「Radeon RX 9070 / 9070 XT」ざっくり評価

「Radeon RX 9070」および「Radeon RX 9070 XT」のざっくり性能比較・評価です。海外レビューを参考に性能をざっくりと確認していきます。

注意

本記事の情報は記事執筆時点(2025年3月7日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

仕様

まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。

簡易比較表

※価格は2025年3月7日時点での米での希望小売価格です。一部は確定情報じゃないものもあり、異なる可能性もあるので注意。
※GPU名のリンクはAmazonのものです。

GPUシェーダー
ユニット数
メモリタイプVRAM速度
VRAM帯域幅
レイトレ用
ユニット数
ダイサイズ
(おおよそ)
消費電力
(TGP等)
希望小売

RTX 509021760GDDR7
32GB 512bit
28.0Gbps
1792GB/s
170750㎟575W1,999ドル
RTX 409016384GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
128608㎟450W1,599ドル
RTX 508010752GDDR7
16GB 256bit
30.0Gbps
960GB/s
84378㎟360W999ドル
RTX 4080 SUPER10240GDDR6X
16GB 256bit
23.0Gbps
736.3GB/s
80380㎟320W999ドル
RTX 40809728GDDR6X
16GB 256bit
22.4Gbps
716.8GB/s
76380㎟320W1,199ドル
→市場廃止
RTX 5070 Ti8960GDDR7
16GB 256bit
28.0Gbps
896GB/s
70378㎟300W749ドル
RX 7900 XTX6144GDDR6
24GB 384bit
20Gbps
960GB/s
9636.6㎟*6 +
300㎟
355W999ドル
RX 7900 XT5376GDDR6
20GB 320bit
20Gbps
800GB/s
8436.6㎟*6 +
300㎟
315W799ドル
→749ドル?
RX 9070 XT4096GDDR6
16GB 256bit
20Gbps
640GB/s
64356.5㎟304W599ドル
RTX 4070 Ti SUPER8448GDDR6X
16GB 256bit
21.0Gbps
672GB/s
66295㎟285W799ドル
RX 90703584GDDR6
16GB 256bit
20Gbps
640GB/s
56356.5㎟220W549ドル
RTX 4070 Ti7680GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
60295㎟285W799ドル
→市場廃止
RTX 3090 Ti10752GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
84628.4㎟450W1,499ドル
RTX 309010496GDDR6X
24GB 384bit
19.5Gbps
936GB/s
82628.4㎟350W1,299ドル
RX 7900 GRE5120GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
8036.6㎟*6 +
300㎟
260W549ドル
RX 6950 XT5120GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
80519㎟335W949ドル
RX 6900 XT5120GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
80519㎟300W699ドル
RTX 3080 Ti10240GDDR6X
12GB 384bit
19Gbps
912GB/s
80628.4㎟350W1,099ドル
RTX 50706144GDDR7
12GB 192bit
28Gbps
672GB/s
48263㎟250W549ドル
RTX 4070 SUPER7168GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
56295㎟220W599ドル
RTX 40705888GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
46295㎟200W549ドル
前:599ドル
RX 7800 XT3840GDDR6
16GB 256bit
19.5Gbps
624GB/s
6037.5㎟*4 +
200㎟
263W499ドル
RTX 3080 10GB8704GDDR6X
10GB 320bit
19Gbps
760GB/s
68628.4㎟320W699ドル
RX 6800 XT4608GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
72519㎟300W599ドル
RTX 3070 Ti6144GDDR6X
8GB 256bit
19Gbps
608GB/s
48392㎟290W599ドル
RX 68003840GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
60519㎟250W549ドル
RX 7700 XT3456GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
5437.5㎟*4 +
200㎟
245W419ドル
前:449ドル
RTX 4060 Ti 8GB4352GDDR6
8GB 128bit
18Gbps
288GB/s
34190㎟160W399ドル
RTX 30705888GDDR6
8GB 256bit
14Gbps
448GB/s
46392㎟220W499ドル
RX 6750 XT2560GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
40336㎟250W419ドル
RTX 3060 Ti4864GDDR6
8GB 192bit
14Gbps
448GB/s
38392㎟200W399ドル
RX 6700 XT2560GDDR6
12GB 192bit
16Gbps
384GB/s
40336㎟230W379ドル
Arc A770 16GB4096GDDR6
16GB 256bit
17.5Gbps
560GB/s
32406㎟225W349ドル
Arc A770 8GB4096GDDR6
8GB 256bit
16Gbps
512GB/s
32406㎟225W329ドル
Arc B5802560GDDR6
12GB 192bit
19Gbps
456GB/s
20272㎟190W249ドル
RX 7600 XT2048GDDR6
16GB 128bit
18Gbps
288GB/s
32204㎟190W329ドル
RTX 40603072GDDR6
8GB 128bit
17Gbps
272GB/s
24156㎟115W299ドル
Arc B5702304GDDR6
10GB 160bit
19Gbps
380GB/s
18272㎟150W219ドル
RX 6650 XT2048GDDR6
8GB 128bit
17.5Gbps
288GB/s
32237㎟180W299ドル
RX 76002048GDDR6
8GB 128bit
18Gbps
288GB/s
32204㎟165W269ドル
RX 6600 XT2048GDDR6
8GB 128bit
16Gbps
256GB/s
32237㎟160W
Arc A7503584GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
28406㎟225W289ドル
RX 66001792GDDR6
8GB 128bit
14Gbps
224GB/s
28237㎟132W239ドル
RTX 3060 12GB3584GDDR6
12GB 192bit
15Gbps
360GB/s
28276㎟170W329ドル
RTX 30502560GDDR6
8GB 128bit
15Gbps
224GB/s
20276㎟130W249ドル

前世代との比較

「RX 9070シリーズ」と前世代「RX 7000シリーズ」の簡易比較表です。「RX 9070シリーズ」は前世代の「RX 7900 GRE」より上に位置付けられています。

RX 9000では1CUあたりの性能が飛躍的に向上していると言われているので、GPUのコア数関連の数字はあまり参考にならないかもしれません。

GPU希望
小売価格
GPUVRAMTBP
CUAI
Accelerator
Ray
Accelerator
クロック
最大(GHz)
容量/タイプバス幅帯域幅(GB/s)
RX 7900 XTX999ドル96192962.5024GB GDDR6384bit960355W
RX 7900 XT799ドル
→749ドル?
84168842.4020GB GDDR6320bit800315W
RX 9070 XT599ドル64128642.9716GB GDDR6256bit640304W
RX 9070549ドル56112562.5216GB GDDR6256bit640220W
RX 7900 GRE549ドル80160802.24516GB GDDR6256bit576260W
RX 7800 XT499ドル60120602.4316GB GDDR6256bit624263W
RX 7700 XT419ドル54108542.54412GB GDDR6192bit432245W
RX 7600 XT329ドル3264322.75516GB GDDR6128bit288190W
RX 7600269ドル3264322.6558GB GDDR6128bit288165W

今回見ていくのはAMD「GeForce RTX 9070 / 9070 XT」です。新アーキテクチャ「RDNA 4」を採用した新世代GPU「Radeon RX 9000 シリーズ」の準ハイエンドモデルです。9000シリーズでは大型ダイを採用したハイエンドモデルは作成しないと言われているので、RX 9070 XTが最上位モデルとなります。

価格と市場でのポジシヨン

米国におけるメーカー希望小売価格は、9070 XTが599ドルで国内価格は112,981円~、9070が549ドルで国内価格は103,800円~となっています。リファレンスモデルの発売はなく、AIBパートナーモデルのみの発売となります。

つい先日発売された「RTX 5070」が549ドルで108,800円~だったことを考えると、やや良心的な価格設定です。

事前情報によると初回在庫はかなりの数が確保されているようなので、争奪戦になったとしても、しっかりと準備していれば、適性価格での入手が可能ではないかと思われるのも良いです。

「RX 9070」の対抗製品は同じ価格(549ドル)の「RTX 5070」なのは問題ないとして、名前的には「RX 9070 XT」が「RTX 5070 Ti」の対抗製品にも見えますが、5070 Tiは国内の実売価格が162,980円~と非常に高価で大きな差があるため、どちらかというとXTの方も「RTX 5070」と比較されることが多そうな気がします。

ただし、上記の希望小売価格は初回在庫分にのみ適用されるという話もあるのが少し懸念点です。

RTX 50シリーズが今のところは想定よりも評判が悪い印象なので、初回在庫以降は値上がりする可能性が十分にありそうです。もしかしたら「RX 9070 XT」が「RTX 5070 Ti」の価格に近付く可能性もありそうなので、買い時期の判断は難しそうです。

設計面について(製造プロセス等)

「RX 9070シリーズ」はNavi 48シリコンダイが使用されています。設計面での違いではまず、前世代のRX 7700 XT以降で採用されていた複数チップで構成するマルチチップレット設計ではなく、単一のモノシリック設計に戻ったことがあります。

マルチチップレット設計では歩留まり(不良品率)の改善、役割ごとに別のダイを採用、などでコスト効率を上げることができるメリットが挙げられますが、消費電力増大や設計の複雑化が課題の設計でした。これがモノシリックになることで、特に電力面での改善が見込めます。

また、製造プロセスは「5nm + 6nm」から「4nm(TSMC 4NP?)」となり、若干微細化もされています

しかも、プロセスの微細化は性能的には嬉しいですが、コスト面が気になるのが通例ですが、「RX 9070シリーズ(RDNA 4)」ではダイ面積で大きな改善があり、CUあたりの性能が大きく向上しているため、コスト面でも思ったよりマイナスになっていなさそうなのが朗報です。

Navi 48 のダイサイズは約365.5㎟ながら、トランジスタ数は約539億と驚異的な向上となっています。

比較例として、「RX 9070 / 9070 XT」に近いCU数だった前世代の「RX 7800 XT」を見てみると、合計のダイサイズは約350㎟と近いサイズで、トランジスタ数は約281億でした。

ダイサイズあたりのトランジスタ数は80%以上も向上しており、ダイ面積の利用効率が格段に高まっています

AMDは事前発表でCUあたりの性能の大きな向上を主張していましたが、この仕様を見るとそれも十分に信じられる内容となっていました。

各種コア数

主要なコアについては、「RX 9070 XT」はNavi 48を最大限に活用した形で、64CUでストリーミングプロセッサーは4096、128個のAIアクセラレータ、64個のRTアクセラレータ、256個のTMU、128個のROPとなっています。

また、リファレンス仕様でも最大クロックは2.97GHzと非常に高くなっています。

次に「RX 9070」では約12.5%のコアが削減される形で、56CUで3584のストリーミングプロセッサー、112個のAIアクセラレータ、56個のRTアクセラレータ、224個のTMU、128個のROPとなっています。ROPのみフル装備となっているため、処理効率の高さが注目なのが「RX 9070」です。

リファレンス仕様ではクロックは2.52GHzとなっています。

「RX 9070」は「RX 9070 XT」から約12.5%のコアが削減され、最大クロックも約15%も低いにも関わらず、価格は50ドルしか下がらない(約8.35%の値下げ)ので、正直コスパは「RX 9070 XT」の方が明らかに高そうです。

VRAM(ビデオメモリ)

VRAMは「RX 9070 / 9070 XT」のどちらも同じで、16GB GDDR6、バス幅は256 bit、帯域幅は640 GB/sとなっています。

価格の近い「RTX 5070」の12GBよりも多く、高解像度やレイトレーシング、フレーム生成、メタバース、AIなどの用途でもボトルネックの不満が大きく解消されるのが強みです。

「RTX 5070 Ti」と比較すると帯域幅で不利にはなるものの、容量が同じならボトルネック改善としての効果はほぼ変わらず、「RTX 5070 Ti」の方が大幅に高価なので、VRAMコスパ面では「RX 9070 / 9070 XT」有利となっています。

今では古めの印象もあるGDDR6採用することに関して不満の声もありそうですが、ウルトラハイエンドGPU以外では帯域幅や電力効率よりも容量を重視する人がほとんどだと思うので、そこでコストが削減できるなら、むしろ良い選択かなと個人的には思います。

消費電力

最後に消費電力ですが、リファレンス仕様のTBPは「RX 9070 XT」が304W、「RX 9070」が220Wとなっています。

XTの方が格段に多い消費電力となっており、価格差やコア数の差が大きくない割には大きな差に見えます。クロックがリファレンス仕様でも2.97GHzと非常に高いことも影響していそうです。

無印の「RX 9070」は220Wと低く、非常に効率が良さそうです。ROPだけはフル搭載していることやクロックがやや低めとなっていることもあり、性能コスパでは見出しにくい魅力をワットパフォーマンスで稼ごうという感じに見えます。

FSR 4、ニューラルレンダリング

FSRはAMDの提供するアップスケーリングで、RDNA 4の発表と同時に「FSR 4」が発表されました。

従来のFSRは同社のGPUに限らず、幅広いGPUをサポートしていましたが、「FSR 4」は「RDNA 4(RX 9000シリーズ)専用の機能」としてデビューしたことがポイントです。

「FSR 4」の大きな変更点は、従来から変わって、AIベースのアップスケーリングとなったことです。NVIDIAのDLSSに近付きました。

これによってGPU側にAIアクセラレータが必須となるため、必然的に古いGPUの多くがサポートを失うことになり、性能や最適化面の関係で、当初はRDNA 4のみの対応となるようです。

一応、AMDはRDNA 3でも対応できるようにしたい姿勢を示してはいたものの、明言はしませんでした。

また、対抗のRTX 50シリーズで対応する「DLSS 4」では、従来の1つのフレームにつき1つの追加フレームではなく、2~3の追加フレーム生成にも対応できる「マルチフレーム生成」が目玉機能としてありましたが、FSR 4ではマルチフレーム生成の話は出ていません。

しかし、ハイエンド帯のGPUではそもそも「アップスケーリング + 従来のフレーム生成(x2)」でも事足りるケースがほとんどであり、マルチフレーム生成は遅延や安定性の懸念もあるため、現状はそこまで重視しないユーザーがほとんどなようです。

また、RTX 50シリーズでは、グラフィックスAPI内で直接AIアクセラレータにアクセスし、AIで元のレンダリングすらも高速化するニューラルレンダリングが、革新をもたらすレンダリングとして大々的にアピールされていましたが、

Microsoftがニューラルシェーダーを標準化したので、AMD(FSR 4)もニューラルレンダリングを使う基盤が実はできています。現時点では詳細は明らかになっていないと思いますが、今後の対応を期待したいところです。

といった感じで、カタログスペックについてはここまでとして、下記から実際の各性能について見ていきたいと思います。

ゲーミング性能(ラスタライズ)

ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。

まずは、レイトレーシングやアップスケリーング等は無効の状態での性能、いわゆるラスタライズ性能(ラスター性能)を見ていきます。今回は25種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。

使用されたグラフィックボードは「Sapphire Radeon RX 9070 XT Nitro」「ASUS RX 9070 TUF」、CPUは「Ryzen 7 9800X3D」で、OSはWindows 11が使用されています。いずれもOC(オーバークロック)モデルとなっているため、リファレンス仕様よりも性能がわずかに高くなっています。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします(ただし、各項目で別の環境となっていることがあります。その際には記載しています)


フルHD(1920×1080)

フルHD(1920×1080)です。最低限の解像度という印象ですが、2025年現在ではまだ主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、競技性の高いゲームでは出来るだけ高いフレームレートを維持するためにこの設定にすることは珍しくないと思います。ただし、新しい世代のハイエンドGPUでは低負荷感も強くなっているので、より高い解像度への移行も近そうな印象です。

平均FPS(1080p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
251.8
RTX 4090
225.0
RTX 5080
202.8
RTX 4080 SUPER
190.3
RTX 4080
187.8
RX 7900 XTX
184.3
RTX 5070 Ti
183.6
RX 9070 XT
177.1
RTX 4070 Ti SUPER
166.8
RX 7900 XT
163.6
RTX 4070 Ti
160.0
RX 9070
159.2
RTX 5070
154.6
RTX 4070 SUPER
148.0
RTX 3090
141.9
RX 7900 GRE
140.6
RTX 4070
129.8
RX 7800 XT
127.6
RTX 3080 10GB
127.2
RX 6800 XT
125.8
RX 7700 XT
110.6
RX 6800
106.4
RTX 3070
100.8
RTX 4060 Ti 16GB
99.9
RTX 4060 Ti 8GB
98.7
RX 6700 XT
88.7
RTX 3060 Ti
88.2
Arc B580
82.6
RX 7600 XT
78.9
RTX 4060
78.4
Arc B570
72.9
RX 7600
72.1
Arc A770 16GB
71.8
RX 6600 XT
68.8
RTX 3060 12GB
67.4
RX 6600
59.0
Arc A580
58.5
RTX 3050 8GB
48.3
参考:TechPowerUp

フルHDでは「RX 9070 XT」は「RTX 5070 Ti」を若干下回る性能で、普通にハイエンド級

フルHDのラスタライズ性能は非常に優れており、発表の際に比較された「RX 7900 GRE」は大きく上回る性能です。

「RX 9070 XT」は「RTX 5070」よりも約14.5%高速で、大きな差を付けています。「RTX 5070 Ti」対しては約3.5%下回る性能で、150ドルの価格差を考えれば非常に素晴らしいパフォーマンスです。

発表の印象から「RX 7900 XT」に近いくらいなのかなと思っていましたが、実際には余裕で上回る性能で、予想以上でした。

OCモデルなのでリファレンスに近い仕様の場合は多少の性能低下があるとは思いますが、多少性能が低下しても競合モデルに対しては十分な競争力を持てる性能です。この性能で11万円台は非常に強力です。

次に「RX 9070」ですが、こちらは「RTX 5070」を約3%上回る性能でした。日本での実売価格は5,000円ほど安いこともあり、コスパでは勝っています。

「RX 9070 XT」とのfpsの差が約11.2%もあるため、XTの方が魅力的ではありますが、無印もRTX 5070に対しては普通に競争力があります。


1440p(2560×1440)

WQHD(2560×1440)です。1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、GPUが高性能なために1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度はフルHDだと思いますが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、少なくともデスクトップでは徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。

平均FPS(1440p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
218.7
RTX 4090
179.1
RTX 5080
158.9
RTX 4080 SUPER
145.8
RTX 4080
143.4
RX 7900 XTX
142.2
RTX 5070 Ti
140.5
RX 9070 XT
135.5
RTX 4070 Ti SUPER
125.3
RX 7900 XT
123.0
RX 9070
119.5
RTX 4070 Ti
117.7
RTX 5070
114.3
RTX 4070 SUPER
108.4
RTX 3090
107.6
RX 7900 GRE
104.4
RTX 3080 10GB
95.3
RX 7800 XT
94.7
RTX 4070
94.0
RX 6800 XT
93.3
RX 7700 XT
80.7
RX 6800
79.5
RTX 3070
73.8
RTX 4060 Ti 16GB
71.0
RTX 4060 Ti 8GB
70.4
RX 6700 XT
64.3
RTX 3060 Ti
64.3
Arc B580
61.4
RX 7600 XT
55.7
RTX 4060
55.5
Arc A770 16GB
54.6
Arc B570
53.4
RX 7600
49.7
RTX 3060 12GB
48.6
RX 6600 XT
47.7
Arc A580
43.4
RX 6600
40.8
RTX 3050 8GB
34.6
参考:TechPowerUp

1440pでも性能低下は感じられず、12GBモデルに対しての優位性がわずかに感じられる

1440pでは12GBモデルとの差がわずかに大きくなり、16GB VRAMの優位性が出ている印象です(キャッシュメモリの差もあるかも)。

「RX 9070 XT」は「RTX 5070」よりも約18.5%高速となり、フルHDから4%も差を広げています。「RTX 5070 Ti」に対しては約3.4%下回る性能で、フルHDとほぼ変わっておらず、重い処理でもボトルネックになりにくいことが感じられるのが嬉しいです。

「RX 9070」は「RTX 5070」を約4.5%上回り、フルHDから1%だけ差を広げています。また、「RX 9070 XT」との差も約13.4%となり、2.2%ほど広がりました。


4K(3840×2160)

「超高解像度の代名詞」という感じの解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、負荷が非常に大きいです。画素数はフルHDの約4倍です。その負荷の大きさから高いフレームレートを出す事が難しいため、TPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはほとんどないです。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。また、高リフレッシュレートの4Kモニターが高価という問題もあるため、一般層への普及にはややハードルが高いです。

平均FPS(4K 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
147.7
RTX 4090
109.2
RTX 5080
97.3
RTX 4080 SUPER
85.5
RX 7900 XTX
84.8
RTX 4080
84.1
RTX 5070 Ti
83.6
RX 9070 XT
79.5
RTX 4070 Ti SUPER
72.3
RX 7900 XT
71.4
RX 9070
69.5
RTX 4070 Ti
66.3
RTX 5070
65.8
RTX 3090
64.5
RTX 4070 SUPER
60.9
RX 7900 GRE
59.3
RTX 3080 10GB
55.9
RX 7800 XT
54.4
RX 6800 XT
53.1
RTX 4070
52.7
RX 6800
45.6
RX 7700 XT
44.6
RTX 3070
42.0
RTX 4060 Ti 16GB
38.6
RTX 4060 Ti 8GB
36.5
Arc B580
36.2
RTX 3060 Ti
36.0
RX 6700 XT
35.6
Arc A770 16GB
31.8
Arc B570
30.9
RX 7600 XT
30.3
RTX 4060
29.7
RTX 3060 12GB
27.4
RX 7600
24.7
RX 6600 XT
24.7
Arc A580
24.6
RX 6600
20.7
RTX 3050 8GB
18.7
参考:TechPowerUp

「RX 9070 XT」は599ドルのGPUとしてはズバ抜けた4K性能

600ドル以下のGPUとしては非常に優れた4K性能となっており、特に「RX 9070 XT」は凄いです。

「RX 9070 XT」は「RTX 5070」を約20.8%も上回っており、50ドルしか差がないGPUとは思えない性能差です。「RTX 5070 Ti」には約4.9%下回る性能でした。150ドルの価格差があって、4Kという高負荷環境でも5%程度しか劣らないのは凄いです。

続いて「RX 9070」は「RTX 5070」を約5.6%上回る結果となり、差をわずかに広げました。思ったよりは差が広がらなかった印象ですが、16GB VRAMのおかげでボトルネック面ではRTX 5070よりも安心できますし、十分に競争力はあると思います。

しかし、「RX 9070 XT」の方が約14.4%も高い性能となっており、実売価格が9,000円~程度しか変わらないので、準ハイエンドGPUとしての魅力はやはりXTには負けているのも事実であり、基本的には妥協案として選ばれることが多そうな気がします。

電力関連

消費電力

ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。

測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」、「S.T.A.L.K.E.R. 2」、「Marvel’s Spider-Man 2」の3種類で「3840×2160(4K)」のウルトラ設定でレイトレーシングは無効です。ただし、VRAMサイズによる影響が大きくなりすぎないように、テクスチャ設定は「低」に設定されています。

また、従来なら全て上のテストと同じ環境での消費電力を掲載していますが、なぜか今回の「RX 9070 XT / 9070」は消費電力がやや高く、グラボの設定値を考えても少し不自然だったので、そこのみ上述までとは異なるテストシステムを使用した海外レビュー(https://www.hardwareluxx.de/index.php/artikel/hardware/grafikkarten/65637-mit-rdna-4-zum-comeback-modelle-der-radeon-rx-9070-und-radeon-rx-9070-xt-im-test.html?start=2)を参考にしています。グラボは同じモデルのものを採用で、CPUが「Ryzen 7 9800X3D」、メモリには「DDR5-6000 CL28 32GB(16GBx2)」が使用されている点なども同様で、ほぼ同条件のものではあるはずです。測定に使用された環境は「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」、「Counter-Strike 2」、「3DMark Speedway」の3種類です。

GPU平均消費電力(ゲーミング)
GPU名称消費電力
RTX 4060
123
RTX 3050 8GB
126
RTX 4060 Ti 8GB
141
RX 6600 XT
144
Arc B570
154
RTX 4060 Ti 16GB
154
RX 7600
156
Arc B580
165
RTX 3060 12GB
173
RX 7600 XT
191
RTX 4070
193
RTX 3060 Ti
203
Arc A580
209
RTX 4070 SUPER
210
RX 6700 XT
217
RTX 3070
220
RX 7700 XT
222
Arc A770 16GB
226
RTX 5070
229
RX 6800
232
RX 9070
236
RX 7800 XT
250
RTX 4070 Ti
252
RX 7900 GRE
265
RTX 5070 Ti
279
RTX 4070 Ti SUPER
285
RTX 4080 SUPER
289
RTX 4080
289
RX 6800 XT
295
RTX 5080
296
RX 7900 XT
312
RX 9070 XT
326
RTX 3080 10GB
334
RX 7900 XTX
354
RTX 3090
358
RTX 4090
391
RTX 5090
520
参考:TechPowerUp、hardwareluxx

XTは300Wを超える消費電力は少し気にはなるかも

OCモデルということもあって、どちらもTBPよりもやや高めです。

「RX 9070 XT」のゲーム時平均消費電力は326Wとなっており、性能の高さを考えても競合モデルよりは高いです。OCモデルとはいえ、最大クロックが約3%の上昇程度なので、リファレンスの304Wを考えると大きめに上がってしまっています。

「RX 9070 XT」は元の最大クロックも2.97GHzとかなり高いモデルなので、その影響もあるかもしれません。発熱や消費電量を気にするなら、リファレンスに近いGPUを選ぶか、クロックなどを調整して負荷をわずかに下げることも検討すると良いかもしれません。

次に「RX 9070」ですが、こちらはかなり良いです。236Wとなっており、性能を考えれば少ないです。準ハイエンドGPUで200W台前半は素晴らしいです。

元の220Wから約7.3%の増加ですが、最大クロックは約6%引き上げたOCモデルなので、大きめのOCモデルでも効率低下はそこまで大きくなさそうです。

処理性能だけ見ると微妙に見える「RX 9070」ですが、消費電力はXTよりも明らかに良いです。

ワットパフォーマンス

ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています

消費電力は上記に示した時のもので、上の別項目で示した25ゲーム平均fpsを使用したものです。消費電力は別計測のもので算出しており、実際に各ゲームでの動作時の効率を求めたものではなく、正確な値ではなく参考値となっているため注意してください。

ワットパフォーマンス(1080p/25ゲーム平均)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 4070 SUPER
1.42
RTX 4060 Ti 8GB
1.43
RTX 5080
1.45
RTX 5070
1.48
RX 9070
1.48
RTX 4070
1.49
RTX 4080 SUPER
1.52
RTX 5070 Ti
1.52
RTX 4080
1.54
RTX 4060 Ti 16GB
1.54
RTX 4060
1.56
RTX 4070 Ti
1.58
RTX 4070 Ti SUPER
1.71
RTX 4090
1.74
RX 9070 XT
1.84
RX 7900 GRE
1.88
RX 7900 XT
1.90
RX 7900 XTX
1.92
RX 7800 XT
1.95
Arc B580
2.00
RX 7700 XT
2.01
RTX 5090
2.07
RX 6600 XT
2.09
Arc B570
2.13
RX 7600
2.16
RX 6800
2.18
RTX 3070
2.18
RTX 3060 Ti
2.30
RX 6800 XT
2.34
RX 7600 XT
2.42
RX 6700 XT
2.45
RTX 3090
2.52
RTX 3060 12GB
2.57
RTX 3050 8GB
2.61
RTX 3080 10GB
2.63
Arc A770 16GB
3.15
Arc A580
3.57
参考:TechPowerUp
ワットパフォーマンス(1440p/25ゲーム平均)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 5080
1.85
RTX 4070 SUPER
1.94
RX 9070
1.97
RTX 4080 SUPER
1.98
RTX 5070 Ti
1.99
RTX 4060 Ti 8GB
2.00
RTX 5070
2.00
RTX 4080
2.02
RTX 4070
2.05
RTX 4070 Ti
2.14
RTX 4060 Ti 16GB
2.17
RTX 4090
2.18
RTX 4060
2.22
RTX 4070 Ti SUPER
2.27
RTX 5090
2.40
RX 9070 XT
2.41
RX 7900 XTX
2.48
RX 7900 XT
2.52
RX 7900 GRE
2.54
RX 7800 XT
2.63
Arc B580
2.69
RX 7700 XT
2.75
Arc B570
2.90
RX 6800
2.92
RTX 3070
2.98
RX 6600 XT
3.02
RX 7600
3.14
RX 6800 XT
3.16
RTX 3060 Ti
3.16
RTX 3090
3.33
RX 6700 XT
3.37
RX 7600 XT
3.43
RTX 3060 12GB
3.46
RTX 3080 10GB
3.50
RTX 3050 8GB
3.64
Arc A770 16GB
4.14
Arc A580
4.82
参考:TechPowerUp
ワットパフォーマンス(4K/25ゲーム平均)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 5080
3.06
RTX 5070 Ti
3.34
RTX 4080 SUPER
3.38
RX 9070
3.40
RTX 4080
3.44
RTX 4070 SUPER
3.45
RTX 5070
3.48
RTX 5090
3.53
RTX 4090
3.58
RTX 4070
3.66
RTX 4070 Ti
3.80
RTX 4060 Ti 8GB
3.86
RTX 4070 Ti SUPER
3.94
RTX 4060 Ti 16GB
3.99
RX 9070 XT
4.10
RTX 4060
4.14
RX 7900 XTX
4.18
RX 7900 XT
4.36
RX 7900 GRE
4.47
Arc B580
4.56
RX 7800 XT
4.59
RX 7700 XT
4.98
Arc B570
5.02
RX 6800
5.09
RTX 3070
5.24
RTX 3090
5.55
RX 6800 XT
5.56
RTX 3060 Ti
5.64
RX 6600 XT
5.83
RTX 3080 10GB
5.97
RX 6700 XT
6.10
RX 7600 XT
6.30
RTX 3060 12GB
6.31
RX 7600
6.32
RTX 3050 8GB
6.74
Arc A770 16GB
7.11
Arc A580
8.50
参考:TechPowerUp

「RX 9070 XT」の電力効率は前世代からはわずかに改善するも、「RTX 5070 / 5070 Ti」には劣る

「RX 9070 XT」のワットパフォーマンスは悪くはないですが良くもないです。前世代の「RX 7700 XT ~ RX 7900 XTX」と比べると改善はしているものの、差は小さく、基本的にGeForceの競合モデルよりはやや劣ります。

1440pのフレームあたりの消費電力を見てみると、「RTX 5070 / 5070 Ti」の方が16%ほど少ないです。OCモデルなので多少効率が低下している可能性も高めだとは思いますが、リファレンス仕様の304Wで計算してみてもまだ10%程度の差がある計算になるので、少なくともラスタライズ効率では明確に少し劣るという形になっています。

とはいえ、この程度の差なら、その他の性能を考えれば許容できるレベルかとは思います。また、「RX 9070 XT」は最大クロックが非常に高く、他モデルならやりすぎオーバークロックくらいの数値ですが、それでも悪くない効率を維持しているのは地味に凄いのかもしれません。

しかし、「RTX 5070」に対してあらゆる点で優位という訳にはいきませんでした。

「RX 9070」は「RTX 5070」に近い非常に優れた電力効率

「RX 9070」のワットパフォーマンスは非常に良いです。「RTX 5070」に近い効率で、全GPU中でもトップ層に位置しています。

「RTX 5070」には処理性能では少し上回っており、価格も同水準ですから、総合的に見て若干有利という形です。

RX 7000の頃はどのモデルでもRTX 40には敵わず、弱点の一つとしてなっていたRadeonですが、RX 9000ではトップ層で競えるレベルになりました。

レイトレーシング性能

レイトレーシング性能

リアルタイムレイトレーシングを有効にした際の性能を見ていきます。レイトレーシングはメインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性があります。DLSSやFSRといったアップスケーリングは無効の状態の性能を見ていきます。

また、レイトレーシングはVRAMを大量に使う処理な上、VRAMが不足するとパフォーマンスが一気に低下するので、特に1440p以降はVRAM 8GB以下のようなGPUは大きく不利になっています。

レイトレーシングFPS(1080p 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
188.7
RTX 4090
158.4
RTX 5080
138.4
RTX 4080 SUPER
131.5
RTX 4080
129.7
RTX 5070 Ti
123.6
RX 9070 XT
118.7
RTX 4070 Ti SUPER
115.3
RTX 4070 Ti
110.0
RX 7900 XTX
107.9
RTX 3090 Ti
105.8
RX 9070
103.7
RTX 4070 SUPER
101.2
RTX 5070
100.3
RTX 3090
96.8
RX 7900 XT
95.8
RTX 4070
89.0
RTX 3080 10GB
86.7
RX 7900 GRE
81.3
RX 7800 XT
74.3
RTX 4060 Ti 16GB
68.1
RTX 4060 Ti 8GB
66.0
RTX 3070
65.8
RX 7700 XT
64.1
RX 6800
59.3
Arc B580
58.0
RTX 3060 Ti
56.6
RTX 4060
51.3
Arc A770 16GB
49.5
RX 6700 XT
48.5
Arc B570
47.2
RTX 3060 12GB
44.9
RX 7600 XT
42.9
Arc A580
38.8
RX 6600 XT
34.4
RX 7600
34.2
RTX 3050 8GB
31.8
RX 6600
29.9
参考:TechPowerUp
レイトレーシングFPS(1440p 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
152.9
RTX 4090
121.1
RTX 5080
105.3
RTX 4080 SUPER
98.8
RTX 4080
97.7
RTX 5070 Ti
92.6
RX 9070 XT
88.7
RTX 4070 Ti SUPER
84.8
RX 7900 XTX
80.6
RTX 4070 Ti
80.5
RTX 3090 Ti
79.7
RX 9070
76.4
RTX 4070 SUPER
73.6
RTX 5070
73.2
RTX 3090
72.5
RX 7900 XT
70.6
RTX 4070
64.6
RTX 3080 10GB
64.3
RX 7900 GRE
59.4
RX 7800 XT
53.8
RTX 4060 Ti 16GB
48.5
RX 7700 XT
46.1
Arc B580
43.5
RX 6800
42.7
RTX 3070
41.4
RTX 4060 Ti 8GB
39.2
Arc B570
38.1
Arc A770 16GB
36.8
RTX 3060 Ti
36.1
RX 6700 XT
33.7
RTX 3060 12GB
32.0
RTX 4060
31.1
RX 7600 XT
29.6
Arc A580
29.1
RTX 3050 8GB
20.9
RX 6600 XT
18.6
RX 7600
18.3
RX 6600
16.5
参考:TechPowerUp
レイトレーシングFPS(4K 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
98.4
RTX 4090
75.9
RTX 5080
62.9
RTX 4080 SUPER
58.2
RTX 4080
57.1
RTX 5070 Ti
54.9
RX 9070 XT
51.5
RTX 4070 Ti SUPER
49.2
RTX 3090 Ti
47.7
RX 7900 XTX
46.5
RX 9070
43.7
RTX 4070 Ti
43.2
RTX 3090
42.8
RTX 5070
40.2
RTX 4070 SUPER
39.4
RX 7900 XT
39.8
RTX 4070
34.6
RTX 3080 10GB
34.6
RX 7900 GRE
33.3
RX 7800 XT
30.1
RTX 4060 Ti 16GB
26.6
RX 7700 XT
24.6
RX 6800
23.7
Arc B580
23.3
RTX 3070
22.9
Arc A770 16GB
21.0
RTX 4060 Ti 8GB
20.0
RTX 3060 Ti
20.0
RX 6700 XT
18.2
Arc B570
18.1
RTX 3060 12GB
17.0
RTX 4060
16.6
RX 7600 XT
15.9
Arc A580
14.6
RTX 3050 8GB
10.8
RX 6600 XT
9.0
RX 7600
9.0
RX 6600
7.9
参考:TechPowerUp

レイトレーシング性能は前世代から大幅に改善し、遂にRTXとも戦えるレベルに

RX 9070シリーズのレイトレーシング性能は、前世代から大幅に改善しています。RX 9000ではレイトレーシングでも遂にRTXと普通に戦えるレベルになり、弱点の一つが解消されたと言っても良いと思います。これはかなり大きな進歩だと思います。

フルHDを基準に見ていくと、「RX 9070 XT」は前世代最上位の「RX 7900 XTX」を約10%上回るパフォーマンスです。コア数の近い「RX 7800 XT」と比較すると約1.6倍にも達しており、一世代で達成したとは思えない飛躍的な向上を見せています。

「RTX 5070」と比較しても約18.3%も上回っていますし、VRAM容量の差もあるので、明確に上回っています。

「RTX 5070 Ti」には約4%下回る性能にはなるものの、大きな差ではなく、ラスタライズとの差とほぼ同等なので、レイトレーシング処理効率がしっかり追いついてきていることが確認できます。

「RX 9070」も「RTX 5070」を平均で約3.4%上回る性能となっており、同等の性能となっています。また、「RTX 5070」に対してはVRAM容量の優位性があり、レイトレーシングでは差が出るケースも十分想定されるため、安定性では上回る可能性があります。

同価格の競合モデルにおいてもレイトレーシングで同等以上の性能ということになり、非常に素晴らしいです。

ただし、レイトレーシングでもXTとの性能差が14.5%以上と大きいので、コスパ的にはXTが強力で優先順位は高いです。

コストパフォーマンス

上述のfpsを基にGPUの1フレームあたりの価格を算出し、コストパフォーマンスを比較しています。数値が低い方が良い点に注意です。ラスタライズとレイトレーシング時の両方を見ていきます。

元のゲーミング性能の解像度は1440pを用いています。4Kなどではやや結果が異なる可能性がある点に注意です。

※各GPUの価格については、従来は記事執筆時点でのおおよその市場価格を基にしていますが、今回は生産終了に伴う品薄&高騰が発生してしまっているので、今回は高騰前の価格で算出しています(どれぐらいの価格なら前世代と比べてお得になるかどうかの比較もしたいため)。


1フレームあたりの価格(ラスタライズ)

まずはラスタライズ性能のコスパです。上述の1440pゲーム時の性能と現在の市場価格を基に、1フレームあたりの価格を算出し、コスパとして比較しています。

1fあたりの価格(1440p@RT無し)
GPU名称1フレームあたりの価格参考価格
RX 6600
706
¥28,800
Arc A770 16GB
729
¥39,800
RX 7600
744
¥36,980
RTX 4060
756
¥41,980
RX 7700 XT
780
¥62,980
RX 7800 XT
800
¥75,800
Arc B580
811
¥49,800
RTX 4060 Ti 8GB
821
¥57,800
RTX 3060 12GB
823
¥39,980
RTX 3050 8GB
832
¥28,800
RX 9070 XT
834
¥112,981
Arc B570
842
¥44,980
RX 9070
869
¥103,800
RTX 3080 10GB
890
¥84,800
RTX 4070 SUPER
921
¥99,800
RTX 4070
923
¥86,800
RX 7900 XT
950
¥116,800
RX 9070 XT
951
¥128,800
RTX 5070
952
¥108,800
RX 9070
961
¥114,800
RX 6800 XT
962
¥89,800
RTX 4060 Ti 16GB
976
¥69,280
RX 7900 XTX
1089
¥154,800
RTX 4070 Ti SUPER
1140
¥142,800
RTX 5070 Ti
1160
¥162,980
RTX 4080 SUPER
1165
¥169,800
RTX 5080
1251
¥198,800
RTX 5090
1801
¥393,800
RTX 4090
1808
¥323,800
参考:TechPowerUp

「RTX 5070 / 5070 Ti」を上回る優れたラスタライズコスパで、最安値品は同性能帯では頭一つ抜けたコスパ

ラスタライズコスパは良いです。

発売時の最安値価格でのコスパは非常に優れており、同性能帯のGPUとしては頭一つ抜けて良いコスパとなっています。

また、次点で人気となりそうな価格帯での計算でも、「RTX 5070」の発売時の最安値108,800円と同等のコスパとなっており、性能を考えれば悪くないです。

「RTX 5070 Ti」に対してはは結構余裕を持ってコスパでは優位に立っており、多少高いモデルでも十分に戦えるモデルです。

最安値でなくても品薄前の「RTX 4070 SUPER」に若干劣る程度のコスパを期待できるので、GPU枯渇が深刻な今では非常に有難いモデルになっていると思います。

また、「RX 9070 XT」と「RX 9070」の両方ともコスパは似たような位置となっています。XTと無印の価格差が小さすぎるという話はありますが、これを見るとAMDはちゃんとした計算の基に設定したのかなという印象を受けます。

ただし、前世代の発売時の「RX 7900 XTX」と「RX 7900 XT」、「RX 7800 XT」と「RX 7700 XT」でも似たような状況があり、結局最終的に値下げされたので、その時と同じようになるような気がしないでもないです。

しかし、前世代の2つよりも「RX 9070」の方が競争力はありそうな印象で、GPU不足の現状もあるので、妥協案として選ぶ人が多くて値下げが検討されない可能性もありそうです。


1フレームあたりの価格(レイトレーシング)

次にレイトレーシング時のコスパを見ていきます。DLSSやFSR等のアップスケーリング技術は使用していない場合のものになります。

1fあたりの価格(1440p@RT)
GPU名称1フレームあたりの価格参考価格
Arc A770 16GB
1082
¥39,800
Arc B580
1145
¥49,800
Arc B570
1181
¥44,980
RTX 3060 12GB
1249
¥39,980
RX 9070 XT
1270
¥112,981
RTX 4070
1344
¥86,800
RTX 4060
1350
¥41,980
RTX 4070 SUPER
1356
¥99,800
RX 7700 XT
1366
¥62,980
RTX 3050 8GB
1378
¥28,800
RX 7800 XT
1409
¥75,800
RTX 4060 Ti 16GB
1428
¥69,280
RTX 4060 Ti 8GB
1474
¥57,800
RTX 5070
1486
¥108,800
RX 9070
1494
¥103,800
RX 9070 XT
1620
¥128,800
RX 9070
1652
¥114,800
RTX 4070 Ti SUPER
1684
¥142,800
RX 7600 XT
1716
¥50,800
RTX 4080 SUPER
1719
¥169,800
RX 7900 XT
1881
¥116,800
RTX 5080
1888
¥198,800
RTX 5070 Ti
1895
¥162,980
RX 7600
2021
¥36,980
RX 7900 XTX
2183
¥154,800
RTX 5090
2576
¥393,800
RTX 4090
2674
¥323,800
参考:TechPowerUp

レイトレーシングコスパも悪くなく、最安値の「RX 9070 XT」は非常に優れたコスパ

レイトレーシングコスパも悪くはないです。

表の位置だけ見るとやや悪めの位置にも見えますが、上位のGPUの多くは性能が低くてレイトレーシングを実用的に使えないモデルも多いので、そういうGPUを除くと普通に良い部類です。

特に「RX 9070 XT」の発売時の最安値112,981円での算出では、品薄前の「RTX 4070 / 4070 SUPER」や「RTX 5070」を上回るコスパとなっており、上位GPUとしては破格レベルのコスパの良さです。

「RTX 5070 / 4070 / 4070 SUPER」はVRAMが12GBで、レイトレーシングではネックになることもあることも考えると、16GBを搭載する「RX 9070 XT」は実用コスパでは更に良いとも見れるので、その面でも強力なレイトレコスパです。

安価な「RX 9070 XT」以外はそこまで優れた数値ではなくなっているものの、品薄前の「RTX 4070 Ti SUPER」と同じかちょっと良いくらいのポジシヨンには居るため、悪くはないです。

「RTX 4070 Ti SUPER」がAIやレイトレーシングでのボトルネック解消用の選択肢として人気だったことを考えると、少なくともレイトレーシング重視の場合には代替品として十分に機能する仕上がりだと思います。

前世代の「RX 7900 XT / XTX」が大分下の方にあったことを考えると、立ち位置は格段に良くなりました。

AI・クリエイティブ用途

比較の最後は、AI・クリエイティブ用途でのパフォーマンスを見ていきます。

一般的な動画編集等の基準性能としてFP32(単精度浮動小数点演算)の理論演算性能、「MLPerf Client」におけるAI性能、「Procyon」ベンチマークを用いたAIイラスト生成ソフト「Stable Diffusion」、「Blender」におけるGPUレンダリング性能、「Blackmagic RAW 」によるビデオフレームのデコード速度の性能をそれぞれ見ていきたいと思います。

また、ここのテストは上述までとは異なるテストシステムを使用した海外レビュー(後述)を参考にしています。CPUには「Ryzen 7 9800X3D」、メモリには「DDR5-6000 CL28 32GB(16GBx2)」が使用されています。他の条件について気になる方は参考リンクをご覧ください。

理論演算性能(FP32)

FP32(単精度浮動小数点演算)は、理論演算性能を示す一つの指標です。単位はTFLOPS(テラフロップス)を用います。実際のテストから算出するものではなく、シェーダーユニット数(対応の演算器の数)とクロックから計算した、理論上の処理性能を表します。製品によってクロックが異なるので、下記の表の数値と異なる可能性がある点に注意です。

一般的な動画編集においてのクリエイティブ性能は、このFP32とVRAMの性能(データ量が多い処理の場合)によって比例する傾向があります。実際「Premiere Pro CC」や「Davinci Resolve」などの主要な動画編集ソフトでの編集やプレビュー速度はある程度比例する傾向があるので、まず参考に見ていこうと思います(完全に一致する訳ではないので注意)。

FP32(単精度浮動小数点演算)
GPU名称FP32(TFLOPS)
RTX 5090
32GB 1792GB/s
104.8
RTX 4090
24GB 1008GB/s
82.58
RX 7900 XTX
24GB 960GB/s
61.42
RTX 5080
16GB 960GB/s
56.28
RTX 4080 SUPER
16GB 736.3GB/s
52.22
RX 7900 XT
20GB 800GB/s
51.48
RTX 4080
16GB 716.8GB/s
48.74
RX 9070 XT
16GB 640GB/s
48.66
RX 7900 GRE
16GB 576GB/s
45.98
RTX 4070 Ti SUPER
16GB 672GB/s
44.10
RTX 5070 Ti
16GB 896GB/s
43.94
RTX 4070 Ti
12GB 504GB/s
40.09
RX 7800 XT
16GB 624GB/s
37.32
RX 9070
16GB 640GB/s
36.13
RTX 4070 SUPER
12GB 504GB/s
35.48
RX 7700 XT
12GB 432GB/s
35.17
RTX 5070
12GB 672GB/s
30.87
RTX 3080
10GB 760GB/s
29.77
RTX 4070
12GB 504GB/s
29.15
RX 7600 XT
16GB 288GB/s
22.57
RTX 4060 Ti
8GB / 16GB  288GB/s
22.06
RTX 3070 Ti
8GB 608GB/s
21.75
RX 7600
8GB 288GB/s
21.75
RX 6800 XT
16GB 512GB/s
20.74
RTX 3070
8GB 448GB/s
20.31
Arc A770 16GB
16GB 560GB/s
17.20
RTX 3060 Ti
8GB 448GB/s
16.20
RX 6800
16GB 512GB/s
16.17
RTX 4060
8GB 272GB/s
15.11
Arc B580
12GB 456GB/s
13.67
RX 6700 XT
12GB 384GB/s
13.21
RTX 3060 12GB
12GB 360GB/s
12.74
Arc B570
10GB 380GB/s
11.52
RX 6600 XT
8GB 256GB/s
10.61
RTX 3050
8GB 224GB/s
9.10
RX 6600
8GB 224GB/s
8.93

コア数は少ないけど、「RX 9070 XT」は高いクロックのおかげで思ったより良い性能

理論性能では、コア数が少なめなので厳しそうに見える「RX 9070 シリーズ」ですが、「RX 9070 XT」は非常に高い最大クロックのおかげで意外と良い位置です。「RX 7900 XT」の若干下くらいです。

「RX 9070」はクロックが平均的なので、価格を考えれば良い位置ではないですが、この項目では「RTX 5070」が大分弱い位置に居るので、競合相手との比較ではやや優位に立てています。


MLPerf Client(AI性能)

「MLPerf Cliend」ベンチマークは、MLCommonsによって設計された、AI性能を測るベンチマークです。ここでは4つのワークロードの幾何平均のスコアを見ていきます。

幅広い環境で使えるONNX(DirectML)をサポートしていますが、Intelでは専用のOpenVINOパスも取得できるようです。

MLPerf Client 総合スコア(幾何平均)
GPU名称総合スコア(幾何平均)
RTX 5090
244.68
RTX 4090
176.57
RTX 5080
155.06
RTX 5070 Ti
146.90
RTX 4080
134.76
RX 7900 XTX
127.44
RX 9070 XT
114.67
RX 9070
113.11
RTX 4070 Ti
107.72
RTX 5070
104.10
RTX 4070
98.73
参考:HotHardware

AIは汎用のONNX(DirectML)も大きく向上し、「RTX 5070」を10%前後上回る性能

汎用のAIテスト(ONNX)でも前世代から大きく向上し、「RTX 5070」を10%前後上回る性能となりました。

「RTX 5070 Ti」の方が30%近く高性能となっており、そちらには大きく負けるものの、価格差がありますし、前世代と比べれば地位は大きく良くなったと思います。


Procyon Stable Diffusion(AIイラスト生成)

現在、AIイラストソフトで人気のある「Stable Diffusion」での画像生成性能をUL Procyonの「AI Image Generation Benchmark」を用いて比較しています。

「Stable Diffusion XL」は1024×1024の高負荷なテストとなっています。XLではVRAM容量の要求度が高くなるため、特にVRAMが8GB以下のようなGPUではパフォーマンスが極端に低下したり、テストそのものが不可能なケースが基本となります。

ベンチマークではFP32、FP16、INT8といったデータ型のオプションがありますが、今回はFP16でのテストになっています。

また、各社のGPUにはAIの推論性能を高めるために特化したAPIとして、Tensor RT(NVIDIA)、Open VINO(Intel)、ROCm(AMD)といったものがありますが、2024年12月時点ではROCm(AMD)は現状Windowsでのネイティブ動作に対応していません(Linux前提で、WSLを用いてWindows上でLinuxを動作させて使用することは一応可能だけど)。

そして、ProcyonがWindowsを前提としたベンチマークであるため、サポートしているのはTensor RT、Open VINO、汎用のDirect ML(ONNX)の3つとなっており、AMD製のGPU(Radeon等)のみ汎用のDirect ML(ONNX)を使わざるを得ず、低めの性能となっている点に注意が必要です。

※しかし、記事執筆時点ではRTX 50(Blackwell)がベンチマークがTensorRTコア向けに更新されていないため、ONNXでの測定値の掲載となっています。

Procyon Stable Diffusion XL 総合スコア(1024×1024)
GPU名称スコア
RTX 4090(Tensor RT)
5073
RTX 5090(ONNX)
5073
RTX 4090(ONNX)
3985
RTX 4080(Tensor RT)
3437
RTX 4070 Ti(Tensor RT)
2956
RTX 5080(ONNX)
2920
RTX 4080(ONNX)
2499
RTX 5070 Ti(ONNX)
2203
RX 9070 XT(ONNX)
2113
RTX 4070(Tensor RT)
2089
RTX 4070 Ti(ONNX)
1944
RX 9070(ONNX)
1873
RTX 4070(ONNX)
1502
RX 7900 XTX(ONNX)
1458
RTX 5070(ONNX)
1447
参考:HotHardware

AI画像生成は劇的に改善するも、TensorRTにはまだ勝てない

Stable DiffusionにおけるAI画像生成テストは、前世代から性能が飛躍的に向上しています。

「RX 9070 XT」は前世代最上位の「RX 7900 XTX」の約1.45倍という驚異的な向上率を記録しています。「RX 9070」でも28.5%も上回る性能となっており、AIアクセラレータの数は大きく減っていても格段に高い性能を発揮しており、AIはRDNA 4で凄まじい向上となっていることがわかります

ただし、AMDでは汎用のONNX(DirectML)を使用するため、TensorRTを使用したGeFoceには大きく不利という点は変わっていないので注意。

「RX 9070 XT」の性能はTensorRTの「RTX 4070」とほぼ同等の性能で、「RTX 4070 Ti」では約1.4倍も差が付いています

API面での不利のせいなので仕方ありませんが、TensorRTが使用できて、Radeon側だけがONNX(DirectML)を使用しなければいけない場合は、AI面でも大きく不利の状況は変わっていないので、使用したいソフト次第では選択肢から外れるかもしれません。

Blender(GPUレンダリング)

「Blender」は定番の人気レンダリングソフトです。「Blender 4.3」を用いた「Blender Benchmark」の3つのテスト結果の幾何平均を総合スコアとし、比較していきます。

「Blender 4.3」では、Nvidia Optix、Intel OpenAPI、AMD HIPをサポートしており、それぞれが最善の性能が出せる方法で計測されています。しかし、それぞれの最適化には差があり、メインのGPUコアでも幅広い用途に対応できる「Nvidia Optix」が特に高い性能を出すため、現状ではBlenderのレンダリングは基本的にGeForce一強です。

Blender Benchmarks(4.3.0)
GPU名称総合スコア(幾何平均)
RTX 5090
4769
RTX 4090
3503
RTX 5080
2819
RTX 4080
2653
RTX 5070 Ti
2308
RTX 4070 Ti
1991
RTX 5070
1859
RTX 4070
1645
RX 9070 XT
1337
RX 7900 XTX
1324
RX 9070
1238
参考:HotHardware

Blenderのレンダリング性能も前世代からは大きく改善するも、GeForceにはまだまだ勝てない

Blenderのレンダリング性能はまだGeForce一択です。「RX 9070 XT」でも「RTX 4070」に大きめに劣る性能となっています。これもAPIの差なので仕方ないです。

しかし、前世代からは大きく改善しており、「RX 9070 XT」が「RX 7900 XTX」と同等の性能となっています。確かな改善は見えるので、今後に期待したいところです。


Blackmagic RAW(RAW デコード速度)

「Blackmagic RAW Speed Test」はRAW画像のデコード速度を測定するベンチマークです。GPUを使用する場合にはCUDAかOpenCLを使うことになり、CUDAを使えるGeForceが有利な傾向があります。

また、このテストは圧縮率が低い場合にはシステムメモリの帯域幅の影響を受けやすくなり、GPU毎の差がでにくくなります。そのため、CPUおよびメモリの影響を小さくするため、高い圧縮率(12:1)での8Kおよび4Kのテストでのデコード速度(1秒あたりのフレーム数)を見ていきます。

Blackmagic RAW 4.3.1 デコード速度(8K/12:1)
GPU名称スコア
RTX 5090
251
RTX 5080
216
RTX 5070 Ti
203
RTX 4090
202
RTX 5070
181
RTX 4080
180
RTX 4070 Ti
172
RTX 4070
158
RX 9070 XT
120
RX 9070
117
RX 7900 XTX
108
参考:HotHardware
Blackmagic RAW 4.3.1 デコード速度(4K/12:1)
GPU名称スコア
RTX 5090
1005
RTX 5080
867
RTX 5070 Ti
814
RTX 4090
810
RTX 5070
725
RTX 4080
721
RTX 4070 Ti
688
RTX 4070
634
RX 9070 XT
480
RX 9070
471
RX 7900 XTX
433
参考:HotHardware

メディア性能も前世代からは大きく改善するも、CUDAを使える用途ではやはり敵わない

RAWのデコード速度テストでもBlenderのレンダリングと同じ傾向となっています。前世代からは大きく改善し「RX 9070 XT」が「RX 7900 XTX」をやや上回る性能になりましたが、CUDAを使うGeForceには未だに大きく劣ります

メディアエンジン性能ではRTX 50でも大きめの改善が見えた部分でもあるので、まだ厳しそうな印象です。

とはいえ、メディアエンジンの性能は「ある程度あればOK」という状況も多いと思われ、前世代から大きく改善したことでそのラインを満たせる可能性は高くなっていると思います。

そのため、GeForceには敵わないものの、上限関係がさほど気にならないくらいの大きな進歩になっている可能性もありますが、コスパ的にもGeForceの方が有利ですから、冒険の必要のないGeForceが安定ではあるかなと思います。


まとめ

Radeon RX 9070 XT

良い点
  • ハイエンド級の非常に優れたパフォーマンス(RTX 5070 Ti を少し下回る程度)
  • 前世代から改善した優れたレイトレーシング性能(RTX 4070 Ti SUPERを上回る)
  • 16GB VRAM
  • 同性能帯では非常に優れたコスパ(希望小売価格より高めでも競合GPUと比較して悪くない)
  • FSR 4に対応
  • 前世代から飛躍的に向上したONNX(DirectML)のAI性能
  • 前世代から大きく向上したGPUレンダリング性能

気になる点
  • 非常に高価(発売時:約11.3万円~)
  • 消費電力が非常に多い(TBP:304W~)
  • TensorRTやCUDAを利用できるクリエイティブ・AI処理ではGeForceにまだ大きく劣る
  • ワットパフォーマンスは「RTX 5070 / 5070 Ti」に劣る
  • 初回出荷分以降は値上がりする噂あり(要確認)

RX 9070 XT:RTX 5070 Ti にも迫る性能で、ハイエンド帯では比較的安価かつ非常に優れたコスパ

「RX 9070 XT」は発売時最安11.3万円という価格ながら「RTX 5070」を大きく上回るゲーム性能を持ち、「RTX 5070 Ti」にも迫る性能の、ハイエンド帯では非常に優れたコスパのGPUです。

大きな向上になるという事前情報はあったものの、予想を超える性能向上率を記録し、「RX 7900 XT」を超えました。

発売時の価格的には「RTX 5070 12GB」の方が価格が近いですが、「RX 9070 XT」が基本ゲーム性能で大きく上回るだけでなく、16GB VRAMも搭載しているため、各種の重い用途でのボトルネック解消的に明らかに有利となるので、明確に有利となっていると思います。

また、レイトレーシング性能が前世代から大きく改善したことは特に大きいと思います。「RTX 4070 Ti SUPER」を超える性能となっており、前世代までの「Radeonはレイトレで弱い」という印象を払拭し、弱点が一つ解消されました。

更に、AIでもONNX(DirectML)では前世代を圧倒的に上回る性能を記録しており、GeForceに後れないようにAIに力を入れている点も確認できました。着々と弱点を改善しているのが非常に好印象です。

しかし、CUDAおよびTensorRTが活用できるAI・クリエイティブワークロードでは依然としてGeForceに大きく劣る状況は変わっていない点は注意が必要です。

このように、全体的に好印象ではありますが、少し残念だったのは電力面です。

TBPは304Wと高く、ワットパフォーマンスも「RTX 5070 / 5070 Ti」にはやや劣る結果となっていました。最大クロックがリファレンス仕様でも2.97GHzと非常に高い点が影響していそうです。

とはいえ、それでも前世代のRX 7000シリーズよりは優れたワットパフォーマンスとなっており悪くはないですし、性能の高さとコスパの良さを考えれば許容できるレベルかなと思います。

総評として、GPU不足が深刻な現状では非常にありがたい高性能GPUとなっていますが、599ドルという価格で販売されるのは初回出荷分のみであるという噂が出ており、初期在庫が捌き切られてしまった後は値上がりすることが示唆されているのが少し懸念としてあります。

正直、もう少し価格を上げても競争力はありそうなだけに心配ですが、大きくは値上がりしないことを祈ろうと思います。

Radeon RX 9070

良い点
  • 「RTX 5070」少し上回る優れたラスタライズ性能
  • 「RTX 5070」に近い優れたレイトレーシング性能
  • 500ドル台で16GB VRAM
  • 同性能帯では比較的優れたコスパ(11万円台でも競合GPUと比較して悪くない)
  • 性能の割に少ない消費電力(TBP:220W~)
  • 非常に優れたワットパフォーマンス(RTX 5070と同等レベル)
  • FSR 4に対応
  • 前世代から飛躍的に向上したONNX(DirectML)のAI性能
  • 前世代から大きく向上したGPUレンダリング性能

気になる点
  • 非常に高価(発売時:約10.4万円~)
  • 価格が RX 9070 XT と50ドルしか違わない割には性能差が少しあり、性能コスパで若干劣る
  • TensorRTやCUDAを利用できるクリエイティブ・AI処理ではGeForceにまだ大きく劣る
  • 初回出荷分以降は値上がりする噂あり(要確認)

RX 9070:RTX 5070 に近い価格・性能で16GB VRAMを搭載。電力面も非常に良い

「RX 9070」は「RTX 5070」と同じ549ドルという価格設定で16GB VRAMを搭載し、ゲーム性能でも近い性能発揮する高性能GPUです。

最近ではVRAM容量が重要な処理(4K、AI、レイトレーシング、メタバース 等)が多く、「RTX 5070」の12GBは少し不安があるので、同価格で16GBを搭載するのは非常に嬉しいです。

また、「RTX 5070」の国内発売時の最安値価格は108,800円ですが、「RX 9070」は103,800円となっており少し安くなっており、実質価格では若干の優位性があるのも嬉しいです。

レイトレーシング性能も前世代から大幅に改善し、「RTX 5070」に近い性能となっているのも非常に大きいです。

更に、電力面も非常に良いです。TBPは220W~と性能の割には少なく、ワットパフォーマンスも非常に優れており、こちらも「RTX 5070」に近いレベルです。

前世代ではGeFoceに劣っていた電力面でもトップ層で戦えるようになり、前述のレイトレーシング性能の改善もあって、ゲームではGeFoceに明確に劣る要素がほとんどなくなり、非常に選び易くなったと思います。

昨年まで非常に人気だった「RTX 4070 SUPER」と比べても、ワットパフォーマンスは大差はなく、基本性能では上回るので、代替品としては十分なGPUとなっていると思います。

また、「RX 9070 XT」との価格差が小さすぎて相対的に魅力が微妙と言われていたのが「RX 9070」ですが、この電力面では大幅にXTより有利となっている点では差別化が一応できています。

それを考慮しても、やはり「RX 9070 XT」の方が魅力的かなとは思いますが、同じVRAM 16GBを搭載する高性能GPUではあるので、意外と実用性能には大きな差はない気もするので、電力面を重視したい場合でついでに節約も考えたいなら悪くない選択肢だと思います。

AIでもONNX(DirectML)では前世代を圧倒的に上回る性能を記録している点もあり、16GB VRAMのおかげでボトルネック問題的には「RX 9070 XT」とも大して変わらないので、その面でも一応実用コスパでは良いと言えるかもしれません。

しかし、CUDAおよびTensorRTが活用できるAI・クリエイティブワークロードでは依然としてGeForceに大きく劣る状況は変わっていない点には注意が必要です。

性能向上が思った以上に大きかったため、妥協案としては悪くなかった「RX 9070」ですが、少し気になるのはやはり今後の価格です。

「RX 9070 XT」と併せて、現在の価格で販売されるのは初回出荷分のみであるという噂が出ており、初期在庫が捌き切られてしまった後は値上がりすることが示唆されています。

「RX 9070 XT」よりは値上がりしてしまうと競争力がやや低くなってしまいそうなモデルだと思いますし、元々XTとの価格差が小さくて微妙と言われているだけに、何とか549ドルで持ち堪える可能性もあるのではないかという気もしますが、どうなるかわからないので価格動向は注視していきたいですね。

といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。

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