「GeForce RTX 5060 Ti 16GB」ざっくり評価【性能比較】

「GeForce RTX 5060 Ti 16GB」のざっくり性能比較・評価です。海外レビューを参考に性能をざっくりと確認していきます。

注意

本記事の情報は記事執筆時点(2025年4月17日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

仕様

まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。

簡易比較表

※価格は2025年4月17日時点での米での希望小売価格です。一部は確定情報じゃないものもあり、異なる可能性もあるので注意。
※GPU名のリンクはAmazonのものです。

GPUシェーダー
ユニット数
メモリタイプVRAM速度
VRAM帯域幅
レイトレ用
ユニット数
ダイサイズ
(おおよそ)
消費電力
(TGP等)
希望小売

RTX 509021760GDDR7
32GB 512bit
28.0Gbps
1792GB/s
170750㎟575W1,999ドル
RTX 409016384GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
128608㎟450W1,599ドル
RTX 508010752GDDR7
16GB 256bit
30.0Gbps
960GB/s
84378㎟360W999ドル
RTX 4080 SUPER10240GDDR6X
16GB 256bit
23.0Gbps
736.3GB/s
80380㎟320W999ドル
RTX 40809728GDDR6X
16GB 256bit
22.4Gbps
716.8GB/s
76380㎟320W1,199ドル
→市場廃止
RTX 5070 Ti8960GDDR7
16GB 256bit
28.0Gbps
896GB/s
70378㎟300W749ドル
RX 7900 XTX6144GDDR6
24GB 384bit
20Gbps
960GB/s
9636.6㎟*6 +
300㎟
355W999ドル
RX 7900 XT5376GDDR6
20GB 320bit
20Gbps
800GB/s
8436.6㎟*6 +
300㎟
315W799ドル
→749ドル?
RX 9070 XT4096GDDR6
16GB 256bit
20Gbps
640GB/s
64356.5㎟304W599ドル
RTX 4070 Ti SUPER8448GDDR6X
16GB 256bit
21.0Gbps
672GB/s
66295㎟285W799ドル
RX 90703584GDDR6
16GB 256bit
20Gbps
640GB/s
56356.5㎟220W549ドル
RTX 4070 Ti7680GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
60295㎟285W799ドル
→市場廃止
RTX 3090 Ti10752GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
84628.4㎟450W1,499ドル
RX 7900 GRE5120GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
8036.6㎟*6 +
300㎟
260W549ドル
RTX 50706144GDDR7
12GB 192bit
28Gbps
672GB/s
48263㎟250W549ドル
RTX 4070 SUPER7168GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
56295㎟220W599ドル
RTX 40705888GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
46295㎟200W549ドル
前:599ドル
RX 7800 XT3840GDDR6
16GB 256bit
19.5Gbps
624GB/s
6037.5㎟*4 +
200㎟
263W499ドル
RTX 5060 Ti 16GB4608GDDR7
16GB 128bit
28Gbps
448GB/s
36181㎟180W429ドル
RTX 5060 Ti 8GB4608GDDR7
8GB 128bit
28Gbps
448GB/s
36181㎟180W379ドル
RX 7700 XT3456GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
5437.5㎟*4 +
200㎟
245W419ドル
前:449ドル
RTX 4060 Ti 8GB4352GDDR6
8GB 128bit
18Gbps
288GB/s
34190㎟160W399ドル
Arc A770 16GB4096GDDR6
16GB 256bit
17.5Gbps
560GB/s
32406㎟225W349ドル
Arc B5802560GDDR6
12GB 192bit
19Gbps
456GB/s
20272㎟190W249ドル
RX 7600 XT2048GDDR6
16GB 128bit
18Gbps
288GB/s
32204㎟190W329ドル
RTX 40603072GDDR6
8GB 128bit
17Gbps
272GB/s
24156㎟115W299ドル
Arc B5702304GDDR6
10GB 160bit
19Gbps
380GB/s
18272㎟150W219ドル
RX 76002048GDDR6
8GB 128bit
18Gbps
288GB/s
32204㎟165W269ドル
Arc A7503584GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
28406㎟225W289ドル
RX 66001792GDDR6
8GB 128bit
14Gbps
224GB/s
28237㎟132W239ドル
RTX 3060 12GB3584GDDR6
12GB 192bit
15Gbps
360GB/s
28276㎟170W329ドル
RTX 30502560GDDR6
8GB 128bit
15Gbps
224GB/s
20276㎟130W249ドル

前世代との比較

「RTX 50シリーズ」と前世代「RTX 40シリーズ」の簡易比較表です。NVIDIA公式サイトにおけるTensorコアとRTコアについての記載が、従来はコア数だったものが理論性能で表記するようになりました。

RTX 50シリーズでは前世代よりもAI性能が飛躍的に向上しているため、その差をより強調したいための変更だと思われますが、元々コア性能が上がっても向上を感じられないコア数表記は問題がある部分だったので、表記を切り替える良い機会になったのかなと思います。

GPU希望
小売価格
GPUVRAMTGP
CUDAコアTensorコア
(AI TOPS)
RTコア
(TFLOPS)
クロック
最大(GHz)
容量/タイプバス幅帯域幅(GB/s)
RTX 50901999ドル2176033523182.4132GB GDDR7512bit1792575W
RTX 40901599ドル1638413211912.5224GB GDDR6X384bit1008450W
RTX 5080999ドル1075218011712.6216GB GDDR7256bit960360W
RTX 4080 SUPER999ドル102408361212.5516GB GDDR6X256bit736320W
RTX 5070 Ti749ドル896014061332.4516GB GDDR7256bit896300W
RTX 4070 Ti SUPER799ドル84487801022.6116GB GDDR6X256bit672285W
RTX 4070 SUPER599ドル7168568932.4812GB GDDR6X192bit504220W
RTX 5070549ドル6144988942.5112GB GDDR7192bit672250W
RTX 4070549ドル5888466672.4812GB GDDR6X
12GB GDDR6
192bit504200W
RTX 5060 Ti429ドル
379ドル
4608759722.5716GB GDDR7
8GB GDDR7
128bit448180W
RTX 4060 Ti499ドル
399ドル
4352353512.5416GB GDDR6
8GB GDDR6
128bit288165W
160W
RTX 5060299ドル3840614582.508GB GDDR7128bit448145W
RTX 4060299ドル3072242352.468GB GDDR6128bit272115W

今回見ていくのはNVIDIA「GeForce RTX 5060 Ti 16GB」です。

「Blackwell」世代の「GeForce RTX 50 シリーズ」のアッパーミドル(ミドルハイ)の大容量VRAM搭載モデルです。

AIや高設定・高解像度でも実用的な性能を出せる割には安価で、高いレベルを求めない中で実用コスパに優れるGPUとして期待が集まっていると思います。

性能コスパだけ見れば微妙にも見えるとは思いますが、「16GB 448GB/s」のそこそこ高性能なCUDAカードが8万円で購入できるのは、ゲーム以外の用途を重視する人にとってはお買い得に見えると思います。

ちなみに、詳細情報および価格が発売直前まで公開されなかった上、レビューも前日ではなく同日解禁でした。

しかも、16GBだけでなく8GBモデルもある中で当日レビューは16GBモデルのみに限定されるなど、厳正なレビュー規制も行われた中での登場となりました。

恐らくは、「RX 9000シリーズ」で登場が噂されている「RX 9060 XT 16GB」を警戒するのはもちろん、これまでの悪い印象がありそうな「RTX 50 シリーズ」の評価を挽回するために、「RTX 5060 Ti 16GB」の扱いをギリギリまで検討したかった意図があったのかなと思います。

価格と市場でのポジシヨン

「RTX 5060 Ti 16GB」の米国におけるメーカー希望小売価格は429ドルです。筆者が確認した発売時点での国内最安値は80,100円でした。リファレンスモデルの発売はなく、AIBパートナーモデルのみの発売となります。

8GBモデルもありますが、そちらは379ドルです。国内価格は69,800円~です。1万円ほど安価ですが、7万円で8GB VRAMはさすがに渋すぎるので、16GBに人気が集中しそうな気がします。

先代の「RTX 4060 Ti 8GB / 16GB」が「399ドル / 499ドル」だったことを考えると、安く出してきたという印象も受けます。ただ、「RTX 5070」が549ドルで登場したことを考えると、割と規定路線だった気もします(4070は599ドルだった)。

期待される性能としてはフルHDなら重量級ゲームでも快適な性能で、16GB VRAMのおかげでより高い要求でも対応は可能という感じになると思います。

DLSS 4によるアップスケーリングやマルチフレーム生成にも対応しているため、それら前提なら1440p以上やレイトレーシングでも十分に実用的な性能になるはずです。

最近では1440pモニターやAIの普及が進んでおり、8GBはやや厳しい印象があるので、「RTX 5060 Ti 16GB」は予算を抑えつつも、重い用途への対応力もある程度備えておきたい層には魅力的なモデルになると思います。

そして、対抗製品としては、これからの登場が噂されている「RX 9060 XT 16GB」になると思われます。

まだ未登場なので詳細な比較ができませんが、「RX 9070 XT」が599ドルで、9060 XTはSM数が半分になると言われているので、高くても400ドルくらいになりそうな感じです。

価格では負ける可能性が高そうなので、最低でも同等以上の性能が期待されるところとなっています。

設計面について(製造プロセス等)

「RTX 5060 Ti 16GB」はGB206シリコンダイが使用されています。製造プロセスは先代と同じTSMC 4N(5nm)とされています。

そのため、電力効率面では大きな向上にはならないと思われます。実際、既に登場しているRTX 5070以降でも効率で大きな向上は見られませんでした。

対抗となるであろう「RX 9060 XT」の仕様はわからないものの、もし仮に9070と同じTSMC 4nmが採用されるなら、わずかに劣ることになります。

ただし、RX 7000シリーズでは「RX 7600 XT」以下ではわずかにコスト削減を意識した設計となっていたので、ここは登場まで待たないと分からない部分ではあります。

各種コア数

主要なコア類に関しては、CUDAコアは4608RTコアは36TensorコアとTMUは144ROPは48などとなっています。

先代の「RTX 4060 Ti」と比べると、各コア類が約5.9%増量しています。

リファレンス仕様のブーストクロックは2.57GHzとなっています。4060 Tiの2.54GHzからわずかに向上していますが、ほぼ同等です。

既に登場したRTX 5070 等を見ると、アーキテクチャ更新によるコアあたりの基本性能向上率は10%程度だと推測されるので、コア数増加と併せて15%前後になりそうだなというのが、筆者の事前の見立てだったりしました。

世代更新による向上率としては微妙ではありますが、少し物足りなかった性能の補強としては納得できるくらいではあると思います。

また、VRAMの帯域幅も向上したので、思ったよりも良い結果をもたらす可能性もあります。先代のRTX 4060 Ti 16GBよりは個人的には良い印象を持っています。

ただし、価格を考えれば基本性能が低くなるのはほぼ確定なので、フルHDメインなどの場合のコスパは微妙だと思います。

VRAM(ビデオメモリ)

「RTX 5060 Ti」のVRAMは16GBと8GBの2モデル展開で、128bit GDDR7が採用されています

バス幅が128bitなのは残念ですが、速度は28Gbpsと非常に高速なので、最終的な最大帯域幅は448GB/sと悪くないです。ここが特に嬉しい点です。RTX 4060 Ti の288GB/sから約1.556倍もの向上です。

RTX 4060 Ti では基本性能と帯域幅の低さから16GBを活かせるシーンが限定的すぎる印象がありましたが、「RTX 5060 Ti 16GB」ではそれらの懸念が多少改善されることが期待できます。

DLSS 4への対応もあり、印象以上に優れた実用コスパを発揮してくれそうです。

消費電力

「RTX 5060 Ti」のTGPは180Wです。コア数がわずかしか増えていないのに、先代の160/165Wから若干増えています。

カタログスペックの時点で、効率はさほど向上していないことが垣間見えます。

ただし、消費電力自体はアッパーミドルモデルとしては控えめではあり、さほどネックではないです。

DLSS 4、ニューラルレンダリング

「RTX 50 シリーズ」はGPUだけでなく、AI関連技術の追加対応も目玉なので、個別で触れておきます(ほぼ旧記事のコピペです)。ご存じの方は飛ばして貰って構いません。

まずは「DLSS 4」です。DLSSはNVIDIAが提供するTensorコアを活用したアップスケーリングです。そのDLSSの2025年時点で最新の「DLSS 4」において「マルチフレーム生成」機能が追加されます。

DLSS 3から対応した「フレーム生成」では中間フレーム1つのフレームに対して最大1つしか生成できなかったのに対し、DLSS 4のマルチフレーム生成では最大3つの追加フレームを生成することが可能になります。凄まじいフレームレートの向上が期待できます。

また、DLSS 4ではマルチフレーム生成機能の導入だけでなく、基本性能もアップしているようです。新しいフレーム生成モデルへと更新され、画質向上に加えて、40%の高速化や30%のVRAM使用量の削減が主張されています。

マルチフレーム生成の利用には「RTX 50シリーズ」が必要になるとされていますが、新機能が利用できなくてもアップデートの恩恵が受けられるのは良いですね。

次に、ニューラルレンダリングです。現代のグラフィックスに大きな革新をもたらすことが期待されている、AIを活用したレンダリングです。

従来はグラフィックスAPI内でTensorコア(AI)を利用することができなかったため、DLSSなどアップスケーリングなどの形で別の場所でAIを利用することが必要でしたが、Microsoftの更新によってグラフィックスAPI内で直接Tensorコアにアクセスできるようになることで実現した技術です。

ワークフロー内で直接ニューラル技術を統合してパイプラインの一部に置き換えることが可能になっています。要するに、元の画像を生成する時点でAIによって高速化することが可能となります。

これにより、従来は膨大な計算が必要だった高度なグラフィックス効果を大きく高速化しつつ、従来のアップスケーリングよりも不自然な描写を避けて、画質の向上にも繋がるということです。圧縮率は最大で7:1とも言われています。

DLSSやFSRといった別機能ではなく、グラフィックスAPI(DirectX)の標準機能となるようなので、メーカー側も導入を妨げる理由はありません。また、DXR(レイトレーシング)単体と違ってフレームレートの低下を招くものでもないため、ユーザー側も避ける理由が無く、思ったより利用が進まなかったDXRと違って、利用できる場合にはした方が良いといった技術になりそうな感じがあります。

といった感じで、カタログスペックについてはここまでとして、下記から実際の各性能について見ていきたいと思います。

ゲーミング性能(ラスタライズ)

ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。

まずは、レイトレーシングやアップスケリーング等は無効の状態での性能、いわゆるラスタライズ性能(ラスター性能)を見ていきます。今回は24種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。

使用されたグラフィックボードは「Palit GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB」で、リファレンスクロックに準拠したモデルとなっています。CPUは「Ryzen 7 9800X3D」で、OSはWindows 11が使用されています。

RTX 5060 Ti はリファレンス仕様だと熱的にやや余裕があるので、OCモデルが中心となっていたりするので、実際にはわずかに性能が高くなるケースも多いと思います。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします(ただし、各項目で別の環境となっていることがあります。その際には記載しています)


フルHD(1920×1080)

フルHD(1920×1080)です。最低限の解像度という印象ですが、2025年現在ではまだ主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、競技性の高いゲームでは出来るだけ高いフレームレートを維持するためにこの設定にすることは珍しくないと思います。ただし、新しい世代のハイエンドGPUでは低負荷感も強くなっているので、より高い解像度への移行も近そうな印象です。

平均FPS(1080p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
240.0
RTX 4090
215.4
RTX 5080
187.8
RTX 4080 SUPER
180.8
RTX 4080
178.6
RX 7900 XTX
173.4
RTX 5070 Ti
171.5
RX 9070 XT
163.8
RTX 4070 Ti SUPER
158.3
RX 7900 XT
155.2
RX 9070
151.6
RTX 4070 Ti
148.4
RTX 5070
143.6
RTX 4070 SUPER
138.9
RX 7900 GRE
132.9
RTX 4070
122.6
RTX 3080 10GB
122.1
RX 7800 XT
120.6
RX 6800 XT
118.2
RTX 5060 Ti 16GB
106.2
RX 7700 XT
104.4
RTX 3070
97.5
RTX 4060 Ti 16GB
94.9
RTX 4060 Ti 8GB
93.8
RTX 3060 Ti
84.4
Arc B580
76.4
RTX 4060
74.4
RX 7600 XT
74.2
RX 7600
69.0
Arc A770 16GB
67.8
RTX 3060 12GB
64.3
参考:TechPowerUp

フルHDでは「RX 7700 XT」を少し上回る性能で、4060 Tiからは11.9%向上

フルHDのラスタライズ性能は4060 Tiから約11.9%アップしました。「RX 7700 XT」を少し上回るくらいの性能になっています。

世代更新による性能向上率としては低い感は否めませんが、先代よりは性能への不安が軽減されるのは確かです。

とはいえ、8万円もするのに、現在6.3万円から購入できる「RX 7700 XT」と性能がほぼ同じなので、フルHD性能コスパは微妙です。価値を感じるかは他の用途次第だと思います。

しかし、先代よりはVRAM帯域幅も向上していますし、フルHDメインでも他用途を意識した選択肢として妥協はしやすいレベルになったと思います。


1440p(2560×1440)

WQHD(2560×1440)です。1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、GPUが高性能なために1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度はフルHDだと思いますが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、少なくともデスクトップでは徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。

平均FPS(1440p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
205.8
RTX 4090
172.4
RTX 5080
149.1
RTX 4080 SUPER
139.6
RTX 4080
138.0
RX 7900 XTX
134.7
RTX 5070 Ti
133.1
RX 9070 XT
125.5
RTX 4070 Ti SUPER
119.4
RX 7900 XT
117.3
RX 9070
114.3
RTX 4070 Ti
110.3
RTX 5070
108.4
RTX 4070 SUPER
102.6
RX 7900 GRE
99.0
RTX 3080 10GB
92.2
RX 7800 XT
89.9
RTX 4070
89.7
RX 6800 XT
88.5
RTX 5060 Ti 16GB
77.8
RX 7700 XT
76.9
RTX 3070
71.4
RTX 4060 Ti 16GB
67.9
RTX 4060 Ti 8GB
67.4
RTX 3060 Ti
61.4
Arc B580
57.4
RX 7600 XT
52.7
RTX 4060
52.5
Arc A770 16GB
51.6
RX 7600
48.1
RTX 3060 12GB
46.9
参考:TechPowerUp

1440pでは4060 Tiから14.6%の向上で、帯域幅向上がやや活きている印象

1440pでは4060 Tiとの差が「11.9%→14.6%」へと広がりました。重量級ゲームが中心のテストでも約10fpsの向上が見られたのは大きいと思います。帯域幅の向上が少し活きているのかなという印象です。

しかし、これは4060 Tiの帯域幅が価格の割に微妙すぎたという点が大きいです。実情では7万円以上のほとんどの主要GPUは既に400GB/s以上の帯域幅を備えています。そのため、まともなレベルになったといった方が適切かもしれません。

実際、ほぼ同じ帯域幅を持つ「RX 7700 XT」との差はほぼ変わっていません(ほぼ同等)。

ただ、16GB VRAMを持つCUDAカードが1440pでも十分実用的な性能で8万円で買えるというのは、高いレベルを求めない人にとってはお買い得に見えると思います。先代よりは地位を上げたのは確実だと思います。


4K(3840×2160)

「超高解像度の代名詞」という感じの解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、負荷が非常に大きいです。画素数はフルHDの約4倍です。その負荷の大きさから高いフレームレートを出す事が難しいため、TPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはほとんどないです。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。また、高リフレッシュレートの4Kモニターが高価という問題もあるため、一般層への普及にはややハードルが高いです。

平均FPS(4K 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
139.3
RTX 4090
105.7
RTX 5080
91.6
RTX 4080 SUPER
82.1
RTX 4080
80.8
RX 7900 XTX
80.8
RTX 5070 Ti
79.5
RX 9070 XT
74.5
RTX 4070 Ti SUPER
69.1
RX 7900 XT
68.6
RX 9070
67.1
RTX 5070
63.2
RTX 4070 Ti
63.1
RTX 4070 SUPER
58.4
RX 7900 GRE
56.8
RTX 3080 10GB
55.0
RX 7800 XT
51.9
RX 6800 XT
50.8
RTX 4070
50.7
RTX 5060 Ti 16GB
44.2
RX 7700 XT
42.9
RTX 3070
39.4
RTX 4060 Ti 16GB
37.0
Arc B580
34.6
RTX 4060 Ti 8GB
34.5
RTX 3060 Ti
33.8
Arc A770 16GB
30.4
RX 7600 XT
29.0
RTX 4060
27.6
RTX 3060 12GB
26.5
RX 7600
23.8
参考:TechPowerUp

4Kでは下位GPUとの差を広げる

4Kでも「RX 7700 XT」をわずかに上回るという位置は変わらないものの、下位GPUとの差が全体的に大きくなっています。

たとえば、先代の4060 Tiとの差は約19.4%まで広がり(フルHDでは11.9%)、4060に至っては約60.1%まで広がっています(フルHDでは42.7%)

4Kでは特に帯域幅が向上した恩恵は大きそうで、乗り換える価値も十分に感じられる性能差になっていると思います。

重量級ゲームが中心のテストでも平均で44.7fpsを記録するなど、高いレベルを求めなければ十分実用的に使えるレベルにもなったと思います。

しかし、fpsはやはり全体的に低く、基本性能自体がまだ足りない感は否めません。レイトレ抜きの4Kなら「RTX 5070」の方が正直おすすめです。

現在使用しているGPUのグレードによって評価が大きく分かれるGPUになっていると思います。

電力関連

消費電力

ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。

測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」、「S.T.A.L.K.E.R. 2」、「Marvel’s Spider-Man 2」の3種類で「3840×2160(4K)」のウルトラ設定でレイトレーシングは無効です。ただし、VRAMサイズによる影響が大きくなりすぎないように、テクスチャ設定は「低」に設定されています。

GPU平均消費電力(ゲーミング)
GPU名称消費電力
RTX 4060
123
RTX 4060 Ti 8GB
141
RTX 4060 Ti 16GB
154
RX 7600
156
Arc B580
165
RTX 5060 Ti 16GB
166
RTX 3060 12GB
173
RX 7600 XT
191
RTX 4070
193
RTX 3060 Ti
203
RTX 4070 SUPER
210
RX 6700 XT
217
RTX 3070
220
RX 7700 XT
222
Arc A770 16GB
226
RTX 5070
229
RX 9070
233
RX 7800 XT
250
RTX 4070 Ti
252
RX 7900 GRE
265
RTX 5070 Ti
279
RTX 4070 Ti SUPER
285
RTX 4080 SUPER
289
RTX 4080
289
RX 6800 XT
295
RTX 5080
296
RX 7900 XT
312
RX 9070 XT
314
RTX 3080 10GB
334
RX 7900 XTX
354
RTX 4090
391
RTX 5090
520
参考:TechPowerUp

180W未満の省電力

ゲーミング時の平均消費電力は166Wと省電力で、TGPの180Wよりもやや少ないです。

リファレンスクロック準拠のモデルということもあると思いますが、電力的にはやや余裕があります。

ラスタライズでほぼ同等のパフォーマンスだった「RX 7700 XT」は222Wとなっているので、電力面では大きな優位性があります。

他の16GB VRAMを搭載した高性能GPUは、軒並み220W超えなので、大容量VRAMを搭載しつつ予算や電力も節約したい人には魅力的だと思います。

ワットパフォーマンス

ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています

消費電力は上記に示した時のもので、上の別項目で示した24ゲーム平均fpsを使用したものです。消費電力は別計測のもので算出しており、実際に各ゲームでの動作時の効率を求めたものではなく、正確な値ではなく参考値となっているため注意してください。

ワットパフォーマンス(1080p/24ゲーム平均)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RX 9070
1.46
RTX 4070 SUPER
1.50
RTX 4060 Ti 8GB
1.49
RTX 5060 Ti 16GB
1.55
RTX 5080
1.56
RTX 5070
1.58
RTX 4070
1.56
RTX 4080 SUPER
1.58
RTX 5070 Ti
1.61
RTX 4080
1.60
RTX 4060 Ti 16GB
1.61
RTX 4060
1.64
RTX 4070 Ti
1.68
RTX 4070 Ti SUPER
1.78
RTX 4090
1.79
RX 9070 XT
1.90
RX 7900 GRE
1.97
RX 7900 XT
1.99
RX 7900 XTX
2.02
RX 7800 XT
2.05
RX 7700 XT
2.11
Arc B580
2.14
RTX 5090
2.15
RX 7600
2.24
RTX 3070
2.24
RTX 3060 Ti
2.38
RX 6800 XT
2.47
RX 7600 XT
2.55
RTX 3060 12GB
2.67
RTX 3080 10GB
2.71
Arc A770 16GB
3.32
参考:TechPowerUp
ワットパフォーマンス(1440p/24ゲーム平均)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RX 9070
1.93
RTX 5080
1.96
RTX 4070 SUPER
2.02
RTX 4080 SUPER
2.05
RTX 5070 Ti
2.07
RTX 4080
2.07
RTX 4060 Ti 8GB
2.07
RTX 5070
2.09
RTX 5060 Ti 16GB
2.11
RTX 4070
2.12
RTX 4060 Ti 16GB
2.24
RTX 4090
2.24
RTX 4070 Ti
2.26
RTX 4060
2.32
RTX 4070 Ti SUPER
2.36
RX 9070 XT
2.48
RTX 5090
2.49
RX 7900 XTX
2.60
RX 7900 XT
2.64
RX 7900 GRE
2.66
RX 7800 XT
2.76
Arc B580
2.85
RX 7700 XT
2.86
RTX 3070
3.05
RX 7600
3.22
RTX 3060 Ti
3.28
RX 6800 XT
3.31
RTX 3080 10GB
3.58
RX 7600 XT
3.59
RTX 3060 12GB
3.66
Arc A770 16GB
4.35
参考:TechPowerUp
ワットパフォーマンス(4K/24ゲーム平均)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 5080
3.19
RX 9070
3.30
RTX 5070 Ti
3.47
RTX 4080 SUPER
3.48
RTX 4080
3.53
RTX 4070 SUPER
3.55
RTX 5070
3.58
RTX 4090
3.65
RTX 5090
3.68
RTX 5060 Ti 16GB
3.71
RTX 4070
3.76
RTX 4070 Ti
3.94
RTX 4060 Ti 8GB
4.05
RTX 4070 Ti SUPER
4.07
RTX 4060 Ti 16GB
4.11
RX 9070 XT
4.18
RX 7900 XTX
4.35
RTX 4060
4.41
RX 7900 XT
4.51
RX 7900 GRE
4.62
Arc B580
4.74
RX 7800 XT
4.76
RX 7700 XT
5.14
RTX 3070
5.54
RX 6800 XT
5.76
RTX 3060 Ti
5.95
RTX 3080 10GB
6.01
RX 7600 XT
6.52
RTX 3060 12GB
6.46
RX 7600
6.53
Arc A770 16GB
7.39
参考:TechPowerUp

RTX 5070 と同等の優れた電力効率

「RTX 5060 Ti 16GB」の電力効率は良いです。RTX 5070に近い水準となっています。

RX 7000シリーズは大きく上回り、先代の4060 Ti 16GBよりもわずかに良いです。

レイトレーシング性能

レイトレーシング性能

リアルタイムレイトレーシングを有効にした際の相対性能を見ていきます。レイトレーシングはメインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性があります。DLSSやFSRといったアップスケーリングは無効の状態の性能を見ていきます。

また、レイトレーシングはVRAMを大量に使う処理な上、VRAMが不足するとパフォーマンスが一気に低下するので、特に1440p以降はVRAM 8GB以下のようなGPUは大きく不利になっています。

レイトレーシングFPS(1080p 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
233
RTX 4090
208
RTX 5080
177
RTX 4080 SUPER
171
RTX 4080
170
RTX 5070 Ti
158
RX 9070 XT
156
RTX 4070 Ti SUPER
151
RX 7900 XTX
142
RX 9070
140
RTX 4070 Ti
139
RTX 3090 Ti
138
RTX 5070
131
RTX 4070 SUPER
130
RX 7900 XT
125
RTX 4070
119
RTX 3080 10GB
114
RX 7900 GRE
107
RTX 5060 Ti 16GB
100
RX 7800 XT
97
RTX 4060 Ti 16GB
91
RTX 4060 Ti 8GB
81
RTX 3070
85
RX 7700 XT
84
RTX 3060 Ti
72
Arc B580
71
RTX 4060
65
Arc A770 16GB
63
RTX 3060 12GB
61
RX 7600 XT
58
RX 7600
47
参考:TechPowerUp
レイトレーシングFPS(1440p 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
271
RTX 4090
228
RTX 5080
192
RTX 4080 SUPER
183
RTX 4080
180
RTX 5070 Ti
170
RX 9070 XT
161
RTX 4070 Ti SUPER
158
RTX 3090 Ti
149
RTX 4070 Ti
145
RX 9070
145
RX 7900 XTX
145
RTX 5070
138
RTX 4070 SUPER
134
RTX 3080 10GB
121
RTX 4070
120
RX 7900 XT
119
RX 7900 GRE
108
RTX 5060 Ti 16GB
100
RX 7800 XT
98
RTX 4060 Ti 16GB
91
RX 7700 XT
84
RTX 3070
83
Arc B580
73
Arc A770 16GB
66
RTX 4060 Ti 8GB
64
RTX 3060 12GB
61
RTX 3060 Ti
56
RX 7600 XT
56
RTX 4060
55
RX 7600
32
参考:TechPowerUp
レイトレーシングFPS(4K 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
317
RTX 4090
246
RTX 5080
206
RTX 4080 SUPER
190
RTX 4080
186
RTX 5070 Ti
181
RX 9070 XT
166
RTX 4070 Ti SUPER
161
RTX 3090 Ti
158
RX 9070
146
RX 7900 XTX
145
RX 7900 XT
126
RTX 4070 Ti
115
RTX 5070
108
RTX 4070 SUPER
105
RX 7900 GRE
105
RTX 5060 Ti 16GB
100
RX 7800 XT
95
RTX 4070
94
RTX 3080 10GB
91
RTX 4060 Ti 16GB
87
RX 7700 XT
71
Arc A770 16GB
67
RTX 3070
59
RX 7600 XT
52
RTX 3060 12GB
49
RTX 4060 Ti 8GB
46
RTX 3060 Ti
43
Arc B580
41
RTX 4060
40
RX 7600
20
参考:TechPowerUp

まだRTX 4070にも大きく劣るレイトレ性能だけど、vs下位GPUや4Kでは悪くない

レイトレーシング性能では思ったよりも向上が見られませんでした。

レイトレで有利そうな16GB VRAMですが、「RTX 5060 Ti」はコア数は少なめなので、VRAMに余裕があっても処理性能が追いついていないのかな?という印象です。もしくはバス幅128bitが足を引っ張っているかですね。

RTX 4060 Ti 16GBとの差も1440p以下では10%も無いのが基本です。そして、RTX 4070との差は依然として大きいです。1440p以下では20%前後ほどの差が見受けられました。

向上率が小さいのがやはり気になりますね。RX 9000(RDNA 4)でレイトレ性能が大きく向上したので、RX 9060 XT相手では楽観視はできません(RX 9070 GREの噂もあるし)。

しかし、VRAM容量の重要度が増す4Kでは一気に地位を上げ、平均ではRTX 4070を上回ります。

とはいえ、これは12GBでは足切りに遭ってしまうタイトルで大きな差が出ているという感じです。12GBでも足りるタイトルでは依然としてRTX 4070にも不利なので、その点は留意する必要があります。

とはいえ、8万円で4Kレイトレでも足切りに遭う事がほとんどなく、一応動作できるというのは凄いです。

特に下位GPUに対しては大きな優位性とはなっていますが、正直4Kレイトレを前提とするGPUではないので、決め手となる要素にはならないかなと思います。

フルHDなら基本12GBでも事足りますし、RTX 5070の方がパフォーマンスは格段に高く、コスパでは負ける印象です。

コストパフォーマンス

上述のfpsを基にGPUの1フレームあたりの価格を算出し、コストパフォーマンスを比較しています。数値が低い方が良い点に注意です。ラスタライズとレイトレーシング時の両方を見ていきます。

元のゲーミング性能の解像度は1440pを用いています。4Kなどではやや結果が異なる可能性がある点に注意です。


1フレームあたりの価格(ラスタライズ)

まずはラスタライズ性能のコスパです。上述の1440pゲーム時の性能と現在の市場価格を基に、1フレームあたりの価格を算出し、コスパとして比較しています。

1fあたりの価格(1440p@RT無し)
GPU名称1フレームあたりの価格参考価格
Arc B580
763
¥43,800
RX 7600
807
¥38,800
RX 7700 XT
819
¥62,980
Arc A770 16GB
826
¥42,600
RTX 4060
857
¥44,980
RX 7800 XT
865
¥77,800
RTX 4060 Ti 8GB
872
¥58,800
RX 7900 XT
963
¥112,980
RTX 5070
974
¥105,600
RX 9070
1004
¥114,800
RX 9070 XT
1018
¥127,800
RTX 4070 SUPER
1023
¥104,980
RTX 5060 Ti 16GB
1030
¥80,100
RX 7900 XTX
1075
¥144,800
RTX 5070 Ti
1118
¥148,800
RTX 5080
1333
¥198,800
RTX 4090
1878
¥323,800
RTX 5090
2080
¥428,000
参考:TechPowerUp

ラスタライズコスパは悪い

「RTX 5060 Ti 16GB」のラスタライズコスパは悪いです。

ここを犠牲にして他の実用性を上げるというコンセプトのGPUなので仕方ない部分ですが、その差は把握して選択したいところです。

比較対象となりそうなGPUとのフレームあたりのコスト差は以下のようになっています(発売時点の1440pラスタライズ)。

RTX 5060 Ti 16GBのフレームあたりのコスト差(発売時点)
GPU相対コスト
※低い方が有利
RTX 5060 Ti 16GB100%(¥1030 / 1f)
RX 9070 16GB97.5%(¥1004 / 1f)
RTX 5070 12GB94.6%(¥974 / 1f)
RTX 4060 Ti 8GB84.7%(¥872 / 1f)
RX 7800 XT 16GB84.0%(¥865 / 1f)
RTX 4060 8GB83.2%(¥857 / 1f)
RX 7700 XT 12GB79.5%(¥819 / 1f)
Arc B580 12GB74.1%(¥763 / 1f)

他の価格が近かったり競合しそうなGPUの方が、フレームあたりのコストは20%前後も安くなっていることがわかります。大きな差です。

このラスタライズコスパ(基本処理性能コスパ)の悪さを受け入れて妥協できるかというかが焦点のGPUです。

個人的には、「RTX 4060 Ti 8GB」を選ぶくらいならこっちの方がおすすめなのは間違いないですが、実用性能重視なら3万円くらい高価ながら「RX 9070」の方が圧倒的に強力だし、予算面を重視した選択肢なら「Arc B580」の存在も地味に気になります。


1フレームあたりの価格(レイトレーシング)

次にレイトレーシング時のコスパを見ていきます。DLSSやFSR等のアップスケーリング技術は使用していない場合のものになります。

また、レイトレーシングではVRAM容量や最適化不足でパフォーマンスが極端に下がるケースが散見されるので、通常の平均値(算術平均)ではなく、幾何平均(相乗平均)を基に算出しています。

1fあたりの価格(1440p@RT)
GPU名称1フレームあたりの価格参考価格
Arc B580
1283
¥49,800
Arc A770 16GB
1385
¥42,600
RTX 5070
1554
¥105,600
RTX 4070 SUPER
1555
¥104,980
RX 7700 XT
1580
¥62,980
RTX 5060 Ti 16GB
1602
¥80,100
RTX 4060
1662
¥44,980
RX 7800 XT
1678
¥77,800
RX 7600 XT
1924
¥50,800
RTX 4060 Ti 8GB
1946
¥58,800
RX 7600
2754
¥38,800
参考:TechPowerUp

レイトレコスパは悪くない

レイトレーシングコスパは悪くはないです。ラスタライズコスパを思えば、かなり健闘しています。

しかし、全体で見れば良い位置という訳でもないです。

レイトレでは「RTX 5060 Ti 16GB」が思ったよりも性能が出なかったこともあり、想定よりは微妙な位置でした。

まず気になるのは「RTX 5070」に少し負けてしまっている点です。2.5万円ほど高価ではありますが、各コア数は約1.33倍になります。VRAM以外の基本性能は格段に上です。

また、「Arc B580」がダントツで強力なコスパを発揮しているのも気になります。

性能は「RTX 5060 Ti 16GB」の方が大幅に高いです。ただ、ある程度動けば良い程度の認識なら、「Arc B580」で事足りるケースも多いです。フルHDまで解像度を落とせば、普通に実用的なことも多いです。

Arc BシリーズはIntelの最新世代なので、これから登場するフレーム生成やアップスケーリング等にも対応する可能性が高いのも良いです。

どうせ予算節約を意識した選択をするのであれば、「Arc B580」くらい振り切った選択をした方が個人的には納得ができそうな気もします。

人によっては「RX 7700 XT」や「RX 7800 XT」を魅力に感じる人も居るでしょうし、好みや考え方次第です。

とはいえ、レイトレコスパでも強力とまでは言えないのは事実かなと思います。

AI・クリエイティブ用途

比較の最後は、AI・クリエイティブ用途でのパフォーマンスを見ていきます。

一般的な動画編集等の基準性能としてFP32(単精度浮動小数点演算)の理論演算性能、「MLPerf Client」におけるAI性能、「Procyon」ベンチマークを用いたAIイラスト生成ソフト「Stable Diffusion」、「Blender」におけるGPUレンダリング性能、「Blackmagic RAW 」によるビデオフレームのデコード速度の性能をそれぞれ見ていきたいと思います。

また、ここのテストは上述までとは異なるテストシステムを使用した海外レビュー(後述)を参考にしています。CPUには「Ryzen 7 9800X3D」、メモリには「DDR5-6000 CL28 32GB(16GBx2)」が使用されています。他の条件について気になる方は参考リンクをご覧ください。

理論演算性能(FP32)

FP32(単精度浮動小数点演算)は、理論演算性能を示す一つの指標です。単位はTFLOPS(テラフロップス)を用います。実際のテストから算出するものではなく、シェーダーユニット数(対応の演算器の数)とクロックから計算した、理論上の処理性能を表します。製品によってクロックが異なるので、下記の表の数値と異なる可能性がある点に注意です。

もちろん処理によりますが、一般的な動画編集においてのクリエイティブ性能は、このFP32とVRAMの性能(データ量が多い処理の場合)によって比例する傾向が見られたりします。実際「Premiere Pro CC」や「Davinci Resolve」などの主要な動画編集ソフトでの編集やプレビュー速度はある程度比例する傾向があるので、まず参考に見ていこうと思います(完全に一致する訳ではないので注意)。

FP32(単精度浮動小数点演算)
GPU名称FP32(TFLOPS)
RTX 5090
32GB 1792GB/s
104.8
RTX 4090
24GB 1008GB/s
82.58
RX 7900 XTX
24GB 960GB/s
61.42
RTX 5080
16GB 960GB/s
56.28
RTX 4080 SUPER
16GB 736.3GB/s
52.22
RX 7900 XT
20GB 800GB/s
51.48
RTX 4080
16GB 716.8GB/s
48.74
RX 9070 XT
16GB 640GB/s
48.66
RX 7900 GRE
16GB 576GB/s
45.98
RTX 4070 Ti SUPER
16GB 672GB/s
44.10
RTX 5070 Ti
16GB 896GB/s
43.94
RTX 4070 Ti
12GB 504GB/s
40.09
RX 7800 XT
16GB 624GB/s
37.32
RX 9070
16GB 640GB/s
36.13
RTX 4070 SUPER
12GB 504GB/s
35.48
RX 7700 XT
12GB 432GB/s
35.17
RTX 5070
12GB 672GB/s
30.87
RTX 3080
10GB 760GB/s
29.77
RTX 4070
12GB 504GB/s
29.15
RTX 5060 Ti 16GB
16GB 448GB/s
23.70
RX 7600 XT
16GB 288GB/s
22.57
RTX 4060 Ti
8GB / 16GB  288GB/s
22.06
RTX 3070 Ti
8GB 608GB/s
21.75
RX 7600
8GB 288GB/s
21.75
RX 6800 XT
16GB 512GB/s
20.74
RTX 3070
8GB 448GB/s
20.31
Arc A770 16GB
16GB 560GB/s
17.20
RTX 3060 Ti
8GB 448GB/s
16.20
RX 6800
16GB 512GB/s
16.17
RTX 4060
8GB 272GB/s
15.11
Arc B580
12GB 456GB/s
13.67
RX 6700 XT
12GB 384GB/s
13.21
RTX 3060 12GB
12GB 360GB/s
12.74
Arc B570
10GB 380GB/s
11.52
RX 6600 XT
8GB 256GB/s
10.61
RTX 3050
8GB 224GB/s
9.10
RX 6600
8GB 224GB/s
8.93

理論性能コスパは悪い

「RTX 5060 Ti 16GB」は価格の割にコア数が少ないため、理論性能コスパは悪いです。

16GB VRAMの優位性があるため一概には判断できませんが、RTX 50シリーズの目玉であるDLSS 4もゲーム以外では恩恵が無い部分なので、活きる用途は割と限定的ではあります。


MLPerf Client(AI性能)

「MLPerf Cliend」ベンチマークは、MLCommonsによって設計された、AI性能を測るベンチマークです。ここでは4つのワークロードの幾何平均のスコアを見ていきます。

幅広い環境で使えるONNX(DirectML)をサポートしていますが、Intelでは専用のOpenVINOパスも取得できるようです。

MLPerf Client 総合スコア(幾何平均)
GPU名称総合スコア(幾何平均)
RTX 5090
244.68
RTX 4090
176.57
RTX 5080
155.06
RTX 5070 Ti
146.90
RTX 4080
134.76
RX 7900 XTX
127.44
RX 9070 XT
114.67
RX 9070
113.11
RTX 4070 Ti
107.72
RTX 5070
104.10
RTX 4070
98.73
RTX 5060 Ti 16GB
84.73
RX 7700 XT
80.43
RTX 4060 Ti
60.08
参考:HotHardware

AIは汎用のONNX(DirectML)は「RX 7700 XT」を少し上回る程度で、ラスタライズと同様の傾向

汎用のAIテスト(ONNX)は先代の「RTX 4060 Ti」の約1.4倍と大きく向上しました。ただ、最終的には「RX 7700 XT」を少し上回るレベルで、ラスタライズと似たような立ち位置です。

16GB VRAMのおかげで、大容量の処理を伴う場合のエラー発生率(ボトルネック発生率)は下がると思いますが、コスパは特別良い感じはしません。


Procyon Stable Diffusion(AIイラスト生成)

現在、AIイラストソフトで人気のある「Stable Diffusion」での画像生成性能をUL Procyonの「AI Image Generation Benchmark」を用いて比較しています。

「Stable Diffusion XL」は1024×1024の高負荷なテストとなっています。XLではVRAM容量の要求度が高くなるため、特にVRAMが8GB以下のようなGPUではパフォーマンスが極端に低下したり、テストそのものが不可能なケースが基本となります。

ベンチマークではFP32、FP16、INT8といったデータ型のオプションがありますが、今回はFP16でのテストになっています。

また、各社のGPUにはAIの推論性能を高めるために特化したAPIとして、Tensor RT(NVIDIA)、Open VINO(Intel)、ROCm(AMD)といったものがありますが、2024年12月時点ではROCm(AMD)は現状Windowsでのネイティブ動作に対応していません(Linux前提で、WSLを用いてWindows上でLinuxを動作させて使用することは一応可能だけど)。

そして、ProcyonがWindowsを前提としたベンチマークであるため、サポートしているのはTensor RT、Open VINO、汎用のDirect ML(ONNX)の3つとなっており、AMD製のGPU(Radeon等)のみ汎用のDirect ML(ONNX)を使わざるを得ず、低めの性能となっている点に注意が必要です。

※RTX 5070 登場時まで、RTX 50(Blackwell)がベンチマークがTensorRTコア向けに更新されていなかったため、RTX 5070 以降はONNXでの測定値のみの掲載となっています。

Procyon Stable Diffusion XL(FP16) 総合スコア(1024×1024)
GPU名称スコア
RTX 4090(Tensor RT)
5073
RTX 5090(ONNX)
5073
RTX 4090(ONNX)
3985
RTX 4080(Tensor RT)
3437
RTX 4070 Ti(Tensor RT)
2956
RTX 5080(ONNX)
2920
RTX 4080(ONNX)
2499
RTX 5070 Ti(ONNX)
2203
RX 9070 XT(ONNX)
2113
RTX 4070(Tensor RT)
2089
RTX 4070 Ti(ONNX)
1944
RX 9070(ONNX)
1873
RTX 5060 Ti 16GB(TensorRT)
1808
RTX 4070(ONNX)
1502
RX 7900 XTX(ONNX)
1458
RTX 5070(ONNX)
1447
RTX 4060 Ti(TensorRT)
1323
RX 7700 XT(ONNX)
919
参考:HotHardware

TensorRTの画像生成性能は先代から大幅に向上

TensorRTを用いたFP16のStable Diffusionの画像生成テストでは先代から大きな向上を記録しました。RTX 4070にも約16%差程度まで迫っています。

「RX 7700 XT(ONNX)」に対しては約2倍の性能差があります。AIでの汎用性ではRX 7000シリーズに対してなら優位性があります。価格が近い「RX 7800 XT」にもAI面では上回ることが可能です。

「RX 9070(RDNA 4)」ではONNXの性能がも大きく向上はしていますが、ONNXの効率面での差が大きすぎて、まだGeForce(TensorRT)有利な印象は変わりません。

「RX 9070(ONNX)」でようやく「RTX 5060 Ti(TensorRT)」に並べるレベルなので、現状ではTensorRTが使える用途ではGeForceほぼ一強状態は続きそうです。

ROCmを利用できるなら話は別ですが、現状ではWindowsで気軽に使える選択肢とは到底言い難いので、その環境が変わらない限りは、AIにおけるRadeonの抜本的な地位改善は難しい気がしますね。

何にせよ、16GB VRAMのおかげで、12GBモデルよりも高い解像度や重い設定でも処理を完走しやすい点での優位性もありますし、若干の処理速度の向上よりも安定性を求めるなら「RTX 4070」にも劣らない選択肢になったと思います。

ただし、フルHD~1440pゲームでは「RTX 5070」には33%以上負けている点は留意しておく必要があります。ラスタライズなら12GB VRAMでも困らないことが多いので、性能でもコスパでも負けてしまいます。

安いとは言っても8万円しますから、節約と言えるかも正直怪しかったりして、AI込みでも総合的な実用コスパという点ではまだ一考の余地はありそうです。

Blender(GPUレンダリング)

「Blender」は定番の人気レンダリングソフトです。「Blender 4.3」を用いた「Blender Benchmark」の3つのテスト結果の幾何平均を総合スコアとし、比較していきます。

「Blender 4.3」では、Nvidia Optix、Intel OpenAPI、AMD HIPをサポートしており、それぞれが最善の性能が出せる方法で計測されています。しかし、それぞれの最適化には差があり、メインのGPUコアでも幅広い用途に対応できる「Nvidia Optix」が特に高い性能を出すため、現状ではBlenderのレンダリングは基本的にGeForce一強です。

Blender Benchmarks(4.3.0)
GPU名称総合スコア(幾何平均)
RTX 5090
4769
RTX 4090
3503
RTX 5080
2819
RTX 4080
2653
RTX 5070 Ti
2308
RTX 4070 Ti
1991
RTX 5070
1859
RTX 4070
1645
RX 9070 XT
1337
RTX 5060 Ti 16GB
1337
RX 7900 XTX
1324
RTX 4060 Ti
1239
RX 9070
1238
RX 7700 XT
695
参考:HotHardware

Blenderのレンダリングでは、他のGeForceにコスパで負ける

Blenderのレンダリング性能の向上率は正直微妙です。こちらもコア数が重要な処理なので仕方ない部分です。

先代の「RTX 4060 Ti」と比較すると向上率はわずか7.9%に留まっています。価格上昇を考えればコスパは微妙です。8万円台で買えた「RTX 4070」の方がコスパは良かったです。

しかし、RTX 4070は生産が終了し、RTX 5070は実売価格は値上がりして最安10万円台なので、2025年4月時点での選択肢としてはアリだとは思います

また、Radeonに対しては優位性が十分にあります。RX 9000になっても、ここでは差が大して変わらなかった印象なので、Blenderの利用を考えるなら「RTX 5060 Ti 16GB」の方が良いです。


Blackmagic RAW(RAW デコード速度)

「Blackmagic RAW Speed Test」はRAW画像のデコード速度を測定するベンチマークです。GPUを使用する場合にはCUDAかOpenCLを使うことになり、CUDAを使えるGeForceが有利な傾向があります。

また、このテストは圧縮率が低い場合にはシステムメモリの帯域幅の影響を受けやすくなり、GPU毎の差がでにくくなります。そのため、CPUおよびメモリの影響を小さくするため、高い圧縮率(12:1)での8Kおよび4Kのテストでのデコード速度(1秒あたりのフレーム数)を見ていきます。

Blackmagic RAW 4.3.1 デコード速度(8K/12:1)
GPU名称スコア
RTX 5090
251
RTX 5080
216
RTX 5070 Ti
203
RTX 4090
202
RTX 5070
181
RTX 4080
180
RTX 4070 Ti
172
RTX 4070
158
RTX 5060 Ti 16GB
149
RX 9070 XT
120
RX 9070
117
RX 7900 XTX
108
RX 7700 XT
101
RTX 4060 Ti
90
参考:HotHardware
Blackmagic RAW 4.3.1 デコード速度(4K/12:1)
GPU名称スコア
RTX 5090
1005
RTX 5080
867
RTX 5070 Ti
814
RTX 4090
810
RTX 5070
725
RTX 4080
721
RTX 4070 Ti
688
RTX 4070
634
RTX 5060 Ti 16GB
599
RX 9070 XT
480
RX 9070
471
RX 7900 XTX
433
RX 7700 XT
406
RTX 4060 Ti
360
参考:HotHardware

CUDAが使える上、コアの影響が少なめなクリエイティブ用途では強力なコスパ

コア数の影響が少なめかつCUDAが使える用途では、「RTX 5060 Ti 16GB」は強力なコスパを発揮します。

前世代からの向上率も大きく、下位GPUや8GB GPUに対しては大きな優位性を発揮します。

特に写真や動画関係ではこのような処理が多い印象なので、画像関連の仕事用のGPUとしては、魅力的なGPUとなっているかもしれません。


まとめ

GeForce RTX 5060 Ti 16GB のざっくり評価
良い点
  • 16GB VRAM(448GB/s)の割には安価
  • RX 7700 XTに近い優れたラスタライズ性能
  • 1440pでも実用的な性能
  • 優れたワットパフォーマンス
  • 比較的省電力(TGP:180W)
  • 比較的優れたAI性能(16GB VRAMで高負荷でもネックになりにくい)
  • DLSS 4 に対応(マルチフレーム生成など)
  • レイトレーシングでも実用的な性能
  • 非常に優れたメディア性能コスパ
気になる点
  • 高価(発売時:約8万円~)
  • 価格の割にコアが少なく、基本性能コスパが悪い
  • 12GBでも足りる用途では、RTX 5070の方がコスパが良い
  • 16GBで価格を抑えたモデルだけど、そもそも8万円は高い

RTX 5060 Ti 16GB:出来るだけ安価に16GB VRAMでそこそこ高性能なCUDAカードが欲しいなら

「RTX 5060 Ti 16GB」は基本性能コスパをやや犠牲にして16GB VRAMを採用したアッパーミドル(ミドルハイ)GPUです。

先代の「RTX 4060 Ti 16GB」では、基本性能やVRAM帯域(288GB/s)が低いせいで、16GBの強みを感じにくかったのが懸念点でした。しかし、RTX 5060 Ti 16GBでは、基本性能が14%前後ほどアップし、帯域幅も448GB/sになりました。

これにより器用貧乏な印象が少し改善されたと思います。「RTX 4060 Ti 16GB」よりは価値を感じることができるようになったと思います。

その改善を踏まえた上で、16GB搭載のアッパーミドル以降のGPUとしては比較的安価な最安8万円~という価格で、CUDAやTensorRTを導入できるのが魅力のGPUです。

また、最近ではVRAM容量コスパに優れるRadeonの存在感が増していると思いますが、

CUDAやTensorRTが活きる用途(画像生成AIやGPUレンダリングや一部クリエイティブ用途)では、高めの価格を考慮してもRadeonを上回る実用性能を期待できるのが強みです。

しかし、「RTX 5060 Ti 16GB」の基本性能コスパは悪いのは否めないのが懸念点です。CUDAやTensorRTのメリットを考慮しても、少し追加費用を出して上位GPUを出した方が良さそうに見えるケースも多そうに思えます。

同じRTX 50シリーズでも、VRAMが12GBで足りる用途なら「RTX 5070」の方が格段に高い性能を期待できます。単純計算のコスパでも少し負けています。

しかも、レイトレーシング性能やAI性能も、ほとんどの実用ケースにおいては「RTX 4070」にもやや劣るレベルです。16GBによる恩恵も限定的なので、思ったよりも価値を感じませんでした。

更に、Radeonでも+3万円ほどで「RX 9070」が見えてきます。価格は1.4倍前後ほど高くなるものの、そちらではより帯域幅の広い16GB VRAMが採用されています。ゲームでの基本性能も、ベンチマークスコアで約1.7倍前後にも達し、実性能でも1.3~1.5倍くらいの差があります。

3万円の追加費用は大きいものの、基本性能差が圧倒的で、純粋なコスパでもやや負けています。

ここまでの性能差があると、Radeonに対して有利なはずのCUDAやTensorRTが活きる用途においても、基本性能差のゴリ押しで、差が大して無くなったりするレベルです。

安さの魅力としても「RTX 5060 Ti 16GB」の8万円~がそもそも安価とは言えないですから、節約するなら振り切って「Arc B580」を選ぶ方が理に叶っていると思います。

性能を重視したい場合でも、8万円のミドルレンジGPUを買うくらいなら、どうせなら11~12万円で「RX 9070」を選択して、格段に高い性能を手に入れた方が満足度は高そうに見えるというのが個人的な意見です。

一応を擁護する要素を出すとすれば、主にクリエイティブ面では強力になるケースもあります。

それは、主に処理が小刻みに行われる系のもの(RAW関係など)です。そういう一部の処理では、基本性能やコア数はある程度あれば良くて、ほぼVRAM性能やメディアエンジンの世代や性能だけが関係することがあります

それに、レイトレーシング性能も市場のポジションを考えれば実は悪くないです。RTX 4070との差と価格を考えると微妙に見えるのは事実ですが、実は7万円以下の既存GPUに対しては有利な状況です。

レイトレーシングにおいてはコスパで見れば上位GPUの方が強力ですが、8万円以下のGPUに限れば強力な部類なのは間違いないです。

上記のような場合では「RTX 5060 Ti 16GB」は普通に強力なので、一定の需要はあるのかなと思います。

このように、結局のところは用途や予算次第ではあります。

とはいえ、やはりゲームコスパが正義と感じる消費者が多います。その中では厳しい立ち位置だと思いますし、16GB VRAMがゲームでは思ったよりも活きてはいなかったようにも感じるので、微妙な評価が多くなりそうに思います。

後に控えているであろう「RX 9060 XT」が出るまでは様子見が無難という感じに見えますね。

といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。

2 COMMENTS

とおりにし

評価数値にRTX 3060 12GBが入ってるのは大変参考になりました。
4060をスキップして5060を考えていたので。
3060から性能向上していますが、いかんせん価格が高すぎるのが厳しいですね。
性能は倍に少し届かないのに、価格は2.5倍ぐらいしますので。

返信する
とねりん:管理人

最安8万円はさすがに高く、低価格お買い得感は全くないですね。

RTX 3060 12GBは高いレベル求めないならまだ現役でいける性能だと思いますし、微妙に感じるのも仕方ないと思います。
RTX 30世代だとRTX 3080 10GB並みの価格ですから、凄い時代になりました…。円安恐ろしい…。

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とねりん:管理人 へ返信する コメントをキャンセル

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