パソコン(パーソナルコンピュータ)とは、個人で使用されるコンピュータのことです。PC(ピーシー)などとも略されます。本記事では、そのパソコンの種類についてざっくりと特徴などを解説しています。ただし、パソコンの種類は細かい部分は明確な定義が無い部分も多く、種類分けの境界がやや曖昧になっている部分もあります。そのため、独自解釈の面も多少あるため、ご了承ください。
デスクトップ
デスクトップ(卓上型)は、名前の通り机などの台の上に置いて利用するものを指します。ただし現在では、普通の机では上に置けないような大きくて重いタイプのものもあり、個人用の据え置き型のPCを広くデスクトップと呼ぶようになっています。また余談ですが、昔の「デスクトップ」とは、机の上に本体を横向きに置きディスプレイを上に置いて利用するものの呼称でしたが、現在ではその意味合いは薄れています。
タワー型
良い点
- 拡張性が高い
- メンテナンスがしやすい
- 大型の高性能なパーツを使用できる
- 寿命が長い
悪い点
- サイズが大きいため、それなりの設置スペースが必要で移動は難しい
- ディスプレイの用意が必須
ディスプレイやキーボードと一体化しておらず、箱型の形状でサイズの大きいものを、タワー型と呼びます。サイズや形状により更に「フルタワー」や「ミニタワー」など分けられている場合もあります。具体的なサイズ感としては、幅15cm~25cm、高さ30cm~40cm、奥行き40cm~50cm程度となっています。
サイズが大きいので、拡張性、メンテナンス性、通気性などに優れています。内部スペースに余裕があり通気性に優れるのは、PCの天敵である熱の各パーツへの影響が抑えられるため、寿命も他タイプと比べて長めです。性能面でも寿命面でも、長期的な利用に最も向いています。また、使用できるパーツが幅広く、平均的な性能はデスクトップの中でも高いです。大型で高性能なグラフィックボード等の高性能なパーツを利用できるのは、タワー型の大きな魅力です。
ただし、サイズが大きいので、設置のスペースが必要となります。
省スペース型
良い点
- 設置スペースが少なくて済む
- 比較的安価
悪い点
- 内部拡張性に乏しい
- 大型のパーツは使用できない事も多い
- ディスプレイの用意が必須
ディスプレイやキーボードと一体化しておらず、本体サイズの小さいものは省スペース型などと呼ばれます。筐体のサイズが小さいので内部の拡張性は低いです。グラフィックボード等の大きな増設パーツは、小型なものは搭載できる場合もありますが、基本的にはできないと考えた方が良いです。
ただし、タワー型より設置スペースが少なくて済み、ケースやマザーボード等も小型な分、逆に安価なものが採用されている場合が多いので、性能の割に安価である事が多く、CPUの処理性能比でのコスパは良いです。
省スペース型のパソコンの中でも少し特殊なもので、 NUC(Next Unit of Computing)というものがあります。手のひらに乗るような超小型PCで持ち運びが簡単です。性能自体は通常のデスクトップパソコンと比べると当然低いですが、大きさの割には高性能です。参考までに触れておきます。
液晶一体型
良い点
- 設置スペースが必要無い
- 必須の周辺機器が一通り揃っている
- ディスプレイ持っていない場合、初期費用が安い
悪い点
- 拡張性が皆無
- ノートPC用のパーツが使われている場合も多く、性能が低い
- トラブル時の対応が面倒
液晶画面(ディスプレイ)とパソコン本体が一体となっているタイプです。iMacなどが代表的。必須である画面に本体が内蔵されているため、パソコン自体の設置スペースが必要ありません。配線の数も減るので、パソコン周りがスッキリしてオシャレな印象を与えてくれる他、掃除も少し楽になります。
ただし、デスクトップPCでありながら、ノートパソコン向けのパーツなどが採用されている場合も多く、デスクトップの他形状のものと比べると性能は低いです。拡張性も低く、大型の内蔵パーツなどは使えません。本体の純粋な性能比のコスパは、通常のデスクトップパソコンより悪いです。
ディスプレイが別途必要な他タイプのデスクトップと比較すると、総合的なコスパではやや優位とはなりますが、液晶一体型のディスプレイは使い回したりする事は基本できないのに対し、単体ディスプレイであれば使い回しはもちろん、他の用途にも使い易いので、長期的な目線で考えると良いとは言い難いです。
また、何らかのハードウェアトラブルが発生した際に少し面倒です。他のデスクトップだと故障したパーツが特定出来れば、市販パーツを購入し対応する事も可能ですが、液晶一体型はメーカー毎の独自形状のパーツを利用している場合も多く、ディスプレイも含めPC本体全てを修理に出さなければいけない可能性も高いです。
ディスプレイやキーボード、マウス等の周辺機器を一切持っていない人にとってはコスパは良いですし、設置スペースもかなり節約できますが、デメリットも結構多いため、検討する場合は慎重になる事をおすすめします。
ノートパソコン【ラップトップ】
ノートパソコン(ラップトップ)は、パソコン本体、ディスプレイ、キーボードが一体となっているものを指します。また、持ち運んで使える様に基本的にバッテリーを搭載しています。
クラムシェル型(普通のタイプ)
良い点
- 画面が大きい
- 性能が幅広い
- コスパが良い
悪い点
- 持ち運ぶものとしては大きめで重い
画面とキーボードと一体になっている以外は目立った特徴のないオーソドックスなタイプのノートパソコンです。画面サイズは11.6インチ~15.6インチ程度が主流。15.6インチより大きい17インチなどのものもあり、大きいタイプはゲーミングノート(ゲーム用に特化した高性能ノートパソコン)などによく採用されます。この普通のタイプのノートパソコンは「クラムシェル型」と呼ばれます。ただし、クラムシェル型という呼び方はあまり浸透はしていない気がします。
ノートパソコンの中では最もサイズが大きく重いタイプで、持ち運び用としてはやや不便さが残ります。ただし、ノートパソコンの中では平均性能は最も高く、幅広い性能の製品が揃っているため、選択肢が多いです。基本据え置きだけど、たまに持ち運びたいという人に向いています。
2 in 1(キーボードが裏返るタイプ)
良い点
- タッチパネル搭載で、タブレットPCとしても使える
- タブレットとしては性能が高い
悪い点
- 価格が高い
- タブレットとしては重い
2 in 1 PCとは、ノートパソコンとタブレットPCの両方の機能を備えたPCのことを指します。ヒンジが360°回転しキーボードが裏返るタイプは、コンバーチブルタイプと呼ばれます。キーボードを離脱させる事ができず、タブレットとしては嵩張るし重量も重いため、メインはノートパソコンとして使用し、場合によってタブレットとして使う形を想定しているタイプ。そのため、本記事ではコンバーチブルタイプはノートパソコンとして分類しています。
かなり特殊なタイプに見えて、普通のノートパソコンとの違いは、タッチパネルを搭載している点と、画面が360度回転する点ぐらい。タブレットメインの端末ではないものの、軽量化にも力を入れている場合が多く、持ち運びにも向いています。
また、通常のタブレットはCPUはスマートフォンなどと同じものを採用しているものが多く、性能が低いのに対し、コンバーチブルタイプの2 in 1 PCは、通常のタブレットより高い性能を備えていながらタブレットとしても使える点が魅力です。
2 in 1タイプのPCは、このコンバーチブルタイプの他に、キーボードが着脱可能なタイプがあります(詳しくは後述)。
ネットブック
良い点
- 小型で軽量
- 安価
悪い点
- ノートパソコンとしては性能が低い
- スマホよりは重くて大きいので、外で気軽には使えない
ネットブックは、7~11インチ程度の小型の画面のノートパソコンを指します。まだスマートフォンが普及していなかった頃に、外出時にも気軽にWebブラウジングが出来る端末として一時流行した。消費電力の非常に少ない省電力CPUを搭載し、光学ドライブなども省略しているなど、持ち運びに特化している。現在はスマートフォンやタブレットPCの台頭による需要が激減し、ほとんど見掛けなくなりました。
タブレット
タブレット(タブレットPC)は、タッチパネルを搭載する板状のパソコンを指します。厳密には、モバイル端末用のOS(AndroidやiOS)がインストールされているものを単純にタブレットと呼び、パソコン用のOSがインストールされているものをタブレットPCと呼ぶとされていますが、デバイスとしては正直わざわざ分けるほどの差がないので、本記事では同類の端末として扱います。
タブレット(普通のタイプ)
良い点
- 小型で軽量
- タッチパネル搭載
- 安価
悪い点
- 性能は高くないものが多い
- 画面が小さい
- 物理キーボードが付属しない
最も一般的なタブレットです。画面サイズが7~10インチ程度と小型でタッチパネルを搭載している板状の端末で、物理キーボードが一体化していないものを指します。iPadなどが代表的です。
見た目は画面のみとなっており、操作はほぼ全てタッチで行います。気軽に持ち出して使用する事が想定されているため、軽量かつ省電力なことが意識されています。画面以外の各種パーツや使用はスマートフォンなどとほぼ同じなため、性能はさほど高くなく、スマートフォンは誰でも持っている事が基本で、サブ機としての利用が主になるため、高性能なモデルは少なく、ノートパソコンなどと比較すると性能は大幅に劣ります。大きいスマートフォンという表現が最も分かり易く適切だと思います。
2 in 1 (キーボードが着脱可能なタイプ)
良い点
- ノートパソコン・タブレットどちらとしても使える
悪い点
- 価格が高い
- 価格の割には性能がやや低い
- キーボード使用時にたわむ
2 in 1 PCとは、ノートパソコンとタブレットPCの両方の機能を備えたPCのことを指します。このキーボードが着脱可能なタイプは、ピュアタブレットもしくはセパレートタイプなどと呼ばれます。Surfaceなどが代表的です。画面サイズは10~13インチ程度が主流。物理キーボードが脱着可能な以外は、普通のタブレットとの違いは基本的にありません。そのため、本記事ではタブレットとして分類しています。
キーボードを外すと通常のタブレットとして、キーボードを装着すると通常のノートPCとして、それぞれ通常の端末として利用する事ができます。その汎用性の高さが魅力。ただし、キーボードを装着時に下に空間ができるものが多く、タイピング時にたわみを感じます。
ただし、基本的に通常のタブレットと同じ仕様ながら、通常のノートパソコンとして使う事も想定されているため、タブレットとしては性能のハードルが高く設定されている事が多いのか、高性能なCPUが搭載される事が多いため、平均価格が高いです。また、その機能性の高さから、価格の割には基本性能が低くなってしまっている事が多いです。
スマートフォン
PCと携帯電話の分類の境界が難しいのが「スマートフォン」です。ただし、個人用の汎用コンピュータという点では間違いなくPCではありますし、画面サイズ以外の機能面ではタブレットとほぼ変わらないので、本記事ではPCの一種として分類しています。タブレットとの違いは、通話機能(SIM利用可能)が確実に付いている点くらい。
良い点
- 携帯性が非常に高い
- 手で持ちながらの使用も苦ではない
- 携帯電話として使える(通話、SIMカード利用可能)
- 高性能なカメラを搭載
悪い点
- 画面サイズが小さい
- 価格の割には処理性能は良くない(コスパは良くない)
画面サイズが4~6.5インチ程度で、通話とSIMカード利用機能を備えた板状の端末をスマートフォンと呼びます。形状と機能については、特に詳しい説明はいらないですね。
PCというよりは携帯電話という印象が強いスマートフォンですが、個人用の汎用コンピュータなのでPCの一種と言えます。画面サイズと通話機能とSIMカード利用が可能という点を除けば、性能も用途もタブレットとの違いは大きくありません。
小型軽量のため、携帯が高く片手での使用も苦ではない点は非常に魅力的です。また、基本的に画素数が多く高性能なカメラを搭載しており、ただのカメラとしても質は高いです。他にも、防水・防塵、Felica(おサイフケータイ)、ワンセグ・フルセグ、ハイレゾなどなど、標準でさまざまな機能を備えている端末が多く、機能性が高さも特徴の一つです。ただし、その小型さと高機能さゆえに、弱点も抱えています。
まず、画面サイズは当然小さくなるため、視覚的に一度に表現できる量に限度があります。一般的な事務作業等をこなすのは、不可能ではないですが効率は良くありません。
また、スマートフォンをPCとして見ると、価格の割には処理性能は良くありません。スマートフォンのハイエンド(超高性能)端末は10万円前後あたりが主流かと思いますが、ノートパソコンであれば、6万円前後あればCPU性能、GPU性能、RAM容量、ストレージ容量全てにおいてそれを上回るものを購入する事が可能です(2019年10月下旬時点)。スマートフォンは、機能の数ではノートパソコンより基本上ですし、小型なので致し方ない部分ではあるのですが、基本スペックのコスパはPCの中では悪いです。
ファブレット(Phablet)とは、「フォン(Phone)」と「タブレット(Tablet)」を合わせた造語で、スマートフォンとタブレットの中間くらいのサイズの端末を指します。大体6~7インチ程度。明確な定義はないので、現在はあまり使われる事もない言葉ですが、近年主流スマートフォンのサイズがどんどん大型化しているので、もしかしたらよく聞くようになるかもしれない。
ざっくりまとめ
最後に、各PCの種類をざっくりとまとめたものを載せています。
- タワー型性能の高さを求めるならこれ一択。ディスプレイ別途必須。本体サイズが大きく設置スペースが必要だが、拡張性が高く大型な高性能なグラフィックボードなども搭載可能。
- 省スペースタワー型よりは小さく設置スペースが少なく済む。ディスプレイ別途必須。拡張性に乏しいが、価格は安くコスパは良い
- 液晶一体型iMacが代表的。本体設置スペースが必要無いので周りがスッキリする。ディスプレイ等の必須の周辺機器が標準で揃っており、事前用意が無い場合のコスパが良い。ただし、拡張性は乏しく、ノートPC用のパーツが使われている事も多く性能はデスクトップとしては低い。トラブル時の対応もやや面倒。
- 一般的なノートパソコン画面サイズ11.6~15.6インチ程度の普通のノートパソコン。気軽に持ち運ぶには重くて大きいため携帯性は低いが、モバイル端末としては画面が大きくて見易く、性能も幅広くコスパが良い。
- 2 in 1(コンバーチブル:キーボードが裏返るタイプ)タッチパネル搭載で、ノートPCとタブレットの機能を兼ね備えている。キーボードが裏返るコンバーチブルタイプは、純粋なタブレット端末としては重いため、ノートPCとしてメインとして利用し、必要に応じてタブレットとして使う感じになる。
- ネットブック画面サイズ7~11インチ程度の小型のノートパソコン。スマホが普及する前に、外で気軽にネットを使えるように考案されたもので、現在では廃れている。
- 一般的なタブレット画面サイズ7~10インチ程度のタッチパネル搭載の板状の端末。iPadが代表的。安価で性能は高くないものが多い。
- 2 in 1(セパレート:キーボード脱着可能なタイプ)Surfaceが代表的。基本的にはタブレットとほぼ同じ仕様で、脱着可能な物理キーボードが使用できるものを指す。ピュアタブレット型などとも呼ばれる。通常のノートパソコンとしての用途も視野に入れられているため、性能のハードルがやや高く、高価なものが多い。
- スマートフォン特に説明もいらなさそう。分類としてはPCの一種でもある。携帯性が非常に高く、高性能カメラをはじめ、多数の機能を備えている。画面サイズは小さいので、事務作業などには向かず、価格の割には処理性能自体は低い。
記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。