GeForce RTX 40シリーズの性能や特徴まとめ【一覧】

GeForce RTX 40シリーズの性能や特徴まとめ【一覧】

デスクトップ版「RTX 40シリーズ」の性能や特徴の解説をざっくりまとめています。

GeForce RTX 40 シリーズ(デスクトップ)
GPUCUDAコアVRAMTGP/TDP
RTX 40901638424GB(1008GB/s)450W
RTX 4080 SUPER1024016GB(736GB/s)320W
RTX 4080972816GB(716.8GB/s)320W
RTX 4070 Ti SUPER844816GB(672GB/s)285W
RTX 4070 Ti768012GB(504GB/s)285W
RTX 4070 SUPER716812GB(504GB/s)220W
RTX 4070588812GB(504GB/s)200W
RTX 4060 Ti 16GB435216GB(288GB/s)165W
RTX 4060 Ti 8GB43528GB(288GB/s)160W
RTX 406030728GB(272GB/s)115W
※GPU名は記事内の紹介部分へのリンクです
注意

本記事の内容は記事執筆時点(2024年2月)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

前世代からの主な変更点

まずは「RTX 40シリーズ」が前世代の「RTX 30シリーズ」から変わった主な点について触れていきたいと思います。

RTX 30 / 40シリーズの主な違い
RTX 40シリーズRTX 30シリーズ
アーキテクチャAda LovelaceAmpere
プロセスTSMC 4N(5nm)Samsung 8nm
L2キャッシュ24MB~72MB2MB~6MB
レイトレーシングRTコア:第3世代RTコア:第2世代
DLSSTensorコア:第4世代
※DLSS 3に対応可
(中間フレーム生成機能)
Tensorコア:第3世代
AV1コーデック対応エンコード/デコードデコードのみ
※2023年12月時点

アーキテクチャとプロセスの変更:8nm→5nm

まずは基礎的な面として、アーキテクチャおよびプロセスが変更となっています。

前世代のRTX 30シリーズは「Ampere」アーキテクチャを使用し、「Samsung 8nm」プロセスで製造されていましたが、RTX40シリーズの「Ada Lovelace」アーキテクチャでは「TSMC 4N(5nm)」で製造されています。

プロセスルール(nm)は小さいほど良いのですが、前世代の8nmよりも5nmへと微細化が大きく進行したため、特に効率面で大幅な向上が期待できます。また、前世代で使用していたSamsung 8nmプロセスは歩留まり率が低かった(不良品率が高った)という噂があったため、登場時にSamsungよりも歩留まりが高い(不良品率が低い)と言われていたTSMCへと変更になったことで、コストや効率・発熱面で更なる期待がされました。

キャッシュメモリの大幅な増量:12倍のL2キャッシュ

RTX 40シリーズでは、前世代よりもキャッシュメモリが大幅に増量されました。

L2キャッシュ容量を見てみると、前世代のRTX 30シリーズでは2MB~6MBであったのに対し、RTX 40シリーズでは24MB~72MB(2023年12月までに登場分)となっており、約12倍という飛躍的な増量となっていることがわかります。

NVIDIAは、このキャッシュメモリの増量によりキャッシュメモリのヒット率が格段に向上したため、実行メモリ帯域幅は、従来のVRAM性能のみから算出したものよりも上だと主張しています。

たとえば、「RTX 4060 Ti 8GB」のVRAMの帯域幅は272GB/sですが、実行メモリ帯域幅は453GB/sだと主張しています。

このように、ミドルレンジ以下のGPUでは具体的に実行メモリ帯域幅という項目を用いてその恩恵を誇示していますが、これはRTX 4070未満のモデルにおいて、前世代のRTX 30シリーズと比べてVRAMのバス幅が小さくなり、帯域幅が軒並みダウンしていることに対する言い訳の様にも聞こえるというのが、本音です。

確かにキャッシュメモリが格段に増量したのは事実で、そのことがボトルネックの解消に多少役立つのも事実だとは思うものの、VRAM性能自体が性能に直結する処理もありますし、実際のテストを見ても実行メモリ帯域幅の数値ほどの格段の恩恵があるとは正直思えないので、その点は一応注意です。

このような問題と、RTX 30シリーズが在庫処分価格で安くなっているということもあり、2023年12月時点では前世代の「RTX 3070」「RTX 3060 Ti」「RTX 3060 12GB」は変わらず人気モデルとして市場に残っているという事情があります。

レイトレーシング:RTコアの更新

レイトレーシング用の「RTコア」は前世代の第2世代から第3世代されています。 Shader Execution Reordering や最適化により前世代よりも大幅にパフォーマンスが向上したとされています。

ただし、ラスタライズ性能が近い前世代GPUと実際のテスト結果を比較してみると、大幅というほどではなく微増といったレベルの向上に見えました。

Tensorコアの更新とDLSS 3:フレーム生成機能追加

NVIDIAのアップスケーリングである「DLSS」などのAI関連処理用の「Tensorコア」が、前世代の第3世代から第4世代へと更新されています。これによって「DLSS 3」によるフレーム生成機能を利用できるのが、「RTX 40シリーズ」の強みの一つです。

AIフレーム生成機能は、RTX 40シリーズの発表とほぼ同時に新たに発表された「DLSS 3」で追加された非常に注目の機能となっています。メインのGPUコアを必要とせずに中間フレームを生成するというもので、負荷が以前のDLSSよりも格段に軽減されるため、結果的にフレームレートが向上したり、消費電力が大幅に削減されたりなどの恩恵があります。

このフレーム生成機能を利用するには第4世代のTensorコアが必要なため、現状は「RTX 40シリーズ」のみで対応できるというのがポイントです。旧世代の在庫処分でお得な「RTX 30シリーズ」が市場にはまだ残っていますが、DLSS 3のフレーム生成機能を使いたいなら「RTX 40シリーズ」を選ぶ必要があります。

ただし、このフレーム生成機能自体は「DLSS 3」のみの機能という訳ではなく、AMD発表の「FSR 3」というアップスケーリング技術でも中間フレーム生成機能が搭載されることとなっています。FSRは他社製GPUでも利用できるため、「RTX 40シリーズ」でなくてもフレーム生成機能は利用できます。また、AMD製のGPUのドライバ経由で提供される「AMD Fluid Motion Frames(AFMF)」という機能があり、これもフレームをゲーム外から挿入して表向きのフレームレートを向上させるものであるなど、フレームを挿入する手法は2024年現在では割と広く利用できるものとはなっています。

とはいえ、過去のFSRとDLSSの品質比較を見ると、やはりDLSSの上であるという評価が一般的でしたし、専用コア(Tensorコア)を利用するDLSS 3の方が負荷軽減においても性能の高さが期待できると思うので、アップスケーリングを前提とするならDLSS 3への対応はやはり魅力的だとは思います。

AV1:エンコードにも対応

「AV1」は映像コーデックの一つです。「RTX 30シリーズ」ではデコードのみの対応でしたが、「RTX 40シリーズ」ではエンコードにも対応しました。

AV1はロイヤリティフリーで圧縮率が高いため、特に将来性のあると言われているコーデックになります。圧縮率が高い反面、負荷が高い他、対応デバイスが少ないなどのデメリットがあるためにまだ主流ではありませんが、4Kなどの高解像度動画を中心に各動画サイトでも採用が増えているコーデックです。

現時点ではそこまで重要ではありませんが、将来性はあるので、特にクリエイターの方は頭の隅に置いておくと良いかもしれません。

ゲーム性能(ベンチマークスコア)

GPUのゲーム性能を測るベンチマークスコアを見ていきます。各モデルの性能については後で触れるので、ここではスコア載せるだけに留めておきます。


ラスタライズ性能(3DMark Time Spy Graphics)

まずは、レイトレーシングなどではない、従来の一般的な方法であるラスタライズによるゲーム性能です。

「3DMark Time Spy」は、2023年12月現在で恐らく最も主要な、ゲーム性能を測定するベンチマークの一つです。一般的なFHD(1920×1080)よりも高い解像度のWQHD(2560×1440)で、画素数はFHDの約1.78倍となっています。要求スペックが高めなので、ハイエンドGPUの性能を測るのにも適しています。

Time Spyでは、APIはDX12(DirectX 12)が使用されます。DX12は2023年時点で最新のWindowsで主要なグラフィックスのAPIであり、多くのPCゲームで採用されています。

3DMark Time Spy Graphics Score
GPU名称スコア
RTX 4090
36213
RX 7900 XTX
30019
RTX 4080 SUPER
28531
RTX 4080
28127
RX 7900 XT
26193
RTX 4070 Ti SUPER
24454
RTX 4070 Ti
22742
RTX 3090 Ti
21791
RTX 4070 SUPER
21130
RX 6900 XT
20710
RX 7800 XT
19945
RTX 3090
19932
RX 6800 XT
19271
RTX 4070
17944
RTX 3080 10GB
17692
RX 7700 XT
17006
RTX 3070 Ti
14825
RTX 3070
13789
RTX 4060 Ti 8GB
13473
Arc A770 16GB
13472
RTX 4060 Ti 16GB
13356
RX 6700 XT
12757
Arc A750
12476
RTX 3060 Ti
11893
RX 7600
10836
RTX 4060
10665
RX 6600 XT
9698
RTX 3060 12GB
8867
RTX 3050
6278
参考:3DMark

レイトレーシング性能(3DMark Port Royal)

レイトレーシングは、名前の通り光線の追跡による描画方法です。光と物体の反射や屈折などを現実に近い形で再現し、従来の方法では難しかった複数回の反射なども表現できるので、非常に現実に近い映像を実現することができます。

「3DMark Port Royal」は、DXR(DirectX Raytracing)を利用したレイトレーシング性能を測るテストです。レイトレーシングは従来の方法よりも負荷が大きい上、解像度もFHDよりも高いWQHD(2560×1440)なので、非常に負荷の大きいテストになっています。

レイトレーシングはGPUのメインのシェーダーユニットだけでなく専用コアを利用することが基本なので、その専用コアの性能や最適化具合によっても性能が左右されます。

3DMark Port Royal
GPU名称スコア
RTX 4090
26095
RTX 4080 SUPER
18686
RTX 4080
17903
RX 7900 XTX
16201
RTX 4070 Ti SUPER
15440
RTX 3090 Ti
14844
RTX 4070 Ti
14026
RX 7900 XT
13975
RTX 3090
13641
RTX 4070 SUPER
13155
RTX 3080 10GB
11564
RTX 4070
11142
RX 7800 XT
10801
RX 6900 XT
10443
RX 6800 XT
9601
RX 7700 XT
9059
RTX 3070 Ti
8871
RTX 3070
8302
RTX 4060 Ti 8GB
8046
RTX 4060 Ti 16GB
8013
Arc A770 16GB
7151
RTX 3060 Ti
6978
Arc A750
6681
RTX 4060
6045
RX 6700 XT
6032
RX 7600
5399
RTX 3060 12GB
5157
RX 6600 XT
4540
RTX 3050
3531
参考:3DMark

各モデルの特徴

GeForce RTX 4090

圧倒的な性能のウルトラハイエンドGPU

1080pゲーム

 5.0

1440pゲーム

4.75

4Kゲーム

4.25

レイトレ

4.5

消費電力

1.0

価格

1.0

スペック表
プロセスTSMC 4N(5nm)
アーキテクチャAda Lovelace
GPUダイAD102-300-A1
CUDAコア16384
TGP450W
メモリ種類24GB GDDR6X
メモリバス幅,帯域382bit、1008 GB/s
TMU512
ROP176
RTコア128
Tensorコア512
L2キャッシュ72MB
クロック (MHz)2235 – 2520(ブースト)
トランジスタ数約 763億
ダイサイズ約 608.5 ㎟
発表年月2022年9月

【3DMark Graphicsスコア】 Time Spy:36213 Fire Strile:73865 Port Royal:26095

良い点
気になる点

概要

「GeForce RTX 4090」は、RTX 40シリーズにおける最上級モデルです(2024年2月時点)。希望小売価格は1599ドルで、日本でのおおよその市場価格は約28万円~となりました。

その性能はシリーズの中で規格外の高さです。一つ下の「RTX 4080」の1.5倍以上のトランジスタ数と、約1.68倍ものCUDAコアを備えます。メモリも24GB GDDR6Xを搭載しており、あらゆる用途において驚異的な性能を発揮します。4Kゲーム(ネイティブ画質)で120fps超えを普通に狙えるというトンデモ性能です。

その代わり消費電力も圧倒的に多く、TGPは450Wです。強力な冷却機構が必要となるため、空冷ボードの厚さは大体3.5スロット以上と非常に分厚い点に注意が必要です。縦も横も非常に大きなボードとなるため、ケースに収まるかどうかの事前チェックは必須です。拡張スロットや内部スペースの余裕を持たせるには、水冷ユニットを搭載したモデルも有力な選択肢となると思います。

高負荷時の消費電力および発熱は凄まじいものの、電力効率は前世代(RTX 30シリーズ)よりも圧倒的に優れているため、持ち前の性能の高さを活かせる高負荷な用途であれば、むしろ電力面でも非常に優秀な効率的ハイエンドGPUです。

価格が高価すぎるので導入できる人は限られますし、純粋な性能コスパもかなり悪いですが、他のGPUと一線を画す高性能さとなっていますし、高負荷時のワットパフォーマンスも非常に優れているので、従来の最上位モデルよりも価値のあるGPUに仕上がっていると思います。

12VHPWR変換アダプターの融解問題

発売直後にRTX 4090の利用者の一部で12VHPWRアダプターが融解する問題が報告されており、この問題はコネクタが完全に差し込まれていなかったことによるものと結論付けられました。そのため、該当製品を利用する際にはしっかりとコネクタが差し込まれていることを確認することをおすすめします。また、この問題を受けて該当コネクタの作成を担当する標準化団体のPCI-SIGは12VHPWRの仕様を変更することを決定しました。

GeForce RTX 4080 SUPER

RTX 4080から微強化されて価格は大幅減のハイエンドGPU

1080pゲーム

 5.0

1440pゲーム

4.5

4Kゲーム

3.75

レイトレ

4.0

消費電力

1.75

価格

1.5

スペック表
プロセスTSMC 4N(5nm)
アーキテクチャAda Lovelace
GPUダイAD103-300-A1
CUDAコア10240
TGP320W
メモリ種類16GB GDDR6X
メモリバス幅,帯域256bit、736 GB/s
TMU320
ROP112
RTコア80
Tensorコア320
L2キャッシュ64MB
クロック (MHz)2295 – 2550(ブースト)
トランジスタ数約 495億
ダイサイズ約 379 ㎟
発表年月2024年1月

【3DMark Graphicsスコア】 Time Spy:28531 Fire Strile:65473 Port Royal:18332

良い点
気になる点

概要

「GeForce RTX 4080 SUPER」は、RTX 40シリーズにおけるハイエンドモデルの一つです。後から追加された「RTX 40 SUPER」の一つです。希望小売価格は999ドルで発売されましたが、日本でのおおよその市場価格は18.5万円~となり、本来の価格設定や想定よりも遥かに高い金額となりました。また、本モデルの登場に伴い「RTX 4080」は置き換えられる形で市場から廃止される予定です。

「RTX 4080」との違いはコア数とクロック面のわずかな増加で、実際の性能はほぼ同等です。非常に優れた性能で、あらゆる用途で高いパフォーマンスを発揮します。4Kやレイトレーシングでも高い性能を期待することができ、より軽いゲームやより低い解像度なら240fps以上のパフォーマンスも期待できる高性能さです。

メモリは16GB GDDR6Xを搭載しており、バス幅は256bit、バス帯域幅は736GB/sです。強力なメモリ性能ですが、価格を考えるとメモリ性能のコスパは良い訳ではありません。希望小売価格の近い対抗製品である「Radeon RX 7900 XTX」は24GB(960GB/s)メモリを備えています。他にも、RX 7800 XTは16GB(624GB/s)を搭載しつつ約8万円から購入でき、RX 7900 XTは20GB(800GB/s)で12万円~など、メモリ性能コスパだけ見れば、より優秀な選択肢があります。

消費電力(TGP)は320Wと非常に多いです。RTX 4090よりは少ないものの、やはり強力な冷却機構が必要となるため、空冷ボードの厚さは大体3.5スロット以上と非常に分厚い点に注意が必要です。縦も横も非常に大きなボードとなるため、ケースに収まるかどうかの事前チェックは必須です。拡張スロットや内部スペースの余裕を持たせるには、水冷ユニットを搭載したモデルも有力な選択肢となると思います。

消費電力自体は多いですが、電力効率はRTX 40シリーズの中でもトップクラスの良さなので、高負荷な処理を日常的に大量に行う場合には電力面でも優秀な選択肢です。

しかし、2024年2月時点では、ゲーム以外のVRAM性能が重要な処理の多くはGeForce(CUDAコア)の方が有利という事情がある上、RTX 4080 SUPERもメモリ性能自体は非常に強力なので、他社モデルに対してネックとなるほどではなかったりします。

発売時のメーカー希望小売価格(米国)は1199ドルでした。日本ではおおよそ16万円~20万円程度で販売され、物凄く高価です。その高さのせいで、純粋な性能コスパでは下位モデルには大幅に劣りますが、非常に優れた性能と効率を持つため、継続的な高負荷を伴う長期利用では費用面でも悪くはない可能性があります。

GeForce RTX 4080

超高性能ながらコスパも特別悪くはなく、非常に電力効率が良いハイエンドGPU

1080pゲーム

 5.0

1440pゲーム

4.5

4Kゲーム

3.75

レイトレ

4.0

消費電力

1.75

価格

1.5

スペック表
プロセスTSMC 4N(5nm)
アーキテクチャAda Lovelace
GPUダイAD103-300-A1
CUDAコア9728
TGP320W
メモリ種類16GB GDDR6X
メモリバス幅,帯域256bit、716.8 GB/s
TMU304
ROP112
RTコア76
Tensorコア304
L2キャッシュ64MB
クロック (MHz)2205 – 2505(ブースト)
トランジスタ数約 495億
ダイサイズ約 379 ㎟
発表年月2022年9月

【3DMark Graphicsスコア】 Time Spy:28127 Fire Strile:64981 Port Royal:17903

良い点
気になる点

概要

※2024年1月に「RTX 4080 SUPER」が登場し、こちらの「RTX 4080」は市場から廃止される運びとなりました。

「GeForce RTX 4080」は、RTX 40シリーズにおけるハイエンドモデルの一つです。希望小売価格は1199ドルで発売され、日本でのおおよその市場価格は17万円~となりました。後に「RTX 4080 SUPER」が登場し、そちらと置き換えられる形で市場から廃止されることになりました。

その性能は非常に優れており、前世代トップの「RTX 3090 Ti」を大幅に上回る性能を発揮し、あらゆる用途で高い性能を発揮します。4Kやレイトレーシングでも十分に実用的な性能を発揮することが可能ですし、より軽いゲームやより低い解像度なら240fps以上のパフォーマンスも期待できる高性能さです。

メモリは16GB GDDR6Xを搭載しており、バス幅は256bit、バス帯域幅は716.8GB/sです。強力なメモリ性能ですが、16万円台~という価格を考えるとコスパは良い訳ではありません。ほぼ同額の対抗製品「Radeon RX 7900 XTX」は24GB(960GB/s)です。他にも、RX 7800 XTは16GB(624GB/s)を搭載しつつ8万円台から購入でき、RX 7900 XTは20GB(800GB/s)で13万円~など、メモリ性能コスパだけ見れば、より優秀な選択肢があります。

しかし、2023年12月時点では、ゲーム以外のVRAM性能が重要な処理の多くはGeForce(CUDAコア)の方が有利という事情がある上、RTX 4080もメモリ性能自体は非常に強力なので、他社モデルに対してネックとなるほどではなかったりします。

消費電力(TGP)は320Wと非常に多いです。RTX 4090よりは少ないものの、やはり強力な冷却機構が必要となるため、空冷ボードの厚さは大体3.5スロット以上と非常に分厚い点に注意が必要です。縦も横も非常に大きなボードとなるため、ケースに収まるかどうかの事前チェックは必須です。拡張スロットや内部スペースの余裕を持たせるには、水冷ユニットを搭載したモデルも有力な選択肢となると思います。

消費電力自体は多いですが、電力効率はRTX 40シリーズの中でもトップクラスの良さなので、高負荷な処理を日常的に大量に行う場合には電力面でも優秀な選択肢です。

約17万円~と物凄く高価なので、純粋な性能コスパでは下位モデルには大幅に劣りますが、非常に優れた性能と効率を持つため、継続的な高負荷を伴う長期利用では費用面でも悪くはない可能性があります。

GeForce RTX 4070 Ti SUPER

16GB VRAMでRTX 4080よりも大幅に安い

1080pゲーム

 4.75

1440pゲーム

4.25

4Kゲーム

3.75

レイトレ

4.0

消費電力

2.25

価格

1.75

スペック表
プロセスTSMC 4N(5nm)
アーキテクチャAda Lovelace
GPUダイAD104-400
CUDAコア8448
TGP285W
メモリ種類16GB GDDR6X
メモリバス幅,帯域256bit、672 GB/s
TMU264
ROP112
RTコア66
Tensorコア264
L2キャッシュ48MB
クロック (MHz)2340 – 2610(ブースト)
トランジスタ数約 358億
ダイサイズ約 295 ㎟
発表年月2024年2月

【3DMark Graphicsスコア】 Time Spy:24454 Fire Strile:57988 Port Royal:15440

良い点
気になる点

概要

「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」はRTX 40シリーズにおけるハイエンドモデルの一つで、後から追加された「RTX 40 SUPER」の一つです。

希望小売価格は799ドルという「RTX 4070 Ti」と同じ価格に設定されていたため、12万前後~での販売が期待されましたが、発売後の市場価格は想定よりも遥かに高く14.8万円~程度となっていました。また、本モデルの登場に伴い「RTX 4070 Ti」は置き換えられる形で市場から廃止される予定です。

本モデルの最大のポイントは、VRAM容量が「RTX 4070 Ti」の12GBから16GBへと増量された点です。バス幅も192bitから256bitになったため、帯域幅も504GB/s→672GB/sと大幅に向上しています。「RTX 4070 Ti」は10万円超えのGPUとしては弱いVRAMがネックでしたが、そこが解消される形の変更となっており、「RTX 4080 / 4080 SUPER」と同じVRAM容量で大幅に安いのが魅力のモデルとなっています。

VRAMだけでなく各コア数も「RTX 4070 Ti」から10%ほど増量され、若干強化されています。前世代の最上位GPUを大きく上回る非常に高いパフォーマンスで、1080p~1440pゲームでは快適なのはもちろん、重量級ゲームでも100fps以上を基本達成することが可能です。軽めのゲームなら200fpsを超えることも十分に期待できます。また、VRAMが強化されたおかげもあり、4Kおよびレイトレーシングでも大幅な性能低下が見られることがほぼなく「RTX 4070 Ti」よりもネックではなくなっています。

消費電力(TGP)は285Wと多いため、強力な冷却機構が必要となります。空冷ボードの厚さは大体3スロット以上と非常に分厚い点に注意が必要です。ですが、16GB以上のVRAMを搭載したハイエンドクラスのGPUとしては300Wを下回るのは少ない方で、RTX 4080以上と比べると少し余裕があり、中には3スロット未満の製品もあります。

電力効率は前世代(RTX 30シリーズ)と比べると大幅に改善しているものの、同世代の中では若干悪めの位置となっているため、高負荷な処理を継続的にずっと行いたい場合には「RTX 4080」以上には少しだけ不利となります。

GeForce RTX 4070 Ti

コスパも良いハイエンドGPU

1080pゲーム

 4.75

1440pゲーム

4.25

4Kゲーム

3.5

レイトレ

3.75

消費電力

2.25

価格

2.0

スペック表
プロセスTSMC 4N(5nm)
アーキテクチャAda Lovelace
GPUダイAD104-400
CUDAコア7680
TGP285W
メモリ種類12GB GDDR6X
メモリバス幅,帯域192bit、504 GB/s
TMU240
ROP80
RTコア60
Tensorコア240
L2キャッシュ48MB
クロック (MHz)2310 – 2610(ブースト)
トランジスタ数約 358億
ダイサイズ約 295 ㎟
発表年月2023年3月

【3DMark Graphicsスコア】 Time Spy:22742 Fire Strile:53839 Port Royal:14026

良い点
気になる点

概要

※2024年1月に「RTX 4070 Ti SUPER」が登場し、こちらの「RTX 4070 Ti」は市場から廃止される運びとなりました。

「GeForce RTX 4070 Ti」はRTX 40シリーズにおける高性能モデルの一つです。希望小売価格は799ドルで発売され、日本でのおおよその市場価格は11万円台中盤~となりました。後に「RTX 4070 Ti SUPER」が登場し、そちらと置き換えられる形で市場から廃止されることになりました。

70番台という位置付けながら、前世代トップの「RTX 3090 Ti」に匹敵する性能を持つハイエンドGPUです。ほとんどの用途で快適なパフォーマンスを提供します。

1080p~1440pゲームでは快適なパフォーマンスで、重量級ゲームでも100fps以上を基本達成することが可能で、軽めのゲームなら200fpsを超えることも十分に期待できるほどの高性能さです。4Kでも実用的な性能があり、ほとんどの場合で60fps程度は達成できると思いますが、重いゲームの4Kはやや厳しい可能性があります。レイトレーシング性能も優れており実用的ですが、こちらも高い解像度ではやや厳しい可能性があります。

メモリは12GB GDDR6Xを搭載しており、バス幅は192bit、バス帯域幅は504.2GB/sです。比較的強力なメモリ性能ですが、11万円台~という価格を考えると悪い部類です。8万円台から購入できる「RTX 4070」でも同じVRAMを持っている他、RX 7800 XTは16GB(624GB/s)を搭載しつつ8万円台から購入でき、約7万円から購入できるRX 7700 XTも12GB(432GB/s)を搭載します。

そのため、1440p~4Kの高解像度ゲームにおいては、他の同価格帯の競合モデルよりもやや性能低下率が大きくなっており、特に価格の近い「RX 7900 XT」には4Kゲームではやや差を付けられています。

しかし、2023年12月時点では、ゲーム以外のVRAM性能が重要な処理の多くはGeForce(CUDAコア)の方が有利という事情があるので、総合的にRadeonに対しては大きなデメリットとまでには至っていません。とはいえ、4Kゲームに焦点を当てるならRX 7900 XTの方が強力というのは知っておいて損はないかもしれません。

消費電力(TGP)は285Wと多いです。強力な冷却機構が必要となり、空冷ボードの厚さは大体3スロット以上と非常に分厚い点に注意が必要です。ですが、RTX 4080以上と比べると少し余裕があり、中には3スロット未満の製品もあります。3連ファンが基本にはなるものの、2連ファン製品もわずかに存在します。

消費電力自体は多いですが、電力効率は非常に優れており、前世代(RTX 30シリーズ)と比べると大幅に改善しています。

GeForce RTX 4070 SUPER

RTX 4070と同じ価格設定で大幅な性能アップ

1080pゲーム

4.75

1440pゲーム

4.5

4Kゲーム

3.5

レイトレ

3.75

消費電力

3.25

価格

2.5

スペック表
プロセスTSMC 4N(5nm)
アーキテクチャAda Lovelace
GPUダイAD104
CUDAコア7168
TGP220W
メモリ種類12GB GDDR6X
メモリバス幅,帯域192bit、504 GB/s
TMU224
ROP80
RTコア56
Tensorコア224
L2キャッシュ48MB
クロック (MHz)1980 – 2475(ブースト)
トランジスタ数約 358億
ダイサイズ約 295 ㎟
発表年月2024年1月

【3DMark Graphicsスコア】 Time Spy:21130 Fire Strile:50695 Port Royal:13155

良い点
気になる点

概要

「GeForce RTX 4070 SUPER」はRTX 40シリーズにおける高性能モデルで、後から追加された「RTX 40 SUPER」の一つです。希望小売価格は「RTX 4070」と同じ599ドルで発売されましたが、実売価格は従来のRTX 4070よりも1~1.5万円ほど高価な9.8万円~程度でした。また、「RTX 4070」は549ドルに値下げされて併売される予定です。

「RTX 4070 SUPER」の本来の適正価格は8万円台中盤~といった程度のはずですが、非常に需要のあるモデルあると思われるため、やや高価な現在の価格のままになる可能性もありそうな気配があります。

「RTX 4070」の従来の価格設定を引き継ぐにも関わらず、CUDAコアは約26%と大幅な増量となっており、その他のコアも20%以上増量されていますし、VRAM仕様は同じですが、L2キャッシュは36MBから48MBへと増量されるなど、大幅なスペックアップとなっており、非常にコストパフォーマンスに優れたGPUであることがカタログスペックの時点でわかります。

ゲーム性能は非常に優れており、前世代ハイエンド上位クラスの「RTX 3090」や「RX 6900 XT」に匹敵するレベルです。1080p~1440pゲームなら非常に快適なパフォーマンスで、重量級ゲームでも十分に対応可能です。軽めのゲームなら200fps以上も期待できます。4Kやレイトレーシングでも実用的な性能がありますが、VRAM性能が価格の割には低いこともあり、重いタイトルではやや厳しい可能性があります。

メモリは12GB GDDR6Xを搭載しており、バス幅は192bit、バス帯域幅は504.2GB/sです。GPU全体で見ると比較的強力なメモリ性能で、大きなネックになる訳ではありませんが、10万円近い価格を考えると微妙にも感じる仕様です。そのため、特に4Kやレイトレーシング、VRAM容量が重量な処理においては、他のハイエンドGPUよりも性能低下率が大きくなる可能性があります。

消費電力(TGP)は220Wとなっており、同性能帯の競合GPUと比べると少ない数値となっています。この性能で220Wというのは驚異的で、ワットパフォーマンスは同世代ではトップクラスとなっています。2連ファンや3スロット未満の製品も豊富なので小型のケースでも採用しやすいのも魅力です。

発売時の価格は思ったよりも高かったものの、その価格だとしても非常に優れたコスパのGPUで、10万円未満のGPUとしては2024年1月時点では間違いなくトップクラスの高コスパGPUです。ハイエンド用途にも対応できる性能を非常に高いコスパで導入することができ、しかも消費電力もそこまで多くないので、非常に使い勝手の良いGPUだと思います。

GeForce RTX 4070

200Wで前世代ハイエンド並みの性能を実現

1080pゲーム

 4.5

1440pゲーム

4.25

4Kゲーム

3.25

レイトレ

3.5

消費電力

3.25

価格

2.75

スペック表
プロセスTSMC 4N(5nm)
アーキテクチャAda Lovelace
GPUダイAD104
CUDAコア5888
TGP200W
メモリ種類12GB GDDR6X
メモリバス幅,帯域192bit、504 GB/s
TMU184
ROP64
RTコア46
Tensorコア184
L2キャッシュ36MB
クロック (MHz)1920 – 2475(ブースト)
トランジスタ数約 358億
ダイサイズ約 295 ㎟
発表年月2023年4月

【3DMark Graphicsスコア】 Time Spy:17944 Fire Strile:44836 Port Royal:11142

良い点
気になる点

概要

「GeForce RTX 4070」は、RTX 40シリーズにおける高性能モデルです。希望小売価格は599ドルで発売されましたが、後に「RTX 4070 SUPER」が投入されたときに549ドルへと値下げされました。日本でのおおよその市場価格は8万円台中盤~となりました。

前世代の「RTX 3080 10GB」に匹敵する性能を発揮しますが、その性能をTGP200Wで実現しています。従来のハイエンドGPUの性能を200Wで実現しているのは驚異的です。

1080p~1440pゲームでは快適なパフォーマンスで、重量級ゲームでも十分に対応可能です。軽めのゲームなら200fps以上も期待できるほどの高性能さです。4Kでも実用的な性能がありますが、重いゲームの4Kはやや厳しい可能性があります。レイトレーシング性能も優れており実用的ですが、こちらも高い解像度や重いゲームではやや厳しい可能性があります。

メモリは12GB GDDR6Xを搭載しており、バス幅は192bit、バス帯域幅は504.2GB/sです。GPU全体で見ると比較的強力なメモリ性能で、大きなネックになる訳ではありませんが、8万円台~という価格を考えると微妙感も少しあります。8万円程度から購入できるRX 7800 XTは16GB(624GB/s)を搭載しています。

消費電力(TGP)は200Wです。同性能帯の競合GPUと比べると一段少ない数値となっています。2連ファンや3スロット未満の製品も豊富なので小型のケースでも採用しやすいのも魅力です。電力効率も非常に優れています。

価格は8万円台からと高価ですが、コスパは非常に良いですし、200Wという消費電力でハイエンドな用途にも対応可能なのは魅力です。デュアルファン仕様の製品も多いので、小型ケースでの採用もさほど難しくないですし、非常に使い勝手の良い高性能GPUだと思います。

GeForce RTX 4060 Ti 8GB/16GB

ほどよい価格と1080pで快適な性能

1080pゲーム

 4.0

1440pゲーム

3.5

4Kゲーム

 2.75

レイトレ

3.25

消費電力

3.75

価格

3.75

スペック表
プロセスTSMC 4N(5nm)
アーキテクチャAda Lovelace
GPUダイAD106
CUDAコア4352
TGP8GB:160W
16GB:165W
メモリ種類8GB GDDR6
16GB GDDR6
メモリバス幅,帯域128bit、288 GB/s
TMU136
ROP48
RTコア34
Tensorコア136
L2キャッシュ24MB
クロック (MHz)2310 – 2535(ブースト)
トランジスタ数約 229億
ダイサイズ約 188 ㎟
発表年月2023年5月~7月

【3DMark Graphicsスコア】 Time Spy:13473 Fire Strile:34488 Port Royal:8046
※8GBモデル版と16GBモデル版でスコアの差はほとんどない

良い点
気になる点

概要

「GeForce RTX 4060 Ti」は、RTX 40シリーズにおけるミドルレンジモデルです。希望小売価格は8GBが399ドル、16GBが499ドルで発売され、日本でのおおよその市場価格はそれぞれ6万円弱~、7万円弱~となりました。

前世代の「RTX 3070」に匹敵する性能を発揮し、1080pゲームで快適な性能を提供するGPUで、1440pでも使える性能があります。

4Kやレイトレーシング性能は使えないことはないものの厳しめの性能で、実用的に使いたいならDLSSなどのアップスケーリングとの併用が必須に近いと思います。

メモリは8GB/16GB GDDR6を搭載しており、バス幅は128bit、バス帯域幅は288GB/sです。価格を考えれば、バス幅128bitというのは明らかに弱く、帯域幅も288 GB/sしかないのは大きなネックです。16GBモデルの場合も、メモリの速度関連の仕様が全く同じで、GPU自体も16GBの容量の割には非力で、ゲームなどの逐次処理が基本の場合は有効的に使える場面がほとんどないため、一部のVRAM容量が物を言う処理(VRChatや高解像度の画像生成AIなど)以外では恩恵はほとんどありません。ただし、VRChatや画像生成AIなどが今(2023年12月時点)急激に注目されており、それらに最も最適化されている「GeForce」の最新モデルで「最もメモリ容量単価が安い」のが「RTX 4060 Ti 16GB」なので、限定的な用途ながらコスパが良い場面があり、一定の需要があります。8GBモデルについては、価格的に容量は平均的ながら、帯域が明らかに弱い(前世代にも大きく劣る)ので、RTX 40シリーズの中でのお得感やコスパは正直最も弱いモデルだと思います。ただし、前世代よりも大幅に増量されたキャッシュメモリのおかげか、1440p程度までなら思ったほどネックにはなっていない印象です。

消費電力(TGP)は160W~165Wです。ミドルレンジGPUの中では比較的少ない消費電力で、電力効率も前世代(RTX 30シリーズ)よりも優れています。2スロット以下のモデルもあるので、小型のケースでも採用しやすいのは魅力です。

とはいえ、RTX 4070と比べると性能差は大きく、重い1080pゲームでの快適度にも大きな差が出ます。RTX 4070よりも2万円以上安価であるのは大きいですが、総合コスパでは正直RTX 4070の方が一段上かなという印象です。

GeForce RTX 4060

115Wの省電力で高効率。小型で扱い易い

1080pゲーム

 3.75

1440pゲーム

3.25

4Kゲーム

2.25

レイトレ

2.75

消費電力

4.5

価格

4.25

スペック表
プロセスTSMC 4N(5nm)
アーキテクチャAda Lovelace
GPUダイAD107
CUDAコア3072
TGP115W
メモリ種類8GB GDDR6
メモリバス幅,帯域128bit、272 GB/s
TMU96
ROP48
RTコア24
Tensorコア96
L2キャッシュ24MB
クロック (MHz)1830 – 2460(ブースト)
トランジスタ数約 189億
ダイサイズ約 118.9 ㎟
発表年月2023年5月

【3DMark Graphicsスコア】 Time Spy:10665 Fire Strile:28483 Port Royal:6045

良い点
気になる点

概要

「GeForce RTX 4060」は、RTX 40シリーズにおけるミドルレンジモデルです。希望小売価格は299ドルで発売され、日本でのおおよその市場価格は4万円台前半~となりました。

前世代の「RTX 3060」を上回る性能を発揮し、1080pゲームをターゲットにしたGPUです。最安4万円台前半という安さはもちろん、TGPが115Wの省電力GPUとなっているため、シングルファンモデルも多く、スロットも2以下が基本なので、小型ケースでの採用がしやすいのも大きな魅力です。

価格的に仕方ありませんが、1440p~4Kやレイトレーシング性能を使うには厳しい性能です。しかし、DLSSなどのアップスケーリングとの併用であれば実用的に使うことも可能です。

メモリは8GB GDDR6を搭載しており、バス幅は128bit、バス帯域幅は272GB/sです。弱めのメモリ性能です。しかし、価格が安価なので、競合モデルとの比較なら平均的な性能です。また、前世代よりも大幅に増量されたキャッシュメモリのおかげか、1080pゲームではメモリもほとんどネックにはならない印象です。

消費電力(TGP)は115Wです。ミドルレンジGPUの中でも少ない消費電力で、前述のようにシングルファンモデルが多く、2スロット以下が基本なので、小型ケースでの採用がしやすいです。重い処理は基本性能とメモリ性能が低いため厳しいですが、低負荷な処理に限れば電力効率も非常に優れており、RTX 40シリーズの中でもトップクラスです。

4万円台前半という価格は性能からするとやや高めには感じるところですが、115Wという非常に省電力さで1080pゲームなら大体快適に行える性能があるというのは魅力です。小型ケースの採用のしやすさは非常に良いですし、メモリ性能の低さもキャッシュ増量により重い処理に対するボトルネックが多少改善しているため、想像よりはネックになっていない印象ですし、純粋な性能コスパよりもこの価格帯に求められるニーズを出来る限り取りこぼしなく満たそうという感じの仕様に見えます。

また、DLSS 3やAV1エンコードなど、RTX 40シリーズで新たに対応した機能を安価に使えるGPUとしても魅力があります。アップスケーリング前提であればレイトレーシングや4Kも使えないこともないですから、安価で実用コスパに非常に優れたミドルレンジGPUだと思います。

余談ですが、「RTX 4060 Ti 8GB」と比較してみると、希望小売価格は約25%安いながら、トランジスタ数は約17.5%減に留まっており、ROPやL2キャッシュ容量は同じとなっているなど、Tiよりは物理的な仕様でもコスパの良さが窺える点があります。

最終的な性能を見ても、1080p~1440pにおけるゲーム性能はおおよそ2割減に留まっており、それでいてメモリ性能はほぼ同じで、消費電力は約28%減、価格は25%減なので、コスパや効率は若干有利です。その他の機能面でも削れているものはないので、1080pゲームをメインと割り切るのであれば、実用コスパはRTX 4060 Tiよりも、このRTX 4060の方が一段上だと個人的には思います。

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