「GeForce RTX 50 シリーズ」の性能や特徴まとめ【一覧】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

デスクトップ版「GeForce RTX 50シリーズ」の性能や特徴についてざっくりまとめています。

注意

本記事の内容は記事執筆時点(2025年6月26日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

簡易スペック比較(RTX 50シリーズ)

GeForce RTX 50 シリーズ(デスクトップ)
GPUCUDAコアVRAMTGP/TDP希望小売価格
RTX 50902176032GB(1792GB/s)575W1999ドル
RTX 50801075216GB(960GB/s)360W999ドル
RTX 5070 Ti896016GB(896GB/s)300W749ドル
RTX 5070614412GB(672GB/s)250W549ドル
RTX 5060 Ti 16GB460816GB(448GB/s)180W429ドル
RTX 5060 Ti 8GB46088GB(448GB/s)180W379ドル
RTX 506038408GB(272GB/s)145W299ドル
※GPU名は記事内の紹介部分へのリンクです
※価格は2025年6月時点のもの

前世代との比較

まずは「RTX 50シリーズ」と前世代の「RTX 40シリーズ」のおおまかな設計や機能についてざっくり比較しています。

RTX 50 / 40シリーズの主な違い
RTX 50シリーズRTX 40シリーズ
アーキテクチャBlackwellAda Lovelace
プロセスTSMC 4N系(5nm)TSMC 4N(5nm)
VRAMGDDR7GDDR6/6X
L2キャッシュ32MB~96MB24MB~72MB
レイトレーシングRTコア:第4世代RTコア:第3世代
AIユニットTensorコア:第5世代
※FP4に対応
Tensorコア:第4世代
※FP8までの対応
DLSSDLSS 4
・AIベースにモデル変更
(様々な面でメリット)
・マルチフレーム生成
(1fにつき最大3f)
DLSS 3
・フレーム生成機能
(1fにつき1f)
AV1コーデック対応エンコード/デコードエンコード/デコード
※2025年6月時点

プロセスは恐らく 5nm相当のままで、トランジスタ密度も大差ない

まずは基礎的な面です。前世代と比較してアーキテクチャは更新されていますが、プロセスルール(nm)については恐らくほぼ同様の5nm相当となっています(一応公式で発表された訳ではないけど、諸々の情報からほぼ確定と言われている)。

具体的には、先代と同じ TSMC 4N か改良版の 4NP だと言われており、どちらも同じベース(TSMC N5)のものです。

プロセスルール(nm)は小さいほど、小さなトランジスタを多く搭載できるため、電力効率や性能向上に貢献すると言われていますが、ここでの向上はほぼなしということになります。

プロセスルールやトランジスタ密度で全てが決まる訳ではなく、アーキテクチャによる向上やキャッシュメモリ増量やメモリサブシステムの改善など、その他にも向上を左右する要素はあるものの、土台の部分が変わらないのでちょっと不安視された部分だったりします。

一部モデルでキャッシュの増量

RTX 50シリーズでは、一部モデルの除きL2キャッシュが前世代から約1.33~1.5倍になっています。

RTX 50RTX 40
5090 / 409096MB72MB
5080 / 408064MB64MB
5070 Ti / 4070 Ti SUPER48MB48MB
5070 / 407048MB32MB
5060 Ti / 4060 Ti32MB24MB
5060 / 406032MB24MB

DLSS 4:AIベースになり、マルチフレーム生成機能追加

「RTX 50 シリーズ」ではTensorコアが第5世代に更新され、新しいDLSS 4に対応しました。DLSSは、NVIDIAが提供する技術で、主にフレームレートを底上げするアップスケーリング技術とフレーム生成が注目されています。

DLSS 4では、AIベースになり、マルチフレーム生成に対応したのがポイントです。従来通りゲーム側の対応が必須となっている点は注意が必要ですが、大きく進化しています。

まずAIベースとなった点について、従来モデルではレンダリングパイプラインにAI処理を挟むことができなかったものが、DLSS 4ではパイプラインにAI処理が直接組み込まれることになりました。

この変更によって、より高度な処理が可能になり、AIユニットも効率良く使えるようになりました。

そして、DLSS 4ではマルチフレーム生成に対応したものもポイントです。

従来のフレーム生成では前後のフレームのピクセルを単純に比較して中間フレームを生成するものだったので、1フレームにつき1フレームの生成でした。

これが、DLSS 4によるマルチフレーム生成では1フレームにつき最大3つの追加フレームを生成できるようになりました。更に、フレーム生成にも従来のフレーム生成よりも高度な予測が加わっているため、より自然なフレームが生成できるようになったとされています。

このように、従来とは大きく異なる大きく進化したAI処理技術となっています。

Tensorコア:FP4に対応

Tensorコアが第5世代に更新され、FP4に対応したこともポイントです。前世代ではFP8までの対応だったので、計算能力が大きく向上しました。

FP4ではFP8と比べると精度は落ちてはいますが、FP4でも十分な精度が得られると言われているので、大きなポイントです。ゲーム以外のAI処理も重要視する人にとっては、これから大きな意味を持つかもしれません。

ゲーム性能(ベンチマークスコア)

GPUのゲーム性能を測るベンチマークスコアを見ていきます。各モデルの性能については後で触れるので、ここではスコア載せるだけに留めておきます。


ラスタライズ性能(3DMark Time Spy Graphics)

まずは、レイトレーシングなどではない、従来の一般的な描画方法であるラスタライズによるゲーム性能です。

「3DMark Time Spy」は、2025年6月時点で主要なゲーム性能を測定する主要なベンチマークの一つです。一般的なフルHD(1920×1080)よりも高い解像度のWQHD(2560×1440)となっています。

Time Spyでは、APIはDX12(DirectX 12)が使用されます。DX12は2015年に導入されたやや古めのAPIですが、現在でも最新のWindowsで主要なグラフィックスのAPIであり、多くのPCゲームで採用されています。

3DMark Time Spy Graphics Score
GPU名称スコア
RTX 5090
47487
RTX 4090
36213
RTX 5080
33015
RX 7900 XTX
30652
RX 9070 XT
30070
RTX 4080 SUPER
28531
RTX 4080
28127
RTX 5070 Ti
27792
RX 9070
27025
RX 7900 XT
26974
RTX 4070 Ti SUPER
24454
RTX 4070 Ti
22779
RTX 5070
22689
RTX 4070 SUPER
21130
RX 7800 XT
20036
RTX 4070
17944
RX 7700 XT
17006
RX 9060 XT 16GB
16550
RX 9060 XT 8GB
16316
RTX 5060 Ti 16GB
15966
RTX 5060 Ti 8GB
15852
Arc B580
14720
RTX 5060
13617
RTX 4060 Ti 8GB
13473
Arc A770 16GB
13472
RTX 4060 Ti 16GB
13356
RX 7600
10836
RTX 4060
10665
RTX 3060 12GB
8867
RTX 3050 8GB
6278
参考:3DMark

レイトレーシング性能(3DMark Port Royal)

レイトレーシングは、名前の通り光線の追跡による描画方法です。光と物体の反射や屈折などを現実に近い形で再現し、従来の方法では難しかった複数回の反射なども表現できるので、非常に現実に近い映像を実現することができます。

「3DMark Port Royal」は、DXR(DirectX Raytracing)を利用したレイトレーシング性能を測るテストです。レイトレーシングは従来の方法よりも負荷が大きい上、解像度もフルHDよりも高いWQHD(2560×1440)なので、非常に負荷の大きいテストになっています。

レイトレーシングはGPUのメインのシェーダーユニットだけでなく専用コアを利用することが基本なので、その専用コアの性能や最適化具合によっても性能が左右されます。

3DMark Port Royal
GPU名称スコア
RTX 5090
37715
RTX 4090
26095
RTX 5080
23136
RTX 5070 Ti
19311
RX 9070 XT
18741
RTX 4080 SUPER
18332
RTX 4080
17951
RX 7900 XTX
16641
RX 9070
16145
RTX 4070 Ti SUPER
15440
RX 7900 XT
14283
RTX 5070
14272
RTX 4070 Ti
13962
RTX 4070 SUPER
13155
RTX 4070
11142
RX 7800 XT
10878
RTX 5060 Ti 16GB
10126
RTX 5060 Ti 8GB
10071
RX 9060 XT 16GB
9672
RX 9060 XT 8GB
9556
RX 7700 XT
9059
RTX 5060
8535
RTX 4060 Ti 8GB
8046
RTX 4060 Ti 16GB
8013
Arc B580
7880
Arc A770 16GB
7108
RTX 4060
6045
RX 7600
5399
RTX 3060 12GB
5157
RTX 3050 8GB
3531
参考:3DMark

各モデルの特徴

GeForce RTX 5090

32GB VRAMと圧倒的な性能のウルトラハイエンドGPU

引用:GIGABYTE
項目評価
基本性能 (驚異的な高さ)
VRAM (32GB , 1792GB/s)
レイトレ (とても高い)
電力効率 (とても良い)
消費電力(最大) (~575W)
価格 (約40万円~)
ざっくり評価
スペック表
プロセスTSMC 4N系(5nm)
アーキテクチャBlackwell
GPUダイGB202
CUDAコア21760
TGP575W
メモリ種類32GB GDDR7
メモリバス幅,帯域512bit、1792 GB/s
TMU680
ROP176
RTコア170
Tensorコア680
L2キャッシュ96MB
クロック (MHz)2217 – 2407
トランジスタ数約 922 億
ダイサイズ約 750 ㎟
発売年月2025年1月
良い点
気になる点

概要

「GeForce RTX 5090」はRTX 50シリーズにおける最上級モデルです(2025年6月時点)。希望小売価格は1999ドルで発売され、日本でのおおよその市場価格は約40万円~となりました。

その性能はシリーズの中でも規格外の圧倒的な高さを誇ります。「RTX 5080」の約2倍のトランジスタ数とCUDAコアを備えているというトンデモGPUです。一つしかモデル差がないとは思えない性能差です。

先代の「RTX 4090」も規格外と言える仕様でしたが、それをも遥かに上回るウルトラハイエンドGPUです。

そして、VRAM(メモリ)も圧倒的です。32GB GDDR7(1792GB/s)を搭載しており、消費者向けの用途ならボトルネックとなることはまずないレベルの超高性能メモリです。

この圧倒的なコア性能と超大容量高性能VRAMのおかげで、重量級ゲームでの4Kやレイトレーシングですら快適な性能を実現しており、生成AIや動画編集などのその他の重い用途でも活躍できる、なんでもできるGPUです。

そんな超高性能GPUですが、消費電力の多さと価格の高さも規格外レベルなのが非常に大きなデメリットです。

まず消費電力ですが、TGPは575Wとなっておりとんでもなく多いです。大容量の電源ユニットが必要となるだけでなく、巨大な強力な冷却機構が必要となるため、空冷ボードの厚さは大体3.5スロット以上と非常に分厚い点に注意が必要です。

縦も横も非常に大きなボードとなるため、ケースに収まるかどうかの事前チェックは必須です。拡張スロットや内部スペースの余裕を持たせるには、水冷ユニットを搭載したモデルも有力な選択肢となると思います。

しかし、負荷時の電力効率自体は非常に良いので、持ち前の性能の高さを活かせる高負荷な用途であれば、むしろ電力面でも優秀な効率的ハイエンドGPUではあります。

そして、価格は発売時で約40万円~となっており、こちらもとんでもなく高いです。シンプルに高価すぎるので導入できる人は限られますし、価格のせいで純粋な性能コスパも悪いです。

性能の高さを考えると代替製品が無いので、その性能を活かせる用途で使うなら有力になるとは思うものの、一般の人が実用コスパ重視で導入することはまずないGPUだと思います。

GeForce RTX 5080

超高性能だけど、価格の割に少ない16GB VRAMが気になるハイエンドGPU

引用:MSI
項目評価
基本性能 (物凄く高い)
VRAM (16GB , 960GB/s)
レイトレ (非常に高い)
電力効率 (とても良い)
消費電力(最大) (~360W)
価格 (約18.5万円~)
ざっくり評価
スペック表
プロセスTSMC N4系(5nm)
アーキテクチャBlackwell
GPUダイGB203
CUDAコア10752
TGP360W
メモリ種類16GB GDDR7
メモリバス幅,帯域256bit、960 GB/s
TMU336
ROP112
RTコア84
Tensorコア336
L2キャッシュ64MB
クロック (MHz)2295 – 2617
トランジスタ数約 456 億
ダイサイズ約 378 ㎟
発売年月2025年1月
良い点
気になる点

概要

GeForce RTX 5080」は、RTX 50シリーズにおけるハイエンドモデルの一つです。ハイエンド用途でも使える非常に優れた性能を持ちます。

前世代の「RTX 4080 SUPER」と比較してCUDAコアが約5%増え、クロックもわずかに向上しています。

希望小売価格は999ドルで発売され、日本でのおおよその市場価格は18.5万円~(2025年6月時点)となりました。

大量のコアを有するため、非常に優れた性能で非常に高いパフォーマンスを発揮します。4Kやレイトレーシングでも高い性能を期待することができ、より軽いゲームや1440p以下なら280fps以上のパフォーマンスも期待できる高性能さです。

メモリは16GB GDDR7を搭載しており、バス幅は256bit、バス帯域幅は960GB/sです。強力なメモリ性能です。

しかし、999ドルという価格を考えるとVRAM容量が少ないです。これが「RTX 5080」の最大のデメリットです。

一つ下の「RTX 5070 Ti」は749ドルで16GBですし、AMDでは「RX 9070 XT」が599ドルで16GBです。VRAM容量コスパはかなり悪いです。

2025年6月時点では、レイトレーシングや4Kや生成AIやメタバースなど、VRAM容量が重要な処理が普及してきている状況があるので、このVRAM性能コスパの低さは割と致命的に捉えられることが多いです。

しかし、コアの基本性能は普通に優れており、VRAMも価格を考慮しなければ優秀です。そのため、個人レベルで問題となることはほとんど無いとは思われます。

消費電力(TGP)は360Wと非常に多いです。ただし、各レビューなどを見ると、実際の消費電力はこの数値よりもやや低くなることが多く、実際には300W~330Wくらいが平均であることが多いようです。

とはいえ、やはり強力な冷却機構が必要となるため、空冷ボードの厚さは大体3.5スロット以上と非常に分厚い点に注意が必要です。縦も横も非常に大きなボードとなるため、ケースに収まるかどうかの事前チェックは必須です。拡張スロットや内部スペースの余裕を持たせるには、水冷ユニットを搭載したモデルも有力な選択肢となると思います。

また、消費電力自体は多いですが、電力効率はRTX 50シリーズの中でもトップクラスの良さなので、高負荷な処理を日常的に大量に行う場合には電力面でも優秀な選択肢です。

GeForce RTX 5070 Ti

16GB VRAMの準ハイエンドGPU

引用:ZOTAC
項目評価
基本性能 (とても高い)
VRAM (16GB , 896GB/s)
レイトレ (非常に高い)
電力効率 (とても良い)
消費電力(最大) (~300W)
価格 (約14.5万円~)
ざっくり評価
スペック表
プロセスTSMC N4系(5nm)
アーキテクチャBlackwell
GPUダイGB203
CUDAコア8960
TGP300W
メモリ種類16GB GDDR7
メモリバス幅,帯域256bit、896 GB/s
TMU280
ROP96
RTコア70
Tensorコア280
L2キャッシュ48MB
クロック (MHz)2295 – 2452
トランジスタ数約 456 億
ダイサイズ約 378 ㎟
発売年月2025年2月
良い点
気になる点

概要

GeForce RTX 5070 Ti」はRTX 50シリーズにおける準ハイエンドモデルです。ハイエンド用途でも使える非常に優れた性能を持ちます。

前世代の「RTX 4070 Ti SUPER」と比較して、CUDAコアが約6.2%増え、クロックがわずかに低下しました。

希望小売価格は749ドルで発売され、日本でのおおよその市場価格は14.5万円~(2025年6月時点)となりました。

その性能は前世代の「RTX 4080」に迫るレベルの高性能さで、非常に高いです。フルHDや1440pなら重量級ゲームでも高いfpsを実現でき、4Kやレイトレーシングでも十分に実用的な性能を発揮することができます。

メモリ(VRAM)は16GB GDDR7、バス幅は256bit、帯域幅は890GB/sです。ここが大きなポイントです。RTX 5080よりも格段に安いにも関わらず、容量は同じですし、帯域幅も大した差がありません。

個人利用では「RTX 5070 Ti」でも快適な性能が得られることがほとんどなので、実用コスパで上回る印象が強いです。

ただし、競合の「RX 9070 XT」と比べるとゲームコスパでは少し見劣りするのが気になるところです。「RX 9070 XT」は同じ16GB VRAMを有しつつ、日本での価格は2~3万円ほど安い12万円台です(150ドル安い599ドル)。

VRAM帯域幅、電力、AIへの汎用性などは「RTX 5070 Ti」の方が勝っており、GPU単体性能では勝っているのですが、ゲームに限れば性能差は小さく、実用性能はほぼ同等です。

それでいて価格が2~3万円高価なので、ゲームメインなら「RX 9070 XT」にコスパで劣る感は否めないという立ち位置です。

とはいえ、数万円の価格差は準ハイエンドクラスのPCなら総額の10%以下であることが多いので、総合コスパなら悪くないとは思います。

消費電力(TGP)は300Wと多いため、強力な冷却機構が必要となります。空冷ボードの厚さは大体2.5スロット以上と分厚い点に注意が必要です。

ですが、16GB以上のVRAMを搭載したハイエンド級のGPUとしては消費電力は少なめで、ボードも3スロット未満のものもあるので、性能の割には扱いにくい印象は無いです。

電力効率も先代の「RTX 4070 Ti SUPER」よりもやや改善しているので、性能に余裕を持ちつつコスパも大きくは悪化させない選択肢としては有力だと思います。

GeForce RTX 5070

高すぎない価格で優れた性能とコスパ

引用:ASUS
項目評価
基本性能 (高い)
VRAM (12GB , 672GB/s)
レイトレ (高い)
電力効率 (とても良い)
消費電力(最大) (~250W)
価格 (約9万円~)
ざっくり評価
スペック表
プロセスTSMC N4系(5nm)
アーキテクチャBlackwell
GPUダイGB205
CUDAコア6144
TGP250W
メモリ種類12GB GDDR7
メモリバス幅,帯域192bit、672 GB/s
TMU192
ROP80
RTコア48
Tensorコア192
L2キャッシュ48MB
クロック (MHz)2325 – 2512
トランジスタ数約 311 億
ダイサイズ約 263 ㎟
発売年月2025年3月
良い点
気になる点

概要

GeForce RTX 5070」はRTX 50シリーズにおける高性能モデル、いわゆるアッパーミドルやミドルハイと言われるあたりのモデルです。

希望小売価格は549ドルに設定されて発売され、日本では約10.9万円~での投入となりましたが、2025年6月時点では大きく値下がりして9万円~となっています。

前世代の「RTX 4070」と比較するとCUDAコアが約4.3%増え、クロックもごくわずかに向上しました。

その性能は高く、1080p~1440pゲームでは快適なパフォーマンスで200fps以上も期待でき、重量級ゲームにも十分に対応可能です。「RTX 4070 SUPER」によく似た性能を持ちます。

また、4Kやレイトレーシングでも十分実用的な性能があります。ただし、VRAMが12GBということもあり、重量級ゲームの高設定はやや厳しい可能性がある点に注意が必要です。

メモリは12GB GDDR7を搭載しており、バス幅は192bit、バス帯域幅は672GB/sです。9万円~という価格を考えると12GBはやや少なめです。とはいえ、GPU全体で見ると比較的強力なメモリ性能なので、フルHDや1440pで困ることはあまりなかったりはします。

発売当初は価格の割に少ないVRAMや「RTX 4070 SUPER」からの向上の小ささから悪評を受けることが多かった印象ですが、9万円~という価格ならコスパは良いと思います。

しかし、「RTX 5070」の一番の気になる点は、競合の「RX 9070(16GB)」が非常に強力という点です。

RTX 5070と同じ549ドルという希望小売価格ながら16GB VRAMを搭載し、基本性能もやや上です。

しかし、実際には「RX 9070」は需要の高さから価格が高止まりしており、2025年6月時点で11万円~となっているため、価格面では少し優位に立っているものの、それを考慮しても16GB VRAMは魅力的です。

生成AIや一部クリエイティブ用途ではGeForceの方が汎用性が高い状況があるのですが、それらの用途でもVRAM容量が重要となることがありますから、同額なら明らかに「RX 9070」の方が魅力的です。「RX 9070」の市場価格次第で評価が左右されるGPUだと思います。

最後になりましたが、消費電力(TGP)は250Wです。ハイエンド帯のGPUと比べると少なめです。

電源ユニットはやや低容量ものでも対応できる他、2連ファンや2スロット製品もあるので小型のケースでも採用しやすいのは強みです。電力効率も良いです。

12GB VRAMが足を引っ張っている感が強いGPUですが、フルHD/1440pゲームなら意外と困ることはないですし、9万円~なら高性能帯でのコスパは良好なので、実用コスパ特化で25万円以下のPC用のGPUとしては強力だと思います。

GeForce RTX 5060 Ti 16GB

価格の割に強力な16GB VRAMと、価格の割に弱めの処理性能

引用:MSI
項目評価
基本性能 (低くはない)
VRAM (16GB , 448GB/s)
レイトレ (低め)
電力効率 (とても良い)
消費電力(最大) (~180W)
価格 (約8万円~)
ざっくり評価
スペック表
プロセスTSMC N4系(5nm)
アーキテクチャBlackwell
GPUダイGB206
CUDAコア4608
TGP180W
メモリ種類16GB GDDR7
メモリバス幅,帯域128bit、448 GB/s
TMU144
ROP48
RTコア36
Tensorコア144
L2キャッシュ32MB
クロック (MHz)2407 – 2572
トランジスタ数約 219 億
ダイサイズ約 181 ㎟
発表年月2025年4月
良い点
気になる点

概要

GeForce RTX 5060 Ti 16GB」は、RTX 50シリーズにおけるミドルレンジモデルの一つです。比較的安価に16GB VRAMが導入できるのが強みのモデルです。

前世代の「RTX 4060 Ti 16GB」と比較すると、CUDAコアが約5.9%増え、クロックがわずかに向上しました。その性能は「RTX 4060 Ti」と「RTX 4070」の中間あたりに位置します。

また、VRAM容量と128bitは同じですが、GDDR7になって転送速度が飛躍的に向上しました。これにより、帯域幅が先代の 288GB/s から約56%向上して 448GB/s になったこともポイントです。

先代では基本性能とVRAM帯域が低く、VRAM容量が多くても活かせないケースが多い印象もありましたが、その懸念が軽減されています。

希望小売価格は429ドルで発売され、日本でのおおよその市場価格は8万円~となりました(2025年6月時点)。

このモデルの魅力はやはり価格の割に大容量の16GB VRAMです。

GeForceカードの中で、16GBを備えつつ帯域幅も低くはないというモデルは、従来では10万円を大きく超えるモデルしかありませんでした。それが一気に8万円で手に入るようになったということで、大きく前進しました。

これにより、1440pでも安定したパフォーマンスを発揮することができ、生成AIやメタバースやレイトレーシングなどの次世代的な技術に対してもボトルネックの不安を大きく軽減できます。

その高い対応力を備えつつ、消費電力(TGP)は180Wと少なめなのも良いです。電力効率も非常に優れており、2スロット以下のモデルもあるので、小型のケースでも採用しやすいです。

消費者の中にはハイエンドな性能は要らないし予算もそこまで高額は掛けたくない、という人も多かったと思いますが、そのような人をターゲットにしたモデルです。

…と、これだけ聞くと凄く魅力的なモデルに聞こえると思いますが、価格の割に基本性能が低いのが大きなデメリットです。

一つ上の「RTX 5070」の方が40%近く高い基本性能を持ちますが、価格は1.5万円~程度(+20%前後~)しか変わりません。あまりにもコスパ差が大きいです。

VRAM容量では12GBと16GBで優位性があるものの、12GBあれば1440p以下で不足するケースはかなり減りますし、この基本性能&コスパの差は考えものです。

「RTX 5060 Ti 16GB」の基本性能は低くはありませんが、重量級ゲームの高設定ではフルHDや1440pでも快適とは言えないものがちらほら出てくるレベルで、4Kやレイトレーシングもタイトル次第では実用的といったレベルです。

やはり、8万円~の高額GPUとしては物足りない性能なのは否めないです。

更に、競合の「RX 9060 XT 16GB」が80ドル(約1.6万円前後)も安い6.3万円~(2025年6月時点)というのも大きいです。

ゲーム性能はさほど変わらないので、ゲーム性能コスパでは明らかに「RX 9060 XT 16GB」の方が優れています。GeForceの方がAIやクリエイティブ用途での汎用性では上回るものの、ゲームメインなら厳しい勝負となっています。

このように、「RTX 5070」なら性能を大きく改善できるし、「RX 9060 XT」ならコスパを大きく改善できるということで、やや器用貧乏感があるのが「RTX 5060 Ti 16GB」という印象です。

GeForce RTX 5060 Ti 8GB

フルHDコスパは悪くないが、6万円台で8GBは気になる

引用:ZOTAC
項目評価
基本性能 (低くはない)
VRAM (8GB , 448GB/s)
レイトレ (8GBが厳しい)
電力効率 (とても良い)
消費電力(最大) (~180W)
価格 (約6.2万円~)
ざっくり評価
スペック表
プロセスTSMC N4系(5nm)
アーキテクチャBlackwell
GPUダイGB206
CUDAコア4608
TGP180W
メモリ種類8GB GDDR6
16GB GDDR6
メモリバス幅,帯域128bit、448 GB/s
TMU144
ROP48
RTコア36
Tensorコア144
L2キャッシュ32MB
クロック (MHz)2407 – 2572
トランジスタ数約 219 億
ダイサイズ約 181 ㎟
発表年月2025年4月
良い点
気になる点

概要

GeForce RTX 5060 Ti 8GB」は、RTX 50シリーズにおけるミドルレンジモデルの一つです。

前世代の「RTX 4060 Ti 8GB」と比較すると、CUDAコアが約5.9%増え、クロックがわずかに向上しました。その性能は「RTX 4060 Ti」と「RTX 4070」の中間あたりに位置します。

また、VRAM容量と128bitは同じですが、GDDR7になって転送速度が飛躍的に向上しました。これにより、帯域幅が先代の 288GB/s から約56%向上して 448GB/s になったこともポイントです。

希望小売価格は379ドルで発売され、日本でのおおよその市場価格は6.2万円~となりました(2025年6月時点)。

同シリーズでは比較的安価であり、その安さとフルHDゲームコスパの良さが強みのモデルです。最新のアッパーミドル以降のGPUよりも格段に安い6.2万円~という価格で、フルHDならほとんどのゲームで快適な性能を実現できます。

また、消費電力が少なめで効率が良いのも魅力です。TGPは180Wで、2スロット以下のモデルも多いので、小型のケースでも採用しやすいです。

しかし、それ以外の点は正直やや微妙です。特に、2025年の6万円クラスのGPUで8GB VRAMというのが厳しいです。

価格的に生成AI・4K・レイトレーシングなどを諦めるのは仕方ないですが、重量級タイトルではフルHDや1440pでもややネックになることがあるレベルです。

最近では1440p(WQHD)ディスプレイ採用の人が増えていることもあるので、これはかなり気になる部分です。

設定等でVRAM使用量を節約することは可能なので、フルHDならほとんどネックにはならないかもしれませんが、1440pでの運用を考えているなら注意が必要です。

また、「RX 9060 XT 16GB」とほぼ同じ価格なのも市場的には厳しいポイントです。ゲーム性能は大して変わらず、費用も変わらず、16GB VRAMを導入できます。

GeForceにはAIや一部クリエイティブ用途での汎用性の高さの強みがあるものの、そのあたりの用途はVRAM容量が重要なことも多いので、8GB VRAMでは強みを感じにくいため、「RX 9060 XT 16GB」の弱みにも対抗力が弱いのも立場を弱くしていると思います。

「RTX 5060」でもVRAMは同じ8GBで、設定を落としたりフレーム生成やアップスケーリングに頼る前提ならそちらでも使用感は大して変わらなさそうという気もするので、優先度で高くなることはあまり無さそうなGPUに思えます。

GeForce RTX 5060

フルHDで優れたコスパのエントリーGPU

引用:MSI
項目評価
基本性能 (やや低め)
VRAM (8GB , 448GB/s)
レイトレ (厳しめ)
電力効率 (とても良い)
消費電力(最大) (~145W)
価格 (約5.1万円~)
ざっくり評価
スペック表
プロセスTSMC N4系(5nm)
アーキテクチャBlackwell
GPUダイGB206
CUDAコア3840
TGP145W
メモリ種類8GB GDDR6
メモリバス幅,帯域128bit、448 GB/s
TMU120
ROP48
RTコア30
Tensorコア120
L2キャッシュ32MB
クロック (MHz)2280 – 2497
トランジスタ数約 219 億
ダイサイズ約 181 ㎟
発表年月2025年5月
良い点
気になる点

概要

GeForce RTX 5060」は、RTX 50シリーズにおけるエントリーモデルです。

希望小売価格は299ドルで発売され、日本でのおおよその市場価格は5.3万円~となりました(2025年6月時点)。

前世代の「RTX 4060」と比較すると、CUDAコアが約25%増え、クロックがごくわずかに向上しました。性能向上も大体25%くらいです。最終的な性能は「RTX 4060 Ti 8GB」と同等レベルです。

RTX 50シリーズにおいてはエントリーモデルという位置づけですが、従来のミドルレンジくらいの性能を持つので、軽いゲームだけでなく重めの最新ゲームにも基本対応可能です。

「RTX 5060 Ti 8GB」の方がやや高い性能を持つものの、そちらの方が約1万円高く、VRAM容量は同じ8GBです。

Tiよりも比較的安価ながら、フルHDの多くのゲームで快適な性能を実現することができるのが強みのモデルです。

また、消費電力(TGP)は145Wで省電力なのも強みです。2スロット以下のモデルも多く、シングルファンのショート基盤の製品もあるので、小型のケースでも採用しやすいです。

弱点はやはり、基本性能の低さと8GB VRAMです。

まず基本性能ですが、フルHDなら重めのゲームにも十分対応できるレベルですが、重量級ゲームでの高設定や1440p以上ではやや厳しいことも多い点に注意が必要です。

そして、8GB VRAMがやはり2025年のGPUとしては厳しい立ち位置です。価格を考えれば仕方ないとは思うものの、ゲームのグラフィック品質は全体的に上がっていますし、1440pや生成AIやメタバースなども普及してきている状況下では不安が大きいです。

アップスケーリングやフレーム生成技術は進歩しており、それらの最新技術を安価に利用できるのは強みですが、それらの機能を使うためにも多少なりVRAMを使うので、VRAM使用量が増大傾向にある現在で8GB VRAMが賄うことができるのかは少し疑問が残るところです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です