AMDが「Ryzen 7000」や「Zen4」について概要を発表【RDNA 2 GPU搭載】

先日行われたComputex 2022にて、AMDがRyzen 7000シリーズに関する発表を行ったため、それについての要点まとめです。

残念ながら細かい性能や詳細情報はあまり提示されませんでしたが、ざっくりと要点だけ見ていきたいと思います。

注意
本記事の内容は記事執筆時点(2022年5月26日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

ざっくり要点まとめ

Ryzen 7000(Zen 4)要点まとめ【Computex 2022の発表内容から
  • プロセスルールは7nm→5nm(TSMC)、I/Oダイも6nmへ微細化
  • シングルスレッド性能は15%向上
  • マルチスレッド性能は12900Kより31%高速
  • 全モデルでRDNA2グラフィックを統合
  • ソケットはAM4→AM5へと変更するが、クーラーは互換性があり
  • メモリはDDR5のみサポート
  • 発売は2022年秋
  • PCIe 5.0に対応

Zen4は5nmへ

Zen 4は5nmプロセスとなります。前世代の7nmより少し微細化されることになります。対抗のIntelの第12世代Coreは10nmな上、次世代の第13世代でも10nmが継続するとされているので、プロセスルール上の優位性はまだ暫くAMDが持つことになりそうです。

また、Zen 4ではCPUだけでなく、I/Oダイも前世代の12nmから6nmへと大幅に微細化されることになる点も注目です。チップ全体の省電力性能は大きく向上することになると予想されます。Ryzen 5000シリーズの時点でもIntelよりは電力効率ではやや優れている印象がありますから、そこから大きく向上するとなると楽しみです。

シングルスレッド性能は15%向上

詳しいベンチマーク等は公開されませんでしたが、Zen 4は前世代のZen 3と比較して、シングルスレッド性能が15%以上向上すると主張しています。

また、Zen 4のコアの仕様として、1コアあたりL2キャッシュが前世代の2倍となる1MBとなる他、最大クロックが5GHzを超えること、AIアクセレレーターを搭載することも併せて表記されていました。

一見大幅な向上を実現していて凄いようにも見えますが、Zen 3から15%の向上では現行のIntelの第12世代Coreシリーズにすら届いていません。下記に参考にベンチマーク比較を載せます。

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i9-12900KS
2082
Core i9-12900K
2002
Core i9-12900KF
2002
Ryzen 9 5950X
1639
Ryzen 9 5900X
1622
参考:CPU-monkey

Ryzen 9 5950XとCore i9-12900Kを比較すると、12900Kの方が約22%高速となっており、15%の向上では届かないことがわかります。

しかも、Zen 4ではDDR5メモリが使用されていますが、第12世代CoreはDDR4メモリもサポートされています。上記の参考スコアはDDR4のスコアも含まれている可能性が高いため、DDR5メモリを使用するともう少し差が開くことが予想されます。

Ryzen 7000シリーズの発売から近い時期にIntelも第13世代Coreを発売することが予測されており、当然多少なり性能は向上してくると思われますから、Ryzenが優位性を得るには第12世代は大きく超える必要がありますが、超えるどころか届いていないというのは不安材料です。

近年ではゲーミング需要が増していることから、発表ではゲーミング性能に大きく関わるとされるIPCの向上やfps向上なども誇示されることが多いですが、今回の発表ではその辺りに関しては言及が無かった点も気になります。印象的な差を付けることが出来なかった可能性を感じてしまいます。

I/Oダイを含むプロセスの微細化のおかげで電力効率は向上していると思うので、後述の内蔵GPU性能やマルチスレッド性能を含め「最強コスパCPU」になり得る可能性は十分あるとは思いますが、もしかしたら「最強のゲーミングCPU」の座はIntelに預けたままとなる可能性もあるかもしれません。

マルチスレッド性能は12900Kより約31%高速

発表ではRyzen 7000の16コアCPUと、Core i9-12900KのBlenderのレンダリングテストによる比較で、Ryzen 7000側が約31%高速であることを主張しています。比較の内容としては、Core i9-12900Kがワークロードを終了するのに297秒掛かったのに対し、Ryzen 7000 16コアCPUは204秒で終了しており、約31%高速となっています。非常に大きな優位性があることがわかります。また、そのテストはどちらもDDR5メモリが使用されていることも記載されており、他の面での優位性はほぼないことも示されています。

前世代からの向上率を知るために、参考にRyzen 9 5950XとCore i9-12900KのBlenderのレンダリングテストの結果を見てみましょう。異なるワークロードを使用しているため正確な比較にはなりませんが、大体の目安にはなると思います。

Blender Rendering
CPU名称 スコア
Core i9-12900K
536s
Ryzen 9 5950X
477s
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Ryzen 9 5950X
28577
Core i9-12900K
27472
参考:CPU-monkey

結果は、参照するテストやレンダリングソフトによって正直まちまちです。ただし、いずれも差は大きくても1割程度となっており大きくはないので、概ね同じくらいのマルチスレッド性能という印象です。

そのため、Ryzen 7000 16コアCPUは前世代から12900Kとの差と同じ約3割程度の向上の可能性があり、少なくともRyzen 9 5950Xよりも20%は高速ということになります。同コア数のCPUとしてはかなり大きな向上率です。

その性能向上に加え、現状でもトップクラスにマルチスレッドでの電力効率が良いRyzen 5 5950Xよりも電力効率が向上している期待も出来ますから、マルチスレッド性能重視なら非常に強力なCPUになることが伺えます。

RDNA 2 統合グラフィックを搭載

詳細は語られませんでしたが、Ryzen 7000シリーズではRDNA 2 アーキテクチャの統合グラフィックスが搭載されることが明らかになりました。今までのように、末尾GのAPUモデルが後から追加される形ではなく、基本モデルで統合されるようです。

オフィス用のCPUとして導入しやすくなりますし、RDNA 2 GPUは性能的にも非常に期待が高まります。

既に出荷が開始されているRyzen 6000 Mobileシリーズでは一足先にRDNA 2の統合グラフィックスを利用することができますが、上位モデルではGeForce GTX 1050 Ti(モバイル版)に近い性能が確認されており、重いゲームでは低fpsが基本にはなるものの単体のGPU(グラボ)無しで重いゲームを動作させることが可能な性能となっています。

Ryzen 7000に統合されるRDNA 2の具体的な仕様がわからないため手放しで期待することは出来ないですが、もしモバイル版と同等以上の性能を発揮してくれるなら、かなり革新的なCPUとなると思います。

ソケットはAM5へと変更だけど、クーラーの互換性あり

Ryzen 7000ではソケットは前世代のAM4からAM5へと変更され互換性がなくなりますが、クーラーに関しては互換性を維持することが判明しました。

CPUの性能には直接関係ない部分ではありますが、消費者目線だと地味に嬉しいです。また、近い時期に発売予想の第13世代Coreも第12世代と同じソケット(LGA1700)が採用されるので、AM4とLGA1700に対応したクーラーであれば、新世代CPUのどちらでも使えます。

新CPUを控える時期では新しいクーラーを導入することが躊躇われるのが一般的だと思いますが、気兼ねなく導入することができます。これから暑い時期にクーラーを交換したい人も出てくると思われる中でこの情報は嬉しいですね。

メモリはDDR5のみをサポート

先でも触れましたが、Zen 4ではDDR5メモリサポートのみとなっており、DDR4は選択肢から外れてしまいます。DDR4とDDR5に両対応しているIntelよりここは明らかに汎用性に欠ける部分となってしまいました。

現状ではDDR5はDDR4よりも圧倒的に高価なので、最低導入費用はRyzen 7000の方が大幅に高価になることが予想されます。電力効率なども含めた総合コスパで勝負することになりそうなCPUなだけに、ここは残念です。

また、DDR5メモリは帯域幅は大幅に広くなるものの、レイテンシ(遅延)に関してはDDR4メモリより少し悪化してしまいますから、用途によってはほとんど優位性が得られなかったりもします。これもDDR5メモリの価格が落ち着くまではRyzen 7000の総合コスパが悪くなる要因の一つとなるかもしれません。

発売は2022年秋

Ryzen 7000 シリーズの発売は2022年秋と発表されました。RTX 40シリーズも登場予定の時期でもあるので、秋はかなり市場が動きそうです。

早くても3ヶ月先ということで待ち遠しいですが、それまでに各次世代パーツの追加情報も出てくると思うので、それらを見つつ待ちたいと思います。

PCIe 5.0 に対応

AM5では最大24レーンのPCI 5.0をサポートするようです。これはCPUだけでなくGPUやストレージへの対応するようです。

とはいえ、現状PCIe 4.0でも帯域幅が足りないという事態は一般用途ではまず発生しないくらい十分なので、少なくとも暫くはほとんどの人とって実質的には意味のないアップデートになると思います。

雑感

ざっと要点だけ見てきましたが、最後に筆者の雑感です。

ゲーミング性能はCoreを上回るかは怪しそう

今回の発表を見る限り、少なくともRyzen 7000のゲーミング性能はCoreを上回るかは怪しい印象でした。

やはり気になるのはシングルスレッド性能で、Ryzen 5000シリーズは第12世代Coreに対して20%以上の差があるのに、Ryzen 7000の向上率として提示されたのは15%でした。

シングルスレッドとIPCはゲーミング性能で重要とされている項目ですが、シングルスレッド性能で第12世代Coreに対しても優位性を正直感じられないので、多少は性能が向上するであろう第13世代Coreに対しては不利になる可能性も高いと思います。

上述のように「最強のゲーミングCPU」にはならなそう気がするので、ゲーミング需要も高い現状では結構痛手かもしれないなと思いました。

もちろん他に良さそうな点があるので、それだけで論外とはならないですが、「ゲーム用のCPU」というのを前提で購入する方が非常に多そうだということを

マルチスレッド性能に関しては、16コアモデルがCore i9-12900Kより約31%高速ということで印象的な数字ではありましたが、もしRyzen 7000の16コアモデルがRyzen 9 5950Xと同じ価格設定とするなら12900Kよりも大きく高価でより上位のCPUと言えるので、コスパは別の話になります。

シングルスレッド性能では優位性を取れるか怪しい上、そもそも近い内に発売するとされる第13世代Coreでも多少の性能向上が見られるであろうことも考えると、もう少し差を付けておきたかったかもという印象です。

マルチスレッド性能は大きく向上するが、コスパは価格と第13世代Core次第

マルチスレッド性能はRyzen 7000の16コアモデルがCore i9-12900Kより31%高速と示されています。前世代の最高性能モデルであるRyzen 9 5950Xのマルチスレッド性能は、Core i9-12900Kと比較して大きくても1割前後の性能差の範囲に留まるため、前世代と比較しても最低20%以上の向上が見込めることになります。大きな向上です。

ですが、Ryzen 7000の16コアモデルがRyzen 9 5950Xと同価格と仮定すると、Core i9-12900Kよりも大幅に高価です。希望小売価格同士の比較なら2万円以上Ryzenの方が高価です。

性能が高いのは間違いないとしてもコスパは別の話になりますし、そもそもRyzen 7000が対抗するのは近い内に発売するとされる第13世代Coreで、第12世代Coreよりは多少性能が向上して差が縮まるはずです。

そのため、性能の高さは間違いないけど「Coreよりめっちゃ高性能だから買い!」とすぐにはならない点には注意が必要だと思います。

電力効率は期待

CPUとしての性能面では手放しで褒めれるほどの材料がないのが実情ですが、電力効率は期待できると思います。

やや古くなった今でもRyzen 9 5950Xはマルチスレッドの電力効率はめちゃくちゃ良いCPUなのに、CPUのプロセスが5nmへと微細化するだけでなく、I/Oダイも12nmから6nmへと大きく微細化されるRyzen 7000の電力効率は非常に良い事が期待できると思います。

処理性能に対してはやや批判的な内容も含んだ感想になってしまいましたが、正直多少性能が第13世代Coreよりも低かったとしても、電力効率が物凄く良ければ十分に魅力的で需要のあるモデルになると思います。

処理性能を語るときはどうしても最高性能モデルでの比較になってしまいますが、一般のほぼ全ての人にとって、16コアのハイエンドCPUはオーバースペックです。

今では処理性能は全体的に大きく底上げされているおかげで、一般用途ではRyzen 5やCore i5でも十分な性能が得られると思うので、実質的には処理性能よりも省電力性や電力効率を重視した方がメリットは大きい人の方が多いと思います。そこを意識する人によっては、Ryzen 7000は非常に気になるモデルだと思います。

RDNA 2 内蔵GPUも期待

Ryzen 7000では、RDNA 2 GPUが内蔵されることが発表されました。従来のような末尾GのAPUモデルを後から追加という形でなく、初発モデルから対応するのは嬉しいです。オフィス用や低価格PCなどでもかなり導入しやすくなります。

また、RDNA 2アーキテクチャは単純に性能にも期待が掛かります。先でも触れましたが、Ryzen 6000 Mobileに搭載されるRDNA 2の上位モデルでは、モバイル版のGTX 1050 Tiに近い性能が確認されており、重いゲームすらも外部GPU無しでプレイできる可能性が秘められています。

Intelのようにデスクトップ版ではGPUのコア数を減らしてくる可能性もあると思うので、まだ喜ぶには早いかもしれませんが、デスクトップでも高性能な内蔵GPUは非常に需要があると思うので、出来れば高性能なまま出して欲しいと思います。


といった感じで、ざっくりとでしたが内容は以上になります。

正直まだ詳細情報が不足している感も否めないので、続報待ちたいと思います。

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