「Radeon RX 7900 GRE」ざっくり評価【性能比較】

「Radeon RX 7900 GRE」ざっくり評価

AMD「Radeon RX 7900 GRE」のざっくり性能比較・評価です。海外レビューを参考に性能をざっくりと確認していきます。

注意

本記事の情報は記事執筆時点(2024年3月6日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

仕様

まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。

簡易比較表

※価格は2024年3月6日時点での米での希望小売価格です(判明しているもののみ)。

GPUシェーダー
ユニット数
メモリタイプVRAM速度
VRAM帯域幅
レイトレ用
ユニット数
ダイサイズ
(おおよそ)
消費電力
(TGP等)
参考価格
RTX 409016384GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
128608㎟450W1,599ドル
RTX 4080 SUPER10240GDDR6X
16GB 256bit
23.0Gbps
736.3GB/s
80380㎟320W999ドル
RTX 40809728GDDR6X
16GB 256bit
22.4Gbps
716.8GB/s
76380㎟320W1,199ドル
→廃止予定
RX 7900 XTX6144GDDR6
24GB 384bit
20Gbps
960GB/s
9636.6㎟*6 +
300㎟
355W969ドル
RX 7900 XT5376GDDR6
20GB 320bit
20Gbps
800GB/s
8436.6㎟*6 +
300㎟
315W799ドル
→749ドル?
RTX 4070 Ti SUPER8448GDDR6X
16GB 256bit
21.0Gbps
672GB/s
66295㎟285W799ドル
RTX 4070 Ti7680GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
60295㎟285W799ドル
→廃止予定
RTX 3090 Ti10752GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
84628.4㎟450W1,499ドル
RTX 309010496GDDR6X
24GB 384bit
19.5Gbps
936GB/s
82628.4㎟350W1,299ドル
RX 7900 GRE5120GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
8036.6㎟*6 +
300㎟
260W549ドル
RX 6950 XT5120GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
80519㎟335W949ドル
RX 6900 XT5120GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
80519㎟300W699ドル
RTX 3080 Ti10240GDDR6X
12GB 384bit
19Gbps
912GB/s
80628.4㎟350W1,099ドル
RTX 3080 10GB8704GDDR6X
10GB 320bit
19Gbps
760GB/s
68628.4㎟320W699ドル
RTX 4070 SUPER7168GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
56295㎟220W599ドル
RTX 40705888GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
46295㎟200W549ドル
前:599ドル
RX 7800 XT3840GDDR6
16GB 256bit
19.5Gbps
624GB/s
6037.5㎟*4 +
200㎟
263W499ドル
RX 6800 XT4608GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
72519㎟300W599ドル
RTX 3070 Ti6144GDDR6X
8GB 256bit
19Gbps
608GB/s
48392㎟290W599ドル
RX 68003840GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
60519㎟250W549ドル
RX 7700 XT3456GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
5437.5㎟*4 +
200㎟
245W419ドル
前:449ドル
RTX 4060 Ti 8GB4352GDDR6
8GB 128bit
18Gbps
288GB/s
34190㎟160W399ドル
RTX 30705888GDDR6
8GB 256bit
14Gbps
448GB/s
46392㎟220W499ドル
RX 6750 XT2560GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
40336㎟250W419ドル
RTX 3060 Ti4864GDDR6
8GB 192bit
14Gbps
448GB/s
38392㎟200W399ドル
RX 6700 XT2560GDDR6
12GB 192bit
16Gbps
384GB/s
40336㎟230W379ドル
Arc A770 16GB4096GDDR6
16GB 256bit
17.5Gbps
560GB/s
32406㎟225W349ドル
Arc A770 8GB4096GDDR6
8GB 256bit
16Gbps
512GB/s
32406㎟225W329ドル
RX 7600 XT2048GDDR6
16GB 128bit
18Gbps
288GB/s
32204㎟190W329ドル
RTX 30603584GDDR6
12GB 192bit
15Gbps
360GB/s
28276㎟170W329ドル
RTX 40603072GDDR6
8GB 128bit
17Gbps
272GB/s
24156㎟115W299ドル
RX 6650 XT2048GDDR6
8GB 128bit
17.5Gbps
288GB/s
32237㎟180W299ドル
Arc A7503584GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
28406㎟225W289ドル
RX 76002048GDDR6
8GB 128bit
18Gbps
288GB/s
32204㎟165W269ドル
RX 6600 XT2048GDDR6
8GB 128bit
16Gbps
256GB/s
32237㎟160W
RTX 30502560GDDR6
8GB 128bit
15Gbps
224GB/s
20276㎟130W249ドル
RX 66001792GDDR6
8GB 128bit
14Gbps
224GB/s
28237㎟132W239ドル

今回見ていくのはRDNA 3アーキテクチャ採用のRadenon RX 7900 GRE」です。元々は中国専売モデルでしたが、結局グローバル投入されることになりました。恐らくは「RTX 4070 SUPER」への対抗製品として投入だと思われます。ちなみに、GREは「Golden Rabbit Edition」の略で、発売年である2023年が中国で兎年にあたることに由来しています。また、実際の性能は「RX 7900 XT」と「RX 7800 XT」の中間あたりに位置するので、単に「RX 7900(無印)」として考えた方が分かり易いかと思います。

「RX 7900 GRE」の希望小売価格は549ドルに設定にされており、「RX 7800 XT」より50ドル高く、現在の「RTX 4070」と同じ価格(2024年3月時点)です。「RTX 4070」のラスタライズ性能は「RX 7800 XT」と同等ですが、「RX 7900 GRE」は「RX 7800 XT」よりもストリーミングプロセッサーが33%も多いので、基本性能コスパは大きく上回ることが期待されるのが大きな魅力です。

発売直後の実売価格は95,800円~となっており、適性価格からプラス1万円くらいと高額になってしまってはいますが、適正価格であるはずの8万円台中盤まで値下りすれば、高い基本性能と16GB VRAMを備える高コスパな準ハイエンドGPUとして競争力があると思います。

余談ですが、「RX 7900 GRE」の発売に際して「RX 7700 XT」の希望小売価格が30ドル値下げされ、419ドルへと変更になっています。7900 GREの投入による影響にしては変更する箇所が変なので、単に「RTX 4060 Ti 8GB」への競争力を高めるための対処かと思われます。

次に物理仕様を見てみると、「RX 7900 GRE」は他のデスクトップ向けの「RX 7000シリーズ」とは異なり、モバイル向けGPUダイを基にしているのが面白い点です。

使用されるGPUダイの名称は「Navi 31」なので「RX 7900 XT/XTX」で使われているものと同じかと思いますが、モバイル向けGPUの方に由来するものなので、実際には少し異なります。ノード面は同様でTSMCの「5nm(GCD)」+「6nm(MCD)」で、ダイサイズも同じですが、パッケージサイズがやや小さくなっています。

また、MCDは2つが無効な他、消費電力削減により電気的な部品もXT/XTXから削減されるので、コスト面で利点があります。「RX 7900 XT」から200ドルも安くできるのは恐らくこれが理由です。

ストリーミングプロセッサー数を見てみると、「RX 7900 GRE」は5120で、「RX 7800 XT」の3840よりも約33%も多いです。価格は50ドル(+10%)しか変わらないのにこの差は驚きです。これが本GPUの最大の魅力です。クロックは少し低下していたり、TBPはほぼ据え置きの260Wだったりなどの制限はあるので、実性能ではそこまでの差は出ませんが、それでも大きな向上が見込まれます。先にも触れた通り「RX 7800 XT」でも「RTX 4070」に匹敵するラスタライズ性能があるので、基本性能コスパは大きく上回ることが期待されます。

次にメモリ性能ですが、VRAMは16GB 256bitで、メモリクロックは18.0Gbps、メモリバス帯域幅は576GB/sです。「RX 7800 XT」と容量は同じで、クロックと帯域幅が若干低下していますが、ほぼ同等のVRAM性能です。10万円未満のGPUとしては優れたVRAM性能を備えるのも魅力です。Infinity Cacheは64MBで、こちらも「RX 7800 XT」と同じ容量です。

対抗製品である「RTX 4070 / RTX 4070 SUPER」の12GB VRAMを上回るのは優位性ですが、その他の面で現状ではやはりCUDAの利点が方が大きいのが割と致命的ではあります。特に、最近注目度の高い用途、生成AIなどでもCUDA(NVIDIA製 GPU)に最適化されていることが多く、VRAM容量も重要ではあるものの、その差を覆すほどではない印象です。対応できる用途の範囲と実用面での差を考えると、「Radeonの16GB VRAM」の優位性をどれほどの大きさで考えるかは評価が難しいところがあります。

といった感じで「Radeon RX 7900 GRE」自体の仕様面の紹介はここまでにして、以下からは「Radeon RX 7000シリーズ」に共通する仕様面についても軽く触れていこうと思います(基本的に過去記事のコピペです)。

まず映像コーデックの対応で、前世代では「AV1」はデコードだけの対応でしたが、エンコードにも対応しました。ちなみに「RTX 40シリーズ」も同様です。特にクリエイターの方にとっては嬉しい仕様だと思いますし、AV1は将来性があって採用率が高くなっていく可能性も高いため、これは有難いです。

レイトレーシングでは「Ray Accelerator」が前世代の第1世代から第2世代に更新されており、前世代からパフォーマンスが向上したとされています。

アップスケーリングでは、AMDでは専用コアが必要のない「FSR」を推しているため、アップスケーリング用のコアの搭載はありません。また、「FSR」はAMDが提供する技術ですが、オープンソースとして公開されているため、Radeon以外のGPUでも使うことができます。そのため、FSRがアップグレードして性能が上がっても、それは「RX 7000」だけの向上とはならないため、競合モデルとの差にならない点に注意です。

ただし、「RX 7600 XT」の発売とほぼ同時(2024年1月25日ごろ)に提供が始まったAMDのドライバーにて、「AMD Fluid Motion Frames(AFMF)」というフレーム生成機能が正式に利用可能となったのは注目です。こちらはRadeon独自の機能です。

これはフレームをゲームの処理とは別に生成・挿入することでfpsを向上させる機能です。フレーム生成機能は既にDLSS 3などでも利用可能ですが、AFMFのポイントはドライバー(ソフトウェア)による対応のため、専用コアが必要ないだけでなく、ゲーム側による対応も必要ないという点です。非常に手軽に利用することができます。質についてはこれから調べる必要があるものの、「fpsを上げる」という点では非常に魅力的な機能です。

対抗のNVIDIAでは、同社の「DLSS」というアップスケーリング機能を推しており、RTXシリーズでのみ提供(Tensorコアが必要なため)しています。一般的にこの「DLSS」の方が画質は「FSR」よりも優れていると言われており、実際にそんな感じの印象ですが、専用コアとゲーム側の対応の両方が必要となっているのがデメリットとなっています。

最後にAI用コアですが、「RX 7000シリーズ」からはRadeonでも「AI Accelerator」が搭載されるようになり、FP16における処理性能が高まっています。現状はまだ活用されている印象は正直ありませんが、これからAI分野でもRadeonは迫っていこうという意思は見えるのは一応プラス要素かなと思います

といった感じで、カタログスペックについてはここまでとして、実際の各性能について下記から見ていきたいと思います。

ゲーミング性能

ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。今回は25種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。

まずは、レイトレーシングやアップスケリーング等は無効の状態での性能、いわゆるラスタライズ性能を見ていきます。

使用されたグラフィックボードは「Sapphire Radeon RX 7900 GRE Pluse 」、CPUは「Core i9-14900K」で、OSはWindows 11が使用されています。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします。


1080p(1920×1080)

FHD(1920×1080)です。最低限の解像度という感じですが、2024年現在では最も主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、特にFPSやTPSでは出来るだけ高いFPSを維持するためにこの設定にするのが主流だと思います。ただし、RTX 4090など最新世代のハイエンドGPUでは低負荷感も大きくなっているものもあります。

平均FPS(1080p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
223.6
RX 7900 XTX
197.9
RTX 4080 SUPER
195.4
RTX 4080
193.8
RX 7900 XT
179.1
RTX 4070 Ti SUPER
177.8
RTX 4070 Ti
167.6
RTX 3090 Ti
165.4
RX 7900 GRE
157.7
RTX 4070 SUPER
157.6
RTX 3090
153.3
RX 6900 XT
149.2
RX 7800 XT
144.0
RX 6800 XT
140.9
RTX 3080 10GB
139.1
RTX 4070
139.0
RX 7700 XT
124.9
RTX 3070 Ti
116.9
RTX 3070
111.0
RTX 4060 Ti 16GB
107.9
RTX 4060 Ti 8GB
107.0
RX 6700 XT
101.2
RTX 3060 Ti
97.6
RX 7600 XT
89.6
RTX 4060
85.0
RX 7600
82.0
RX 6600 XT
79.3
Arc A770 16GB
77.6
RTX 3060 12GB
74.9
RTX 3050
54.0
参考:TechPowerUp

1080pでは「RTX 4070 SUPER」と同等の性能

1080pのラスタライズ性能では「RTX 4070 SUPER」と同等の性能です。重量級のゲームでも十分なfpsを得ることが可能です。

「RX 7800 XT」と比べると約9.5%高速でした。10%の価格差を考えれば妥当ですが、SP数が33%増加している割には控えめな向上率だとは言えます。消費電力が変わらずにクロックが下がっていることが思ったよりも大きいのかもしれません。

初動価格は適正価格よりも高価な95,800円~ですが、それでも「RTX 4070 SUPER」と同等レベルなので、優れたコスパです。さすがに現状では他の面を考えると分が悪いですが、値下がりすればコスパで上回ることになるので、競争力が出てくるかなと思います。


1440p(2560×1440)

WQHD(2560×1440)です。4Kは重すぎるけど、1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度は1080pですが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。

平均FPS(1440p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
188.1
RX 7900 XTX
159.5
RTX 4080 SUPER
155.8
RTX 4080
154.1
RX 7900 XT
139.9
RTX 4070 Ti SUPER
137.5
RTX 3090 Ti
131.3
RTX 4070 Ti
128.2
RX 7900 GRE
119.7
RTX 3090
119.2
RTX 4070 SUPER
118.6
RX 6900 XT
114.0
RX 7800 XT
109.3
RX 6800 XT
106.8
RTX 3080 10GB
106.1
RTX 4070
103.5
RX 7700 XT
92.1
RTX 3070 Ti
87.7
RTX 3070
82.6
RTX 4060 Ti 16GB
78.0
RTX 4060 Ti 8GB
77.1
RX 6700 XT
74.3
RTX 3060 Ti
71.6
RX 7600 XT
64.0
RTX 4060
61.3
Arc A770 16GB
59.9
RX 7600
57.9
RX 6600 XT
56.1
RTX 3060 12GB
54.7
RTX 3050
39.2
参考:TechPowerUp

1440pも「RTX 4070 SUPER」とほぼ同等

1440pでも「RTX 4070 SUPER」とほぼ同等の性能です。非常に優れた性能で、重いゲームでも十分プレイが可能です。

1440pでもまだVRAMは12GBあれば基本大きく不足することはないので、差はほとんど出ませんでした。


4K(3840×2160)

「超高解像度の代名詞」ともいえる解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、その負荷の大きさから高いFPSを出す事が難しいためTPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはまずないです。処理性能の要求が高いだけでなく、高リフレッシュレートの4Kモニターが非常に高価ということもあり、2023年現在では競技性の高いゲームではあまり利用されません。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。

平均FPS(4K 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
118.7
RX 7900 XTX
96.1
RTX 4080 SUPER
93.7
RTX 4080
92.5
RTX 3090 Ti
81.5
RX 7900 XT
81.0
RTX 4070 Ti SUPER
80.8
RTX 4070 Ti
72.8
RTX 3090
72.5
RX 7900 GRE
67.9
RTX 4070 SUPER
67.5
RX 6900 XT
65.3
RTX 3080 10GB
63.6
RX 7800 XT
62.3
RX 6800 XT
60.7
RTX 4070
58.6
RX 7700 XT
50.7
RTX 3070 Ti
50.5
RTX 3070
47.3
RTX 4060 Ti 16GB
43.2
RTX 4060 Ti 8GB
41.1
RTX 3060 Ti
40.7
RX 6700 XT
40.7
Arc A770 16GB
35.8
RX 7600 XT
34.8
RTX 4060
33.6
RTX 3060 12GB
31.2
RX 7600
30.1
RX 6600 XT
29.2
RTX 3050
21.6
参考:TechPowerUp

4Kでも「RTX 4070 SUPER」と同等の性能

4Kにおいても、平均fpsは「RTX 4070 SUPER」とほぼ同等でした。

一部のVRAM容量が重量なゲームではやや有利に立つこともありますが、ラスタライズにおいては解像度に関係なく「RTX 4070 SUPER」と「RX 7900 GRE」は非常に似た性能を基本的に持つGPUとなっています。

「Cities: Skylines II」など、リアルタイムオブジェクトが増えるごとにVRAM容量が分かり易く増えていくような類のゲームを想定しない限りは、両者の差はわずかです。

電力関連

消費電力

ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」で、解像度は「3840×2160(4K)」です。

GPU平均消費電力(ゲーミング)
GPU名称消費電力
RTX 4060
128W
RTX 3050
132W
RTX 4060 Ti 8GB
152W
RX 7600
152W
RX 6600 XT
159W
RTX 4060 Ti 16GB
165W
RTX 3060
183W
RX 7600 XT
193W
RTX 4070
201W
RTX 3060 Ti
205W
RTX 4070 SUPER
218W
RX 6700 XT
224W
RX 7700 XT
228W
RTX 3070
232W
Arc A770 16GB
235W
RX 7800 XT
250W
RX 7900 GRE
265W
RTX 4070 Ti
277W
RTX 4070 Ti SUPER
292W
RX 6800 XT
294W
RX 6900 XT
300W
RTX 3070 Ti
302W
RTX 4080 SUPER
302W
RTX 4080
304W
RX 7900 XT
312W
RTX 3080 10GB
336W
RX 7900 XTX
353W
RTX 3090
368W
RTX 4090
411W
RTX 3090 Ti
537W
参考:TechPowerUp

消費電力は「RTX 4070 SUPER」よりも40W以上多い260W台

ゲーム時の平均消費電力は265Wでした。前世代GPUよりは大幅に良いですが、「RTX 4070 SUPER」の218Wと比べると明らかに見劣りします。

40W以上の差は電力容量にも影響しますし、260W以上だとデュアルファンが厳しめなのに対し、220Wの「RTX 4070 SUPER」ではデュアルファンモデルが普通に存在しますから、思ったよりも大きな差になっていると思います。

ワットパフォーマンス

ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています。測定に使用されたゲームは「Cyberpunk 2077(4K/Ultra/レイトレ無効)」です。

ワットパフォーマンス(Cyberpunk 2077)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 4080 SUPER
4.0W
RTX 4080
4.0W
RTX 4070 SUPER
4.1W
RTX 4090
4.2W
RX 7900 XTX
4.4W
RTX 4060 Ti 8GB
4.5W
RTX 4070
4.5W
RX 7900 XT
4.7W
RTX 4070 Ti SUPER
4.7W
RTX 4070 Ti
4.7W
RX 7900 GRE
4.8W
RX 7800 XT
4.9W
RTX 4060 Ti 16GB
5.1W
RTX 4060
5.3W
RX 7600
5.7W
RX 7700 XT
5.7W
RTX 3070
6.0W
RX 6900 XT
6.2W
RTX 3060 Ti
6.2W
RTX 3090
6.3W
RX 6600
6.3W
RX 6800 XT
6.5W
RTX 3080 10GB
6.5W
RX 7600 XT
6.6W
RX 6600 XT
6.9W
RTX 3070 Ti
7.3W
Arc A770 16GB
7.3W
RX 6700 XT
7.4W
RTX 3060
7.5W
RTX 3050
8.0W
RTX 3090 Ti
8.0W
参考:TechPowerUp

ワットパフォーマンスは悪くはないけど「RTX 4070 SUPER」に約14.6%も劣る

ワットパフォーマンスは「RX 7800 XT」や「RTX 4070 Ti」と同じくらいで、前世代GPUと比べると大幅に良いので、悪くない数値です。

ただし、最新世代GPUの中ではやや悪めの部類となっており、現状トップクラスの効率の「RTX 4070 SUPER」よりは約14.6%も劣ります。正直相手が悪い感はありますが、やはり価格的には競合は「RTX 4070 SUPER」であり、そこに対して大きく劣るのは明確な弱点にはなると思います。

レイトレーシング性能

レイトレーシング性能

レイトレーシング性能を見ていきます。レイトレーシングはメインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性があります。

レイトレーシングFPS(1080p 幾何平均)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
149.1
RTX 4080 SUPER
128.1
RTX 4080
127.3
RTX 4070 Ti SUPER
116.4
RTX 4070 Ti
110.2
RTX 3090 Ti
107.8
RTX 4070 SUPER
103.4
RX 7900 XTX
103.2
RTX 3090
99.0
RX 7900 XT
93.2
RTX 4070
91.9
RTX 3080 10GB
90.1
RX 7900 GRE
82.3
RX 7800 XT
75.4
RX 6900 XT
72.7
RTX 3070 Ti
71.3
RTX 4060 Ti 16GB
71.1
RX 6800 XT
68.5
RTX 3070
68.4
RTX 4060 Ti 8GB
67.4
RX 7700 XT
66.4
RTX 3060 Ti
60.3
RX 6800
58.9
RTX 4060
54.5
RX 6700 XT
48.9
RX 7600 XT
46.6
RX 7600
39.5
参考:TechPowerUp

レイトレーシングFPS(1440p 幾何平均)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
120.0
RTX 4080 SUPER
99.1
RTX 4080
98.6
RTX 4070 Ti SUPER
88.1
RTX 3090 Ti
82.5
RTX 4070 Ti
82.3
RX 7900 XTX
79.7
RTX 4070 SUPER
75.9
RTX 3090
74.7
RX 7900 XT
70.4
RTX 3080 10GB
67.0
RTX 4070
66.7
RX 7900 GRE
60.6
RX 7800 XT
54.9
RX 6900 XT
52.1
RTX 4060 Ti 16GB
50.1
RX 6800 XT
49.1
RX 7700 XT
47.0
RTX 3070 Ti
43.9
RX 6800
42.4
RTX 3070
42.0
RTX 4060 Ti 8GB
40.9
RTX 3060 Ti
37.2
RX 6700 XT
33.5
RTX 4060
33.1
RX 7600 XT
33.0
RX 7600
23.3
参考:TechPowerUp

レイトレーシングFPS(4K 幾何平均)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
74.9
RTX 4080 SUPER
57.8
RTX 4080
57.1
RTX 4070 Ti SUPER
50.4
RTX 3090 Ti
48.8
RX 7900 XTX
46.1
RTX 3090
43.4
RX 7900 XT
39.2
RTX 4070 Ti
36.6
RTX 4070 SUPER
34.2
RX 7900 GRE
33.0
RTX 4070
30.2
RX 7800 XT
30.1
RTX 3080 10GB
29.0
RX 6900 XT
28.2
RTX 4060 Ti 16GB
27.3
RX 6800 XT
26.5
RX 6800
22.8
RX 7700 XT
21.1
RTX 3070 Ti
19.9
RTX 3070
18.5
RTX 4060 Ti 8GB
17.6
RTX 3060 Ti
16.7
RX 7600 XT
16.6
RX 6700 XT
16.1
RTX 4060
14.6
RX 7600
7.1
参考:TechPowerUp

レイトレーシングは1440p以下では「RTX 4070 SUPER」に約20%劣る性能だけど、4K平均はほぼ同等に

ネイティブのレイトレーシング性能は、1440p以下では「RTX 4070 SUPER」に約20%劣る性能で明らかに不利です。

「RTX 40シリーズ」と「RX 7000シリーズ」ではまだRTX側がレイトレーシングでは有利なので、これは想定内の結果です。とはいえ、競合モデル同士の差としてはかなり大きく、レイトレーシングを前提とするなら基本的に「RTX 4070 SUPER」が大幅に有利です。

しかし、4K平均では一気にその差を縮め同等レベルになっているのが興味深い結果です。

ただし、同じくらいの性能かというとそういう感じでもなく、4Kでもfps有利のタイトルの数は「RTX 4070 SUPER」の方が多いというのは注意です。4Kレベルの負荷では、「RTX 4070  SUPER」の12GB VRAMではfpsがガクッと落ちるのが散見されるため、16GB VRAMの「RX 7900 GRE」の方が大きく有利になるゲームがちらほらある、という感じです。そのため、平均するとたまたま同等になっていますが、全体的に有利なのは以前として「RTX 4070 SUPER」の方ではあります。

そのため、どんな重量級ゲームでもレイトレーシングでのプレイをそこそこ出来るようにしたいなら「RX 7900 GRE」の方が適していますが、レイトレーシングでも出来るだけ快適なタイトルを増やしたいということならやはり「RTX 4070 SUPER」の方が有利ではあります。

しかし、Radeonでは「AFMF」という気軽に使えるフレーム生成機能が最近実装されましたから、それを利用する前提なら、fpsが極端に低下することがない「RX 7900 GRE」の方が有利という見方も出来るかもしれません。

個人の考え方次第だとは思いますが、RX 7900 GREが有利なのが「4Kレイトレの一部の重量級ゲーム」というのはピンポイント過ぎますし、結局無難なのは「RTX 4070 SUPER」かなと思います。

コストパフォーマンス

上述のfpsを基にGPUの1フレームあたりの価格を算出し、コストパフォーマンスを比較しています。数値が低い方が良い点に注意です。各GPUの価格は、記事執筆時点のおおよその市場最安値価格です。ラスタライズとレイトレーシング時の両方を見ていきます。

元のゲーミング性能の解像度は1440pを用いています。4Kなどではやや結果が異なる可能性がある点に注意です。


1フレームあたりの価格(ラスタライズ)

まずはラスタライズ性能のコスパです。上述の1440pゲーム時の性能と現在の市場価格を基に、1フレームあたりの価格を算出し、コスパとして比較しています。

「RX 7900 GRE」の初動価格は95,800円~くらいですが、元の549ドルという価格設定と「RTX 4070 SUPER」への競争力を考えるともう少し値下がりする期待も出来るので、マイナス1万円の85,800円の場合の結果も載せています。

1fあたりの価格(1440p@RT無し)
GPU名称1フレームあたりの価格価格
RX 7600
¥639
¥36,980
RX 6700 XT
¥667
¥49,580
RTX 3070 Ti
¥670
¥58,800
RX 6600 XT
¥677
¥37,980
RTX 4060
¥701
¥42,980
RX 7900 GRE ※値下がり想定
¥717
¥85,800
RTX 3070
¥724
¥59,800
RX 7700 XT
¥725
¥66,800
RTX 3060 12GB
¥728
¥39,800
RX 7800 XT
¥739
¥80,800
RTX 4060 Ti 8GB
¥750
¥57,400
RTX 3060 Ti
¥765
¥54,800
Arc A770 16GB
¥781
¥46,800
RX 6900 XT
¥788
¥89,800
RX 7900 GRE
¥800
¥95,800
RTX 4070
¥810
¥83,800
RTX 3050 8GB
¥811
¥31,800
RTX 4070 SUPER
¥825
¥97,800
RX 6800 XT
¥831
¥88,800
RTX 3080 10GB
¥837
¥88,800
RX 7900 XT
¥858
¥120,000
RTX 4070 Ti
¥858
¥109,980
RTX 4060 Ti 16GB
¥882
¥68,800
RX 7900 XTX
¥966
¥154,000
RTX 4070 Ti SUPER
¥1,017
¥139,800
RTX 4080
¥1,121
¥172,800
RTX 4080 SUPER
¥1,154
¥179,800
RTX 4090
¥1,594
¥299,800
参考:TechPowerUp

ラスタライズのコスパは競合モデルよりも良い

「RX 7900 GRE」のラスタライズコスパは比較的良いです。

やや高価な初動価格でも「RTX 4070」と「RTX 4070 SUPER」をわずかに上回るコスパとなっています。85,800円まで値下がりすることを想定してみると一気に地位を上げ、全GPUで見ても優れたコスパの部類になります。

GPUはハイエンドに近付くとコスパが悪い傾向があるため、このレベルのGPUが上位に入ることはあまり無いのですが、適正価格なら上位に食い込むレベルになります。コスパ上位GPUはミドルレンジGPUが立ち並ぶ中でこの位置凄いと思います。

結局は今後の価格動向次第ではありますが、ラスタライズコスパ特化の上位GPUとしてはトップクラスの存在になるポテンシャルがあります。


1フレームあたりの価格(レイトレーシング)

次にレイトレーシング時のコスパを見ていきます。DLSSやFSR等のアップスケーリング技術は使用していない場合のものになります。

1fあたりの価格(1440p@RT)
GPU名称1フレームあたりの価格価格
RTX 4070
¥1,256
¥83,800
RTX 4070 SUPER
¥1,289
¥97,800
RTX 3080 10GB
¥1,325
¥88,800
RTX 4070 Ti
¥1,336
¥109,980
RTX 3070 Ti
¥1,339
¥58,800
RTX 4060 Ti 16GB
¥1,373
¥68,800
RTX 4060 Ti 8GB
¥1,413
¥57,800
RX 7900 GRE ※値下がり想定
¥1,416
¥85,800
RX 7700 XT
¥1,421
¥66,800
RTX 3070
¥1,424
¥59,800
RX 7800 XT
¥1,472
¥80,800
RTX 3060 Ti
¥1,473
¥54,800
RX 6700 XT
¥1,480
¥49,580
RX 7900 GRE
¥1,581
¥95,800
RX 7600
¥1,587
¥36,980
RTX 4070 Ti SUPER
¥1,587
¥139,800
RX 7900 XT
¥1,705
¥120,000
RX 6900 XT
¥1,724
¥89,800
RTX 4080
¥1,753
¥172,800
RX 6800 XT
¥1,809
¥88,800
RTX 4080 SUPER
¥1,814
¥179,800
RX 7900 XTX
¥1,932
¥154,000
RTX 4090
¥2,498
¥299,800
参考:TechPowerUp

レイトレーシングコスパは「RTX 4070 SUPER」には格段に劣る

1440pのレイトレシーングのコスパは「RTX 4070 SUPER」と比べると格段に悪いです。

初動価格でのフレームあたりのコストは約22.7%も高いです。純粋な性能も大きく負けていますから、レイトレーシング目的ならやはり「RTX 4070 SUPER」が無難です。正直相手が強すぎますね…。

しかし、一応85,800円まで値下がりすることを想定すれば、レイトレコスパは「RTX 3060 Ti / RTX 3070」を追い抜き、「RTX 4060 Ti」にわずかに劣る程度まで前進します。Radeonの割には思ったより悪くない位置です。さすがにその辺りのミドルレンジGPUよりはレイトレでも上回りますし、16GB VRAMやAFMFの利点もあるので、ラスタライズコスパ特化でレイトレコスパも悪すぎなければ良いくらいの考え方なら、意外と悪くない選択肢にはなるかなと思います。

クリエイティブ用途

比較の最後は、クリエイティブ用途でのパフォーマンスを見ていきます。

一般的な動画編集等の基準性能としてFP32(単精度浮動小数点演算)の理論演算性能、「Blender」におけるGPUレンダリング性能、「SPECviewperf 2020 v3」によるOpenGL性能、AIイラスト生成ソフト「Stable Diffusion」の性能をそれぞれ見ていきたいと思います。

また、ここのテストは上述までとは異なるテストシステムを使用した海外レビュー(Tom’s Hardware)を参考にしています。「Core i9-13900K」と「DDR5-6600 CL34 32GB(16GBx2)」が使用されています。他の条件について気になる方は上述の参考リンクをご覧ください。

理論演算性能(FP32)

FP32(単精度浮動小数点演算)は、理論演算性能を示す一つの指標です。単位はTFLOPS(テラフロップス)を用います。実際のテストから算出するものではなく、シェーダーユニット数(対応の演算器の数)とクロックから計算した、理論上の処理性能を表します。製品によってクロックが異なるので、下記の表の数値と異なる可能性がある点に注意です。

一般的な動画編集においてのクリエイティブ性能は、このFP32とVRAMの性能(データ量が多い処理の場合)によって比例する傾向があります。実際「Premiere Pro CC」や「Davinci Resolve」などの主要な動画編集ソフトでの編集やプレビュー速度はある程度比例する傾向があるので、まず参考に見ていこうと思います(完全に一致する訳ではないので注意)。

FP32(単精度浮動小数点演算)
GPU名称FP32(TFLOPS)
RTX 4090
24GB 1008GB/s
82.58
RX 7900 XTX
24GB 960GB/s
61.42
RTX 4080 SUPER
16GB 736.3GB/s
52.22
RX 7900 XT
20GB 800GB/s
51.48
RTX 4080
16GB 716.8GB/s
48.74
RX 7900 GRE
16GB 576GB/s
45.98
RTX 4070 Ti SUPER
16GB 672GB/s
44.10
RTX 4070 Ti
12GB 504GB/s
40.09
RX 7800 XT
16GB 624GB/s
37.32
RTX 4070 SUPER
12GB 504GB/s
35.48
RX 7700 XT
12GB 432GB/s
35.17
RTX 3080
10GB 760GB/s
29.77
RTX 4070
12GB 504GB/s
29.15
RX 7600 XT
16GB 288GB/s
22.57
RTX 4060 Ti
8GB / 16GB  288GB/s
22.06
RTX 3070 Ti
8GB 608GB/s
21.75
RX 7600
8GB 288GB/s
21.75
RX 6800 XT
16GB 512GB/s
20.74
RTX 3070
8GB 448GB/s
20.31
Arc A770 16GB
16GB 560GB/s
17.20
RTX 3060 Ti
8GB 448GB/s
16.20
RX 6800
16GB 512GB/s
16.17
RTX 4060
8GB 272GB/s
15.11
RX 6700 XT
12GB 384GB/s
13.21
RTX 3060 12GB
12GB 360GB/s
12.74
RX 6600 XT
8GB 256GB/s
10.61
RTX 3050
8GB 224GB/s
9.10
RX 6600
8GB 224GB/s
8.93

理論性能コスパは破格の良さ

「RX 7900 GRE」のFP32の理論性能は破格の良さです。価格の割には非常に多いストリーミングプロセッサーの恩恵ですね。

数値としては、「RTX 4070 Ti SUPER」を上回り「RTX 4080」にも迫るレベルです。10万円未満のGPUながら、10万円台中盤のGPUと比較されるレベルの良さとなっています。

Blender(3DのGPUレンダリング)

「Blender」は人気のある定番のレンダリングソフトです。「Blender 3.6.0」を用いた「Blender Benchmark」の3つのテスト結果の幾何平均を総合スコアとし、比較していきます。

「Blender 3.6.0」では、AMD、NVIDIA、Intel Arc GPUでレイトレーシングを使用するCycles Xエンジンが含まれているため、レイトレーシング性能も重要となります。しかし、どうやら「Blender 3.6.0」ではレイトレーシング用のコアを直接使用するのではなく、メインのGPUシェーダーを介しての処理となるようです。そのため、RTコアではなくメインのGPUコア(CUDAコア)でレイトレーシングを高速化できるエンジンの「Optix」を持つGeForceに現状では優位性があります。

Blender Benchmarks(3.6.0)
GPU名称総合スコア(幾何平均)
RTX 4090
4213.9
RTX 4080 SUPER
3210.1
RTX 4080
3119.6
RTX 4070 Ti SUPER
2732.0
RTX 4070 Ti
2368.5
RTX 4070 SUPER
2310.1
RTX 4070
1943.2
RTX 4060 Ti 8GB
1419.4
RTX 4060 Ti 16GB
1371.2
RTX 3070 Ti
1356.2
RX 7900 XTX
1252.9
RTX 4060
1160.3
RX 7900 XT
1144.1
RX 7900 GRE
879.4
RX 7800 XT
752.6
Arc A770 16GB
696.5
RX 7700 XT
649.7
RX 7600 XT
434.7
RX 7600
422.5
参考:Tom’s Hardware

Blenderのレンダリング性能はRTXには圧倒的に劣る

「RX 7900 GRE」のBlenderにおけるGPUレンダリング性能は「RTX 4070 SUPER」のわずか38%程度しかなく、圧倒的に劣ります。競合モデルとの差としては話にならないレベルです。

ただし、GPUレンダリングは基本的にシェーダーユニット数が重要なので、その点には「RX 7900 GRE」はポテンシャルがあります。実際「RX 7800 XT」よりも約16.8%も高速となっていますし、もしRadeonがGeForceにも匹敵するまでの最適化が行われれば、一気に地位を上げる可能性は一応無くはないです。

現状のこの差は処理の仕組みがGeForce有利に働いているので仕方がありませんが、この劇的な差が今後も維持されるかは、各GPUメーカーのドライバなどによる改善や、ソフト側の最適化によります。とはいえ、少なくとも現状Blenderでのレンダリングを想定するならGeForce一択というのは覚えておくと良いかもしれません

SPECviewperf 2020 v3(OpenGL)

「SPECviewperf 2020 v3」はOpenGL性能を測るベンチマークです。OpenGLはクロスプラットフォームに対応した汎用型のグラフィックスライブラリとなっており、ゲームだけでなく幅広い分野で利用されています。

今回見るのは「SPECviewperf 2020 v3」の8つのテストの総合スコア(幾何平均)です。ただし、一般的にはテストに使用される処理全てを利用する人はほぼ居ないと思うため、自分が使用するアプリケーションで使用される処理について確認することが重要な点は留意しておきましょう。今回は総合的な性能で相対的な差を求めるために、幾何平均による総合スコアを用いています。

SPECviewperf 2020 v3
GPU名称総合スコア(幾何平均)
RX 7900 XTX
202.79
RX 7900 XT
178.16
RX 7900 GRE
151.56
RX 7800 XT
129.15
RTX 4090
126.26
RX 7700 XT
112.95
RTX 4080 SUPER
101.12
RTX 4080
98.57
RTX 4070 Ti SUPER
88.95
RX 7600 XT
83.67
RTX 4070 Ti
80.29
RX 7600
79.14
RTX 4070 SUPER
75.98
RTX 4070
66.71
RTX 3070 Ti
56.17
RTX 4060 Ti 16GB
51.12
RTX 4060 Ti 8GB
50.92
RTX 4060
43.51
Arc A770 16GB
30.78
参考:Tom’s Hardware

非常に優れたOpenGL性能で、平均で「RTX 4070 SUPER」の2倍の性能

GeForceではOpenGL性能に強い制限が掛けられていて、Radeonの方が有利です。同社のプロフェッショナル向けGPUの需要を維持するための調整となっています。

Radeonでも同様にプロフェッショナル向けのGPUがあり、ゲーム向けGPUでは制限が掛けられていますが、その制限がGeForceよりは緩いです。そのため、ゲーム向けGPU同士の比較だとRadeonの方が明らかに良く見えるという状況になっています。

「RX 7900 GRE」のOpenGLは性能は非常に高いです。平均で「RTX 4070 SUPER」の約2倍の性能です。ここもシェーダーユニット数が重要なので、優位性があります。

Stable Diffusion(AIイラスト生成)

現在、AIイラストソフトで人気のある「Stable Diffusion」を用いて、AIイラストの生成時間を比較しています。よく利用されるAIイラスト生成ソフトは他にもありますが「Stable Diffusion」が恐らくは一番定番と言えるものだと思います。

各GPUで「768×768の20枚の画像を生成するのに掛かる時間」を測定し、1分あたり何枚の画像を生成できるかを各GPUで算出して比較しています。Web UI「Automatic 1111」が使用されていますが、通常ではCUDA(NVIDIA製GPU)のみの対応なので、Intel GPUではOpenVINO、AMD GPUではDirectMLフォークを適用して実行されています。

Stable Diffusion(768×768)
GPU名称1分あたりの生成枚数
RTX 4090
29.958
RTX 4080 SUPER
20.670
RTX 4080
20.320
RTX 4070 Ti SUPER
18.060
RTX 4070 Ti
15.888
RTX 4070 SUPER
14.234
RTX 4070
12.861
RX 7900 XTX
10.915
RTX 3070 Ti
10.617
RX 7900 XT
9.545
RTX 4060 Ti 8GB
8.587
RTX 4060 Ti 16GB
8.457
RX 7900 GRE
7.302
RX 7800 XT
7.031
RTX 4060
6.990
RX 7700 XT
6.205
Arc A770 16GB
4.697
RX 7600 XT
4.143
RX 7600
3.489
参考:Tom’s Hardware

RTX 4070 SUPERの半分程度の性能

Radeon(DirectML)のStable Diffusionにおけるイラスト生成性能は、現状GeForce(CUDA)に遠く及びません。

768×768における「RX 7900 GRE」の生成速度は「RTX 4070 SUPER」の半分程度であり、圧倒的な差があります。BlenderのGPUレンダリングと同様、競合モデルとしては話にならないレベルの差なので、現状はGeForce一択です。

レンダリングも含め、最近ではやはり注目度が高い用途なので、そこで圧倒的に負けているというのは致命的かなと思います。

まとめ

Radeon RX 7900 GRE

良い点
  • 1440pでも高いfpsを発揮する優れた性能
  • 16GB VRAM搭載
  • RTX 4070 SUPERよりも少し安価
  • RTX 4070 SUPERよりもわずかに有利なラスタライズコスパ
  • 非常に優れたOpenGL性能コスパ
  • 価格の割に多いシェーダーユニット数
  • AFMFによる手軽なフレーム生成機能
  • AV1デコードおよびエンコードをサポート

気になる点
  • 非常に高価(初動実売価格:約95,800円~)
  • 同世代では良くはないワットパフォーマンス
  • RTX 4070 / RTX 4070 SUPERに大幅に劣るレイトレーシング性能
  • CUDAに最適化されたソフトでRTXに大幅に不利(Blender、Stable Diffusionなど)

RX 7900 GRE:強力なラスタライズコスパと16GB VRAMが魅力の高コスパGPU

「RX 7900 GRE」は強力なラスタライズコスパと16GB VRAMが魅力のGPUです。

希望小売価格は「RX 7800 XT」より50ドルしか上がっていないにも関わらず、ストリーミングプロセッサー数は33%も増えているため、強力なラスタライズコスパとなっています。「RTX 4070 SUPER」とラスタライズ性能はほぼ互角ですが、希望小売価格は50ドル安いのでコスパでは上回っています。

また、10万円未満ながら16GB VRAMも魅力で、こちらも「RTX 4070 SUPER」の12GBを上回っています。一部のゲームではVRAMを大量に消費するものもあるので、そのようなゲームでは一段有利になります。

しかも、そのストリーミングプロセッサー数の多さの恩恵で、FP32の理論性能やOpenGL性能コスパも非常に高いのもポイントです。このように、ラスタライズによるゲームや動画編集等でのコスパが強力なのが魅力的なGPUとなっています。

しかし、その他の面では競合の「RTX 4070 SUPER」に軒並み大幅に劣る点に注意が必要です。

まず電力面です。消費電力を表す仕様値が「RTX 4070 SUPER」が220Wなのに対し「RX 7900 GRE」は260Wですから、大きな差があります。「RTX 4070 SUPER」ではデュアルファンモデルも多数存在するのに対し、260W~ではデュアルファンはやや厳しめなのでサイズ的にも不利となっており、思ったより大きな差です。

ワットパフォーマンスも「RTX 4070 SUPER」が大きくリードしているため、電力面では完敗です。とはいえ、ここに関しては「RTX 4070 SUPER」が優秀すぎるので、少し可哀想だとは思ってしまいますね。

次にレイトレーシングです。「RTX 4070 SUPER」の方が約20%高い性能となっており、大きく劣ります。RTX有利なのはわかっているので想定内ですが、競合モデルの差としてはかなり大きいです。一応、4Kレイトレーシングでは12GB VRAMではガッツリfpsが低下するゲームがちらほら出てくるので、一部では「RX 7900 GRE」が有利な状況は生まれているものの、ピンポイント過ぎるので、やはり無難なのは「RTX 4070 SUPER」です。

ただし、RadeonではAFMFのフレーム生成機能を気軽に利用できるのはポイントかもしれません。レイトレーシング性能自体は低い訳ではないので、ラスタライズ重視なら一応妥協は出来るレベルの差ではあるかなとも思います。

最後に触れるのは「Blender」と「Stable Diffusion」です。それぞれ主要なレンダリングと画像生成AIソフトですが、これがどちらもCUDAに対して最適化されているため、GeForceが圧倒的に有利な立場となっています。

現状(2024年3月)の競合モデル同士の比較だと、RadeonはGeForceの大体40%~50%くらいの性能しか出せない状況となっており、圧倒的すぎる差が付いています。レイトレーシングの20%不利が霞むレベルです。

数年くらい前までは一般層にはそこまで重視されていなかった項目だとは思いますが、近年では3Dモデルの活用範囲も広がり、画像生成AIの利用者も激増していることもあり、ここを重視する人は増えていると思います。未だに「RTX 3060 12GB」という旧世代GPUが人気で、少し値上がりしている状況もそれを裏付けていそうです。

一般層の使用時間的には、ラスタライズでのゲーム描写が圧倒的だと思うので、そこが強力な「RX 7900 GRE」も非常に魅力的ではあるはずですが、やはり高価な買い物は弱点が少ないものを選びたいという傾向が、特に日本人は強い印象がありますので、「RTX 4070 SUPER」ほどの人気GPUにはなれない予感がします。私もあまり詳しくない人に勧めるなら「RTX 4070 SUPER」を選ぶと思います。

RadeonのモバイルGPUを流用するアプローチや、ストリーミングプロセッサー数を盛るという作戦は面白いですし、効果的だなと感心する部分もあるので応援したいのですが、現状ではCUDAに最適化されている主要ソフトの影響が大きすぎて、GPU側の対応ではどうしようもないのかなと思います。

AMDだけでなく折角参入したIntel GPUも同じ問題を抱えていますし、今後はCPUのNPU利用なども広まると思うので、ソフト側も対応をしていく…と期待したいですが、結局GeForceが普通にゲームコスパも良いですし、消費者としてはそちらを選べば良いだけなので、ソフト側も急ぐ必要もなくて…みたいな問題にはなっていると思います。


といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。

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