日本における『e-sports/eスポーツ』の現状について【雑感】

日本におけるeスポーツの現状

日本における『e-sports/eスポーツ』における日本で感じる現状を書いた記事です。
しっかりとした解説記事ではなく雑感です。随時更新予定。

e-sports(eスポーツ)とは?

まずはeスポーツについて軽い説明です。『e-sports(以下:eスポーツ)』とは、ざっくりいえば『対戦ゲームを競技スポーツとして捉える際の名称』です。
ウィキペディアでは、以下のように書かれています。

エレクトロニック・スポーツ(英: electronic sports)は、複数のプレイヤーで対戦されるコンピュータゲーム(ビデオゲーム)をスポーツ・競技として捉える際の名称である。「eSports」、「e-Sports」、「eスポーツ」、「イースポーツ」、「電子競技(でんしきょうぎ)」、「電競(でんきょう)」等と省略した形で主に使われる。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

定義の上では、eスポーツは、TVゲームを競技として捉える際の名称で、その他の条件はありません。ですが、一般的に『eスポーツ』という呼称が用いられるのは、利益挙げる・収入を得る手段(=ビジネス)としての『eスポーツ』です。本記事でも、そのようなeスポーツを前提として扱っています。

ゲームなのにスポーツ?

日本ではゲームをスポーツと表現することに違和感がある人は少なくないと思います。この点について考えるにはまず、『そもそも「スポーツ」とは何なのか』というのが重要になります。ウィキペディアでは、『スポーツ』について以下のように書かれています。

スポーツとは、一定のルールに則って勝敗を競ったり、楽しみを求めたりする身体運動のことである。ただし身体運動が主ではない場合でも、マインドスポーツやモータースポーツなどのように、少しでも身体運動を伴った競技性のある活動をある種の”スポーツ”として認めるように主張されることもある。特に近年では複数のプレイヤーで対戦されるコンピューターゲームをeスポーツ(エレクトロニックスポーツ)と呼び始めるようになった。これらと対比して、身体運動が主であるスポーツをフィジカルスポーツと総称することもある[要出典]。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

皆さんご存知だとは思いますが、『eスポーツ』という表現が使われるようになったのは割と最近です。そのため、それに違和感を覚えるのは、国や文化に限らず自然です。
ただ、『eスポーツ』が専用ページだけではなく、『スポーツ』のページでも取り沙汰されるほどには、一般的になってきている事は認識しておくべき事項です。

日本における『e-sports』

ここからが本題です。日本における『eスポーツ』についてです。
世界的には『eスポーツ』市場はどんどん拡大しています。特に、2018年に圧倒的ヒット作となった「Fortnite(フォートナイト)」では、2019年に大会賞金総額110億円が投入される事が発表されています。また、2018年の世界の『e-sports』関連の収益は、1800億円に上ると推測されるなど、世界的に非常に注目されている分野です。
そんなeスポーツ業界ですが、先進国の中で、日本は市場の拡大が圧倒的に遅れています。まだまだマイナーと言わざるを得ない域を出ていません。日本国内でも賞金のある大会も存在はしますが、海外の他の先進国などと比較すると、大会数は少なく賞金も少ないです。
また、日本では特に『スポーツ』という呼び方に批判的な意見を持つ人が多いのも特徴です。
日本はeスポーツ後進国
  • 世界的に見ると、大会の数も賞金も圧倒的に少ない
  • ゲームをスポーツと呼ぶ事に批判的な人が多い

日本における『プロゲーマー』

『eスポーツ』の話をする際欠かせないのが、プロゲーマーの存在です。プロゲーマーは『eスポーツ』の象徴ともいえる存在です。プロゲーマーは、ゲームをする事で報酬を得る人の事ですが、その存在は日本では到底メジャーとは言えません。具体例を見ていきたいと思います。
まず、『世界のeスポーツによる生涯獲得賞金ランキング(2018年12月時点)』の10位は、30億円を超えています。
対して日本は、トップ選手でも約5000万円で、10位になると500万円にも満たないです。ちなみに、日本トップの5000万円は世界ランキング500位にすら入っていません。
もちろん、大会で獲得する賞金だけがプロゲーマーの収入ではないので、単純比較は出来ないです。しかし、日本のプロゲーマーの数は非常に少なく、収入も世界的に見ると圧倒的に少ないというのは、分かって頂けるかと思います。

なぜ日本のe-sportsは発展が遅れているのか

日本は、世界的に見れば『eスポーツ後進国(未承認国)』です。
日本といえば、初代マリオブラザーズやFF(ファイナルファンタジー)やドラクエ(ドラゴンクエスト)など世界的に有名ゲーム自体は多く輩出しており、国内でゲーム自体は昔から親しまれています。
しかし、日本ではeスポーツの発展が遅れています。これはなぜなのでしょうか?

ゲーム=遊びという固定観念

ほとんどの日本人は、一般的な感覚として「ゲーム=遊び」という考えが定着してしまっています。日本でeスポーツの発展が遅れている理由は、ほぼこれに尽きると思います。中には「ゲームをする事=堕落」とまで考えている人も少なくないと思います。
一応、この後にも理由を挙げてはいますが、全てはこの「ゲーム=遊び」という考えが根底にあるせいと言っても過言ではないと感じます。
日本人にとってゲームは遊び
多くの日本人にとって、ゲームとは「真剣にプレイして勝つため競技」ではなく、「遊びでプレイして楽しむもの」です。スポーツ(競技)であるために最も必要なことは、「勝敗や記録を競うこと(競技性)」ですが、日本の一般的なゲーム観には、それが著しく欠けています。
もちろん「遊んで楽しむ」事が趣旨のゲームも存在しますし、競技性の高いゲームでも「楽しむ」という事自体は悪くありません。しかし、日本ではゲームをそもそも競技として見ていません。日本における「ゲームを楽しむ」には、「競技(競い合い)を楽しむ」は一般的には含まれません。
eスポーツの発展において重要な要素として「強豪ゲーマー(ひいてはプロゲーマー)」への憧れ・期待というのがあります。しかし、ゲームをただの遊びだと認識する日本の環境では、プロへの憧れの感情を持つ人は少ないです。そのため宣伝効果も薄く、当然収入も少なくなってしまいます。となると出資するスポンサーも出てこず、あっても金額は少額です。必然的に高額賞金や大規模大会の開催は少ない(ほぼない)です。当然盛り上がる訳もなく、発展は進みません。

身体運動が主でないから?

eスポーツが発展しにくい理由の一つとして、身体運動が主じゃないからというのがよく言われます。これは少なからずはあると思います。
世界的に人気な競技といえば、思いつくほぼ全てが身体運動が主なものです。身体運動が主な競技には、身体能力の超越者としての魅力があります。
この点に関してはeスポーツにはほぼありません。ただ、これは発展を妨げている大きな原因ではないと思います。
その理由の一つは、身体運動が主な競技でも、戦略性が重要な人気競技が多数存在するためです。
たとえば「野球」「サッカー」などでも、個人の能力の高さの重要性もさることながら、勝利にはそれ以外の「戦略」という面も凄く重要です。場合によっては、個人の能力の高さではなく「戦略」を意識した采配が勝利に大きく貢献する事も少なくないです。
個人の能力の高さが際立っていなくても勝利へ繋がる事はありますし、他選手と比べて身体能力や技術に特別は秀でていない選手でも、臨機応変に立ち回り活躍する選手は大勢います。
もう一つの理由は、現状でeスポーツが既に発展している国が多くある事です。
日本人も同じ「人間」で知能に差があるわけでなく、ゲームへの親しみが低い国という訳でも無いはずです。日本でだけ身体活動の有無が原因で発展が遅れているとは考えにくいです。日本特有の他の原因があると考えるのが妥当です。

理由としては少なからずありそうだけど、大きな要因とは言えなさそう

法律上の問題

日本のeスポーツの発展を妨げている、明確な理由としてよく挙げられるのが法律上の問題です。
日本では「ゲームの結果によって賞金を与える」という行為について、法律上の問題がある可能性があると言われています。一般的に「景表法」「風営法」などが問題視されています。
自分は法律の専門家ではないですし、法律関連の話は非常に複雑で難解です。素人が結論を簡単に出せるものではないと思います。
ですが、一応自分なりの結論としては、大きな障害とはなっていないと思っています。
理由としては、国内でも少数ながら高額賞金の大会実際に開催された実績があるからです。たとえば最近では、「Shadowverse」で優勝400万円、「ぷよぷよ」優勝100万円など、があります。これは回避の方法があるという事の証明になっていると思います。
MEMO

現状でも高額賞金の大会が日本でもあるので、不可能ではない証明となっている(=大きな障害ではなさそう)

 

ゲームを「スポーツ」と呼ぶ事への忌避感

「ゲーム=遊び」と認識する日本では、ゲームをスポーツと呼ぶ事に対して忌避感を持つ人が多く居ます。特に、現在の一般的なスポーツ(身体活動が主)の強いファンの人たちの中には、このような人が多いと思います。その主な理由は、「身体運動が主でないものはスポーツじゃない」となる訳ですが、本当にそうでしょうか?自分は、これは本当に理由ではないと思います。
たとえば、反論として特に例に挙げられるのが「将棋」です。
将棋には「プロ棋士」が存在し、その存在は一般的に認知され「職業」として疑問を持つ人は居ないと思います。仮に「プロ棋士」同士が指す将棋に関して「スポーツ」だという声があったとします。すると「それはスポーツと言っても良い」と思う人は少なくないと思います。将棋は、eスポーツと同じく身体運動が主な競技ではありませんが、認識に大きな差があります。
では『ゲームをスポーツと呼ぶ事に忌避感を覚える』本当の理由は何なのでしょう?これを一概に説明するのは非常に難しいと思いますが、結局は個人の印象のせいというしかないと思います。先に挙げた、「現在の一般的なスポーツ(身体活動が主)のファン」にとっては、eスポーツをスポーツを認めてしまうと、単純にライバルが増えてしまいます。更には、日本元来の「ゲーム=堕落,遊び」という認識もあります。現在の日本という国が、今そのように思う人が多い社会構造となっている、ということだと思います。

eスポーツの利点(身体運動が主なスポーツと比較して)

ここまで割と真面目に語っておいてなんですが、自分がeスポーツ推進派なので、eスポーツの良い点について触れています。

体格や身体能力による差がない

ここが個人的には最も良いと思う点です。
他の一般的なスポーツでは、基本的に体格や身体能力は非常に重要です。しかし、特に体格は個人の努力によって伸ばすには限界があり、生まれ持った性質に大きく左右されます。正直不公平だと思います。
その点eスポーツは、体格はほぼ関係なく個人の努力によって能力を高める事が可能です。

10年単位の長期間の経験は無くても強くなれる

これは「プラットフォーム(ルール)」の違いによるものです。
既存の一般的な有名スポーツは基本歴史が古く、ほぼ同じルールの基で古くから競技が行われています。そして、常に長期間の経験を積んだプレイヤーが多く活躍しています。
そのため、その分野で活躍するためには若い内に多くの経験を積む事が重要であり、幼少期からやっていないと厳しい分野も珍しくありません。始めた時期が遅ければ、ずっと追い付けず終わる可能性も高いです。
しかし、eスポーツはそうではありません。
eスポーツは「ゲーム」というプラットフォーム(ルール)を利用して対戦しますが、この「ゲーム(ルール)」は時の流れと一緒に移り変わります。
ゲームの売り上げ自体も考慮するため、飽きが来ない様にアップデートや新製品の発売が絶えない特性が要因です。
よって、経験がモノを言う環境になりません。常に新人が活躍する可能性がある基盤となっています。
たとえば、発売(サービス開始)から1年のゲームであれば、最長でも1年の経験を持ったプレイヤーしか居ません。既存の一般的なスポーツと比較すれば、全員新人といっても過言じゃないです。

おわりに

なんとも、本当に雑感としか言いようのない記事になりました。
色々言ってはいますが、「eスポーツ」という事に関して少しでも興味を持ったり認識を深めてくれたらそれだけで満足です。
記事を読んでくれた人にはわかるかと思いますが、筆者自身eスポーツ業界の発展に凄く期待しています。
あわよくば自分もどこかで活躍してやろうかという気さえほんの少し持っています。がんばれ日本のeスポーツ関連企業やプレイヤーたち!
それでは記事はここまでです。ご覧いただきありがとうございました。

2 COMMENTS

ぽん

コメント失礼致します。
スマホゲームのeスポーツ化、またそれに伴う端末での格差について貴方様の意見を聞きたいと思っております。特に、私がハマっているTPSゲームではその差が浮き彫りになっております。
次回以降の更新で、この問題について触れていただければ幸いです。

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とねりん

コメントありがとうございます。
記事内容の更新だと質問の意図に合ったものとなるかわからないので、とりあえずコメントで対応したいと思います。
端末による格差というと、「性能(スペック)による格差」「使用している入力方法(デバイス・プラットフォーム)での格差」に分けられるかと思いますが、どちらか教えて頂けると幸いです。
また、具体的なタイトル名も聞かせて頂ければ、もう少し詳しくお答えできるかもしれません。

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