「GeForce RTX 5070」ざっくり評価【性能比較】

「GeForce RTX 5070」のざっくり性能比較・評価です。海外レビューを参考に性能をざっくりと確認していきます。

注意

本記事の情報は記事執筆時点(2025年3月5日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

仕様

まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。

簡易比較表

※価格は2025年3月5日時点での米での希望小売価格です(判明しているもののみ)。
※GPU名のリンクはAmazonのものです。

GPUシェーダー
ユニット数
メモリタイプVRAM速度
VRAM帯域幅
レイトレ用
ユニット数
ダイサイズ
(おおよそ)
消費電力
(TGP等)
希望小売

RTX 509021760GDDR7
32GB 512bit
28.0Gbps
1792GB/s
170750㎟575W1,999ドル
RTX 409016384GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
128608㎟450W1,599ドル
RTX 508010752GDDR7
16GB 256bit
30.0Gbps
960GB/s
84378㎟360W999ドル
RTX 4080 SUPER10240GDDR6X
16GB 256bit
23.0Gbps
736.3GB/s
80380㎟320W999ドル
RTX 40809728GDDR6X
16GB 256bit
22.4Gbps
716.8GB/s
76380㎟320W1,199ドル
→市場廃止
RTX 5070 Ti8960GDDR7
16GB 256bit
28.0Gbps
896GB/s
70378㎟300W749ドル
RX 7900 XTX6144GDDR6
24GB 384bit
20Gbps
960GB/s
9636.6㎟*6 +
300㎟
355W999ドル
RX 7900 XT5376GDDR6
20GB 320bit
20Gbps
800GB/s
8436.6㎟*6 +
300㎟
315W799ドル
→749ドル?
RX 9070 XT4096GDDR6
16GB 256bit
20Gbps
640GB/s
64356.5㎟304W599ドル
RTX 4070 Ti SUPER8448GDDR6X
16GB 256bit
21.0Gbps
672GB/s
66295㎟285W799ドル
RTX 4070 Ti7680GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
60295㎟285W799ドル
→市場廃止
RTX 3090 Ti10752GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
84628.4㎟450W1,499ドル
RTX 309010496GDDR6X
24GB 384bit
19.5Gbps
936GB/s
82628.4㎟350W1,299ドル
RX 90703584GDDR6
16GB 256bit
20Gbps
640GB/s
56356.5㎟220W549ドル
RX 7900 GRE5120GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
8036.6㎟*6 +
300㎟
260W549ドル
RX 6950 XT5120GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
80519㎟335W949ドル
RX 6900 XT5120GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
80519㎟300W699ドル
RTX 3080 Ti10240GDDR6X
12GB 384bit
19Gbps
912GB/s
80628.4㎟350W1,099ドル
RTX 50706144GDDR7
12GB 192bit
28Gbps
672GB/s
48263㎟250W549ドル
RTX 4070 SUPER7168GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
56295㎟220W599ドル
RTX 40705888GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
46295㎟200W549ドル
前:599ドル
RX 7800 XT3840GDDR6
16GB 256bit
19.5Gbps
624GB/s
6037.5㎟*4 +
200㎟
263W499ドル
RTX 3080 10GB8704GDDR6X
10GB 320bit
19Gbps
760GB/s
68628.4㎟320W699ドル
RX 6800 XT4608GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
72519㎟300W599ドル
RTX 3070 Ti6144GDDR6X
8GB 256bit
19Gbps
608GB/s
48392㎟290W599ドル
RX 68003840GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
60519㎟250W549ドル
RX 7700 XT3456GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
5437.5㎟*4 +
200㎟
245W419ドル
前:449ドル
RTX 4060 Ti 8GB4352GDDR6
8GB 128bit
18Gbps
288GB/s
34190㎟160W399ドル
RTX 30705888GDDR6
8GB 256bit
14Gbps
448GB/s
46392㎟220W499ドル
RX 6750 XT2560GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
40336㎟250W419ドル
RTX 3060 Ti4864GDDR6
8GB 192bit
14Gbps
448GB/s
38392㎟200W399ドル
RX 6700 XT2560GDDR6
12GB 192bit
16Gbps
384GB/s
40336㎟230W379ドル
Arc A770 16GB4096GDDR6
16GB 256bit
17.5Gbps
560GB/s
32406㎟225W349ドル
Arc A770 8GB4096GDDR6
8GB 256bit
16Gbps
512GB/s
32406㎟225W329ドル
Arc B5802560GDDR6
12GB 192bit
19Gbps
456GB/s
20272㎟190W249ドル
RX 7600 XT2048GDDR6
16GB 128bit
18Gbps
288GB/s
32204㎟190W329ドル
RTX 40603072GDDR6
8GB 128bit
17Gbps
272GB/s
24156㎟115W299ドル
Arc B5702304GDDR6
10GB 160bit
19Gbps
380GB/s
18272㎟150W219ドル
RX 6650 XT2048GDDR6
8GB 128bit
17.5Gbps
288GB/s
32237㎟180W299ドル
RX 76002048GDDR6
8GB 128bit
18Gbps
288GB/s
32204㎟165W269ドル
RX 6600 XT2048GDDR6
8GB 128bit
16Gbps
256GB/s
32237㎟160W
Arc A7503584GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
28406㎟225W289ドル
RX 66001792GDDR6
8GB 128bit
14Gbps
224GB/s
28237㎟132W239ドル
RTX 3060 12GB3584GDDR6
12GB 192bit
15Gbps
360GB/s
28276㎟170W329ドル
RTX 30502560GDDR6
8GB 128bit
15Gbps
224GB/s
20276㎟130W249ドル

前世代との比較

「RTX 50シリーズ」と前世代「RTX 40シリーズ」の簡易比較表です。NVIDIA公式サイトにおけるTensorコアとRTコアについての記載が、従来はコア数だったものが理論性能で表記するようになりました。

RTX 50シリーズでは前世代よりもAI性能が飛躍的に向上しているため、その差をより強調したいための変更だと思われますが、元々コア性能が上がっても向上を感じられないコア数表記は問題がある部分だったので、表記を切り替える良い機会になったのかなと思います。

GPU希望
小売価格
GPUVRAMTGP
CUDAコアTensorコア
(AI TOPS)
RTコア
(TFLOPS)
クロック
最大(GHz)
容量/タイプバス幅帯域幅(GB/s)
RTX 50901999ドル2176033523182.4132GB GDDR7512bit1792575W
RTX 40901599ドル1638413211912.5224GB GDDR6X384bit1008450W
RTX 5080999ドル1075218011712.6216GB GDDR7256bit960360W
RTX 4080 SUPER999ドル102408361212.5516GB GDDR6X256bit736320W
RTX 5070 Ti749ドル896014061332.4516GB GDDR7256bit896300W
RTX 4070 Ti SUPER799ドル84487801022.6116GB GDDR6X256bit672285W
RTX 4070 SUPER599ドル7168568932.4812GB GDDR6X192bit504220W
RTX 5070549ドル6144988942.5112GB GDDR7192bit672250W
RTX 4070549ドル5888466672.4812GB GDDR6X
12GB GDDR6
192bit504200W

今回見ていくのはNVIDIA「GeForce RTX 5070」です。新アーキテクチャ「Blackwell」を採用した新世代GPU「GeForce RTX 50 シリーズ」のアッパーミドル上位か準ハイエンドの下位くらいに位置するモデルです。

米国におけるメーカー希望小売価格は549ドルで、国内想定価格は108,800円~となっています。米国基準では先代の「RTX 4070」と同じ549ドルですが、日本では以前より円安が進んでしまっているため、8万円中盤~でも販売されていたRTX 4070よりは格段に高い価格となっています。

しかし、発売時の価格は高価になるのはいつものことです。普通に考えてベース価格(549ドル)を考えれば11万弱は高すぎますし、RTX 50シリーズ登場時よりは少し円高に寄っているので、少し待てば値下がりする期待はできます。しかし、今回は供給量も不安視されており、適性価格まで落ち着くのに時間が掛かりそうな気配がしますし、少し円高に向いているとはいえ、8万円台中盤まで下がるのは厳しそうな印象はあります。

5070のダイには「RTX 5070 Ti」とは異なるGB205が使用されており、搭載可能なストリーミングプロセッサは50個の内、48個が有効化されています。

主要なコアの数は、CUDAコアは6,144、Tensorコアは192、RTコアは48などとなっています。CUDAコアを8,960搭載する「RTX 5070 Ti」と比べると圧倒的な性能差がある点に注意が必要です。

先代の「RTX 4070」と比較するとコア数は基本同じとなっており、最大クロックもわずかしか向上していません。「RTX 5070 Ti」までの性能を見ると、世代感の性能向上もわずかだったため、発売前から性能が不安視されていたりしました。

ダイサイズは約263mm²で、トランジスタ数は311億と言われています。RTX 4070の295mm²よりは若干小型化したものの、ダイ面積あたりのトランジスタ数はほぼ変わっておらず、プロセスでの進化もやはりほとんどない印象を受けるのも、不安を助長しています。

製造プロセスは前世代で「TSMC 4N」だったものが「TSMC 4NP」になると言われていますが、これはどちらもNVIDIAと共同開発したもので、どうやら4NPも4Nと同じ「5nm EUV」で製造されているのではないかと言われています。

そのため、名前こそ進化したように見えるものの、ほぼ同じ「TSMC 5nm」なので、プロセスルールの微細化はされていない可能性が高そうという感じです。そのため、主に基本性能や電力効率(ワットパフォーマンス)面では大きな改善が見られないかもしれないのが懸念点です。

また、「RTX 5070」ではVRAMもネックです。容量は12GB、バス幅は192bit、帯域幅は674 GB/sとなっています。12GBは先代のRTX 4070と同じで、8万円台なら妥協もできる仕様だったと思いますが、値上がりした11万円弱~のGPUとしては正直かなり弱いVRAMだと思います。

昨今ではAI、レイトレーシング、メタバースなど、VRAM容量が重要な処理が普及してきているので、10万円超えの高額GPUで12GBでは不満が出ることは仕方ないのかなと思います。

「RX 7800 XT」が499ドルで16GBを搭載していたことや、これから登場してくる「RX 9070 / 9070 XT」が600ドル以下で16GBを搭載することを考えても、競争力に疑問が残ります。

ただし、「RTX 50シリーズ」ではコア・ユニット数の増加だけでなく、各コンポーネントが新しくなっています。CUDAコアはニューラルシェーダーを高速化できるように再設計されているらしい他、RTコアは第4世代、Tensorコアは第5世代へと更新されています。

特にTensorコアのAI性能が格段に向上している点は注目です。NVIDIA公表の「RTX 5070」のAIの理論上のピーク性能(INT8)は 988 TOPSとなっており、これは「RTX 4070」の2倍近くという大きな向上率です。AIについては特に設計の面で相当な改良が加えられていることがわかります。

そのAI性能の飛躍的向上に併せて、DLSS 4のマルチフレーム生成ニューラルレンダリングなど、AIをフル活用する技術も追加されました。

AIをとにかく重視するという姿勢が表れており、そのAI性能と技術にどれだけ価値を感じられるかというのが「RTX 50シリーズ」の大きな焦点にもなっていると思います。

最後に消費電力ですが、「RTX 5070」のTGPは250Wとなっています。「RTX 4070」の200Wからやや向上してしまっています。

しかし、「RTX 5070 Ti~5090」を見る限り、ゲーム時の平均消費電力はTGPをやや下回る状況があったので、これも実測値を見てから判断したいところです。

とはいえ、性能向上率は大きくなさそうな上、消費電力も減ってはいない確率が高いので、ワットパフォーマンスも大して向上していない感じがカタログスペックの時点でも出ている気がします。

DLSS 4、ニューラルレンダリング

「RTX 50 シリーズ」はGPUだけでなく、AI関連技術の追加対応も目玉なので、個別で触れておきます(ほぼ旧記事のコピペです)。ご存じの方は飛ばして貰って構いません。

まずは「DLSS 4」です。DLSSはNVIDIAが提供するTensorコアを活用したアップスケーリングで、DLSSの新しい「DLSS 4」において「マルチフレーム生成」機能が追加されます。

DLSS 3から対応した「フレーム生成」では中間フレーム1つのフレームに対して最大1つしか生成できなかったのに対し、DLSS 4のマルチフレーム生成では最大3つの追加フレームを生成することが可能になります。凄まじいフレームレートの向上が期待できます。

また、DLSS 4ではマルチフレーム生成機能の導入だけでなく、基本性能もアップしているようです。新しいフレーム生成モデルへと更新され、画質向上に加えて、40%の高速化や30%のVRAM使用量の削減が主張されています。

マルチフレーム生成の利用には「RTX 50シリーズ」が必要になるとされていますが、新機能が利用できなくてもアップデートの恩恵が受けられるのは良いですね。

次に、ニューラルレンダリングです。現代のグラフィックスに大きな革新をもたらすことが期待されている、AIを活用したレンダリングです。

従来はグラフィックスAPI内でTensorコア(AI)を利用することができなかったため、DLSSなどアップスケーリングなどの形で別の場所でAIを利用することが必要でしたが、Microsoftの更新によってグラフィックスAPI内で直接Tensorコアにアクセスできるようになることで実現した技術です。ワークフロー内で直接ニューラル技術を統合してパイプラインの一部に置き換えることが可能になっています。要するに、元の画像を生成する時点でAIによって高速化することが可能となります。

これにより、従来は膨大な計算が必要だった高度なグラフィックス効果を大きく高速化しつつ、従来のアップスケーリングよりも不自然な描写を避けて、画質の向上にも繋がるということです。圧縮率は最大で7:1とも言われています。

DLSSやFSRといった別機能ではなく、グラフィックスAPI(DirectX)の標準機能となるようなので、メーカー側も導入を妨げる理由はありません。また、DXR(レイトレーシング)単体と違ってフレームレートの低下を招くものでもないため、ユーザー側も避ける理由が無く、思ったより利用が進まなかったDXRと違って、利用できる場合にはした方が良いといった技術になりそうな感じがあります。

といった感じで、カタログスペックについてはここまでとして、下記から実際の各性能について見ていきたいと思います。

ゲーミング性能(ラスタライズ)

ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。

まずは、レイトレーシングやアップスケリーング等は無効の状態での性能、いわゆるラスタライズ性能(ラスター性能)を見ていきます。今回は25種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。

使用されたグラフィックボードは「NVIDIA GeForce RTX 5070 Founders Edition(通称:FE版)」、CPUは「Ryzen 7 9800X3D」で、OSはWindows 11が使用されています。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします。


フルHD(1920×1080)

フルHD(1920×1080)です。最低限の解像度という印象ですが、2025年現在ではまだ主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、競技性の高いゲームでは出来るだけ高いフレームレートを維持するためにこの設定にすることは珍しくないと思います。ただし、新しい世代のハイエンドGPUでは低負荷感も強くなっているので、より高い解像度への移行も近そうな印象です。

平均FPS(1080p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
251.8
RTX 4090
225.0
RTX 5080
202.8
RTX 4080 SUPER
190.3
RTX 4080
187.8
RX 7900 XTX
184.3
RTX 5070 Ti
183.6
RTX 4070 Ti SUPER
166.8
RX 7900 XT
163.6
RTX 4070 Ti
160.0
RTX 5070
154.6
RTX 4070 SUPER
148.0
RTX 3090
141.9
RX 7900 GRE
140.6
RTX 4070
129.8
RX 7800 XT
127.6
RTX 3080 10GB
127.2
RX 6800 XT
125.8
RX 7700 XT
110.6
RX 6800
106.4
RTX 3070
100.8
RTX 4060 Ti 16GB
99.9
RTX 4060 Ti 8GB
98.7
RX 6700 XT
88.7
RTX 3060 Ti
88.2
Arc B580
82.6
RX 7600 XT
78.9
RTX 4060
78.4
Arc B570
72.9
RX 7600
72.1
Arc A770 16GB
71.8
RX 6600 XT
68.8
RTX 3060 12GB
67.4
RX 6600
59.0
Arc A580
58.5
RTX 3050 8GB
48.3
参考:TechPowerUp

フルHDは「RTX 4070 SUPER」をわずかに上回る性能

フルHDのラスタライズ性能は「RTX 4070 SUPER」を約4.4%上回る性能となっています。「RTX 4070」と比べると、約19.1%上回る性能です。

「RTX 4070 SUPER」に近い性能という形ですが、4070 SUPERは生産終了する前までは10万円以下でも販売があったことを考えると、11万円弱でこの性能は正直大分微妙です。

10万円を多少超えても「RTX 4070 SUPER」の需要があったことを考えると、11万円未満で普通に買えるなら代替品としては機能するかと思いますが、待望の新世代の70番台の評価としては悲しいところですね。

また、5070はナンバリングとベース価格的には「RTX 4070」の後継ではあります。そちらに対しては19%という大きな優位性があるものの、現状を考えるとRTX 4070のように8万円台で販売されるようになるとしても相当先になりそうなので、現状の比較対象としてはやや合わない感があるので、このあとも「RTX 4070 SUPER / Ti」をメインの比較対象として見ていこうかなと思います

しかし、仮に8万円台で買えるようになったとしたら、「RTX 4070 SUPER」を上回るコスパのGPUとなるので、一気に評価が変わります。

そして、DLSS 4のマルチフレーム生成についてですが、フルHDなら従来のフレーム生成やアップスケーリングのみでも大体十分に快適なパフォーマンスが得られるくらいには高性能なGPUなので、フルHDでは強みとしては微妙かなと思います。


1440p(2560×1440)

WQHD(2560×1440)です。1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、GPUが高性能なために1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度はフルHDだと思いますが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、少なくともデスクトップでは徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。

平均FPS(1440p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
218.7
RTX 4090
179.1
RTX 5080
158.9
RTX 4080 SUPER
145.8
RTX 4080
143.4
RX 7900 XTX
142.2
RTX 5070 Ti
140.5
RTX 4070 Ti SUPER
125.3
RX 7900 XT
123.0
RTX 4070 Ti
117.7
RTX 5070
114.3
RTX 4070 SUPER
108.4
RTX 3090
107.6
RX 7900 GRE
104.4
RTX 3080 10GB
95.3
RX 7800 XT
94.7
RTX 4070
94.0
RX 6800 XT
93.3
RX 7700 XT
80.7
RX 6800
79.5
RTX 3070
73.8
RTX 4060 Ti 16GB
71.0
RTX 4060 Ti 8GB
70.4
RX 6700 XT
64.3
RTX 3060 Ti
64.3
Arc B580
61.4
RX 7600 XT
55.7
RTX 4060
55.5
Arc A770 16GB
54.6
Arc B570
53.4
RX 7600
49.7
RTX 3060 12GB
48.6
RX 6600 XT
47.7
Arc A580
43.4
RX 6600
40.8
RTX 3050 8GB
34.6
参考:TechPowerUp

1440pでは「RTX 4070 SUPER」を約5.5%上回る性能

1440pでは「RTX 4070 SUPER」を約5.5%上回る性能となっており、1080pからわずかに差が開いたものの、ほぼ変わりません。

「RTX 4070」との比較では約21.6%上回っており、こちらもわずかに差を広げました。

フルHDよりは負荷が高いためマルチフレーム生成が活きる場面はありそうなものの、やはり遅延が気になりますし、基本はフレーム生成は最低限でアップスケーリングのみという人が多いと思うので、明確な優位性として扱えるかは微妙なところだと思っています。


4K(3840×2160)

「超高解像度の代名詞」という感じの解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、負荷が非常に大きいです。画素数はフルHDの約4倍です。その負荷の大きさから高いフレームレートを出す事が難しいため、TPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはほとんどないです。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。また、高リフレッシュレートの4Kモニターが高価という問題もあるため、一般層への普及にはややハードルが高いです。

平均FPS(4K 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
147.7
RTX 4090
109.2
RTX 5080
97.3
RTX 4080 SUPER
85.5
RX 7900 XTX
84.8
RTX 4080
84.1
RTX 5070 Ti
83.6
RTX 4070 Ti SUPER
72.3
RX 7900 XT
71.4
RTX 4070 Ti
66.3
RTX 5070
65.8
RTX 3090
64.5
RTX 4070 SUPER
60.9
RX 7900 GRE
59.3
RTX 3080 10GB
55.9
RX 7800 XT
54.4
RX 6800 XT
53.1
RTX 4070
52.7
RX 6800
45.6
RX 7700 XT
44.6
RTX 3070
42.0
RTX 4060 Ti 16GB
38.6
RTX 4060 Ti 8GB
36.5
Arc B580
36.2
RTX 3060 Ti
36.0
RX 6700 XT
35.6
Arc A770 16GB
31.8
Arc B570
30.9
RX 7600 XT
30.3
RTX 4060
29.7
RTX 3060 12GB
27.4
RX 7600
24.7
RX 6600 XT
24.7
Arc A580
24.6
RX 6600
20.7
RTX 3050 8GB
18.7
参考:TechPowerUp

4Kでは「RTX 4070 SUPER」を約8%上回る性能

4Kでは「RTX 4070 SUPER」を約8%上回る性能で、1440pまでよりも若干差が大きいです。「RTX 4070」との差も約24.9%となり、同様に差が広がっています。帯域幅が少し向上した影響がわずかに出ているのかもしれません。

とはいえ、VRAM 12GBでは超重量級ゲームでのボトルネックの解消面では向上していないと思われるので、使用感としては大差ないのかなという印象です。

とはいえ、そもそも12GBだと4Kを基準とするGPUではないかなと思いますし、実売価格を考えるとコスパでもまだ微妙な域を脱していないと思います。

将来的に安くなればやや良い評価を得ることはできそうな気配はありますが、前世代の「RTX 4060 Ti 16GB」のように「RTX 5060 Ti 16GB」が追加され、性能が大きめに向上していれば、4K用のコスパ機でもそちらの方が人気が出そうな気がします。

また、4Kレベルの負荷ならDLSS 4のマルチフレーム生成も非常に大きな強みとなると思うので、そこも考慮するならより高い評価となると思います。遅延は気になるところですが、低fpsのまま運用するよりは優れた体験になると思います。

電力関連

消費電力

ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」、「S.T.A.L.K.E.R. 2」、「Marvel’s Spider-Man 2」の3種類で「3840×2160(4K)」のウルトラ設定でレイトレーシングは無効です。ただし、VRAMサイズによる影響が大きくなりすぎないように、テクスチャ設定は「低」に設定されています。

GPU平均消費電力(ゲーミング)
GPU名称消費電力
RTX 4060
123
RTX 3050 8GB
126
RTX 4060 Ti 8GB
141
RX 6600 XT
144
Arc B570
154
RTX 4060 Ti 16GB
154
RX 7600
156
Arc B580
165
RTX 3060 12GB
173
RX 7600 XT
191
RTX 4070
193
RTX 3060 Ti
203
Arc A580
209
RTX 4070 SUPER
210
RX 6700 XT
217
RTX 3070
220
RX 7700 XT
222
Arc A770 16GB
226
RTX 5070
229
RX 6800
232
RX 7800 XT
250
RTX 4070 Ti
252
RX 7900 GRE
265
RTX 5070 Ti
279
RTX 4070 Ti SUPER
285
RTX 4080 SUPER
289
RTX 4080
289
RX 6800 XT
295
RTX 5080
296
RX 7900 XT
312
RTX 3080 10GB
334
RX 7900 XTX
354
RTX 3090
358
RTX 4090
391
RTX 5090
520
参考:TechPowerUp

ゲーム時の平均消費電力はTGPよりもやや少なめの229W

ゲーム時の平均消費電力は229Wとなっており、TGPの250Wよりもやや少なめです。

やはり250Wの印象ほどは電力面でも悪いGPUではありませんが、先代の「RTX 4070 / 4070 SUPER」が電力面では非常に優れていたので、そちらと比較すると正直上回っている印象はなく、むしろ若干悪くなった感さえあります。

ワットパフォーマンス

ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています

環境は消費電力はおよび4Kは「Cyberpunk 2077(Ultra/レイトレ無効)」時のもので、1080pは上記で示した25ゲーム平均fpsを使用したものです。一応、1080p時のものは各ゲームでの効率を求めたものではなく消費電力は同じもので算出しており、正確な値ではなく参考値となっているため注意してください。

ワットパフォーマンス(1080p/25ゲーム平均)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 4070 SUPER
1.42
RTX 4060 Ti 8GB
1.43
RTX 5080
1.45
RTX 5070
1.48
RTX 4070
1.49
RTX 4080 SUPER
1.52
RTX 5070 Ti
1.52
RTX 4080
1.54
RTX 4060 Ti 16GB
1.54
RTX 4060
1.56
RTX 4070 Ti
1.58
RTX 4070 Ti SUPER
1.71
RTX 4090
1.74
RX 7900 GRE
1.88
RX 7900 XT
1.90
RX 7900 XTX
1.92
RX 7800 XT
1.95
Arc B580
2.00
RX 7700 XT
2.01
RTX 5090
2.07
RX 6600 XT
2.09
Arc B570
2.13
RX 7600
2.16
RX 6800
2.18
RTX 3070
2.18
RTX 3060 Ti
2.30
RX 6800 XT
2.34
RX 7600 XT
2.42
RX 6700 XT
2.45
RTX 3090
2.52
RTX 3060 12GB
2.57
RTX 3050 8GB
2.61
RTX 3080 10GB
2.63
Arc A770 16GB
3.15
Arc A580
3.57
参考:TechPowerUp
ワットパフォーマンス(1440p/25ゲーム平均)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 5080
1.85
RTX 4070 SUPER
1.94
RTX 4080 SUPER
1.98
RTX 5070 Ti
1.99
RTX 4060 Ti 8GB
2.00
RTX 5070
2.00
RTX 4080
2.02
RTX 4070
2.05
RTX 4070 Ti
2.14
RTX 4060 Ti 16GB
2.17
RTX 4090
2.18
RTX 4060
2.22
RTX 4070 Ti SUPER
2.27
RTX 5090
2.40
RX 7900 XTX
2.48
RX 7900 XT
2.52
RX 7900 GRE
2.54
RX 7800 XT
2.63
Arc B580
2.69
RX 7700 XT
2.75
Arc B570
2.90
RX 6800
2.92
RTX 3070
2.98
RX 6600 XT
3.02
RX 7600
3.14
RX 6800 XT
3.16
RTX 3060 Ti
3.16
RTX 3090
3.33
RX 6700 XT
3.37
RX 7600 XT
3.43
RTX 3060 12GB
3.46
RTX 3080 10GB
3.50
RTX 3050 8GB
3.64
Arc A770 16GB
4.14
Arc A580
4.82
参考:TechPowerUp
ワットパフォーマンス(4K/25ゲーム平均)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 5080
3.06
RTX 5070 Ti
3.34
RTX 4080 SUPER
3.38
RTX 4080
3.44
RTX 4070 SUPER
3.45
RTX 5070
3.48
RTX 5090
3.53
RTX 4090
3.58
RTX 4070
3.66
RTX 4070 Ti
3.80
RTX 4060 Ti 8GB
3.86
RTX 4070 Ti SUPER
3.94
RTX 4060 Ti 16GB
3.99
RTX 4060
4.14
RX 7900 XTX
4.18
RX 7900 XT
4.36
RX 7900 GRE
4.47
Arc B580
4.56
RX 7800 XT
4.59
RX 7700 XT
4.98
Arc B570
5.02
RX 6800
5.09
RTX 3070
5.24
RTX 3090
5.55
RX 6800 XT
5.56
RTX 3060 Ti
5.64
RX 6600 XT
5.83
RTX 3080 10GB
5.97
RX 6700 XT
6.10
RX 7600 XT
6.30
RTX 3060 12GB
6.31
RX 7600
6.32
RTX 3050 8GB
6.74
Arc A770 16GB
7.11
Arc A580
8.50
参考:TechPowerUp

ワットパフォーマンスは非常に良いけど、「RTX 4070 SUPER」と同等レベル

ワットパフォーマンスは非常に良いですが、「RTX 4070 SUPER」と同等レベルでした。

前世代を上回れなかったのは残念ですが、「RTX 4070 SUPER」が前世代の中でも特に電力面で強力だったこともありますし、全体で見れば非常に良いので悪い評価を与えるほどではないです。

なのですが、個人的には世代間の向上で最も気になるのがワットパフォーマンスなので、向上していないのは非常に残念です。

一応、DLSS 4のマルチフレーム生成など、RTX 50から対応する機能を活かせれば実質的なワットパフォーマンスは更に上がりますので、実用面では優位に立てるケースもありますが、それはGPU自体の差という感じがしないので、「優れたGPU」と言える要素なのかは微妙なところだと思っています。

レイトレーシング性能

レイトレーシング性能

リアルタイムレイトレーシングを有効にした際の性能を見ていきます。レイトレーシングはメインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性があります。DLSSやFSRといったアップスケーリングは無効の状態の性能を見ていきます。

また、レイトレーシングはVRAMを大量に使う処理な上、VRAMが不足するとパフォーマンスが一気に低下するので、特に1440p以降はVRAM 8GB以下のようなGPUは大きく不利になっています。

レイトレーシングFPS(1080p 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
188.7
RTX 4090
158.4
RTX 5080
138.4
RTX 4080 SUPER
131.5
RTX 4080
129.7
RTX 5070 Ti
123.6
RTX 4070 Ti SUPER
115.3
RTX 4070 Ti
110.0
RX 7900 XTX
107.9
RTX 3090 Ti
105.8
RTX 4070 SUPER
101.2
RTX 5070
100.3
RTX 3090
96.8
RX 7900 XT
95.8
RTX 4070
89.0
RTX 3080 10GB
86.7
RX 7900 GRE
81.3
RX 7800 XT
74.3
RTX 4060 Ti 16GB
68.1
RTX 4060 Ti 8GB
66.0
RTX 3070
65.8
RX 7700 XT
64.1
RX 6800
59.3
Arc B580
58.0
RTX 3060 Ti
56.6
RTX 4060
51.3
Arc A770 16GB
49.5
RX 6700 XT
48.5
Arc B570
47.2
RTX 3060 12GB
44.9
RX 7600 XT
42.9
Arc A580
38.8
RX 6600 XT
34.4
RX 7600
34.2
RTX 3050 8GB
31.8
RX 6600
29.9
参考:TechPowerUp
レイトレーシングFPS(1440p 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
152.9
RTX 4090
121.1
RTX 5080
105.3
RTX 4080 SUPER
98.8
RTX 4080
97.7
RTX 5070 Ti
92.6
RTX 4070 Ti SUPER
84.8
RX 7900 XTX
80.6
RTX 4070 Ti
80.5
RTX 3090 Ti
79.7
RTX 4070 SUPER
73.6
RTX 5070
73.2
RTX 3090
72.5
RX 7900 XT
70.6
RTX 4070
64.6
RTX 3080 10GB
64.3
RX 7900 GRE
59.4
RX 7800 XT
53.8
RTX 4060 Ti 16GB
48.5
RX 7700 XT
46.1
Arc B580
43.5
RX 6800
42.7
RTX 3070
41.4
RTX 4060 Ti 8GB
39.2
Arc B570
38.1
Arc A770 16GB
36.8
RTX 3060 Ti
36.1
RX 6700 XT
33.7
RTX 3060 12GB
32.0
RTX 4060
31.1
RX 7600 XT
29.6
Arc A580
29.1
RTX 3050 8GB
20.9
RX 6600 XT
18.6
RX 7600
18.3
RX 6600
16.5
参考:TechPowerUp
レイトレーシングFPS(4K 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
98.4
RTX 4090
75.9
RTX 5080
62.9
RTX 4080 SUPER
58.2
RTX 4080
57.1
RTX 5070 Ti
54.9
RTX 4070 Ti SUPER
49.2
RTX 3090 Ti
47.7
RX 7900 XTX
46.5
RTX 4070 Ti
43.2
RTX 3090
42.8
RTX 5070
40.2
RTX 4070 SUPER
39.4
RX 7900 XT
39.8
RTX 4070
34.6
RTX 3080 10GB
34.6
RX 7900 GRE
33.3
RX 7800 XT
30.1
RTX 4060 Ti 16GB
26.6
RX 7700 XT
24.6
RX 6800
23.7
Arc B580
23.3
RTX 3070
22.9
Arc A770 16GB
21.0
RTX 4060 Ti 8GB
20.0
RTX 3060 Ti
20.0
RX 6700 XT
18.2
Arc B570
18.1
RTX 3060 12GB
17.0
RTX 4060
16.6
RX 7600 XT
15.9
Arc A580
14.6
RTX 3050 8GB
10.8
RX 6600 XT
9.0
RX 7600
9.0
RX 6600
7.9
参考:TechPowerUp

レイトレーシング性能は「RTX 4070 SUPER」とほぼ同等

レイトレーシング性能は「RTX 4070 SUPER」とほぼ同等でした。

レイトレーシングはVRAM容量が改善されない限りは大きな性能改善には繋がりにくいですし、基本性能も大して変わらないので、この結果は想定内かなと思います。

また、レイトレーシングでは超重量級ゲームではフルHDでも12GBだとネックとなることがありますし、1440pだとそのケースがより増えてきます。

11万円のGPUとしてはこのネックが残ったままなのは不満が残るので、値下がりしない限りはレイトレーシングを重視した実用コスパでは正直おすすめできないかもしれません。せめて10万円程度までは値下がりするのを待たないと、「RTX 4070 SUPER」よりもコスパが悪いGPUみたいな感じになりそうです。

また、「RTX 5070」のすぐ後に発売予定の「RX 9070 / 9070 XT」ではVRAMは16GBあり、レイトレーシング性能を含む基本性能が大幅アップする見込みなので、まだ未登場ながらそちらに対して不利になりそうな気配も少しあります。

レイトレーシングでRadeonが有利に立つとなると、GeForceの強みが一つ減ってしまうので、NVIDIAとしてはかなり気になる点ではないかと思います。

ただし、例によって、DLSS 4のマルチフレーム生成やニューラルレンダリングを活用できれば、ある程度カバーもできます。最終的な性能としては十分なパフォーマンスが大体得られると思うので、考え方次第ではあります。

なのですが、レイトレーシングはVRAMが不足するとフレームレートが一気に低下する傾向があるため、フレーム生成を考慮するにしてもVRAMのボトルネック問題の根本的な解決にはならので、重量級ゲームでのレイトレーシングを前提にしたいなら、VRAMは16GB以上欲しいところです。

DLSS

DLSS有効時のゲーム性能

DLSSはNVIDIAの提供するアップスケーリング技術です。AIを活用してフレームレートを向上させます。Tensorコアが必要なGeForce RTX限定の機能となっているため、普段は取り扱わないことも多いですが、今回はRTコアの刷新やDLSS 4の登場があったので、見ていきたいと思います。

1440pでレイトレーシング有効&最高設定の非常に高負荷な状態の4つゲームでのDLSS有効時の性能の平均を見ていきます。

※表の「FG」は「Frame Generation(フレーム生成)」の略称です。

DLSS有効時のゲームfps(1440p/RT Ultra)
GPU名称平均fps
RTX 5070
DLSS Performance / FGx4
223.8
RTX 5070
DLSS Quality / FGx4
190.8
RTX 5070
FGx4
143.0
RTX 4070 Ti
DLSS Performance / FGx2
143.0
RTX 4070 Ti
DLSS Quality / FGx2
118.8
RTX 5070
FGx3
112.8
RTX 4070 Ti
DLSS Quality
86.3
RTX 5070
FGx2
77.8
RTX 4070 Ti
FGx2
70.0
RTX 5070
DLSS Quality
63.8
RTX 4070 Ti
ネイティブ
50.0
RTX 5070
ネイティブ
45.3

マルチフレーム生成を使えば「RTX 4070 Ti」を大きく上回る

「RTX 50シリーズ」で利用できるDLSS 4の「マルチフレーム生成」では、従来では1つのフレームにつき1フレームしか生成できなかった(x2)のが、最大で3フレーム(x4)まで生成できるようになりました。

そのため、仮に基本性能が同じだったとしても、マルチフレーム生成を使えば前世代を圧倒的に上回るフレームレートを実現可能です。

「RTX 5070」でDLSS 4をフル活用すると、DLSS 3のフル機能を使用した「RTX 4070 Ti」を約56.5%も上回るフレームレートを出すことができます。非常に大きな差です。

しかし、フレーム生成が欲しくなるレベルの重さのゲームではVRAM使用量が多いことが想定されるため、12GBだとそこが気になるところです。

それに、この性能帯のGPUなら従来のフレーム生成(x2)とアップスケーリングでも快適なパフォーマンスが大体得られるので、そもそも追加のフレーム生成機能が必要なのか、という点は議論の余地があるかもしれません。


コストパフォーマンス

上述のfpsを基にGPUの1フレームあたりの価格を算出し、コストパフォーマンスを比較しています。数値が低い方が良い点に注意です。ラスタライズとレイトレーシング時の両方を見ていきます。

元のゲーミング性能の解像度は1440pを用いています。4Kなどではやや結果が異なる可能性がある点に注意です。

※各GPUの価格については、従来は記事執筆時点でのおおよその市場価格を基にしていますが、今回は生産終了に伴う品薄&高騰が発生してしまっているので、今回は高騰前の価格で算出しています(どれぐらいの価格なら前世代と比べてお得になるかどうかの比較もしたいため)。


1フレームあたりの価格(ラスタライズ)

まずはラスタライズ性能のコスパです。上述の1440pゲーム時の性能と現在の市場価格を基に、1フレームあたりの価格を算出し、コスパとして比較しています。

1fあたりの価格(1440p@RT無し)
GPU名称1フレームあたりの価格参考価格
RX 6600
706
¥28,800
Arc A770 16GB
729
¥39,800
RX 7600
744
¥36,980
RTX 4060
756
¥41,980
RX 7700 XT
780
¥62,980
RX 7800 XT
800
¥75,800
Arc B580
811
¥49,800
RTX 4060 Ti 8GB
821
¥57,800
RTX 3060 12GB
823
¥39,980
RTX 3050 8GB
832
¥28,800
Arc B570
842
¥44,980
RTX 3080 10GB
890
¥84,800
RTX 4070 SUPER
921
¥99,800
RTX 4070
923
¥86,800
RX 7900 XT
950
¥116,800
RTX 5070
952
¥108,800
RX 6800 XT
962
¥89,800
RTX 4060 Ti 16GB
976
¥69,280
RX 7900 XTX
1089
¥154,800
RTX 4070 Ti SUPER
1140
¥142,800
RTX 5070 Ti
1160
¥162,980
RTX 4080 SUPER
1165
¥169,800
RTX 5080
1251
¥198,800
RTX 5090
1801
¥393,800
RTX 4090
1808
¥323,800
参考:TechPowerUp

11万円弱ではラスタライズコスパは品薄前の「RTX 4070 / 4070 SUPER」に少し劣る

発売時の想定最安値価格の108,800円での計算だと、ラスタライズコスパは全体で見るとやや悪めの部類です。品薄で高騰する前の「RTX 4070 / 4070 SUPER」には少し劣ります。

同じく高騰前の「RX 7800 XT」にも大きく負けており、これから登場する「RX 9070 / 9070 XT」にも負けている可能性が高そうに見えます。

せめて性能面で明らかな優位性がある部分が見えれば良かったのですが、基本性能も「RTX 4070 SUPER」と大して変わらず、VRAM容量も変わらずにハイエンド用途のボトルネックへの懸念も残ったままなので、コスパでは上回らないと正直魅力が無いかなと思います。

しかし、逆に言えば10万円程度まで下がれば、「RTX 4070 / 4070 SUPER」よりも若干優れたコスパのGPUとなるので、「RTX 4070 SUPER」の代替品としては良い選択になると思います。

ただ、新世代なのに意識するのが前世代の代替品としての価値というのがやはり悲しいところですし、RX 9000の性能次第ではその地位も怪しかったりするので、大分厳しい立ち位置だと思います。


1フレームあたりの価格(レイトレーシング)

次にレイトレーシング時のコスパを見ていきます。DLSSやFSR等のアップスケーリング技術は使用していない場合のものになります。

1fあたりの価格(1440p@RT)
GPU名称1フレームあたりの価格参考価格
Arc A770 16GB
1082
¥39,800
Arc B580
1145
¥49,800
Arc B570
1181
¥44,980
RTX 3060 12GB
1249
¥39,980
RTX 4070
1344
¥86,800
RTX 4060
1350
¥41,980
RTX 4070 SUPER
1356
¥99,800
RX 7700 XT
1366
¥62,980
RTX 3050 8GB
1378
¥28,800
RX 7800 XT
1409
¥75,800
RTX 4060 Ti 16GB
1428
¥69,280
RTX 4060 Ti 8GB
1474
¥57,800
RTX 5070
1486
¥108,800
RTX 4070 Ti SUPER
1684
¥142,800
RX 7600 XT
1716
¥50,800
RTX 4080 SUPER
1719
¥169,800
RX 7900 XT
1881
¥116,800
RTX 5080
1888
¥198,800
RTX 5070 Ti
1895
¥162,980
RX 7600
2021
¥36,980
RX 7900 XTX
2183
¥154,800
RTX 5090
2576
¥393,800
RTX 4090
2674
¥323,800
参考:TechPowerUp

レイトレーシングコスパは悪くないけど、やはり品薄前の「RTX 4070 / 4070 SUPER」に少し劣る

レイトレーシングコスパは全体で見れば悪くない位置に居ます。

VRAMを大量に使うレイトレーシングではミドルレンジ以下のVRAM 8GBモデルが地位を下げるため、12GB以上のモデルは相対的なコスパが良くなるので、「RTX 5070」もラスタライズよりも地位を少し上げています。

しかし、ラスタライズと変わらず品薄前の「RTX 4070 / 4070 SUPER」のやや下に位置付ける形になっています。

VRAM容量では「RTX 4070 / 4070 SUPER」と同じ12GBなので、レイトレーシングのボトルネック解消面でも優位ではないので、コスパで下だと単純に優先順位が下がるので、やはり値下がりが欲しいところです。

これから登場する「RX 9070 / 9070 XT」に対しても不安が見えるポジションになっており、価格が大きめに下がらないと色んな面でコスパでの魅力は感じにくいモデルになっていそうです。

AI・クリエイティブ用途

比較の最後は、AI・クリエイティブ用途でのパフォーマンスを見ていきます。

一般的な動画編集等の基準性能としてFP32(単精度浮動小数点演算)の理論演算性能、「MLPerf Client」におけるAI性能、「Procyon」ベンチマークを用いたAIイラスト生成ソフト「Stable Diffusion」、「Blender」におけるGPUレンダリング性能、「Blackmagic RAW 」によるビデオフレームのデコード速度の性能をそれぞれ見ていきたいと思います。

また、ここのテストは上述までとは異なるテストシステムを使用した海外レビュー(後述)を参考にしています。CPUには「Ryzen 7 9800X3D」、メモリには「DDR5-6000 CL28 32GB(16GBx2)」が使用されています。他の条件について気になる方は参考リンクをご覧ください。

理論演算性能(FP32)

FP32(単精度浮動小数点演算)は、理論演算性能を示す一つの指標です。単位はTFLOPS(テラフロップス)を用います。実際のテストから算出するものではなく、シェーダーユニット数(対応の演算器の数)とクロックから計算した、理論上の処理性能を表します。製品によってクロックが異なるので、下記の表の数値と異なる可能性がある点に注意です。

一般的な動画編集においてのクリエイティブ性能は、このFP32とVRAMの性能(データ量が多い処理の場合)によって比例する傾向があります。実際「Premiere Pro CC」や「Davinci Resolve」などの主要な動画編集ソフトでの編集やプレビュー速度はある程度比例する傾向があるので、まず参考に見ていこうと思います(完全に一致する訳ではないので注意)。

FP32(単精度浮動小数点演算)
GPU名称FP32(TFLOPS)
RTX 5090
32GB 1792GB/s
104.8
RTX 4090
24GB 1008GB/s
82.58
RX 7900 XTX
24GB 960GB/s
61.42
RTX 5080
16GB 960GB/s
56.28
RTX 4080 SUPER
16GB 736.3GB/s
52.22
RX 7900 XT
20GB 800GB/s
51.48
RTX 4080
16GB 716.8GB/s
48.74
RX 7900 GRE
16GB 576GB/s
45.98
RTX 4070 Ti SUPER
16GB 672GB/s
44.10
RTX 5070 Ti
16GB 896GB/s
43.94
RTX 4070 Ti
12GB 504GB/s
40.09
RX 7800 XT
16GB 624GB/s
37.32
RTX 4070 SUPER
12GB 504GB/s
35.48
RX 7700 XT
12GB 432GB/s
35.17
RTX 5070
12GB 672GB/s
30.87
RTX 3080
10GB 760GB/s
29.77
RTX 4070
12GB 504GB/s
29.15
RX 7600 XT
16GB 288GB/s
22.57
RTX 4060 Ti
8GB / 16GB  288GB/s
22.06
RTX 3070 Ti
8GB 608GB/s
21.75
RX 7600
8GB 288GB/s
21.75
RX 6800 XT
16GB 512GB/s
20.74
RTX 3070
8GB 448GB/s
20.31
Arc A770 16GB
16GB 560GB/s
17.20
RTX 3060 Ti
8GB 448GB/s
16.20
RX 6800
16GB 512GB/s
16.17
RTX 4060
8GB 272GB/s
15.11
Arc B580
12GB 456GB/s
13.67
RX 6700 XT
12GB 384GB/s
13.21
RTX 3060 12GB
12GB 360GB/s
12.74
Arc B570
10GB 380GB/s
11.52
RX 6600 XT
8GB 256GB/s
10.61
RTX 3050
8GB 224GB/s
9.10
RX 6600
8GB 224GB/s
8.93

理論性能コスパは良くない

「RTX 5070」のFP32(単精度浮動小数点演算)の理論性能は約30.87TFLOPSで、「RTX 4070」からわずかに上昇していますがほぼ同等です。

発売時11万円弱という価格を考えるとコスパは良くないです。生産終了前の「RTX 4070」と同等のコスパになるためには少なくとも9万円以下になることが求められます。

また、ゲームと違ってDLSS 4のマルチフレーム生成やニューラルレンダリングは使えないですし、エンコーダとデコーダ(NVENCとNVDEC)も1基ずつで「RTX 4070 / 4070 SUPER」と同じなので、ポジティブ要素も少ないです。そのため、RTX 5070にクリエイティブ性能コスパを求めるなら、価格が大幅に安くなる必要があります

NVIDIAによると大幅にアップしたらしいAI性能が活きれば実用コスパでは悪くない可能性は無くはないですが、AIでも画像関連ではVRAM 12GBがネックになることが多めですし、正直「RTX 5070 Ti」までの性能を見るとAIでも大きくは向上していない印象があるのも厳しいです。

全体的に、クリエイティブ用途でのコスパはあまり期待できなさそうな感じがします。


MLPerf Client(AI性能)

「MLPerf Cliend」ベンチマークは、MLCommonsによって設計された、AI性能を測るベンチマークです。ここでは4つのワークロードの幾何平均のスコアを見ていきます。

幅広い環境で使えるONNX(DirectML)をサポートしていますが、Intelでは専用のOpenVINOパスも取得できるようです。

MLPerf Client 総合スコア(幾何平均)
GPU名称総合スコア(幾何平均)
RTX 5090
244.68
RTX 4090
176.57
RTX 5080
155.06
RTX 5070 Ti
146.90
RTX 4080
134.76
RX 7900 XTX
127.44
RTX 4070 Ti
107.72
RTX 5070
104.10
RTX 4070
98.73
参考:HotHardware

AIは汎用のONNX(DirectML)では「RTX 4070」をわずかに上回るが、大して変わらない

汎用のAIテスト(ONNX)では「RTX 4070」を約5.4%上回る結果でした。ほぼ同等の性能で明確な優位性は感じられませんでした。

少なくともTensor RTを使わないAI処理では大きな性能アップには至っていなさそうです。


Procyon Stable Diffusion(AIイラスト生成)

現在、AIイラストソフトで人気のある「Stable Diffusion」での画像生成性能をUL Procyonの「AI Image Generation Benchmark」を用いて比較しています。

「Stable Diffusion XL」は1024×1024の高負荷なテストとなっています。XLではVRAM容量の要求度が高くなるため、特にVRAMが8GB以下のようなGPUではパフォーマンスが極端に低下したり、テストそのものが不可能なケースが基本となります。

ベンチマークではFP32、FP16、INT8といったデータ型のオプションがありますが、今回はFP16でのテストになっています。

また、各社のGPUにはAIの推論性能を高めるために特化したAPIとして、Tensor RT(NVIDIA)、Open VINO(Intel)、ROCm(AMD)といったものがありますが、2024年12月時点ではROCm(AMD)は現状Windowsでのネイティブ動作に対応していません(Linux前提で、WSLを用いてWindows上でLinuxを動作させて使用することは一応可能だけど)。

そして、ProcyonがWindowsを前提としたベンチマークであるため、サポートしているのはTensor RT、Open VINO、汎用のDirect ML(ONNX)の3つとなっており、AMD製のGPU(Radeon等)のみ汎用のDirect ML(ONNX)を使わざるを得ず、低めの性能となっている点に注意が必要です。

※しかし、記事執筆時点ではRTX 50(Blackwell)がベンチマークがTensorRTコア向けに更新されていないため、ONNXでの測定値の掲載となっています。

Procyon Stable Diffusion XL 総合スコア(1024×1024)
GPU名称スコア
RTX 4090(Tensor RT)
5073
RTX 5090(ONNX)
5073
RTX 4090(ONNX)
3985
RTX 4080(Tensor RT)
3437
RTX 4070 Ti(Tensor RT)
2956
RTX 5080(ONNX)
2920
RTX 4080(ONNX)
2499
RTX 5070 Ti(ONNX)
2203
RTX 4070(Tensor RT)
2089
RTX 4070 Ti(ONNX)
1944
RTX 4070(ONNX)
1502
RX 7900 XTX(ONNX)
1458
RTX 5070(ONNX)
1447
参考:HotHardware

ONNXの参考記録だけど、AI画像生成でも「RTX 4070」と同等の性能

Stable DiffusionにおけるAI画像生成テストは、記事執筆時点ではBalckwellのTensorRTがサポートされていないため、正確な結果を得ることができないのが残念です。

代わりに汎用のONNX(DirectML)での結果を確認してみると、「RTX 4070」をわずかに下回る性能でほぼ同等です。

Tensor RTを使用した結果を見ないと実用性の評価はしにくいものの、基本性能を見ると大きな期待はできなさそうな印象が正直あります。

Blender(GPUレンダリング)

「Blender」は定番の人気レンダリングソフトです。「Blender 4.3」を用いた「Blender Benchmark」の3つのテスト結果の幾何平均を総合スコアとし、比較していきます。

「Blender 4.3」では、Nvidia Optix、Intel OpenAPI、AMD HIPをサポートしており、それぞれが最善の性能が出せる方法で計測されています。しかし、それぞれの最適化には差があり、メインのGPUコアでも幅広い用途に対応できる「Nvidia Optix」が特に高い性能を出すため、現状ではBlenderのレンダリングは基本的にGeForce一強です。

Blender Benchmarks(4.3.0)
GPU名称総合スコア(幾何平均)
RTX 5090
4769
RTX 4090
3503
RTX 5080
2819
RTX 4080
2653
RTX 5070 Ti
2308
RTX 4070 Ti
1991
RTX 5070
1859
RTX 4070
1645
RX 7900 XTX
1324
参考:HotHardware

Blenderのレンダリング性能は「RTX 4070」を約13%上回る

Blenderのレンダリング性能は「RTX 4070」を約13%上回る性能です。やや大きめの向上率ですが、フルHDゲームで19%程度の向上があったことを考えると若干控えめの向上率です。

BlenderのGPUレンダリングはシェーダーユニット数が重要な処理なので、思ったよりは大きい向上率だとは思いましたが、価格を考えると大きな強みになるほどでもないです。

また、表にはありませんが、「RTX 4070 SUPER」と比べるとやはり同等か若干下くらいな位置になりそうなので、発売時の価格ではむしろマイナスというレベルにも感じます。

とはいえ、性能自体は非常に高性能です。「RX 7900 XTX」には明確に優位に立っていますし、「RTX 5070 Ti」と比べるなら格段に安価なので、「RTX 4070 / 4070 SUPER」が生産終了した今ではGPUレンダリングを重視するなら強力な選択肢にはなるとは思います。


Blackmagic RAW(RAW デコード速度)

「Blackmagic RAW Speed Test」はRAW画像のデコード速度を測定するベンチマークです。GPUを使用する場合にはCUDAかOpenCLを使うことになり、CUDAを使えるGeForceが有利な傾向があります。

また、このテストは圧縮率が低い場合にはシステムメモリの帯域幅の影響を受けやすくなり、GPU毎の差がでにくくなります。そのため、CPUおよびメモリの影響を小さくするため、高い圧縮率(12:1)での8Kおよび4Kのテストでのデコード速度(1秒あたりのフレーム数)を見ていきます。

Blackmagic RAW 4.3.1 デコード速度(8K/12:1)
GPU名称スコア
RTX 5090
251
RTX 5080
216
RTX 5070 Ti
203
RTX 4090
202
RTX 5070
181
RTX 4080
180
RTX 4070 Ti
172
RTX 4070
158
RX 7900 XTX
108
参考:HotHardware
Blackmagic RAW 4.3.1 デコード速度(4K/12:1)
GPU名称スコア
RTX 5090
1005
RTX 5080
867
RTX 5070 Ti
814
RTX 4090
810
RTX 5070
725
RTX 4080
721
RTX 4070 Ti
688
RTX 4070
634
RX 7900 XTX
433
参考:HotHardware

「RTX 4080」と同等のRAWデコード速度

RAWのデコード速度テストでは、「RTX 4080」とほぼ同等の性能でした。非常に優れたメディアエンジン性能です。

ただし、「RTX 4070」との性能差は大きくはなく、実用性で差はほぼ無さそうな範囲ではあります。

ちなみに、今回のテストは別の話になりますが、「RTX 5070」のエンコーダとデコーダ(NVENCとNVDEC)は1基ずつで、「RTX 4070 / 4070 SUPER」と同じなので、NVENCを2基搭載する「RTX 5070 Ti」とはやや差がある点にも注意。

そのため、負荷の大きな動画エンコード作業を日常的に行いたい場合は、多少高価でも「RTX 5070 Ti」を検討したいところ…ですが、「RTX 5070 Ti」は想定最安値価格の148,800円での販売は見られず、16万円台のモデルすら値上げの噂が立っているので、そこをおすすめするのもちょっと厳しくなってきており、RTX 5060 Tiを選択する方が実用コスパは高くなりそうな気がします。


まとめ

GeForce RTX 5070 12GB

良い点
  • 「RTX 4070 SUPER」をわずかに上回る非常に優れた処理性能
  • 米国での希望小売価格は「RTX 4070」と同じ549ドル(ただし、日本では円安で価格上昇)
  • 非常に優れたワットパフォーマンス(ただし、RTX 4070 SUPERと同等レベルで新世代感は無し)
  • DLSS 4のマルチフレーム生成対応
  • レイトレーシングの実用コスパはやや高め
  • 非常に優れたメディアエンジン

気になる点
  • 性能の割には非常に高価(発売時想定価格:約10.9万円~)
  • 価格の割に少ない12GB VRAM
  • 「RTX 4070 / 4070 SUPER」から電力面がほぼ向上していない(優れてはいる)
  • 「RTX 4070 SUPER」と同等レベルの性能で、実売価格は上昇(実質コスパの低下)
  • 価格の割にCUDAコアが少ないため理論性能が低く、コスパも悪め

RTX 5070:約11万円で12GB VRAMで「RTX 4070 SUPER」に近い性能では魅力は小さい。値下がりに期待

「RTX 5070」は「RTX 4070 SUPER」に近い性能のGPUです。VRAM容量も同じ12GBとなっており、使用感もかなり近いGPUだと思います。

重い処理でも十分実用的に運用できる高性能GPUではありますが、米国希望小売価格549ドルという価格の割には日本での想定価格は108,800円~と高価です。

品薄前の「RTX 4070 SUPER(9万円台中盤)」よりも1万円程度高価なので、むしろコスパが悪くなった印象すら受けてしまうGPUとなっています。

一応、ナンバリングと希望小売価格的には先代にあたるのは「RTX 4070」ですが、そちらは品薄前は8万円台中盤で販売されていましたので、そこと比較するなら2万円以上も高額になっています。

電力面での向上があれば多少は目を瞑れたと思いますが、それも「RTX 4070 / 4070 SUPER」に近い水準だったので、正直褒める要素が少なすぎて評価し辛いです。

DLSS 4のマルチフレーム生成のことを考えると実用性能では大幅向上と言えなくもないですが、現状ではどのゲームでも使える訳でもないですし、遅延や安定性も気になるところです。

しかも、そもそも「RTX 5070」くらいの性能があれば従来のフレーム生成(x2)と基本のアップスケーリングさえあればほとんどの環境で快適なパフォーマンスが得られるので、使うケースはあまりなさそうに思えるため、現状は評価し辛いです。

価格上昇の主な原因は円安が進んでいることではあるものの、現状の価格設定を見るとその価格まで値下がりするとしても相当先になりそうであり、感覚的には「RTX 4070 SUPER」の後継なので、やはりコスパ的には厳しく感じることは否めない印象です。

ただし、発表時よりは少し円高に寄ってはいるので、供給量さえ十分なら値下がりする可能性は一応あるかとは思います。結局のところはそこ次第ではあると思います。

仮に10万円未満になれば、「RTX 4070 SUPER」の微強化版の代替品としては優れた選択肢になると思いますし、もし8万円台になることがあれば、ハイクラスとしては優れたコスパのGPUとして市場で存在感が出てくると思いますので、期待したいところですね。

ただし、仮に8万円台まで下がったとしても気になるのがVRAM容量です。12GBとなっており、549ドルという価格の割には少ないです。

最近ではAIやレイトレーシングやメタバースなどのVRAM容量が非常に重要な処理が多いので、VRAMは多ければ多いだけ良いみたいな感じなので、そこが少ないのはネックです。

この後出てくるAMDの対抗製品「Radeon RX 9070 / 9070 XT」は549/599ドルという価格で16GB VRAMを搭載しているため、ここは明確に劣ることが確定しています。

しかも、基本性能での向上が大してなかった「RTX 5070」と違って、「RX 9070 / 9070 XT」は世代更新による基本性能の飛躍的な向上の主張だけでなく、明確に「RX 7900 GRE」以上の立ち位置を表明しているので、非常に期待が持てます。VRAMと基本性能の双方で大幅に優位に立つ可能性があります。

そのため、多少価格が下がったとしても、「RX 9070 / 9070 XT」に地位を奪われてしまって取り返せない可能性も有り得そうです。

また、「RTX 5060 Ti 16GB」が割と時間を置かずに出るという噂もあって、そちらの方が今後のことや実用コスパを考えると上になるんじゃないか的な予測も立てられるので、発売直後ながら先行きが怪しいGPUに感じるのが本音です。

しかし、なんだかんだGeForce 70番台は最終的にはハイクラスGPUで人気上位になっている印象があり、先代の「RTX 4070」も始めは599ドルで約10万円~という価格で不安視されながらも、その後に549ドルへの値下げなどもあって8万円台中盤になって大人気GPUになったという経緯もあります。

「RTX 5070」もそういう感じになるのではないかという期待もあるので、特に価格についてはしっかりと注目して見ていきたいGPUだと思います。

といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。

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