GeForce RTX 3080 ざっくり評価【性能比較】

ついに発売が開始されベンチマークが解禁となった「GeForce RTX 3080」の性能をざっくり見ていきたいと思います。前世代までとは違う「Ampere」アーキテクチャ採用です。

注意

本記事の情報は、記事執筆時点(2020年9月17日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

仕様

まずは、前世代のGPUと一緒に主要スペックをざっくりと載せています。

簡易比較表

GPU 3DMark CUDA
コア数
メモリ
容量
メモリタイプ
転送速度
TDP 価格
RTX 3090 44100 10496 24GB GDDR6X
19.5Gbps
350W 20万円~?
RTX 3080 41500 8704 10GB GDDR6X
19Gbps
320W 9万円~10万円?
RTX 3070 33670 5888 8GB GDDR6
14Gbps
220W 6万円~7万円?
RTX 2080 Ti 33800 4352 11GB GDDR6
14Gbps
250W 約150,000円
RTX 2080 SUPER 28800 3072 8GB GDDR6
15.5Gbps
250W 約85,000円
RTX 2070 SUPER 24800 2560 8GB GDDR6
14Gbps
215W 約58,000円
※3DMarkは、Fire Strike 1080pのGraphics Score。
※価格は推定、もしくは記事執筆時点での主な市場価格。

 

ゲーミング性能(平均FPS)

ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。今回は23種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。使用されたCPUは「Core i9-9900K」となっています。その他のスペックなどの詳細は記事上部の参考リンクを参照お願いします。


1080p(最高品質)

FHD(1920×1080)です。最低限の解像度という感じですが、2020年現在では最も主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、FPSやTPSでは出来るだけ高いFPS数を維持するためこの設定にするのが主流だと思います。

平均FPS(1080p 最高設定)
GPU名称 平均FPS
RTX 3080
186.7
RTX 2080 Ti
160.0
RTX 2080 SUPER
141.5
RTX 2080
135.8
RTX 2070 SUPER
126.4
Radeon VII
121.5
RX 5700 XT
119.7
RTX 2070
113.3
RTX 2060 SUPER
109.4
RX 5700
108.0
GTX 1080
96.9
RX 5600 XT
95.9
GTX 1070 Ti
93.6
GTX 1660 Ti
82.3
GTX 1660 SUPER
81.2
RX 5500 XT 4GB
65.1
RX 580 8GB
63.2
GTX 1060 6GB
52.4

重めのゲームで最高品質でも平均144FPSは出る

RTX 2080 Ti を約16.7%も上回る驚異的な性能です。最高品質設定で186.7FPSという、驚異的な性能です。重めのゲームでも平均144FPSは出ます。

ただし、240FPSを焦点とすると、1080pでも最高品質では未だにやや厳しめなようです。とはいえ、少し設定を工夫するだけで十分対応できるので問題ありません。


1440p(最高品質)

WQHD(2560×1440)です。

平均FPS(1440p 最高設定)
GPU名称 平均FPS
RTX 3080
154.6
RTX 2080 Ti
124.1
RTX 2080 SUPER
107.2
RTX 2080
101.5
RTX 2070 SUPER
94.4
Radeon VII
92.5
RX 5700 XT
88.2
RTX 2070
83.0
RTX 2060 SUPER
80.0
RX 5700
78.6
GTX 1080
69.8
RX 5600 XT
68.6
GTX 1070 Ti
67.2
GTX 1660 Ti
58.6
GTX 1660 SUPER
58.3
RX 5500 XT 4GB
46.4
RX 580 8GB
45.5
GTX 1060 6GB
42.3

最高品質でも平均144FPS超えの驚異的な性能

1440pの最高品質でも平均FPSが144を超えました。驚異的な性能です。ゲーミングモニターでの4Kの普及はさすがにまだまだ掛かるかなという印象で、次は1440pが主流となっていきそうな気がするので、この性能は魅力的です。


4K(最高品質)

4K(3840×2060)です。

平均FPS(4K 最高設定)
GPU名称 平均FPS
RTX 3080
97.2
RTX 2080 Ti
73.8
RTX 2080 SUPER
62.2
RTX 2080
58.2
RTX 2070 SUPER
53.8
Radeon VII
53.6
RX 5700 XT
49.7
RTX 2070
47.2
RTX 2060 SUPER
45.1
RX 5700
44.4
GTX 1080
39.4
RX 5600 XT
38.5
GTX 1070 Ti
37.6
GTX 1660 Ti
32.2
GTX 1660 SUPER
31.8
RX 580 8GB
25.2
RX 5500 XT 4GB
23.7
GTX 1060 6GB
23.1

普通に実用レベル

最高品質の4Kですら100FPS近く出ています。対人対戦が目的でない60FPS出れば良いゲームなら、最高品質でも全然使えます。設定を下げれば144FPSも十分出そうな性能です。

とはいえ、そもそも4Kはモニターがまだ一般的とは言えないレベルですし、その違いはモニターがよほど大きく無ければ一般の人にはほとんどわからないのでは…と個人的に思います。最高品質の1440p画質かFPSを多少犠牲にした4Kどちらを選ぶかと言われれば、1440pかな…という人が多いのが現状だとは思います。

電力関連

消費電力

ゲームプレイ時の平均消費電力を見ていきます。

消費電力(ゲーム時平均)
GPU名称 消費電力[W]
RTX 3080
303
RTX 2080 Ti
273
Radeon VII
268
RTX 2080 SUPER
243
RTX 2080
215
RX 5700 XT
219
RTX 2070 SUPER
211
RX 580 8GB
198
RTX 2070
195
RTX 2060 SUPER
184
GTX 1070 Ti
177
RX 5700
166
GTX 1080
166
RX 5600 XT
144
GTX 1660 SUPER
128
GTX 1660 Ti
118
RX 5500 XT 4GB
117
GTX 1060 6GB
116

300Wを超える膨大な消費電力

TDPの320Wという仕様通り、消費電力は非常に多いです。唯一の前世代から悪化した部分ですが、割と致命的にもなり得る部分です。RTX 2080 Ti すら約1割も上回り、RTX 2080 と比較するとなんと約1.4倍にもなっています。電源や排熱にはかなりの注意を払う必要があります。


ワットパフォーマンス

1ワットあたりのパフォーマンスを見ていきます。表はRTX 3080を基準とした場合の相対的な差です。1080p、1440p、4Kの3つをまとめて見ていきます。

ワットパフォーマンス(1080p)
GPU名称 ワッパ比較
GTX 1660 Ti
116%
RX 5600 XT
109%
RX 5700
108%
RTX 2080
104%
GTX 1660 SUPER
104%
RTX 3080
100%
RTX 2070 SUPER
99%
RTX 2060 SUPER
99%
RTX 2080 Ti
97%
GTX 1080
97%
RTX 2080 SUPER
96%
RTX 2070
96%
RX 5500 XT 4GB
91%
RX 5700 XT
90%
GTX 1070 Ti
87%
GTX 1060 6GB
86%
Radeon VII
75%
RX 580 8GB
52%

ワットパフォーマンス(1440p)
GPU名称 ワッパ比較
RTX 3080
100%
GTX 1660 Ti
98%
RX 5600 XT
93%
RX 5700
93%
RTX 2080
93%
RTX 2080 Ti
90%
GTX 1660 SUPER
90%
RTX 2070 SUPER
89%
RTX 2080 SUPER
87%
RTX 2060 SUPER
86%
RTX 2070
84%
GTX 1080
82%
RX 5700 XT
79%
RX 5500 XT 4GB
78%
GTX 1070 Ti
75%
GTX 1060 6GB
71%
Radeon VII
68%
RX 580 8GB
44%

ワットパフォーマンス(4K)
GPU名称 ワッパ比較
RTX 3080
100%
GTX 1660 Ti
85%
RTX 2080
85%
RTX 2080 Ti
84%
RX 5600 XT
82%
RX 5700
82%
RTX 2080 SUPER
80%
RTX 2070 SUPER
79%
RTX 2060 SUPER
76%
GTX 1660 SUPER
76%
RTX 2070
75%
GTX 1080
73%
RX 5700 XT
69%
GTX 1070 Ti
65%
GTX 1060 6GB
63%
Radeon VII
61%
RX 5500 XT 4GB
60%
RX 580 8GB
40%

1440pと4Kでは優秀、1080pでは前世代並み

既存のGPUと比較したワットパフォーマンスは、負荷が大きいほど良いです。1440pと4Kでは良く、1080pでは前世代並みでした。1440pや4Kを視野に入れるなら非常に魅力的な結果です。

ただし、1080pではワットパフォーマンス上は優位性が見られないという意外な結果になりました。やはり、素のTDPの高さがやや足枷となっているような感じです。とはいえ、ワットパフォーマンス自体が悪い訳ではないですし、パフォーマンスの向上は凄まじくコスパも凄く良いので、欠点という程にはならないです。

レイトレーシングとDLSS

レイトレーシング

レイトレーシング利用時のパフォーマンスを見ていきます。表にはレイトレーシングを利用していない場合のFPSも併せて載せています。

Metro Exodus RTX(1080p)
GPU名称 平均FPS
RTX 3080 OFF
191.8
RTX 2080 Ti OFF
156.7
RTX 3080 ON
145.2
RTX 2080 SUPER OFF
131.8
RTX 2080 OFF
124.7
RTX 2070 SUPER OFF
115.4
RTX 2080 Ti ON
107.9
RTX 2070 OFF
102.3
RTX 2060 SUPER OFF
98.5
RTX 2080 SUPER ON
88.6
RTX 2060 OFF
87.6
RTX 2080 ON
83.5
RTX 2070 SUPER ON
76.9
RTX 2070 ON
66.6
RTX 2060 SUPER ON
64.6
RTX 2060 ON
56.3

レイトレーシングONでも平均144FPS

1080pですが、レイトレーシングがONでも平均144FPSを超えています。凄まじい性能です。RTX 2080 Ti の約1.34倍、RTX 2080の約1.74倍のFPSです。レイトレーシングを常用したいなら非常に魅力的です。


RTX+DLSS

次に、レイトレーシングとDLSSを併用した際のパフォーマンスを見ていきます。こちらも表にはレイトレーシングおよびDLSSを利用していない場合のFPSも載せています。

Control RTX+DLSS(1080p)
GPU名称 平均FPS
RTX 3080 OFF
137.7
RTX 3080 RTX+DLSS
128.7
RTX 2080 Ti OFF
101.5
RTX 2080 Ti RTX+DLSS
94.9
RTX 2080 SUPER OFF
92.9
RTX 3080 RTX
85.3
RTX 2080 SUPER RTX+DLSS
78.7
RTX 2070 SUPER OFF
76.4
RTX 2070 SUPER RTX+DLSS
70.6
RTX 2060 SUPER OFF
67.1
RTX 2060 SUPER RTX+DLSS
62.4
RTX 2080 Ti RTX
60.0
RTX 2080 SUPER RTX
48.9
RTX 2070 SUPER RTX
43.0
RTX 2060 SUPER RTX
37.3

DLSSも併用でパフォーマンスが大幅に向上

これはRTX 30番台からという訳でもないですが、DLSSとレイトレーシングを併用することで、レイトレーシング使用によるFPS低下を補うことができます。レイトレーシング未使用時の場合と比較すると、FPS低下は約6.5%と僅かです。非常に魅力的です。

DLSSに対応していれば、多少重いゲームだったり設定上げるとしても平均144FPSは難しく無さそうです。

2020年9月現在では、DLSSとレイトレーシングの両方対応しているというのはかなり条件が厳しく、正直実用性は皆無に近いですが、RTX 30番台の発売を受けて対応タイトルが増えてくれる事に期待したいですね。

まとめ

良い点
  • 4Kゲーミングでも使える非常に高い性能
  • コスパが非常に良い
  • レイトレーシングでも高FPSを狙える

悪い点
  • 非常に高価(恐らく9万円~10万円?)
  • 消費電力が非常に多い
  • 1080pのワットパフォーマンスは前世代並み
    数値自体は悪い訳ではないけど、消費電力が非常に多く扱いにくい事と、前世代でも1080pなら十分なパフォーマンスが得られる点を踏まえ、加えました。

RTX 2080の1.4倍~1.5倍の化け物じみた性能

「GeForce RTX 3080」は、画質設定が最高品質の4Kゲーミングですら100FPS出るという化け物じみた性能のGPUです。1080pで240FPS狙う事はもちろん、1440pでも十分なパフォーマンスを得ることが出来ます。

事前発表で言っていた「RTX 2080の最大2倍」という言葉の期待値ほどの性能は正直なく、実際はRTX 2080の1.4倍~1.5倍程度の性能でしたが、これでも十分に驚異的な性能です。処理性能に関しては素晴らしいの一言です。

消費電力は非常に多いのが残念

性能は非常に素晴らしかったですが、残念なのはやはり消費電力の多さです。320WというTDPは伊達ではなかったです。TDPが増えた時点で予想は出来ていましたが、やはり気になります。求められる電源や排熱性能のレベルも、従来の80シリーズよりも高くなってしまいます。

多少電力制限を強くしても十分すぎる性能向上になると思うので、TDPの初期値は従来通り215W~250Wのどこかで設定して欲しかったというのが本音です。ある程度知識があれば電力制限は出来ると思いますが、恐らくほとんどのゲーミングPCユーザーはそんなことを考慮しないでしょうし。

ただ、RTX 3080のTDP320Wというのは、RTX 3070のTDPは220Wと普通なので、やや違和感を感じる設定です。間が空きすぎています。もしかしたら、今後 RTX 3070 SUPER(もしくはTi)的な中間性能のGPUを出す予定なので、その布石なのでしょうか。

レイトレーシングが普通に実用レベルに

設定は多少調整が必要になる可能性はありますが、レイトレーシング利用時でも1080pなら平均144FPSは超える事は難しくない程高性能です。レイトレーシングは前衛的すぎて、実用段階になるのはまだ先だと勝手に思っていましたが…こんなにも早く実用段階になるとはびっくりです。少なくとも次の次の世代くらいからだろうと思っていました。

ただし正直なところ、強化されたとはいえ対応タイトルがまだ少ないことや、競技性の高いゲームでは少しでも負荷を小さくして動作の安定化やFPSの向上を狙いたい人が多そうなので、レイトレーシングの需要はまだ低いと思います。2020年9月現時点ではまだ、重要な要素の一つとまではなっていません。いつか役立つかもしれないボーナス性能的な感じですね。

とはいえ、使いたいときに利用できるというのは大きいですし、このレイトレーシング性能の向上は、ゲームを含むVRでも大いに役立つと思われます。急激な成長も十分に期待できると思います。私は非常に期待しています。

従来の80モデルを期待するなら、本命は RTX 3070 かも

RTX 3080の性能は素晴らしく、その点は文句の付けようはないですが、やはり消費電力の多さが気になります。電源や排熱には十分に気を付ける必要がありますし、恐らくトリプルファン仕様が中心となりそうな気がするので、グラボ自体の価格も平均は従来より高くなるかもしれません。

RTX 3080の性能は、現状ではオーバースペックすぎるくらいです。使い勝手や費用の面を考え、従来の80モデルのような取り回しを期待するなら、本命は「RTX 3070」になるのかな、という印象でした。


といった感じで、本記事は以上になります。残りのRTX 30シリーズの発売が待ち遠しいです。

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