メカニカルキーボードの軸の色毎の特徴の解説と、軸の色毎のおすすめ製品紹介です。
掲載の情報は記事更新時点(2021年1月19日)のものであり、現在は異なる可能性があるため注意してください。
軸の色ざっくり解説
まずはメカニカルキーボードの軸の特徴をざっくりと解説します。既にご存知の方は飛ばして頂いても構いません。
メカニカルキーボードの軸とは?
メカニカルキーボードは使うパーツによって性質が変わります。中でも「軸」は使用感に大きな影響を与えます。そのため、メカニカルキーボードを選ぶ際には、まず自分の好みにあった軸を見つけることが大切です。この「軸」ですが、性質を色によって分けるのが一般的となっており、「軸の色」から大まかな性質を掴むことが可能となっています。たとえば、「赤軸は打鍵音が小さめ」といった具合です。
性質と色の組み合わせはメーカー毎に多少異なりますが、メカニカルスイッチの最大手メーカーである「Cherry」が使用している軸を基準として覚えるのが一般的となっています。現在メカニカルキーボード市場の主要な軸色は、「赤軸・青軸・茶軸・Speed軸(銀軸)」の4つとなっています。これらの軸についてざっくりとした説明をこの後に載せています。また、本記事ではこの4つの軸のおすすめ製品も後で紹介していますので、よければそちらもご覧ください。

各軸の特徴ざっくりまとめ
各軸の特徴を表にまとめたものを載せています。
軸 |
音の大きさ
|
キーの軽さ
|
クリック感※1 | タクタイル※2 |
---|---|---|---|---|
赤軸 |
★★★(小さい)
|
★★★(軽い) | × | × |
茶軸 | ★★★(小さい) | ★★★(軽い) | △ | △ |
青軸 | ★★★(大きい) | ★★★(重い) | 〇 | 〇 |
銀軸 | ★★★(小さい) | ★★★(軽い) | × | × / △ |
各軸の特徴まとめ
各軸色について補足説明をしています。もうちょっと詳しく知りたいという方はご覧ください。
赤軸

- 打鍵音が小さい(メカニカルにしては)
- タクタイル・クリック感がない
- キーが軽い
タクタイル:なし
クリック感:なし
タクタイルとクリック感が無く、軽いキータッチが特徴。打鍵音もメカニカルの中では比較的小さめのライトタイプの軸。軽いキー特性により高速入力にも向きますが、キーストロークはメンブレンやパンタグラフと比べると深めな場合が多いです。
>>赤軸おすすめ製品
青軸

- 独特で大きい打鍵音(金属っぽい)
- しっかりとしたクリック感
- キーが重い
タクタイル:あり
クリック感:しっかりとあり
しっかりとしたタクタイルとクリック感による明確な入力感が魅力。キーは重めで、カチンとかパチンと言った類の金属っぽい打鍵音が特徴。底打ちタイプで一つ一つのキー入力をしっかりと感じたい人におすすめの軸です。
>>青軸おすすめ製品
茶軸

- ソフトなタクタイル
- キーが軽い
タクタイル:ソフトにあり
クリック感:なし?※
軽いキータッチとソフトなタクタイルによる軽快な入力感が魅力。打鍵音は小さめですが、ソフトなタクタイルによる擦れるような音が混じります。打鍵音が小さめで、その他の特性も癖が強すぎない程度に取り入れられているので、入門用におすすめの使い易い軸です。
※クリック感は仕様上はないはずですが、製品によっては感じるものがあります(主観です)。恐らくはタクタイルの影響だと思われますが、クリック感のない製品をお求めの方は注意してください。
>>茶軸おすすめ製品
銀軸

- 反応点とキーストロークが浅い
- キーが軽い
タクタイル:なし/ソフトにあり
クリック感:なし
高速入力に特化した軸。軽いキータッチに浅い接点とキーストロークも備えているのが特徴。他のメカニカルスイッチでは、一般的なスイッチよりキーストロークが深めな事が基本で、高速入力をしたいなら底打ちしないようにしなければなりませんでしたが、この銀軸(Speed軸)ではキーストロークも浅めに設計されているので、底打ちしても問題ありません。撫で打ちも当然できるので、高速入力をしたいなら人を選ばず使える軸。
>>銀軸おすすめ製品
おすすめ製品
軸の色別のおすすめ製品紹介です。コスパ重視で選定しています。
K63 Compact(Corsair)

コンパクトなテンキーレスの赤軸キーボードです。ゲーミングキーボードなのでゲーム用の設定も可能です。メディアコントロールキーはありますが、シンプルな製品です。「余計な機能のないコンパクトな赤軸のゲーミングキーボードが欲しい」という人におすすめです。また、バックライトは赤色のみ対応です。こだわりのある方は注意です。
K70 LUX MX Cherry Red(Corsair)

主要スペック表 | |||
キースイッチ | Cherry MX red(赤軸) | ||
---|---|---|---|
キーストローク | 4.0mm | ||
テンキー | あり | ||
接続 | 有線 | ||
価格 | 約9,000円 | ||
販売ページ |
赤軸のテンキー付きのフルキーボードです。取り外し可能なパームレスト(キーボード手前において手首の負担を軽減するもの)が付属している上、メディアコントロールやボリューム調節関連機能も付いていて、約9,000円という安さによるコスパが魅力です。見た目も艶消しのヘアライン加工がカッコ良いです。ただし、ライティングは赤色のみなのでこだわりたい方は注意です。
G610 ORION BLUE(ロジクール)

主要スペック表 | |||
キースイッチ | Cherry MX red(青軸) | ||
---|---|---|---|
キーストローク | 4.0mm | ||
テンキー | あり | ||
接続 | 有線 | ||
価格 | 約9,000円 | ||
販売ページ |
ロジクール製の青軸のフルキーボードです。コスパが非常に良い製品です。約9000円ながらホットキー類も完備で、好きな色にカスタマイズ可能なバックライト機能まで備えています。
BlackWidow Lite JP オレンジ軸 (Razer)

主要スペック表 | |||
キースイッチ | Razer Orange Switch(茶軸系) | ||
---|---|---|---|
キーストローク | 4.0mm | ||
テンキー | なし | ||
接続 | 有線 | ||
価格 | 約11,000円 | ||
販売ページ |
Razerの茶軸系のスイッチ「Razer Orange Switch」を採用した、コンパクトなテンキーレスのキーボードです。ボリュームコントールなどの機能はないシンプルな仕様です。このキーボードの最大の特徴は、付属の「O-リング」をキーキャップに装着する事で静音化できる点です。メカニカルキーボードが気になるけど、打鍵音の大きさが気になるという人には嬉しいと思います。ゲーミングキーボードながらライト層も意識されています。入門用として優れている製品だと思います。
G512 Carbon RGB(Tactile)(ロジクール)

※茶軸に置いていますが、茶軸と銀軸(Speed軸)の中間のような感じの軸だと思います。
ロジクールの独自開発スイッチの「Romer-G Tactile」を採用したフルキーボードです。「Romer-G Tctile」は従来の茶軸のようなキー特性を持ちながら、反応点とストロークがやや浅めとなっており、より軽快な入力感を得る事ができるように意識されています。茶軸と銀軸(Speed軸)の中間と評されることがある軸です。
バックライトは調節可能で、ゲーミングキーボードなのでゲーム用の各種設定も可能です。ただし、ホットキー類は一切無いので注意が必要です。
タクタイルタイプ(茶軸系)だけでなく、リニア(赤軸系)、クリッキー(青軸系)もあるので、気になる人はチェックしてみてください。
K840 Mechanical Keyboard(ロジクール)
※茶軸に置いていますが、茶軸と銀軸(Speed軸)の中間のような位置付けです。
ロジクールの独自開発スイッチの「Romer-G Tactile」を採用した非常にシンプルなメカニカルキーボードです。
ゲーミングキーボードではないので、ライティングやゲーム用の設定は基本できず、ホットキーもないというシンプルさ。ただし、見た目はすっきりしていて悪くないし、何より安いのが良いです。2021年1月時点で、8,000円未満で買えます。大手メーカーのフルのメカニカルキーボードがこの価格は非常に魅力的です。
K70 RAPIDFIRE Cherry MX Speed(Corsair)

主要スペック表 | |||
キースイッチ | Cherry MX speed(銀軸) | ||
---|---|---|---|
キーストローク | 3.4mm | ||
テンキー | あり | ||
接続 | 有線 | ||
価格 | 約12,500円 | ||
販売ページ |
Corsairの銀軸系スイッチ「Cherry MX Speed」採用のフルキーボードです。1.2mmと非常に浅いアクチュエーションポイント(反応点)で、高速入力向けの仕様となっています。ボリュームとメディアコントロール機能も付いている他、取り外し可能なパームレスト(キーボード手前に置き手首の負担を軽減させるもの)も付属しています。
ライティングは赤色のみ対応なのでこだわりたい方は注意です。
ただし、従来のメカニカルスイッチよりも高価になっているのが基本で、2021年1月現在では「コスパ」という点ではあまり良くない事が多いです。
G813-Linear(ロジクール)

主要スペック表 | |||
キースイッチ | コンパクトGLスイッチ(リニア) | ||
---|---|---|---|
キーストローク | 3.0mm | ||
テンキー | あり | ||
接続 | 有線 | ||
価格 | 約17,800円 | ||
販売ページ |
ロジクール開発の薄型スイッチ「コンパクトGLスイッチ」を採用したキーボードです。従来のメカニカルキーボードは高さが40mm前後くらいなのに対し、22mmという驚異の薄さを実現しています。パームレストが無くても、従来のメカニカルキーボードより比較的快適なタイピングが可能となっています。
キーストロークは3.0mm(スイッチ自体の仕様は2.7mm)で反応点は1.5mmとなっています。スイッチ全体は薄いですが、その他のキー特性は従来のSpeed軸(銀軸)系と似たような感じになっています。
バックライトは搭載しており調節可能です。ホットキー類も完備している他、カスタマイズ用の個別キーが「G1」~「G5」まで5つ用意されています。この個別キーが非常に便利で、作業を効率化してくれます。
見た目もおしゃれで非常に魅力的ですが、価格が非常に高いです。約17,800円(2021年1月時点)は、有線キーボードとしてはかなり高価です。予算に余裕がある人やどうしても気になる人向けです。
また、リニアタイプ(赤軸系)だけでなく、タクタイル(茶軸系)、クリッキー(青軸系)もある他、「G913」という無線タイプもあるので、気になる人はチェックしてみてください。
K70 RGB MK.2 RAPIDFIRE MX Speed[Corsair]

主要スペック表 | |||
キースイッチ | Cherry MX Low Profile Speed |
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---|---|---|---|
キーストローク | 3.2mm | ||
テンキー | あり | ||
接続 | 有線 | ||
価格 | 約18,000円 | ||
販売ページ |
薄型のSpeed軸「Cherry MX Low Profile Speed」採用キーボードです。従来の軸よりも約35%高さが低くなっており、本体の厚さが29mmまで薄くなっています。パームレストが無くても、従来のメカニカルキーボードより比較的快適なタイピングが可能となっています。
ロープロファイル仕様のSpeed軸ということで1.0mmと非常に浅い反応点で、高速入力向けです。慣れない内は誤入力が多発する可能性もあるレベルの反応点の浅さですが、慣れれば非常に速いタイピングが可能になります。
バックライトは調節可能で、ボリューム調節ダイヤル等も付いている他、取り外し可能なパームレスト(キーボード手前に置き手首の負担を軽減させるもの)も付属しています(ただ、パームレストについては本体が薄いため必要性は正直薄くも感じます)。
やはりネックは価格。約18,000円(2020年8月時点)はやはり高いです。Speed軸が他の軸より全体的に高いこともありますし、その上での薄型仕様なので、コスパとしては凄く悪いという訳ではないのかもしれませんが、やっぱり高いは高いです。予算に余裕がある人やどうしても気になる人向けです。
Apex Pro JP[SteelSeries]

主要スペック表 | |||
キースイッチ | OmniPointスイッチ (反応点調節可能) |
||
---|---|---|---|
キーストローク | 3.6mm | ||
テンキー | なし | ||
接続 | 有線 | ||
価格 | 約26,000円 | ||
販売ページ |
SteelSeries独自開発の「OmniPointスイッチ」採用のキーボードです。かなり特殊なスイッチとなっており、反応点が調節可能という機能があります。0.4mm~3.6mmの間で調節が可能です。
そして、もう一つの特殊な仕様で、各種設定を確認・変更できる有機ELディスプレイを搭載しているという点があります。従来は多くのダイヤルやキー類を用意して実装する機能を、小さな有機ELディスプレイ一つでカバーできるため、本体サイズが機能性の割にコンパクトになっています。具体的には、ホットキー類を搭載したキーボードの縦幅が大体150mm~170mmぐらいなのに対し、本製品は139mmです。テンキーレス版では横幅も小さいので、かなりコンパクトです。
また、取り外し可能なパームレスト(キーボード手前に置き手首の負担を軽減させるもの)を付属しています。
特にコンパクトなゲーミングキーボードを好む人には受けそうな製品ですが、価格がとにかく高いです。有線で個別キーもなく、薄型でもないのに約26,000円(2021年1月時点)は非常に高価です。他のキーボードにはない特殊で魅力的な要素が二つもあるとはいえ、よほど気にならない限りはちょっとためらってしまいそうな金額となっています。
「反応点が調節可能なキースイッチ」、「有機ELディスプレイ搭載とそれによる本体の縦幅の縮小化」この2点を魅力に感じれるかどうかの製品だと思います。