【DLSS 等】主要なアップスケーリング技術まとめ【2022年6月更新】

ゲームにおけるアップスケーリング技術と、主要なものについてざっくり解説です。

注意

本記事の内容は記事執筆時点(2022年6月1日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

アップスケーリング技術(超解像技術)とは?

アップスケーリング(超解像)技術とは、映像を元の解像度(画素数)より高い解像度へと変換することを指します。ゲームでいうと、低解像度でまずレンダリングし、それを元に高い解像度の映像にして出力する技術のことです。これにより、ネイティブ解像度で処理するよりも圧倒的に処理量を減らすことができるため、フレームレートの向上をはじめ、単純なGPU負荷の軽減や発熱・消費電力の削減に繋がります。

例を挙げると、アップスケーリングで4K(3840×2160)を出力するとして、元の用いるのがFHD(1920×1080)なら、実際の描写量はネイティブ4Kのわずか25%(4分の1)で済みます。実際にはアップスケーリング処理やアップスケーリングしない部分などが出てくる場合もあるので多少処理は増加しますが、ネイティブ解像度のままよりは圧倒的に処理を減らすことが可能になります。

また余談ですが、アップスケーリングは、日本だと漢字で超解像技術や高解像技術などとも呼ばれる他、アップコンバートなどとも呼ばれることがあります。基本的にはどれも指していることは同じです。元々はアップスケーリングは単純に引き伸ばして拡大するものを指し、自然にするための補正処理などを行う場合にはアップコンバートと呼んでいたようですが、今では総じてアップスケーリングや超解像技術と呼ばれることが多いです。

主要技術まとめ

アップスケーリングは明確な定義がある訳でなく、「低い解像度の画像を高い解像度のものへと変換する」技術を指します。過程や方法などは特に決められていないので、さまざまな種類の技術が次々へと登場しており、正直わかりにくいです。本記事は、その乱立するアップスケーリング技術の備忘録ということも兼ねて作成しています。

下記から、2022年6月時点で登場しているアップスケーリング技術として有名なものをざっくりまとめています。


簡易比較表

まずは各技術の簡易比較表を載せた後、各技術についてざっくりと触れていきます。

アップスケーリング技術まとめ(2022年6月時点)
名前 提供 ゲーム側の対応 専用コア等 対応GPU
DLSS NVIDIA 必要 必要 GeForce RTX シリーズ
FSR AMD 必要 不要 Radeon 400番台以降
GeForce 10シリーズ以降
NIS NVIDIA 不要
※他社製GPUの場合必要
不要 GeForce 900番台以降(GTX 750 / GTX 750 Ti 含む)
Radeon ※ゲーム側の対応が必要
RSR AMD 不要 不要 Radeon 5000番台以降
XeSS
(XMX)
Intel 不要? 必要 XMX搭載 Xe GPU
XeSS
(DP4a)
Intel 必要? 不要 Intel Xe 以降
GeForce 10シリーズ以降
Radeon 6000 以降

DLSS(Deep Learning Super Sampling)

良い点
  • AIを利用した過去フレームも参照する質の高いアップスケーリング
悪い点
  • GeForce RTX シリーズでしか使えない
  • ゲーム側の対応が必要

DLSS(Deep Learning Super Sampling)は、NVIDIAが提供しているアップスケーリング技術です。利用には専用のコアのTensorコアが必要となるため、同社のGeForce RTX シリーズ限定の機能となります。

名前にも含まれている通り、深層学習(ディープラーニング)を利用した技術となっており、AIを用いて膨大な量のゲーム画面のサンプルを学習して集めた学習データを使ってアップスケーリングを行う技術になります。また、使用フレームは現在のものだけでなく過去のフレームも含んでいることも特徴です。

シンプルなアップスケーリングではなくAIや過去のフレームなども利用した高度なアップスケーリングであるため、画質の評価は高いです。画質に特化したアップスケーリングであると言えると思います。

弱点は汎用性です。上述のようにGeForce RTXシリーズでしか利用できない他、ゲーム側でも対応が必要となります。他社製のGPUでは利用出来ない上、専用コアを搭載するとGPU側も多少のコスト増加が予想されることもあり、質よりも楽に導入できてフレームレートさえ上がれば良いという層にとっては使い勝手の悪い技術になっていると思います。

また、PS5やXboX Series X/S ではAMD製のGPUが利用されているため利用できない点も知名度の増加や普及の面で障害になっているかもしれません。


FSR(FidelityFX Super Resolution)

良い点
  • 専用コア等が必要ない
  • 他社製GPUでも利用できる
悪い点
  • ゲーム側の対応が必要
  • シンプルなアップスケーリングなので画質の評価は低い
FSR(FidelityFX Super Resolution)は、AMDの提供するアップスケーリング技術です。AMDがオープンソースで提供しているツール「AMD Fidelity FX」の一つの機能となっています。DLSSと違い専用コアなどが必要ないため、AMD製以外のGPUでも利用することができます。また、対応GPUはやや古めのものまで含まれており、対応範囲が広い点も嬉しいです。ゲーム側の対応は必要なものの、汎用性には優れていると思います。

ただし、DLSSよりはシンプルなアップスケーリングとなるため画質では劣っています。ですが、導入の要件が厳しくない上にオープンソースということも大きいのか、DLSSのより後に登場したにも関わらず、FSRのみサポートしているゲームも多い印象です。また、DLSSはGeForce RTX シリーズでしか使えないため、AMD製GPU採用が多いCS機では利用ができませんが、FSRなら使えます。他社製GPUでも使えるので他プラットフォームへの対応も楽だと思われる点が開発者にとっても良さそうです。


NIS(NVIDIA Image Scaling)

良い点
  • 専用コア等が必要ない
  • GeForceならゲーム側の対応が必要ない
悪い点
  • GeForce以外はゲーム側の対応が必要
  • シンプルなアップスケーリングなので画質の評価は低い
  • ゲーム側が対応していない場合、HUD(UI等)がぼやける可能性がある
  • キャプチャするとスケーリング前の映像を取得してしまう可能性がある
NIS(NVIDIA Image Scaling and Sharpning)は、NVIDIAが提供する超解像フィルターです。恐らくはRSRに対抗するために出したものと思われ、機能としてもDLSSと異なり、RSRと同様の単純なアップスケーリングです。画質はDLSSより劣っています

ドライバでサポートする機能のためDLSSと違い専用のコア等は必要なく、RTX以外でもGeForce 900番台以降(GTX 750 / 750 Ti を含む)なら、利用することができます。また、対応のGeForceならゲーム側の対応も必要ないのが特徴です。DLSSやFSRはゲーム側の対応が必要でした。ただし、基本的にはGeForce専用といえる機能です。とはいえ、ゲーミングPCではGeForceのシェアが圧倒的に多いので、ほとんどのゲーミングPCユーザーにとっては最も手軽に利用できるアップスケーリングと言えると思います。

一応、「NVIDIA Image Scaling SDK」と呼ばれるNISの超解像フィルターをオープンソース化したものをゲームに組み込むことで他社製GPUでも使えるらしいですが、PS5やXboXなどのCS機ではAMD製GPU採用が多いこともあり、複数プラットフォームでの利用を想定しており質でも大差がないのであればAMD製のFSRの方が優先度が高くなると思います。ゲーム側がFSRよりNISを優先して対応させるメリットが感じられませんので、ゲーム側の採用率は高くならない気がします。また、後に登場した「RSR(後述)」がNVIDIAとRadeonどちらのGPUでもゲーム側の対応無しで利用できるため、汎用性でも劣る点も大きいです。

GeForceならゲーム側の対応も必要ないため気軽に使える機能ですが、やはりほぼGeForce専用なのはデメリットです。

また、機能面での弱点として、1つ目にNISの仕様上、映像のキャプチャーをした際にスケーリング後の映像が得られない場合があります。(カーネルレベルで動作するかららしい)。たとえば、4KディスプレイでFHDをアップスケーリングして表示している場合には、システム的には利用しているのはFHD映像なのでこちらを参照してしまうという感じだと思われます。

表示されている最終映像をキャプチャするような画面キャプチャの場合にはスケーリング後の映像が得られると思われますが、普通にスクリーンショットやソフトからゲーム画面の録画等を行う場合には恩恵を得ることができない可能性があることに注意する必要があります。

2つ目は、NISに非対応のゲームではHUD(HPバーやアイテム欄などのUI部分)に対してもフィルターが掛かってしまうため、文字や輪郭がぼやけたりする可能性がある点です。ゲーム側が対応していれば良い話ですが、前述の通りNISのゲーム側の対応率はあまり高くならないと思うので、HUDにも影響が出てしまうゲームが多いのかなと思います。


RSR(Radeon Super Resolution)

良い点
  • ゲーム側の対応が必要ない
  • 専用コア等が必要ない
悪い点
  • Radeon 5000番台以降でしか使えない
  • シンプルなアップスケーリングなので画質の評価は低い
  • HUD(UI等)がぼやける可能性がある
RSR(Radeon Super Resolution)は、AMDが提供するアップスケーリング機能です。恐らくはNISに対抗するために出したものだと思われます。

特徴もNISに似ており、ドライバーレベルで機能するため専用コア等の必要はなく、ゲーム側の対応も必要ありません。汎用性を意識した仕様になっています。ただし、ドライバーで対応するためAMD製のRadeon専用の機能となります。

また、HUD(HPバーやアイテム欄などのUI部分)に対してもフィルターが掛かってしまうため、文字や輪郭がぼやけたりする可能性がある点も弱点です。


XeSS(Xe Super Sampling)

良い点
  • AIを利用した過去フレームも参照する質の高いアップスケーリング
  • 他社製GPUでも利用可能(DP4aをサポートしているGPU)
悪い点
  • ゲーム側の対応が必要
  • 他社製GPUの場合はパフォーマンスが異なる?(要確認)

XeSS(Xe Super Sampling)はIntelが発表し、提供を予定しているアップスケーリング技術です。記事執筆時点ではまだ未発売の「Intel Arc Alchemist」GPUと一緒に提供される予定となっています。

XeSSは、DLSSのような高い質のアップスケーリングに加えてFSRのような高い汎用性も両立することを目指している印象のアップスケーリングです。

アップスケーリングのしくみは、DLSSと同様にAIによる機械学習による学習データを利用し、過去のフレームも使用します。この処理をXMXアクセラレータで高速化します。DLSSに似たアップスケーリングと言えると思います。登場はまだですが、画質は優れていると予想されます。

ただし、汎用性ではXeSSでは専用のハードウェア(XMXアクセラレータ)が無くても機能させることが出来るのがDLSSと異なる点です。AI計算に役立つとされるDP4a命令をサポートするGPUなら利用が可能となっています。

対応GPUはIntel製GPUはXe以降、GeForceは10シリーズ以降、RadeonはRX 6000番台となっています。記事執筆時点では、AMD製GPUは最新世代のもののみの対応となっているためFSRより対応範囲は狭いですが、RTXシリーズしか対応しないDLSSよりは大幅に広いです。

ただし恐らく、XMXアクセラレータ搭載GPUによるアップスケーリングと、DP4aで対応する場合では画質や処理の負荷などが多少異なってくるとは思われる点は注意が必要かもしれません。記事執筆時点ではまだ利用できない機能なので、両者でパフォーマンスにどれくらいの違いが出るのかは不明です。

上述のように、XeSSはIntel Arc AlchemistのXMXアクセレレータによるものと、DP4aによるものの2種類が存在しているという感じになると思われます。また、どちらにせよゲーム側の対応が必要な点も注意です。

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