AMD「Radeon RX 7600 XT 16GB」のざっくり性能比較・評価です。海外レビューを参考に性能をざっくりと確認していきます。
本記事の情報は記事執筆時点(2024年1月25日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
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仕様
まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。
簡易比較表
※価格は2024年1月25日時点での北米での希望小売価格です(判明しているもののみ)。
GPU | シェーダー ユニット数 | メモリタイプ | VRAM速度 VRAM帯域幅 | レイトレ用 ユニット数 | ダイサイズ (おおよそ) | 消費電力 (TGP等) | 北米 参考価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
RTX 4090 | 16384 | GDDR6X 24GB 384bit | 21.0Gbps 1008GB/s | 128 | 608㎟ | 450W | 1,599ドル |
RTX 4080 | 9728 | GDDR6X 16GB 256bit | 22.4Gbps 716.8GB/s | 76 | 380㎟ | 320W | 1,199ドル |
RX 7900 XTX | 6144 | GDDR6 24GB 384bit | 20Gbps 960GB/s | 96 | 36.6㎟*6 + 300㎟ | 355W | 999ドル |
RX 7900 XT | 5376 | GDDR6 20GB 320bit | 20Gbps 800GB/s | 84 | 36.6㎟*6 + 300㎟ | 315W | 799ドル →749ドル? |
RTX 4070 Ti SUPER | 8448 | GDDR6X 16GB 256bit | 21.0Gbps 672GB/s | 66 | 295㎟ | 285W | 799ドル |
RTX 4070 Ti | 7680 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 60 | 295㎟ | 285W | 799ドル →廃止予定 |
RTX 3090 Ti | 10752 | GDDR6X 24GB 384bit | 21.0Gbps 1008GB/s | 84 | 628.4㎟ | 450W | 1,499ドル |
RTX 3090 | 10496 | GDDR6X 24GB 384bit | 19.5Gbps 936GB/s | 82 | 628.4㎟ | 350W | 1,299ドル |
RX 6950 XT | 5120 | GDDR6 16GB 256bit | 18Gbps 576GB/s | 80 | 519㎟ | 335W | 949ドル |
RX 6900 XT | 5120 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 80 | 519㎟ | 300W | 699ドル |
RTX 3080 Ti | 10240 | GDDR6X 12GB 384bit | 19Gbps 912GB/s | 80 | 628.4㎟ | 350W | 1,099ドル |
RTX 3080 10GB | 8704 | GDDR6X 10GB 320bit | 19Gbps 760GB/s | 68 | 628.4㎟ | 320W | 699ドル |
RTX 4070 SUPER | 7168 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 56 | 295㎟ | 220W | 599ドル |
RTX 4070 | 5888 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 46 | 295㎟ | 200W | 549ドル 前:599ドル |
RX 7800 XT | 3840 | GDDR6 16GB 256bit | 19.5Gbps 624GB/s | 60 | 37.5㎟*4 + 200㎟ | 263W | 499ドル |
RX 6800 XT | 4608 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 72 | 519㎟ | 300W | 599ドル |
RTX 3070 Ti | 6144 | GDDR6X 8GB 256bit | 19Gbps 608GB/s | 48 | 392㎟ | 290W | 599ドル |
RX 6800 | 3840 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 60 | 519㎟ | 250W | 549ドル |
RX 7700 XT | 3456 | GDDR6 12GB 192bit | 18Gbps 432GB/s | 54 | 37.5㎟*4 + 200㎟ | 245W | 449ドル |
RTX 4060 Ti 8GB | 4352 | GDDR6 8GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 34 | 190㎟ | 160W | 399ドル |
RTX 3070 | 5888 | GDDR6 8GB 256bit | 14Gbps 448GB/s | 46 | 392㎟ | 220W | 499ドル |
RX 6750 XT | 2560 | GDDR6 12GB 192bit | 18Gbps 432GB/s | 40 | 336㎟ | 250W | 419ドル |
RTX 3060 Ti | 4864 | GDDR6 8GB 192bit | 14Gbps 448GB/s | 38 | 392㎟ | 200W | 399ドル |
RX 6700 XT | 2560 | GDDR6 12GB 192bit | 16Gbps 384GB/s | 40 | 336㎟ | 230W | 379ドル |
Arc A770 16GB | 4096 | GDDR6 16GB 256bit | 17.5Gbps 560GB/s | 32 | 406㎟ | 225W | 349ドル |
Arc A770 8GB | 4096 | GDDR6 8GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 32 | 406㎟ | 225W | 329ドル |
RX 7600 XT | 2048 | GDDR6 16GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 32 | 204㎟ | 190W | 329ドル |
RTX 3060 | 3584 | GDDR6 12GB 192bit | 15Gbps 360GB/s | 28 | 276㎟ | 170W | 329ドル |
RTX 4060 | 3072 | GDDR6 8GB 128bit | 17Gbps 272GB/s | 24 | 156㎟ | 115W | 299ドル |
RX 6650 XT | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 17.5Gbps 288GB/s | 32 | 237㎟ | 180W | 299ドル |
Arc A750 | 3584 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 28 | 406㎟ | 225W | 289ドル |
RX 7600 | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 32 | 204㎟ | 165W | 269ドル |
RX 6600 XT | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 16Gbps 256GB/s | 32 | 237㎟ | 160W | – |
RTX 3050 | 2560 | GDDR6 8GB 128bit | 15Gbps 224GB/s | 20 | 276㎟ | 130W | 249ドル |
RX 6600 | 1792 | GDDR6 8GB 128bit | 14Gbps 224GB/s | 28 | 237㎟ | 132W | 239ドル |
今回見ていくのは16GB VRAMが注目の「RDNA 3」アーキテクチャ採用の「GeForce RX 7600 XT」です。「RX 7600」との物理仕様での違いは、VRAMが倍増の16GBとなった点のみです。その他の違いはクロック向上と消費電力増加のみとなっています。
この強化手法の理由は、「RX 7600」で既に「Navi 33」のコア面を最大限活用してしまっていたため、そこくらいしか強化できる場所がなかったためだと思われます。一応上位の「Navi 32」を採用する手も無くはなかったでしょうが、それだとさすがに勿体ないのは確かなので、このような手を取るのは意外と自然な流れだったと思います。
「RX 7600」と同様にTSMCの6nmプロセスで製造されており、チップレット設計ではなくモノシリックダイを採用しています。AMDは他の同世代GPUのメインのプロセッサーを含む部分は5nmを採用していますが、「RX 7600 XT」は6nmということでわずかながら遅れています。
「RX 7600 XT」の希望小売価格は「RX 7600」よりも60ドル高い329ドルとなっており、国内での初動の想定価格は6万円前後となっているようですが、元の価格からすれば高すぎます。「RX 7600」が現在最安3.7万円程度で販売されており、それから60ドル上がると考えれば、5万円前後が妥当な価格だと思います。このような高価な価格設定は、最近登場している「RTX 40 SUPER」を思い出させますが、そちらと比べると競争力も正直あまりないと思うので、適正価格に割とすぐ落ち着いていく可能性は高いと個人的には感じます。
「RX 7600」からのクロック向上は、ゲームクロックは2250MHzから2470MHz(約+9.8%)、ブーストクロックが2625MHzから2755MHz(約+4.9%)となっています。向上率は小さいので、やはりポイントは16GB VRAMがどう活きるかという話になりそうです。
メモリに関しては、容量が16GBに倍増したのは大きな変化ですが、速度面は変更がありません。バス幅は128bit、18Gbpsで動作し、帯域幅は288GB/sです。大容量ですが、高速なメモリとは言えない点は注意が必要です。
消費電力(TBP)は「RX 7600」の165Wから190Wに増加しています。約15%の増加となっており、コア数が変わらない割には大きめの増加です。
といった感じで「RX 7600 XT」自体の仕様面の紹介はここまでにして、以下からは「RX 7000シリーズ」に共通する仕様面についても軽く触れていこうと思います(基本的に過去記事のコピペです)。
まず映像コーデックの対応で、前世代では「AV1」はデコードだけの対応でしたが、エンコードにも対応しました。ちなみに「RTX 40シリーズ」も同様です。特にクリエイターの方にとっては嬉しい仕様だと思いますし、AV1は将来性があって採用率が高くなっていく可能性も高いため、これは有難いです。
レイトレーシングでは「Ray Accelerator」が前世代の第1世代から第2世代に更新されており、前世代からパフォーマンスが向上したとされています。
アップスケーリングでは、AMDでは専用コアが必要のない「FSR」を推しているため、アップスケーリング用のコアの搭載はありません。また、「FSR」はAMDが提供する技術ですが、オープンソースとして公開されているため、Radeon以外のGPUでも使うことができます。そのため、FSRがアップグレードして性能が上がっても、それは「RX 7000」だけの向上とはならないため、競合モデルとの差にならない点に注意です。
また、「RX 7600 XT」の発売とほぼ同時(2024年1月25日ごろ)に提供が始まったAMDのドライバーにて、「AMD Fluid Motion Frames(AFMF)」というフレーム生成機能が正式に利用可能となったのも注目です。これはフレームをゲームの処理とは別に生成・挿入することでfpsを向上させる機能です。フレーム生成機能は既にDLSS 3などでも利用可能ですが、AFMFのポイントはドライバー(ソフトウェア)による対応のため、専用コアが必要ないだけでなく、ゲーム側による対応も必要ないという点です。非常に手軽に利用することができます。質についてはこれから調べる必要があるものの、「fpsを上げる」という点では非常に魅力的な機能です。
対抗のNVIDIAでは、同社の「DLSS」というアップスケーリング機能を推しており、RTXシリーズでのみ提供(Tensorコアが必要なため)しています。一般的にこの「DLSS」の方が画質は「FSR」よりも優れていると言われており、実際にそんな感じの印象ですが、専用コアとゲーム側の対応の両方が必要となっているのがデメリットとなっています。
最後にAI用コアですが、「RX 7000シリーズ」からはRadeonでも「AI Accelerator」が搭載されるようになり、FP16における処理性能が高まっています。現状はまだ活用されている印象は正直ありませんが、これからAI分野でもRadeonは迫っていこうという意思は見えるのは一応プラス要素かなと思います。
といった感じで、カタログスペックについてはここまでとして、実際の各性能について下記から見ていきたいと思います。
ゲーミング性能
ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。今回は25種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。
まずは、レイトレーシングやアップスケリーング等は無効の状態での性能、いわゆるラスタライズ性能を見ていきます。
使用されたグラフィックボードは「ASRock Radeon RX 7600 XT Steel Legend」、CPUは「Core i9-14900K」で、OSはWindows 11が使用されています。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします。
1080p(1920×1080)
FHD(1920×1080)です。最低限の解像度という感じですが、2024年現在では最も主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、特にFPSやTPSでは出来るだけ高いFPSを維持するためにこの設定にするのが主流だと思います。ただし、RTX 4090など最新世代のハイエンドGPUでは低負荷感も大きくなっているものもあります。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 223.6 |
RX 7900 XTX | 197.9 |
RTX 4080 | 193.8 |
RX 7900 XT | 179.1 |
RTX 4070 Ti SUPER | 177.8 |
RTX 4070 Ti | 167.6 |
RTX 3090 Ti | 165.4 |
RTX 4070 SUPER | 157.6 |
RTX 3090 | 153.3 |
RX 6900 XT | 149.2 |
RX 7800 XT | 144.0 |
RX 6800 XT | 140.9 |
RTX 3080 10GB | 139.1 |
RTX 4070 | 139.0 |
RX 7700 XT | 124.9 |
RTX 3070 Ti | 116.9 |
RTX 3070 | 111.0 |
RTX 4060 Ti 16GB | 107.9 |
RTX 4060 Ti 8GB | 107.0 |
RX 6700 XT | 101.2 |
RTX 3060 Ti | 97.6 |
RX 7600 XT | 89.6 |
RTX 4060 | 85.0 |
RX 7600 | 82.0 |
RX 6600 XT | 79.3 |
Arc A770 16GB | 77.6 |
RTX 3060 12GB | 74.9 |
RTX 3050 | 54.0 |
1080pなら基本快適なパフォーマンス
1080pでの性能はまずまずといったところです。軽めのタイトルなら144fps以上も狙えるレベルですし、重量級タイトルもプレイは可能なレベルなので、高いレベルを求めなければ意外と十分です。
競合モデルとの比較では「RTX 4060」には約5.4%とわずかに上回りますがほぼ同等で、「RX 7600」には約9.3%上回る性能でした。1080pではやはりメモリ増量が活きている印象はほぼ無く、クロック分の向上といった感じです。
そのため、余分な費用が追加されている「RX 7600 XT」の1080pゲームコスパは悪い部類となっていると思います。
1440p(2560×1440)
WQHD(2560×1440)です。4Kは重すぎるけど、1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度は1080pですが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 188.1 |
RX 7900 XTX | 159.5 |
RTX 4080 | 154.1 |
RX 7900 XT | 139.9 |
RTX 4070 Ti SUPER | 137.5 |
RTX 3090 Ti | 131.3 |
RTX 4070 Ti | 128.2 |
RTX 3090 | 119.2 |
RTX 4070 SUPER | 118.6 |
RX 6900 XT | 114.0 |
RX 7800 XT | 109.3 |
RX 6800 XT | 106.8 |
RTX 3080 10GB | 106.1 |
RTX 4070 | 103.5 |
RX 7700 XT | 92.1 |
RTX 3070 Ti | 87.7 |
RTX 3070 | 82.6 |
RTX 4060 Ti 16GB | 78.0 |
RTX 4060 Ti 8GB | 77.1 |
RX 6700 XT | 74.3 |
RTX 3060 Ti | 71.6 |
RX 7600 XT | 64.0 |
RTX 4060 | 61.3 |
Arc A770 16GB | 59.9 |
RX 7600 | 57.9 |
RX 6600 XT | 56.1 |
RTX 3060 12GB | 54.7 |
RTX 3050 | 39.2 |
1440pは重めのタイトルだとやや頼りない性能
1440pだと平均fpsは60台まで下がりました。重めのゲームが中心の最高設定なので、実際にはこの数値より上が基本だとは思いますが、重めのタイトルでは頼りないのは確かです。
「RTX 4060」との比較では約4.4%上回る性能でした。1080pでの5.4%よりもわずかに差が縮まっていました。誤差の範囲なので上下は大して気になりませんが、少なくとも16GB VRAMの恩恵がほぼ無いことの証明にはなっちゃっているのかなと思います。
4K(3840×2160)
「超高解像度の代名詞」ともいえる解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、その負荷の大きさから高いFPSを出す事が難しいためTPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはまずないです。処理性能の要求が高いだけでなく、高リフレッシュレートの4Kモニターが非常に高価ということもあり、2023年現在では競技性の高いゲームではあまり利用されません。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 118.7 |
RX 7900 XTX | 96.1 |
RTX 4080 | 92.5 |
RTX 3090 Ti | 81.5 |
RX 7900 XT | 81.0 |
RTX 4070 Ti SUPER | 80.8 |
RTX 4070 Ti | 72.8 |
RTX 3090 | 72.5 |
RTX 4070 SUPER | 67.5 |
RX 6900 XT | 65.3 |
RTX 3080 10GB | 63.6 |
RX 7800 XT | 62.3 |
RX 6800 XT | 60.7 |
RTX 4070 | 58.6 |
RX 7700 XT | 50.7 |
RTX 3070 Ti | 50.5 |
RTX 3070 | 47.3 |
RTX 4060 Ti 16GB | 43.2 |
RTX 4060 Ti 8GB | 41.1 |
RTX 3060 Ti | 40.7 |
RX 6700 XT | 40.7 |
Arc A770 16GB | 35.8 |
RX 7600 XT | 34.8 |
RTX 4060 | 33.6 |
RTX 3060 12GB | 31.2 |
RX 7600 | 30.1 |
RX 6600 XT | 29.2 |
RTX 3050 | 21.6 |
4Kはさすがに厳しい性能
価格的に仕方ないですが、4Kゲームはネイティブではさすがに厳しそうです。軽めのタイトルならプレイ自体は可能なレベルだとは思いますが、1080pで滑らかに動作させた方が圧倒的に快適だと思います。
「RTX 4060」との比較では約3.6%まで優位性は縮まり、ほぼ同等の性能です。4Kゲームでも16GB VRAMが大きく活きている印象は見受けられませんでした。「RX 7600」との比較では約15.6%上回り、1080pの約9.3%差よりは少しが広がってはいるものの、結局は誤差レベルで同等の低い性能です。
一応、一部のVRAM容量が重量なタイトルでは競合モデルよりもやや高いfpsを記録することがあったものの、結局fps自体は低いので、そこを優位性と取れるかは微妙なところです。
電力関連
消費電力
ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」で、解像度は「3840×2160(4K)」です。
GPU名称 | 消費電力 |
---|---|
RTX 4060 | 128W |
RTX 3050 | 132W |
RTX 4060 Ti 8GB | 152W |
RX 7600 | 152W |
RX 6600 XT | 159W |
RTX 4060 Ti 16GB | 165W |
RTX 3060 | 183W |
RX 7600 XT | 193W |
RTX 4070 | 201W |
RTX 3060 Ti | 205W |
RTX 4070 SUPER | 218W |
RX 6700 XT | 224W |
RX 7700 XT | 228W |
RTX 3070 | 232W |
Arc A770 16GB | 235W |
RX 7800 XT | 250W |
RTX 4070 Ti | 277W |
RTX 4070 Ti SUPER | 292W |
RX 6800 XT | 294W |
RX 6900 XT | 300W |
RTX 3070 Ti | 302W |
RTX 4080 | 304W |
RX 7900 XT | 312W |
RTX 3080 10GB | 336W |
RX 7900 XTX | 353W |
RTX 3090 | 368W |
RTX 4090 | 411W |
RTX 3090 Ti | 537W |
消費電力は性能の割に高い190W台
ゲーム時の平均消費電力はTBPの190Wとほぼ同じ193Wでした。性能を考えると高いです。「RTX 4060」は128Wとなっており、ゲーム性能は同等レベルながら65Wも少ないです。排熱や電源面でも扱いに少し差が出るレベルなので、明らかに不利な部分です。
ワットパフォーマンス
ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています。測定に使用されたゲームは「Cyberpunk 2077(4K/Ultra/レイトレ無効)」です。
GPU名称 | 1フレームあたりの消費電力 |
---|---|
RTX 4080 | 4.0W |
RTX 4070 SUPER | 4.1W |
RTX 4090 | 4.2W |
RX 7900 XTX | 4.4W |
RTX 4060 Ti 8GB | 4.5W |
RTX 4070 | 4.5W |
RX 7900 XT | 4.7W |
RTX 4070 Ti SUPER | 4.7W |
RTX 4070 Ti | 4.7W |
RX 7800 XT | 4.9W |
RTX 4060 Ti 16GB | 5.1W |
RTX 4060 | 5.3W |
RX 7600 | 5.7W |
RX 7700 XT | 5.7W |
RTX 3070 | 6.0W |
RX 6900 XT | 6.2W |
RTX 3060 Ti | 6.2W |
RTX 3090 | 6.3W |
RX 6600 | 6.3W |
RX 6800 XT | 6.5W |
RTX 3080 10GB | 6.5W |
RX 7600 XT | 6.6W |
RX 6600 XT | 6.9W |
RTX 3070 Ti | 7.3W |
Arc A770 16GB | 7.3W |
RX 6700 XT | 7.4W |
RTX 3060 | 7.5W |
RTX 3050 | 8.0W |
RTX 3090 Ti | 8.0W |
ワットパフォーマンスは同世代の中では明らかに悪い
ワットパフォーマンスは同世代GPUの中で明らかに悪いです。
フレームあたりの消費電力は「RTX 4060」から+24.5%と格段に多いです。元々同世代では効率が悪い部類だった「RX 7600」と比べても約15.8%も多くなってしまっています。
何なら、前世代の高効率GPUにも少し劣るレベルになっており、最新世代のGPUとしては不甲斐ない結果です。「RX 7600」のダイをそのまま無理やり強化しようとした代償かなと思います。
レイトレーシング性能
レイトレーシング性能
レイトレーシング性能を見ていきます。レイトレーシングはメインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性があります。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4080 | 127.3 |
RTX 4070 Ti SUPER | 116.4 |
RTX 4070 Ti | 110.2 |
RTX 3090 Ti | 107.8 |
RTX 4070 SUPER | 103.4 |
RTX 3090 | 99.0 |
RX 7900 XT | 93.2 |
RTX 4070 | 91.9 |
RTX 3080 10GB | 90.1 |
RX 7800 XT | 75.4 |
RX 6900 XT | 72.7 |
RTX 3070 Ti | 71.3 |
RTX 4060 Ti 16GB | 71.1 |
RX 6800 XT | 68.5 |
RTX 3070 | 68.4 |
RTX 4060 Ti 8GB | 67.4 |
RX 7700 XT | 66.4 |
RTX 3060 Ti | 60.3 |
RX 6800 | 58.9 |
RTX 4060 | 54.5 |
RX 6700 XT | 48.9 |
RX 7600 XT | 46.6 |
RX 7600 | 39.5 |
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4080 | 98.6 |
RTX 4070 Ti SUPER | 88.1 |
RTX 3090 Ti | 82.5 |
RTX 4070 Ti | 82.3 |
RTX 4070 SUPER | 75.9 |
RTX 3090 | 74.7 |
RX 7900 XT | 70.4 |
RTX 3080 10GB | 67.0 |
RTX 4070 | 66.7 |
RX 7800 XT | 54.9 |
RX 6900 XT | 52.1 |
RTX 4060 Ti 16GB | 50.1 |
RX 6800 XT | 49.1 |
RX 7700 XT | 47.0 |
RTX 3070 Ti | 43.9 |
RX 6800 | 42.4 |
RTX 3070 | 42.0 |
RTX 4060 Ti 8GB | 40.9 |
RTX 3060 Ti | 37.2 |
RX 6700 XT | 33.5 |
RTX 4060 | 33.1 |
RX 7600 XT | 33.0 |
RX 7600 | 23.3 |
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4080 | 57.1 |
RTX 4070 Ti SUPER | 50.4 |
RTX 3090 Ti | 48.8 |
RTX 3090 | 43.4 |
RX 7900 XT | 39.2 |
RTX 4070 Ti | 36.6 |
RTX 4070 SUPER | 34.2 |
RTX 4070 | 30.2 |
RX 7800 XT | 30.1 |
RTX 3080 10GB | 29.0 |
RX 6900 XT | 28.2 |
RTX 4060 Ti 16GB | 27.3 |
RX 6800 XT | 26.5 |
RX 6800 | 22.8 |
RX 7700 XT | 21.1 |
RTX 3070 Ti | 19.9 |
RTX 3070 | 18.5 |
RTX 4060 Ti 8GB | 17.6 |
RTX 3060 Ti | 16.7 |
RX 7600 XT | 16.6 |
RX 6700 XT | 16.1 |
RTX 4060 | 14.6 |
RX 7600 | 7.1 |
レイトレーシング性能は低い
ネイティブのレイトレーシング性能は低いです。1080pでもfpsはかなり低いので、基本的には他のアップスケーリングとの併用が基本になると思います。
ただし、少し16GB VRAMが活きている様子も見られました。レイトレーシングはVRAMを大量に消費するため、特に1440p~4Kにおいては8GB以下のVRAMだとfpsが激減し、まともにプレイできないというタイトルが出てきますが、「RX 7600 XT」はそこがネックでfpsが低下しているということは見受けられませんでした。
とはいえ、そもそも1080pでも低fpsなので4Kで使うことを想定するGPUではないですし、結局アップスケーリングが前提になると思うので、実用性面では差でもないのかなと思います。
コストパフォーマンス
上述のfpsを基にGPUの1フレームあたりの価格を算出し、コストパフォーマンスを比較しています。数値が低い方が良い点に注意です。各GPUの価格は、記事執筆時点のおおよその市場最安値価格です。ラスタライズとレイトレーシング時の両方を見ていきます。
元のゲーミング性能の解像度は1440pを用いています。4Kなどではやや結果が異なる可能性がある点に注意です。
1フレームあたりの価格(ラスタライズ)
まずはラスタライズ性能のコスパです。上述の1440pゲーム時の性能と現在の市場価格を基に、1フレームあたりの価格を算出し、コスパとして比較しています。
また、「RX 7600 XT」の初動想定価格は6万円前後くらいとされているようですが、329ドルという設定を考えるとこれは高すぎるので、勝手ながら雑に52,800円として計算しています。
GPU名称 | 1フレームあたりの価格 | 価格 |
---|---|---|
RX 7600 | ¥639 | ¥36,980 |
RX 6700 XT | ¥667 | ¥49,580 |
RTX 3070 Ti | ¥670 | ¥58,800 |
RX 6600 XT | ¥677 | ¥37,980 |
RTX 4060 | ¥701 | ¥42,980 |
RTX 3060 12GB | ¥709 | ¥38,800 |
RTX 3070 | ¥724 | ¥59,800 |
RX 7700 XT | ¥725 | ¥66,800 |
RX 7800 XT | ¥730 | ¥79,800 |
RTX 4060 Ti 8GB | ¥744 | ¥57,400 |
RTX 3050 | ¥760 | ¥29,800 |
RTX 3060 Ti | ¥765 | ¥54,800 |
Arc A770 16GB | ¥781 | ¥46,800 |
RTX 4070 SUPER ※発売直後 | ¥805 | ¥95,480 |
RTX 4070 | ¥810 | ¥83,800 |
RX 7600 XT※5.28万円想定 | ¥825 | ¥52,800 |
RX 6800 XT | ¥831 | ¥88,800 |
RTX 3080 10GB | ¥837 | ¥88,800 |
RX 7900 XT | ¥858 | ¥120,000 |
RTX 4070 Ti | ¥858 | ¥109,980 |
RX 6900 XT | ¥858 | ¥97,800 |
RTX 4060 Ti 16GB | ¥882 | ¥68,800 |
RTX 4070 Ti SUPER※発売直後 | ¥926 | ¥127,380 |
RX 7900 XTX | ¥939 | ¥149,800 |
RTX 4080 | ¥1,167 | ¥179,800 |
RTX 4090 | ¥1,594 | ¥299,800 |
競合GPUと比べると一段劣るコスパ
1440pにおけるラスタライズ性能コスパは上記のようになっています。上位は値下がりが進んだ旧世代GPUが多くを占めている状況です。
「RX 7600 XT」のゲームコスパは競合モデルと比べると明らかに劣っています。「RTX 4060」や「RX 7600」は全体で見てもかなり高コスパなこともあり、その差は大きいです。メーカーの希望小売価格的には5万円を下回る可能性もあるものの、それを考慮したとしても差があるレベルです。
上述のゲーム性能を見ても、16GB VRAMが活きている印象はほぼ無かったことを考えても、ゲームコスパ重視なら向かないGPUになると思います。
1フレームあたりの価格(レイトレーシング)
次にレイトレーシング時のコスパを見ていきます。DLSSやFSR等のアップスケーリング技術は使用していない場合のものになります。
GPU名称 | 1フレームあたりの価格 | 価格 |
---|---|---|
RTX 4070 | ¥1,256 | ¥83,800 |
RTX 4070 SUPER ※発売直後 | ¥1,258 | ¥95,480 |
RTX 3080 10GB | ¥1,325 | ¥88,800 |
RTX 4070 Ti | ¥1,336 | ¥109,980 |
RTX 3070 Ti | ¥1,339 | ¥58,800 |
RTX 4060 Ti 16GB | ¥1,373 | ¥68,800 |
RTX 4060 Ti 8GB | ¥1,403 | ¥57,400 |
RX 7700 XT | ¥1,421 | ¥66,800 |
RTX 3070 | ¥1,424 | ¥59,800 |
RX 7800 XT | ¥1,454 | ¥79,800 |
RTX 3060 Ti | ¥1,473 | ¥54,800 |
RTX 4070 Ti SUPER ※発売直後 | ¥1,476 | ¥127,380 |
RX 6700 XT | ¥1,480 | ¥49,580 |
RX 7600 | ¥1,587 | ¥36,980 |
RX 7600 XT ※5.28万円想定 | ¥1,600 | ¥52,800 |
RX 7900 XT | ¥1,705 | ¥120,000 |
RX 6800 XT | ¥1,809 | ¥88,800 |
RTX 4080 | ¥1,824 | ¥179,800 |
RX 6900 XT | ¥1,877 | ¥97,800 |
レイトレーシングのコスパも悪い
レイトレシーングのコスパもラスタライズと同様に悪いです。
とはいえ、元々レイトレーシング性能を期待するGPUではなく、当然レイトレコスパを気にする人もほとんど居ないと思うので、こちらはあまり意味のない情報かもしれません。
クリエイティブ用途
比較の最後は、クリエイティブ用途でのパフォーマンスを見ていきます。
一般的な動画編集等の基準性能としてFP32(単精度浮動小数点演算)の理論演算性能、「Blender」におけるGPUレンダリング性能、「SPECviewperf 2020 v3」によるOpenGL性能、AIイラスト生成ソフト「Stable Diffusion」の性能をそれぞれ見ていきたいと思います。
また、ここのテストは上述までとは異なるテストシステムを使用した海外レビュー(Tom’s Hardware)を参考にしています。「Core i9-13900K」と「DDR5-6600 CL34 32GB(16GBx2)」が使用されています。他の条件について気になる方は上述の参考リンクをご覧ください。
理論演算性能(FP32)
FP32(単精度浮動小数点演算)は、理論演算性能を示す一つの指標です。単位はTFLOPS(テラフロップス)を用います。実際のテストから算出するものではなく、シェーダーユニット数(対応の演算器の数)とクロックから計算した、理論上の処理性能を表します。製品によってクロックが異なるので、下記の表の数値と異なる可能性がある点に注意です。
一般的な動画編集においてのクリエイティブ性能は、このFP32とVRAMの性能(データ量が多い処理の場合)によって比例する傾向があります。実際「Premiere Pro CC」や「Davinci Resolve」などの主要な動画編集ソフトでの編集やプレビュー速度はある程度比例する傾向があるので、まず参考に見ていこうと思います(完全に一致する訳ではないので注意)。
GPU名称 | FP32(TFLOPS) |
---|---|
RX 7900 XTX 24GB 960GB/s | 61.42 |
RX 7900 XT 20GB 800GB/s | 51.48 |
RTX 4080 16GB 716.8GB/s | 48.74 |
RTX 4070 Ti SUPER 16GB 672GB/s | 44.10 |
RTX 4070 Ti 12GB 504GB/s | 40.09 |
RX 7800 XT 16GB 624GB/s | 37.32 |
RTX 4070 SUPER 12GB 504GB/s | 35.48 |
RX 7700 XT 12GB 432GB/s | 35.17 |
RTX 3080 10GB 760GB/s | 29.77 |
RTX 4070 12GB 504GB/s | 29.15 |
RX 7600 XT 16GB 288GB/s | 22.57 |
RTX 4060 Ti 8GB / 16GB 288GB/s | 22.06 |
RTX 3070 Ti 8GB 608GB/s | 21.75 |
RX 7600 8GB 288GB/s | 21.75 |
RX 6800 XT 16GB 512GB/s | 20.74 |
RTX 3070 8GB 448GB/s | 20.31 |
Arc A770 16GB 16GB 560GB/s | 17.20 |
RTX 3060 Ti 8GB 448GB/s | 16.20 |
RX 6800 16GB 512GB/s | 16.17 |
RTX 4060 8GB 272GB/s | 15.11 |
RX 6700 XT 12GB 384GB/s | 13.21 |
RTX 3060 12GB 12GB 360GB/s | 12.74 |
RX 6600 XT 8GB 256GB/s | 10.61 |
RTX 3050 8GB 224GB/s | 9.10 |
RX 6600 8GB 224GB/s | 8.93 |
RX 7600からクロック分の向上
FP32性能はRX 7600からクロック分向上しています。VRAM容量が増えたこともあり、一般的な動画編集の各動作の快適度が少し上がることは期待できるかもしれません。
Blender(3DのGPUレンダリング)
「Blender」は人気のある定番のレンダリングソフトです。「Blender 3.6.0」を用いた「Blender Benchmark」の3つのテスト結果の幾何平均を総合スコアとし、比較していきます。
「Blender 3.6.0」では、AMD、NVIDIA、Intel Arc GPUでレイトレーシングを使用するCycles Xエンジンが含まれているため、レイトレーシング性能も重要となります。しかし、どうやら「Blender 3.6.0」ではレイトレーシング用のコアを直接使用するのではなく、メインのGPUシェーダーを介しての処理となるようです。そのため、RTコアではなくメインのGPUコア(CUDAコア)でレイトレーシングを高速化できるエンジンの「Optix」を持つGeForceに現状では優位性があります。
GPU名称 | 総合スコア(幾何平均) |
---|---|
RTX 4080 | 3119.6 |
RTX 4070 Ti SUPER | 2732.0 |
RTX 4070 Ti | 2368.5 |
RTX 4070 SUPER | 2310.1 |
RTX 4070 | 1943.2 |
RTX 4060 Ti 8GB | 1419.4 |
RTX 4060 Ti 16GB | 1371.2 |
RTX 3070 Ti | 1356.2 |
RX 7900 XTX | 1252.9 |
RTX 4060 | 1160.3 |
RX 7900 XT | 1144.1 |
RX 7800 XT | 752.6 |
Arc A770 16GB | 696.5 |
RX 7700 XT | 649.7 |
RX 7600 XT | 434.7 |
RX 7600 | 422.5 |
RadeonはBlenderのレンダリング性能が低い
Blenderにおけるレンダリング性能は、GeForceの方が圧倒的に有利で、Radeonは低いです。
Radeonかつ下位モデルにあたる「RX 7600 XT」の性能は非常に低いです。この性能の低さではVRAM容量の差もほぼ意味がないので、RX 7600とほぼ同等です。
この差は処理の仕組みがGeForce有利に働いているので仕方がなく、この劇的な差が維持されるかは各GPUメーカーのドライバなどによる改善や、ソフト側の最適化によるものの、少なくとも現状Blenderでのレンダリングを想定するならGeForce一択というのは覚えておくと良いかもしれません。
SPECviewperf 2020 v3(OpenGL)
「SPECviewperf 2020 v3」はOpenGL性能を測るベンチマークです。OpenGLはクロスプラットフォームに対応した汎用型のグラフィックスライブラリとなっており、ゲームだけでなく幅広い分野で利用されています。
今回見るのは「SPECviewperf 2020 v3」の8つのテストの総合スコア(幾何平均)です。ただし、一般的にはテストに使用される処理全てを利用する人はほぼ居ないと思うため、自分が使用するアプリケーションで使用される処理について確認することが重要な点は留意しておきましょう。今回は総合的な性能で相対的な差を求めるために、幾何平均による総合スコアを用いています。
GPU名称 | 総合スコア(幾何平均) |
---|---|
RX 7900 XTX | 202.79 |
RX 7900 XT | 178.16 |
RX 7800 XT | 129.15 |
RX 7700 XT | 112.95 |
RTX 4080 | 98.57 |
RTX 4070 Ti SUPER | 88.95 |
RX 7600 XT | 83.67 |
RTX 4070 Ti | 80.29 |
RX 7600 | 79.14 |
RTX 4070 SUPER | 75.98 |
RTX 4070 | 66.71 |
RTX 3070 Ti | 56.17 |
RTX 4060 Ti 16GB | 51.12 |
RTX 4060 Ti 8GB | 50.92 |
RTX 4060 | 43.51 |
Arc A770 16GB | 30.78 |
OpenGL性能はRadeonの方が圧倒的に有利
OpenGL性能は、GeForceよりもRadeonの方が圧倒的に有利となっています。
この差はGPU性能差によるものではなく、NVIDIAがゲーム向けのGeForceではOpenGL性能に制限を強く掛けているためです。同社のプロフェッショナル向けGPUの需要を維持するための調整となっています。
Radeonでも同様にプロフェッショナル向けのGPUがあり、ゲーム向けGPUでは制限が掛けられていますが、その制限がGeForceよりは緩いです。そのため、ゲーム向けGPU同士の比較だとRadeonの方が明らかに良く見えるという状況になっています。
「RTX 4060」と比べると2倍近く高い性能を発揮しており、ここは明らかに有利です。ただし、「RX 7600」への優位性はわずか5.7%であり、16GB VRAMはほぼ活きていないので、コスパ的にはXTを選ぶ必要はありません。
Stable Diffusion(AIイラスト生成)
現在、AIイラストソフトで人気のある「Stable Diffusion」を用いて、AIイラストの生成時間を比較しています。よく利用されるAIイラスト生成ソフトは他にもありますが「Stable Diffusion」が恐らくは一番定番と言えるものだと思います。
各GPUで「768×768の20枚の画像を生成するのに掛かる時間」を測定し、1分あたり何枚の画像を生成できるかを各GPUで算出して比較しています。
GPU名称 | 1分あたりの生成枚数 |
---|---|
RTX 4080 | 20.320 |
RTX 4070 Ti SUPER | 18.060 |
RTX 4070 Ti | 15.888 |
RTX 4070 SUPER | 14.234 |
RTX 4070 | 12.861 |
RX 7900 XTX | 10.915 |
RTX 3070 Ti | 10.617 |
RX 7900 XT | 9.545 |
RTX 4060 Ti 8GB | 8.587 |
RTX 4060 Ti 16GB | 8.457 |
RX 7800 XT | 7.031 |
RTX 4060 | 6.990 |
RX 7700 XT | 6.205 |
Arc A770 16GB | 4.697 |
RX 7600 XT | 4.143 |
RX 7600 | 3.489 |
性能自体は低く、実用レベルか怪しいけど、RX 7600からはやや向上
Stable Diffusionにおけるイラスト生成性能は低いです。
RadeonはGeForceの競合モデルよりも全体的に大容量のVRAMを搭載するため、理論上はAIイラスト生成でも高い性能を発揮できるはずですが、ソフトやGPUの基本仕様や最適化、AI性能などでGeForceが有利なため、現状はGeForce一択レベルの大きな性能差があります。
「RX 7600 XT」の実際のパフォーマンスとしては、768×768 解像度の場合の1分あたりで生成画像数は4枚です。そこまで高解像度でなくても待ち時間が結構発生するレベルなので、実用性能も低いです。
「RTX 4060」は約68.7%高速で、1分あたり約7枚生成することができます。快適と言えるレベルではなさそうなものの、低解像度なら普通に使えるレベルだとは思いますので、RX 7600 XTよりはやはり有利です。
ただ、画像生成AIは高解像度になるほどVRAMの要求容量が高くなることで知られており、768×768より上の解像度となると8GBでは厳しいことが多いレベルです。高解像度となると16GB以上以上が望まれるレベルの高い要求度になります。
768×768でも8GBだと若干ネックになってくるレベルなので、「RX 7600」と比べると約18.7%高速となっており、これまでの比較よりも大きな差ができています。16GB VRAMが活きていることが伺えますし、より上の解像度だとこの差は更に広がるはずです。
そのため、現状ではRadeonは最適化や相性面のせいで勝ち目がありませんが、それらが改善された際には16GB VRAMが大きく貢献する可能性もあります。一応は768×768でも使えないことはない性能ではありますし、仮に改善された場合には「RTX 4060」や「RX 7600」を上回ることになるので、「今は使う予定はないけど将来的に使えれば良い」という将来性に期待するなら無くはない…という見方もできますが、
そもそも現時点で生成AIに興味がないなら尚更「RTX 4060」とか「RX 7600」の方がコスパが基本良いという話になるので、結局のところ「RX 7600 XT」が現状コスパや実用性で上に立てる用途はほぼない気がするのが本音です。
まとめ
Radeon RX 7600 XT
- 1080pなら基本快適なゲーム性能
- 安価で大容量の16GB VRAM
- AFMFによるフレーム生成機能
- AV1デコードおよびエンコードをサポート
- 高解像度や1440pゲームでは頼りない性能
- 競合GPUよりも一段劣るゲームコスパ
- 16GB VRAMが活きる場面が思ったよりも少ない
- 性能の割には多い消費電力(TBP:190W)
- ワットパフォーマンスが他の同世代GPUに劣る
RX 7600 XT:素の性能が高くないためか、16GB VRAMが活きる場面が思ったより少なく、効率面が悪化したRX 7600という印象
「RX 7600 XT」の最大の魅力は、329ドルという安価で16GBの大容量VRAMを搭載している点です。他の物理仕様は「RX 7600」と同一なので、XTの価値はVRAMがどう活きるかということと、それに60ドルの追加費用の価値があるかという点です。
そして、残念ながら、ほとんどの面で16GB VRAMが活きている印象はなく、性能アップはクロック上昇分だけという感じでした。
よって、価格の上昇分コスパは悪化してしまった他、VRAMやクロック上昇に伴い消費電力が増えた分ワットパフォーマンスも悪化してしまっていたので、正直現状選ぶ価値はほとんど感じませんでした。
強いて挙げるなら、1440p以上のレイトレーシングでは競合モデルよりもわずかに高い性能を発揮し、VRAMが足りずにfpsが激減するということはなかった点は褒める要素かもしれません。ただし、そもそもの性能的にレイトレーシングは1080pですら快適とは言えないレベルで、アップスケーリング併用が前提レベルなので、1440p以上での性能には意味をあまり感じないのが本音です。
また、Stable Diffusionによるイラスト生成に関しては、最適化やCUDA関連で現状はRadeonではGeForceに勝ち目がないレベルなのも大きいです。そこに関しては「RX 7600」からやや向上が見られたので16GB VRAMが活きてはいたのですが、性能自体が低すぎて評価できるレベルではなかったです。一応、解像度が高くなると8GBでは生成するのが不可能になったりするところ、7600 XT(16GB)なら生成自体は可能という点では利点がありはします。ただ、速度がかなり遅いので、やはり評価できるかは微妙なレベルかなと思います。
一応、RadeonのStable Diffusionの性能も、以前と比べれば改善が進んでいますし、今後はそれなりに使えるように可能性はあるので、その将来性を期待して16GB VRAMの「RX 7600 XT」を選んでおくということには意味がない訳ではありません。なのですが、そもそも今使わないのなら尚更「RTX 4060」や「RX 7600」の方がコスパもワットパフォーマンスも良いですよって話になりますし、Stable Diffusionを多少意識するにしても「RTX 3060 12GB」という無難で安価な選択肢がありますから、「RX 7600 XT」が高い優先度なりそうなケースがほとんど見当たりません。おすすめはしませんが、「Arc A770 16GB」も同じ価格帯にありますから、より無難だったりコスパの良いGPUが他にたくさんあるのが厳しそうな印象です。
もし多少有利になる他のケースがあるとしても、「RX 7600」からのコスパとワットパフォーマンス悪化を正当化しつつ、他の代替GPUより上になる可能性があるかは怪しく感じてしまいます。
ただ、16GB VRAMが活きるのは画像生成AIだけでなく、最近利用の進んでいるメタバース系(VRChatやcluster)や、オブジェクトを多数配置する系のシミュレーションゲームなどがあります。そちらに関してはNVIDIAへの不利もほぼ無いと思うので、そこを重視して見るのに限ってはかなり強力な選択と言えるのではないかと思います。
上記を踏まえると、特定の使い方や今後の状況次第では良くなる可能性もあるけど、他GPUとの兼ね合いや、安定感というところで見ると、現状はちょっと立ち位置の厳しいGPUなのかなと思います。
といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。