「GeForce RTX 4070 Ti」ざっくり評価【性能比較】

NVIDIA「GeForce RTX 4070 Ti」のざっくり性能比較・評価です。海外レビューを参考に見ていきます。

当初は「RTX 4080 12GB」として投入される予定だったGPUが「RTX 4070 Ti」として登場です。約800ドルというコスパと価格の双方を良いバランスで備える次世代の高性能GPUとして注目です。

注意

本記事の情報は記事執筆時点(2023年1月5日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

仕様

まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。

簡易比較表

※価格は2023年1月5日時点での北米での希望小売価格です(判明しているもののみ)。

GPU シェーダー
ユニット数
メモリタイプ メモリ速度
メモリ帯域幅
レイトレ用
ユニット数
ダイサイズ 消費電力
(TGP等)
北米
参考価格
RTX 4090 16384 GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
128基 608㎟ 450W 1,599ドル
RTX 4080 9728 GDDR6X
16GB 256bit
22.4Gbps
716.8GB/s
76基 380㎟ 320W 1,199ドル
RX 7900 XTX 6144 GDDR6
24GB 384bit
20Gbps
960GB/s
96基 36.6㎟*6 +
300㎟
355W 999ドル
RX 7900 XT 5376 GDDR6
20GB 320bit
20Gbps
800GB/s
84基 36.6㎟*6 +
300㎟
300W 899ドル
RTX 4070 Ti 7680 GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
60基 295㎟ 285W 799ドル
RTX 3090 Ti 10752 GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
84基 628.4㎟ 450W 1,499ドル
RTX 3090 10496 GDDR6X
24GB 384bit
19.5Gbps
936GB/s
82基 628.4㎟ 350W 1,299ドル
RX 6950 XT 5120 GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
80基 519㎟ 335W 949ドル
RX 6900 XT 5120 GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
80基 519㎟ 300W 699ドル
RTX 3080 Ti 10240 GDDR6X
12GB 384bit
19Gbps
912GB/s
80基 628.4㎟ 350W 1,099ドル
RTX 3080 10GB 8704 GDDR6X
10GB 320bit
19Gbps
760GB/s
68基 628.4㎟ 320W 699ドル
RX 6800 XT 4608 GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
72基 519㎟ 300W 599ドル
RTX 3070 Ti 6144 GDDR6X
8GB 256bit
19Gbps
608GB/s
48基 392㎟ 290W 599ドル
RX 6800 3840 GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
60基 519㎟ 250W 549ドル
RTX 3070 5888 GDDR6
8GB 256bit
14Gbps
448GB/s
46 392㎟ 220W 499ドル
RX 6750 XT 2560 GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
40 336㎟ 250W 419ドル
RTX 3060 Ti 4864 GDDR6
8GB 192bit
14Gbps
448GB/s
38 392㎟ 200W 399ドル
RX 6700 XT 2560 GDDR6
12GB 192bit
16Gbps
384GB/s
40 336㎟ 230W 379ドル
Arc A770 16GB 4096 GDDR6
16GB 256bit
17.5Gbps
560GB/s
32 406㎟ 225W 349ドル
Arc A770 8GB 4096 GDDR6
8GB 256bit
16Gbps
512GB/s
32 406㎟ 225W 329ドル
RTX 3060 3584 GDDR6
12GB 192bit
15Gbps
360GB/s
28 276㎟ 170W 329ドル
RX 6650 XT 2048 GDDR6
8GB 128bit
17.5Gbps
288GB/s
32 237㎟ 180W 299ドル
RX 6600 XT 2048 GDDR6
8GB 128bit
16Gbps
256GB/s
32 237㎟ 160W
Arc A750 3584 GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
28 406㎟ 225W 289ドル
RTX 3050 2560 GDDR6
8GB 128bit
15Gbps
224GB/s
20 276㎟ 130W 249ドル
RX 6600 1792 GDDR6
8GB 128bit
14Gbps
224GB/s
28 237㎟ 132W 239ドル
GTX 1660 SUPER 1408 GDDR6
6GB 192bit
14Gbps
336GB/s
284㎟ 125W 229ドル
RX 6500 XT 1024 GDDR6
4GB 64bit
18Gbps
144GB/s
16 107㎟ 107W 169ドル
GTX 1650 GDDR6 896 GDDR6
4GB 128bit
12Gbps
192GB/s
200㎟ 75W 149ドル
RX 6400 768 GDDR6
4GB 64bit
16Gbps
128GB/s
12 107㎟ 53W 149ドル
Arc A380 1024 GDDR6
6GB 96bit
15.5Gbps
186GB/s
8 157㎟ 75W 129ドル?

今回見ていく「GeForce RTX 4070 Ti」は「GeForce RTX 40シリーズ」におけるハイクラス、もしくはミドルレンジ最上位クラスといった位置づけのGPUです。しかし、「RTX 4080」や「RTX 4090」と同じ最新鋭の半導体のTSMCの4nmプロセスに基づいている上、新たなアーキテクチャを採用しているために性能は格段に向上しているため、前世代の最上位ハイエンドクラスの性能を誇ります。

当初は「RTX 4080 12GB」としてのリリースが予定されていましたが、「RTX 4080 16GB」との性能差が大きいにも関わらず80番台の名前を付けることによる混乱や批判を考慮してか発売前にキャンセルとなり、「RTX 4070 Ti」として登場する運びとなっています。

希望小売価格は799ドルとなっています。RTX 40シリーズで先んじて登場している二つは「RTX 4080」が約1200ドル、「RTX 4090」が約1600ドルとなっているため、大きく安くなりました。記事執筆時点でのNVIDIA公式による国内での販売価格は149,800円~となっており、非常に高額ではあるものの、約20万円からという価格だった「RTX 4080」よりは一般的な消費者でも手が届きやすい価格の高性能な最新世代のGPUとして注目です。

次にハードウェア仕様についてですが、「RTX 4070 Ti」では「AD104」シリコンが使用されています。ダイサイズは約295㎟となっており、前世代の「RTX 3070(Ti)」の392㎟よりも縮小化されています。「RTX 3080~3090 Ti」の628.4㎟と比べると半分以下のサイズです。性能は後に細かく触れていきますが、これで「RTX 3090 Ti」前後のゲーミング性能を持つので驚きです。アーキテクチャ面の影響ももちろんあるとは思いますが、TSMC 4nmによる効率の飛躍的な向上は明らかという感じです。とはいえ、ブーストクロックは前世代から大きく向上したほか、「RTX 4080」や「RTX 4090」よりもやや高いため、発熱が格段に減っている訳ではなく、3連ファンが基本の高発熱GPUである点は変わらない点は注意です。

また、「RTX 4070 Ti」では「AD104」に60個存在するストリーミングプロセッサの全てが有効にされているため、恐らくは同ダイでは最上位のモデルとなります。上位モデルが出るとしてもクロックやメモリ面のみでの強化となるため、性能は微増が限界だと思われます。

主要なコア仕様は、CUDAコアが7680RTコアが60Tensorコアが240などとなっています。「RTX 4080」と比較すると、各コア数が大体21%ほど少なくなっているため、性能は大きく下がります。

メモリはGDDR6Xながらバス幅は192bitと狭い上、容量も12GBと特別多くはありません。バス幅が狭いせいで帯域幅は504GB/sとなっており、「RTX 4080」と比較すると約29.7%減と大きく低下します。キャッシュ面で前世代GPUよりも優秀とはいえ、正直約800ドルのGPUとしては良くないメモリ性能です。4Kなどの高解像度ではややネックとなる気がします。

その他「RTX 40シリーズ」共通の仕様にも触れておくと、まず「AV1」ではデコードだけでなくエンコードに対応しました。特にクリエイターの方にとっては嬉しい仕様だと思いますし、AV1は将来性があって採用率が高くなっていく可能性も高いため、あると有難い機能です。

また、前世代からレイトレーシング用の「RTコア」が第3世代に、DLSS用の「Tensorコア」も第4世代へと更新されており、機能が追加されている点も注目です。

レイトレーシング用の「RTコア」は第3世代へと更新されており、「Shader Execution Reordering」などの新機能が追加され、性能が向上しています。

同社のアップスケリーング技術である「DLSS」用の「Tensor」コアも第4世代へと更新されており、新しく発表され対応する「DLSS 3」では中間フレームを作成することで負荷を大幅に軽減する機能が追加されており、性能が格段向上しているとNVIDIAは主張しています。

それでは、カタログスペックについてはここまでとして、実際の各性能についてこれから見ていきたいと思います。

ゲーミング性能

ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。今回は25種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。

使用されたグラフィックボードは「Gigabyte RTX 4070 Ti Gaming OC」です。OCクロックモデルですが、ブーストクロックはリファレンスデザインよりも30MHz高いだけなので、性能面でそれほど差は出ないと思います。使用されたCPUは「Core i9-13900K」となっています。2023年1月時点でのハイエンドCPUです。

OSはWindows 10が使用されているため、Windows 11で報告例のあるゲーミングパフォーマンスが低下する問題は発生していません。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします。


1080p(1920×1080)

FHD(1920×1080)です。最低限の解像度という感じですが、2023年現在では最も主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、特にFPSやTPSでは出来るだけ高いFPSを維持するためにこの設定にするのが主流だと思いますが、RTX 4090など最新世代の超高性能GPUでは低負荷感も大きくなってきた解像度です。

平均FPS(1080p 最高設定)
GPU名称 平均FPS
RTX 4090
279.1
RX 7900 XTX
251.7
RTX 4080
250.9
RX 7900 XT
228.6
RTX 4070 Ti
219.2
RTX 3090 Ti
211.0
RTX 3090
195.9
RX 6900 XT
193.8
RX 6800 XT
184.6
RTX 3080 10GB
178.7
RTX 3070 Ti
153.8
RX 6800
150.4

1080pではRTX 3090 Tiを少し上回る性能

1080pでは「RTX 3090 Ti」を約3.9%上回る性能でした。非常に高性能です。重いゲームが中心かつ最高設定で200fps超えですから、1080pならレイトレーシングや目標fpsが200以上安定などを目指さない限りは問題はまずでない性能と言えます。

コスパに関しても、既に登場している「RTX 40シリーズ」や「Radeon RX 7000シリーズ」のハイエンドモデルよりも優れています。たとえば、価格の近い「RX 7900 XT」は899ドルのため「RTX 4070 Ti」の799ドルより12.5%高い価格設定ですが、平均fpsでは約4.3%しか優位性がないため、「RTX 4070 Ti」のコスパの方が優れています。

単純に価格が安い点もメリットですし、最新世代のGPUの中で1080pでは最もコスパの良いGPUであると言えると思います。

ただし、前世代のハイエンドGPUと比べるとやや微妙なコスパとなっているのは留意です。たとえば、「RTX 3080 10GB」は現在10万円前後で購入することが可能なGPUです。約15万円の「RTX 4070 Ti」の方が約1.5倍程度(+50%)高価ということになりますが、上記のfpsでは約22%しか優位性が得られていないため、純粋なコスパでは明らかに劣ります。また、VRAMの性能も前世代のハイエンドGPUよりも基本少し低いため、価格の下がった前世代GPUと比べるとコスパはやはり分が悪いです。

AV1エンコードや後述の電力面での優位性はあるものの、1080pのコスパのみを追求するなら前世代の方が優れていますし、性能重視の場合でも、多少高くても前世代を圧倒する性能を持つ「RX 7900 XTX」「RTX 4080」「RTX 4090」のどれかを選ぶ方が、超高額なGPUとしては正直魅力的だと感じるのが個人的な意見です。


1440p(2560×1440)

WQHD(2560×1440)です。4Kは重すぎるけど、1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度は1080pですが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。

平均FPS(1440p 最高設定)
GPU名称 平均FPS
RTX 4090
242.4
RX 7900 XTX
205.5
RTX 4080
202.9
RX 7900 XT
183.7
RTX 3090 Ti
171.8
RTX 4070 Ti
170.4
RTX 3090
156.0
RX 6900 XT
151.4
RX 6800 XT
142.2
RTX 3080 10GB
139.7
RX 6800
120.6
RTX 3070 Ti
117.8

1440pではRTX 3090 Tiよりわずかに低い性能

1440pゲーミングですが、1080pから少し様子が変わっています。「RTX 3090 Ti」と比較してみると、1080pでは約3.9%リードしていましたが、1440pでは約0.8%劣るという結果になっています。差としては約4.7%となっており、1080p→1440pで出来る差としては比較的大きいです。

とはいえ、性能自体は十分高性能であり、軽いゲームなら240fps以上、重めのゲームでも165fps以上は十分に出せる性能です。コスパも悪い訳ではなく「RX 7900 XT」や「RTX 4080」よりは優れています。

しかし、1080pの性能から予測されたよりも性能が少し落ちているのは気になるところです。やはり推測されるのはメモリ性能の差です。容量の12GBは1440pでは大きなネックとなる可能性は低いですが、問題はバス幅とそれによる帯域幅の狭さです。「RTX 4070 Ti」のVARMはバス幅が192bitとなっているため、帯域幅が504GB/sと狭いです。前世代の10万円前後のハイエンドGPUの「RTX 3080 10GB」でも760GB/sでしたし、「RX 6800 XT」でも512GB/sでした。

キャッシュ面でも向上があるために単純比較はできないものの、VRAM性能は前世代の10万円クラスのGPUにもやや劣るレベルです。最安で約15万円(推定)のGPUとしては明らかに悪いため、既存のハイエンドGPUと比べると高解像度ではその差が色濃く出てしまうのかもしれません。


4K(3840×2160)

「超高解像度の代名詞」ともいえる解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、その負荷の大きさから高いFPSを出す事が難しいためTPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはまずないです。処理性能でも敷居が高いだけでなく、高リフレッシュレートの4Kモニターが非常に高価ということもあり、2023年現在では競技性の高いゲームではあまり利用されません。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。

平均FPS(4K 最高設定)
GPU名称 平均FPS
RTX 4090
158.7
RX 7900 XTX
128.7
RTX 4080
124.4
RTX 3090 Ti
108.9
RX 7900 XT
108.4
RTX 4070 Ti
98.9
RTX 3090
96.1
RX 6900 XT
88.5
RTX 3080 10GB
85.2
RX 6800 XT
82.6
RX 6800
71.3
RTX 3070 Ti
70.0

4KではRTX 3090に近い性能

4Kゲーミングでは「RTX 3090」に近い性能でした。1440pでは「RTX 3090 Ti」に近い性能でしたから、やはり4Kで大きく性能を落としている印象です。

「RTX 3090 Ti」と比較すると約9.2%劣る結果になっています。1080pでは約3.9%「RTX 4070 Ti」の方が優れていましたから、1080p→4Kで約14%もの性能差が出てしまったことになります。「RTX 3090 Ti」は特にメモリ性能が優れたGPUであるため差が如実に出ているのも確かですが、「RTX 3080 10GB」でも10%近く差が縮まっていたりするので、10万円を超えるGPUにしては微妙なVRAMが足を引っ張っている感は否めない印象です。

コスパに関しても4Kでは当然やや価値を落とすことになっており、「RX 7900 XTX」と比較すると価格差が約+25%(200ドル)なのに対し、性能は約+30%なので若干劣るまでになってしまっています。

4Kでもコスパ自体は競争力はあるレベルですし、諸々の追加機能や格段に向上した電力効率もありますから、前世代GPUと比べるなら劣ってはいないと思いますが、「RTX 4080」や「RX 7900 XTX」などと性能を比べてしまうと、4K用に15万円出す価値があるGPUかと言われると、正直怪しい気がします。プラス3万円で出せれば3割も性能が伸びるのはこの価格帯ではかなり魅力的です。

電力関連

消費電力

ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」で、解像度は「3840×2160(4K)」です。

GPU平均消費電力(ゲーミング)
GPU名称 消費電力
RX 6800
235W
RTX 4070 Ti
273W
RX 6800 XT
298W
RTX 3070 Ti
302W
RTX 4080
304W
RX 6900 XT
305W
RX 7900 XT
320W
RTX 3080 10GB
336W
RX 7900 XTX
356W
RTX 3090
368W
RTX 4090
411W
RTX 3090 Ti
537W

ゲーミング時の消費電力は273Wで、性能の割には少ない

「RTX 4070 Ti」のゲーミング時の消費電力は約273Wとなっています。前世代のハイエンドGPUの平均よりもやや少ない消費電力です。

「RX 7900 XT」や「RTX 4080」と比べて劇的に少ないというほどでもないので、大きな影響は無いようにも見えますが、BTOなどでは750W電源でなんとかしようという標準構成も結構多いので、他のハイエンドGPUより少し余裕が見れる点はプラスではあると思います。

ワットパフォーマンス

ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています。測定に使用されたゲームは「Cyberpunk 2077」です。

ワットパフォーマンス(Cyberpunk 2077)
GPU名称 1フレームあたりの消費電力
RTX 4080
4.0W
RTX 4090
4.2W
RTX 4070 Ti
4.6W
RX 7900 XTX
4.7W
RX 7900 XT
5.0W
RX 6800
5.9W
RX 6900 XT
6.3W
RTX 3090
6.3W
RX 6800 XT
6.5W
RTX 3080 10GB
6.5W
RTX 3070 Ti
7.3W
RTX 3090 Ti
8.0W

前世代のGPUを大きく上回る効率

最新のTSMC 4nmプロセスを使用しているだけあり、ワットパフォーマンスは非常に優れています。前世代のあらゆるGPUを圧倒する効率で「RX 7900 XTX」に近い結果でした。

恐らくメモリ性能がネックとなるため、低負荷であるほどもう少し優位になり、高負荷であるほど不利になるという側面は留意しておくべきだとは思いますが、いずれにせよ前世代GPUよりは明らかに良い点は変わりません。出来るだけ安く効率が良いGPUを求める場合には現状最も優れているGPUと言えると思います。

ただし、やはり「RTX 4080」および「RTX 4090」にはやや届かない結果になっているため、本体価格が多少高くても効率が高い方を優先するなら最適とは言えないので注意が必要です。価格の大幅な増加は避けられないものの、やはりハイエンド用途でガンガン使う前提であれば「RTX 4080」か「RTX 4090」の方が適していると思います。

レイトレーシング性能

レイトレーシング性能

レイトレーシング性能を見ていきます。レイトレーシングはまだ出てさほど時間が経っていない手法な上、メインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性もあります。

レイトレーシングFPS(1080p 幾何平均)
GPU名称 平均FPS
RTX 4090
191.5
RTX 4080
162.2
RX 7900 XTX
138.7
RTX 4070 Ti
138.4
RTX 3090 Ti
136.0
RTX 3090
123.6
RX 7900 XT
123.5
RTX 3080 10GB
109.6
RX 6900 XT
96.8
RTX 3070 Ti
90.5
RX 6800 XT
90.2
RX 6800
77.9

レイトレーシングFPS(1440p 幾何平均)
GPU名称 平均FPS
RTX 4090
151.0
RTX 4080
120.8
RX 7900 XTX
103.1
RTX 3090 Ti
100.0
RTX 4070 Ti
98.7
RTX 3090
90.3
RX 7900 XT
89.8
RTX 3080 10GB
79.9
RX 6900 XT
68.5
RX 6800 XT
64.1
RTX 3070 Ti
63.8
RX 6800
55.0

レイトレーシングFPS(4K 幾何平均)
GPU名称 平均FPS
RTX 4090
88.0
RTX 4080
66.1
RX 7900 XTX
56.8
RTX 3090 Ti
56.6
RTX 4070 Ti
52.3
RTX 3090
49.8
RX 7900 XT
48.7
RTX 3080 10GB
43.0
RX 6900 XT
36.2
RX 6800 XT
33.8
RTX 3070 Ti
29.1
RX 6800
29.1

RTX 3090 Tiに近いレイトレーシング性能

レイトレーシングでも「RTX 3090 Ti」に近い性能という結果でした。上述のラスター性能と同じように、4Kでは他ハイエンドGPUよりも大きめに性能が落ちるという傾向はあるものの、世代が更新したRTコアの恩恵もあってか、思ったほどは差が出ていません。

思ったよりはマシかとも見える性能ですが、「RX 7900 XTX」に全体的に少し劣る性能となっている点は気になるところです。

もちろん価格面での優位性はあるものの、上述のラスター性能では「RX 7900 XTX」方が大幅に高性能です(約15%~30%程度)。それでいて、レイトレーシングでもわずかに上回る性能です。「RX 7900 XTX」との価格差は約3万円弱ですが、このクラスの高額GPUで3万円差で大きく性能差が出るのを嫌がる人は多いと思います。

それを考慮すると、レイトレーシングでも優位性がないというのは意外に大きく、他にもDLSS対応の面もあるとはいえ、総合的にはやはり「RX 7900 XTX」の方が魅力を感じる人が多そうな印象です。

まとめ

GeForce RTX 4070 Ti

良い点
  • 1440p以下でRTX 3090 Tiに近い優れたパフォーマンス
  • RTX 4080よりも大幅に安価
  • 非常に優れた電力効率
  • 優れたレイトレーシング性能
  • DLSS 3に対応(メインのGPUコアに頼らずフレーム生成)
  • AV1のデコードおよびエンコードをサポート

気になる点
  • 高価(希望小売価格:799ドルで国内約15万円から)
  • 価格の割には悪いVRAM性能(192bitの12GB GDDR6Xで504GB/s)
  • 4K性能が思ったより低い(メモリのせい?)
  • 消費電力が多い(TGP:285W)
  • 前世代の主要ハイエンドGPUよりも純粋なコスパは悪く、性能も前世代を圧倒している訳ではなく高価なため、効率以外の優位性を感じにくい

RTX 3090 Tiに近い性能で約15万円から

「RTX 4070 Ti」は1440p以下で前世代最上位モデルの「RTX 3090 Ti」に近い性能を発揮する高性能GPUです。

それでいて価格は約15万円からとなっているため「RTX 3090 Ti」より大幅に安く、コスパは当然大きく勝ります。また、既に登場している「RTX 4080」や「RTX 4090」よりも大きく安価な上にコスパも優れていますし、対抗の「RX 7000シリーズ」の「RX 7900 XT / XTX」と比較しても、やや安価な上にコスパでも負けていません。特に1080pでは優れたコスパを発揮しており、1440pでも上回っています。

また、電力面でも優れたものを持っている点も評価できます。TGPは285Wとなっており、実測でも270W台という性能の割には少ない消費電力を記録しています。

前世代のハイエンドGPUや既に登場している「RTX 40シリーズ」や「RX 7000シリーズ」のハイエンドモデルは基本300W以上ですから、既存のハイエンドGPUよりも基本やや少ない消費電力で稼働します。

劇的というほど少ない訳ではありませんが、価格や性能的にBTOパソコンの標準構成では電源容量は750Wに留めたいというケースが恐らく多いでしょうから、そういう場合に余裕があると、売る側も買う側も嬉しいはずです。

また、最新世代GPUでは共通事項という感じですが、電力効率は前世代のあらゆるGPUを上回る良さなのも素晴らしいです。

「RTX 3090 Ti」の代替のGPUと考えるなら非常に優れたものであると思います。

メモリ性能の低さが気になる

「RTX 4070 Ti」で最も大きな懸念点はメモリ(VRAM)です。「RTX 4070 Ti」には12GB GDDR6Xが搭載されていますが、バス幅は192bitしかなく、帯域幅は504GB/sです。この数値自体は決して悪い訳ではありませんが、15万円からという超高額GPUとなると話は別です。15万円以上となるとメモリ帯域幅は700GB/s以上が当たり前になりますから、504GB/sしかない「RTX 4070 Ti」は明らかに悪いです。また、容量の12GBもハイエンド帯では最低ラインといえるレベルです。

例を挙げてみると、価格の近い「RX 7900 XT」は20GB GDDR6を搭載し、バス幅は320bitで帯域幅は800GB/sです。「RTX 4070 Ti」の方が大きく劣っていることがわかります。何なら、前世代の10万円クラスのGPUと比較してもやや劣るレベルとなっているため、価格から見たメモリ性能はやはり微妙です。

恐らくはそのメモリ性能の低さが大きめに起因し、解像度が高くなるほど他のハイエンドGPUよりも性能が大きめに低下する傾向があります。特に4Kでは差が如実に出ています。上述のゲーミング性能比較を参考に、価格の近い「RX 7900 XT」と比較してみると、1080pでは約4%だけ劣る結果であったのに、4Kになると約8.8%と差が大きくなります。

その差を考慮してもコスパが大きく劣るとまではいかないものの、容量と帯域幅の双方で他のハイエンドGPUよりも劣ることはゲームだけでなく他のことでも影響があることが懸念されますし、約3万円のプラスで「RX 7900 XTX」、約4万円のプラスで「RTX 4080」を選べば格段に性能が上がることを考えると、この価格帯では割と致命的な仕様な気がします。

前世代の主要ハイエンド(RTX 3080)などに性能コスパや価格で負ける点も留意

また、1440p以下のコスパ面では良いものを持つ「RTX 4070 Ti」ですが、それはあくまで10万円台中盤以降の超価格GPUの中で比較した場合の話ということに留意です。実は価格の下がった前世代の主要ハイエンドGPUの方が純粋なコスパは良いです。

上述した例ですが、「RTX 3080 10GB」は現在10万円前後で購入することが可能なGPUであるため、約15万円からの「RTX 4070 Ti」の方が約50%高価ということになりますが、1080pの平均fpsでは約22%しか優位性が得られません。「RTX 3080」の方が明らかにコスパは良いです。

「RTX 4080 / RTX 4090」や「RX 7900 XTX」のように前世代を圧倒する性能かつ非常に優れたメモリを備えていれば、多少高くてもそれだけの魅力と価値を見出すことはできます。しかし、「RTX 4070 Ti」は前世代の上位ハイエンドを圧倒するほではない性能な上に、メモリ性能も他ハイエンドと比べると低いです。

前世代と比べるとAVエンコードやDLSS 3などの付加機能が増えていますし、電力面は明らかに良くなっていますから、単純に下という訳ではありません。とはいえ、前世代のハイエンドGPUでも1080pや1440pで不自由なく使うには十分な性能ですし、価格が5万円安くなるのも大きいです。一般ユーザーの実用性と、ヘビーユーザーの上昇志向を考慮すると、「RTX 4070 Ti」をあえて選択するというケースはあまり無いように感じました。

300W未満でこれだけの性能が出せるGPUは現状この「RTX 4070 Ti」だけなので、その面での魅力は無いとは言いませんが、価格およびコスパと電力面重視するなら、これから登場するミドルレンジGPUを待ってみる方が賢明な気がしました。


といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。

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