「AMD Radeon RX 5500 XT」のざっくり評価です。AMDのミッドレンジGPUの主力として期待されていますが、実際はどうなのでしょうか。
簡易比較表
「Radeon RX 5500 XT」と、2019年12月現在の主要なミッドレンジGPUとの簡易比較表を見ていきます。
GPU名称 | 3DMark | メモリー容量 | TDP | ワット パフォーマンス | コスパ | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
RTX 2060 | 19700 | 6GB | 160W | 123.1 | 0.518 | 38000円 |
GTX 1660 Ti | 16000 | 6GB | 120W | 133.3 | 0.471 | 34000円 |
RX 5500 XT 8GB | 14300 | 8GB | 130W | 110 | 0.511 | 28000円 |
RX 580 | 14150 | 8GB | 185W | 76.5 | 0.71 | 20000円 |
RX 5500 XT 4GB | 14100 | 4GB | 130W | 108.5 | 0.564 | 25000円 |
GTX 1660 | 13700 | 6GB | 120W | 114.2 | 0.489 | 28000円 |
GTX 1060(6GB) | 12900 | 6GB | 120W | 107.5 | 0.461 | 26000円 |
RX 570 8GB | 12400 | 8GB | 150W | 82.7 | 0.689 | 18000円 |
GTX 1650 SUPER | 12100 | 4GB | 100W | 121 | 0.55 | 22000円 |
GTX 1650 | 9000 | 4GB | 75W | 120 | 0.5 | 18000円 |
※3DMarkはFirestrike(1080p)のGaraphics scoreを参考にした値。
コスパは良い
コスパは良いです。異常な低価格化が進行したRX 570,RX580を除けば、他GPUと同じか少し良い程度の水準です。
ワットパフォーマンスはGeForceにやや劣る
ワットパフォーマンスはAMDのRX500シリーズと比較すると大幅に改善していますが、最新のGeForceシリーズと比較するとやや劣っている印象です。TDPも130Wで、1660シリーズと比べると僅かですが高いです。発熱も同じか少し多いと見た方が良さそうで、消費電力・発熱面では未だにGeForceにやや分がありそうです。
とはいえ、差は明らかに小さくなっており、価格の安さやコスパの良さが少し上回れば気にならない程度になっています。
ゲーミング性能
ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。主に実際にゲームを動作させた際のFPS数で比較されます。今回は11種類のゲームでのデータを基に見ていきます。使用されたCPUは「Core i7-8700K」となっています。詳しくは記事上部の参考リンクを参照です。
中設定(1080p)
他のGPUとの比較および、4GB版と8GB版でどれぐらい差があるのかを具体的に見ていくため、中設定と高設定の2パターンで見ていきます。まずは、1080pの中設定です。「RX 5500 XT」はミッドレンジGPUなので、高設定よりも中設定でも運用がメインになるかと思います。
GPU名称 | 平均FPS | 1Fあたり | 参考価格 |
---|---|---|---|
RTX 2060 | 132.7 | ¥286 | ¥38,000 |
GTX 1660 Ti | 116.7 | ¥274 | ¥32,000 |
GTX 1070 | 113.7 | – | – |
GTX 1660 SUPER | 113.4 | ¥273 | ¥31,000 |
GTX 1660 | 99.4 | ¥241 | ¥24,000 |
GTX 1650 SUPER | 95.4 | ¥230 | ¥22,000 |
RX 5500 XT 8GB | 95.2 | ¥294 | ¥28,000 |
RX 5500 XT 4GB | 94.8 | ¥263 | ¥25,000 |
GTX 1060(6GB) | 85.7 | ¥303 | ¥26,000 |
RX 580 8GB | 80.0 | ¥250 | ¥20,000 |
GTX 1650 | 72.7 | ¥247 | ¥18,000 |
RX 570 4GB | 72.3 | ¥221 | ¥16,000 |
ゲーミング性能はGeForceより低い
3DMark性能からすると、実際ゲーミング性能はGeForceより低めです。従来のRadeon RXと同様ですね。具体的には「GTX 1650 SUPER」と同じくらいのパフォーマンスとなっています。また、1フレームあたりの費用を見ても、GeForceシリーズより高めとなっています。
ただし、発売直後で価格がやや高めという事があります。値下がり幅次第といったところです。とはいえ差が結構大きいので、それを考慮してもGeForceがゲーミングコスパで負ける事にはならなそう気がします。RX 5700(XT)では発売直後の時点でもコスパの良さが見えたので、やや残念でした。
4GB版のコスパは悪くない
4GB版は対抗製品とコスパで健闘しています。現状ではやや負けている印象ですが、発売直後で種類も少なく価格が高めの今でもちょっとの差なので、少し経てば良い勝負になりそうです。
4GB と 8GB の差はほぼ無い
「RX 5500 XT」はVRAMが4GB版と8GB版のものがあります。4GBというと結構大きな差に見えます。しかし、1080pの中設定ではゲーミングパフォーマンスの差はほぼ無いという結果になりました。「RX 5500 XT」はミッドレンジGPUで、この中設定での運用がメインになると考えると、価格の高い8GB版を選ぶ利点はあまり無さそうに見えます。
以前の「GTX 1060」の3GB版と6GB版が似たような結果だったのを思い出します。現状のゲームの中程度の設定では、メモリーは3,4GB程度あれば十分で、あといくらメモリが増えてもパフォーマンスの差はほぼ無いのかもしれません。
高設定(1080p)
次は1080pの高設定です。解像度は上述の中設定と同じですが、それ以外の設定を全てウルトラ(可能な限り高い設定)にして測定しています。
GPU名称 | 平均FPS | 1Fあたり | 参考価格 |
---|---|---|---|
RTX 2060 | 91.4 | ¥415 | ¥38,000 |
GTX 1660 Ti | 78.9 | ¥405 | ¥32,000 |
GTX 1070 | 78.4 | – | – |
GTX 1660 SUPER | 76.3 | ¥406 | ¥31,000 |
GTX 1660 | 67.2 | ¥357 | ¥24,000 |
RX 5500 XT 8GB | 63.9 | ¥438 | ¥28,000 |
GTX 1650 SUPER | 61.2 | ¥359 | ¥22,000 |
RX 5500 XT 4GB | 59.7 | ¥418 | ¥25,000 |
GTX 1060(6GB) | 58.0 | ¥448 | ¥26,000 |
RX 580 8GB | 54.0 | ¥370 | ¥20,000 |
GTX 1650 | 47.7 | ¥377 | ¥18,000 |
RX 570 4GB | 47.5 | ¥336 | ¥16,000 |
8GB版のパフォーマンスがやや向上
中設定では良さが見えなかった8GB版ですが、高設定では他のミッドレンジGPUよりもFPSが低下していません。とはいえ大きな差とは言えず、依然として4GBにコスパで負けています。GeFoceで同価格帯の「GTX 1660」にもパフォーマンスで負けてしまっていますし、8GB版を選ぶ理由は現時点ではやっぱり薄く感じてしまいます。
総合評価
4GB版は悪くないコスパ
8GB版は4GBと差がほとんどない上、対抗製品より価格が高くなってしまうので、コスパ的には正直ちょっと微妙っぽいです。4GB版は、発売直後で価格が高めであると考えられる今でも
ゲーミングコスパでGeForceに劣る
3DMarkスコア比でのコスパは悪い訳ではないですが、実際のゲーミング性能では同価格帯の対抗製品の「GTX 1650 SUPER」および「GTX 1660 SUPER」の方がコスパでもワットパフォーマンスでも勝っています。また、TDPが130Wという事で、僅かながら発熱や消費電力面でもGeForceに劣っている可能性が高いです。「GTX 1650 SUPER」であればTDP100Wでゲーミング性能がほぼ同じなので、使い勝手的にも上かなと思います。
ミッドレンジGPUで出来るだけ快適なゲームプレイを、という事であればGeForceの方が良いかと思います。
値下がり次第では化ける可能性あり
コスパ的には良くないという事は中心に触れてきましたが、本記事は発売直後の価格で比較しています。「RX 570」や「RX 580」のように、発売後に物凄く価格が下がる事があれば、ワットパフォーマンスがそれらよりは劇的に改善しているので、評価が一変する可能性はあります。価格推移に注目したいと思います。
まとめ(良い点・悪い点)
最後に「RX 5500 XT」の良い点・悪い点等の要点をざっくりまとめています。
良い点
- 大容量のメモリー(8GB版)
- 悪くないコスパ(4GB版)
悪い点
- ゲーミング性能は同価格帯のGeForceに劣る
- ゲーミングコスパは良くはない(2019年12月時点)
- 8GB版は対抗製品より高めの価格
- 4GB版と8GB版の性能差はあまり無い性能差は僅かです。ゲームでは高設定だと若干8GBの方が有利ですが、価格差を考えるとそれでも8GB版を選ぶべきという程ではなさそうです。
- 対抗製品は「GTX 1650 SUPER」「GTX 1660」あたり同価格帯の対抗製品は上記のような感じです。TDPで負けているため、コスパで上回る必要があります。値下がり幅次第といった感じです。2019年12月時点ではGeForce組の方が有利だと思います。