CPU性能比較表(ノートパソコン・タブレットPC)【2024年最新版】

2024年版のノートPC・タブレットPC用CPU性能一覧表です。内蔵GPUも同時に確認できます。
現在メジャーなCPUと以前メジャーだったCPUを掲載しています。スマホ向けや一部のAndroid系のタブレットのCPU(主にArmのもの)はこちらではなく、別ページ(下記のリンク参照)に載せていますので、お手数をお掛けしますがそちらご覧ください。
CPU名称
文字通りCPUの名前です。
PassMark
特に有名なベンチマークの一つです。総合性能といった感じになっています。
Cinebench R23(マルチ/シングル)
CPUの処理性能を測る有名なベンチマークの一つです。決まった画像を表示するシンプルな内容なので、PassMarkよりも純粋なCPUのコアによる処理性能を知ることができます。「マルチ」はCPUの全コアを使用した全力の処理性能で、「シングル」は1コアのみを使用した際の処理性能となっています。
コア
CPUのコアの数(合計)です。コアが多いほどCPU全体の処理性能が高くなり、重い処理への対応力が高まります。ただし、最近では小型な省電力コアが採用されることが多かったりして、合計コア数だけで性能を推し量るのは難しいので注意。
スレッド
スレッドはシステム上で認識するコアの数と思って貰えばOKです。「1コア:1スレッド」が基本ですが、「1コア:2スレッド」のものもあります(SMT・ハイパースレッディング採用コアの場合)。
クロック・周波数(定格/最大)
CPUのクロックは、ざっくり言うと処理の回数を表す数値です。クロックが高いほど、処理できる信号の数が多いことになるので、処理性能が高くなりますが、負荷が高くなるため、発熱や消費電力が多くなります。ただし、コアの性能や他の要素により性能は大きく変わるので、クロックだけで性能は測れない点に注意。また、クロックの異なる複数のコアを持つCPUの場合は、最も高性能なコアのものを記載しています。
TDP
TDPは熱設計電力のことで、大体の消費電力の目安となります。ただし、最近のCPUは複数のTDPが状況に応じて適用されることが多くなっており、表記の数値(デフォルトTDP)よりも大幅に多くなることが基本なので注意。表向きのTDPは、実際の消費電力というよりは、他CPUとの相対的な消費電力や発熱の差を知るためのものとなっています。
内蔵GPU
CPUと同じチップに統合されているGPUの名称です。記載の名前は略称であり、名前が同じでも性能が異なる場合もあるため注意(アーキテクチャが同じ、もしくはわずかな改良には同じ名前が用いられることがあるため)。 
Zen 3+ 以降のRyzen 7(Ryzen 7 8840U / Ryzen 7 7840U / Ryzen 7 7735U 等)
アーキテクチャに「Zen 3+ / Zen 4」が採用されているRyzen 6000~8000シリーズは、優れたCPU性能・電力効率・内蔵GPUを備えつつ、競合製品よりも比較的安価でコスパが良いのが魅力です。
内蔵GPUには「Radeon 680M / 780M」という12CUのRDNA 2/3アーキテクチャのものが採用されており、内蔵にしては優れたグラフィック性能を発揮します。ゲームでは「GeForce GTX 1050 Ti」に迫る性能を持つため、軽いゲームなら非常に快適ですし、やや重めくらいのゲームでも動作自体は可能なレベルとなっています。更に、新しめのRadeonでのゲームにおいては「AFMF」という手軽なフレーム生成機能が使えるため、実質性能は更に底上げされるため強力です。動画編集もフルHD以下くらいの軽いものならある程度対応可能で、内蔵GPUながらグラフィック面でも優れた対応力を持つのが大きな魅力です。また、2024年現在ではほぼ恩恵はないですが、Zen 4モデル(末尾40以降の一部を除くモデル)ではAI用のNPUである「Ryzen AI」も搭載されています。対抗となるのは「Core Ultra H(シリーズ1)」となっており、処理性能だけ見れば少し若干劣るレベルですが、そちらよりも電力面がやや優れる上に、価格面もやや安価なので、コスパでは若干上回ります。2024年11月時点で無駄な予算を掛けずにコスパの良いCPUを求めるなら無難な選択肢という印象です。
Core Ultra 100H(Core Ultra 7 155H / Core Ultra 5 125H 等)
非常に優れたCPU性能と内蔵GPU性能を持ちつつ、NPUも搭載しているのが魅力なのが「Core Ultra 100H」です。
特に魅力なのはやはりGPU性能です。最上位の「Arc 8コアGPU」のゲーム性能は「GeForce GTX 1650」にも匹敵するレベルとなっており、対抗のRyzen 8000の最上位の内蔵GPU「Radeon 780M」を上回る非常に高い性能を持ちます。軽いゲームなら非常に快適で、やや重めくらいのゲームも大体動作は可能で、動画編集もFHD以下程度の軽めのものならある程度対応可能という高い対応力を持ちます。重量級のゲームや動画編集をしないなら、別途のビデオカードは不要なレベルです。
ただし、実用性能・実用コスパという点で考えると、Ryzen 8000に相対的に劣る印象なのがややネックです。まず、ゲームにおいてはAMD(Radeon)には手軽なフレーム生成機能「AFMF」があるため実質性能ではやや劣ります。電力面も消費電力がやや多いためワットパフォーマンスで劣っており、その上で価格は若干上というのが厳しめ。処理性能の高さだけで見れば上なのでコスパも妥当に見えますが、実際の使用感を考えるとやはり劣る印象となるのが否めないです。
とはいえ、プロセス刷新により電力面は前世代までよりは向上していますし、LP Eコアのおかげでアイドル時の消費電力削減に期待できますし、GPU性能も格段に上がっており、前世代と比べると価格が上がった以外は格段に良くなっています。ネックの価格も、Intel製品は数が豊富なため、お得なセール品などが登場する頻度は高いです。価格次第では十分有力であり、おすすめし易くなったと思います。
Core i5-1335U / Core i7-1355U 等(第12,13世代のCore i5 / i7の末尾U)
第12,13世代のデフォルトTDPが15Wと低めに設定されている、Core i5 / i7のUモデルです(10コア12スレッド)。旧世代ですが、比較的安価に軽作業には十分な処理性能を提供してくれるため、低価格高コスパPC用としておすすめのシリーズです。採用製品が非常に多く、お得な製品が探しやすいのも大きな強みです。
低価格高コスパCPUとしては「Ryzen 5 7530U / Ryzen 7 7730U」がよく挙げられると思いますが、そちらよりも内蔵GPU性能が高い上、AV1デコードに対応しているのが強みです。
ただし、高性能コア(Pコア)は2つしかなく、8個が省電力さ重視のEコアとなっているため、10コアという見栄えほどは高性能ではなく、重い処理を前提とできるほどの性能では無い点に注意。ちなみに、第12世代と第13世代でコア数は基本同じで処理性能差もわずかなので、安い方でOKです。
Apple Mシリーズ(M1~M4 の 無印 / Pro / Max)
Apple開発のSoC(CPU)です。非常に優れた電力効率と優れたCPU性能と内蔵GPU性能を持ちます
グラフィック性能についても、最下位のM1無印モデルでもエントリーグラボレベルの優れた内蔵GPU性能を持つため、重めの動画編集なども可能な対応力の高さが魅力です。CPU性能もスレッド数が少ない割には非常に優れており、重い処理も可能です。また、非常に電力効率が良く、重い作業をしていても消費電力がそこまで多くなく、バッテリー利用時でもパフォーマンスが落ちたり駆動時間が短くなりにくいのも持ち運びを頻繁に行う人には嬉しいです。ノートPCとして重要な要素全てを高いレベルで兼ね備えている、非常に完成度の高いSoCです。
ただし、Macにしか搭載されない点は注意です。優れたGPU性能ながら、多くの人気PCゲームはDirectX(Windows用)に最適化されているためネイティブ環境でプレイすることができません。その他のMac用に作られていないソフトについても、基本エミュレーション動作となるためパフォーマンスの低下や予期しないトラブルが発生する可能性がある点も注意が必要です。また、AV1のデコードにもM3以降でしか対応していない点も注意です。
Snapdragon X Plus / Elite(X1P-64~)
元は主にスマホ・タブレット向けのArmアーキテクチャのSnapdragonですが、Windows向けとして調整されて登場しました。優れた基本性能と、優れたアイドル時の省電力性を持ち、NPU性能もCopilot+のローカル動作要件を満たす45TOPSを備えているのが魅力です。
EliteのCPUとGPUの純粋な処理性能は「Core Ultra 7 155H」に近いものがあるようなので、重い処理にも対応できる高い性能を持ちます。ただし、Windowsの各ソフトへの最適化が万全ではない点に注意。特にDirectX対応ゲームでは本来よりかなり低い性能となっており、IntelやAMDの最新世代には大きく劣ります。ゲームに限らず、Armに対応していないソフトはエミュレーション動作となり性能が落ちますが、エミュレーション動作ということを考慮しても性能低下が大きすぎる印象なので、やはり最適化不足感が強いです。本来の性能はもっと優れているはずなので、今後のドライバーなどによる改善に期待したいところ。とはいえ、最適化不足による性能低下を考慮しても性能自体が特別低い訳では無く、旧世代のCoreやRyzenに対して性能は上回る他、電力面も優れていはいます。
また、遅れて登場した廉価モデル「Snapdragon X Plus(X1P-42-100)」は搭載製品が最安11万円程度(2024年10月時点)と他モデルよりも大幅に安いながら、NPUは他モデルと変わらない高性能なものを搭載しており、電力効率も優れているのが魅力です。GPU性能がガクッと下がってしまう点には要注意ですが、Copilot+の要件を満たしたAI PCとしては安価なので、重いグラフィック処理をしない人でAI性能を求める方には優れた選択肢となると思います。

CPU性能比較表(ノートPC用)

高消費電力モデル(デフォルトTDPが35W以上)は初期非表示にしているので、表示したい場合は「高消費電力モデルを非表示」のチェックを外してください。クロックは最も高い性能のコアのものです。

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メーカー
消費電力(TDP)
Core
Ryzen
ベンチマーク

267 COMMENTS

K

CPU比較がすごく参考になります。
ありがとうございます。

14型ノートPC購入で迷っていまして、
▼ドスパラの価格コム限定15万円の155H搭載
▼HPのブラックフライデーで19万円のAMD Ryzen™ AI 9 365搭載
どちらも32GB、1TBSSD

どちらがおすすめでしょうか…

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とねりん:管理人

ありがとうございます。励みになります。

比較の2機については、価格が大きく違うので一概にどちらが良いとは言えないですね…。
予算の考え方とか、求める処理性能とバッテリー性能や用途についてもう少し詳しく聞きたいです。

返信する
K

個人的な質問にお返事ありがとうございます。

日常的には家族写真・動画の整理ですが、たまーに動画編集やAdobeソフトの利用、ff14 も画質落としてできたらラッキー…くらいです。
今後のAI利用も気にはなるのと、良いものを買って長く使いたいという意識もあります。

その中で、価格コムで15万円の価格差があるものが、HPのセールにより5万円の差で買えるというところに、どれだけの価値があるのか、と悩んでいます。。
https://s.kakaku.com/item/K0001641412/
https://s.kakaku.com/item/K0001639367/

とねりん:管理人

返信遅くなりました。追加情報ありがとうございます。まず、HP機の元値の32万円はさすがに高価すぎるかなとは思いますね…。下記から各項目についてそれぞれざっと触れてみます。

まず、CPU性能ですが、「Ryzen AI 9 365」が上になっています(約1.3倍~)。ただ、ハイエンドな用途で使う前提でないなら「Core Ultra 7 155H」でも十分すぎる性能があるので、質問者様の場合は大きな決め手とするほどではないと思います。

次にGPU(グラフィック)性能ですが、基本性能自体は同等レベルです。性能が足りるかは動画編集やAdobeの内容次第ですが、FF14の低画質動作の方が重いレベルの処理なら問題ないと思います。また、FF14についてもフルHD(1920×1080)の低・中設定程度で良いなら、動作自体は問題ないです。平均40fps~80fpsくらいは出ると思います。ちなみに、Ryzen側では「AFMF」というゲーム外(ドライバ動作)からフレームを挿入する機能を簡単に使うことが出来るので、ゲームでは基本少し有利なのですが、FF14で言えば155Hの方が相性が良くて性能が出るらしいので、FF14では差はほぼないかもしれません。

AIについては、まだローカル動作の一般用途での活用法が確立されていないのでなんとも言えませんが、NPU性能だけ見ると下記のようになっています。
【NPU(AI性能)】
Ryzen AI 9 365:~50TOPS
Core Ultra 7 155H:~11TOPS(推定)

なのでAI性能を重視するならそもそもRyzen側一択ですね。

その他は、ディスプレイはGALLERIAの方が解像度が高くてノングレア、HP機はタッチパネル搭載でグレアといった感じです。これは用途や好み次第かなと思います。電力面は具体的には検証しないとわからない部分ではありますが、挙げられた2機種ならHP機(Ryzen)の方が恐らく大幅に良いと思われます。「Core Ultra 7 155H」は「Ryzen AI 9 365」や「Ryzen 7 8840U」よりは電力性能はやや悪く、特に高負荷時のバッテリー持ちは良くない傾向があります。

上記の内容などから総合的に判断することになると思います。また、AI性能を重視しないなら「Ryzen 7 8840U / 8845HS」あたりの高コスパ機も有力になるかなと思うので、その辺りも検討しても良いかもです。HPのセール対象の「HP Envy x360 14-fa」なども結構魅力的に見えます。

K

もったいないほどの詳細な解説ありがとうございます。。
NPUによるローカルでのAI性能が家庭生活でどれだけ必要なのか…おそらくまったく不要だと思うのですが、どうせ買うなら良いものをという所有欲と、良いものを買えば長く使えるのではないかという期待で、欲張ってしまう感じです。
今回は2017年に購入したドスパラのデカいゲーミングPCが、Windows11の要件を満たさなくなったための買い替えで、PCゲームも最近はしていないし…でもいつかするかもしれないし…と優柔不断になっています。

確かにご提案いただいた「HP Envy x360 14-fa」も、必要十分な性能でコスパも高そうです。
前述の欲と、費用面との現実を見て、悩みながら結論を出そうと思います。

アドバイス、本当にありがとうございました。

とねりん:管理人

前の機種も非常に長く使われたようですし、同じくらいの期間使いたいと仮定するなら確かに出来るだけ良いものをという気持ちも出てきそうですね。

先ほどは触れるのを忘れていましたが、今はHPだと楽天リーベイツというサイトを経由すると10%の楽天ポイント還元が受けれたりするので、楽天ポイントを普段から使われるようなら実質価格はもうちょっとお得です。
リーベイツの高還元はちょいちょいやっていますし今焦って買うほどではなかったりもしますが、ご存じなければその辺りも考慮してみると良いかもですね。

しっかり検討して納得して決めれることを願ってます。

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