「GeForce RTX 4070」ざっくり評価【性能比較】

NVIDIA「GeForce RTX 4070」のざっくり性能比較・評価です。海外レビューを参考に見ていきます。

従来では70番といえば高すぎない価格で優れた性能とコスパを併せ持つ、ミドルハイあたりの性能で人気のモデルです。「RTX 40シリーズ」ではどうなっているのか見ていきます。

注意

本記事の情報は記事執筆時点(2023年4月13日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

追記:4/18にコスパの項目を追加

仕様

まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。

簡易比較表

※価格は2023年4月13日時点での北米での希望小売価格です(判明しているもののみ)。

GPUシェーダー
ユニット数
メモリタイプメモリ速度
メモリ帯域幅
レイトレ用
ユニット数
ダイサイズ消費電力
(TGP等)
北米
参考価格
RTX 409016384GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
128基608㎟450W1,599ドル
RTX 40809728GDDR6X
16GB 256bit
22.4Gbps
716.8GB/s
76基380㎟320W1,199ドル
RX 7900 XTX6144GDDR6
24GB 384bit
20Gbps
960GB/s
96基36.6㎟*6 +
300㎟
355W999ドル
RX 7900 XT5376GDDR6
20GB 320bit
20Gbps
800GB/s
84基36.6㎟*6 +
300㎟
315W899ドル
→799ドル?
RTX 4070 Ti7680GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
60基295㎟285W799ドル
RTX 3090 Ti10752GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
84基628.4㎟450W1,499ドル
RTX 309010496GDDR6X
24GB 384bit
19.5Gbps
936GB/s
82基628.4㎟350W1,299ドル
RX 6950 XT5120GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
80基519㎟335W949ドル
RX 6900 XT5120GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
80基519㎟300W699ドル
RTX 3080 Ti10240GDDR6X
12GB 384bit
19Gbps
912GB/s
80基628.4㎟350W1,099ドル
RTX 3080 10GB8704GDDR6X
10GB 320bit
19Gbps
760GB/s
68基628.4㎟320W699ドル
RTX 40705888GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
46基295㎟200W599ドル
想定:99,800円~
RX 6800 XT4608GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
72基519㎟300W599ドル
RTX 3070 Ti6144GDDR6X
8GB 256bit
19Gbps
608GB/s
48基392㎟290W599ドル
RX 68003840GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
60基519㎟250W549ドル
RTX 30705888GDDR6
8GB 256bit
14Gbps
448GB/s
46392㎟220W499ドル
RX 6750 XT2560GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
40336㎟250W419ドル
RTX 3060 Ti4864GDDR6
8GB 192bit
14Gbps
448GB/s
38392㎟200W399ドル
RX 6700 XT2560GDDR6
12GB 192bit
16Gbps
384GB/s
40336㎟230W379ドル
Arc A770 16GB4096GDDR6
16GB 256bit
17.5Gbps
560GB/s
32406㎟225W349ドル
Arc A770 8GB4096GDDR6
8GB 256bit
16Gbps
512GB/s
32406㎟225W329ドル
RTX 30603584GDDR6
12GB 192bit
15Gbps
360GB/s
28276㎟170W329ドル
RX 6650 XT2048GDDR6
8GB 128bit
17.5Gbps
280.3GB/s
32237㎟180W299ドル
RX 6600 XT2048GDDR6
8GB 128bit
16Gbps
256GB/s
32237㎟160W
Arc A7503584GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
28406㎟225W289ドル
RTX 30502560GDDR6
8GB 128bit
15Gbps
224GB/s
20276㎟130W249ドル
RX 66001792GDDR6
8GB 128bit
14Gbps
224GB/s
28237㎟132W239ドル
GTX 1660 SUPER1408GDDR6
6GB 192bit
14Gbps
336GB/s
284㎟125W229ドル
RX 6500 XT1024GDDR6
4GB 64bit
18Gbps
144GB/s
16107㎟107W169ドル
GTX 1650 GDDR6896GDDR6
4GB 128bit
12Gbps
192GB/s
200㎟75W149ドル
RX 6400768GDDR6
4GB 64bit
16Gbps
128GB/s
12107㎟53W149ドル
Arc A3801024GDDR6
6GB 96bit
15.5Gbps
186GB/s
8157㎟75W129ドル?

今回見ていく「GeForce RTX 4070」は「Ada Lovelace」アーキテクチャの「GeForce RTX 40シリーズ」におけるミドルハイといった位置付けのGPUです。しかし、その性能は前世代にRTX 3080に匹敵しているとされており、その性能は前世代のハイエンド級です。

米国におけるメーカー希望小売価格(MSRP)は599ドルで、日本での想定価格は99,800円~と公式HPには記載されており、価格もミドルレンジと言えるかは微妙な高額さになっている点は注意です。ただし、同じ希望小売価格だった先代の「RTX 3070 Ti」が高騰後以降は大体8万円台で落ち着いていたので、最終的には9万円以下くらいになることを期待できるかもしれません。

次にハードウェア面についてですが、「RTX 4070」では「RTX 4070 Ti」と同じ「AD104」シリコンが使用されています。しかし、「RTX 4070 Ti」と比較すると各コア数が約23.4%少なくなっています。主要なコア仕様は、CUDAコアが5888RTコアが46Tensorコアが184などとなっています。

ダイサイズは約295㎟となっており、前世代の「RTX 3070(Ti)」の392㎟よりも縮小化されています。「RTX 4070 Ti」では消費電力が多かったため、2スロット以下のサイズに収めるのが難しかったですが、「RTX 4070」ではTGPが200Wになっており消費電力が格段に低減されているため、2スロット仕様製品もあるのが嬉しいです。消費電力的にファンも2連でも事足りると思われ、下位モデルでは2連ファン仕様になると思うため、その点でも「RTX 4070 Ti」や「RTX 3080」よりは大幅に小型化されているので、非常に扱いやすいと思います。

また、200Wというのは先代の「RTX 3070」の220Wよりも低くなっていますし、その上で性能はRTX 3080並みということで、電力効率は格段に良くなっていることがわかります。大きな魅力です。

ただし、「RTX 4070」のハードウェア仕様で気になる点があり、ビデオメモリ(VRAM)です。容量は12GBとなっており、10万円以下という価格を考えれば容量は及第点かなと思いますが、バス幅が192bitと価格の割には低い仕様となっているため、帯域幅は504GB/sとなっており、これは価格の割には弱いのが弱点です。100ドル高価とはいえ、前世代の「RTX 3080 10GB」では 760GB/s ありました。一応、「RTX 3070」ではL2キャッシュが4MBだったのに対し、「RTX 4070」では9倍の36MBと容量が大幅に増加されているため、実行メモリ性能は押し上げられているはずなので、前世代よりはネックにはなりにくくはなっているかもしれませんが、基本的にはマイナスなはずです。

また、その他「RTX 40シリーズ」にも共通するシリーズの仕様にも触れておくと、まず「AV1」ではデコードだけでなくエンコードに対応しました。特にクリエイターの方にとっては嬉しい仕様だと思いますし、AV1は将来性があって採用率が高くなっていく可能性も高いため、あると有難い機能です。

また、前世代からレイトレーシング用の「RTコア」が第3世代に、DLSS用の「Tensorコア」も第4世代へと更新されており、機能が追加されている点も注目です。

レイトレーシング用の「RTコア」は第3世代へと更新されており、「Shader Execution Reordering」などの新機能が追加され、性能が向上しています。

同社のアップスケリーング技術である「DLSS」用の「Tensor」コアも第4世代へと更新されており、アップグレードされた「DLSS 3」を利用することができます。中間フレームを作成することで負荷を大幅に軽減する機能が追加されており、性能が格段向上しているとNVIDIAは主張しており、実際に負荷はかなり軽減されているデータがあるため、重量級のゲームを高解像度でプレイしたい場合などには特に役立ちます。

それでは、カタログスペックについてはここまでとして、実際の各性能についてこれから見ていきたいと思います。

ゲーミング性能

ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。今回は25種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。レイトレーシングやアップスケリーング等は無効の状態での結果です。

使用されたグラフィックボードは「GeForce RTX 4070 Founders Edition」です。使用されたCPUは「Core i9-13900K」となっています。2023年4月時点でのハイエンドCPUです。

OSはWindows 11が使用されています。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします。


1080p(1920×1080)

FHD(1920×1080)です。最低限の解像度という感じですが、2023年現在では最も主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、特にFPSやTPSでは出来るだけ高いFPSを維持するためにこの設定にするのが主流だと思いますが、RTX 4090など最新世代の超高性能GPUでは低負荷感も大きくなってきた解像度です。

平均FPS(1080p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
251.4
RX 7900 XTX
230.3
RTX 4080
225.0
RX 7900 XT
210.7
RTX 4070 Ti
199.9
RTX 3090 Ti
196.0
RTX 3090
181.1
RX 6900 XT
176.7
RTX 4070
168.6
RX 6800 XT
168.1
RTX 3080 10GB
164.4
RX 6800
145.4
RTX 3070 Ti
140.2
RTX 3070
132.1
RX 6700 XT
122.3
RTX 3060 Ti
116.6
RX 6600 XT
97.9
Arc A770 16GB
94.9
RTX 3060
90.0
RTX 3050
65.4
参考:TechPowerUp

1080pではRTX 3080をわずかに上回る性能

1080pでは「RTX 3080」を約2.55%上回る性能でした。わずかながら上回っています。「RTX 3070」と比較すると、約27.6%高い性能となっており、大幅にスペックアップしていることがわかります。

非常に優れた性能で、重量級ゲームにも十分対応できる性能となりました。軽い部類のゲームなら240fpsも到達できる性能ですから、1080pでは一般的には困ることはほとんどなさそうなレベルの高性能さです。

性能は70番台ということを考えれば十分凄いように見えますが、気になるのは価格です。メーカー希望小売価格は599ドルとなっており、先代の「RTX 3070」の499ドルよりも高い設定となっています。公式HPの登場時の想定価格も99,800円~となっており、ハイエンドではないモデルなのにこの価格は高いなぁと正直感じます。

「RTX 3080」の699ドルよりは安価なものの、「RTX 3080」も最近では在庫処分価格で10万円程度で買える状況がありましたから、発売直後の価格はほとんど変わらず、性能も同程度ということなります。そのため、少なくとも発売直後の基本性能コスパ的には実はほとんど変わらない可能性があるのは注意です。

ただし、599ドルで約10万円~というのは発売直後特有の高価さが見えるため、恐らくは後に少し値下がりするとは思います。それ込みなら「RTX 3080」をコスパで上回りますし、値下がりの余地を含めると間違いなく前世代よりは良いです。とはいえ、長く待った最新世代の、従来ならコスパが特に良いモデルに期待されたレベルには正直達していない気がするのも事実とは言えるレベルのコスパかなと思いました。

とはいえ、TGPは「RTX 3080」よりは120Wも少ない200Wとなっていますから、省電力性と効率は飛躍的に向上していおり、それ込みなら非常に強力なGPUだと思います。総合的には確実に前世代よりは大きく強力ですし、9万円以下まで価格が下がれば、以前よりは少し高価ながら「RTX 3070」のような人気GPUになるのではないかと思います。


1440p(2560×1440)

WQHD(2560×1440)です。4Kは重すぎるけど、1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度は1080pですが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。

平均FPS(1440p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
218.0
RX 7900 XTX
189.6
RTX 4080
185.3
RX 7900 XT
167.5
RTX 3090 Ti
156.1
RTX 4070 Ti
154.2
RTX 3090
141.4
RX 6900 XT
136.3
RX 6800 XT
128.1
RTX 4070
127.3
RTX 3080 10GB
126.8
RX 6800
110.8
RTX 3070 Ti
106.7
RTX 3070
99.9
RX 6700 XT
90.9
RTX 3060 Ti
87.3
Arc A770 16GB
73.6
RX 6600 XT
70.0
RTX 3060
66.7
RTX 3050
47.9
参考:TechPowerUp

1440pではRTX 3080と同等の性能

1440pでは「RTX 3080」とほぼ同等の性能という結果になりました。わずかとはいえリードしていた分の差が縮まっているため、やはり帯域幅の低さが若干ネックになっているのかなという印象を受ける結果です。

とはいえ、1440pにおいても性能自体は非常に高性能で、大半のゲームで144fps以上は超えることが出来ますし、重量級のゲームでも基本100fps超えを達成できるので、一般的には十分な性能かなと思います。

1440pで144Hz~165Hzのコスパ重視モニターで運用することを想定すると、非常に丁度良い選択肢だと思います。


4K(3840×2160)

「超高解像度の代名詞」ともいえる解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、その負荷の大きさから高いFPSを出す事が難しいためTPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはまずないです。処理性能の要求が高いだけでなく、高リフレッシュレートの4Kモニターが非常に高価ということもあり、2023年現在では競技性の高いゲームではあまり利用されません。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。

平均FPS(4K 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
143.7
RX 7900 XTX
116.8
RTX 4080
113.8
RTX 3090 Ti
98.8
RX 7900 XT
98.6
RTX 4070 Ti
90.2
RTX 3090
87.4
RX 6900 XT
79.2
RTX 3080 10GB
77.0
RX 6800 XT
74.1
RTX 4070
73.4
RX 6800
64.5
RTX 3070 Ti
63.0
RTX 3070
58.5
RX 6700 XT
50.6
RTX 3060 Ti
50.6
Arc A770 16GB
43.4
RTX 3060
38.4
RX 6600 XT
36.3
RTX 3050
27.1
参考:TechPowerUp

4KではRTX 3080を若干下回る性能

4Kでは「RTX 3080」を約4.7%下回る性能となりました。1080pでは約2.5%をリードしていたことを考えると、その差は7%程度となっており、やはりメモリ性能の低さが出ているのかなという印象です。

しかし、性能自体は十分高性能で、60fps~120fps程度での運用は十分可能なレベルです。4Kモニターの大半のリフレッシュレートが現状144Hz以下であることを考えると、むしろ無駄になることが少なくて良いとも取れます。

とはいえ、重量級のゲームで高fpsを目指すにはまだ少し頼りない性能ではあるため、4K運用を考えるならばもっとメモリ性能の高い上位GPUの方がおすすめではあります。

電力関連

消費電力

ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」で、解像度は「3840×2160(4K)」です。

GPU平均消費電力(ゲーミング)
GPU名称消費電力
RTX 3050
132W
RX 6600 XT
159W
RTX 3060
183W
RTX 4070
201W
RTX 3060 Ti
205W
RX 6700 XT
224W
RTX 3070
232W
RX 6800
235W
RTX 4070 Ti
273W
RX 6800 XT
298W
RTX 3070 Ti
302W
RTX 4080
304W
RX 6900 XT
305W
RX 7900 XT
320W
RTX 3080 10GB
336W
RX 7900 XTX
356W
RTX 3090
368W
RTX 4090
411W
RTX 3090 Ti
537W
参考:TechPowerUp

ゲーミング時の消費電力は平均で約201Wで、前世代のハイエンド級の性能でミドルレンジ並みの省電力

「RTX 4070」のゲーミング時の平均消費電力は約201Wとなっています。先代の「RTX 3070」よりもやや少ないです。「RTX 3080」と比べると135Wも少ない消費電力となっており、非常に良いです。この消費電力で「RTX 3080」並みの性能は凄いです。

電源容量的に少し余裕ができるのも嬉しく、「RTX 3070」でも公式の650Wではあったものの、少し心許ない印象が強かったですが、200Wならぎりぎり及第点あげれるかなという感じがします。

この消費電力の少なさのおかげで、ファンも2連ファンが十分可能となっており、サイズもハイエンドGPUよりは大きく小型化することが可能な点も大きいです。エアフローさえ確保していれば、ミニタワーや省スペース寄りのケースでも十分運用できると思います。

やはり本体価格が高いのが気になるところではありますが、「RTX 4070 Ti」以上と比べると格段に扱いやすいGPUになっていると思います。

ワットパフォーマンス

ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています。測定に使用されたゲームは「Cyberpunk 2077」です。

ワットパフォーマンス(Cyberpunk 2077)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 4080
4.0W
RTX 4090
4.2W
RTX 4070
4.5W
RTX 4070 Ti
4.6W
RX 7900 XTX
4.7W
RX 7900 XT
5.0W
RX 6800
5.9W
RTX 3070
6.0W
RTX 3060 Ti
6.2W
RX 6900 XT
6.3W
RTX 3090
6.3W
RX 6800 XT
6.5W
RTX 3080 10GB
6.5W
RX 6600 XT
7.2W
RX 6700 XT
7.2W
RTX 3070 Ti
7.3W
RTX 3060
7.5W
RTX 3090 Ti
8.0W
RTX 3050
8.0W
参考:TechPowerUp

「RTX 4070 Ti」とほぼ同等の、前世代のGPUを大きく上回る効率

「RTX 4070」の電力効率は「RTX 4070 Ti」とほぼ同等で、非常に優れています。1440pゲーミングでは、「RTX 3080 10GB」よりも約31%少ない電力で同等のfpsを出すことができます。「RTX 3070」と比較してもフレームあたり約25%の少ない電力で稼働しており、圧倒的な向上を遂げています。

前世代の全てのGPUを大きく上回る効率で、最新の微細化されたプロセスを使用している恩恵を十分に感じることができる結果です。

この効率の良さがあるため、「RTX 3080」と実性能が同等だとしても、GPU自体の質は「RTX 4070」の方が明らかに優秀と言えます。消費者的にはやはり実性能とコスパを最も重要視するため、発売時の価格では電力面を加味しても魅力を感じにくいかもしれませんが、少し価格が下がれば一気に魅力的なGPUになるのではないかと思います。

レイトレーシング性能

レイトレーシング性能

レイトレーシング性能を見ていきます。レイトレーシングはまだ出てさほど時間が経っていない手法な上、メインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性もあります。

レイトレーシングFPS(1080p 幾何平均)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
188.9
RTX 4080
165.9
RTX 4070 Ti
146.5
RTX 3090 Ti
144.9
RX 7900 XTX
143.2
RTX 3090
134.1
RX 7900 XT
129.3
RTX 4070
126.2
RTX 3080 10GB
121.6
RX 6900 XT
103.8
RTX 3070 Ti
102.1
RX 6800 XT
97.4
RTX 3070
96.8
RX 6800
85.4
RX 6700 XT
69.6
参考:TechPowerUp

レイトレーシングFPS(1440p 幾何平均)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
157.3
RTX 4080
132.9
RTX 3090 Ti
114.0
RX 7900 XTX
111.7
RTX 4070 Ti
111.7
RTX 3090
101.7
RX 7900 XT
98.9
RTX 4070
91.8
RTX 3080 10GB
90.2
RX 6900 XT
76.3
RTX 3070 Ti
73.9
RX 6800 XT
71.5
RTX 3070
69.3
RX 6800
62.2
RX 6700 XT
48.6
参考:TechPowerUp

レイトレーシングFPS(4K 幾何平均)
GPU名称平均FPS
RTX 4090
107.9
RTX 4080
83.3
RX 7900 XTX
71.8
RTX 3090 Ti
65.7
RTX 4070 Ti
61.4
RTX 3090
58.6
RX 7900 XT
55.8
RTX 3080 10GB
50.6
RTX 4070
49.5
RX 6900 XT
41.7
RX 6800 XT
39.0
RX 6800
34.2
RTX 3070 Ti
31.1
RTX 3070
28.3
RX 6700 XT
25.9
参考:TechPowerUp

レイトレーシング性能がRTX 3070から性能が格段に向上し、実用的な性能に

レイトレーシング有効時の性能ですが、競合モデルとの差はレイトレーシング無しのときとあまり変わらず、「RTX 3080」に近い性能という結果でした。

「RTX 3080」と比較すると凄さがわかりにくいですが、「RTX 3070」と比較すると向上率は1080pで約30.4%、1440pで約32.5%、4Kでは約74.9%となっており、格段に性能が向上していることがわかります。

「RTX 3070」ではレイトレーシングはちょっときついという印象が強かったですが、「RTX 4070」では実用的な性能になっているのは大きいと思います。発売直後はやや高価なことが予想されるものの、希望小売価格自体は「RTX 3080」よりも安価ですから、値下がりが進んだ後にはレイトレーシングを実用的に使える安価なGPUとして強力になると思います。

「RTX 40シリーズ」ではDLSS 3にも対応が可能ですし、併用できれば前世代と比較して更なる優位性を見出すこともできると思うので、レイトレーシングを出来るだけ安く実用的に利用してみたいという層にとってはうってつけのGPUとなる気がします。

コストパフォーマンス

上述のfpsを基にGPUの1フレームあたりの価格を算出し、コストパフォーマンスを比較しています。数値が低い方が良い点に注意です。各GPUの価格は、記事執筆時点のおおよその市場最安値価格です。ラスタライズとレイトレーシング時の両方を見ていきます。

元のゲーミング性能の解像度は1440pを用いています。そのため、特に4Kではやや結果が異なる可能性があるため注意です。

また、今回扱う「RTX 4070」は初動価格が適正価格よりもやや高いように思われ、後に値下がりする可能性を考慮し、想定価格よりも1万円安い約9万円(89,980円)時の場合のコスパも載せています。


1フレームあたりの価格(ラスタライズ)

まずはラスタライズ性能のコスパです。

1fあたりの価格(1440p@RT無し)
GPU名称1フレームあたりの価格価格
RX 6700 XT
¥594
¥53,980
RX 6600 XT
¥626
¥43,800
RX 6800 XT
¥662
¥84,800
RTX 3060 Ti
¥662
¥57,800
RTX 3060
¥674
¥44,980
RX 6800
¥675
¥74,800
RTX 3070
¥699
¥69,800
RX 6900 XT
¥702
¥95,700
RTX 4070(約9万円時)
¥705
¥89,800(仮)
Arc A770 16GB
¥717
¥52,800
RTX 3080 10GB
¥740
¥93,800
RTX 3070 Ti
¥750
¥79,980
RX 7900 XT
¥751
¥125,800
RTX 4070
¥784
¥99,800
RTX 3050
¥789
¥37,800
RTX 4070 Ti
¥809
¥124,800
RX 7900 XTX
¥843
¥159,800
RTX 4080
¥970
¥179,800
RTX 4090
¥1,206
¥262,800
RTX 3090
¥1,315
¥186,000
参考:TechPowerUp

約10万円だと前世代にもやや劣るコスパ

「RTX 4070」のラスタライズ時のコスパは、残念ながら期待していたほど良くはないです。

登場時の約10万円基準だと、在庫処分価格で安くなっている「RTX 30シリーズ」および「RX 6000シリーズ」のほとんどのモデルに負けるレベルです。近い性能を持っていた「RTX 3080 10GB」にも少し負けています。最近の「RX 6600 XT~6700 XT」のコスパが非常に強力なこともあり、最新世代のコスパ重視モデルとしては、期待外れ感もある結果かなと思います。

電力効率の良さと、性能の割には非常に少ない消費電力の利点があるため、その他の点で実質費用を少し節約できることは考慮すべきですが、単純なラスタタイズコスパは良くはないので、出来るだけ安く高性能なゲーミングPCを求める場合には、前世代と比べて良くなったとは言えないかもしれません。

しかし、少し値下がりをする可能性を考慮して約9万円で算出してみると、「RTX 3070」と同等クラスのコスパになり、良い部類になります。その場合には「RTX 3080 10GB」よりも優れたコスパになりますし、電力面の良さもあるため、前世代の「RTX 3080 10GB」や「RTX 3070」よりも優れた選択肢となると思います。


1フレームあたりの価格(レイトレーシング)

次にレイトレーシング時のコスパを見ていきます。DLSSやFSR等のアップスケーリング技術は使用していない場合のものになります。

1fあたりの価格(1440p@RT)
GPU名称1フレームあたりの価格価格
RTX 4070(約9万円時)
¥978
¥89,800(仮)
RTX 3070
¥1,007
¥69,800
RTX 3080 10GB
¥1,040
¥93,800
RTX 3070 Ti
¥1,082
¥79,980
RTX 4070
¥1,087
¥99,800
RTX 4070 Ti
¥1,117
¥124,800
RX 6800 XT
¥1,186
¥84,800
RX 6800
¥1,203
¥74,800
RX 6900 XT
¥1,254
¥95,700
RX 7900 XT
¥1,272
¥125,800
RTX 4080
¥1,353
¥179,800
RX 7900 XTX
¥1,431
¥159,800
RTX 4090
¥1,671
¥262,800
RTX 3090
¥1,829
¥186,000
参考:TechPowerUp

レイトレーシングコスパは良い部類で、値下がりすればトップクラスになるかも

ラスタライズとは打って変わって、「RTX 4070」レイトレーシングのコスパは悪くありません。約10万円で算出しても悪くないレベルなので、値下がり考慮の約9万円で算出してみると一気に改善し、トップに躍り出ます。

それでも「RTX 3070」と比べると大した差がないように見えますが、「RTX 3070」では力不足感も強かった性能が一気に実用レベルまで引き上げられているので、コスパ自体は同じでも実用性込みでは上回ります。電力面の良さもありますから、数値以上に優位性があります。

ラスタライズコスパに関しては、正直印象的な結果を残せなかった「RTX 4070」ですが、レイトレーシングでは一般消費者にとって非常に魅力を感じることが出来るようになっているので、色々なことに高いレベルで対応しつつも出来るだけ安くしたいという層には有難い存在だと思います。

まとめ

GeForce RTX 4070

良い点
  • RTX 3080に匹敵する高い性能
  • 性能に割に少ない消費電力(TGP:200W)
  • 非常に優れたワットパフォーマンス
  • 実用的なレイトレーシング性能
  • 2スロット、2連ファン仕様もあるので、ハイエンドGPUよりも扱いやすい
  • DLSS 3に対応(メインのGPUコアに頼らずフレーム生成)
  • AV1のデコードおよびエンコードをサポート

気になる点
  • 高価(希望小売価格:599ドルで国内約10万円から)
  • 価格の割には低いメモリ帯域幅(192bitの12GB GDDR6Xで504GB/s)
  • コスパは前世代から大きく向上とまではいかなかった

RTX 3080に匹敵する性能を200Wで実現

「RTX 4070」の最大の魅力はやはり電力面だと思います。

「RTX 3080 10GB」に匹敵する性能を、100W以上少ない消費電力で実現しているのは素晴らしいです。電源容量の節約によって、実質的な費用削減にも繋がります。更にサイズ面でも、2スロットおよび2連ファンでの運用が可能なので、ケースの選択肢も「RTX 4070 Ti」以上と比べると広がります。

価格も、発売時の想定価格は「RTX 3080 10GB」と同程度なものの、希望小売価格では100ドル安いため、最終的にはコスパでもやや上回ることが期待できるのも注目です。

性能も「RTX 3070」ではやや難があったレイトレーシングや4Kでの性能が向上している点は大きく、これらの機能を「RTX 3070」よりも実用的な性能で使える上に「RTX 3080」より安価なGPUとして、無駄な費用を掛けたくないコスパ重視志向の人には魅力的になるのではないのかと思います。

このように、「RTX 4070」は前世代のハイエンド級の性能で4Kやレイトレーシングでの対応力を高めつつも、従来のハイエンドGPUより安価かつ格段に扱いやすい消費電力とサイズを持つGPUです。

さすがに発売時の価格だと、基本性能コスパが「RTX 3080」や「RX 6800 XT」と大して変わらないため魅力を感じにくいですが、値下がりが進めば魅力的なGPUになると思います。

メモリの帯域幅が低いため、4Kでの性能が少し気になる

12GBというメモリの容量は10万以下のGPUなら悪くないと思いますが、504GB/sという帯域幅はやはりネックです。「RTX 4070 Ti」でも同様でしたが、この価格で192bitメモリ採用はどうなんだと思ってしまいます。

上述で「RTX 3080」に匹敵する性能と評したものの、恐らくはこの帯域幅の狭さのせいで、4Kにおいては若干下回る結果が出ているのは一応注意です。差は小さいですし、実質的には問題となるケースは少ないと言えるとは思うものの、印象は良くないです。

レイトレーシングを考えるならやはりGeForceが強いので一択に近いと思いますが、レイトレーシング抜きで4K運用を考えるなら、少し高価でも「RX 7900 XT」の方がコスパは良くておすすめです。

期待したほどはコスパが良くはなく、価格も先代より高価なので評価が難しい

上述で軽く触れていますが、コスパと価格面は少し気になります。

誤解を招かないように先に言っておくと、前世代と比べるなら間違いなく良いです。「RTX 4070」は「RTX 3080」に近い性能を持ちながら、圧倒的に少ない消費電力で稼働するため、電気料金や電源費用の節約に貢献しますし、サイズもハイエンドGPUよりは小型なので、非常に扱いやすいです。

ですが、基本性能と価格だけ見れば、在庫処分価格となった後の「RTX 3080 10GB」や「RX 6800 XT」と実は大差ありません。値下がりが進めば若干有利とはなるものの、それでも格段に良いとまでは言えないレベルですから、「最新世代GPUはあらゆる面で格段に向上する」というのを期待していた消費者にとっては残念なのも事実かなと思います。

電力面の向上は素晴らしいですが、実際に使用している際には恩恵を感じにくい点なので、やはり評価が難しいです。「RTX 4070 Ti」以上であれば前世代の最上位GPU以上の性能を持っていましたから、使用感として最新GPUの恩恵を得ることができましたが、「RTX 4070」に関しては前世代でも同程度の性能のGPUが結構たくさんあるのも、優位性を見出しにくい点も理由の一つとしてあると思います。

発売時では最新世代GPUでは唯一の10万円以下のGPUになりますから売れるとは思うものの、今後より下位のGPUでもっとコスパの良いGPUが登場した場合には危うくなる可能性も考えられるのは、一応の注意点かなと思います。


といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。

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