【DLSS / FSR など】主要なアップスケーリング技術まとめ【2025年1月更新】

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ゲームにおけるアップスケーリング技術と、主要なものについてざっくり解説です。また、正確には別の技術ですが、「フレーム生成」についても併せて取り扱っています。

注意

本記事の内容は記事執筆時点(2025年1月19日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

アップスケーリング技術(超解像技術)とは?

アップスケーリング(超解像)技術とは、映像を元の解像度(画素数)より高い解像度へと変換することを指します。ゲームでいうと、低解像度でまずレンダリングし、それを元に高い解像度の映像にして出力する技術のことです。これにより、ネイティブ解像度で処理するよりも圧倒的に処理量を減らすことができるため、フレームレートの向上をはじめ、単純なGPU負荷の軽減や発熱・消費電力の削減に繋がります。

例を挙げると、アップスケーリングで4K(3840×2160)を出力するとして、元の用いるのがFHD(1920×1080)なら、実際の描写量はネイティブ4Kのわずか25%(4分の1)で済みます。実際にはアップスケーリング処理やアップスケーリングしない部分などが出てくる場合もあるので多少処理は増加しますが、ネイティブ解像度のままよりは圧倒的に処理を減らすことが可能になります。

また余談ですが、アップスケーリングは、日本だと漢字で超解像技術や高解像技術などとも呼ばれる他、アップコンバートなどとも呼ばれることがあります。基本的にはどれも指していることは同じです。元々はアップスケーリングは単純に引き伸ばして拡大するものを指し、自然にするための補正処理などを行う場合にはアップコンバートと呼んでいたようですが、今では総じてアップスケーリングや超解像技術と呼ばれることが多いです。

フレーム生成とは?

フレーム生成とは、ネイティブで作ったフレームとフレームを比較して、中間フレームを生成して挿入することでフレームレート向上を目指す技術です。AIなどを活用することが多いです。

主要技術まとめ

アップスケーリングは明確な定義がある訳でなく、「低い解像度の画像を高い解像度のものへと変換する」技術を指します。過程や方法などは特に決められていないので、さまざまな種類の技術が次々へと登場しており、正直わかりにくいです。本記事は、その乱立するアップスケーリング技術の備忘録ということも兼ねて作成しています。

下記から、2024年2月時点で主要なアップスケーリング技術として有名なものをざっくりまとめています。


簡易比較表

まずは各技術の簡易比較表を載せた後、各技術についてざっくりと触れていきます。

アップスケーリング&フレーム生成技術まとめ(2025年1月時点)
名前 提供 ゲーム側の対応 専用コア等 対応GPU
Auto SR MicroSoft 不要? 必要
※NPU
※GPUではなくNPUで対応
Copilot+ PC
DLSS NVIDIA 必要 必要 GeForce RTX シリーズ
※世代によって機能が制限される場合あり
FSR AMD 必要 不要 Radeon 400 以降
GeForce 10 以降
※世代によって機能が制限される場合あり
AFMF AMD 不要 不要 Radeon RX 6000 以降
NIS NVIDIA 不要
※他社製GPUの場合必要
不要 GeForce 900 以降(GTX 750 / GTX 750 Ti 含む)
Radeon ※ゲーム側の対応が必要
RSR AMD 不要 不要 Radeon 5000 以降
XeSS
(XMX)
Intel 不要? 必要 XMX搭載 Xe GPU
XeSS
(DP4a)
Intel 必要? 不要 Intel Xe 以降
GeForce 10シリーズ以降
Radeon 6000 以降


Auto SR(Automatic Super Resolution)

良い点
  • Windowsに統合されているため、手軽に使える
  • ゲーム側の対応が必要ない(多分)
  • NPUによる対応

気になる点
  • NPUが必要(40TOPS以上?)
  • HDRと併用できない


Auto SR(Automatic Super Resolution)は、MicroSoftが2024年6月に発表したアップスケーリング技術です。GPUではなくNPUで対応する機能となっており、AIを活用してパフォーマンスを向上させます。

Windowsに統合されている機能となっており、GPUメーカーにも囚われない上、ゲーム側の対応が必要ない(API要件はあるけど)ため、非常に手軽に使えるのがメリットです。GPU負荷が掛からないのも従来技術と比べるとメリットになります。

質やfps向上率についてはこれからの調べていく必要がありますが、汎用性はものすごく高くて便利に見えるため、NPU搭載PCが主流となり次第、Auto SRがアップスケーリングのスタンダードになっていきそうな予感がします。


DLSS(Deep Learning Super Sampling)

良い点
  • AIを利用した過去フレームも参照する質の高いアップスケーリング
  • フレーム生成機能(DLSS 3 / RTX 40 以降)
  • マルチフレーム生成機能( DLSS 4 / RTX 50 以降)

気になる点
  • GeForce RTX シリーズでしか使えない(Tensorコアが必要)
  • ゲーム側の対応が必要


DLSS(Deep Learning Super Sampling)は、NVIDIAが提供しているアップスケーリング技術です。利用には専用のコアのTensorコアが必要となるため、同社のGeForce RTX シリーズ限定の機能となります。

名前にも含まれている通り、深層学習(ディープラーニング)を利用した技術となっており、AIを用いて膨大な量のゲーム画面のサンプルを学習して集めた学習データを使ってアップスケーリングを行う技術になります。また、使用フレームは現在のものだけでなく過去のフレームも含んでいることも特徴です。

シンプルなアップスケーリングではなくAIや過去のフレームなども利用した高度なアップスケーリングであるため、画質の評価が高いです。

また、DLSS 3では全く新しいフレームを生成する「フレーム生成」機能が追加され、更に大幅なフレームレート向上や負荷軽減に大きく貢献することが可能になりました。フレーム生成機能の利用はRTX 40シリーズ以降のみ(第4世代以降のTensorコアが必要なため)となっているため、限定的ではありますが、非常に魅力的です。

更に、DLSS 4ではAIを大きく活用した「マルチフレーム生成」という機能も追加されました。これにより、一つのフレームから一度に複数のフレーム(発表時には最大3フレーム)を生成することが可能となり、フレームレートを飛躍的に向上させます。

マルチフレーム生成機能の利用は2025年1月時点ではRTX 50シリーズのみとされていますが、低価格帯のGPUでも重量級ゲームを快適にプレイできるレベルの技術なので、非常に魅力的です。

また、それだけでなく、フレーム生成モデルの改善で基本のアップスケーリング性能も40%高速化され、VRAM使用量も30%削減されたと謳っています。こちらについてはRTX 50以降でなくても恩恵を得られるらしいので、様々な面でとてつもない向上率を感じるのがDLSS 4となっています。

このように、質の面では非常に優秀なDLSSですが、弱点はやはり汎用性です。GeForce RTXシリーズに搭載される「Tensorコア」が必要なので、他社製のGPUでは利用出来ない上、専用コアを搭載するとGPU側も多少のコスト増加が予想されます。

また、ゲーム側の対応も必要となります。後述のFSRなら他GPUでも利用できますし、最新のPlay StationとXboxのGPUがAMD(2025年1月時点)なので、そちらへの対応が優先されやすい可能性があります。

現状はNVIDIA製のGPUにシェアが高いためにDLSSを導入しているゲームも多いですが、その使用率の高さが前提の技術になっているかなと思います。

とはいえ、アップスケーリングの性能という点に関しては現状(2025年1月時点)では1番と言えると思いますし、負荷に関してもマルチフレーム生成を考慮すれば間違いなく一番なので、利用できるなら是非利用したい、優秀なアップスケーリングがDLSSです。


FSR(FidelityFX Super Resolution)

良い点
  • 専用コア等が必要ない
  • 他社製GPUでも利用できる
  • FSR 3からフレーム生成機能追加
  • FSR 4からAIを活用する形

気になる点
  • ゲーム側の対応が必要
  • シンプルなアップスケーリングなので画質の評価は低い



FSR(FidelityFX Super Resolution)は、AMDの提供するアップスケーリング技術です。AMDがオープンソースで提供しているツール「AMD Fidelity FX」の一つの機能となっています。NVIDIAのDLSSとよく比較されます

FSR 3まではDLSSと違い専用コアなどが必要ないため、AMD製以外のGPUでも利用することができるのが強みです。また、対応GPUはやや古めのものまで含まれており、幅広いGPUへ対応できます。ゲーム側の対応は必要なものの、汎用性には優れていると思います。

ただし、DLSSに画質では劣っているという評価を受けることが多いのが懸念点です。

ですが、導入の要件が厳しくない上にオープンソースということも大きいのか、DLSSのより後に登場したにも関わらず、FSRのみサポートしているゲームも多い印象で、画質の面は思ったよりもネックになっていないかもしれません。

最新のPlay StationとXboxのGPUがAMD(2025年1月時点)で対応しているのも大きいかもしれません。他社製GPUでも使えるので他プラットフォームへの対応も楽だと思われる点が開発者にとっても良さそうです。

また、FSR 3からは新たなフレーム生成機能が追加され、フレームレート向上率が上がりました。特に低性能なGPUを利用している人には嬉しいです。

更に、記事執筆時点では発表されたばかりの「FSR 4」では機械学習ベース(AI)のアルゴリズムが導入され、弱点だった不自然な描写や画質の改善が期待されています。

FSR 4は発表時点ではRX 9000シリーズのみでの対応となるようで、強みだった幅広い対応力が無くなってしまうのは残念ですが、RDNA 3(RX 7000等)でもAI用のユニットは搭載されているものがあるので技術的には不可能という訳ではないらしく、今後拡張してRDNA 3でも利用できるように努めると言及されています。

DLSS 4ではフレームレートを格段に引き上げるマルチフレーム生成が追加されたこともあり、やはり総合的にはDLSSでは劣る状況は変わらない気がしますが、FSR 3までの汎用性の高さは変わらないので、使い勝手の良いアップスケーリングだと思います。


AFMF(AMD Fluid Motion Frames)

良い点
  • ドライバ動作のため手軽で簡単に使える
  • 専用コア等が必要ない
  • ゲーム側の対応が必要ない

気になる点
  • AMD製GPU限定(RX 6000シリーズ以降)
  • 画質や不自然な描写は懸念点



AFMF(AMD Fluid Motion Frames)は、AMD製GPUで利用できるドライバレベルで動作するフレーム生成技術です。正確にはアップスケーリングではありませんが、fpsを上げる目的は同じということで掲載。

AFMFの強みは、ドライバ動作なので、専用コアやゲーム側の対応が必要ない点です。いくつかの簡単な注意点や必要な設定はあるものの、ドライバソフトから有効にするだけですぐに基本どのゲームでも使えるので、非常に使い勝手が良いです。

仕組みとしては、ゲーム外からフレームを生成・挿入してフレームレートを向上させるというものです。DLSS・FSRよりはシンプルなアップスケーリングとなるため画質では劣ることになると思いますが、使う元画像が低解像度なものではないので、大幅な画質劣化は発生しにくいと思われるのは魅力です。NISやRSR等の従来のドライバレベル動作のアップスケーリングでは画質劣化だけでなく、UIや文字がぼやけるという課題がありましたが、その心配もありません。元々のfpsがそれなりに出ていないと効果が薄いという弱点はありますが、手軽さを意識したfps向上技術としては、2024年時点ではかなり良いと思います。

利用できるGPUは2024年1月時点で「Radeon RX 6000シリーズ(RDNA 2)」以降です。記事更新時点ではまだ登場して期間がそこまで経っていないので、その他の評判についてはよくわかっていません。

ただし、少し試した感じでは非常に簡単に利用できる上に効果も大きいです。やはり若干のノイズ感や遅延を感じることがあるため、DLSSやFSRのフレーム生成と比べると劣るのかもしれませんが、思ったよりも気にならずに普通に使えるレベルだと思いました。


NIS(NVIDIA Image Scaling)

良い点
  • ドライバ動作のため手軽で簡単に使える
  • 専用コア等が必要ない
  • GeForceならゲーム側の対応も必要ない

気になる点
  • GeForce以外はゲーム側の対応が必要
  • シンプルなアップスケーリングなので画質の評価は低い
  • ゲーム側が対応していない場合、HUD(UI等)がぼやける可能性がある
  • キャプチャするとスケーリング前の映像を取得してしまう可能性がある



NIS(NVIDIA Image Scaling and Sharpning)は、NVIDIAが提供する超解像フィルター(アップスケーラー)です。RSRやAFMFと同様の単純なアップスケーリングとなるため、画質はDLSSより劣る点に注意

ドライバでサポートする機能のため、DLSSと違い専用のコアは必要なく、RTX以外でもGeForce 900番台以降(GTX 750 / 750 Ti を含む)なら、利用することができます。また、対応のGeForceならゲーム側の対応も必要ないので使い勝手が良いのが特徴です。ただし、NVIDIAのドライバに付属する機能のため、基本GeForce専用の機能という点には注意です。とはいえ、ゲーミングPCではGeForceのシェアが圧倒的に多いので、ほとんどのゲーミングPCユーザーにとっては最も手軽に利用できるアップスケーリングと言えると思います。

一応、「NVIDIA Image Scaling SDK」と呼ばれるNISの超解像フィルターをオープンソース化したものをゲームに組み込むことで他社製GPUでも使えるらしいですが、対抗のAMD製GPU側でもドライバ動作のアップスケーリング機能がありますし、PS5等のCS機ではAMD製GPUの採用が多いので、ゲームで対応するならAMDのFSRで良いじゃんという話になるので、わざわざNISを優先して対応させるメリットは正直感じられません。なので、個別のゲーム対応はあまりなさそうな気がします。

また、機能面での弱点として、1つ目にNISの仕様上、映像のキャプチャーをした際にスケーリング後の映像が得られない場合があります。(カーネルレベルで動作するかららしい)。たとえば、4KディスプレイでFHDを4Kにアップスケーリングして表示している場合、システム的に利用しているのはFHD映像なので、表示されている4K映像では無く元のFHD映像を参照してしまうという感じだと思われます。

2つ目は、NISに非対応のゲームではHUD(HPバーやアイテム欄などのUI部分)に対してもフィルターが掛かってしまうため、文字や輪郭がぼやけたりする可能性がある点です。これはNISに限らず、ドライバレベルで動作するアップスケーリングの課題です。ゲーム側が対応していれば良い話ですが、前述の通りNISのゲーム側の対応率はあまり高くならないと思うので、HUDにも影響が出てしまうゲームが多いのかなと思います。


RSR(Radeon Super Resolution)

良い点
  • ドライバ動作のため手軽で簡単に使える
  • ゲーム側の対応が必要ない
  • 専用コア等が必要ない

気になる点
  • Radeon 5000番台以降でしか使えない
  • シンプルなアップスケーリングなので画質の評価は低い
  • HUD(UI等)がぼやける可能性がある



RSR(Radeon Super Resolution)は、AMDが提供するアップスケーリング機能です。

ドライバーレベルで機能するため専用コア等の必要はなく、ゲーム側の対応も必要ありません。汎用性を意識した仕様になっています。ただし、ドライバーで対応するためAMD製のRadeon専用の機能となります。

また、HUD(HPバーやアイテム欄などのUI部分)に対してもフィルターが掛かってしまうため、文字や輪郭がぼやけたりする可能性がある点も弱点です。


XeSS(Xe Super Sampling)

良い点
  • AIを利用した過去フレームも参照する質の高いアップスケーリング
  • 他社製GPUでも利用可能(DP4aをサポートしているGPU)
  • フレーム生成機能(XeSS 2 / Xe以降)

気になる点
  • ゲーム側の対応が必要
  • 他社製GPUの場合はパフォーマンスが異なる?(要確認)


XeSS(Xe Super Sampling)はIntelが提供するアップスケーリング技術です。

XeSSは、DLSSのような高い質のアップスケーリングに加えてFSRのような高い汎用性も両立することを目指している印象のアップスケーリングです。

アップスケーリングのしくみは、DLSSと同様にAIによる機械学習による学習データを利用し、過去のフレームも使用します。この処理をXMXアクセラレータ(AIエンジン)で高速化するという、DLSSに似たアップスケーリングと言えると思います。

また、XeSSはXeSS2からフレーム生成機能にも対応し、FSRやDLSSとの明確な機能差が無いように対応しています。

DLSSと異なる点としては、XeSSは2つの種類があり、DP4a版なら専用のハードウェア(XMXアクセラレータ)が無くても機能させることが出来ます。DP4a命令とは、AI計算に役立つとされるもので、それをサポートするGPUならIntel製以外のGPUでも対応が可能となっています。

ただし、DLSSと同様にゲーム側の対応の必要なのでAMDのFSRやAFMFと比べると汎用性では劣る他、フレーム生成機能は恐らくIntel製GPU(Xe以降のみ)の対応となる点は注意が必要です。

DP4a命令がGeForce以外では比較的新しいGPUから対応したものなので、対応GPUはGeForceは10シリーズ以降と古めのものでも対応していますが、Intel製GPUはXe以降、RadeonはRX 6000番台以降となっています。とはいえ、RTXシリーズしか対応しないDLSSよりは大幅に広いです。

また、恐らく、XMX版とDP4aでは画質や処理の負荷などが多少異なってくるとは思われる点も注意が必要かもしれません。

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