SHARPからスマホの「AQUOS」シリーズの2020年秋冬モデルが発表されたので、機能や性能についてざっくりと見ていきたいと思います。
本記事の内容は記事執筆時点(2020年9月14日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
ざっくり要点まとめ
まずはざっくり要点をまとめて置いておきます。
- 全モデル共通
- おサイフケータイ/NFC 対応
- 防水防塵仕様(IPX5,IPX8/IP6X)
- Wi-Fi 6未対応
- AQUOS zero5G basic
- Snapdragon 765 5G
- 6.4インチ (2340×1080) 有機EL
- リフレッシュレート240Hz相当(実質描写数120Hz、タッチ検出240Hz)
- 8GB RAM/128GB ROM、6GB RAM/64GB ROM
- アウトカメラ3眼、インカメラ1眼
- メインカメラ 4800万画素
- バッテリー容量 4050mAh
- ティアドロップ型ノッチ
- AQUOS sense4
- Snapdragon 720G
- 5.8インチ(2280×1080)IGZO液晶
- 4GB RAM/64GB ROM
- アウトカメラ3眼、インカメラ1眼
- メインカメラ1200万画素
- バッテリー容量 4570mAh
- ティアドロップ型ノッチ
- AQUOS sense5G
- Snapdragon 690 5G
- 5.8インチ(2280×1080)IGZO液晶
- 4GB RAM/64GB ROM
- アウトカメラ3眼、インカメラ1眼
- メインカメラ1200万画素
- バッテリー容量 4570mAh
- ティアドロップ型ノッチ
- AQUOS sense4 plus
- Snapdragon 720G
- 6.7インチ(2400×1080)液晶
- リフレッシュレート90Hz(タッチ検出120Hz)
- 8GB RAM/128GB ROM
- アウトカメラ4眼、インカメラ2眼
- メインカメラ4800万画素
- バッテリー容量 4120mAh
- パンチホール型ノッチ
- 背面指紋認証
AQUOS zero5G basic
スペック
AQUOS zero5G basic | |
---|---|
OS | Android 11 |
SoC | Snapdragon 765 5G |
ROM | 64GB/128GB |
RAM | 6GB/8GB |
バッテリー容量 | 4050mAh |
画面サイズ | 6.4インチ |
解像度 | 2340×1080 |
ディスプレイ仕様 | 有機EL 120Hz (サンプリングレートは240Hz) |
カメラ画素数 | 背面:48MP+13.1MP+8MP(標準+広角+望遠) 前面:16.3MP |
サイズ | 161x75x9.0 mm |
重量 | 約182g |
防水・耐水 | IPX5,IPX8 / IP6X |
生体認証 | 指紋+顔 |
おサイフケータイ | 〇 |
NFC | 〇 |
5G対応 | 〇 |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac |
高リフレッシュレートの有機ELディスプレイ採用のゲーム用モデル
AQUOS zero5G basicは、Snapdragon 765 5Gを搭載し、最大240Hz相当の表示になるという有機ELディスプレイを採用したゲーム用モデルです。5Gにも対応しています。SoCはミドルレンジ上位クラスのもので、名前にもbasicと付いていることもあるので、ハイエンドモデルという位置付けではなさそうです。具体的な価格設定は明らかになっていませんが、価格もハイエンドモデルほど高くはならないと思われます。「ゲームもしたいけど、価格が高すぎるのはちょっと…」という人をターゲットにしていると思われる機種です。とはいえ、5G対応だけでなくディスプレイ性能も高くなっているため、それなりの価格になる可能性も十分ありそうです。また、わざわざbasicと付けているので、後日basicの付かないハイエンドモデルが発売されるのかもしれません。
ディスプレイはリフレッシュレート240Hz相当の表示という触れ込みではありますが、間に黒い画像を挟むことで残像感を減らし滑らかに表示している様に見せる仕様なので、実質の描写枚数でいえば120Hzな点は注意です(ただし、タッチ検出はちゃんと最大240回なので、細かなタッチ操作は快適になる)。
アウトカメラはメインカメラが4800万画素の3眼となっており、画素数的には十分な性能と言えると思います。先代のzero2から大幅に向上しました。とはいえ、カメラの良さはソフトウェアによる影響が個人的に大きい気がします。特にAQUOSシリーズは今まで画素数の割にキレイに撮れないという評価が結構見られたので、実際の撮影映像が出ないと良し悪しは判断できないかもしれません。
また、バッテリー容量もzero2の3130mAhより4050mAhと大きく増えており、バッテリー持続時間は大幅に向上しています。その代わり重量は重くなりました。おサイフケータイと防水防塵にはしっかりと対応し、ゲーム用とはいえ普段使い面でも他モデルよりデメリットが増えるという部分はありません。かなり汎用性が高い機種となりそうです。
AQUOS sense4
スペック
AQUOS sense4 | |
---|---|
OS | Android 10 |
SoC | Snapdragon 720G |
ROM | 64GB |
RAM | 4GB |
バッテリー容量 | 4570mAh |
画面サイズ | 5.8インチ |
解像度 | 2280×1080 |
ディスプレイ仕様 | IGZO液晶 |
カメラ画素数 | 背面:12MP+12MP+8MP(標準+広角+望遠) 前面:8MP |
サイズ | 148x71x8.9 mm |
重量 | 約176g(暫定値) |
防水・耐水 | IPX5,IPX8 / IP6X |
生体認証 | 指紋+顔 |
おサイフケータイ | 〇 |
NFC | 〇 |
5G対応 | × |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac |
処理性能が大幅に向上した定番の格安モデル
AQUOS sense4は、おサイフケータイや防水防塵に対応しつつ価格も安いのが魅力な、格安の高コスパスマホです。去年発売され人気機種となった「sense3」の後継機です。sense3の価格は、値下げ無しだとキャリア機だと3万円ちょっと、SIMフリーモデルだと3万円台後半でした。
特に注目したいのはSoCです。大幅に性能が向上しています。先代のsense3の「Snapdragon 630」から「Snapdragon 720G」になりました。おおよその性能向上は、シングルコアは約3倍、マルチコアは約1.5倍、GPU性能は約2.8倍です(CPUスコアはGeekbench 4.4、GPU性能はIce Strom 720pのグラフィックスコア)。もし価格設定が同額なら驚異的な向上率です。sense3では、どうしてもSoC性能の低さが欠点として見逃せないものでしたが、これが改善されました。非常に大きいです。ただし、RAMは4GBと少なめなので、同SoC採用でもRAM6GBが多い中国メーカーのミドルレンジ製品相手だと、性能的には多少劣る可能性はある点は一応注意です。
SoCと併せて大きな欠点として挙げられていたカメラ性能は、依然としてイマイチと言わざるを得ないです。3眼カメラにはなったものの、これは今では当たり前レベルですし、中国メーカーではミドルレンジ機種でもメインカメラが4800万画素程度が主流なのに対し、未だに1200万画素です。低い画素数でもAI等のソフトウェア処理などによって綺麗に撮れる機種もありますが(例:Pixel 4a)、先代のsense3の撮影性能を見る限りは望み薄かなと思います。保存や記録として撮影する分には十分だと思いますが、カメラ性能は正直期待しない方が良いと思います。
また、バッテリー容量はsense3の4000mAhから更に増え4570mAhとなりました。6インチ未満のスマホとしてはかなりの大容量バッテリーです。画面サイズも大きくなったので、単純な持続時間向上という訳にはいかないですが、非常に高いバッテリー持続性能は維持されています。個人的には、5.8インチでも4000mAhあれば容量は多い部類なので、その分を減らして、少しでも薄型化と軽量化に力を入れて欲しかった気もしますが、他の機種との差別化のためにあえてこうしていると思うので何とも言えないところです。
AQUOS sense5G
スペック
AQUOS sense5G | |
---|---|
OS | Android 11 |
SoC | Snapdragon 690 5G |
ROM | 64GB |
RAM | 4GB |
バッテリー容量 | 4570mAh |
画面サイズ | 5.8インチ |
解像度 | 2280×1080 |
ディスプレイ仕様 | IGZO液晶 |
カメラ画素数 | 背面:12MP+12MP+8MP(標準+広角+望遠) 前面:8MP |
サイズ | 148x71x8.9 mm(暫定値) |
重量 | 未定 |
防水・耐水 | IPX5,IPX8 / IP6X |
生体認証 | 指紋+顔 |
おサイフケータイ | 〇 |
NFC | 〇 |
5G対応 | 〇 |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac |
5G対応のミドルレンジ機種
AQUOS sense5Gは、5G対応のミドルレンジモデルです。具体的な価格設定は明らかになっていませんが、5G対応の格安高コスパ機種となりそうです。前述のsense4と比較すると5G対応という点以外はほぼ同じ仕様となっています。2020年9月時点では5G対応機種は高額なハイエンドモデルばかりなので非常に魅力的です。対抗機種となると思われる「Xiaomi Mi 10 Lite 5G」や「OPPO Reno 3A 5G」との価格差も気になるところです。
注目すべきはSoCの「Snapdragon 690 5G」です。既に販売されている製品では採用例は恐らくないため、具体的な処理性能は不明です。ただし、Snapdragon 675の後継モデルのようなので、ミドルレンジ平均クラスのSoCとなると思います。先代のsense3のSnapdragon 630はミドルレンジでも下位モデルのものだったので、アップグレートという形になる上、単純に新しいSoCという事で性能向上も期待されるので、かなりの性能向上となると思います。実は690 5Gもリークでのベンチマークスコアは出ていて、信憑性は定かではないですが、処理性能自体はsense4に搭載される「Snapdragon 720G」に近い値となっていました。処理性能的にもsense4と同じくらいなりそうなので、やはり5G対応以外はsense4とほぼ同じと考えて良さそうです。
ちなみにメーカー発表によると、SoC+従来よりも高速なUFS規格のストレージとを合わせて約2.4倍の性能向上になるとのことです。5G対応ということで、前述のsense4よりはやや高くなると思われますが、かなりの高コスパ機となりそうな気配があります。
また、下記からはsense4と共通ですが、一応触れておきます。
おサイフケータイと防水防塵には対応しているのはもちろん、バッテリー容量は先代のsense3から更に増え4570mAhとなりました。6インチ未満のスマホとしてはかなりの大容量バッテリーです。現状のスマホの中ではかなり高いバッテリー持続性能となると思います。
カメラ性能は正直イマイチになると思います。3眼カメラにはなったものの、これは今では当たり前レベルです。更に、中国メーカーではミドルレンジ機種でもメインカメラが4800万画素程度が主流なのに対し、未だに1200万画素です。低い画素数でもAI等のソフトウェア処理などによって綺麗に撮れる機種もありますが(例:Pixel 4a)、先代のsense3の撮影性能を見る限りは望み薄かなと思います。カメラ性能には正直期待しない方が良い気がします。
AQUOS sense4 plus
スペック
AQUOS sense4 plus | |
---|---|
OS | Android 10 |
SoC | Snapdragon 720G |
ROM | 128GB |
RAM | 8GB |
バッテリー容量 | 4120mAh |
画面サイズ | 6.7インチ |
解像度 | 2400×1080 |
ディスプレイ仕様 | 液晶 |
カメラ画素数 | 背面:48MP+5MP+2MP+2MP (標準+広角+マクロ+深度) 前面:8MP+2MP (標準+深度) |
サイズ | 166x78x8.8 mm |
重量 | 約198g(暫定値) |
防水・耐水 | IPX5,IPX8 / IP6X |
生体認証 | 指紋+顔 |
おサイフケータイ | 〇 |
NFC | 〇 |
5G対応 | ?(恐らく×) |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac |
細長い大画面にステレオスピーカー搭載
AQUOS sense4 plusは、6.7インチの細長い大画面液晶のミドルレンジスマホです。ステレオスピーカー搭載を強調していることから、sense4やsense5Gよりも良いスピーカーも搭載していると思われ、大画面液晶と合わせて動画での利用を意識している印象です。また、先代のsense3 plusでは、ベゼル(画面と本体との淵)が大きくて、正直見た目があまり良くなかった印象でしたが、上部ベゼルがかなり狭くなった上、下部の指紋センサーも背面搭載へと変わったこともあり、全体的にベゼルがかなり狭くなり見た目も洗練された感じになったと思います。パンチホール型ノッチも大画面を余すことなく利用できるので良さそうです。
ディスプレイは最大90Hz(タッチ検出は120)と少し強化されていて、動画だけでなくゲームも意識されていることが伺えます。ちなみにIGZOの表記がないのでIGZO液晶ではないかもしれません。
SoCはsense4と同じ「Snapdragon 720G」が採用されています。SoCは同じなものの、RAMは8GBと多く搭載してくれているのでその分の性能向上は見込めます。ただし正直上位モデルなので730Gくらいにしてくれても…とも思ってしまいます。とはいえ、そのくらいの性能差だと実用性はほとんど変わらないのも事実なので、価格とコスパを考えた結果なのでしょうね。
カメラはアウトカメラは4眼、インカメラは2眼と頑張っているようには見えるものの、標準カメラ以外の画素数が少なめなので、あまり期待はできないかもしれません。
雑感
具体的な価格設定がわからないと何とも言えないというのが正直なところですが、先代機たちと同じ価格設定なら、コスパはかなり良いと思います。特にsense4とsense5Gという下位モデルでも、前世代のような低性能なものではなくしっかりとしたミドルレンジSoCが採用されていることが嬉しいですね。持前のおサイフケータイ、防水、長時間バッテリー持ち、などの長所は今まで通り保持されていますから、SoCの強化は非常に大きいです。使い勝手が純粋に増しました。
欠点として気になるのは、気になるのはカメラ性能です。画素数に関して、sense4とsense5Gの標準の1200万画素は時代遅れと言わざるを得ない性能だと思います。最近猛威を振るっている中国メーカーのスマホは、ミドルレンジや低価格帯でも4800万画素のカメラを平気で採用してくるので、ここは明らかに劣っているなと感じます。Pixel 4aのような、1200万台の低画素数でも綺麗に撮れるというAI処理に自信を持っている機種もありますが、先代機や紹介ページを見る限りそこまでのものは今回のAQUOSシリーズではなさそうな気がするので、やっぱりちょっと劣っていそうかなという気がします。当然実際の撮影性能は出てからでないとわかりませんが、AI処理に関しても中国メーカーは低評価という感じではない気がするので、画素数で負けている以上はカメラ性能で上回るということは無さそうな気がします。
zero5Gとsense 4plusに関しては、上位モデルにしてはSoC性能はやや控えめではありますが、高リフレッシュレートのディスプレイ採用でゲーム向けの仕様にした事で上手く棲み分けができているなと思います。SoC性能が抑えられているので、価格もハイエンドよりは安く提供されると思いますし、コスパも良く使い勝手の良い機種になりそうな気がします。sense4 plusは先代機はベゼルが大きくやや不格好な印象もありましたが、それも解消された点も地味大きそうな気がします。また、カメラも標準カメラが4800万画素なので、画素数に関しては必要十分だと思います。
sense5Gとzero5Gは5G対応な分、やや価格は高くなると思われるので、その差と消費者心理がどう働くかはちょっと想像できないですが、やっぱり将来性を見据えて5G対応モデルが人気となるんじゃないかという気はします。
ここからは余談です。興味のある方だけご覧ください。
まず外観についてですが、今回のAQUOSシリーズでは、ノッチがsense4 plus以外は丸い形のティアドロップ型です。個人的にはこれはあまり好きではなかったり。あえて横幅を大きめにとってLEDとかスピーカーとまとめた方が機能的だしカッコ良いと私は思います。iPhone Xの真似とか言われるかもしれませんが、当初は批判されたZenfone 5も結局は人気の高評価機種となりましたし。カメラだけのノッチにするとしても、最近流行りの三角形状の方がスタイリッシュで良く思います。
次にバッテリー容量です。少し前述しましたが、長所として大容量バッテリーを維持するのは良いと思うのですが、sense4とsense5Gに関してはそこまで無くても…と思います。5.8インチという小さめの画面を採用していることもあり、4570mAhどころか4000mAhもあればバッテリー持ちは十分良い部類に入ります。バッテリー容量をもう少し減らして薄型化や軽量化に回してくれたら…と正直思わずにはいられないです。
という感じで記事は以上になります。
何にせよ、先代機よりコスパがアップしていることは間違いなく、国内メーカーの格安高コスパ機種は非常に魅力的です。先代機から引き続き人気機種となることは確定的だと感じました。発売が待ち遠しいです。