オンラインゲームのラグの原因と解消法【ざっくり解説】

オンラインゲーム・ネトゲでのラグ(遅延)についてざっくりと解説しています。

ラグが発生しているときの状況

細かい原因を見ていく前に、まずはラグが起きる状態について見ていきます。ラグが実際に発生している場合、下記のいずれかの状態にあるはずです。

ラグが発生しているときの状況
  • ping値が高い
  • 回線速度が遅い
  • 通信状況が不安定


ping値が高い・回線速度が遅い

ping値

「ping値」は相手先との応答時間です。ms(ミリ秒)という単位で表されます。「ping値が高い=応答が遅い」という事なので、ラグの発生の主な原因です。

回線速度

「回線速度」は、文字通り回線の通信速度を表すもので、一定時間内のデータ通信量を表します。Mbpsという単位で表される事が多いです。

計測してみよう!

ping値や回線速度の計測は簡単にできるので、試しにやってみましょう。下記のサイトなどで、ping値と通信速度の両方を同時に計測する事が出来ます。ping値は、計測サイトによっては「レイテンシ」などと表記されている場合もありますのでご注意くださいませ。

https://fast.com/ja/
https://www.speedtest.net/(スマホ用のアプリ版あり)
http://www.speed-visualizer.jp/(pingは測れないがIPv6とIPv4の速度を一度に測れる)



実際の計測画面(speedtest.net)
ping値の目安
 ping
非常に速い1~10ms
速い11~30ms
及第点31~50ms
遅い51~100ms
非常に遅い101ms~

大体上記のような感じが一般的かと思います。ただし、繊細な操作を求められないゲーム等では、もう少し基準を緩く見ても良いかもしれません。また、回線速度は計測サイト(サーバー)によって大きく基準が変わるので一概には言えませんが、上記サイトであれば、50Mbps以上安定して出ていれば大きな支障はないかと思います。

IPv4の環境が重要

2020年現在ではほとんどのサイトがIPv6接続には対応しておらず、IPv4接続が主になっています。しかし回線速度測定サイト等ではIPv6で測定されているケースがあり、これは実際のネット接続環境と異なる可能性があります。計測時に表示されているIPアドレスが.(ドット)で4つに区切られた数字のみの構成なら、IPv4で測定されていますが、英字も含むもっと桁数の多いものの場合はIPv6接続となっています。

また、IPv6と一口に言っても、PPPoE接続とIPoE接続の二種類があり、遅延が少なく混雑時の速度低下の影響を受けにくいのはIPoE接続の方だけです。IPv4はPPPoE接続のみ(IPoE接続はできない)ので、遅いということです。IPv6接続であっても、PPPoE接続では大して高速ではありませんし、混雑時の速度低下も避けられません。

この問題を解消するための技術として、「IPv4 over IPv6」というものがあります。これはIPv6(IPoE接続)の経路を使ってIPv4サイトに接続するというもので、IPv4サイトであってもIPoE接続の利点を受けることができます。「IPv4 over IPv6」を利用することが回線遅延や混雑時の速度低下を防ぐ最大の近道となっています。


通信状況が不安定

特に無線LAN接続(Wi-Fi)をしている人に多いです。無線LAN(Wi-Fi)は、本命のサーバー通信の前にルーター等への無線通信が加わります。その際、利用率の高い帯域の電波を利用するため、他電波の影響を受けやすく、有線と比べると不安定です。一時的に回線速度が遅くなってping値が跳ね上がったりする事があります。

その他にも、ゲームサーバーやプロバイダで混雑による負荷などのトラブルの可能性もあります。その場合は、解消を待つしかありません。

ラグの原因

次にラグの原因をもう少し詳しく見ていきます。


主なラグの原因一覧

はじめに、主なラグの原因と簡単な説明をまとめたものを載せています。

ラグの原因一覧
  • 利用回線やプロバイダによるもの
    そもそも利用している回線(プロバイダ)の速度が遅いという可能性があります。
  • 無線(Wi-Fi)によるもの
    無線は、速度や安定性の面では有線に全面的に負けています。ping値も高くなりやすいのでラグが発生しやすく、電波干渉も受けやすいので不安定です。
  • ゲーム側のサーバーによるもの
    ゲーム側のサーバーが一時的に不安定になっている可能性もあります。
  • 使用しているネットワーク機器によるもの
    ルーターや光回線終端装置(モデム)の劣化や故障の可能性もあります。
  • LANケーブルによるもの
    LANケーブルの劣化や、規格が古い可能性があります。
  • 住んでいる場所によるもの
    ゲームサーバーは日本では東京に置かれる事が多いので、東京より遠いほどping値が高くなりやすい傾向があります。また、地方に住んでいる人も、最寄りの通信基地が遠いとping値が高くなる可能性があります。
  • ゲームに使用する機器本体の性能によるもの
    PCやゲーム機本体などの問題の可能性もあります。特にゲーム機はゲーミングPCなどと比べて性能が低いのが普通なので、ゲーム機の仕様上ある程度のラグや同期ズレは仕方がない場合もあります。

上記だけでも、ラグの原因の概要と大体の解消法がわかるのではないかと思います。


原因と解消法

上述のラグの原因別に、ざっくりとした解消法を説明しています。

利用回線やプロバイダによるもの

そもそもの利用回線(プロバイダ)の速度が遅かったり安定性が悪いという場合です。まずは、IPv4 over IPv6を利用していない場合は利用できないかという事を確認してみましょう。速度自体は必ず高速化するとは言えないですが、基本的に回線の遅延や混雑時の速度低下はある程度解消するはずです。

その他にも、速度の遅いプランを契約している場合は契約の変更を、プロバイダそのものに問題がありそうな場合はプロバイダの変更を検討するなどがあります。状況に応じて対策を考えましょう。

無線(Wi-Fi)によるもの

無線(Wi-Fi)で接続していてラグが発生しているという場合です。無線接続は最近では高速化してきたとはいえ、ルーターのすぐ傍でWi-Fi 6で接続したりしない限りは、速度的にも安定性的にも1Gbpsの有線接続には基本的に敵いません。可能ならば有線接続にすることをおすすめします。

ただし、ゲームに使用する機器が無線にしか対応していなかったり、ルーターからの位置が遠くて難しいという場合もあると思います。その場合は中継機を使用するのも手です。根本的な解決にはならないですし有線ほどの向上は見込めませんが、遅延や安定の多少の改善にはなるかもしれません。

ゲーム側のサーバーによるもの

ゲーム側のサーバーが問題の場合です。混雑時に起きる事が多いです。ユーザーとしては待つしかありません。SNSなどで動向見守るようにすると、後れずに復帰できるかもしれません。

使用しているネットワーク機器によるもの

ルーターや光回線終端装置やモデム等の、ネットワーク機器の劣化や故障が原因の場合です。これらは、そもそも原因の特定自体が素人には難しいです。疑われる場合には、一度プロバイダに問い合わせて見るのが良いかと思います。

LANケーブルによるもの

有線接続で、主にLANケーブルが古い場合です。LANケーブルの規格が古いと最大通信速度が遅く、回線自体に問題が無くても速度が出ない場合があります。カテゴリーと呼ばれる規格が、6未満(5eでも可)だと最大が100Mbps以下と一気に遅くなるので、注意が必要です。パソコン上の「アダプダーの設定→イーサネットの状態」などから現在の最大通信速度が確認できるので、疑われる方は確認してみましょう。

規格以外にも、物理的破損や劣化の可能性もあります。LANケーブルは耐用年数が非常に長いので、こちらが問題になる事は少ないかと思いますが、乱暴な扱いは避けるようにしましょう。

東京より遠い場所に住んでいる

東京より遠い場所に住んでいたり、地方に住んでいる場合です。日本だと東京にゲームサーバーが置かれる事が多いので、まず東京から遠いとping値が高くなる(応答速度が遅い)傾向があります。また、地方に住んでいる場合も、最寄りの通信基地が遠いと同様にping値が高くなる傾向があります。外国のサーバーだと速度が遅くなったりping値が跳ね上がったりするのと同じ原理です。

日本に住んでいても台湾や韓国のサーバーなら割とping値も低く、快適にプレイできたりするので、国内なら大きな影響はないと思います。解消法はもちろん東京の近くへ引っ越す事になりますが、自宅の回線速度が重要な職業にでも就いていなければ、そこまでの必要性は無いかと思います。高速な回線と万全の機器環境があれば、十分に快適にゲームをプレイはできます。

ゲームに使用する機器本体の性能によるもの

PCやゲーム機などの性能に問題がある場合です。最近のPCは安くても有線なら高速接続に概ね対応しており、問題になる可能性はまずないと思うので、主にゲーム機が問題となります。

プレイしたいゲームがPC版もある場合には、ゲーミングPCを購入しそちらでプレイする方法があります(費用はものすごく掛かる)。ただし、特定のゲーム機専用のゲームの場合、ゲーム機の仕様は一個人でなんとかできる問題ではないので、ほぼ諦めるしかありません。

2019年11月現在に人気のゲーム機でいえば、Nintendo Switchは他ゲーム機と比べてやや性能が低いので注意が必要です。ラグではなく、機体性能やシステムの限界の可能性があります。

まとめ

ラグの原因や解消法について見てきました。最後に簡単におさらいできるようにまとめています。参考にご覧ください。

基本事項

ラグが発生している場合、下記のいずれかの状況に該当するはずです。

ラグが発生しているときの状況
  • ping値が高い
    相手先との応答時間が遅い場合
  • 回線速度が遅い
    通信速度が遅い場合
  • 通信状況が不安定
    無線によくある。それ以外にも、ゲームサーバーやプロバイダなどが原因の場合もあるが、一時的なものが多いので、待っていれば良い。

原因と対策

ラグの原因と解消法(対策)の早見表です。

ラグの原因一覧と解消法
  • 利用回線やプロバイダの通信速度が遅い(ping値が高い)
    解消法:契約プランの変更、プロバイダの変更。IPv4 over IPv6の利用
  • 無線(Wi-Fi)で利用している
    解消法:有線にする。もしくは中継機を利用する(妥協案)。
  • ゲーム側のサーバーの原因っぽい
    解消法:運営の対策を待つしかない。
  • 使用しているネットワーク機器の不具合や故障が疑われる
    解消法:素人で特定は難しいし、代替機と比較する等の作業が必要だったりで費用が掛かる可能性があるので、プロパイダに問い合わせて見るのが良い。
  • LANケーブルの規格が古い、劣化や破損の可能性がある
    解消法:LANケーブルの規格(カテゴリー)や状態を確認し、問題がありそうなら新しいものに交換する。
  • 住んでいる場所が東京より遠かったり、地方の場合
    解消法:高速な回線であれば、そこまで気にはならないはずなので、我慢する。そのために引っ越すのは厳しい。
  • ゲームに使用する機器本体の性能が低い
    解消法:ゲーム機を使用している場合、PC版でのプレイを検討する(それなりのグラフィック性能が必要になる可能性が高い)。特定のゲーム機専用のゲームの場合は、我慢するしかない。


記事はここまでになります。最後までご覧いただきありがとうございました。

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