NVIDIA「GeForce RTX 4080 SUPER」のざっくり性能比較・評価です。海外レビューを参考に性能をざっくりと確認していきます。
本記事の情報は記事執筆時点(2024年2月1日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
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仕様
まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。
簡易比較表
※価格は2024年2月1日時点での米での希望小売価格です(判明しているもののみ)。
GPU | シェーダー ユニット数 | メモリタイプ | VRAM速度 VRAM帯域幅 | レイトレ用 ユニット数 | ダイサイズ (おおよそ) | 消費電力 (TGP等) | 参考価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
RTX 4090 | 16384 | GDDR6X 24GB 384bit | 21.0Gbps 1008GB/s | 128 | 608㎟ | 450W | 1,599ドル |
RTX 4080 SUPER | 10240 | GDDR6X 16GB 256bit | 23.0Gbps 736.3GB/s | 80 | 380㎟ | 320W | 999ドル |
RTX 4080 | 9728 | GDDR6X 16GB 256bit | 22.4Gbps 716.8GB/s | 76 | 380㎟ | 320W | 1,199ドル →廃止予定 |
RX 7900 XTX | 6144 | GDDR6 24GB 384bit | 20Gbps 960GB/s | 96 | 36.6㎟*6 + 300㎟ | 355W | 969ドル |
RX 7900 XT | 5376 | GDDR6 20GB 320bit | 20Gbps 800GB/s | 84 | 36.6㎟*6 + 300㎟ | 315W | 799ドル →749ドル? |
RTX 4070 Ti SUPER | 8448 | GDDR6X 16GB 256bit | 21.0Gbps 672GB/s | 66 | 295㎟ | 285W | 799ドル |
RTX 4070 Ti | 7680 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 60 | 295㎟ | 285W | 799ドル →廃止予定 |
RTX 3090 Ti | 10752 | GDDR6X 24GB 384bit | 21.0Gbps 1008GB/s | 84 | 628.4㎟ | 450W | 1,499ドル |
RTX 3090 | 10496 | GDDR6X 24GB 384bit | 19.5Gbps 936GB/s | 82 | 628.4㎟ | 350W | 1,299ドル |
RX 6950 XT | 5120 | GDDR6 16GB 256bit | 18Gbps 576GB/s | 80 | 519㎟ | 335W | 949ドル |
RX 6900 XT | 5120 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 80 | 519㎟ | 300W | 699ドル |
RTX 3080 Ti | 10240 | GDDR6X 12GB 384bit | 19Gbps 912GB/s | 80 | 628.4㎟ | 350W | 1,099ドル |
RTX 3080 10GB | 8704 | GDDR6X 10GB 320bit | 19Gbps 760GB/s | 68 | 628.4㎟ | 320W | 699ドル |
RTX 4070 SUPER | 7168 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 56 | 295㎟ | 220W | 599ドル |
RTX 4070 | 5888 | GDDR6X 12GB 192bit | 21.0Gbps 504GB/s | 46 | 295㎟ | 200W | 549ドル 前:599ドル |
RX 7800 XT | 3840 | GDDR6 16GB 256bit | 19.5Gbps 624GB/s | 60 | 37.5㎟*4 + 200㎟ | 263W | 499ドル |
RX 6800 XT | 4608 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 72 | 519㎟ | 300W | 599ドル |
RTX 3070 Ti | 6144 | GDDR6X 8GB 256bit | 19Gbps 608GB/s | 48 | 392㎟ | 290W | 599ドル |
RX 6800 | 3840 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 60 | 519㎟ | 250W | 549ドル |
RX 7700 XT | 3456 | GDDR6 12GB 192bit | 18Gbps 432GB/s | 54 | 37.5㎟*4 + 200㎟ | 245W | 449ドル |
RTX 4060 Ti 8GB | 4352 | GDDR6 8GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 34 | 190㎟ | 160W | 399ドル |
RTX 3070 | 5888 | GDDR6 8GB 256bit | 14Gbps 448GB/s | 46 | 392㎟ | 220W | 499ドル |
RX 6750 XT | 2560 | GDDR6 12GB 192bit | 18Gbps 432GB/s | 40 | 336㎟ | 250W | 419ドル |
RTX 3060 Ti | 4864 | GDDR6 8GB 192bit | 14Gbps 448GB/s | 38 | 392㎟ | 200W | 399ドル |
RX 6700 XT | 2560 | GDDR6 12GB 192bit | 16Gbps 384GB/s | 40 | 336㎟ | 230W | 379ドル |
Arc A770 16GB | 4096 | GDDR6 16GB 256bit | 17.5Gbps 560GB/s | 32 | 406㎟ | 225W | 349ドル |
Arc A770 8GB | 4096 | GDDR6 8GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 32 | 406㎟ | 225W | 329ドル |
RX 7600 XT | 2048 | GDDR6 16GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 32 | 204㎟ | 190W | 329ドル |
RTX 3060 | 3584 | GDDR6 12GB 192bit | 15Gbps 360GB/s | 28 | 276㎟ | 170W | 329ドル |
RTX 4060 | 3072 | GDDR6 8GB 128bit | 17Gbps 272GB/s | 24 | 156㎟ | 115W | 299ドル |
RX 6650 XT | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 17.5Gbps 288GB/s | 32 | 237㎟ | 180W | 299ドル |
Arc A750 | 3584 | GDDR6 16GB 256bit | 16Gbps 512GB/s | 28 | 406㎟ | 225W | 289ドル |
RX 7600 | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 18Gbps 288GB/s | 32 | 204㎟ | 165W | 269ドル |
RX 6600 XT | 2048 | GDDR6 8GB 128bit | 16Gbps 256GB/s | 32 | 237㎟ | 160W | – |
RTX 3050 | 2560 | GDDR6 8GB 128bit | 15Gbps 224GB/s | 20 | 276㎟ | 130W | 249ドル |
RX 6600 | 1792 | GDDR6 8GB 128bit | 14Gbps 224GB/s | 28 | 237㎟ | 132W | 239ドル |
今回見ていくのはRTX 40シリーズのリフレッシュ版「RTX 40 SUPER」の「GeForce RTX 4080 SUPER」ハイエンドGPUです。基本仕様は既存の「RTX 40シリーズ」と同様で、アーキテクチャは「Ada Lovelace」で、製造プロセスも「TSMC 4N(カスタム)」となっています。コア・メモリ・クロック等の調整がされたシリーズとなっています。
既に登場している「RTX 4070 SUPER」および「RTX 4070 Ti SUPER」においては、元モデルから大きな向上が魅力のモデルとなっていましたが、「RTX 4080 SUPER」は性能自体はRTX 4080から微増程度で、主に1,199ドルから999ドルへの値段引き下げが注目のモデルとなっています。また、「RTX 4080」はSUPERの登場に伴い市場から廃止予定です。
ただ、記事執筆時点で既に初動の実売価格が判明していますが、いわゆるアリバイ価格と呼ばれる最安価格では約162,800円のものがありますが、それを除いた次点は約185,800円~ほどとなっており、既存のRTX 4080よりも少し高価になっています。そのため、少なくとも発売時にはコスパの向上はほぼ無い点は注意が必要です。
「RTX 4080」と同様にAD103シリコンが使用されており、CUDAコア数は9728から10240に向上(約+5.3%)し、利用可能なプロセッサー数を最大限活用する形になっています。他のコア類も同様の向上率となっています。クロックもわずかに向上しており、ベースクロックは2210MHzから2290MHz(約+3.6%)、ブーストクロックは2510MHzから2550MHz(約+1.6%)になっています。
VRAMに関しては更にわずかな向上で、RTX 4080と16GB GDDR6Xで256bitというのは同じで、メモリクロックが22.4Gbpsから23.0Gbpsへとわずかに上昇したのみとなっています。これによって帯域幅も約716.8GB/sから736.3GB/sへと微増していますが、差はほとんどないものと考えて良いかなと思います。L2キャッシュも同じ64MBのままです。
カタログスペックの時点で大きな向上が望め無さそうなのは少し残念ですが、恐らくはそのおかげで消費電力(TGP)もRTX 4080と同じ320Wが維持されているのは良いと思います。「RTX 4080」は現行世代でのトップクラスの効率の良さも魅力でしたが、その点については維持されていることがわかります。
といった感じで「RTX 4080 SUPER」自体の仕様面の紹介はここまでにして、以下からは「RTX 40シリーズ」に共通する仕様面についても軽く触れていこうと思います(基本的に過去記事のコピペです)。
まず映像コーデックの対応で、「AV1」に対して、RTX 30シリーズではデコードだけのサポートでしたが、RTX 40ではエンコードにも対応しています。特にクリエイターの方にとっては嬉しい仕様だと思いますし、AV1は将来性があって採用率が高くなっていく可能性も高いため、導入しておくと安心できます。
レイトレーシングでは「RTコア」がRTX 30シリーズの第2世代から第3世代に更新されています。第3世代「RTコア」では「Shader Execution Reordering」などの新機能が追加され、性能が向上しています。
NVIDIAのアップスケーリング技術である「DLSS」でも、対応コアである「Tensorコア」が第3世代から第4世代へと更新されています。これにより、アップグレードされた「DLSS 3」を利用することができます。「DLSS 3」では中間フレームを作成することで負荷を大幅に軽減する機能が追加されており、性能が格段向上しているとNVIDIAは主張しており、実際に負荷がかなり軽減されている結果があります。そのため、重量級のゲームを高解像度でプレイしたい場合などには非常に役立つと思います。ただ、AMDのFSRでもフレーム生成機能が含まれており、こちらはGeForceとRadeonのどちらでも使えるので、フレーム生成自体はDLSS 3の固有の機能という訳では無い点は一応留意です。とはいえ、最終的な品質ではDLSS 3の方が優れているという意見が多いので、アップスケーリングを重視するならやはりRTX 40は魅力的です。
といった感じで、カタログスペックについてはここまでとして、実際の各性能について下記から見ていきたいと思います。
ゲーミング性能
ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。今回は25種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。
まずは、レイトレーシングやアップスケリーング等は無効の状態での性能、いわゆるラスタライズ性能を見ていきます。
使用されたグラフィックボードは「NVIDIA GeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition(通称FE版)」、CPUは「Core i9-14900K」で、OSはWindows 11が使用されています。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします。
1080p(1920×1080)
FHD(1920×1080)です。最低限の解像度という感じですが、2024年現在では最も主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、特にFPSやTPSでは出来るだけ高いFPSを維持するためにこの設定にするのが主流だと思います。ただし、RTX 4090など最新世代のハイエンドGPUでは低負荷感も大きくなっているものもあります。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 223.6 |
RX 7900 XTX | 197.9 |
RTX 4080 SUPER | 195.4 |
RTX 4080 | 193.8 |
RX 7900 XT | 179.1 |
RTX 4070 Ti SUPER | 177.8 |
RTX 4070 Ti | 167.6 |
RTX 3090 Ti | 165.4 |
RTX 4070 SUPER | 157.6 |
RTX 3090 | 153.3 |
RX 6900 XT | 149.2 |
RX 7800 XT | 144.0 |
RX 6800 XT | 140.9 |
RTX 3080 10GB | 139.1 |
RTX 4070 | 139.0 |
RX 7700 XT | 124.9 |
RTX 3070 Ti | 116.9 |
RTX 3070 | 111.0 |
RTX 4060 Ti 16GB | 107.9 |
RTX 4060 Ti 8GB | 107.0 |
RX 6700 XT | 101.2 |
RTX 3060 Ti | 97.6 |
RX 7600 XT | 89.6 |
RTX 4060 | 85.0 |
RX 7600 | 82.0 |
RX 6600 XT | 79.3 |
Arc A770 16GB | 77.6 |
RTX 3060 12GB | 74.9 |
RTX 3050 | 54.0 |
RTX 4080と同等の1080p性能
1080pでの性能はRTX 4080と同等で、非常に優れています。軽いゲームなら平均240fps超えも十分に狙うことができ、重量級ゲームの最高設定でも144fps超えが珍しくないレベルの高性能さです。
性能自体には不満があるものではないですが、RTX 4080との差はわずか0.8%とほぼありませんでした。CUDAコアは約5.3%増え、クロックもわずかながら向上した割にはほぼ変化はありませんでした。
200ドルの値下げ分でコスパは以前よりかなり良くなっているはずですが、元の価格が高すぎたので、純粋なコスパは値下げ後でもそこまで良くはないです。例を挙げると、適正価格なら半額程度であるはずの「RTX 4070 / RTX 4070 SUPER」に2倍の差が付けられているかというと、実際には1.24倍~1.4倍程度の差しかついていません。このように、人気の高コスパGPUと比べると、安くなったとしても純粋なコスパは到底敵わない点は注意です。
やはり、このクラスのGPUでは1080pのラスタライズはボトルネックとなるものが多いせいか、GPU性能を最大限活かせず、コスパも悪い傾向があるように思います。
1440p(2560×1440)
WQHD(2560×1440)です。4Kは重すぎるけど、1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度は1080pですが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 188.1 |
RX 7900 XTX | 159.5 |
RTX 4080 SUPER | 155.8 |
RTX 4080 | 154.1 |
RX 7900 XT | 139.9 |
RTX 4070 Ti SUPER | 137.5 |
RTX 3090 Ti | 131.3 |
RTX 4070 Ti | 128.2 |
RTX 3090 | 119.2 |
RTX 4070 SUPER | 118.6 |
RX 6900 XT | 114.0 |
RX 7800 XT | 109.3 |
RX 6800 XT | 106.8 |
RTX 3080 10GB | 106.1 |
RTX 4070 | 103.5 |
RX 7700 XT | 92.1 |
RTX 3070 Ti | 87.7 |
RTX 3070 | 82.6 |
RTX 4060 Ti 16GB | 78.0 |
RTX 4060 Ti 8GB | 77.1 |
RX 6700 XT | 74.3 |
RTX 3060 Ti | 71.6 |
RX 7600 XT | 64.0 |
RTX 4060 | 61.3 |
Arc A770 16GB | 59.9 |
RX 7600 | 57.9 |
RX 6600 XT | 56.1 |
RTX 3060 12GB | 54.7 |
RTX 3050 | 39.2 |
1440pもRTX 4080と同等
1440pでもRTX 4080との差はわずか1.1%で、同等のパフォーマンスでした。重めのタイトルでも平均144fps超えを普通に狙うことができる高性能さです。
1080pよりはボトルネック面もやや改善しており、「RTX 4070」で40%程度だった差も50%程度まで広がっています。価格差を考えればまだコスパが良いとは言えないレベルだとは思いますが、重量級のゲームの高設定で100~165fpsを安定して出すにはこのクラスのGPUが必要にはなってくるので、優位性は上がっていると思います。
4K(3840×2160)
「超高解像度の代名詞」ともいえる解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、その負荷の大きさから高いFPSを出す事が難しいためTPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはまずないです。処理性能の要求が高いだけでなく、高リフレッシュレートの4Kモニターが非常に高価ということもあり、2023年現在では競技性の高いゲームではあまり利用されません。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 118.7 |
RX 7900 XTX | 96.1 |
RTX 4080 SUPER | 93.7 |
RTX 4080 | 92.5 |
RTX 3090 Ti | 81.5 |
RX 7900 XT | 81.0 |
RTX 4070 Ti SUPER | 80.8 |
RTX 4070 Ti | 72.8 |
RTX 3090 | 72.5 |
RTX 4070 SUPER | 67.5 |
RX 6900 XT | 65.3 |
RTX 3080 10GB | 63.6 |
RX 7800 XT | 62.3 |
RX 6800 XT | 60.7 |
RTX 4070 | 58.6 |
RX 7700 XT | 50.7 |
RTX 3070 Ti | 50.5 |
RTX 3070 | 47.3 |
RTX 4060 Ti 16GB | 43.2 |
RTX 4060 Ti 8GB | 41.1 |
RTX 3060 Ti | 40.7 |
RX 6700 XT | 40.7 |
Arc A770 16GB | 35.8 |
RX 7600 XT | 34.8 |
RTX 4060 | 33.6 |
RTX 3060 12GB | 31.2 |
RX 7600 | 30.1 |
RX 6600 XT | 29.2 |
RTX 3050 | 21.6 |
4Kでも高いfps
4Kゲーム性能も高いです。重量級ゲームが中心の4Kの最高設定でも平均93.7fpsを記録しています。やはりRTX 4080と同等の性能です。
平均60fpsは基本達成することが可能で、特別重くないタイトルや設定を下げることを想定するなら100fps超えも狙えるレベルの高性能さです。4Kなら下位GPUに対しての差もかなり大きくなっており、「RTX 4070」との差も約60%まで広がっています。
ただ、VRAM容量が同じで200ドル安い「RTX 4070 Ti SUPER」との差が約16%というのが気になるところです。少なくとも現状では「RTX 4080 SUPER」クラスの性能があっても、ボトルネックや環境のせいで1080pや1440pでは最大限性能を発揮しにくい状況がありますから、その辺りのネックが多少改善されつつ価格も安い「RTX 4070 Ti SUPER」が4Kでも価格差分くらいの性能差なので、無駄な費用を掛けずに節約するという意味では魅力的にも見えると思います。
電力関連
消費電力
ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」で、解像度は「3840×2160(4K)」です。
GPU名称 | 消費電力 |
---|---|
RTX 4060 | 128W |
RTX 3050 | 132W |
RTX 4060 Ti 8GB | 152W |
RX 7600 | 152W |
RX 6600 XT | 159W |
RTX 4060 Ti 16GB | 165W |
RTX 3060 | 183W |
RX 7600 XT | 193W |
RTX 4070 | 201W |
RTX 3060 Ti | 205W |
RTX 4070 SUPER | 218W |
RX 6700 XT | 224W |
RX 7700 XT | 228W |
RTX 3070 | 232W |
Arc A770 16GB | 235W |
RX 7800 XT | 250W |
RTX 4070 Ti | 277W |
RTX 4070 Ti SUPER | 292W |
RX 6800 XT | 294W |
RX 6900 XT | 300W |
RTX 3070 Ti | 302W |
RTX 4080 SUPER | 302W |
RTX 4080 | 304W |
RX 7900 XT | 312W |
RTX 3080 10GB | 336W |
RX 7900 XTX | 353W |
RTX 3090 | 368W |
RTX 4090 | 411W |
RTX 3090 Ti | 537W |
TGPをやや下回る302Wで、性能を考えると少ない
ゲーム時の平均消費電力は302Wで、TGPの320Wをやや下回っていました。性能を考えるとかなり少なくて素晴らしいです。「RTX 4080」の頃からカタログ値よりも良い状況がありましたが、それが維持されているのは嬉しいです。このクラスの性能を備えながら、前世代のハイエンド平均よりも若干下くらいの電力で稼働することができます。
ワットパフォーマンス
ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています。測定に使用されたゲームは「Cyberpunk 2077(4K/Ultra/レイトレ無効)」です。
GPU名称 | 1フレームあたりの消費電力 |
---|---|
RTX 4080 SUPER | 4.0W |
RTX 4080 | 4.0W |
RTX 4070 SUPER | 4.1W |
RTX 4090 | 4.2W |
RX 7900 XTX | 4.4W |
RTX 4060 Ti 8GB | 4.5W |
RTX 4070 | 4.5W |
RX 7900 XT | 4.7W |
RTX 4070 Ti SUPER | 4.7W |
RTX 4070 Ti | 4.7W |
RX 7800 XT | 4.9W |
RTX 4060 Ti 16GB | 5.1W |
RTX 4060 | 5.3W |
RX 7600 | 5.7W |
RX 7700 XT | 5.7W |
RTX 3070 | 6.0W |
RX 6900 XT | 6.2W |
RTX 3060 Ti | 6.2W |
RTX 3090 | 6.3W |
RX 6600 | 6.3W |
RX 6800 XT | 6.5W |
RTX 3080 10GB | 6.5W |
RX 7600 XT | 6.6W |
RX 6600 XT | 6.9W |
RTX 3070 Ti | 7.3W |
Arc A770 16GB | 7.3W |
RX 6700 XT | 7.4W |
RTX 3060 | 7.5W |
RTX 3050 | 8.0W |
RTX 3090 Ti | 8.0W |
ワットパフォーマンスは同世代でトップクラスの良さ
ワットパフォーマンスは同世代GPUの中でトップクラスに良いです。「RTX 4080 SUPER」の大きな強みです。
元の「RTX 4080」がそもそも非常に良くて、そこから微調整レベルの変化ですから予想できた結果ではあるものの、やはり嬉しい要素です。上の表では小数点以下を除いているのでわかりませんが、「RTX 4080」よりもわずかに向上しており、現状ではトップに位置しています。
これは4Kゲームでの結果なので、ボトルネックが出やすくなるより低負荷な環境ではもう少し下がる可能性はあるものの、これだけの良い数値なら多少下がっても同世代で不利になることはまずないレベルの優秀さだと思います。
日常的に高負荷な処理を長時間行うような使い方の場合には、非常に魅力的なGPUだと思います。
レイトレーシング性能
レイトレーシング性能
レイトレーシング性能を見ていきます。レイトレーシングはメインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性があります。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 149.1 |
RTX 4080 SUPER | 128.1 |
RTX 4080 | 127.3 |
RTX 4070 Ti SUPER | 116.4 |
RTX 4070 Ti | 110.2 |
RTX 3090 Ti | 107.8 |
RTX 4070 SUPER | 103.4 |
RX 7900 XTX | 103.2 |
RTX 3090 | 99.0 |
RX 7900 XT | 93.2 |
RTX 4070 | 91.9 |
RTX 3080 10GB | 90.1 |
RX 7800 XT | 75.4 |
RX 6900 XT | 72.7 |
RTX 3070 Ti | 71.3 |
RTX 4060 Ti 16GB | 71.1 |
RX 6800 XT | 68.5 |
RTX 3070 | 68.4 |
RTX 4060 Ti 8GB | 67.4 |
RX 7700 XT | 66.4 |
RTX 3060 Ti | 60.3 |
RX 6800 | 58.9 |
RTX 4060 | 54.5 |
RX 6700 XT | 48.9 |
RX 7600 XT | 46.6 |
RX 7600 | 39.5 |
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 120.0 |
RTX 4080 SUPER | 99.1 |
RTX 4080 | 98.6 |
RTX 4070 Ti SUPER | 88.1 |
RTX 3090 Ti | 82.5 |
RTX 4070 Ti | 82.3 |
RX 7900 XTX | 79.7 |
RTX 4070 SUPER | 75.9 |
RTX 3090 | 74.7 |
RX 7900 XT | 70.4 |
RTX 3080 10GB | 67.0 |
RTX 4070 | 66.7 |
RX 7800 XT | 54.9 |
RX 6900 XT | 52.1 |
RTX 4060 Ti 16GB | 50.1 |
RX 6800 XT | 49.1 |
RX 7700 XT | 47.0 |
RTX 3070 Ti | 43.9 |
RX 6800 | 42.4 |
RTX 3070 | 42.0 |
RTX 4060 Ti 8GB | 40.9 |
RTX 3060 Ti | 37.2 |
RX 6700 XT | 33.5 |
RTX 4060 | 33.1 |
RX 7600 XT | 33.0 |
RX 7600 | 23.3 |
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 | 74.9 |
RTX 4080 SUPER | 57.8 |
RTX 4080 | 57.1 |
RTX 4070 Ti SUPER | 50.4 |
RTX 3090 Ti | 48.8 |
RX 7900 XTX | 46.1 |
RTX 3090 | 43.4 |
RX 7900 XT | 39.2 |
RTX 4070 Ti | 36.6 |
RTX 4070 SUPER | 34.2 |
RTX 4070 | 30.2 |
RX 7800 XT | 30.1 |
RTX 3080 10GB | 29.0 |
RX 6900 XT | 28.2 |
RTX 4060 Ti 16GB | 27.3 |
RX 6800 XT | 26.5 |
RX 6800 | 22.8 |
RX 7700 XT | 21.1 |
RTX 3070 Ti | 19.9 |
RTX 3070 | 18.5 |
RTX 4060 Ti 8GB | 17.6 |
RTX 3060 Ti | 16.7 |
RX 7600 XT | 16.6 |
RX 6700 XT | 16.1 |
RTX 4060 | 14.6 |
RX 7600 | 7.1 |
RTX 4080と同等の非常に優れたレイトレーシング性能
ネイティブのレイトレーシング性能は高いです。アップスケーリングに頼らずとも、1080pで軽いタイトルなら144fpsに達成することが可能なレベルで、1440pでも高いfpsを維持することができます。さすがのレイトレーシング性能です。
VRAM性能重視で「Radeon RX 7900 XT / XTX」との差が気になる方も居ると思いますが、レイトレーシング性能で大きな差がある点がまず要点の一つです。 RX 7900 XTXに対しては、平均で約24%上回っており、大きな差があることがわかります。
人気の高GPUではVRAMは8GB~12GBがまだ主流ですが、レイトレーシングはVRAM要求値が高いため、そのあたりだとやや頼りない場面も多いため、ラスタライズよりも優位性は高くなっていると思います。特に1440pあたりからは8GB~12GBあたりだと大きなネックになってくるので、その差はかなり大きくなっています。実用する人はほぼ居なさそうですが、特に4Kレイトレーシングでは下位GPUに対しての差は非常に大きくなっており、「RTX 4070」と比べてみると91.3%も上回ります。
最近ではフレーム生成機能の実用化が進んでいることもあり、以前より下位GPUでもプレイはできるみたいな部分がありますが、ネイティブでも高い性能を発揮する「RTX 4080 SUPER」のアップスケーリング併用時のパフォーマンスは当然非常に高いので、レイトレーシングで144fps以上の滑らかな映像で楽しみたい場合には非常に強力なGPUです。
コストパフォーマンス
上述のfpsを基にGPUの1フレームあたりの価格を算出し、コストパフォーマンスを比較しています。数値が低い方が良い点に注意です。各GPUの価格は、記事執筆時点のおおよその市場最安値価格です。ラスタライズとレイトレーシング時の両方を見ていきます。
元のゲーミング性能の解像度は1440pを用いています。4Kなどではやや結果が異なる可能性がある点に注意です。
1フレームあたりの価格(ラスタライズ)
まずはラスタライズ性能のコスパです。上述の1440pゲーム時の性能と現在の市場価格を基に、1フレームあたりの価格を算出し、コスパとして比較しています。
「RTX 4080 SUPER」の初動主要価格は185,800円~くらいですが、元の999ドルという価格設定を考えるとこれは高すぎるので、一応初動の最安値かつ適正価格想定の162,800円でのコスパも併せて載せています。
GPU名称 | 1フレームあたりの価格 | 価格 |
---|---|---|
RX 7600 | ¥639 | ¥36,980 |
RX 6700 XT | ¥667 | ¥49,580 |
RTX 3070 Ti | ¥670 | ¥58,800 |
RX 6600 XT | ¥677 | ¥37,980 |
RTX 4060 | ¥701 | ¥42,980 |
RTX 3060 12GB | ¥709 | ¥38,800 |
RTX 3070 | ¥724 | ¥59,800 |
RX 7700 XT | ¥725 | ¥66,800 |
RX 7800 XT | ¥730 | ¥79,800 |
RTX 4060 Ti 8GB | ¥744 | ¥57,400 |
RTX 3050 | ¥760 | ¥29,800 |
RTX 3060 Ti | ¥765 | ¥54,800 |
Arc A770 16GB | ¥781 | ¥46,800 |
RTX 4070 | ¥810 | ¥83,800 |
RTX 4070 SUPER ※発売直後 | ¥825 | ¥97,800 |
RX 6800 XT | ¥831 | ¥88,800 |
RTX 3080 10GB | ¥837 | ¥88,800 |
RX 7900 XT | ¥858 | ¥120,000 |
RTX 4070 Ti | ¥858 | ¥109,980 |
RX 6900 XT | ¥858 | ¥97,800 |
RTX 4060 Ti 16GB | ¥882 | ¥68,800 |
RX 7900 XTX | ¥939 | ¥149,800 |
RTX 4070 Ti SUPER※値下がり想定 | ¥944 | ¥129,800 |
RTX 4080 SUPER ※値下がり想定 | ¥1,045 | ¥162,800 |
RTX 4070 Ti SUPER※発売直後 | ¥1,075 | ¥147,800 |
RTX 4080 | ¥1,167 | ¥179,800 |
RTX 4080 SUPER ※発売直後 | ¥1,193 | ¥185,800 |
RTX 4090 | ¥1,594 | ¥299,800 |
ラスタライズのコスパは悪い
「RTX 4080 SUPER」のラスタライズのゲーム性能コスパは悪いです。値下がり後想定の162,800円で算出しても、ミドルレンジ帯の高コスパGPUには大きく劣っています。
200ドル値下がりしたとしても、16万円クラスの物凄く高価なGPUではある点は変わらないですし、現状の主要なゲーム環境においては高性能すぎてオーバースペックになりがちという点を考慮しても、コスパ重視のGPUとは見れないかなと思います。この価格のGPUなので仕方ない部分です。
ただ、実際にPCに組み込む際には他の費用が加算されるので、その場合には高性能なほど少し優位性はありますし、値下がり後の価格を想定すれば以前よりはかなり改善はします。効率も非常に良いですし、4Kやレイトレでも高い性能が欲しいけど、価格面がネックで手を出しづらかった人にとっては少し導入しやすくはなるのかなと思います。
1フレームあたりの価格(レイトレーシング)
次にレイトレーシング時のコスパを見ていきます。DLSSやFSR等のアップスケーリング技術は使用していない場合のものになります。
GPU名称 | 1フレームあたりの価格 | 価格 |
---|---|---|
RTX 4070 | ¥1,256 | ¥83,800 |
RTX 4070 SUPER ※発売直後 | ¥1,289 | ¥97,800 |
RTX 3080 10GB | ¥1,325 | ¥88,800 |
RTX 4070 Ti | ¥1,336 | ¥109,980 |
RTX 3070 Ti | ¥1,339 | ¥58,800 |
RTX 4060 Ti 16GB | ¥1,373 | ¥68,800 |
RTX 4060 Ti 8GB | ¥1,403 | ¥57,400 |
RX 7700 XT | ¥1,421 | ¥66,800 |
RTX 3070 | ¥1,424 | ¥59,800 |
RX 7800 XT | ¥1,454 | ¥79,800 |
RTX 3060 Ti | ¥1,473 | ¥54,800 |
RTX 4070 Ti SUPER ※値下がり想定 | ¥1,473 | ¥129,800 |
RX 6700 XT | ¥1,480 | ¥49,580 |
RX 7600 | ¥1,587 | ¥36,980 |
RTX 4080 SUPER ※値下がり想定 | ¥1,643 | ¥162,800 |
RTX 4070 Ti SUPER ※発売直後 | ¥1,678 | ¥147,800 |
RX 7900 XT | ¥1,705 | ¥120,000 |
RX 6800 XT | ¥1,809 | ¥88,800 |
RTX 4080 | ¥1,824 | ¥179,800 |
RTX 4080 SUPER ※発売直後 | ¥1,875 | ¥185,800 |
RX 6900 XT | ¥1,877 | ¥97,800 |
RX 7900 XTX | ¥1,880 | ¥149,800 |
RTX 4090 | ¥2,498 | ¥299,800 |
レイトレーシングもコスパは悪い
レイトレシーングのコスパもラスタライズと同様に悪いです。価格が問題なので仕方ない部分です。ただ、レイトレーシングでは下位GPUに対して快適度で圧倒的な差があるので、数字だけでは判断できない部分もあります。
とはいえ、値下がり後の価格を想定したとしても、現状の高価な「RTX 4070 Ti SUPER」と同等のコスパですし、「RTX 4080 SUPER」と「RTX 4070 Ti SUPER」の値下がりはある程度連動しそうなことを考えると、総合的に見ると「RTX 4070 Ti SUPER」の方が純粋なコスパは少し上です。
効率は「RTX 4080 SUPER」の方がやや優れている点や、PC総額から見たコスパなどを考えると一概にはどちらが良いとは言えないですが、安いのはやはりメリットなので「RTX 4070 Ti SUPER」の方が優先度は高くなるのかなと思います。
クリエイティブ用途
比較の最後は、クリエイティブ用途でのパフォーマンスを見ていきます。
一般的な動画編集等の基準性能としてFP32(単精度浮動小数点演算)の理論演算性能、「Blender」におけるGPUレンダリング性能、「SPECviewperf 2020 v3」によるOpenGL性能、AIイラスト生成ソフト「Stable Diffusion」の性能をそれぞれ見ていきたいと思います。
また、ここのテストは上述までとは異なるテストシステムを使用した海外レビュー(Tom’s Hardware)を参考にしています。「Core i9-13900K」と「DDR5-6600 CL34 32GB(16GBx2)」が使用されています。他の条件について気になる方は上述の参考リンクをご覧ください。
理論演算性能(FP32)
FP32(単精度浮動小数点演算)は、理論演算性能を示す一つの指標です。単位はTFLOPS(テラフロップス)を用います。実際のテストから算出するものではなく、シェーダーユニット数(対応の演算器の数)とクロックから計算した、理論上の処理性能を表します。製品によってクロックが異なるので、下記の表の数値と異なる可能性がある点に注意です。
一般的な動画編集においてのクリエイティブ性能は、このFP32とVRAMの性能(データ量が多い処理の場合)によって比例する傾向があります。実際「Premiere Pro CC」や「Davinci Resolve」などの主要な動画編集ソフトでの編集やプレビュー速度はある程度比例する傾向があるので、まず参考に見ていこうと思います(完全に一致する訳ではないので注意)。
GPU名称 | FP32(TFLOPS) |
---|---|
RTX 4090 24GB 1008GB/s | 82.58 |
RX 7900 XTX 24GB 960GB/s | 61.42 |
RTX 4080 SUPER 16GB 736.3GB/s | 52.22 |
RX 7900 XT 20GB 800GB/s | 51.48 |
RTX 4080 16GB 716.8GB/s | 48.74 |
RTX 4070 Ti SUPER 16GB 672GB/s | 44.10 |
RTX 4070 Ti 12GB 504GB/s | 40.09 |
RX 7800 XT 16GB 624GB/s | 37.32 |
RTX 4070 SUPER 12GB 504GB/s | 35.48 |
RX 7700 XT 12GB 432GB/s | 35.17 |
RTX 3080 10GB 760GB/s | 29.77 |
RTX 4070 12GB 504GB/s | 29.15 |
RX 7600 XT 16GB 288GB/s | 22.57 |
RTX 4060 Ti 8GB / 16GB 288GB/s | 22.06 |
RTX 3070 Ti 8GB 608GB/s | 21.75 |
RX 7600 8GB 288GB/s | 21.75 |
RX 6800 XT 16GB 512GB/s | 20.74 |
RTX 3070 8GB 448GB/s | 20.31 |
Arc A770 16GB 16GB 560GB/s | 17.20 |
RTX 3060 Ti 8GB 448GB/s | 16.20 |
RX 6800 16GB 512GB/s | 16.17 |
RTX 4060 8GB 272GB/s | 15.11 |
RX 6700 XT 12GB 384GB/s | 13.21 |
RTX 3060 12GB 12GB 360GB/s | 12.74 |
RX 6600 XT 8GB 256GB/s | 10.61 |
RTX 3050 8GB 224GB/s | 9.10 |
RX 6600 8GB 224GB/s | 8.93 |
理論性能は高いが、VRAMが価格の割には強力ではない点に注意
FP32は「RTX 4080」からコア数の増加やクロック向上があったため少し向上しています。
性能自体は非常に高いですが、価格を考えればコスパは良くはないのと、VRAMのスペックも価格の割には強力ではないので(十分高性能ではあるけど)、そこは一応留意しておいても良いかもしれません。
Blender(3DのGPUレンダリング)
「Blender」は人気のある定番のレンダリングソフトです。「Blender 3.6.0」を用いた「Blender Benchmark」の3つのテスト結果の幾何平均を総合スコアとし、比較していきます。
「Blender 3.6.0」では、AMD、NVIDIA、Intel Arc GPUでレイトレーシングを使用するCycles Xエンジンが含まれているため、レイトレーシング性能も重要となります。しかし、どうやら「Blender 3.6.0」ではレイトレーシング用のコアを直接使用するのではなく、メインのGPUシェーダーを介しての処理となるようです。そのため、RTコアではなくメインのGPUコア(CUDAコア)でレイトレーシングを高速化できるエンジンの「Optix」を持つGeForceに現状では優位性があります。
GPU名称 | 総合スコア(幾何平均) |
---|---|
RTX 4090 | 4213.9 |
RTX 4080 SUPER | 3210.1 |
RTX 4080 | 3119.6 |
RTX 4070 Ti SUPER | 2732.0 |
RTX 4070 Ti | 2368.5 |
RTX 4070 SUPER | 2310.1 |
RTX 4070 | 1943.2 |
RTX 4060 Ti 8GB | 1419.4 |
RTX 4060 Ti 16GB | 1371.2 |
RTX 3070 Ti | 1356.2 |
RX 7900 XTX | 1252.9 |
RTX 4060 | 1160.3 |
RX 7900 XT | 1144.1 |
RX 7800 XT | 752.6 |
Arc A770 16GB | 696.5 |
RX 7700 XT | 649.7 |
RX 7600 XT | 434.7 |
RX 7600 | 422.5 |
RTX 4080からわずかに向上したレンダリング性能
Blenderにおけるレンダリング性能は非常に高いです。RTX 4080からは約2.9%向上し、ゲームよりは高い向上率を記録しています。
また、現状ではBlenderにおけるレンダリング性能はRadeonよりもGeForceが大幅に有利なのもポイントです。理論性能とVRAM性能を考えれば「RX 7900 XT / XTX」は「RTX 4080 SUPER」以上の性能があってもおかしくないですが、実際には2.5倍以上もRTX 4080 SUPERが高速です。
この差は処理の仕組みがGeForce有利に働いているので仕方がなく、この劇的な差が維持されるかは各GPUメーカーのドライバなどによる改善や、ソフト側の最適化によるものの、少なくとも現状Blenderでのレンダリングを想定するならGeForce一択というのは覚えておくと良いかもしれません。
SPECviewperf 2020 v3(主にOpenGL)
「SPECviewperf 2020 v3」は主にOpenGL性能を測るベンチマークです。OpenGLはクロスプラットフォームに対応した汎用型のグラフィックスライブラリとなっており、ゲームだけでなく幅広い分野で利用されています。
今回見るのは「SPECviewperf 2020 v3」の8つのテストの総合スコア(幾何平均)です。ただし、一般的にはテストに使用される処理全てを利用する人はほぼ居ないと思うため、自分が使用するアプリケーションで使用される処理について確認することが重要な点は留意しておきましょう。今回は総合的な性能で相対的な差を求めるために、幾何平均による総合スコアを用いています。
GPU名称 | 総合スコア(幾何平均) |
---|---|
RX 7900 XTX | 202.79 |
RX 7900 XT | 178.16 |
RX 7800 XT | 129.15 |
RTX 4090 | 126.26 |
RX 7700 XT | 112.95 |
RTX 4080 SUPER | 101.12 |
RTX 4080 | 98.57 |
RTX 4070 Ti SUPER | 88.95 |
RX 7600 XT | 83.67 |
RTX 4070 Ti | 80.29 |
RX 7600 | 79.14 |
RTX 4070 SUPER | 75.98 |
RTX 4070 | 66.71 |
RTX 3070 Ti | 56.17 |
RTX 4060 Ti 16GB | 51.12 |
RTX 4060 Ti 8GB | 50.92 |
RTX 4060 | 43.51 |
Arc A770 16GB | 30.78 |
GeForceのOpenGL性能はRadeonに大幅に劣るけど、制限下でも比較的優れた性能
GeForceではOpenGL性能に強い制限が掛けられていて、Radeonの方が有利です。同社のプロフェッショナル向けGPUの需要を維持するための調整となっています。
Radeonでも同様にプロフェッショナル向けのGPUがあり、ゲーム向けGPUでは制限が掛けられていますが、その制限がGeForceよりは緩いです。そのため、ゲーム向けGPU同士の比較だとRadeonの方が明らかに良く見えるという状況になっています。
なのですが、「RTX 4080 SUPER」はさすがの超高額ハイエンドGPUで、制限された状況でも比較的高いパフォーマンスです。
ただし、一部の処理では物凄く低いパフォーマンスだったりすることもありますし、「RX 7900 XT / XTX」の方が1.76倍~2倍程度の圧倒的に高い性能を発揮するので、OpenGLで高い性能を要求されることが事前にわかっている場合には、Radeonにするかクリエイター用のプロフェッショナルモデルにする方が良いです。
Stable Diffusion(AIイラスト生成)
現在、AIイラストソフトで人気のある「Stable Diffusion」を用いて、AIイラストの生成時間を比較しています。よく利用されるAIイラスト生成ソフトは他にもありますが「Stable Diffusion」が恐らくは一番定番と言えるものだと思います。
各GPUで「768×768の20枚の画像を生成するのに掛かる時間」を測定し、1分あたり何枚の画像を生成できるかを各GPUで算出して比較しています。
GPU名称 | 1分あたりの生成枚数 |
---|---|
RTX 4090 | 29.958 |
RTX 4080 SUPER | 20.670 |
RTX 4080 | 20.320 |
RTX 4070 Ti SUPER | 18.060 |
RTX 4070 Ti | 15.888 |
RTX 4070 SUPER | 14.234 |
RTX 4070 | 12.861 |
RX 7900 XTX | 10.915 |
RTX 3070 Ti | 10.617 |
RX 7900 XT | 9.545 |
RTX 4060 Ti 8GB | 8.587 |
RTX 4060 Ti 16GB | 8.457 |
RX 7800 XT | 7.031 |
RTX 4060 | 6.990 |
RX 7700 XT | 6.205 |
Arc A770 16GB | 4.697 |
RX 7600 XT | 4.143 |
RX 7600 | 3.489 |
AIイラスト生成性能は非常に優れているけど、16万円以上で16GB VRAMは強くはない
Stable Diffusionにおけるイラスト生成性能は高いです。768×768の場合は1分間に約20枚の画像を生成することができており、非常に高速で快適です。
ただし、高解像度の画像生成AIではVRAMの容量が非常に重要となるので、価格の割には容量が少ない16GBの「RTX 4080 SUPER」は、一応コスパ面では良くないです。
パフォーマンスは高くて快適なので、致命的という感じでもないかとは思いますが、同じ16GBというVRAM容量を搭載する「RTX 4070 Ti SUPER」に対しての優位性は+14.5%程度に留まっています。「RTX 4070 Ti SUPER」でも十分快適かつ高解像度への対応力もさほど変わらないという点を考慮すると、20%安価な「RTX 4070 Ti SUPER」の方が純粋なコスパは少し良いと言えるのかなと思います。効率ではやや有利な点もあるので一概に4070 Ti SUPER有利とも言えないですが、200ドル差はやはり大きい気がします。
まとめ
GeForce RTX 4080 SUPER
- 元のRTX 4080よりも200ドルも安い価格設定
- 4Kでも高いfpsを発揮する非常に優れた性能
- 非常に優れたレイトレーシング性能
- 同世代トップクラスのワットパフォーマンス
- 生成AIやクリエイティブ用途でも非常に強力
- DLSS 3に対応
- AV1デコードおよびエンコードをサポート
- 非常に高価(初動実売価格:約18.6万円~)
- 純粋なコスパは良くない
- 価格の割には少ないVRAM容量(16GB)
RTX 4080 SUPER:性能はRTX 4080とほぼ同等で、希望小売価格が200ドル値下がりしたハイエンドGPU
見出しの通り、「RTX 4080 SUPER」は、パフォーマンスはRTX 4080からほとんど変わらず、希望小売価格が200ドル値下がりしたGPUです。
性能に関してはRTX 4080と同様で、4Kでも高いパフォーマンスを期待できる非常に高性能で素晴らしいハイエンドGPUです。ただし、RTX 4080とのゲームでの性能差はわずか1%程度でした。性能が微増程度なのはカタログスペックの時点では想像が付いていたことですが、思った以上に差が無かったです。とはいえ、価格は大幅に値下がりしたおかげでコスパが悪くなった訳ではないので、そこまで気にしなくても良い部分だと思います。
値下がりしたことにより、希望小売価格では「RX 7900 XTX」に近いものとなりました。「RX 7900 XTX」は24GB VRAMを搭載しており、それで近い価格となると魅力的にも見えますが、ラスタライズのゲーム性能では「RX 7900 XTX」の優位性は4Kでも4%程度です。また、レイトレーシングでも現状ではGeForceの方が有利なので、「RTX 4080 SUPER」の方が明らかに有利です。そのため、「RX 7900 XTX」の24GB VRAMのおかげで大きく優位に立つケースはほとんどありません。これには、現状は先に挙げたレイトレーシングの他に、画像生成AIでもGeForceが有利な点も大きく関わりますが、何にせよ同価格なら「RTX 4080 SUPER」の方が魅力的だと思います。ただし、ドライバやソフトによる最適化により状況が変わる可能性はあるので、あくまで「現状」という点には注意が必要です。
そしてまたVRAMの話になりますが、「RTX 4080 SUPER」の16GB VRAM自体は全体で見れば強力ではあるものの、「16万円以上のGPUに搭載される容量」と考えると強力ではない点も一応注意です。200ドル安価な「RTX 4070 Ti SUPER」でも16GBを搭載していますし、前述の「RX 7900 XT / XTX」は20GB/24GBを搭載しており、こちらも「RTX 4080 SUPER」よりも安価です。
特に「RTX 4070 Ti SUPER」に対しては、Radeonと違ってレイトレーシングや生成AIでの性能差も付きにくいです。そのため、VRAM容量が重要な処理では、一段高価な割には差が小さいことがあるのは気掛かりです。「RTX 4080 SUPER」は現状オーバースペック気味で、特にゲームではその高性能さが無駄になることも多いと思いますし、各処理は基本「RTX 4070 Ti SUPER」でも快適ですから、それで200ドル安いのは魅力的です。
4K(特にレイトレ)で高fpsを出したい場合にはやはり「RTX 4080 SUPER」の方が一段有利な印象はあるので、そこを重視するなら優位性はもちろんあるものの、そうでないなら「RTX 4080 SUPER」を選ぶ必要性は割とあんまり無い気がします。
「RTX 4070 Ti SUPER」との比較に限らず、「RTX 4080 SUPER」は値下がりしても物凄く高価なGPUなので、コスパの話をすると不利になってしまうのは当たり前ではあります。ただ、現在特に注目されている生成AIや4Kやレイトレといった部分でVRAM容量が重要なこともあり、そこで少し不安があるのでコスパはもうちょっと良くあって欲しいという気持ちが個人的には強くなった印象です。
RTX 4090のような一線を画す性能があればまだ目を瞑ることも出来たのだと思いますが、「RTX 4070 Ti SUPER」の登場で、一段上のハイエンドGPUという印象が若干薄れた影響もあるかもしれません。
少しネガティブな評価が多くはなってしまいましたが、SUPERの話が出る前でもある程度の需要があった「RTX 4080」を微強化しつつ大きく値下げしたNVIDIAの判断は凄いと思います。
元が高すぎたというのはもちろんありますが、「RX 7900 XTX」は生成AIやレイトレーシング面での不利があるため、実質的に競争相手が不在だったのが「RTX 4080」だったと思います。これだけ高性能でトップクラスの効率を持つGPUというだけで、多少高くても需要があったのに、そこを200ドルと一気に下げたのは大きな決断だったと思います。
「RTX 4090」搭載PCが基本50万円以上であることを考えると、40万円以下という格段に安い価格でトップクラスの効率と非常に強力な性能を実現できる「RTX 4080 SUPER」はハイエンド帯では十分魅力があるGPUだと思います。
といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。