6/12 3.5 / 4.4GHz 65W 76W 0.616 145.8 17,980円
Ryzen 5 5600G 11,077 6/12 3.9 / 4.4GHz 65W 88W 0.693 125.9 15,980円
Ryzen 5 5500 10,605 6/12 3.6 / 4.2GHz 65W 88W? 0.731 120.5 14,500円
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i5-14600K
25074
Core i5-13600K
24525
Core i5-13500
22049
Core i5-13500
21135
Core i5-12600K
17660
Core i5-14400
16074
Core i5-13400
15890
Ryzen 5 7600X
15315
Ryzen 5 7600
14240
Ryzen 5 8600G
14067
Core i5-12400
11448
Ryzen 5 5600X
11268
Ryzen 5 5600G
11077

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i5-14600K
2060
Core i5-13600K
2026
Ryzen 5 7600X
1976
Core i5-14500
1941
Core i5-12600K
1918
Core i5-13500
1884
Ryzen 5 7600
1856
Core i5-14400
1798
Core i5-13400
1794
Ryzen 5 8600G
1783
Core i5-12400
1716
Ryzen 5 5600X
1572
Ryzen 5 5600G
1504

Core i5 / Ryzen 5 も今では十分高性能

まず言っておきたいのが、Core i5Ryzen 5と聞くと性能に不安を感じる人も居ると思いますが、今では十分に高性能と言えるレベルの性能を持っていることです。基本的に不可能なことは無いくらいの高性能さを持ちつつも価格が上位モデルよりも安いため、一般用途でのコスパが非常に良いのが魅力です。

中でもゲーミングコスパが非常に良い点は魅力的です。レビューのベンチマークテストなどを見るとゲーム性能でも大きく劣る印象も受けるかもしれませんが、これはレビュー記事では基本的に超高性能なハイエンドGPUと共に使用されるためです(現在ならRTX 4090とか)。ハイエンドGPUと下位CPUの組み合わせでは確かにボトルネックが発生してゲーム性能で大幅に劣ることが基本ですが、実際には5モデルはミドルレンジGPUと組み合わせるのが基本で、その場合にはボトルネックも大して発生せず、上位CPUと比べてゲーム性能差は実はほとんどありません。そのため、基本的にゲーミング単体のコスパであれば5が一番強いです(特に安価なモデル)。

Core i7 / Ryzen 7と比べるとコア数で劣るため、マルチスレッド性能を重視する場合には微妙なのは確かですが、ゲーミング単体に限れば、ミドルレンジGPUとの組み合わせならほとんどのゲームでは6コアCPUでも大きなネックになることは思ったよりも少ないため、コスパが良い点は留意しておきましょう。

※Ryzen 8000Gシリーズは2024年時点ではIntel側に対抗製品がないので、後で個別に触れています。

下位モデルでは値下がりが進んだRyzen 5がやや有利に

Core i5(第13,14世代)Ryzen 5(7000シリーズ)で特に魅力的で人気が高いのは、安価な3万円台の下位モデルです。

PCの総額を大幅に下げるのはもちろん、その性能もハイエンド用途でなければ十分な性能で、ミドルレンジGPUならネックにならないゲーム性能もあり、消費電力と発熱が少ないため空冷クーラーでも十分運用ができるのも嬉しいです。非常に扱いやすく、高くない性能も言い換えれば無駄にならないとも捉えることができるため、少ない予算で最大限CPUの性能を活用できる選択肢となっています。

まず最下位モデル同士を比較すると、各コア構成は「Core i5-13400(F)/14400(F)」は10コア16スレッド、「Ryzen 5 7600(X)」は6コア12スレッドとなっています。

コア数に差があるためCore i5が有利に見えますが、第13,14世代のCore i5のK無しモデルのコアは第12世代(Alder Lake)と同様の仕様を維持しており(キャッシュ量が少ないことから推測)、コア性能が少し低いため、実際のマルチスレッド性能は同等レベルで、ゲーム性能ではむしろRyzen 5の方が若干有利となっています。一部のスレッド数が重要な用途ではCore i5が少し有利になることもあるので、総合的に見て処理性能はほぼ同等の性能と言っても良いのかなと思います。

そのため差を分けるのは価格です。発売当初は「Ryzen 5 7600(X)」の方がやや高価だったためにCore i5が有利でしたが、値下がりが進んだ結果最安3万円以下となったため、ゲーム性能で若干有利なRyzen 5の方がわずかに有利という感じになりました。とはいえ、価格はほぼ同等で性能も大きな差ではないため、正直選択を大きく左右するほどではないようにも見えます。

その際にもう一つ見て欲しいポイントがソケットです。第13,14世代のLGA1700は次の世代で変更になると言われているのに対し、Ryzen 7000のソケットAM5は最低でも2025年までのサポートが明言されています。先代のAM4が長期サポートだった点を考慮しても、AM5の長期サポートは期待できます。

このソケットのサポート期間の点も考えると、同額ならRyzen 5の方が少しおすすめかなと思います。

ただし、13400/14400には一つ上のモデル「Core i5-13500/14500」があり、こちらについてはRyzen 5よりもマルチスレッド性能が大幅に高いので、選べるならこれが一番性能コスパは良いと思います。

その理由はコア数で、13400/14400からEコアが4つ増量された14コア20スレッドとなっているにも関わらず、価格が3000円~5000円程度しか変わりません。価格差はそれだけなのに、マルチスレッド性能は1.3倍~1.4倍差と大きく、マルチスレッド性能コスパが一段高いです。

これに関しては、Ryzenのソケット差でも正当化できないくらいには差があるので、選べるならおすすめです。ただし、選べるならという言葉を使っていることからも推測できると思いますが、このCore i5の500番台は、BTOや既製品PCで標準採用されることはほとんどない自作専用に近いCPUなので、おすすめだけど選べないことが非常に多いのが難点です。

最後に第13,14世代のCore i5(K付き)です。合計14コア20スレッドとなっており、高性能コア(Pコア)が6コア、高効率コア(Eコア)が8コアという構成です。K無しモデルと違い、ちゃんと第13,14世代(Raptor Lake)のコア仕様なので、ゲームも含め性能がグッと上がります

対するRyzen 7000シリーズのRyzen 5には、2024年1月時点ではK付きのCore i5に競合するモデルが存在しないので、5万円程度で性能重視ならCore i5(K付き)のほぼ一択になります。

ただ、+1万円程度でPコア2個とEコア4つ増量された第14世代のCore i7が選べることを考えるとコスパ的にはやや微妙寄りで、性能重視ならCore i7以降、安さ重視ならCore i5下位というのが安定なので、最優先の選択肢には中々ならないかなと思います。

K付きのCore i5は消費電力がやや多く(TDP PL2:181W)、クーラーや電源にCore i5下位よりは少し良いものが要求されるのもややネックです。ただ、ちょっと良い空冷クーラーを導入するだけで事足りるので、Core i7のK付きよりは格段に扱い易くはあります。

といった感じで、最後にまとめると、下位モデルなら「Ryzen 5 7600(X)」の方がAM5のサポート面も含めると少し有利で、コスパ特化で選べるなら一応「Core i5-13500/14500」の方がおすすめではあるという感じです。

1万円ちょっとの追加費用で性能が大幅に上がる「Core i5-13600K(F)/14600K(F)」も総合コスパは悪くないですが、1万円程度の追加で20コアの第14世代のCore i7が登場したので、その価格差と性能差を考えると微妙寄りかなという印象です。

Ryzen 5 8600G/8500G:高性能内蔵GPU搭載

「Ryzen 8000Gシリーズ」は高性能な内蔵GPUを搭載しているシリーズですが、2024年2月時点ではIntelに対抗製品がないので、別枠として紹介です。

Ryzen 5では「Ryzen 5 8600G」および「Ryzen 5 8500G」が登場しています。CPUはどちらも6コア12スレッドですが、8500Gは小型の「Zen 4c」コアが4つ含まれているため、8600Gの方がやや高性能な点に注意が必要です。

また、GPUコア数にも差があります。8600Gは「Radeon 760M(8コア)」で、8500Gは「Radeon 740M(4コア)」となっており、性能には大きな差があります。高性能な内蔵GPUを求めるなら8500Gよりも8600Gが大幅に有利です。

具体的なGPU性能としては、3DMark Time SpyのGraphicsの平均スコアでは、8600Gの「Radeon 760M」は2800台、「Radeon 740M」だと1700台くらいとなっていて、おおよそ1.6倍~1.7倍程度の差があります。「Radeon 760M」ならゲームでは「GTX 1050 Ti」と同等クラスの性能で、軽いゲームなら非常に快適ですし、重めのゲームも設定を調整すればそれなりに動かせるものも多いレベルですが、「Radeon 740M」だとそこまでの性能は厳しいです。価格差は25%ですから、性能コスパはGPUを含めるなら8600Gの方が上なのが明白です。

ただし、2024年2月時点では価格差が1万円と大きいので、そこは予算と相談になるかなと思います。軽いゲームしかせず、CPUにも高い性能も求めないレベルのライトユーザーなら8500Gでも正直困ることはあまりないと思うので、安さ重視の8500Gも悪くはない選択肢です。

また、一つ上位の「Ryzen 7 8700G」と8600Gのどちらが良いのか迷う方も多いと思いますので、そちらも少し触れておきます。8600Gと8700Gの主な違いは、CPUのコア数が6→8、GPUコア数も8→12となる点です。特にGPUのコア数差が大きいのが気になる点だと思いますが、意外とコア数差の1.5倍ほどの差はなく、1.2倍程度までに留まっています。価格も発売時点では8700Gの方が1.8万円も高い点も大きいので、高いCPU性能を求める訳でないなら、8600Gの方が実用コスパは少し上になると思います。なので、CPU性能も出来るだけ高くしておきたいなら8700Gの方がおすすめではありますが、内蔵GPUさえそれなりに使えればOKという場合には8600Gという感じで、用途に応じて選択すると良いと思います。


Core i3 と Ryzen 3

Core i3およびRyzen 3は主流CPUにおける中の下くらいに位置するモデルです。いわゆるミドルレンジ下位くらいに区分されます。価格は安く、おおよそ1万円台前半~2万円程度となっています。
価格の安さが魅力のモデルなので、性能はCore i5 / Ryzen 5以上と比較すると格段に低いです。

とはいえ、現在ではWeb閲覧やOffice作業などの軽作業であれば十分すぎるくらいの性能は持っています。その安価さのおかげで、特に重い作業をしないのであればコスパは良いです。また、消費電力や発熱も少ないため、小さなケースで運用するのにも適しています。ゲーミング用途でも、上位モデルと比べるとパフォーマンスが劣るというだけで、普通に使えはします。

ですが、価格差の割にCore i5Ryzen 5との性能差が大きい点や、CPUは一度導入すると交換が難しい点が気になるため、優先して選ばれることはあまりないです。少し予算をプラスしてCore i5Ryzen 5を買うだけで性能が大幅に上昇するため、「3を買うなら、少しプラスして5買った方がお得」というのが明らかなので、他モデルより人気は低めです。

そのことをメーカーも承知しているのか、特にデスクトップではIntelもAMDもCore i3およびRyzen 3の販売にあまり積極的ではない印象です。とにかく動けば良いので安いPCが欲しいという場合に限り有用なCPUかなと思います。

Core i3 / Ryzen 3
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
ゲーミング
消費電力
発熱
Core i3(第13,14世代)
2.0
3.75
3.25
4.25
Core i3(第12世代)
2.0
3.75
3.25
4.25
Ryzen 3(8000G)/OEM限定
※内蔵GPU重視モデル
性能の詳細不明
1.0
1.0
1.0
1.0
※ゲーム性能評価はハイエンドGPUとの併用時のもの。

Core i3とRyzen 3の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU Cinebench
R23
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP
(PBP/PL1)
TDP
(PL2)
クーラー
の付属
コスパ 参考価格
Core i3-14100 4/8 3.5 / 4.7GHz 60W 89W 23,800円
Core i3-14100F 4/8 3.5 / 4.7GHz 58W 89W 21,800円
Ryzen 3 8300G 4/8 3.4 / 4.9GHz 65W 88W OEM限定
Core i3-13100 8,812 4/8 3.4 / 4.5GHz 60W 89W 0.394 22,340円
Core i3-13100F 8,812 4/8 3.4 / 4.5GHz 58W 89W 0.484 18,200円
Core i3-12100 8,172 4/8 3.3 / 4.3GHz 60W 89W 0.484 16,880円
Core i3-12100F 8,172 4/8 3.3 / 4.3GHz 58W 89W 0.584 14,000円
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i3-13100
8812
Core i3-13100F
8812
Core i3-12100
8172
Core i3-12100F
8172

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i3-13100
1716
Core i3-13100F
1716
Core i3-12100
1679
Core i3-12100F
1679

内蔵GPU利用ならRyzen 3が有利。だけど、CPU性能と総合コスパが微妙なので、出来れば上位モデルの検討を

Core i3 / Ryzen 3は、特に一般消費者向けとしてはコスパは正直微妙です。実際人気もあまり無く、メーカー側もそこまで力を入れていない印象のモデルになります。

なので、基本的には出来ればCore i5 / Ryzen 5以上の上位モデルの検討をおすすめします。

ただ、一応現行モデルの比較はざっくりとやっておきたいと思いますので、興味があればご覧ください。

比較について、Ryzenでは5000/7000シリーズでは一般消費者向けのRyzen 3は一つも投入されなかったためにCore i3との比較が不可能でしたが、2024年1月にようやく「Ryzen 3 8300G」が登場し、比較対象が生まれました。ただ、こちらもOEM限定(ショップ等の既製品PCでのみの販売)なので、ほとんど流通はしなさそうな気はしますが…。それはとりあえず置いておきます。

「第13・14世代のCore i3」と「Ryzen 3 8300G」のコア・スレッド数はどちらも4コア8スレッドです。ただし、Ryzen 3 8300Gは小型の「Zen 4c」コアを3つ含むため、Core i3の方がCPU性能はやや有利です。とはいえ、劇的な差があるほどではないですし、元々軽作業前提のCPUですから、実用性にはさほど影響はないレベルだと思います。

一応、安価なグラボと併せて安さ特化のゲームPCとして運用したい場合にはCore i3が有利にはなりますが、「Ryzen 3 8300G」がOEM限定のため、気にする必要が生まれていません。

そして、最大のポイントは内蔵GPUです。内蔵GPU性能は「Ryzen 3 8300G」の「Radeon 740M」の方が大幅に有利です。

8300Gの内蔵GPUも特別高性能ではないものの、軽いゲームやFHD以下の簡単な動画編集なら比較的快適に行える性能があります。それに対し、Core i3の内蔵GPUはゲームのベンチマークだと半分程度の性能になってしまうので、大きな差です。動画視聴や特に軽いゲームでは問題ないレベルなものの、その他のグラフィック処理は基本厳しめなので、少しでも良いからグラフィック性能を欲しい場合にはRyzen 3 8300Gの優位性は大きいかなと思います。

前述のように、CPU性能やグラボ利用時のゲーム性能ではCore i3が有利な側面もあるものの、立ち位置的にはそれらは基本求められないのが「Core i3 / Ryzen 3」だと思われ、軽作業前提の汎用PCとして考えるなら「Ryzen 3 8300G」がやや有利だと思います。

結局どっちが良い?

最後に「どっちが良いか?」という点について個人的なおすすめを述べています。あくまで参考までにご覧ください。

Core i7 / Ryzen 7 では第13,14世代Coreがコスパで有利

「7」モデルについては、やはりコア数の多さで大きく上回るCore i7の方が有利でおすすめです。

Core i7のコア数は、第13世代は16コア(8P+8E)、第14世代は20コア(8P+12E)なのに対し、Ryzen 7はわずか8コアのみです。Core i7の方はEコアを含むため、最終的なマルチスレッド性能はコア数ほどの差はでませんが、それでもその差は非常に大きいです。電力・価格面ではRyzen 7の方がやや有利ではあるものの、さすがにこの性能差を覆すほどの優位性を見出すことは難しい印象で、総合コスパはCore i7が明らかに有利だと思います。

また、Ryzenが有利とした電力・価格面についても、電力設定を調整することである程度の対応も可能だったりするので、RyzenのAM5の長期サポートによほどの魅力を感じない限りは、Core i7が無難な選択肢です。

Ryzen 5 7600(X)は値下がりのおかげで、Core i5-13400/14400よりも若干有利に

ミドルレンジ以下のCPUに関して、発売当初からしばらくは従来通りCore i5の400番台の「Core i5-13400(F)」が総合コスパ最強筆頭でしたが、「Ryzen 5 7600(X)」が発売後から大きく値下がりが進み、2024年1月現在では「Core i5-13400(F)」よりも若干安い価格で購入できるようになりました。

ソケットAM5の長期サポートの利点もあり、一応ゲーム性能でも「Core i5-13400/14400」よりもボトルネックのなりにくさで若干勝っているため、個人的な評価は若干上です。安価なPCでは選び易い選択肢になったと思います。

ただし、性能と価格だけで見れば差は非常に小さいです。Ryzen 5 7600(X)は初動価格の高さのせいか、BTOなどではやや高めの価格設定のところも多いですし、結局のところは供給が多くてお得な製品を探し易いCore i5が有利になるのかなとも思います。

5万円前後はCore i5(K付き)の独壇場だけど?

人気モデルになるかは微妙なところですが、Core i5(K付き)が価格や性能的に従来のCore i7のような立ち位置に居て、その価格帯は他の競合モデルもほぼおらず、コスパも実は良いので、有効活用できるなら割とおすすめできるCPUです。

ゲーム性能も、RTX 4090のような超高性能GPUでなければ実はCore i7やCore i9と大して変わらないので、マルチスレッド性能を少しでも高めたい訳でなければゲーム用の高コスパCPUとしては強力な選択肢となります。

とはいえ、1万円くらいプラスすればCore i7(無印)が居て、性能やコスパもそちらの方が少し上で、見栄え的にもそちらの方が良いですから、あえて選ぶ人が居るかは正直微妙にも感じるのが何とも言えないCPUです。

ハイエンドのコスパはCore i9が少し有利だけど、電力面ではRyzen 9が少し有利

性能特化のハイエンドモデル Core i9 / Ryzen 9 を検討する場合ですが、コスパやゲーム性能重視ならCore i9、電力面重視ならRyzen 9 7950系(16コア)という形になります。また、予算が潤沢でゲームがメイン用途の場合に限っては「Ryzen 9 7950X3D」がそれらを差し置いて一人浮きで優位かなという感じです。

しかし、「1番」を決めるために優劣を無理やりつけるのが最上位モデルなので見落としがちですが、実は性能差はどれも小さめなので、正直好みレベルの差という印象です。迷うなら、個人的には電力効率に優れるRyzenを勧めたいかなという程度の差になります。AM5の長めのサポート期間もありますし。

とはいえ、Core i9 / Ryzen 9クラスのCPUを導入するなら電源とクーラーは高性能なものを揃えると思いますし、1~2年でCPUを交換したいという人もあまり居ないとは思うため、気にするまでもないかもしれません。やはり好みレベルだと思います。

また、Ryzen 9の12コアモデルに関しては、マルチスレッド性能が他のCore i9 / Ryzen 9よりも、大幅に低いのが厳しく、第一候補にはなりにくいと思います。

電力面では優位性があるものの、そもそも7万円~クラスのCPUを検討するならやはり性能に特化したいということだと思いますから、7950XやCore i9の方が魅力的に感じる場合が多いと思われ、候補の上位に挙がってくることはなさそうな印象です。

Ryzen 9 7950X3D は性能だけでなく効率も非常に優秀なので、予算が潤沢な人にはおすすめ

かなり限定的にはなりますが、50万円~クラスのPCを予算度外視で検討中のゲームメインの人の場合には、「Ryzen 9 7950X3D」は個人的にはおすすめしたい選択肢です。

Core i9に匹敵するゲーム性能を持ちつつも、少なめの消費電力で非常に優れたワットパフォーマンスを持ち、AM5のサポート面でも第13,14世代を上回るので、価格のネックさえ許容できるなら、2023年10月時点での総合性能評価では個人的には1位のCPUです。

一応マルチスレッド性能は「Core i9-13900K / 14900K」には若干負けるものの、差は大きくないので実用性能はほぼ変わらない、トップクラスといって差し支えないハイエンドCPUです。

限定的ですが、気になる方はチェックしてみてください。

内蔵GPUを使いたいならRyzen 8000Gシリーズ一択

最後になりますが、グラボを搭載せず、かつ高いCPU性能を求めないなら、内蔵GPU性能が格段に高い「Ryzen 8000Gシリーズ」一択です。

上位モデルでは2020年頃のエントリーグラボに迫るゲーム性能を発揮し、重いゲームや動画編集を意識しないなら、一つでグラフィック面も含めた処理を全て行えるという、非常に汎用性の高いCPUとなっています。

特におすすめなのは「Ryzen 5 8600G」です。上位の「Ryzen 7 8700G」の方がCPUとGPUのコア数が増えますが、価格が大幅に高くなる割には向上率が小さめなので、元々特に重い処理を行わない前提のCPUということを考慮した実用コスパを考えると、8600Gの方が少し上だと感じます。



それでは、内容はここまでとなります。ご覧いただきありがとうございました。

性能スコアなどの参考

46 COMMENTS

ttt

詳しい解説参考になります。
年内を目途にデスクトップPCの新調を考えているのですが、ゲームも”少し”したいと考えています。
現在だとryzenよりintelの方がよいとのことですが、他所で聞くと、ゲームならryzen、という意見もあり、他のサイトも色々拝見しているのですが、決めかねているところです。

実際のところ、したいゲームによって最適化されているcpuが違うというのもあるのかと思いますが、全体的な傾向として、ゲームをするのならこっちが無難、という意見はありますでしょうか?

最初に書きましたように”少し”したい程度なのでグラボの購入はしない予定ですが、予算は10万程なので、GTX1650搭載機なら手の届くところではあります。
このあたりも踏まえてアドバイスいただけますと幸いです。

返信する
とねりん:管理人

はじめまして。

グラボを使用した際のゲーム性能を「第13世代Core」と「Ryzen 7000」で比較した場合、全体の傾向でいうとCoreの方が少し優れている傾向があります(RyzenのX3Dモデルは除く)。とはいえ、ゲームによってはRyzenが有利になるケースもあるため、一応やるゲーム次第という形にはなります。
ただし、上記は質問者様のケースでは恐らく気にする必要はないと思います。

理由は、一般的にCPUのゲーム性能というのは、ボトルネック差を出来るだけ詳細に知るために、高性能なハイエンドGPU(グラボ)を使用した際のfpsで比較するものとなっているためです。ゲームでCPUに求められる処理というのは、GPUが処理した量(主にフレーム数)に応じて増えるため、基本fpsが高いほど高性能なCPUが求められます。「GTX 1650」レベルのエントリークラス以下のGPUを使用する際には非常に軽いゲームでしか高いfpsは出ないため、現在の最新CPU(Core i5 / Ryzen 5 以上)ならボトルネックが発生することはほとんど無く、ゲーム性能差はほとんど出ません。そのため、質問者様のケースではCPUのゲーム性能はあまり気にする必要はないかと思います。その他の処理も同時に処理したりする場合には多少差が出てくる可能性も考えると、どちらかというとマルチスレッド性能差の方が重要かもしれません。

あと、余談にはなりますが、エントリーレベルのGPUを今検討するなら「GTX 1650」よりも「Arc A380」の方がコスパ的には良いと思います。Arcは発売当初は最適化不足が深刻で評価されませんでしたが、現在ではドライバによる改善が結構進んでいる上に値下げも進み、結構お得になっています。
また、「GTX 1650」ではAV1と呼ばれる映像コーデックに対するサポートが無いのが気になります。詳しくは触れませんが、AV1は将来性が期待されており採用率が増えているコーデックです。今購入するPCでは、出来ればデコードは対応しておきたいです。一応、「第13世代Core」も「Ryzen 7000」も内蔵GPUの方でAV1デコードのサポートがあるので、アプリケーションごとに指定したりすれば対応は不可能ではないかもしれませんが、あまりメジャーとは言えない方法にはなりますし、CPU負荷を下げるためにも出来ればグラボ側で対応しておきたいです。

返信する
ttt

詳細なアドバイスに感謝いたします。
エントリークラスのグラボだとCPUはボトルネックにならないのでどちらでもよいが、動画再生面で足を引っ張る可能性があるということですね。
となると下手にグラボに予算をさくくらいなら、少しでも高性能なCPUに予算を割り振るべき、という考えもあるのでしょうか?
所詮内蔵GPUはそれなりなので、ゲームをするなら安物でもグラボを積む方がよい、と思っているのですがどうでしょう?
それとも、予算を少し超えてでもGTX1660程度は積むべきでしょうか?

私の場合、買ったPCは6年以上使うつもりなので、ひとまず内蔵GPUで使ってみて後々必要になった時点でグラボを検討するという方が結果的に無駄が少なくなりそうでしょうか?(中途半端なCPUとグラボの両方を買い替えすることと比べて)
私が何に比重を置くのか次第になるのかとは思いますが、さらなるアドバイスいただけますと幸いです。

返信する
とねりん:管理人

全体を通して概ね正しい認識だと思います。

現状の3万円以下のエントリーレベルのグラボではAV1のサポートが無いものがほとんどなので、AV1コーデックの動画再生では役に立ちません。AV1はまだ普及段階なので現状で困ることはほぼないですが、最低6年使うと考えるならAV1対応の優先度は高いと思います。

ゲームとCPUに関しても概ね認識の通りです。内蔵GPUの性能も向上しているとはいえ、現状はゲームに限れば安物でもグラボの方が高性能なことが基本です。一応、今年後半の発売が予測されている「Ryzen 7000」のAPUモデル(恐らく末尾G)では飛躍的に内蔵GPU性能が向上することが期待できますので、それが登場すれば少し事情が変わるかもしれませんが、現状では重めのゲームも視野に入れるならグラボは必須に近いです。

グラボ分の予算をCPUに予算を割り振るのも、ゲームを意識しないなら十分理にかなった選択肢です。ただし、低グレードなCPUからアップグレードすることを考えると、CPUクーラーで更なる予算追加が必要になったりする点には注意が必要です。

重いゲームが用途に含まれていないなら、内蔵GPUで様子を見るのも手かなと思います。ただ、質問者様がプレイしたいゲームの重さがわからないので、具体的には何とも言えないです。

一応、最後に低価格帯のグラボについてざっと触れておきますが、まず、「GTX 1650」や「GTX 1660」を含む「GTX 16」シリーズは共通してAV1のハードウェアサポートが無いので、個人的には今購入するのはおすすめしません。
今の市場でいうと、2万円台なら「Arc A380」ほぼ一択で、少し予算を増やせるなら「RTX 3060」、「RX 6600 / 6600 XT / 6650 XT」、「Arc A750 / A770」あたりになるかと思います。

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ttt

詳しく解説いただきありがとうございます。
今すぐ購入するというわけではないので、Ryzen 7000での大幅な性能向上が見込めるとのことを期待してしばらく待つことにします。
大変参考になりました。

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とねりん:管理人

全然ありな選択だと思います。
ただ、一応予測で確定情報という訳でもないので、間違っていたらその際には申し訳ありません。

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ヒロト

core i7-12700とRyzen7 5700XのPCで12700の方が5700Xよりも2万円ほど高い構成を見つけたのですが、その値段の差に見合う性能は見られるのでしょうか。その他の構成は同じものとします。

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とねりん:管理人

用途とGPUによると思います。
まず、「Core i7-12700」の方がコア数が多い新しいCPUのため、マルチスレッド性能が「Ryzen 7 5700X」の約1.5倍と大幅に高いです。そのため、高負荷なマルチスレッドが重要な処理で使う場合には十分価値はあると思います。一般的なものでいうと、マルチタスク処理全般や、CPUレンダリング・エンコードなどがあります。
関連して、12700の方がGPUのボトルネックもやや発生しにくい他、単純なゲーム性能もCore i7-12700の方が若干上なので、ハイエンドGPUと組み合わせる際には12700の方が有利になると思います。

総評としては、ベンチマークスコアを見るとやはりマルチスレッド性能差が大きく違うため、2万円(恐らく全体の10%~15%程度?)で1.5倍と考えると価格差から得られる性能としては十分な上、ゲームパフォーマンスやボトルネック面でも少し優秀な「Core i7-12700」の方が純粋なコスパは上だと思います。
ただし、重いマルチスレッド処理を頻繁にする訳でなく、ゲームパフォーマンスなども少しでも高い方が良い訳でないなら、実際の使用感はほぼ変わらないと思うので、安い「Ryzen 7 5700X」の方が良いとなると思います。
また、CPU以外の構成は同じものということでしたが、CPUクーラーが低性能なもので統一されている場合には、省電力な「Ryzen 7 5700X」の方が良いという可能性もあると思います。

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ヒロト

返信ありがとうございます。
この場合のハイエンドGPUというと何番あたりからのことを指すのでしょうか。
また、12700の発熱ではBTOでよく使われるクーラーでは排熱は足りないですか。その場合、どの程度のクーラーが必要ですか。

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とねりん:管理人

ゲームや解像度にもよるので一概には言えないですが、ベンチマークテストの3DMark Time Spyのスコアを参考に見てみると、

【RTX 3060】
5700X:8874(-2.8%)
12700:9128

【RTX 3060 Ti】
5700X:11523(-2.8%)
12700:11855

【RTX 3070】
5700X:12932(-4.4%)
12700:13531

【RTX 3080】
5700X:15929(-6.5%)
12700:17029

上記のような感じになっているので、RTX 3070から少しボトルネック差が出てきているという感じになります。

排熱については、PCケースにもよりますし、CPUクーラーについても具体的な製品がわからないと何とも言えないですが、Core i7-12700の安さ重視製品では120mmファン1基の空冷が多い印象なので、その場合には十分とは言えないかなと思います。
とはいえ、高負荷時に少しだけ性能が落ちるかもって程度で、後から調整も可能な部分なので、CPU付属のクーラーでなければ気にするほどでもないかもしれません。余計なことを言ってしまったかもしれません。
一応、Core i7-12700で空冷なら120mmファン2基 or 140mmファン1基のクーラーがあると安心ではあると思います。

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たかし

AMD Ryzen 7 5700GとIntel Core i5-12400で迷てます。
タスクをたくさん開くので一度Ryzenを使ってみたいのですがソフトの相性や不具合、故障が
心配です。

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とねりん:管理人

恐らく想像しているほどRyzenの方が問題が多発している状況は今ではないと思います。
逆にCoreの方で脆弱性や不具合が発生していることも普通にありますし、よく使用するソフトで問題が多発していないか事前に調べるのは必要だと思いますが、個人的にはそれ以上は気にしても仕方無いのではないかと思います。

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たかし

ありがとうございました。
今までIntelばかり使用していたので不安でした。
ちなみに、とねりんさんは、どちらがお勧めですか。

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とねりん:管理人

価格差と自作とBTOなどで購入するかでも話が変わりますし、どちらが良いとは言えないですね。
理解されているような気がしますが、Ryzen 7 5700Gの他の競合モデルよりゲーミング性能がやや低い点と、Core i5-12400の方がややマルチスレッド性能が低い点を踏まえ、自分の用途や予算などを考慮して決めることになると思います。

また、Ryzenは次世代からチップセットやソケット形状が刷新されるため新世代のものへの交換は不可能になる可能性が高いですが、Coreの方は次世代(13世代)でもソケット形状は維持され既存のマザーボードでも対応されることが予測されているため、後のCPU換装を考えるならCoreの方が有利な点や、DDR5メモリへの対応などでも差があります。

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たかし

ありがとうございました。
BTOで Ryzen 7 5700GはWindows10でi5-12400はWindows11で価格は同額です、
とねりんさんのおっしゃる通り後の事も考えて、パソコンショップに行って来ます。

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とねりん:管理人

差し支えなければ、もう少し詳しい構成(もしくは型番)と価格を教えていただけないでしょうか?
今は次世代のCPUやGPUが控えていて難しい時期なので、一応コスパチェック的なことくらいは出来るかなと思うので、良ければ。

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うどん

Ryzen3 3250UとRyzen5 4500Uのどちらを購入しようか検討しております。
用途としては初心者のword,excel練習用で、コスト重視です。
どちらがおすすめですか?

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とねりん:管理人

オフィス程度の軽作業なら、処理性能はRyzen 3 3250Uでも十分だと思います。
ただ、Ryzen 5 4500Uの方が処理性能は圧倒的に高く、電力効率も大幅に良いです。
長期利用を想定しており、バッテリー駆動時間も長い方が良い場合にはRyzen 5 4500Uの方がおすすめです。

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うどん

コメントありがとうございます!
有益なご意見とても参考になります。
再度、検討致します。

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