NVIDIAが2025年1月7日(日本時間)、CES2025にて消費者向けGPU「GeForce RTX 50シリーズ」を発表しました。ノートPC向けも発表されましたが、本記事ではデスクトップ版について見ていきます。
概要についてざっくりと見ていきたいと思います。
要点ざっくり
- シリーズ共通(5090~5070)
- アーキテクチャ:Blackwell(Shaderコア)
- プロセスノード:TSMC 4NP(4nm)
- GDDR7採用
- 第4世代RTコア
- 第5世代Tensorコア(DLSS 4のマルチフレーム生成対応)
- DLSS 4
- 新機能「マルチフレーム生成」:フレームごとに最大3つのフレームを生成(第5世代Tensorコアから対応)
- 新フレーム生成モデルは40%高速化
- VRAM使用量が30%削減
- RTX 5090
- CUDAコア:21760
- VRAM:GDDR7 32GB, 512bit, 1792GB/s
- TBP:575W
- Tensorコア(AI):3352 AI TOPS
- 希望小売価格:1,999ドル
- 発売予定日:2025年1月30日
- RTX 5080
- CUDAコア:10752
- VRAM:GDDR7 16GB, 256bit
- TBP:360W
- Tensorコア(AI):1801 AI TOPS
- 希望小売価格:999ドル
- 発売予定日:2025年1月30日
- RTX 5070 Ti
- CUDAコア:8960
- VRAM:GDDR7 16GB, 256bit
- TBP:300W
- Tensorコア(AI):1406 AI TOPS
- 希望小売価格:749ドル
- 発売予定日:2025年2月
- RTX 5070
- CUDAコア:6144
- VRAM:GDDR7 12GB, 192bit
- TBP:250W
- Tensorコア(AI):988 AI TOPS
- 希望小売価格:549ドル
- 発売予定日:2025年2月
- RTX 4090の2倍の性能?(DLSS 4使用時の比較?)
基本スペック比較
発表された「GeForce RTX 50シリーズ」の各種仕様を、既存の「RTX 40シリーズ」と併せて載せています。価格は記事執筆時点(2025年1月7日)か、最後に公表されたときのものです。
ちなみに、従来はTensorコア(AI用)やRTコア(レイトレーシング用)についてはコア数で表していたものを、理論性能で表すようになりました。コア数の場合はコア性能が上がってもコア数が増えなければ性能が変わらないように見えるといった問題があった表記だったので、より分かり易くなったと思います。
GPU | 希望 小売価格 | GPU | VRAM | TBP | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
CUDAコア | Tensorコア (AI TOPS) | RTコア (TFLOPS) | クロック 最大(GHz) | 容量/タイプ | バス幅 | 帯域幅(GB/s) | |||
RTX 5090 | 1999ドル | 21760 | 3352 | 318 | 2.41 | 32GB GDDR7 | 512bit | 1792 | 575W |
RTX 4090 | 1599ドル | 16384 | 1321 | 191 | 2.52 | 24GB GDDR6X | 384bit | 1008 | 450W |
RTX 5080 | 999ドル | 10752 | 1801 | 171 | 2.62 | 16GB GDDR7 | 256bit | 960 | 360W |
RTX 4080 SUPER | 999ドル | 10240 | 836 | 121 | 2.55 | 16GB GDDR6X | 256bit | 736 | 320W |
RTX 5070 Ti | 749ドル | 8960 | 1406 | 133 | 2.45 | 16GB GDDR7 | 256bit | 896 | 300W |
RTX 4070 Ti SUPER | 799ドル | 8448 | 780 | 102 | 2.61 | 16GB GDDR6X | 256bit | 672 | 285W |
RTX 4070 SUPER | 599ドル | 7168 | 568 | 93 | 2.48 | 12GB GDDR6X | 192bit | 504 | 220W |
RTX 5070 | 549ドル | 6144 | 988 | 94 | 2.51 | 12GB GDDR7 | 192bit | 672 | 250W |
RTX 4070 | 549ドル | 5888 | 466 | 67 | 2.48 | 12GB GDDR6X 12GB GDDR6 | 192bit | 504 | 200W |
全体的な話
価格は思ったより良心的な印象
待望の「GeForce RTX 50シリーズ」です。この後に各GPU一つずつ触れていこうと思いますが、まずは全体的なところを軽く触れていこうかなと思います。
まず思ったのは、価格が思ったよりも良心的だなという点です。
既に公開されている国内での想定価格はそれぞれ、RTX 5090が393,800円~(1999ドル)、RTX 5080が198,800円~(999ドル)、RTX 5070 Tiが148,800円~(749ドル)、RTX 5070が108,800円~(549ドル)となっています。
AMDのRadeonがハイエンド製品を出さないのがほぼ決定的という話だったので、GeForceとしては多少高くても性能が高ければ売れるはずなので、やや強気な価格設定を覚悟していましたが、そうでもなかったです。コア数から見たベース価格は前世代とほぼ同等か少し安いくらいでした。
日本では円安がまた進んでいるせいで額面では高価になっていますし、発売当初は高価になりますし、世界的な需要も凄いと思うので、初動の実売価格は当面は高価な印象を受けるかもしれませんが、ベースは前世代と同水準なようです。
後に触れますが、個人的な考えとしては、前世代からのDLSS(Tensorコア)を利用しなかった場合の性能向上率は大体30%前後くらいだと踏んでいるので、高めの初動価格でもは価格の下がった前世代と比べてもコスパは同等以上程度になると思われます(あくまで予測です)。
また、いわゆる「アリバイ価格」的なものが最安値として置かれている可能性もありますが、それを考慮すると何も言えなくなってしまうので、本記事では考慮しません。
次に電力面ですが、こちらは前世代から大きくは向上していないのではないかと思います。
やはり一番の理由はプロセスノードが先代の4Nカスタム(5nm)から4NP(4nm)と向上が小さめっぽいことです。実際にTBPとコア数を見比べても、先代モデルからコア数やクロックが大きく変わらないモデルでも消費電力は少し増加していることが多く、少なくとも格段には良くなっていないのは確かな印象を受けます。
ただし、元々ワットパフォーマンスは非常に優れていて、現在でも十分一線級です。向上率が少しだったとしても非常に強力です。DLSS 4でマルチフレーム生成機能が追加されることもあり、実質的には電力も数値以上の改善を感じる可能性はあるので、詳しいことは登場後に見てみたいと思います。
最後に触れるのはVRAMです。こちらは少し残念だった点です。
先代モデルと比較して、全モデル帯域幅は向上しているものの、VRAM容量はRTX 5090以外は据え置きです。消費者目線として、RTX 5080の16GBとRTX 5070の12GBは特に増量して欲しかった部分でしたので、やはり残念ではあります。
DLSSのVRAM使用量が削減されたという話もありますし、マルチフレーム生成を利用してフレームレート上限を設定すればVRAMの最大使用量も格段に削減できるみたいな話もあるのかもしれませんが、現在ではGPUは主要ゲーム以外でも、生成AIやメタバースなど、DLSSが恐らく活かせない(もしくは活かすハードルが高い)用途での利用も広まっていますから、やはり素のVRAMがある方が安心だと思うので、その辺りの用途を考えている方は特に残念ではあったかなと感じます。
RTX 5070 = RTX 4090は疑わしい
発表では「RTX 5070はRTX 4090と同性能で549ドル」と主張するスライドが表示され、物議を醸しています。
しかし、上記の主張を裏付けるデータも示されませんでしたし、まぁ正直これは大分疑わしいです。
NVIDIAの公式のGPUスペック表を見ると、RTX 40シリーズまではCUDAコアの理論性能(TFLOPS)が明記されているのに、RTX 50シリーズのみ省略されているのも怪しく感じるポイントです(TensorコアやRTコアの理論性能は明記されてるのに)。
結論から言うと、「RTX 5070 = RTX 4090」は恐らくは今回発表されたDLSS 4のマルチフレーム生成込みでの比較だと思われます。DLSS 4のマルチフレーム生成は第5世代のTensorコアから対応する機能であり、RTX 4090では非対応なので、RTX 5070のみで適用されることになります。
技術的には大きなフレームレート向上効果が確かにありそうなので、一方のみで適用されればRTX 4090に追いつく可能性も確かにありそうな感じではありました。
とはいえ、ゲーム側の対応が必要なDLSSの最新機能を前提とした比較を前提として扱うのはちょっと微妙なところに感じます。多くの人が気にしているのはアップスケーリングを使用しなかった場合の基本の描写性能だと思います。
とはいえ、NVIDIAも全ての情報にDLSS 4を付随させている訳ではなく、公式ページでは先代モデルとの性能比較が、色んなケースで公開されています。そこでDLSS無しのレイトレーシング性能の比較があったので、それを参考にみてみます。RTX 5080とRTX 4080の比較が下記です。
一番左にRTのみの比較があり、DLSSが使用されていません。
レイトレーシング時の性能なので、ラスター性能では事情が少し変わってくるかもしれませんが、前世代までを見るとVRAMが大きくネックにならない限りは大きく性能の乖離は無かったような印象なので、ラスターでも似たような感じになるのではないかと思っています(あくまで予測です)。
これを見ると、大体30%~35%くらいの向上率となっています。RTX 5090~RTX 5070のどれを見ても大体同じくらいの向上率となっています。
なので、消費者が気になるであろうアップスケーリング無しの状態での先代モデルからの向上率としては、30%くらいというのが適切になるのではないかと思います。
また、RTX 5090以外の先代モデルとの価格差は、円安等を考慮しないベース価格ではほぼ据え置きに近いので、コスパも単純にそれだけアップする感じになると思います。
ただ、日本では円安問題があるのと、発売直後は高価な傾向がある点に注意です。また、需要が非常に高そうなので、従来よりも初動価格から価格が下がりにくそうな気配も感じられるので、どうなるかは実際の動向を見ていくしかなさそうです。
そして、ついでにコアあたりの性能向上率もざっくりと推測してみるために、まず比較された先代GPUとのCUDAコア数を比較してみると、全体的にRTX 50の方が少し多いです。
RTX 5090はかなり規格外なモデルなので除外させて貰うとして、他モデルを見ていくと、
CUDAコア数は、RTX 5080 と RTX 4080 だと約+11.5%、RTX 5070 Ti と RTX 4070 Ti だと約+16.7%、RTX 5070 と RTX 4070 だと約+4.3%となっています。
ブーストクロック差は、RTX 5080 と RTX 4080 だと約-0.8%、RTX 5070 Ti と RTX 4070 Ti だと約-6.5%、RTX 5070 と RTX 4070 だと約+1.2%とほぼ同等です。
まとめると、CUDAコアとクロックを考慮して大体10%前後くらいRTX 50の方がコアで優位性があることになり、これを最終的な性能差と思われる30%ちょっとくらいから差し引くと、大体20%強程度かなという感じです。
そのため、凄く雑な計算ですが、RTX 50でのコアあたりの性能向上率はおおよそ20%強程度で、プロセスも小さな向上だったのと、VRAM性能もRTX 5090以外は劇的には上がらなかったことをことを考慮し、コスト増加も小さめだったと仮定すると、フレームあたりのコスパ向上は大体15%~20%くらいの向上という感じになるのではないかと思っています(DLSS未使用時)。大きく見積もったとしても25%~30%程度かなと思います。
「RTX 5070 = RTX 4090」のインパクトからすると大分控えめな数値にはなりますが、さすがにそれを真に受ける人はほとんど居ないでしょうし、TensorコアのAI性能が大きく向上しており、DLSSやその他のAI処理では更に大きな向上を得られるのは事実ですから、仮に30%の向上でも十分に競争力のある仕上がりだと思います。
DLSS 4のマルチフレーム生成の向上率が凄まじいのでそこをアピールしたかったのと、DLSSの普及を進めたいNVIDIAの思惑から、疑問が大きい発表になったのかもしれませんが、色々と開示して具体的な比較を明示していたとしても十分高評価を得られるGPUシリーズだったと思います。
もしかしたら、どうせ発売が間近だから、投入まで色々考えてワクワクして欲しかった、という思惑があった可能性もあるかもしれませんが、出来ればPC初級者の人が気まぐれで見てもわかるくらいの内容にして欲しかったなというところでした。
それでは、前置きが長くなりましたが、各GPUについても軽く触れていこうと思います。
各モデルの所感
はじめに:好き放題書いているので、参考程度に
下記から、性能の推測なども含めて色々と好き放題書いてしまっていますが、結局のところは実製品を確かめるのが確実であり、発売までそこまで長くもないので、あくまで参考程度にして貰えると幸いです。
RTX 5090:高すぎる価格と消費電力だけど、コスト効率は良い
「RTX 5090」は、32GB VRAMや2万越えのCUDAコアを備えるなどの各種規格外の仕様を持つ、消費者向けとしてはあまりにもダントツすぎる性能のウルトラハイエンドGPUです。
VRAMは帯域幅も驚異の1792GB/sです。議論の余地のない消費者向け最強GPUです。
比較対象が居ないレベルのGPUですが、あえて分かり易く言えば、「RTX 5090」は基本的に「RTX 4090」からコアや価格が1.33倍程度になったモデルです。
電力が増えたりコアを増やし過ぎると、処理効率が悪くなったりボトルネックが発生しやすくなったりするので、実用性能や実用コスパ的にはマイナスになる可能性はあるものの、コスト基準でいえば悪くなっていません。
AMDのハイエンドが不在となる中でも強気な設定にしなかったのは好印象です。
希望小売価格は1999ドルで、国内想定価格は393,800円~です。凄まじい高価さですが、先代モデルのRTX 4090の約1.33倍のCUDAコアを備え、価格も約1.33倍なので、前述の通りコア数的にはコスパは維持しています。
また、NVIDIA公式によるTensorコアによるAI性能(TOPS)に関しては1.33倍どころではなく、2.54倍程度となっているので、AI分野ではコスパは非常に良いモデルとなっています。
RTX 5090だけではなくRTX 50シリーズは全てAI性能だけ凄まじい向上率の数値が記載されていますが、これが「RTX 5070 = RTX 4090」みたいな怪しい計算に基づくものでなければ、RTX 40シリーズは全て一瞬で過去のものになってしまう気がします。
また、地味にエンコーダーおよびデコーダーも増量されており、RTX 4090では「NVENC(第8世代)×2 + NVDEC(第5世代)×1」だったのが、RTX 5090では「NVENC(第9世代)×3 + NVDEC(第6世代)×2」となっており、価格上昇よりも大きく増量しているので、これだけ規格外な仕様ながら、コスト効率は良いGPUとなっています。
デメリットは価格と、やはり消費電力です。TBPは575Wとなっており、凄まじいです。物理仕様を見れば仕方ないかなという感じがしますが、「ホントに消費者向けか?」という疑問が残るGPUです。
長時間のAIとかゲーム向けで個人運用する場合には、必要に応じてフレームレート制限を付けるなど、何らかのパフォーマンス制限を上手く駆使しないと電気代がかなり増えそうです。
RTX 5080:非常に強力なハイエンドだけど、16GB VRAMが残念
「RTX 5080」は「RTX 5090」に次ぐハイエンドGPUですが、コア数などは半分程度になっているので性能差が非常に大きいです。とはいえ、それでも非常に高性能なハイエンドGPUです。
価格は「RTX 4080 SUPER」と同じ999ドル設定で、国内想定価格は約20万円~です。しかし、CUDAコア数は5%増えており、コスト効率はわずかに良くなっている印象ですし、クロックもわずかに向上しているので、先代よりラスター基本性能も30%以上アップしている可能性があります。
ただし、消費電力(TBP)は320W→360Wへと増加しています。性能向上率を考えればワットパフォーマンスこそ向上しているとは思いますが、この消費電力は個人PC向けとしては気になる点です。
また、VRAMは帯域は向上したものの容量は16GBのままなのが非常に残念です。RX 7800 XTなどは現在7万円台前半で16GB VRAMを搭載していたりすることもありますし、20万円で16GBはかなり渋いです。
基本性能が30%以上アップと仮定するなら「RTX 4090」を超える可能性もありますが、24GBと16GBの大きなVRAM容量差があるので、DLSS 4のマルチフレーム生成やAI性能を考慮しないなら、さすがにRTX 4090よりは少し落ちるかなという印象です。
8GBや12GBと違って実用面では問題になりにくい16GBなので評価が難しいところですが、生成AIやメタバースなどの最近利用が広まっている用途での基本VRAM使用量を考えると、超高価格GPUの優位性を誇示するためには20GBくらいは欲しかったなというところですね。
全体的に見て、魅力度的には「RTX 5070 Ti」の方が上に見えるのが本音です。
RTX 5070 Ti:特に人気になりそうな優れたコスパのハイエンド
「RTX 5070 Ti」は「RTX 5080」と同じVRAM容量16GBを備えつつ、大幅に安価なのが魅力のハイエンドGPUです。
両者は国内想定価格では約5万円(約+33%)の差がありますが、VRAM容量は同じで、CUDAコア数も+20%に留まっているので、コスパを考えると「RTX 5080」よりも「RTX 5070 Ti」の方が魅力的に見えます。
前世代の「RTX 4070 Ti SUPER」と比較してみると、CUDAコアは約6%増量しつつも、希望小売価格は50ドル安い749ドルに設定されています。
そのおかげで、従来では高価になる初動の想定価格も約148,800円~となっており、現在の「RTX 4070 Ti SUPER」の価格から+1.5万円~程度で済んでいます。
コスパは実性能次第ですが、具体的な性能を測るために、公式の「RTX 4070 Ti」との性能比較(1440pレイトレーシング時 / DLSS無し)を見てみます。すると、30%ちょっとくらいの優位性がありそうな感じとなっています。
となると、「RTX 4080 SUPER」を少し超える性能を持っていることになり、それでいて初動でも15万円弱~という価格はコスパが非常に良さそうです。
また、消費電力(TBP)も300Wとなっており、「RTX 4080 SUPER」の320Wよりも少し低いので、ワットパフォーマンスもやや向上しています。
DLSS 4のマルチフレーム生成にも対応し、AI理論性能も「RTX 4080 SUPER」の約1.68倍になっているらしいので、性能・価格・コスパのどれを見ても優位です。
「RTX 5090」も数値だけ見ればコスト効率は良さそうですが、価格と消費電力が規格外すぎて一般消費者の選択肢にはまず入らないことを考えると、初発モデルではこの「RTX 5070 Ti」が人気になりそうな予感がします。
しかし、人気すぎて品薄になったり、当面は初動よりも価格が上がる可能性も考えられるのが懸念点ですね。
NVIDIAが先んじてRTX 40のハイエンドモデル供給を減らしていたため、既存モデル「RTX 4070 Ti SUPER / RTX 4080 SUPER」の大幅値下げというのも以前よりも狙いにくいのも、抜かりないなという印象です。
どれだけ供給があるかによりますが、もし十分な供給量出なかった場合には安価なモデルは発売直後から少しの間は争奪戦必至…かもしれません。
発売直後の高価さや円安が多少落ち着けば13万円前後くらいにはなっても良い価格設定ではありますが、需要からしてそこに辿り着くのはいつになるか怪しい気がするGPUです。
RTX 5070:12GB VRAMが残念。適正価格なら良いので、価格が落ち着くまで待ちたい
「RTX 5070」は「RTX 4070」と同じ549ドルという高すぎない価格でハイエンドな処理にも対応できるのが魅力のアッパーミドルモデルです。ただし、既存モデル基準で言えば性能はハイエンドクラスです。
549ドル(RTX 4070と同額)という価格を考えればコスパは間違いなく良いのですが、初動の国内想定価格が11万円弱~(108,800円)となっており、その高価さではVRAMが12GBというのが特に気になるGPUです。
一部の重量級ゲームでは、レイトレーシング無しの1080pや1440pにおいてもVRAM容量は12GBでぎりぎりだったり若干不足するケースもありますし、重い生成AIなどでは不安が残る容量ですから、10万円超えでは不満が拭えない容量です。
フレーム生成で底上げできますとか、アップスケーリングのVRAM使用量が削減されたなどの事情があったとしても、追加でVRAMを要求される点は変わりませんから、VRAMが増えない限りは高解像度や次世代技術への対応力への不安は無くなりません。
基本性能の大幅アップのおかげでそもそもアップスケーリングやフレーム生成に頼らなくても大体のゲームで快適ということはあるのかもしれませんが、11万円クラスの費用を掛けて最新機能には我慢が必要というのは悲しいです。
もし仮に現在の「RTX 4070」と同じ8万円台中盤まで値下がりした場合には、非常に強力なコスパのアッパーミドルGPUになれるので、新世代のお得感を感じたいなら、できれば価格が落ち着くまで待ちたいGPUかなと思います。
とはいえ、初動価格でも現在の「RTX 4070 SUPER」と比較すれば価格差は小さく、同額ならもちろん優位に立てますので、すぐにPCが欲しいけど、「RTX 5070 Ti」が予算的に厳しいという場合には、前世代と比べるなら悪い選択肢ではないとは思います。
ということで、後回しになりましたが、ここから具体的な性能を考察していきます。
例(上の画像参照)によって「RTX 5070」のTensorコア無しでの性能を「RTX 4070」の約1.3倍と仮定するなら、「RTX 4070 SUPER」を10%前後上回る性能ということになります。
非常に強力な性能ではあるものの、初動の11万円弱~という価格と12GB VRAMを考えると、期待したほどではない感は否めないと思います。「RTX 5070 Ti」までと違い、Radeonでも競合のGPUが複数出てくる価格帯ということもあるので、頭一つ抜けた良さがないと魅力を感じにくいです。
消費電力(TBP)も250Wとなっており、「RTX 4070 SUPER」の220Wよりも10%ちょっと多く、「あれ?」と感じます。
「RTX 4070」との比較ならワットパフォーマンスでも少し上回っていることになりますし、「RTX 4070 SUPER」が前世代の中でも特に優れたワットパフォーマンスを発揮するGPUだったこともあるかもしれませんが、少し多めに見積もってもワットパフォーマンスは「RTX 4070 SUPER」より若干良いくらいにしかならなそうな設定な気がします。
「RTX 5080」と「RTX 5070 Ti」は先代モデルよりも11%~16%ほどのCUDAコアの増加を得ていましたが、「RTX 5070」は「RTX 4070」と比べてもわずか4.3%しかCUDAコアが増量されていないなど、VRAMだけでなくコアでもちょっと不遇に見える部分が垣間見えたりするので、その影響もあるかもしれません。
AI性能の大幅アップの点や、DLSS 4のマルチフレーム生成対応の点があるので、「RTX 4070 SUPER」と大差ないと一概には言えないものの、現状の一般的なゲーマーの使い方としてはほとんど差が出なさそうなのも事実なので、DLSSやAIでガッツリ使う訳では無い方は、飛びつくほどの仕上がりではないとは思うので、価格が落ち着くまでゆっくり待ちたいGPUという印象です。