NVIDIA「GeForce RTX 4070 SUPER」のざっくり性能比較・評価です。海外レビューを参考に性能をざっくりと確認していきます。
本記事の情報は記事執筆時点(2024年1月17日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
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仕様
まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。
簡易比較表
※価格は2024年1月17日時点での北米での希望小売価格です(判明しているもののみ)。
GPU | シェーダー ユニット数 | メモリタイプ | VRAM速度 VRAM帯域幅 | レイトレ用 ユニット数 | ダイサイズ (おおよそ) | 消費電力 (TGP等) | 北米 参考価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
RTX 4090 | 16384 | GDDR6X 24GB 384bit | 21.0Gbps 1008GB/s | 128 | 608㎟ | 450W | 1,599ドル |
RTX 4080 | 9728 | GDDR6X 16GB 256bit | 22.4Gbps 716.8GB/s | 76 | 380㎟ | 320W | 1,199ドル |
RX 7900 XTX | 6144 | GDDR6 24GB 384bit | 20Gbps 960GB/s | 96 | 36.6㎟*6 + 300㎟ | 355W | 999ドル |
RX 7900 XT | 5376 | GDDR6 20GB 320bit | 20Gbps 800GB/s | 84 | 36.6㎟*6 + 300㎟ | 315W | 899ドル →799ドル? |
RTX 4070 Ti | 7680 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 60 | 295㎟ | 285W | 799ドル |
RTX 3090 Ti | 10752 | GDDR6X 24GB 384bit | 21.0Gbps 1008GB/s | 84 | 628.4㎟ | 450W | 1,499ドル |
RTX 3090 | 10496 | GDDR6X 24GB 384bit | 19.5Gbps 936GB/s | 82 | 628.4㎟ | 350W | 1,299ドル |
RX 6950 XT | 5120 | GDDR6 16GB 256bit | 18Gbps 576GB/s | 80 | 519㎟ | 335W | 949ドル |
RX 6900 XT | 5120 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 80 | 519㎟ | 300W | 699ドル |
RTX 3080 Ti | 10240 | GDDR6X 12GB 384bit | 19Gbps 912GB/s | 80 | 628.4㎟ | 350W | 1,099ドル |
RTX 3080 10GB | 8704 | GDDR6X 10GB 320bit | 19Gbps 760GB/s | 68 | 628.4㎟ | 320W | 699ドル |
RTX 4070 SUPER | 7168 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 56 | 295㎟ | 220W | 599ドル |
RTX 4070 | 5888 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 46 | 295㎟ | 200W | 549ドル 前:599ドル |
RX 7800 XT | 3840 | GDDR6 16GB 256bit | 19.5Gbps 624GB/s | 60 | 37.5㎟*4 + 200㎟ | 263W | 499ドル |
RX 6800 XT | 4608 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 72 | 519㎟ | 300W | 599ドル |
RTX 3070 Ti | 6144 | GDDR6X 8GB 256bit | 19Gbps 608GB/s | 48 | 392㎟ | 290W | 599ドル |
RX 6800 | 3840 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 60 | 519㎟ | 250W | 549ドル |
RX 7700 XT | 3456 | GDDR6 12GB 192bit | 18Gbps 432GB/s | 54 | 37.5㎟*4 + 200㎟ | 245W | 449ドル |
RTX 4060 Ti 8GB | 4352 | GDDR6 8GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 34 | 190㎟ | 160W | 399ドル |
RTX 3070 | 5888 | GDDR6 8GB 256bit | 14Gbps 448GB/s | 46 | 392㎟ | 220W | 499ドル |
RX 6750 XT | 2560 | GDDR6 12GB 192bit | 18Gbps 432GB/s | 40 | 336㎟ | 250W | 419ドル |
RTX 3060 Ti | 4864 | GDDR6 8GB 192bit | 14Gbps 448GB/s | 38 | 392㎟ | 200W | 399ドル |
RX 6700 XT | 2560 | GDDR6 12GB 192bit | 16Gbps 384GB/s | 40 | 336㎟ | 230W | 379ドル |
Arc A770 16GB | 4096 | GDDR6 16GB 256bit | 17.5Gbps 560GB/s | 32 | 406㎟ | 225W | 349ドル |
Arc A770 8GB | 4096 | GDDR6 8GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 32 | 406㎟ | 225W | 329ドル |
RTX 3060 | 3584 | GDDR6 12GB 192bit | 15Gbps 360GB/s | 28 | 276㎟ | 170W | 329ドル |
RTX 4060 | 3072 | GDDR6 8GB 128bit | 17Gbps 272GB/s | 24 | 156㎟ | 115W | 299ドル |
RX 6650 XT | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 17.5Gbps 288GB/s | 32 | 237㎟ | 180W | 299ドル |
Arc A750 | 3584 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 28 | 406㎟ | 225W | 289ドル |
RX 7600 | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 32 | 204㎟ | 165W | 269ドル |
RX 6600 XT | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 16Gbps 256GB/s | 32 | 237㎟ | 160W | – |
RTX 3050 | 2560 | GDDR6 8GB 128bit | 15Gbps 224GB/s | 20 | 276㎟ | 130W | 249ドル |
RX 6600 | 1792 | GDDR6 8GB 128bit | 14Gbps 224GB/s | 28 | 237㎟ | 132W | 239ドル |
今回見ていくのは、RTX 40シリーズのリフレッシュ版「RTX 40 SUPER」の最初のモデル「GeForce RTX 4070 SUPER」です。コア・メモリ・クロック等の調整がされていますが、その他基本仕様は既存の「RTX 40シリーズ」と同様です。アーキテクチャは「Ada Lovelace」で、製造プロセスも「TSMC 4N(カスタム)」となっています。
「RTX 4070 SUPER」の希望小売価格は、今までの「RTX 4070」と同じ599ドルに設定されています。公式サイトには日本での想定価格も掲載されており、そちらは86,800円~となっています。
追記:発売時の実売価格は最安9.5万円程度からでした。しかし、元々GPUは登場してすぐは高価な傾向があり、実際にRTX 4070も始めは99,800円~で登場し、そこから急激に値下がりした経緯があります。そのため、少し待てば価格は下がると思います。今回は公式サイトに適正価格に近い想定価格が掲載されていたので期待しており、その前提で評価してしまいましたが、適正価格で買うには従来通り少し待つ必要がありそうです。
価格は据え置きにも関わらず、CUDAコアは約26%増加、その他のコアも20%以上増加、L2キャッシュも36MBから48MBへと増量されており、大幅な性能向上となっています。どちらかというと、「RTX 4070」よりは「RTX 4070 Ti」に近いハードウェア仕様となっています。
既存の「RTX 4070」は価格が599ドルから549ドルに引き下げられて併売される予定ですが、50ドル差の割には性能差が大きいので、供給量と実売価格次第ではありますが「RTX 4070 SUPER」の方が魅力的なモデルになりそうです。
消費電力(TGP)は200Wから220Wへと増加しており、元モデルより10%増えることになりますが、各コア数が基本20%以上の増量ということを考えると、効率は悪くなっていなさそうです。220Wもこの性能帯のGPUとしてはまだ少ないレベルを維持しているので、効率も含め電力面は非常に優秀だと思います。
少し残念な点としては、VRAM仕様がRTX 4070を引き継いでおり、12GB GDDR6(192bit、504GB/s)と、価格の割には弱めです。最近では生成AIなどの利用が広まったことで、16GB以上のメモリを求める人も多いので、そういう人たちは特に残念かと思います。とはいえ、キャッシュ量の増加もありますし、コア増量などもあるので、十分許容できるレベルではあるかなと思います。
「RTX 4070 SUPER」の大まかな仕様面については以上ですが、最後に、その他の「RTX 40シリーズ」にも共通する仕様にもざっと触れておきます(基本的に以前の記事のコピペです)。
まず映像コーデックの対応で、「AV1」に対して、RTX 30シリーズではデコードだけのサポートでしたが、RTX 40ではエンコードにも対応しています。特にクリエイターの方にとっては嬉しい仕様だと思いますし、AV1は将来性があって採用率が高くなっていく可能性も高いため、導入しておくと安心できます。
次に次世代技術面です。レイトレーシングでは「RTコア」がRTX 30シリーズの第2世代から第3世代に更新されています。第3世代「RTコア」では「Shader Execution Reordering」などの新機能が追加され、性能が向上しています。
NVIDIAのアップスケーリング技術である「DLSS」でも、対応コアである「Tensorコア」が第3世代から第4世代へと更新されています。これにより、アップグレードされた「DLSS 3」を利用することができます。「DLSS 3」では中間フレームを作成することで負荷を大幅に軽減する機能が追加されており、性能が格段向上しているとNVIDIAは主張しており、実際に負荷がかなり軽減されている結果があります。そのため、重量級のゲームを高解像度でプレイしたい場合などには非常に役立つと思います。FSR 3でもフレーム生成機能が含まれており、こちらはGeForceとRadeonのどちらでも使えるので、固有の機能という訳ではありませんが、最終的な品質では最適化やAIで強いGeForceの方が優れているという意見が多いので、アップスケーリングを重視するならやはりRTX 40は魅力的です。
といった感じで、カタログスペックについてはここまでとして、実際の各性能について下記から見ていきたいと思います。
ゲーミング性能
ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。今回は25種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。レイトレーシングやアップスケリーング等は無効の状態でのラスタライズ性能になります。
使用されたグラフィックボードは「GeForce RTX 4070 SUPER FE版」、CPUは「Core i9-14900K」で、OSはWindows 11が使用されています。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします。
1080p(1920×1080)
FHD(1920×1080)です。最低限の解像度という感じですが、2024年現在では最も主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、特にFPSやTPSでは出来るだけ高いFPSを維持するためにこの設定にするのが主流だと思います。ただし、RTX 4090など最新世代のハイエンドGPUでは低負荷感も大きくなっているものもあります。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 223.6 |
RX 7900 XTX | 197.9 |
RTX 4080 | 193.8 |
RX 7900 XT | 179.1 |
RTX 4070 Ti | 167.6 |
RTX 3090 Ti | 165.4 |
RTX 4070 SUPER | 157.6 |
RTX 3090 | 153.3 |
RX 6900 XT | 149.2 |
RX 7800 XT | 144.0 |
RX 6800 XT | 140.9 |
RTX 3080 10GB | 139.1 |
RTX 4070 | 139.0 |
RX 7700 XT | 124.9 |
RTX 3070 Ti | 116.9 |
RTX 3070 | 111.0 |
RTX 4060 Ti 16GB | 107.9 |
RTX 4060 Ti 8GB | 107.0 |
RX 6700 XT | 101.2 |
RTX 3060 Ti | 97.6 |
RTX 4060 | 85.0 |
RX 7600 | 82.0 |
RX 6600 XT | 79.3 |
Arc A770 16GB | 77.6 |
RTX 3060 12GB | 74.9 |
RTX 3050 | 54.0 |
RTX 3090を上回る非常に優れた1080pゲーム性能
1080pにおいてはRTX 3090を少し上回る非常に優れたパフォーマンスを発揮します。前世代の最上位クラスにも匹敵する性能まで到達し、重量級のゲームでも高いfpsでプレイ可能です。RTX 4070と比較すると、約13.4%高いfpsとなっています。
RTX 4070でも1080pなら十分に高い性能を得ることが可能だったので、実用性的には意外と差はない可能性もありますが、重量級のゲームでのfps底上げや、軽めのゲームで240fpsレベルを目指したかった人などにとっては大きな存在となるかと思います。
ただ、RTX 4070から各種コア類が20%以上増量した割には、fps向上は10%台前半と少し低めな印象ではあります。価格が据え置きなので消費者視点では問題ないですが、NVIDIA側すると利益率がRTX 4070よりも低くなる気はします。
1440p(2560×1440)
WQHD(2560×1440)です。4Kは重すぎるけど、1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度は1080pですが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 188.1 |
RX 7900 XTX | 159.5 |
RTX 4080 | 154.1 |
RX 7900 XT | 139.9 |
RTX 3090 Ti | 131.3 |
RTX 4070 Ti | 128.2 |
RTX 3090 | 119.2 |
RTX 4070 SUPER | 118.6 |
RX 6900 XT | 114.0 |
RX 7800 XT | 109.3 |
RX 6800 XT | 106.8 |
RTX 3080 10GB | 106.1 |
RTX 4070 | 103.5 |
RX 7700 XT | 92.1 |
RTX 3070 Ti | 87.7 |
RTX 3070 | 82.6 |
RTX 4060 Ti 16GB | 78.0 |
RTX 4060 Ti 8GB | 77.1 |
RX 6700 XT | 74.3 |
RTX 3060 Ti | 71.6 |
RTX 4060 | 61.3 |
Arc A770 16GB | 59.9 |
RX 7600 | 57.9 |
RX 6600 XT | 56.1 |
RTX 3060 12GB | 54.7 |
RTX 3050 | 39.2 |
1440pもRTX 3090と同等の快適なパフォーマンス
1440pにおいても非常に優れたパフォーマンスを発揮します。重量級タイトルばかりの最高設定でも平均120fps近くを出しており、144fps~165fpsは十分に狙える性能です。
RTX 4070と比較すると約14.6%上回る結果となっています。1080pよりもわずかながら向上率が上がっているので、もしかしたら増量されたキャッシュ量も活きているかもしれません。
4K(3840×2160)
「超高解像度の代名詞」ともいえる解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、その負荷の大きさから高いFPSを出す事が難しいためTPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはまずないです。処理性能の要求が高いだけでなく、高リフレッシュレートの4Kモニターが非常に高価ということもあり、2023年現在では競技性の高いゲームではあまり利用されません。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 118.7 |
RX 7900 XTX | 96.1 |
RTX 4080 | 92.5 |
RTX 3090 Ti | 81.5 |
RX 7900 XT | 81.0 |
RTX 4070 Ti | 72.8 |
RTX 3090 | 72.5 |
RTX 4070 SUPER | 67.5 |
RX 6900 XT | 65.3 |
RTX 3080 10GB | 63.6 |
RX 7800 XT | 62.3 |
RX 6800 XT | 60.7 |
RTX 4070 | 58.6 |
RX 7700 XT | 50.7 |
RTX 3070 Ti | 50.5 |
RTX 3070 | 47.3 |
RTX 4060 Ti 16GB | 43.2 |
RTX 4060 Ti 8GB | 41.1 |
RTX 3060 Ti | 40.7 |
RX 6700 XT | 40.7 |
Arc A770 16GB | 35.8 |
RTX 4060 | 33.6 |
RTX 3060 12GB | 31.2 |
RX 7600 | 30.1 |
RX 6600 XT | 29.2 |
RTX 3050 | 21.6 |
4Kでも実用的な性能だが、やはりメモリが少し足を引っ張っている印象あり
4KにおいてもRTX 3080を少し上回る性能を発揮しており、十分実用的な性能です。軽めのゲームなら高いfpsも出せます。
RTX 4070と比較すると約15.2%高い性能となっており、1080pの約13.4%よりも若干有利を広げています。メインの12GB VRAMは同じなので、やはり12MB増量されたL2キャッシュが思ったよりも活きているかもしれません。
ただし、メインの12GB VRAMが同性能帯の他のGPUと劣っている点は変わらず、性能低下率も大きめです。たとえば、1080pでは約2.8%リードしていたRTX 3090には、4Kでは約6.9%劣っており、10%近くの開きがあります。
また、容量では勝っているRTX 3080 10GB(256bit、760GB/s)に対しても1080p~1440pで差が7%程度縮まっていたりして、容量だけでなく「192bit、504GB/s」というバス幅・帯域幅の狭さもネックになっていることが見受けられます。
4Kにおいても価格を考えれば十分高コスパですし、性能も使えるレベルなので大きなデメリットとまではいきませんが、RTX 4080 16GBや、今後発売予定の「RTX 4080 SUPER」などは容量も帯域幅も大幅に上で、4Kにおける性能差はかなり大きい点は覚えておくと良いかもしれません。
電力関連
消費電力
ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」で、解像度は「3840×2160(4K)」です。
GPU名称 | 消費電力 |
---|---|
RTX 4060 | 128W |
RTX 3050 | 132W |
RTX 4060 Ti 8GB | 152W |
RX 7600 | 152W |
RX 6600 XT | 159W |
RTX 4060 Ti 16GB | 165W |
RTX 3060 | 183W |
RTX 4070 | 201W |
RTX 3060 Ti | 205W |
RTX 4070 SUPER | 218W |
RX 6700 XT | 224W |
RX 7700 XT | 228W |
RTX 3070 | 232W |
Arc A770 16GB | 235W |
RX 7800 XT | 250W |
RTX 4070 Ti | 277W |
RX 6800 XT | 294W |
RX 6900 XT | 300W |
RTX 3070 Ti | 302W |
RTX 4080 | 304W |
RX 7900 XT | 312W |
RTX 3080 10GB | 336W |
RX 7900 XTX | 353W |
RTX 3090 | 368W |
RTX 4090 | 411W |
RTX 3090 Ti | 537W |
RTX 3090並みの性能で218W
ゲーム時の平均消費電力は、ほぼTGP通りの218Wです。RTX 3090並みの性能が218Wとは驚きです。
電源には多少の余裕ができるのは地味に嬉しいですし、ダイサイズも小さめなので、デュアルファンモデルも出てくると思われます。小さめのケースでの運用も可能かと思われ、性能とは裏腹に前世代のミドルレンジ並みの扱い易さです。
ワットパフォーマンス
ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています。測定に使用されたゲームは「Cyberpunk 2077(4K/Ultra/レイトレ無効)」です。
GPU名称 | 1フレームあたりの消費電力 |
---|---|
RTX 4080 | 4.0W |
RTX 4070 SUPER | 4.1W |
RTX 4090 | 4.2W |
RX 7900 XTX | 4.4W |
RTX 4060 Ti 8GB | 4.5W |
RTX 4070 | 4.5W |
RX 7900 XT | 4.7W |
RTX 4070 Ti | 4.7W |
RX 7800 XT | 4.9W |
RTX 4060 Ti 16GB | 5.1W |
RTX 4060 | 5.3W |
RX 7600 | 5.7W |
RX 7700 XT | 5.7W |
RTX 3070 | 6.0W |
RX 6900 XT | 6.2W |
RTX 3060 Ti | 6.2W |
RTX 3090 | 6.3W |
RX 6600 | 6.3W |
RX 6800 XT | 6.5W |
RTX 3080 10GB | 6.5W |
RX 6600 XT | 6.9W |
RTX 3070 Ti | 7.3W |
Arc A770 16GB | 7.3W |
RX 6700 XT | 7.4W |
RTX 3060 | 7.5W |
RTX 3050 | 8.0W |
RTX 3090 Ti | 8.0W |
高解像度でもRTX 4080 / 4090並みのトップクラスの電力効率
4Kでの電力効率はRTX 4070と比べると約9%向上しており、全GPUで見てもトップクラスの良さになりました。
メモリ性能がネックになりそうな高解像度帯でも、性能の割には少ない消費電力のおかげで効率は非常に優れています。しかし、そもそもネイティブ4Kやレイトレでは少し頼りない性能ではあるので、そこは注意です。
レイトレーシング性能
レイトレーシング性能
レイトレーシング性能を見ていきます。レイトレーシングはメインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性があります。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4080 | 127.3 |
RTX 4070 Ti | 110.2 |
RTX 3090 Ti | 107.8 |
RTX 4070 SUPER | 103.4 |
RTX 3090 | 99.0 |
RX 7900 XT | 93.2 |
RTX 4070 | 91.9 |
RTX 3080 10GB | 90.1 |
RX 7800 XT | 75.4 |
RX 6900 XT | 72.7 |
RTX 3070 Ti | 71.3 |
RTX 4060 Ti 16GB | 71.1 |
RX 6800 XT | 68.5 |
RTX 4060 Ti 8GB | 67.4 |
RX 7700 XT | 66.4 |
RX 6800 | 58.9 |
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4080 | 98.6 |
RTX 3090 Ti | 82.5 |
RTX 4070 Ti | 82.3 |
RTX 4070 SUPER | 75.9 |
RTX 3090 | 74.7 |
RX 7900 XT | 70.4 |
RTX 3080 10GB | 67.0 |
RTX 4070 | 66.7 |
RX 7800 XT | 54.9 |
RX 6900 XT | 52.1 |
RTX 4060 Ti 16GB | 50.1 |
RX 6800 XT | 49.1 |
RX 7700 XT | 47.0 |
RTX 3070 Ti | 43.9 |
RX 6800 | 42.4 |
RTX 4060 Ti 8GB | 40.9 |
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4080 | 57.1 |
RTX 3090 Ti | 48.8 |
RTX 3090 | 43.4 |
RX 7900 XT | 39.2 |
RTX 4070 Ti | 36.6 |
RTX 4070 SUPER | 34.2 |
RTX 4070 | 30.2 |
RX 7800 XT | 30.1 |
RTX 3080 10GB | 29.0 |
RX 6900 XT | 28.2 |
RTX 4060 Ti 16GB | 27.3 |
RX 6800 XT | 26.5 |
RX 6800 | 22.8 |
RX 7700 XT | 21.1 |
RTX 3070 Ti | 19.9 |
RTX 4060 Ti 8GB | 17.6 |
レイトレーシング性能は4K以外は実用的
ネイティブのレイトレーシング性能は、1080pと1440pでは重めのタイトルでも100fps超えを狙える実用的な性能です。1080pではタイトルによっては144fpsも狙えそうなレベルです。
8万円台のGPUとしてはかなり優れており、10万円未満でレイトレーシングも使いたいならかなりおすすめできるGPUだと思います。
しかし、4Kレイトレーシングにおいては性能低下率が大きく、やはりメモリ容量がネックとなっている感は否めない点は注意が必要です。特に重量級なタイトルでは一桁fpsなども見受けられるので、実用的かは怪しいレベルです。
例としてRTX 4080と比較してみると、1080pでは約23.1%だった差が、4Kでは約70%にまで広がっています。価格的に仕方ないものの、4Kレイトレーシングで高fpsを目指すにはやはり力不足感があります。
コストパフォーマンス
上述のfpsを基にGPUの1フレームあたりの価格を算出し、コストパフォーマンスを比較しています。数値が低い方が良い点に注意です。各GPUの価格は、記事執筆時点のおおよその市場最安値価格です。ラスタライズとレイトレーシング時の両方を見ていきます。
元のゲーミング性能の解像度は1440pを用いています。4Kなどではやや結果が異なる可能性がある点に注意です。
1フレームあたりの価格(ラスタライズ)
まずはラスタライズ性能のコスパです。上述の1440pゲーム時の性能と現在の市場価格を基に、1フレームあたりの価格を算出し、コスパとして比較しています。
また、「RTX 4070」については記事執筆時点の価格に加え、50ドル値下がり想定(約7,300円)の2つの数値を参考に掲載しています。
GPU名称 | 1フレームあたりの価格 | 価格 |
---|---|---|
RX 7600 | ¥639 | ¥36,980 |
RX 6700 XT | ¥667 | ¥49,580 |
RTX 3070 Ti | ¥670 | ¥58,800 |
RX 6600 XT | ¥677 | ¥37,980 |
RTX 4060 | ¥701 | ¥42,980 |
RTX 3060 12GB | ¥709 | ¥38,800 |
RTX 3070 | ¥724 | ¥59,800 |
RX 7700 XT | ¥725 | ¥66,800 |
RX 7800 XT | ¥730 | ¥79,800 |
RTX 4070 SUPER | ¥732 | ¥86,800 |
RTX 4060 Ti 8GB | ¥744 | ¥57,400 |
RTX 4070 ※値下げ想定 | ¥749 | ¥77,500 |
RTX 3050 | ¥760 | ¥29,800 |
RTX 3060 Ti | ¥765 | ¥54,800 |
Arc A770 16GB | ¥781 | ¥46,800 |
RTX 4070 | ¥819 | ¥84,800 |
RX 6800 XT | ¥831 | ¥88,800 |
RTX 3080 10GB | ¥837 | ¥88,800 |
RX 7900 XT | ¥858 | ¥120,000 |
RTX 4070 Ti | ¥858 | ¥109,980 |
RX 6900 XT | ¥858 | ¥97,800 |
RTX 4060 Ti 16GB | ¥882 | ¥68,800 |
RX 7900 XTX | ¥939 | ¥149,800 |
RTX 4080 | ¥1,167 | ¥179,800 |
RTX 4090 | ¥1,594 | ¥299,800 |
1440pでも高い性能を発揮するGPUではトップクラスのコスパ
1440pにおけるラスタライズ性能コスパは上記のようになっています。上位は値下がりが進んだ旧世代GPUが多くを占めている状況です。
しかし、「RTX 4070 SUPER」もトップからそこまで遠くない位置にいます。また、上のGPUを見てみると、軒並みエントリーからミドルレンジのGPUです。そのため、1440pでも144fps以上を十分狙えるような高性能GPUとしてはトップクラスの高コスパGPUということがわかります。
「RX 7700 XT」と「RX 7800 XT」もほぼ同じ位置に居るので、ハイエンド用途も視野に入れた高性能高コスパGPUとしてはこの辺りが競合になると思います。ただし、少なくとも現状では画像生成AIやレンダリングなどで優位に居ますから(後述)、総合的に見た高性能高コスパで予算も無駄遣いしないGPUとしては、単独トップという評価になるのではないかと思います。
1フレームあたりの価格(レイトレーシング)
次にレイトレーシング時のコスパを見ていきます。DLSSやFSR等のアップスケーリング技術は使用していない場合のものになります。
GPU名称 | 1フレームあたりの価格 | 価格 |
---|---|---|
RTX 4070 SUPER | ¥1,144 | ¥86,800 |
RTX 4070※値下げ想定 | ¥1,162 | ¥77,500 |
RTX 4070 | ¥1,271 | ¥84,800 |
RTX 3080 10GB | ¥1,325 | ¥88,800 |
RTX 4070 Ti | ¥1,336 | ¥109,980 |
RTX 3070 Ti | ¥1,339 | ¥58,800 |
RTX 4060 Ti 16GB | ¥1,373 | ¥68,800 |
RTX 4060 Ti 8GB | ¥1,403 | ¥57,400 |
RX 7700 XT | ¥1,421 | ¥66,800 |
RX 7800 XT | ¥1,454 | ¥79,800 |
RX 7900 XT | ¥1,705 | ¥120,000 |
RX 6800 XT | ¥1,809 | ¥88,800 |
RTX 4080 | ¥1,824 | ¥179,800 |
RX 6900 XT | ¥1,877 | ¥97,800 |
1440pレイトレコスパは単独トップレベルだけど、4Kではガクッと落ちるので注意
1440pレイトレコスパは、単独トップレベルの超高コスパです。50ドル値下がり想定のRTX 4070をも上回っています。
注意点として、4Kではメモリ容量がネックで性能がガクッと落ちる(前述)があるのは忘れてはいけませんが、1440pまでのレイトレコスパ特化なら一択レベルの良さとなっている高コスパGPUです。
ただし、1週間後に登場予定の「RTX 4070 Ti SUPER」が16GBメモリ搭載で11万円台後半からという価格で、4Kレイトレ性能も格段に上がる可能性が高いので、4Kまで視野に入れたいならそちらを見てからの方が良いかな思います。
クリエイティブ用途
比較の最後は、クリエイティブ用途でのパフォーマンスを見ていきます。
一般的な動画編集等の基準性能としてFP32(単精度浮動小数点演算)の理論演算性能、「Blender」におけるGPUレンダリング性能、「SPECviewperf 2020 v3」によるOpenGL性能、AIイラスト生成ソフト「Stable Diffusion」の性能をそれぞれ見ていきたいと思います。
また、ここのテストは上述までとは異なるテストシステムを使用した海外レビュー(Tom’s Hardware)を参考にしています。「Core i9-13900K」と「DDR5-6600 CL34 32GB(16GBx2)」が使用されています。他の条件について気になる方は上述の参考リンクをご覧ください。
理論演算性能(FP32)
FP32(単精度浮動小数点演算)は、理論演算性能を示す一つの指標です。単位はTFLOPS(テラフロップス)を用います。実際のテストから算出するものではなく、シェーダーユニット数(対応の演算器の数)とクロックから計算した、理論上の処理性能を表します。製品によってクロックが異なるので、下記の表の数値と異なる可能性がある点に注意です。
一般的な動画編集においてのクリエイティブ性能は、このFP32とVRAMの性能(データ量が多い処理の場合)によって比例する傾向があります。実際「Premiere Pro CC」や「Davinci Resolve」などの主要な動画編集ソフトでの編集やプレビュー速度はある程度比例する傾向があるので、まず参考に見ていこうと思います(完全に一致する訳ではないので注意)。
GPU名称 | FP32(TFLOPS) |
---|---|
RX 7800 XT 16GB 624GB/s | 37.32 |
RTX 4070 SUPER 12GB 504GB/s | 35.48 |
RX 7700 XT 12GB 432GB/s | 35.17 |
RTX 3080 10GB 760GB/s | 29.77 |
RTX 4070 12GB 504GB/s | 29.15 |
RTX 4060 Ti 8GB / 16GB 288GB/s | 22.06 |
RTX 3070 Ti 8GB 608GB/s | 21.75 |
RX 7600 8GB 288GB/s | 21.75 |
RX 6800 XT 16GB 512GB/s | 20.74 |
RTX 3070 8GB 448GB/s | 20.31 |
Arc A770 16GB 16GB 560GB/s | 17.20 |
RTX 3060 Ti 8GB 448GB/s | 16.20 |
RX 6800 16GB 512GB/s | 16.17 |
RTX 4060 8GB 272GB/s | 15.11 |
RX 6700 XT 12GB 384GB/s | 13.21 |
RTX 3060 12GB 12GB 360GB/s | 12.74 |
RX 6600 XT 8GB 256GB/s | 10.61 |
RTX 3050 8GB 224GB/s | 9.10 |
RX 6600 8GB 224GB/s | 8.93 |
FP32性能はRTX 4070から約19%向上
FP32性能はRTX 4070から約19.2%と大きく向上しました。競合の「RX 7000シリーズ」ではFP32性能が全体的に格段に向上していたため、「RTX 40シリーズ」はやや下に位置していましたが、「RTX 4070 SUPER」は「RX 7700 XT」と「RX 7800 XT」と同等レベルになり、その差も埋めました。
Blender(3DのGPUレンダリング)
「Blender」は人気のある定番のレンダリングソフトです。「Blender 3.6.0」を用いた「Blender Benchmark」の3つのテスト結果の幾何平均を総合スコアとし、比較していきます。
「Blender 3.6.0」では、AMD、NVIDIA、Intel Arc GPUでレイトレーシングを使用するCycles Xエンジンが含まれているため、レイトレーシング性能も重要となります。しかし、どうやら「Blender 3.6.0」ではレイトレーシング用のコアを直接使用するのではなく、メインのGPUシェーダーを介しての処理となるようです。そのため、RTコアではなくメインのGPUコア(CUDAコア)でレイトレーシングを高速化できるエンジンの「Optix」を持つGeForceに現状では優位性があります。
GPU名称 | 総合スコア(幾何平均) |
---|---|
RTX 4080 | 3119.6 |
RTX 4070 Ti | 2368.5 |
RTX 4070 SUPER | 2310.1 |
RTX 4070 | 1943.2 |
RTX 4060 Ti 8GB | 1419.4 |
RTX 4060 Ti 16GB | 1371.2 |
RTX 3070 Ti | 1356.2 |
RX 7900 XTX | 1252.9 |
RTX 4060 | 1160.3 |
RX 7900 XT | 1144.1 |
RX 7800 XT | 752.6 |
Arc A770 16GB | 696.5 |
RX 7700 XT | 649.7 |
RX 7600 | 422.5 |
RTX 4070 Ti に近い性能
Blenderにおけるレンダリング性能は「RTX 4070 Ti」とほぼ同等です。わずか2.5%ほど劣る性能です。
「RTX 4070 Ti」が最安11万円台が基本であったことを考えると、そのレベルの性能を8万円台で発揮できるのは破格のコスパです。
しかし、「RTX 4080」には約35%と大きくリードされており、ここでもメモリ性能差が影響していそうです。しかも、後に若干強化されて価格も下がる「RTX 4080 SUPER」と、16GBメモリ採用となる「RTX 4070 Ti SUPER」も控えています。
「RTX 4070 SUPER」もレンダリングで強力かつ高コスパではあるものの、ガンガン使いたい場合には「RTX 4070 Ti SUPER」か「RTX 4080 SUPER」を選ぶ方がおすすめです。
ちなみにRadeonは未だにBlenderのGPUレンダリングではGeForceよりも明らかに劣ります。これは処理の仕組みがGeForce有利に働いているため仕方がなく、現状Blenderでのレンダリングを想定するならGeForce一択です。ただし、この差が維持されるかはソフトやGPUやドライバの最適化次第なので、今後は状況が変わる可能性もあるので動向には注目していきたいです。
SPECviewperf 2020 v3(OpenGL)
「SPECviewperf 2020 v3」はOpenGL性能を測るベンチマークです。OpenGLはクロスプラットフォームに対応した汎用型のグラフィックスライブラリとなっており、ゲームだけでなく幅広い分野で利用されています。
今回見るのは「SPECviewperf 2020 v3」の8つのテストの総合スコア(幾何平均)です。ただし、一般的にはテストに使用される処理全てを利用する人はほぼ居ないと思うため、自分が使用するアプリケーションで使用される処理について確認することが重要な点は留意しておきましょう。今回は総合的な性能で相対的な差を求めるために、幾何平均による総合スコアを用いています。
GPU名称 | 総合スコア(幾何平均) |
---|---|
RX 7900 XTX | 202.79 |
RX 7900 XT | 178.16 |
RX 7800 XT | 129.15 |
RX 7700 XT | 112.95 |
RTX 4080 | 98.57 |
RTX 4070 Ti | 80.29 |
RX 7600 | 79.14 |
RTX 4070 SUPER | 75.98 |
RTX 4070 | 66.71 |
RTX 3070 Ti | 56.17 |
RTX 4060 Ti 16GB | 51.12 |
RTX 4060 Ti 8GB | 50.92 |
RTX 4060 | 43.51 |
Arc A770 16GB | 30.78 |
OpenGL性能はRadeonの方が圧倒的に有利
OpenGL性能はRadeonの方が圧倒的に有利な点は一応注意です。
この差はGPU性能差によるものではなく、NVIDIAがゲーム向けのGeForceではOpenGL性能に制限を強く掛けているためです。同社のプロフェッショナル向けGPUの需要を維持するための調整となっています。
Radeonでも同様にプロフェッショナル向けのGPUがあり、ゲーム向けGPUでは制限が掛けられていますが、その制限がGeForceよりは緩いです。そのため、ゲーム向けGPU同士の比較だとRadeonの方が明らかに良く見えるという状況になっています。
とはいえ、強く制限が掛けられた状態でも、以前よりは性能が大きく底上げされているので使えないことはありません。開発者視点だとやはり厳しい面があるかもしれませんが、OpenGLがクロスプラットフォームの汎用型ライブラリということもあり、消費者視点なら高い性能を求められることは少ないので「RTX 4070 SUPER」でも困ることはあまりないと思います。
Stable Diffusion(AIイラスト生成)
現在、AIイラストソフトで人気のある「Stable Diffusion」を用いて、AIイラストの生成時間を比較しています。よく利用されるAIイラスト生成ソフトは他にもありますが「Stable Diffusion」が恐らくは一番定番と言えるものだと思います。
各GPUで「768×768の20枚の画像を生成するのに掛かる時間」を測定し、1分あたり何枚の画像を生成できるかを各GPUで算出して比較しています。
GPU名称 | 1分あたりの生成枚数 |
---|---|
RTX 4080 | 20.320 |
RTX 4070 Ti | 15.888 |
RTX 4070 SUPER | 14.234 |
RTX 4070 | 12.861 |
RX 7900 XTX | 10.915 |
RTX 3070 Ti | 10.617 |
RX 7900 XT | 9.545 |
RTX 4060 Ti 8GB | 8.587 |
RTX 4060 Ti 16GB | 8.457 |
RX 7800 XT | 7.031 |
RTX 4060 | 6.990 |
RX 7700 XT | 6.205 |
Arc A770 16GB | 4.697 |
RX 7600 | 3.489 |
AIイラスト生成は高めの性能だけど、やはりメモリがネックで高解像度はきつそうで、コスパはやや悪めか
Stable DiffusionにおけるAIイラスト生成は、768×768ならそこそこの性能です。1分あたりで約14枚の画像を生成でき、RTX 4070よりは10.7%高速です。十分実用的だと思います。ただし、RTX 4080は1分あたり約20枚生成することが可能で、約42.8%と大幅に高速です。
しかも、画像生成AIは高解像度になるほどVRAMの要求容量が非常に高くなることで知られており、例の768×768より上の解像度となると12GB以下と16GB以上とで圧倒的な差ができたりもするので、12GBの「RTX 4070 SUPER」は高解像度の生成ではやや頼りないです。
メモリ容量がネックにならない低解像度の画像生成ではGPUパワーが純粋に反映される傾向があるので、その場合には「RTX 4070 SUPER」は普通に強力ではあるものの、768×768でもややネックになっているように見えるので、強力と言えそうなのは768×512くらいまでといったところです。がっつり楽しみたい方には少し不満が出そうなレベルです。
また、そもそも低解像度前提ならRTX 3060 12GBでもそれなりに使えたりするので、そことコスパ比較されてしまうと不利です。この後登場する「RTX 4070 Ti SUPER」との比較でも、想定価格を考えればコスパでは恐らく大きく負けてしまうことになると思います。元々価格の割に弱めのメモリが特にネックになる用途となってしまっています。
とはいえ、もちろん悪い性能ではないし使えるので、主軸において楽しみたいって訳でなければ、割り切っても良いレベルかなとも思います。上述の内容は、あくまで高解像度の生成の場合に、特に生成AIに適したGPUとコスパ比較した場合の話です。
ちなみに競合のRadeonは、GeForceの競合モデルよりも全体的に大容量のVRAMを搭載するため、理論上はAIイラスト生成でも高い性能を発揮できるはずですが、基本仕様や最適化、AI性能でGeForceが有利なため、現状はGeForce一択レベルの性能差があります。
まとめ
GeForce RTX 4070 SUPER
- 前のRTX 4070と同じ価格(599ドル)で性能は大きめに向上
- 高性能帯でトップクラスの非常に優れたコスパとワットパフォーマンス
- 8万円台で4K高fpsも視野に入る非常に優れた性能
- 実用的なレイトレーシング性能
- 前世代ミドルレンジ並みの消費電力で、小さめのケースにも対応できる
- DLSS 3に対応
- AV1デコードおよびエンコードをサポート
- 高価(国内想定価格:約8.7万円~)
- 価格の割に低いメモリ性能(12GB、504GB/s)で4KやAIイラスト生成(高解像度)では上位GPUに大きく劣る
RTX 4070 SUPER:1440p以下で超強力なコスパと効率を発揮する高コスパGPU
「RTX 4070 SUPER」は「RTX 4070」の599ドルという価格を引き継ぐにも関わらず、各コア数が20%以上増量されたGPUです。L2キャッシュも12MB増量しました。元々総合コスパ評価が高かった「RTX 4070」が更に強化される形となっており、当然ながらそのコスパは非常に優れています。
具体的な性能としては、1080pおよび1440pラスターゲーム性能ではRTX 3090に匹敵する非常に優れたパフォーマンスを発揮します。重量級ゲームでも144~165fpsを期待でき、軽めのゲームなら240fpsレベルも十分狙える高性能GPUです。RTX 4070の改良版といった名前ではありますが、性能的にはどちらかといえば「RTX 4070 Ti」に近いです。
また、消費電力(TGP)は220Wとなっており、RTX 4070から10%しか増えていません。各コア数は20%増量し、実性能も低くても10%以上は向上しているため、ワットパフォーマンスも少し向上しています。
8万円台で買えるGPUとしては非常に優れた性能とコスパと効率を兼ね備えており、10万円未満では現状最もおすすめできるGPUになったと思います。
唯一に近い懸念点は、やはりVRAMの性能です。192bitの12GBメモリは価格の割には弱いです。RTX 4070からここは改善されませんでした(L2キャッシュ増量でわずかに補ってはいるけど)。
そのため、4Kゲームで他のハイエンドGPUよりもやや大きめのfps低下が見られる点は、RTX 4070の頃と同様です。最近注目度の高い画像生成AIでも、高解像度だとVRAM容量が非常に重要なので、そこでも価格の割に低い12GBがネックになりコスパがやや悪いです。
もちろん使えないレベルではありませんが、少し後に登場する「RTX 4070 Ti SUPER」では16GBメモリが採用されており、そちらの方が4Kや生成AIでは格段に高い性能を発揮すると思われます。200ドル差は大きいですが、それらのハイエンド用途でもしっかり活用したいなら「RTX 4070 Ti SUPER」の方がおすすめではあります。
総評としては、「RTX 4070 SUPER」は価格の割に低いメモリ性能のため、4Kや生成AIコスパは良い訳ではありませんが、1080p~1440pにおける性能は非常に高性能で、ゲームコスパとワットパフォーマンスは高性能GPUではトップクラスの高コスパGPUです。それでいて消費電力も多くなくて扱い易く、20万円台中盤以下の価格で高コスパゲーミングPCを検討するなら筆頭となるGPUだと思います。
といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。
私の環境では、FS2020を実行する際、GTX1080よりFPSが20%以上低下していて驚いています。 すでにメーカーサポートと調整し初期不良品として交換しましたが、残念ながら改善はありません。 ベンチマークでは確かに2倍以上の数値が出ていますが実際にはGTX1080の数値すらも出せていない。原因が全く分からず困りはてています。一般的な対処法はすべて試してみましたが効果ありませんでしたから、この製品がFS2020には全くあっていないのかと考えています。
ちなみに構成は、Prime B-760PLUS-D4 CPU13700K asus RTX4070Super DUAL DDR42666 32G でメモリーがちょっと遅い気がしますが。電源は750Wブロンズ。
FPSは、50前後の場所が35~38と20%以上の低下でビックリです。
試された対処法や動作中の詳しい状況を聞かないと何とも言えませんが…。
少し探してみたところ、他のレビュー記事では「RTX 4070 SUPER」でFS2020で正常なfpsが記録されている状況がありました。
一応は該当の製品特有の不具合の可能性もありますが、ベンチマークで正常なスコアが出ているのなら、何らかの設定による可能性が高そうには思います。
速報価格と実売価格が完全に乖離してますので、記事は書き直していただけませんかね。
4070の在庫処分目的なんでしょうが、売り手都合により11万まで釣り上げられていて話にならない。
記事として有用でないどころか有害になりかねないです。ご検討下さい。
品切れになってはいますが9万円台の販売もありましたし、86,800円からというのは公式HPに記載されていたメーカーの想定価格です。
むしろ、現在の高価すぎる価格を記載していた方が、今の価格が適正だと勘違いし兼ねませんから、有害になる可能性が高いと思います。
初動価格は高いけど新GPUではよくあることであり、値下がりする可能性が高い旨も記載しているので、特に問題はないと考えます。