メカニカルキーボード解説【キースイッチ・軸について】

メカニカルキーボード解説

本記事では、メカニカルキーボードの軸(キースイッチ)について少し詳しめの情報を載せています。

単に軸の色による違いだけでなく、個別のキースイッチ毎の特徴についても載せています。

また、詳しい解説よりもざっくりとした解説を見たい人は、下記が参考になるかもしれません。

メカニカルキーボードとは?

メカニカルキーボードの主な特徴
  • 独特で大きい打鍵音と独特の打鍵感
  • 幅広い性質(使うパーツによって性質が大きく変わる)
  • 価格は高価

メカニカルキーボードは「メカニカル」というタイプのキースイッチを用いたキーボードです。「メカニカル」キースイッチは、名前の通り機械仕掛け(メカニカル)の構造のキースイッチです。よく挙げられる特徴としては、「独特な打鍵音」と「スイッチを押すような打鍵感覚」があります。

メカニカルキーボードの最も注目すべき点は、他のキースイッチと違って「決まった構造が無い」キースイッチという点です。そのため同じメカニカルキーボードでも使うパーツや構造によって大きく性質が異なります。そのため幅広い性質のものが存在します。失敗なく自分好みのキーボードを探すにはうってつけという訳です。ただしコストが高く、メンブレンやパンタグラフと比べると高価となっています。

備考:実はメカニカルの定義は曖昧

実は、「メカニカルキーボード」の定義は結構曖昧です。なぜなら、全てのキーボードは「キーを押す」という機械的な機構を含んだものであるためです。厳密にいえば全てのキースイッチがメカニカルだともいえます。

実際には、メカニカルキーボードは下記の3つの特徴を持つものという感じになっています。

  • 構成する部品が全て硬質のもの(柔らかいゴムなどを使わない)
  • 物理的な作動点を持つ
  • キースイッチがキー毎に独立している

軸の色

メカニカルキーボードは使うパーツによって性質が変わります。中でも、キーの柱となって支えるパーツである通称「軸」は、メカニカルキーボードの性質に大きく関わるため非常に重要です。そのためメカニカルキーボードを選ぶ際は、まず自分の好みにあった軸から探すのが一般的です。

この「軸」は各メーカーが性質毎に色で分けているのが一般的となっているため、軸の色から大まかな性質を掴むことが可能となっています。たとえば、「赤軸なら打鍵音が小さめ」といった具合です。

性質と色の組み合わせはメーカー毎によって多少異なります。そのため、一般的にはメカニカルのキースイッチの最大手メーカーである「Cherry」が使用している組み合わせを基準として覚えるのが一般的となっています。下記で表にざっくりとまとめてみたので、そちらを参考にしていただけると良いかと思います。

各軸の特徴(Cherry MX基準)
音の大きさ
キーの軽さ
クリック感※1タクタイル※2
赤軸
★★(小さい)
★★★(軽い)××
茶軸★★★(小さい)★★★(軽い)
青軸★★★(大きい)★★(重い)
銀軸★★(小さい)★★★(軽い)××/
※1 キーを押下して底に達した際に指に伝わる感触の事。
※2 メカニカルキーボードは、キーを底まで押下させなくてもキー入力を認識する。そのキー入力を認識するポイントに達した際に感じる引っかかり感の事。
注意:軸の色が全てではない

メカニカルキーボードのおおまかな性質は確かに「軸の色」で分けることができます。「軸の色」について知る事はメカニカルキーボードを知る一番の早道です。しかし最近では、各社独自のメカニカルキースイッチ開発に力を入れている場合も多く、同じ軸色(同じ特性の軸)であっても微妙に違いがあったり、軸の色以外の部分でも差が出たりします。軸の色で大きな特徴が決まるのは確かですが、それだけでは決まらないという事を覚えておきましょう。

上記の表中の主要軸について、もう少しだけ補足説明です。

赤軸

キーの軽さ
(4.5)
音の大きさ
(2.0)
ストローク(深さ)
(4.0)

タクタイル:なし
クリック感:なし

タクタイルとクリック感が無く、軽いキータッチが特徴。打鍵音もメカニカルの中では比較的小さめのライトタイプの軸。軽いキー特性により高速入力にも向きますが、キーストロークはメンブレンやパンタグラフと比べると深めな場合が多いです。

青軸

キーの軽さ
(2.0)
音の大きさ
(5.0)
ストローク(深さ)
(4.0)

タクタイル:あり
クリック感:しっかりとあり

しっかりとしたタクタイルとクリック感による明確な入力感が魅力。キーは重めで、カチンとかパチンと言った類の金属っぽい打鍵音が特徴。底打ちタイプで一つ一つのキー入力をしっかりと感じたい人におすすめの軸です。

茶軸

キーの軽さ
(3.5)
音の大きさ
(2.5)
ストローク(深さ)
(4.0)

タクタイル:ソフトにあり
クリック感:なし?※

軽いキータッチとソフトなタクタイルによる軽快な入力感が魅力。打鍵音は小さめですが、ソフトなタクタイルによる擦れるような音が混じります。打鍵音が小さめで、その他の特性も癖が強すぎない程度に取り入れられているので、入門用におすすめの使い易い軸です。

※クリック感は仕様上はないはずですが、製品によっては感じるものがあります(主観です)。恐らくはタクタイルの影響だと思われますが、クリック感のない製品をお求めの方は注意してください。

銀軸

キーの軽さ
(5.0)
音の大きさ
(2.5)
ストローク(深さ)
(2.5)

タクタイル:なし/ソフトにあり
クリック感:なし

高速入力に特化した軸。軽いキータッチに浅い作動点とキーストロークも備えているのが特徴。他のメカニカルスイッチでは、一般的なスイッチよりキーストロークが深めな事が基本で、高速入力をしたいなら底打ちしないようにしなければなりませんでしたが、この銀軸(Speed軸)ではキーストロークも浅めに設計されているので、底打ちしても問題ありません。撫で打ちも当然できるので、高速入力をしたいなら人を選ばず使える軸。

参考

https://www.cherrymx.de/mx-original/mx-red.html(海外・外部サイト)

上述の説明の画像や特徴は、上記のMX Cherryの公式サイトを参考にしています。海外(英語)のサイトになりますが、その他の細かいデータなども見る事ができますので、気になる方はご覧になってみると良いかと思います。

その他の軸

上に挙げた軸以外で、現在ではあまりメジャーでない色の軸についても軽く説明しています。参考までにご覧ください。

  • 黒軸
    強いバネ圧による、とても重いキーが特徴の軸。タクタイル・クリック感共にない。キーの戻りも速いため高速入力向けでもあるが、キーが重いので指への負担が懸念される。
  • ピンク軸(静音軸)
    静音性に特化した軸。メンブレンやパンタグラフと比較しても遜色ないくらいの静音性を誇る。非常に扱いやすくて一般受けしそうな感じがあるが、静音性だけならメンブレンやパンタグラフで十分で、それらと比べると価格が高いので流行らなかった。

メーカー別キースイッチ比較

ここからは、各メーカーの主なメカニカルキースイッチについての仕様や特徴を載せています。キースイッチの細かい仕様は、公式サイトでも明言されていない場合も多いです。そのため、レビューや推測を基にしたものも含んでいます。そのため間違っている箇所もあるかもしれませんが、その点はご了承ください。

Cherry

ドイツのCherry社が製造するメカニカルキーボードのスイッチです。現在最大手で信頼性が高いですが、値段が高いです。主要なスイッチの仕様一覧を下記にまとめています。

Cherry製キースイッチ

MX オリジナル

名前MX RedMX BlueMX BrownMX BlackMX SilentMX Speed
作動点2.0mm1.9mm1.2mm
キーストローク4.0mm3.7mm3.4mm
タクタイルなしありソフトにありなしなしなし
押し下げ圧45g±15cN50g±15cN45g±20cN60g±20cN45cN45cN
打鍵耐久性約5000万回

MX ロープロファイル

RGB RedRGB Speed
作動点1.2mm1.0mm
キーストローク3.2mm3.2mm
タクタイルなしなし
押し下げ圧45cN45cN
打鍵耐久性

VIOLA

CHERRY VIOLA
作動点2.0mm
キーストローク4.0mm
タクタイルなし
押し下げ圧45 – 75cN
打鍵耐久性

Cherry MX オリジナル

Cherryの主流メカニカルキースイッチ。採用製品が非常に多い。

Cherry MX Red(赤軸)

作動点
2.0mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
なし
押下圧
45g±15cN
打鍵耐久性
5000万回

クリック感がなくキーを押し下げるほどスイッチが重くなっていくリニアストロークタイプのスイッチ。タクタイルがなく滑らかな軽いキータッチが特徴。メカニカルの中では打鍵音が比較的静か。

Cherry MX Brown(茶軸)

作動点
2.0mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
ソフトにあり
押下圧
45g±20cN
打鍵耐久性
5000万回

作動点にソフトな感触があるタクタイルタイプのスイッチ。軽快な入力感が特徴。音も赤軸とさほど変わらないくらい静かでキーも軽めなので、入門用におすすめ出来るスイッチ。

Cherry MX Blue(青軸)

作動点
2.0mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
あり
押下圧
50g±15cN
打鍵耐久性
5000万回

作動点にしっかりした感触があるタクタイルタイプのスイッチ。作動点に到達した際には「カチッ」といった感じのいかにもメカニカルっぽい音がなる。クリック感(底打ち感)もあるので、明確な入力感を得る事が出来る

Cherry MX Black (黒軸)

作動点
2.0mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
なし
押下圧
60g±20cN
打鍵耐久性
5000万回

赤軸同様クリック感とタクタイルがなくキーを押し下げるほどスイッチが重くなっていくリニアストロークタイプのスイッチ。硬めのバネを利用した「重い押下圧」と「指に吸い付くような高い反発力」が特徴。キーの戻りが速く高速入力に向いている。ただ、最近では指への疲労を懸念してか人気も採用も減ってきた。

Cherry MX Silent (ピンク軸)

作動点
1.9mm
キーストローク
3.7mm
タクタイル
なし
押下圧
45cN
打鍵耐久性
5000万回

クリック感とタクタイルがなくキーを押し下げるほどスイッチが重くなっていくリニアストロークタイプの静音スイッチ。メカニカルの中ではかなり打鍵音が小さいのが特徴。音以外については赤軸とほぼ同じような感じ。打鍵音の大きさが気になる人におすすめ。

Cherry MX Speed (銀軸)

作動点
1.2mm
キーストローク
3.4mm
タクタイル
なし
押下圧
45cN
打鍵耐久性
5000万回

クリック感とタクタイルがなくキーを押し下げるほどスイッチが重くなっていくリニアストロークタイプのスイッチ。

浅い作動点と軽いキータッチが特徴で、高速入力に特化したタイプのスイッチ。その他の点については赤軸と茶軸の中間といった感じ。軽いキータッチで打鍵音も小さめ。あまりに浅い作動点とキーの軽さのせいで、慣れるまでは押したつもりのないキーが入力されていたりする。

Cherry MX ロープロファイル

オリジナル(従来品)より高さが約35%低くなったロープロファイル(薄型)スイッチ。浅いキーストロークと反応点。タクタイルが無いモデルでも、擦るような摺動音(擦れるような音)が少しする。

Cherry MX Low Profile RGB Red

作動点
1.2mm
キーストローク
3.2mm
タクタイル
なし
押下圧
45cN
打鍵耐久性

低背の薄型スイッチ。赤軸だが従来の銀軸並みのキーストロークと作動点の浅さを持つ。打鍵音は非常に静かで、メンブレンやパンタグラフと比べてもそこまで大きくないレベル。

Cherry MX Low Profile RGB Speed(銀軸)

作動点
1.0mm
キーストローク
3.2mm
タクタイル
なし
押下圧
45cN
打鍵耐久性

低背の薄型スイッチ。作動点は驚異の1.0mmと非常に浅く、慣れるまでは厄介になりそう。打鍵音は非常に静かで、メンブレンやパンタグラフと比べてもそこまで大きくないレベル。

Cherry Viola

エントリーモデル向けのスイッチと紹介されており、従来のメカニカルスイッチよりも安価と思われる。

Cherry Viola

作動点
2.0mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
なし
押下圧
45 – 75cN
打鍵耐久性

作動点である2.0mmまでは軽い押し下げ圧で、作動点を超えると一気に重くなる。この特徴により底打ち頻度を減らす事ができるため、指への底打ちの衝撃の負担が軽減できるかもしれない。その一方、底打ちに必要な圧の総量は大きくなると考えられるため、底打ち派の人は負担が増えるかもしれない。タクタイルとクリック感はなく、必要圧以外は従来の赤軸に近い印象を受ける。

ロジクール(Logicool)

Logitech(日本ではLogicool[ロジクール])が、自社のメカニカルキーボード製品のために開発したスイッチを紹介しています。主要なスイッチの仕様一覧を下記にまとめています。

ロジクール製キースイッチ

Romer-G、GXシリーズ

名前Romer-G タクタイルRomer-G リニアGX BLUEGX BROWNGX RED
作動点1.5mm1.5mm2.0mm1.9mm1.9mm
キーストローク3.2mm3.2mm4.0mm4.0mm4.0mm
タクタイルソフトにありなしありソフトにありなし
押し下げ圧45g45g50g50g50g
打鍵耐久性7000万回

コンパクトGLシリーズ

名前GLリニアGLタクタイルGLクリッキー
作動点1.5mm1.5mm1.5mm
キーストローク2.7mm2.7mm2.7mm
タクタイルなしソフトにありあり
押し下げ圧50g50g50g
打鍵耐久性5000万回

Romer-G シリーズ

ロジクールが開発したメカニカルスイッチ。銀軸タイプのスイッチ。打鍵音は比較的静か。当時の一般的なメカニカルスイッチと比較して、アクチュエーションポイント(反応点)とキーストロークどちらもやや浅く、高速入力を意識されていることがわかる。

Romer-G タクタイル(初代 Romer-G)

作動点
1.5mm
キーストローク
3.0mm±0.2mm
タクタイル
ソフトにあり
押下圧
45g
打鍵耐久性
7000万回

初代のRomer-Gスイッチ。登場当初は「Romer-G」という名称だったが、後に「Romer-G TACTILE」という名称に変更された。仕様を見る限り同じもの。浅めの作動点とソフトなタクタイルが特徴。わずかなクリック感がある。

クリック感はわずかにあるものの、音と感触は「コトコト」といったような感じ。打鍵音も小さめとなっている。茶軸と銀軸(speed軸)の中間の様な印象を受けるキースイッチ。ただし、画像を見てもわかるように、スイッチ上部のキーキャップとの結合部が四角く広く作られているため、横への遊び?が少なく、斜めからのキーの押下に対して若干の抵抗が生まれる点は注意が必要です。

Romer-Gリニア

作動点
1.5mm
キーストローク
3.2mm
タクタイル
なし
押下圧
45g
打鍵耐久性
7000万回

リニアと銘打っている通り、なめらかで引っ掛かりのないキーストロークが特徴。作動点は浅め。Romer-G TACTILEのタクタイルを無くしたタイプ。構造や仕様を見る限りそれ以外の違いは見受けられない。

タクタイルを無くした事により打鍵音はより静かになった。画像を見てもわかるように、スイッチ上部のキーキャップとの結合部が四角く広く作られているため、横への遊び?が少なく、斜めからのキーの押下に対して若干の抵抗が生まれる点は健在なので注意が必要です。

GXシリーズ

ロジクール開発のキースイッチ。一部Romer-Gと似ている部分もあるが、Cherry製の汎用軸の類似品。

GX BLUE

作動点
2.0mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
あり
押下圧
50g
打鍵耐久性
7000万回

しっかりとしたタクタイルにクリック感がありカチカチという特徴のある打鍵音が特徴。構造や軸の形状はCherry MXオリジナルと類似しており、特徴的には一般的な青軸とほぼ変わらない

GX BROWN

作動点
1.9mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
ソフトにあり
押下圧
50g
打鍵耐久性
7000万回

ソフトなタクタイルによる軽快な入力感が特徴。構造や軸の形状はCherry MXオリジナルと類似しており、特徴的には一般的な茶軸とほぼ変わらない

GX RED

作動点
1.9mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
なし
押下圧
50g
打鍵耐久性
7000万回

軽いキーでタクタイルもクリック感もない、なめらかな入力感が特徴。構造や軸の形状はCherry MXシリーズと類似しており、特徴的には一般的な赤軸とほぼ変わらない

コンパクトGLシリーズ

ロジクール開発の薄型のメカニカルスイッチ。キーストロークが2.7mmと浅く、キーキャップも薄いタイプのものになっている。これによって、本体自体をより薄くする事が可能となったので、パームレスト等が無くても快適にタイピングする事ができる。

GLリニア

作動点
1.5mm
キーストローク
2.7mm
タクタイル
なし
押下圧
50g
打鍵耐久性
5000万回

ロジクールが開発した薄型メカニカルスイッチの赤軸版。タクタイルが無く打鍵音が比較的静かなのが特徴。キーストロークが2.7mmと浅い点も含め、高速入力に向いている。ただし、打鍵耐久性は従来のメカニカルスイッチより少し落ちている。

GLタクタイル

作動点
1.5mm
キーストローク
2.7mm
タクタイル
ソフトにあり
押下圧
50g
打鍵耐久性
5000万回

ロジクールが開発した薄型メカニカルスイッチの茶軸版。ソフトなタクタイルにより正確かつ高速な入力を行いたい人向け。キーストロークも2.7mmと浅く高速入力に向いている。ただし、打鍵耐久性は従来のメカニカルスイッチよりも少し落ちています。

GLクリッキー

作動点
1.5mm
キーストローク
2.7mm
タクタイル
あり
押下圧
50g
打鍵耐久性
5000万回

ロジクールが開発した薄型メカニカルスイッチの青軸版。しっかりとしたタクタイルがあり、明確な入力感を求める人に向いている。キーストロークは2.7mmと浅く高速入力にも向いている。打鍵耐久性は従来のメカニカルスイッチよりも少し落ちている。青軸特有の打鍵音は健在だが、打鍵音は従来の青軸と比べると小さめになっている。

Razer

Razerが自社のメカニカルキーボード製品のために開発したスイッチ。軸の色に一般的でない色を使用していますが、特徴は一般的な軸(青、赤、茶軸)と類似しているため、特殊なキースイッチという訳ではありません。主要なスイッチの仕様一覧を下記にまとめています。

Razer製キースイッチ
名前Green(青軸系)Orange(茶軸系)Yellow(Speed軸系)
作動点1.9mm1.2mm
キーストローク4.0mm3.5mm
タクタイルありわずかにありなし
押し下げ圧50g45g45g
打鍵耐久性約1億回

Razer シリーズ(第3世代)

Razerの独自開発のメカニカルキースイッチです。第1世代では形状も特徴もCherry製のものと酷似していましたが、2023年の第3世代では形状がやや変わり、打鍵耐久性が向上しています。

Razer Green Switch(緑軸:青軸系)

作動点
1.9mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
あり
押下圧
50g
打鍵耐久性
約1億回

Razer緑軸スイッチ。特徴的には一般的な青軸とほぼ同じ。しっかりとしたタクタイル・クリック感があり、独特の甲高い打鍵音がする。

Razer Orange Switch(オレンジ軸:茶軸系)

作動点
1.9mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
わずかにあり
押下圧
45g
打鍵耐久性
約1億回

Razerオレンジ軸スイッチ。特徴的には一般的な茶軸と似ている。軽いキータッチとわずかなタクタイルに加え、静音性に優れている

Razer Yellow Switch(イエロー軸:銀軸系)

作動点
1.2mm
キーストローク
3.5mm
タクタイル
なし
押下圧
45g
打鍵耐久性
約1億回

Razerイエロー軸スイッチ。特徴的には一般的な銀軸に似ている。浅い作動点・キーストロークに加え、静音性に優れている

Corsair(コルセア)

Corsairの独自開発スイッチ。しばらくCorsairはメカニカルスイッチに関してはCherry製の軸のみを採用してきたが、2021年に他メーカーに倣ってか独自開発のメカニカルスイッチを投入した。

Corsair製キースイッチ
名前OPTスイッチ
作動点1.0mm
キーストローク?mm
タクタイルなし
押下圧?
打鍵耐久性1億5,000万回

Corsair 光学スイッチ

Corsairの独自開発の光学キースイッチ。

Corsair OPXスイッチ

作動点
1.0mm
キーストローク
?mm
タクタイル
なし
押下圧
?
打鍵耐久性
1億5,000万回

Corsair独自技術「CORSAIR AXON」採用の高速入力向けキースイッチ。1.0mmの浅い反応点と4,000Hzポーリングレートによる高速入力を実現している。打鍵耐久性も約1億5000万回と非常に高い。

Corsair MGXスイッチ

作動点
0.4mm~3.6mm
キーストローク
?mm
タクタイル
なし
押下圧
45g
打鍵耐久性
1億回

磁気センサー採用で作動点を0.4mm~3.6mmで調整できるスイッチです。キーを離した瞬間に次の入力が可能になるラピッドトリガー機能に対応している他、1つのキーに二つの操作を割り当てるデュアルアクチュエーション機能なども設定することが可能となっています。

価格は非常に高価なのが難点。また、0.4mm~3.6mmという幅のある「調節可能な作動点」という仕様上、タクタイル(作動点での引っ掛かり)を設ける事は不可能と思われるため、同スイッチでのタクタイル品は諦める必要がありそう。

ASUS製スイッチ

ASUSが、自社のメカニカルキーボード製品のために開発したスイッチを紹介しています。主要なスイッチの仕様一覧を下記にまとめています。

ASUS製キースイッチ

NX、RXシリーズ

名前NX REDRX REDRE BLUE
作動点1.8mm1.5mm1.5mm
キーストローク4.0mm4.0mm4.0mm
タクタイルなしなしあり
押下圧初期導入:40gf
作動:45gf
総合:55gf
初期導入:40gf
作動:45gf
総合:55gf
初期導入:40gf
作動:45gf
総合:55gf
打鍵耐久性不明1億回

ROG NX シリーズ

ASUS開発のメカニカルスイッチ。仕様と見た目から「Cheery MXオリジナル」の類似スイッチと思われる。

ROG NX RED

作動点
1.8mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
なし
押下圧
初期導入:40gf
作動:45gf
総合:55gf
打鍵耐久性
不明

ASUSの赤軸タイプのスイッチ。タクタイルやクリック感がなく、軽い打鍵感と比較的小さい打鍵音が魅力。構造や軸の形状はCherry MXオリジナルと類似しており、特徴は一般的な赤軸と変わらない

ROG RXシリーズ

ASUS開発の作動点がやや浅めのキースイッチ。内部は四角い大きな軸がある感じで、垂直方向にブレないキープレスとなっている。タイピング時にはやや摺動音(擦れるような音)が混じる。打鍵耐久性が約1億回と優れた公表値となっている。仕組み的に、垂直方向の押下には優れた打鍵感が期待できるが、斜めからの押下の場合にはやや抵抗を感じる可能性がある。

ROG RX RED

作動点
1.5mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
なし
押下圧
初期導入:40gf
作動:45gf
総合:55gf
打鍵耐久性
1億回

軽いキータッチが魅力の赤軸タイプのスイッチ。作動点が1.5mmとやや浅くなっている。

ROG RX BLUE

作動点
1.5mm
キーストローク
4.0mm
タクタイル
あり
押下圧
65gf
打鍵耐久性
1億回

しっかりとしたタクタイルとクリック感による明確な入力感が魅力の青軸タイプのスイッチ。青軸特有の「カチン」とか「パチン」といった類の打鍵音が鳴るが、一般的な青軸スイッチよりも軽めの音の印象。

SteelSeries

SteelSeriesが自社のメカニカルキーボード製品のために開発したスイッチ。以前は一般的な主要軸系のスイッチを出していましたが、2023年現在では作動点を調節可能なスイッチに路線変更し、ほぼそちらへ一本化しています。

SteelSeries製光学スイッチ
名前OpniPoint ClickyOpniPoint LinearOpniPoint TactileOmniPoint
作動点1.0mm / 1.5mm0.4mm~3.6mm
キーストローク4.0mm±0.4mm3.6mm
タクタイルありなしわずかにありなし
押し下げ圧55g35g55g45g
打鍵耐久性約1億回

OptiPointスイッチ

SteelSeries開発の光学スイッチです。アクチュエーションポイントを調節できるのが特徴です。自由に調節できるタイプのものではラピッドトリガー機能も利用可能。

OptiPoint Clicky

作動点
1.0mm / 1.5mm
キーストローク
4.0mm±0.4mm
タクタイル
あり
押下圧
55g
打鍵耐久性
約1億回

しっかりとしたタクタイルとクリック感が特徴の青軸タイプのスイッチ。青軸系のスイッチは作動点が深めのものが多いですが、1.0mmと非常に浅い位置まで対応するのが珍しいスイッチです。重めのキータッチと浅めの作動点で、しっかりとした底打ちが好きだけど高速にタイピングしたいという人にはおすすめできると思います。

OptiPoint Linear

作動点
1.0mm / 1.5mm
キーストローク
4.0mm±0.4mm
タクタイル
なし
押下圧
35g
打鍵耐久性
約1億回

非常に軽いキータッチが特徴のリニアタイプ(赤軸系)スイッチです。赤軸系スイッチは全体的に押下圧が低いですが、35gまで低いのは珍しく、非常に軽いキータッチが実現できます。作動点も最低1.0mmまで下げれるため、撫で打ちタイプの人に適したスイッチになっています。

OptiPoint Tactile

作動点
1.0mm / 1.5mm
キーストローク
4.0mm±0.4mm
タクタイル
わずかにあり
押下圧
55g
打鍵耐久性
1億回

作動点でわずかに引っかかりを感じるタクタイルタイプ(茶軸系)のスイッチです。タクタイルがあって最低1.0mmの浅い作動点に対応し、加えて押下圧が55gと重めなのが特徴です。赤軸の派生というよりは青軸の派生タイプのような印象のスイッチです。青軸のようなしっかりとした押し心地が良いけど、独特の打鍵音やしっかりとしたタクタイルを好まない人に適していると思います。

OmniPointスイッチ

作動点
0.4mm~3.6mm
キーストローク
3.6mm
タクタイル
なし
押下圧
45g
打鍵耐久性
1億回

SteelSeries開発の磁気ホールセンサー採用のオリジナルスイッチ。調節可能な作動点を持つのが特徴。作動点の調節幅は0.4mm~3.6mmとかなり幅広いです。用途に応じて調整して対応する事ができます。キーを離した瞬間に次の入力が可能になるラピッドトリガー機能に対応可能です。

非常に高価なのが難点。また、0.4mm~3.6mmという幅のある「調節可能な作動点」という仕様上、タクタイル(作動点での引っ掛かり)を設ける事は不可能と思われるため、同スイッチでのタクタイル品は諦める必要がありそう。

kailh (kaihua)

kailhは非常に豊富な数のスイッチを生産する中国メーカーです。価格が安く、マイナー企業や格安を売りにした製品でよく用いられている印象です。全てを紹介するのはちょっと厳しいので、ざっくりと各シリーズの特徴だけを載せています。詳しくは表下部の参考リンクを参照してください。

Kaihua製キースイッチ
名前KTスイッチ
(標準)
KSスイッチ
(高速入力)
Boxスイッチ
(防水・防塵)
Chocスイッチ
(超薄型)
作動点1.7 ± 0.3mm
1.7 ± 0.6mm
1.9 ± 0.4mm
1.9 ± 0.5mm
1.1 ± 0.3mm
1.1 ± 0.4mm
1.2 ± 0.5mm
1.8 ± 0.3mm
1.8 ± 0.4mm
1.3 ± 0.3mm
1.5 ± 0.5mm
キーストローク3.6 ± 0.3mm
3.6 ± 0.6mm
4.0 ± 0.4mm
4.0 ± 0.5mm
3.0 ± 0.5mm
3.5 ± 0.3mm
3.5 ± 0.4mm
3.6 ± 0.3mm
3.6 ± 0.4mm
3.0 ± 0.5mm
3.2 ± 0.25mm
タクタイル種類による種類による種類による種類による
押し下げ圧50 ± 10gf
60 ± 10gf
40 ± 10gf
50 ± 10gf
60 ± 10gf
70 ± 15gf
70 ± 20gf
35 ± 10gf
45 ± 10gf
55 ± 10gf
60 ± 10gf
43 ± 10gf
45 ± 10gf
50 ± 10gf
60 ± 10gf
打鍵耐久性7,000万回5,000万回8,000万回7,000万回

参考:http://www.kailh.com/en/Products/Ks/

Kaihua製 メカニカルスイッチ

KTスイッチ(標準)

作動点
約 1.7mm / 1.9mm
キーストローク
約 3.6mm / 4.0mm
タクタイル
種類による
押下圧
50 / 60 gf (±10gf)
打鍵耐久性
7,000万回

メカニカルの標準スイッチ。MXオリジナルの類似軸。ただし、打鍵耐久性の表記はややこちらの方が上となっている。

KSスイッチ(高速入力)

作動点
約 1.1mm / 1.2mm
キーストローク
約 3.0mm / 3.5mm
タクタイル
種類による
押下圧
40~70 gf
(±10~20 gf)
打鍵耐久性
5,000万回

高速入力向けのスイッチ。約1.1mm~1.2mmという非常に浅い反応点を持つ。

Boxスイッチ(防水・防塵)

作動点
約 1.8mm
キーストローク
約 3.6mm
タクタイル
種類による
押下圧
35~60 gf (±10gf)
打鍵耐久性
8,000万回

防水・防塵性があると紹介されているスイッチ。打鍵耐久性もやや高くなっている。

Chocスイッチ(超薄型)

作動点
約 1.3mm / 1.5mm
キーストローク
約 3.0mm / 3.2mm
タクタイル
種類による
押下圧
43~60 gf (±10gf)
打鍵耐久性
7,000万回

超薄型のスイッチ。いわゆるロープロファイル型のスイッチ。見た目でも従来のメカニカルよりも大幅に薄くなっていることを見て取ることができ、キーボード本体をかなり薄くすることができる。反応点とストロークも浅くなっており、高速入力にも適している。

HyperX

「HyperX」はキングストンテクノロジーが展開するゲーミングブランドです。

HyperX製キースイッチ
名前HyperX RedHyperX AquaHyperX Blue
作動点1.8mm1.8mm1.8mm
キーストローク3.8mm3.8mm3.8mm
タクタイルなしソフトにありあり
押し下げ圧45g45g50g
打鍵耐久性8,000万回8,000万回8,000万回

参考:https://www.hyperxgaming.com/jp/keyboards/hyperx-switches

Kaihua製 メカニカルスイッチ

KTスイッチ(標準)

作動点
約 1.8mm
キーストローク
約 3.8mm
タクタイル
なし
押下圧
45g
打鍵耐久性
8,000万回

タクタイルもクリック感もない軽い打鍵感が特徴の赤軸スイッチ。特徴的には一般的な赤軸と変わらない。

KSスイッチ(高速入力)

作動点
約 1.8mm
キーストローク
約 3.8mm
タクタイル
ソフトにあり
押下圧
45g
打鍵耐久性
8,000万回

ソフトなタクタイルによる軽快な入力感のスイッチ。色が特徴的になっていますが、性質は一般的な茶軸スイッチと変わりません。

Boxスイッチ(防水・防塵)

作動点
約 1.8mm
キーストローク
約 3.8mm
タクタイル
あり
押下圧
50g
打鍵耐久性
8,000万回

しっかりとしたタクタイルとクリック感があり、カチカチという打鍵音が特徴の青軸スイッチです。特徴的には一般的な青軸と変わらないです。

あとがき

軸は複雑に見えますが、性質的に主要なのは4、5種類くらいです。「赤軸」「青軸」「茶軸」「Speed軸(銀軸)」あたりを覚えておけば大体問題ありません。

メカニカルキーボードは価格がやや高めで、手を出し辛いと思います。ただ、しっかり理解して選べば、好みのキーボードが見つかる可能性は高いと思いますし、耐久性も高いので長期間使えると思います。ぜひ一度試して欲しいです。

それでは、記事は以上で終わりになります。ご覧いただきありがとうございました。

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