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ゲームにおけるアップスケーリング技術と、主要なものについてざっくり解説です。また、正確には別の技術ですが、「フレーム生成」についても併せて取り扱っています。
本記事の内容は記事更新時点(2026年5月15日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
アップスケーリング(超解像)技術とは?
アップスケーリング(超解像)技術とは、映像を元の解像度(画素数)より高い解像度へと変換することを指します。ゲームでいうと、低解像度でまずレンダリングし、それを元に高い解像度の映像にして出力する技術のことです。これにより、ネイティブ解像度で処理するよりも圧倒的に処理量を減らすことができるため、フレームレートの向上をはじめ、単純なGPU負荷の軽減や発熱・消費電力の削減に繋がります。
例を挙げると、アップスケーリングで4K(3840×2160)を出力するとして、元の用いるのがFHD(1920×1080)なら、実際の描写量はネイティブ4Kのわずか25%(4分の1)で済みます。実際にはアップスケーリング処理やアップスケーリングしない部分などが出てくる場合もあるので多少処理は増加しますが、ネイティブ解像度のままよりは圧倒的に処理を減らすことが可能になります。
また余談ですが、アップスケーリングは、日本だと漢字で超解像技術や高解像技術などとも呼ばれる他、アップコンバートなどとも呼ばれることがあります。基本的にはどれも指していることは同じです。元々はアップスケーリングは単純に引き伸ばして拡大するものを指し、自然にするための補正処理などを行う場合にはアップコンバートと呼んでいたようですが、今では総じてアップスケーリングや超解像技術と呼ばれることが多いです。
フレーム生成とは?
フレーム生成とは、ネイティブで作ったフレームとフレームを比較して、中間フレームを生成して挿入することでフレームレート向上を目指す技術です。AIなどを活用することが多いです。
主要技術まとめ
アップスケーリングは明確な定義がある訳でなく、「低い解像度の画像を高い解像度のものへと変換する」技術を指します。過程や方法などは特に決められていないので、さまざまな種類の技術が次々へと登場しており、正直わかりにくいです。本記事は、その乱立するアップスケーリング技術の備忘録ということも兼ねて作成しています。
下記から、2026年5月時点で主要なアップスケーリング技術として有名なものをざっくりまとめています。
簡易比較表
まずは各技術の簡易比較表を載せた後、各技術についてざっくりと触れていきます。
| 名前 | 提供 | ゲーム側の対応 | 専用コア等 | 対応GPU |
|---|---|---|---|---|
| Auto SR (自動スーパー解像度) |
Microsoft | 不要 | 必要 ※NPU |
※GPUではなくNPUで対応 Copilot+ PC |
| DLSS | NVIDIA | 必要 | 必要 | GeForce RTX シリーズ ※世代によって機能が制限される場合あり |
| FSR | AMD | 必要 | 不要 ※一部機能では必要 |
Radeon 400 以降 GeForce 10 以降 ※世代によって機能が制限される場合あり |
| AFMF | AMD | 不要 | 不要 | Radeon RX 6000 以降 |
| NIS | NVIDIA | 不要 ※他社製GPUの場合必要 |
不要 | GeForce 900 以降(GTX 750 / GTX 750 Ti 含む) Radeon ※ゲーム側の対応が必要 |
| RSR | AMD | 不要 | 不要 | Radeon 5000 以降 |
| XeSS (XMX) |
Intel | 必要? | 必要 | XMX搭載 Xe GPU |
| XeSS (DP4a) |
Intel | 必要 | 不要 | Intel Xe 以降 GeForce 10シリーズ以降 Radeon 6000 以降 |
自動スーパー解像度(Auto SR)
- AIによるアップスケーリング
- Windowsに統合されているため手軽に使えて低遅延
- ゲーム側の対応が必要ない
- NPUによる対応
- NPUが必要(40TOPS以上)
- HDRと併用できない
自動スーパー解像度(Auto SR:Automatic Super Resolution)は、MicroSoftが2024年6月に発表した、AIによるアップスケーリング技術です。GPUではなくNPUで対応する機能となっています。
2026年5月時点では対応できるデバイスがかなり限られていますが、WindowsというOS自体の機能となっています。
そのため、GPUメーカーにも囚われない上、ゲーム側の対応が必要ない(API要件はあるけど)ため、非常に手軽に使えるのがメリットです。
主要な機能とは言えませんが、少し対応範囲が広がる気配もあるので、今後に期待したい機能です。
機能自体の話に映りますが、自動スーパー解像度は、Windowsに統合・NPUで処理という二つの点が非常に大きな強みです。
他メーカーのアップスケーリングはドライバやゲームを介するため、遅延の解消が大きな課題となっていますが、OS層で機能する自動スーパー解像度はその問題のハードルが低いです。
また、NPUというGPUとは別ユニットで処理するのも大きな強みです。
GPUでアップスケーリング処理を行う場合にはGPUのメモリや電力を一部奪ってしまう形になります。結果として、ベースフレームを生み出すためのパフォーマンスがわずかに低下してしまうというデメリットが存在しますが、NPUではこの問題が発生しません。
NPUでは専用のSRAMが搭載されており独立して稼働できるため、GPUのメモリを奪いませんし、別チップに存在するため消費電力への影響もありません。
別ユニットに存在するNPUをGPUと深く連携して使うにはOSとの結びつきが非常に重要なので、Microsoftでしか実現できないアップスケーリングです。
OSの標準機能ということで、「おまけみたいなもので、GPUメーカーの専用機能の方が上なのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、アップスケーリング機能のみでいえば全くそんなことはない点は留意しておきましょう。
質やfps向上率についてはこれから調べていく必要がありますが、汎用性はものすごく高くて便利なのは間違いありません。
NPU搭載PCが主流となり次第、Auto SRがアップスケーリングのスタンダードになっていきそうな予感がします。
DLSS(Deep Learning Super Sampling)
- AIを利用した過去フレームも参照する質の高いアップスケーリング
- フレーム生成機能(DLSS 3 / RTX 40 以降)
- マルチフレーム生成機能( DLSS 4 / RTX 50 以降)
- GeForce RTX シリーズでしか使えない(Tensorコアが必要)
- ゲーム側の対応が必要
DLSS(Deep Learning Super Sampling)は、NVIDIAが提供しているアップスケーリング技術です。利用には専用のコアのTensorコアが必要となるため、同社のGeForce RTX シリーズ限定の機能となります。
名前にも含まれている通り、深層学習(ディープラーニング)を利用した技術となっており、AIを用いて膨大な量のゲーム画面のサンプルを学習して集めた学習データを使ってアップスケーリングを行う技術になります。また、使用フレームは現在のものだけでなく過去のフレームも含んでいることも特徴です。
シンプルなアップスケーリングではなくAIや過去のフレームなども利用した高度なアップスケーリングであるため、画質の評価が高いです。
また、DLSS 3では全く新しいフレームを生成する「フレーム生成」機能が追加され、更に大幅なフレームレート向上や負荷軽減に大きく貢献することが可能になりました。フレーム生成機能の利用はRTX 40シリーズ以降のみ(第4世代以降のTensorコアが必要なため)となっているため、限定的ではありますが、非常に魅力的です。
更に、DLSS 4ではAIを大きく活用した「マルチフレーム生成」という機能も追加されました。これにより、一つのフレームから一度に複数のフレーム(発表時には最大3フレーム)を生成することが可能となり、フレームレートを飛躍的に向上させます。
マルチフレーム生成機能の利用は2025年1月時点ではRTX 50シリーズのみとされていますが、低価格帯のGPUでも重量級ゲームを快適にプレイできるレベルの技術なので、非常に魅力的です。
また、それだけでなく、フレーム生成モデルの改善で基本のアップスケーリング性能も40%高速化され、VRAM使用量も30%削減されたと謳っています。こちらについてはRTX 50以降でなくても恩恵を得られるらしいので、様々な面でとてつもない向上率を感じるのがDLSS 4となっています。
このように、質の面では非常に優秀なDLSSですが、弱点はやはり汎用性です。GeForce RTXシリーズに搭載される「Tensorコア」が必要なので、他社製のGPUでは利用出来ない上、専用コアを搭載するとGPU側も多少のコスト増加が予想されます。
また、ゲーム側の対応も必要となります。後述のFSRなら他GPUでも利用できますし、最新のPlay StationとXboxのGPUがAMD(2025年1月時点)なので、そちらへの対応が優先されやすい可能性があります。
現状はNVIDIA製のGPUにシェアが高いためにDLSSを導入しているゲームも多いですが、その使用率の高さが前提の技術になっているかなと思います。
とはいえ、アップスケーリングの性能という点に関しては現状(2025年1月時点)では1番と言えると思いますし、負荷に関してもマルチフレーム生成を考慮すれば間違いなく一番なので、利用できるなら是非利用したい、優秀なアップスケーリングがDLSSです。
FSR(FidelityFX Super Resolution)
- 専用コア等が必要ない
- 他社製GPUでも利用できる
- FSR 3からフレーム生成機能追加
- FSR 4からの機能はAIベース
- ゲーム側の対応が必要
- シンプルなアップスケーリングなので画質の評価は低い
FSR(FidelityFX Super Resolution)は、AMDの提供するアップスケーリング技術です。AMDがオープンソースで提供しているツール「AMD Fidelity FX」の一つの機能となっています。NVIDIAのDLSSとよく比較されます。
FSR 3まではDLSSと違い専用コアなどが必要ないため、AMD製以外のGPUでも利用することができるのが強みです。
また、対応GPUはやや古めのものまで含まれており、幅広いGPUへ対応できます。ゲーム側の対応は必要なものの、汎用性には優れていると思います。
ただし、DLSSに画質では劣っているという評価を受けることが多いのが懸念点です。
ですが、導入の要件が厳しくない上にオープンソースということも大きいのか、DLSSのより後に登場したにも関わらず、FSRのみサポートしているゲームも多い印象で、画質の面は思ったよりもネックになっていないかもしれません。
また、FSR 3からはフレーム生成機能が追加され、フレームレート向上率が上がりました。特に低性能なGPUを利用している人には嬉しいです。
更に、「FSR 4」以降では機械学習ベース(AI)のアルゴリズムが導入され、弱点だった不自然な描写や画質が大きく改善されました。
発表当初はFP8が必須の機能のため、RX 9000(RDNA 4)以降のみでの対応となる見込みでしたが、
2026年5月の発表にて、FSR 4.1ではINT8への最適化を行ったことで、「RDNA 3 / RDNA 2(RX 7000 / RX 6000 等)」での対応がされることも決定しました。
FSR 3の汎用性は残しつつ、AMDユーザーには幅広くAIベースの質の高いアップスケーリングも提供できるようになったので、2026年時点ではかなり対応力も広く使い勝手の良いものになったと思います。
AFMF(AMD Fluid Motion Frames)
- ドライバ動作のため手軽で簡単に使える
- 専用コア等が必要ない
- ゲーム側の対応が必要ない
- AMD製GPU限定(RX 6000シリーズ以降)
- 操作可能フレームは元フレーム依存
- シンプルなフレーム生成なので、画質や不自然な描写が懸念点
- 瞬発力が必要なゲームには不向き(対戦・シューティング系のゲームなど)
AFMF(AMD Fluid Motion Frames)は、AMD製GPUで利用できるドライバレベルで動作するフレーム生成技術です。
利用できるGPUは「Radeon RX 6000シリーズ(RDNA 2)」以降となっており、AMD製のGPUなら結構前のものから対応しています。
正確にはアップスケーリングではありませんが、fps底上げ技術としては触れておきたいので、参考として掲載しています。
AFMFの大きな強みは、ドライバ動作なので専用コアやゲーム側の対応が必要ない点です。
垂直同期をオフにして、ドライバソフトから有効にするだけで、すぐに基本どのゲームでも使えます。非常に使い勝手が良いです。
簡単に動作できる理由は、非常にシンプルなフレーム生成だからです。前フレームと現在フレームを比較して、補完フレームを生成します。
デメリットとしては、操作フレームが元フレームに依存する点と、画質やノイズの懸念です。
特に大きいのは、操作フレームです。補完フレームを生成して見た目は滑らかにしますが、これはドライバ側から後付けで表示しているだけです。
マウスやキーボードの入力が反映されるのは元フレームだけなので、表示フレームとの差異が生じ、操作のネバつきのようなものを感じる可能性があります。
そのため、瞬発力が必要な対戦ゲームには不向きという点は留意しておく必要があります。
また、画質やノイズの問題もあります。
フレームレートが低かったり動きが激しく、連続したフレーム間での映像の差異が大きい場合、AFMFはフレーム生成を一時停止したり、補完フレームの質が落ちるケースがあります。
AIを使ったりゲームを連携する機能よりも動作や質が不安定になるのはどうしようもない機能となっています。
やや注意点はあるものの、非常に手軽にフレームレートを底上げできる機能なのでAMD GPUユーザーは覚えておきたいです。
NIS(NVIDIA Image Scaling)
- ドライバ動作のため手軽で簡単に使える
- 専用コア等が必要ない
- GeForceならゲーム側の対応も必要ない
- GeForce以外はゲーム側の対応が必要
- シンプルなアップスケーリングなので画質の評価は低い
- ゲーム側が対応していない場合、HUD(UI等)がぼやける可能性がある
- キャプチャするとスケーリング前の映像を取得してしまう可能性がある
NIS(NVIDIA Image Scaling and Sharpning)は、NVIDIAが提供する超解像フィルター(アップスケーラー)です。RSRやAFMFと同様の単純なアップスケーリングとなるため、画質はDLSSより劣る点に注意。
ドライバでサポートする機能のため、DLSSと違い専用のコアは必要なく、RTX以外でもGeForce 900番台以降(GTX 750 / 750 Ti を含む)なら、利用することができます。また、対応のGeForceならゲーム側の対応も必要ないので使い勝手が良いのが特徴です。ただし、NVIDIAのドライバに付属する機能のため、基本GeForce専用の機能という点には注意です。とはいえ、ゲーミングPCではGeForceのシェアが圧倒的に多いので、ほとんどのゲーミングPCユーザーにとっては最も手軽に利用できるアップスケーリングと言えると思います。
一応、「NVIDIA Image Scaling SDK」と呼ばれるNISの超解像フィルターをオープンソース化したものをゲームに組み込むことで他社製GPUでも使えるらしいですが、対抗のAMD製GPU側でもドライバ動作のアップスケーリング機能がありますし、PS5等のCS機ではAMD製GPUの採用が多いので、ゲームで対応するならAMDのFSRで良いじゃんという話になるので、わざわざNISを優先して対応させるメリットは正直感じられません。なので、個別のゲーム対応はあまりなさそうな気がします。
また、機能面での弱点として、1つ目にNISの仕様上、映像のキャプチャーをした際にスケーリング後の映像が得られない場合があります。(カーネルレベルで動作するかららしい)。たとえば、4KディスプレイでFHDを4Kにアップスケーリングして表示している場合、システム的に利用しているのはFHD映像なので、表示されている4K映像では無く元のFHD映像を参照してしまうという感じだと思われます。
2つ目は、NISに非対応のゲームではHUD(HPバーやアイテム欄などのUI部分)に対してもフィルターが掛かってしまうため、文字や輪郭がぼやけたりする可能性がある点です。これはNISに限らず、ドライバレベルで動作するアップスケーリングの課題です。ゲーム側が対応していれば良い話ですが、前述の通りNISのゲーム側の対応率はあまり高くならないと思うので、HUDにも影響が出てしまうゲームが多いのかなと思います。
RSR(Radeon Super Resolution)
- ドライバ動作のため手軽で簡単に使える
- ゲーム側の対応が必要ない
- 専用コア等が必要ない
- Radeon 5000番台以降でしか使えない
- シンプルなアップスケーリングなので画質の評価は低い
- HUD(UI等)がぼやける可能性がある
RSR(Radeon Super Resolution)は、AMDが提供するアップスケーリング機能です。
ドライバーレベルで機能するため専用コア等の必要はなく、ゲーム側の対応も必要ありません。汎用性を意識した仕様になっています。ただし、ドライバーで対応するためAMD製のRadeon専用の機能となります。
また、HUD(HPバーやアイテム欄などのUI部分)に対してもフィルターが掛かってしまうため、文字や輪郭がぼやけたりする可能性がある点も弱点です。
XeSS(Xe Super Sampling)
- AIを利用した過去フレームも参照する質の高いアップスケーリング
- 他社製GPUでも利用可能(DP4aをサポートしているGPU)
- フレーム生成機能(2倍のフレーム/ XeSS 2 以降)
- マルチフレーム生成機能(3~4倍のフレーム / XeSS 3 以降)
- 他社製GPUでも一部機能対応
- ゲーム側の対応が必要
- 魅力的な機能の多くはIntel GPU(XMX搭載)限定
XeSS(Xe Super Sampling)はIntelが提供するアップスケーリング技術です。
DLSSと同様にAIによる機械学習による学習データを利用し、過去のフレームも使用し、XMXアクセラレータ(AIエンジン)で高速化して処理を行います(XMX搭載のIntel GPUの場合)。
また、XeSS 2からフレーム生成にも対応しています。XeSS 3ではマルチフレーム生成にも対応しています。
後発ながら、かなりのスピード感でFSRやDLSSとの明確な機能差が無いレベルに達しました。
とはいえ、後発でIntel GPU限定ならDLSSに敵わないように見えるのがXeSSだと思います。
しかし、実は他社製GPUでも使えるのがXeSSの強みです。実はXeSSは2つの種類があり、DP4a版なら専用のハードウェア(XMXアクセラレータ)が無くても機能させることが出来ます。DP4a命令をサポートするGPUならIntel製以外のGPUでも対応が可能となっています。
フレーム生成機能などの特に魅力的な機能はIntel製GPU(XMX搭載 / Xe以降のみ)の対応となる点は注意が必要なものの、DLSSと違って完全に自社製GPUに限定されている訳ではないため、一応汎用性では上回ります。
ただし、デメリットとしては、DLSSと同様にゲーム側の対応が必要という点があります。AMDのFSRやAFMFと比べると汎用性では劣るため、やや中途半端な立ち位置にも見えます。
ただし、NVIDIAと違って、IntelはSoC(CPU)でトップのシェアを誇るメーカーなので、今後内蔵GPUの性能が底上げされ、重量級ゲームにも対応できるようになれば、一気に主力機能として台頭する可能性もあります。

