ゲーミングマウスって?
まず、そもそもゲーミングマウスって何?という部分から軽く触れていきたいと思います。本題ではなく予備知識的なものなので、興味のある方だけご覧ください。
- ゲームで使う事を主目的として作られたマウス
- 具体的な定義はなく、単純に高性能なマウスという認識でもOK
- 価格が高い
- FPS/TPS用とMMO RPG用の2種類がある
ゲームで使う事を主目的としている
ゲーミングマウスとは、名前にもある通り、ゲームで使う事を主目的として作られたマウスです。
ただし、具体的な定義等がある訳ではありません。そのため、基本的には高性能・高機能なマウスという認識で構いません。特に重視される事の多い共通の特徴は、一般的なマウスより読取の精度が高く、高DPI(高カウント数)に対応している点くらいです。
センサーの性能以外にも、軽さ・ボタン・形状などに力を入れている場合もありますが、ゲーミングでないマウスでもこれらを重視した製品は数多く存在するので、ゲーミングマウス特有のものとは言えません。
価格が高い
一般的なマウスと比べて、ゲーミングマウスは価格が高いです。
一般的なマウスでは1,000円前後の低価格製品も多く、3,000円前後くらいが人気の価格帯となっていると思います。それに対し、ゲーミングマウスは安いものでも3000円前後はします。ワイヤレス製品ともなれば、安いものでも7,000~8,000円くらいになり、非常に高いです。(各価格は記事執筆時点)
FPS/TPS 向けと MMORPG 向けの2種類がある
ゲーミングマウスは、大きく分けて「FPS/TPS」向けのものと「MMORPG」向けのものの2種類が存在します。
FPS/TPS向け
- 高性能なセンサーを搭載(精度や反応速度を重視)
- 一般的なマウスより大きめ
- 安定感を高めるための形状
- 一般的に「ゲーミングマウス」といえばこれの事
主に銃系統の武器を用いて、敵に狙いを定めて攻撃するゲーム。近年では「PUBG」「Fortnite」「Apex Lgends」などが流行しました。
FPS/TPSゲームは、敵に狙いを定めて攻撃するゲームです。細かな操作が要求されるため、高性能なセンサーが搭載され、精度や反応速度の高さが高められています。
形状は「かぶせ持ち」や「つかみ持ち」を意識した製品が多く、平均的なサイズは一般的なマウスよりも大きいです。一般的なマウスでは、縦幅が小さく非常にコンパクトな「つまみ持ち」を意識した製品も数多くありますが、ゲーミングマウスではそのような製品は少ないです。
ボタンは咄嗟での押し易さを重視しており、親指付近に大きめのサイドボタンが配置されている事が多いです。
「ゲーミングマウス」には、「MMORPG用のマウス(後述)」もありますが、そちらは需要があまり高くないため、一般的に「ゲーミングマウス」といえばこちらを指します。
MMORPG向け
- 非常に多いボタン数
- 需要は低め
MMO RPGとは、共有のサーバー(マップ)に同時に多人数が接続してプレイするRPGのことです。多種多様なスキルが存在し、それを駆使してプレイするゲームとなっています。
MMORPGでは、多数のスキルを使用するため、ボタン数の多さが重視されています。FPS/TPS向けのゲーミングマウスだと、ボタン数は6~8あたりが平均なのに対し、MMO RPG向けだと、倍以上が当たり前となっています(大体15~20くらい)。
そのボタン数の多さから、見た目はおしゃれとは言えず、ごつい印象を持たれそうなものがほとんどです。
また、MMORPGのマウスはFPS/TPS向けのものと比べて需要が低いです。なぜかというと、ゲーム側がキーボード割り当てでの対応を前提として作られている事が基本だからです。ゲームを始める前から、ボタン数が10を超えるようなマウスを使っている人は当然ほとんど居ないので、当然の処理です。更に、MMO RPGではキャラクターの移動もクリックで行う場合が多いので、マウスでスキル使用まで行おうとすると、逆に操作が難しくなる場合もあったりします。
MMO RPG向けのゲーミングマウスは、正直需要が低いので、本記事ではこれ以降「FPS(TPS)向けのゲーミングマウス」に絞った話となります。ご了承ください。
ざっくり比較
まずは、一般的なマウスとゲーミングマウスの違いをざっくりと表にまとめてみたので、みていきましょう。
【ざっくり比較表】ゲーミングマウスの違い
項目 | 一般的なマウス | ゲーミングマウス |
---|---|---|
傾向 | 汎用性・手軽さ重視 (ゲームでも使えないことはない) | ゲームに最適 (センサー性能・遅延の少なさなどを重視) |
価格 | 低価格が主流 (3000円前後が人気) | 平均価格が高い (安い有線でも3000円程度 ワイヤレスなら7,000円~くらい) |
読取精度 | 重視はされない (最低限あれば良いという感じ) | 重視される (正確で細かい動作を追求) |
使える面の多さ | 重視される (レーザーやBlueLEDが多い) | 重視はされない (マウスパッド使用前提) |
ボタン数 | さまざま (少ないものから多いものまである) | 6以上が基本 (サイドボタンは大体ある) |
大きさ | さまざま (大きいものから小さいものまで) | 大きめが多い (小さいものもあるが、基本大きめ) |
形状 | さまざま (様々な形状がある) | フィット感を重視 (手に馴染むような形状が多い) |
反応速度 | 重視はされない | 速い |
ワイヤレス | 多い | 最近は多くなったけど高い |
Bluetooth | 多い | 少ない (遅延が大きくゲーム向きでないため) |
それぞれの特徴
次に、双方のマウスの特徴(主にメリット・デメリット)について、もう少しだけ細かく見ていきたいと思います。
一般的なマウス:汎用性やコスト重視
まずは、一般的なマウス(ゲーミングマウスでないマウス)の特徴について触れていきます。下記に、ゲーミングマウスと比較した場合のメリット・デメリットをざっくりまとめているので、まずをそちらを見てみましょう。
一般的なマウスのメリット・デメリットまとめ
メリット
- 価格が安いゲーミングマウスと比べると、平均価格は圧倒的に安いです。
- コンパクトな製品が多い非常にコンパクトで持ち運びも簡単な製品も多いです。ゲーミングマウスでは、「かぶせ持ち」というのを意識しているため、縦幅が長くなりがちです。コンパクトな製品は少ないです。
- ワイヤレス製品(Bluetooth対応)が多い最近ではワイヤレスが主流となっており、Bluetooth対応製品が多いです。Bluetoothは遅延がやや大きいですが、PCはもちろんタブレットなど他の機器でも使えるため、汎用性を意識しての採用が多いと思われます。遅延が大きいBluetoothはゲーム向きではないためゲーミングマウスでの採用は少ないため、採用率では大きな差があります。
- 使える面(場所)が多いゲーミングマウスでは使える面が少なめ(マウスパッド使用前提)な光学式がほとんどですが、汎用マウスならBlueLEDやレーザーなどのほぼ全ての面で使えるタイプが多いです。
- 左利きでも使える左右対称の形状が多い一般的なマウスは左右対称の形状が多く、左利きの方も困る事はあまりないと思います。ゲーミングマウスでは右利き専用の形状のものも多く、左利きの人は選択肢がやや少なくなってしまいます。
デメリット
- 読み取りの精度が重視されない「より細かく正確なポインタ操作ができるか」というのが精度ですが、一般的なマウスではほとんど意識されません。一般的なマウスでも十分な精度、という見方もできますし、事務作業などではそこまで繊細なポインタ操作が求められていない、というのもあります。
- 反応速度が重視されない正直、一般的なマウスの反応速度でも、普通の人では違いなんて体感できないほど高速です。そんな部分を追求してコストが高くなるのは無駄、という判断で切り捨てられます。
- ボタン数が少ないものがあるゲーミングマウスでは最低でもサイドボタン2つは搭載されているのが普通ですが、一般的なマウスでは低価格なものだとボタン数が3とかのものも多いです。
- 充電式のバッテリー内蔵製品が少ないワイヤレス製品の場合で、ゲーミングでないマウスは市販の乾電池を搭載して使うのが一般的で、充電式のバッテリーを搭載している製品が少ないです。使用頻度が高い場合にはバッテリー購入や交換の手間を省くために充電式の方が良い人も居ると思うので、その場合にはゲーミングマウスの方が選択肢が多くなると思います。また、充電式の場合は有線接続に対応している点も汎用性の点でプラスになると思います。
上記を見てみると、一般的なマウスでは、汎用性やコストを重視している製品が多いことがわかります。
汎用性に関しては、特に分かり易いのがBluetoothへの対応です。Bluetoothは専用レシーバーを必要とせず、タブレットなど他のモバイル機器でも使えるために対応していると便利ですが、ゲーミングマウスではBluetoothに対応している製品は少ないです。これは、単純にコスト面もありますが、Bluetooth接続は遅延が大きいことが主な原因です。中には遅延の少なさを重視した製品やコーデックもありますが、そういったものでも専用レシーバー接続や有線にはどうしても劣るため、ゲーミングデバイスではマウスに限らず採用が少ないです。
一般的なマウスはゲーミングマウスと比べると明らかに安価なのも魅力です。高価なマウスももちろんありますが、価格帯の幅は広く、1000円前後の低価格製品も多いです。対してゲーミングマウスは、一般的なマウスよりは高価で、主要メーカーのものでは有線の安いものでも3,000円以上が基本という感じです。人気のワイヤレス製品では1万円超えるものも珍しくありません。各種仕様が優れているためぼったくりという訳ではないのですが、何も考えずに手を出すのを躊躇する価格ですし、使えれば良い程度に思っている場合には大きなネックになります。
他にも、センサーの読み取り方式が使える面が幅広い「レーザー」や「Blue LED」が多かったり、「マルチペアリング」機能対応機器も増えていたりと、出来るだけ広い層へ対応していこうという製品が多いのが大きな特徴です。
ゲーミングマウス:センサー性能や使い心地を追求
ゲーミングマウスのメリット・デメリットまとめ
メリット
- 高性能なセンサーFPS/TPS向きのものでは、精度の高い高性能なセンサーが搭載されています。より細かく、正確な操作が可能となります。この点がゲーミングマウスたる所以の部分だと思います。
- DPIが調整可能マウスの移動距離とポインタの移動距離の関係を表すのがDPIですが、ゲーミングマウスではこれを調整できるのが一般的です。少しのマウス操作でポインタが大きく移動するようにしたりできます。
- 連打し易い(クリック感が良い)ゲームでは連打が必要となる場面が発生する事も多いです。そのような場合のため、反発力が強めのバネを用いたりして、ボタンの戻りを速くしたり、クリックの感触がしっかりわかるようにした製品があります。
- 反応速度が速い(ポーリングレートが高い)センサー部分と被りますが、ゲーミングマウスでは対応ポーリングレートが高くなっており、マウス操作がより速く正確に反映されるようになっている製品が多いです。
- 使い心地の良さが重視されている主観な部分にはなりますが、ゲーミングマウスでは手に馴染むように設計されているものが多いです。使い心地が良くなります。
- 重さ・バランスが調整可能なものがある一部製品では、取り外し可能なウェイト(重り)が付属していて、重さやバランスが調整可能なものがあります。
デメリット
- 価格が高い一般的なマウスより、平均価格は圧倒的に高いです。記事更新時点(2020年2月時点)で、人気製品だと、有線で6,000円前後、ワイヤレス製品だと1万円以上が多いです。
- 読み取りの感度がやや低い(マウスパッドでの使用が前提)ゲーミングマウスは、普通のマウスで人気のレーザーや青色LEDマウスと比べると、使える面がやや劣ります。センサー性能が高くポーリングレートも高いために安い光学式マウスなどよりは優れていると思いますが、つるつるの光沢面や透明な面などでは上手く読み取れないため、マウスパッドでの使用推奨という設計になっています。
- 右利き専用製品が多いゲーミングマウスでは、持った時の感触の良さを意識した結果、少し湾曲した形状となっているものが多いです。そのような製品は多数派の右利き用の形となっているので、左利きの人では使えません。右利き専用製品が多いという訳です。
- つまみ持ちには向かない製品が多いゲーミングマウスは、フィット感を意識した「かぶせ持ち」や「つかみ持ち」を前提とした形状が多いです。このような持ち方では、縦幅がそれなりに無いと違和感があるので、縦幅が長めに作られている事が多いです。そうなると、マウスの後ろ側を指先でちょんとつまむような「つまみ持ち」では、前方のボタンへの距離が遠くなるので、使いにくいです。
- Bluetooth対応製品が少ない※最近は増えつつあるゲーミングマウスではBluetooth対応が少ないです。ゲームにおいてはBluetoothは遅延がやや大きいため向かないことが原因だと思われますが、汎用性を考えれば対応している方が嬉しい部分ではあります。
ゲーミングマウスは、名前の通りゲームでの使用を意識した仕様となっています。特にセンサーは一般的なマウスより遥かに高性能だったりすることが多いです。具体的に解像度の高さを表すdpiで比較してみると、一般的なマウスは大体1000dpi~4000dpiであるのに対し、ゲーミングマウスは大体2000dpi~26000dpiとなっており、圧倒的に違うことがわかります(2022年12月時点)。正直、よほどハイセンシの方や敏感な方でない限りは2000dpiもあれば十分なので、ほとんどの人には体感できる差は無い気もしますが、数値上では結構違います。ただし、体感できないだけで差はありますし、ハイセンシを好む人の場合はゲーミングマウスであることは結構重要です。
その他の違いとしては、一般的なマウスよりも使い心地を追求している製品が多いです。かぶせ持ち向けの大きくてフィット感重視のマウスや、とにかく軽量さを重視したワイヤレス製品、MMO RPG向けの超多ボタンマウスなど、色んな傾向の製品が見つかります。最近では特に軽量マウスが人気かつメーカーも力を入れていて、充電式バッテリー内蔵のワイヤレスながら60g台を実現している製品などもあります。
また、最近では耐久性に関するアップデートも力を入れてきている製品が増えています。たとえば、メインボタンの交換用スイッチが付属していたり、多少劣化したとしてもチャタリングが発生しにくい光学式スイッチを採用する製品が増えています。
最近ではBluetooth対応製品も増えてきており、価格が一般的なマウスより高価なのは致命的なデメリットではありますが、基本的には高性能なマウスですし、最近では耐久性が高い製品も増えているので、良いマウスを出来るだけ長く使いたいという人は、ゲーム目的でなくても最近ではおすすめしやすくなっていると思います。
結局、ゲームするならゲーミングマウスは必須?
ゲームをするならゲーミングマウスは必須?
細かく正確なポインタ操作が要求されるゲーム(シューティングゲーム等)なら無いよりはあった方が良いと思いますが、ゲーミングでないマウスでも精度の高いマウスはありますし、必須とまでは言えないと思います。とはいえ、ゲーミングマウスでも安い製品はあるので見ておいて損は無いと思います。
細かく正確なポインタ操作が要求されるゲーム、たとえばシューティングゲーム(FPSやTPS)を極めたいのであれば、あった方が良いと思います。主観になりますが、筆者が実際にゲーミングマウス使用してプレイしてみた結果ではそう感じました。特にやはり、遠くの点のような標的にエイムを合わせる場合に、安物の普通のマウスだと合わせにくかった印象があります。
とはいえ、正直劇的に変わるというほどでも無かったと思いますし、普通のマウスでもそこそこ高価なものなら精度の高いものはあるので、必須というほどではないのかなとも思いました。最近では安いゲーミングマウスもたくさんあるので確認しておいて損は無いと思いますが、価格的に厳しかったり、魅力的な製品が少なければ、無理して購入するほどではないかなと思います(凄く安いやつだとさすがに厳しいかもですが)。
また、シューティングゲームほどの正確なポインタ操作が必要でないゲームなら、サイドボタンさえあればゲーミングマウスである必要はないと思います。ただし、MMO等のたくさんのスキルなどの操作を必要とするゲームの場合は、MMO用のゲーミングマウスや多ボタンマウスは役に立つかもしれません(とはいえ、キーボードのキー割り当てなどで対応はできると思います)。
シューティングゲーム(FPSやTPS)を極めたいならゲーミングマウスはあるに越したことは無いです。2021年現在では安いゲーミングマウスもたくさんあるので、確認しておいて損はないと思います。ただし、劇的に有利になるという程では正直ないと思いますし、普通のマウスでも精度の高いものはあるので、価格も含め魅力的に感じなければ無理して購入する程では無いかなと思います。
それでは、記事はここまでです、ご覧いただきありがとうございました。