「GeForce RTX 5090」ざっくり評価【性能比較】

Intel「GeForce RTX 5090」のざっくり性能比較・評価です。米国での発売予定日は2025年1月30日ですが、発売前にレビューが解禁されたので、海外レビューを参考に性能をざっくりと確認していきます。

注意

本記事の情報は記事執筆時点(2025年1月27日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

仕様

まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。

簡易比較表

※価格は2025年1月27日時点での米での希望小売価格です(判明しているもののみ)。
※GPU名のリンクはAmazonのものです。

GPUシェーダー
ユニット数
メモリタイプVRAM速度
VRAM帯域幅
レイトレ用
ユニット数
ダイサイズ
(おおよそ)
消費電力
(TGP等)
希望小売

RTX 509021760GDDR7
32GB 512bit
28.0Gbps
1792GB/s
170750㎟575W1,999ドル
RTX 409016384GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
128608㎟450W1,599ドル
RTX 508010752GDDR7
16GB 256bit
30.0Gbps
960GB/s
84??㎟360W999ドル
RTX 4080 SUPER10240GDDR6X
16GB 256bit
23.0Gbps
736.3GB/s
80380㎟320W999ドル
RTX 40809728GDDR6X
16GB 256bit
22.4Gbps
716.8GB/s
76380㎟320W1,199ドル
→市場廃止
RTX 5070 Ti8960GDDR7
16GB 256bit
28.0Gbps
896GB/s
70??㎟300W749ドル
RX 7900 XTX6144GDDR6
24GB 384bit
20Gbps
960GB/s
9636.6㎟*6 +
300㎟
355W969ドル
RX 7900 XT5376GDDR6
20GB 320bit
20Gbps
800GB/s
8436.6㎟*6 +
300㎟
315W799ドル
→749ドル?
RTX 4070 Ti SUPER8448GDDR6X
16GB 256bit
21.0Gbps
672GB/s
66295㎟285W799ドル
RTX 4070 Ti7680GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
60295㎟285W799ドル
→市場廃止
RTX 50706144GDDR7
12GB 192bit
28?Gbps
672GB/s
48??㎟250W549ドル
RTX 3090 Ti10752GDDR6X
24GB 384bit
21.0Gbps
1008GB/s
84628.4㎟450W1,499ドル
RTX 309010496GDDR6X
24GB 384bit
19.5Gbps
936GB/s
82628.4㎟350W1,299ドル
RX 7900 GRE5120GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
8036.6㎟*6 +
300㎟
260W549ドル
RX 6950 XT5120GDDR6
16GB 256bit
18Gbps
576GB/s
80519㎟335W949ドル
RX 6900 XT5120GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
80519㎟300W699ドル
RTX 3080 Ti10240GDDR6X
12GB 384bit
19Gbps
912GB/s
80628.4㎟350W1,099ドル
RTX 3080 10GB8704GDDR6X
10GB 320bit
19Gbps
760GB/s
68628.4㎟320W699ドル
RTX 4070 SUPER7168GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
56295㎟220W599ドル
RTX 40705888GDDR6X
12GB 192bit
21.0Gbps
504GB/s
46295㎟200W549ドル
前:599ドル
RX 7800 XT3840GDDR6
16GB 256bit
19.5Gbps
624GB/s
6037.5㎟*4 +
200㎟
263W499ドル
RX 6800 XT4608GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
72519㎟300W599ドル
RTX 3070 Ti6144GDDR6X
8GB 256bit
19Gbps
608GB/s
48392㎟290W599ドル
RX 68003840GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
60519㎟250W549ドル
RX 7700 XT3456GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
5437.5㎟*4 +
200㎟
245W419ドル
前:449ドル
RTX 4060 Ti 8GB4352GDDR6
8GB 128bit
18Gbps
288GB/s
34190㎟160W399ドル
RTX 30705888GDDR6
8GB 256bit
14Gbps
448GB/s
46392㎟220W499ドル
RX 6750 XT2560GDDR6
12GB 192bit
18Gbps
432GB/s
40336㎟250W419ドル
RTX 3060 Ti4864GDDR6
8GB 192bit
14Gbps
448GB/s
38392㎟200W399ドル
RX 6700 XT2560GDDR6
12GB 192bit
16Gbps
384GB/s
40336㎟230W379ドル
Arc A770 16GB4096GDDR6
16GB 256bit
17.5Gbps
560GB/s
32406㎟225W349ドル
Arc A770 8GB4096GDDR6
8GB 256bit
16Gbps
512GB/s
32406㎟225W329ドル
Arc B5802560GDDR6
12GB 192bit
19Gbps
456GB/s
20272㎟190W249ドル
RX 7600 XT2048GDDR6
16GB 128bit
18Gbps
288GB/s
32204㎟190W329ドル
RTX 40603072GDDR6
8GB 128bit
17Gbps
272GB/s
24156㎟115W299ドル
Arc B5702304GDDR6
10GB 160bit
19Gbps
380GB/s
18272㎟150W219ドル
RX 6650 XT2048GDDR6
8GB 128bit
17.5Gbps
288GB/s
32237㎟180W299ドル
RX 76002048GDDR6
8GB 128bit
18Gbps
288GB/s
32204㎟165W269ドル
RX 6600 XT2048GDDR6
8GB 128bit
16Gbps
256GB/s
32237㎟160W
Arc A7503584GDDR6
16GB 256bit
16Gbps
512GB/s
28406㎟225W289ドル
RX 66001792GDDR6
8GB 128bit
14Gbps
224GB/s
28237㎟132W239ドル
RTX 3060 12GB3584GDDR6
12GB 192bit
15Gbps
360GB/s
28276㎟170W329ドル
RTX 30502560GDDR6
8GB 128bit
15Gbps
224GB/s
20276㎟130W249ドル

前世代との比較

「RTX 50シリーズ」と前世代「RTX 40シリーズ」の簡易比較表です。NVIDIA公式サイトにおけるTensorコアとRTコアについての記載が、従来はコア数だったものが理論性能で表記するようになりました。

RTX 50シリーズでは前世代よりもAI性能が飛躍的に向上しているため、その差をより強調したいための変更だと思われますが、元々コア性能が上がっても向上を感じられないコア数表記は問題がある部分だったので、表記を切り替える良い機会になったのかなと思います。

GPU希望
小売価格
GPUVRAMTGP
CUDAコアTensorコア
(AI TOPS)
RTコア
(TFLOPS)
クロック
最大(GHz)
容量/タイプバス幅帯域幅(GB/s)
RTX 50901999ドル2176033523182.4132GB GDDR7512bit1792575W
RTX 40901599ドル1638413211912.5224GB GDDR6X384bit1008450W
RTX 5080999ドル1075218011712.6216GB GDDR7256bit960360W
RTX 4080 SUPER999ドル102408361212.5516GB GDDR6X256bit736320W
RTX 5070 Ti749ドル896014061332.4516GB GDDR7256bit896300W
RTX 4070 Ti SUPER799ドル84487801022.6116GB GDDR6X256bit672285W
RTX 4070 SUPER599ドル7168568932.4812GB GDDR6X192bit504220W
RTX 5070549ドル6144988942.5112GB GDDR7192bit672250W
RTX 4070549ドル5888466672.4812GB GDDR6X
12GB GDDR6
192bit504200W

今回見ていくのはNVIDIA「GeForce RTX 5090」です。新アーキテクチャ「Blackwell」を採用した新世代GPU「GeForce RTX 50 シリーズ」の最上位のハイエンドモデルです。

希望小売価格は1,999ドルで、国内想定価格は393,800円~となっています。ただし、想定価格は少数在庫のいわゆる”アリバイ価格”とも言われており、初期在庫を逃すと数か月は更に高額な状態が続くとも噂されている点に注意です。

CUDAコア数は21,760という圧倒的な数を誇り、「RTX 4080 SUPER」の2倍以上という驚異的なコア数です。「RTX 4090」と比較すると32.8%上回るコア数で、RTコアやTensorコアなどの各コア類も基本32.8%ほど多い数です。VRAMも24GBから32GBに増量されています。

「RTX 4090」が現在でも他GPUを圧倒するGPUだったにも関わらず、それをも更に大きく超える規格外のウルトラハイエンドGPUとなっています。

また、コア・ユニット数の増加だけでなく、RTX 50では各コンポーネントが新しくなっています。CUDAコアはニューラルシェーダーを高速化できるように再設計されているらしい他、RTコアは第4世代、Tensorコアは第5世代へと更新されています。

特に気になるのはTensorコアのAI性能で、NVIDIA公表の「RTX 5090」の理論性能(INT8)は 3352 TOPSとなっており、これは「RTX 4090」の約2.54倍という驚異的な向上率です。Tensorコア数は他コアと同じで約32.8%の増量ですから、それでこの向上率は凄いです。

そのAI性能の飛躍的向上に併せて、DLSS 4のマルチフレーム生成ニューラルレンダリングなど、AIをフル活用する技術も追加されましたし、AIをとにかく重視するという姿勢がよく見て取れるのが「RTX 50シリーズ」となっています。

VRAMもGDDR7へとアップグレードされており、「RTX 5090」では32GBという圧倒的大容量が搭載されます。バス幅も512bitまで拡張され、帯域幅は1792 GB/sとなっています。圧倒的大容量かつ高速なメモリシステムとなっています。

レイトレーシングや生成AIやメタバースなど、最近利用が進んでいる用途はどれもVRAMが非常に重要なので、特にそれらの性能を最大限高めたい人向けのGPUとなっています。

ただし、「RTX 50シリーズ」はプロセス面に関しては前世代からほとんど進化していない点は覚えておいて良いかもしれません。

製造プロセスは前世代で「TSMC 4N」だったものが「TSMC 4NP」になると言われていますが、これはどちらもNVIDIAと共同開発したもので、どうやら4NPも「5nm EUV」で製造されているという噂です。

そのため、名前こそ進化したように見えるものの、ほぼ同じ「TSMC 5nm」で微細化はされていない可能性が高そうです。そのため、主に電力効率(ワットパフォーマンス)面では大きな改善が見られないかもしれないのが懸念点です。

その辺りとも関連性もある部分として、気になるのはやはり消費電力と価格です。

まず消費電力について、「RTX 5090」のTGPは575Wとなっています。「RTX 4090」の450Wを約28%上回る超高消費電力です。ケーブル1本で600Wまで対応できる「12VHPWR / 12V-2×6」が登場したのは記憶に新しいと思いますが、その制限のギリギリです。

単純な消費電力の多さがネックなのはもちろんですが、気になるのは効率です。コア類の増加が約32.8%なのに対し、電力増加が約28%ということで、その差はわずか5%程度です。

性能の大幅向上はほぼ間違いないものの、ワットパフォーマンスではさほど変わらないのかなという印象を受けます。

次に価格ですが、希望小売価格が1,999ドルで国内想定価格が393,800円~と超高額です。日本においては円安が高額さに拍車をかけているのも厳しいところです。

ただし、実は「RTX 4090(1,599ドル)」と比較すると割と良心的な価格です。コア類およびVRAM容量の増加は約1.33倍ですが、価格は約1.25倍に留まっています。

AMDのRadeon RXがハイエンドモデルを出さないのがほぼ確実視されている上、AI需要も凄いですから、多少高くても間違いなく売れる状況なのにも関わらずに、この価格設定は良心的だと思います。前述のプロセスがほぼ据え置きに近い形というのも価格を上げずに済んだ理由なのかもしれません。

とはいえ、ほとんどの人にとっては超絶オーバースペックということもあり、約40万円~というとんでもなく高い価格はデメリットかなと思います。

DLSS 4、ニューラルレンダリング

「RTX 50 シリーズ」はGPUだけでなく、AI関連技術の追加対応も目玉なので、個別で触れておきます。

まずは「DLSS 4」です。DLSSはNVIDIAが提供するTensorコアを活用したアップスケーリングで、DLSSの新しい「DLSS 4」において「マルチフレーム生成」機能が追加されます。

DLSS 3から対応した「フレーム生成」では中間フレーム1つのフレームに対して最大1つしか生成できなかったのに対し、DLSS 4のマルチフレーム生成では最大3つの追加フレームを生成することが可能になります。凄まじいフレームレートの向上が期待できます。

また、DLSS 4ではマルチフレーム生成機能の導入だけでなく、基本性能もアップしているようです。新しいフレーム生成モデルへと更新され、画質向上に加えて、40%の高速化や30%のVRAM使用量の削減が主張されています。

マルチフレーム生成の利用には「RTX 50シリーズ」が必要になるとされていますが、新機能が利用できなくてもアップデートの恩恵が受けられるのは良いですね。

次に、ニューラルレンダリングです。現代のグラフィックスに大きな革新をもたらすことが期待されている、AIを活用したレンダリングです。

従来はグラフィックスAPI内でTensorコア(AI)を利用することができなかったため、DLSSなどアップスケーリングなどの形で別の場所でAIを利用することが必要でしたが、Microsoftの更新によってグラフィックスAPI内で直接Tensorコアにアクセスできるようになることで実現した技術です。ワークフロー内で直接ニューラル技術を統合してパイプラインの一部に置き換えることが可能になっています。要するに、元の画像を生成する時点でAIによって高速化することが可能となります。

これにより、従来は膨大な計算が必要だった高度なグラフィックス効果を大きく高速化しつつ、従来のアップスケーリングよりも不自然な描写を避けて、画質の向上にも繋がるということです。圧縮率は最大で7:1とも言われています。

DLSSやFSRといった別機能ではなく、グラフィックスAPI(DirectX)の標準機能となるようなので、メーカー側も導入を妨げる理由はありません。また、DXR(レイトレーシング)単体と違ってフレームレートの低下を招くものでもないため、ユーザー側も避ける理由が無く、思ったより利用が進まなかったDXRと違って、利用できる場合にはした方が良いといった技術になりそうな感じがあります。

といった感じで、カタログスペックについてはここまでとして、下記から実際の各性能について見ていきたいと思います。

ゲーミング性能(ラスタライズ)

ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。

まずは、レイトレーシングやアップスケリーング等は無効の状態での性能、いわゆるラスタライズ性能(ラスター性能)を見ていきます。今回は25種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。

使用されたグラフィックボードは「NVIDIA GeForce RTX 5090 Founders Edition(通称FE版)」、CPUは「Ryzen 7 9800X3D」で、OSはWindows 11が使用されています。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします。


フルHD(1920×1080)

フルHD(1920×1080)です。最低限の解像度という印象ですが、2025年現在ではまだ主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、競技性の高いゲームでは出来るだけ高いFPSを維持するためにこの設定にすることは珍しくないと思います。ただし、新しい世代のハイエンドGPUでは低負荷感も強くなっているので、より高い解像度への移行も近そうな印象です。

平均FPS(1080p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
251.1
RTX 4090
225.0
RTX 4080 SUPER
190.3
RTX 4080
187.8
RX 7900 XTX
184.1
RTX 4070 Ti SUPER
166.8
RX 7900 XT
164.3
RTX 4070 Ti
160.0
RTX 4070 SUPER
148.0
RTX 3090
141.9
RX 7900 GRE
141.3
RTX 4070
129.8
RX 7800 XT
128.3
RTX 3080 10GB
127.2
RX 6800 XT
125.8
RX 7700 XT
110.6
RTX 3070
100.8
RTX 4060 Ti 16GB
99.9
RTX 4060 Ti 8GB
98.7
RX 6700 XT
88.7
RTX 3060 Ti
88.2
Arc B580
82.6
RX 7600 XT
78.9
RTX 4060
78.6
Arc B570
72.9
RX 7600
72.1
Arc A770 16GB
71.8
RX 6600 XT
68.8
RTX 3060 12GB
67.4
RX 6600
59.0
Arc A580
58.5
RTX 3050 8GB
48.3
参考:TechPowerUp

フルHDは低負荷すぎて参考性能だけど、圧倒的な性能

フルHDのラスタライズは「RTX 5090」にとっては低負荷すぎて、ほとんどのゲームではCPUなどのボトルネックが先にきてしまうので参考レベルの性能です。

しかし、その性能はやはり圧倒的で「RTX 4090」を約11.6%上回っています。重いゲームが中心かつ最高設定ながら、平均fpsは251に達しています。


1440p(2560×1440)

WQHD(2560×1440)です。1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、GPUが高性能なために1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度はフルHDだと思いますが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、少なくともデスクトップでは徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。

平均FPS(1440p 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
216.8
RTX 4090
179.1
RTX 4080 SUPER
145.8
RTX 4080
143.4
RX 7900 XTX
142.9
RTX 4070 Ti SUPER
125.3
RX 7900 XT
123.8
RTX 4070 Ti
117.7
RTX 4070 SUPER
108.4
RTX 3090
107.6
RX 7900 GRE
104.5
RX 7800 XT
95.2
RTX 3080 10GB
95.3
RX 6800 XT
93.3
RTX 4070
94.0
RX 7700 XT
80.7
RTX 3070
73.8
RTX 4060 Ti 16GB
71.0
RTX 4060 Ti 8GB
70.4
RX 6700 XT
64.3
RTX 3060 Ti
64.3
Arc B580
61.4
RX 7600 XT
55.7
RTX 4060
55.5
Arc A770 16GB
54.6
Arc B570
53.4
RX 7600
49.7
RTX 3060 12GB
48.6
RX 6600 XT
47.7
Arc A580
43.4
RX 6600
40.8
RTX 3050 8GB
34.6
参考:TechPowerUp

1440pでは「RTX 4090」を約21%上回り、RTX 4070 SUPERの約2倍の性能

ここからが本番です。1440pでは「RTX 4090」を約21%上回り、「RTX 4070 SUPER」の約2倍という圧巻の性能です。

従来なら大分ヘビーな条件(1440pで重量級のゲームを最高設定)だとしてもどのタイトルでも基本快適です。DLSSなどのアップスケーリングやフレーム生成も無しでこの性能なので、とんでもないです。


4K(3840×2160)

「超高解像度の代名詞」という感じの解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、負荷が非常に大きいです。画素数はフルHDの約4倍です。その負荷の大きさから高いフレームレートを出す事が難しいため、TPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはほとんどないです。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。また、高リフレッシュレートの4Kモニターが高価という問題もあるため、一般層への普及にはややハードルが高いです。

平均FPS(4K 最高設定)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
147.1
RTX 4090
109.2
RTX 4080 SUPER
85.5
RX 7900 XTX
84.7
RTX 4080
84.1
RTX 4070 Ti SUPER
72.3
RX 7900 XT
71.5
RTX 4070 Ti
66.3
RTX 3090
64.5
RTX 4070 SUPER
60.9
RX 7900 GRE
59.3
RTX 3080 10GB
55.9
RX 7800 XT
54.5
RTX 4070
52.7
RX 6800 XT
53.1
RX 7700 XT
44.6
RTX 3070
42.0
RTX 4060 Ti 16GB
38.6
RTX 4060 Ti 8GB
38.5
Arc B580
36.2
RTX 3060 Ti
36.0
RX 6700 XT
35.6
Arc A770 16GB
31.8
Arc B570
30.9
RX 7600 XT
30.3
RTX 4060
29.7
RTX 3060 12GB
27.4
RX 7600
24.7
RX 6600 XT
24.7
Arc A580
24.6
RX 6600
20.7
RTX 3050 8GB
18.7
参考:TechPowerUp

4Kでは「RTX 4090」を約34.7%上回る性能で、1440pから更に大きく差を広げる

4Kでは更に凄い性能となっており、「RTX 4090」を約34.7%上回る性能です。1440pから差を14%近くも広げています。コアの増量分である32.8%も超えた向上率となっています。

アーキテクチャに更新による向上も少しはあると思うものの、製造プロセスの質は恐らくほぼ変わらないず、最大クロックもわずかに低下していますから、それで1440pから4Kでこの向上率ということは、現状では1440pですら「RTX 5090」にとっては低負荷で、大きなボトルネックになってしまっているということだと思われます。

比較対象の「RTX 4090」が現在でも十分なウルトラハイエンドGPUなのに、これだけの差を付けているのが驚きです。「RTX 4090」でもフルHDや1440pでは多少のボトルネックが発生しているとは思うのですが、それを感じさせないくらい大きな性能差があります。

試しに他GPUと比べてみると、「RTX 4070 Ti SUPER」の約2倍の性能だったりなど、信じられないくらいの高性能となっています。

重量級ゲームの4Kでの高フレームレート運用を目指すのであれば、非常に魅力的なGPUだと思います。

電力関連

消費電力

ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」で、解像度は「3840×2160(4K)」です。

GPU平均消費電力(ゲーミング)
GPU名称消費電力
RTX 4060
128
RTX 3050 8GB
132
RTX 4060 Ti 8GB
152
RX 6600 XT
152
Arc B570
154
RX 7600
154
RTX 4060 Ti 16GB
165
RTX 3060 12GB
183
Arc B580
185
RX 7600 XT
198
RTX 4070
201
RTX 3060 Ti
205
Arc A580
209
RX 6700 XT
217
RTX 4070 SUPER
218
RTX 3070
232
RX 6800
233
Arc A770 16GB
235
RX 7700 XT
236
RX 7800 XT
250
RX 7900 GRE
265
RTX 4070 Ti
277
RX 6800 XT
294
RTX 4080 SUPER
302
RTX 4070 Ti SUPER
304
RTX 4080
304
RX 7900 XT
312
RTX 3080 10GB
336
RX 7900 XTX
360
RTX 3090
368
RTX 4090
411
RTX 5090
587
参考:TechPowerUp

消費電力はやはり多すぎる

ゲーム時の平均消費電力は587Wとなっており、TGPの575Wに違わない圧倒的な消費電力です。電源ユニットも超大容量&高品質なものが必須となっています。

NVIDIA公式の必要システム電力は1000Wとなっていますが、変換時のロスやハイエンドPCの他パーツの消費電力も加味すると、実際には最低でも1200Wは欲しいかなという感じだと思います。

300W前後のGPUなら750W~850W程度で済むと考えて費用を比較すると、1万円~3万円くらいの追加費用が掛かることになると思いますが、GPU自体の金額を考えると小さな追加費用だと錯覚しそうなのが怖いですね。

また、表には載せていませんが、アイドル時や軽負荷な処理時の消費電力が他のGPUと比べると高いのも弱点です。

アイドル時でも約30Wと多めの電力を消費し、「RTX 4090」でも22W程度、他のRTX 40でも大体10W前半だったことを考えると、非常に多いです。また、ビデオ再生時にも似たような傾向の差の消費電力を必要とします。

超大量のコアと超大容量VRAMを持っているため、軽負荷でも稼働するためにはそれなりの電力が必要になります。大きなネックとなるほどではないと思いますが、重い処理をしないのなら、やはり微妙なGPUです。

ワットパフォーマンス

ワットパフォーマンス(電力効率)を見ていきます。ゲーミング時の1フレームあたりの消費電力を算出して比較しています

環境は消費電力はおよび4Kは「Cyberpunk 2077(Ultra/レイトレ無効)」時のもので、1080pは上記で示した25ゲーム平均fpsを使用したものです。一応、1080p時のものは各ゲームでの効率を求めたものではなく消費電力は同じもので算出しており、正確な値ではなく参考値となっているため注意してください。

ワットパフォーマンス(1080p/25ゲーム平均)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 4070 SUPER
1.47
RTX 4060 Ti 8GB
1.54
RTX 4070
1.55
RTX 4080 SUPER
1.59
RTX 4080
1.62
RTX 4060
1.63
RTX 4060 Ti 16GB
1.65
RTX 4070 Ti
1.73
RTX 4070 Ti SUPER
1.82
RTX 4090
1.83
RX 7900 GRE
1.88
RX 7900 XT
1.90
RX 7800 XT
1.95
RX 7900 XTX
1.96
Arc B570
2.13
RX 7700 XT
2.13
RX 7600
2.14
RX 6800
2.19
RX 6600 XT
2.21
Arc B580
2.24
RTX 3070
2.30
RTX 3060 Ti
2.32
RX 6800 XT
2.34
RTX 5090(参考)
2.34
RX 6700 XT
2.44
RX 7600 XT
2.51
RTX 3090
2.60
RTX 3080 10GB
2.64
RTX 3060 12GB
2.67
RTX 3050 8GB
2.73
Arc A770 16GB
3.27
Arc A580
3.57
参考:TechPowerUp
ワットパフォーマンス(4K/Cyberpunk 2077)
GPU名称1フレームあたりの消費電力
RTX 4080 SUPER
4.0
RTX 4080
4.0
RTX 4070 SUPER
4.1
RTX 5090
4.2
RTX 4090
4.2
RX 7900 XTX
4.4
RTX 4060 Ti 8GB
4.5
RTX 4070
4.5
RX 7900 XT
4.7
Arc B570
4.7
RTX 4070 Ti
4.7
RX 7900 GRE
4.8
RX 7800 XT
4.9
RTX 4070 Ti SUPER
4.9
Arc B580
4.9
RTX 4060 Ti 16GB
5.1
RTX 4060
5.3
RX 7600
5.7
RX 7700 XT
5.7
RTX 3070
6.0
RX 6800
6.1
RTX 3060 Ti
6.2
RTX 3090
6.3
RX 6800 XT
6.5
RTX 3080 10GB
6.5
RX 7600 XT
6.9
RX 6600 XT
6.9
Arc A770 16GB
7.3
RX 6700 XT
7.4
RTX 3060 12GB
7.5
RTX 3050 8GB
8.0
Arc A580
8.2
参考:TechPowerUp

4Kの効率は良いけど、RTX 4090~RTX 4070 SUPERとほぼ変わらず

4Kゲーミング時のワットパフォーマンスは非常に良いです。しかし、前世代のRTX 4090~RTX 4070 SUPERとほぼ同等レベルとなっています。

消費電力増の影響もあるかもしれませんが、やはり製造プロセスがほぼ変わらないっぽいのが大きいのかなという印象です。ただ、全ての仕様が規格外のハイエンドモデルなので、これを「RTX 50シリーズの効率」として見て良いかはちょっと微妙なところです。シリーズとしての評価は他モデルを見てからにしたいところですね。

また、フルHDのときの効率に関しては参考値ではあるものの、4Kと比べると悪化しています。参考値とはいえ、ボトルネックによりパフォーマンスが制限されるケースが増えて効率が低下する事態は多くなるとは思うので、フルHDで使うのは電力効率的にもやや勿体ないGPUとなると思います。

ただし、「RTX 4090」も登場時には今よりもフルHDでは微妙に見えましたが、それから「Ryzen 7 7800X3D / 9800X3D」といったゲームで非常に強力なCPUが登場して、少しコスパが改善されたみたいなことがあり、今後も同様のことが起きる可能性があります。

レイトレーシング性能

レイトレーシング性能

リアルタイムレイトレーシングを有効にした際の性能を見ていきます。レイトレーシングはメインコアと別のレイトレーシング用のコアも使用するため、上述のラスタライズ性能とやや差が出る可能性があります。DLSSやFSRといったアップスケーリングは無効の状態の性能を見ていきます。

また、レイトレーシングはVRAMを大量に使う処理な上、VRAMが不足するとパフォーマンスが一気に低下するので、特に1440p以降はVRAM 8GB以下のようなGPUは大きく不利になっています。

※従来は各ゲームの幾何平均fpsの値を再計算して載せていたのですが、参考ページで全GPUの詳細fps値が示されなかったため、今回は相対性能を見ていきます。

レイトレーシングFPS(1080p 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
100
RTX 4090
84
RTX 4080 SUPER
70
RTX 4080
69
RTX 4070 Ti SUPER
61
RTX 4070 Ti
58
RTX 3090 Ti
54
RTX 4070 SUPER
53
RTX 3090
50
RX 7900 XTX
50
RTX 4070
48
RTX 3080 10GB
45
RX 7900 XT
44
RX 7900 GRE
38
RTX 4060 Ti 16GB
36
RX 7800 XT
35
RTX 4060 Ti 8GB
35
RTX 3070
34
RX 6800 XT
32
RX 7700 XT
30
RTX 3060 Ti
29
Arc B580
28
RTX 4060
27
RX 6800
27
Arc A770 16GB
24
RTX 3060 12GB
23
RX 6700 XT
22
RX 7600 XT
20
Arc A580
19
RTX 3050 8GB
16
RX 6600 XT
15
RX 6600
13
RX 7600
13
参考:TechPowerUp
レイトレーシングFPS(1440p 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
100
RTX 4090
80
RTX 4080 SUPER
64
RTX 4080
63
RTX 4070 Ti SUPER
55
RTX 4070 Ti
52
RTX 3090 Ti
50
RTX 4070 SUPER
47
RX 7900 XTX
45
RTX 3090
45
RTX 4070
42
RTX 3080 10GB
40
RX 7900 XT
39
RX 7900 GRE
33
RTX 4060 Ti 16GB
31
RX 7800 XT
30
RX 6800 XT
27
RX 7700 XT
26
Arc B580
25
RTX 3070
25
RX 6800
24
RTX 4060 Ti 8GB
24
RTX 3060 Ti
22
Arc A770 16GB
22
RTX 4060
20
RTX 3060 12GB
20
RX 6700 XT
18
RX 7600 XT
17
Arc A580
16
RTX 3050 8GB
12
RX 7600
11
RX 6600
10
RX 6600 XT
9
参考:TechPowerUp
レイトレーシングFPS(4K 平均)
GPU名称平均FPS
RTX 5090
100
RTX 4090
76
RTX 4080 SUPER
58
RTX 4080
57
RTX 4070 Ti SUPER
49
RTX 3090 Ti
45
RTX 3090
41
RX 7900 XTX
40
RTX 4070 Ti
37
RTX 4070 SUPER
34
RX 7900 XT
34
RTX 4070
31
RX 7900 GRE
29
RTX 3080 10GB
28
RX 7800 XT
26
RTX 4060 Ti 16GB
26
RX 6800 XT
24
RX 7700 XT
23
RX 6800
20
Arc A770 16GB
19
RTX 3070
19
RTX 4060 Ti 8GB
17
RTX 3060 Ti
17
RX 6700 XT
17
RTX 4060
15
Arc B580
13
RTX 3060 12GB
15
RX 7600 XT
14
Arc A580
12
RTX 3050 8GB
9
RX 6600 XT
8
RX 7600
7
RX 6600
7
参考:TechPowerUp

驚異的なレイトレーシング性能

レイトレーシング性能も驚異的です。「RTX 4090」と比較するとフルHDでも約19%上回る性能となっており、やはり圧倒的な性能です。

また、ラスタライズのフルHDでは約11.6%の差だったので、高負荷なレイトレーシングではフルHDでもラスタライズよりはボトルネックが発生していないことがわかります。

ラスターでも4Kなら十分に性能を活かすことは可能なものの、まだ大体の人はゲーミングモニターはフルHDもしくは1440pのものを使っていると思うので、その環境ならやはりレイトレーシングの方が性能を余すことなく使いやすいです。

そのため、ゲームでは基本レイトレーシング前提で考える方が良いレベルの規格外のGPUとなっています。

DLSS

DLSS有効時のゲーム性能

DLSSはNVIDIAの提供するアップスケーリング技術です。AIを活用してフレームレートを向上させます。Tensorコアが必要となるため、GeForce RTX限定の機能となっているため、普段は取り扱わないことも多いですが、今回はRTコアの刷新やDLSS 4の登場があったので、見ていきたいと思います。

4Kでレイトレーシング有効&最高設定の非常に高負荷な状態の4つゲームでのDLSS有効時の性能(幾何平均)を見ていきます。

DLSS有効時のゲームfps(4K/RT Ultra)
GPU名称幾何平均fps
RTX 5090
フレーム生成x4
187.8
RTX 5090
フレーム生成x3
146.8
RTX 5090
フレーム生成x2
100.1
RTX 5090
DLSS Quality
83.8
RTX 4090
フレーム生成x2
73.4
RTX 4090
DLSS Quality
64.4
RTX 5090
ネイティブ
56.6
RTX 4090
ネイティブ
42.1
RX 7900 XTX
FSR Quality
39.9
RX 7900 XTX
ネイティブ
23.6

マルチフレーム生成の効果は絶大

マルチフレーム生成の効果は非常に大きいです。一つずつ向上率を見ていくと、まずDLSSの通常のアップスケーリングをQuality設定で有効にすると、フレームレートは約1.48倍になります。

フレーム生成をオンにした場合、ネイティブと比較すると、x2のとき約1.77倍、x3のとき約2.59倍、x4のとき約3.32倍となります。

当たり前と言えば当たり前ですが、生成倍率が増えても、向上率がほぼ変わらないのが凄いです。しかし、このパフォーマンスは圧倒的な処理性能を持つ「RTX 5090」だからという可能性もあるので、詳しい評価は他のGPUの到着を待ちたいと思います。

しかし、マルチフレーム生成の効果は絶大なのは確かであり、フルで活用できれば「今までは何だったんだ」というレベルの向上率を手にできることになりそうです。


コストパフォーマンス

上述のfpsを基にGPUの1フレームあたりの価格を算出し、コストパフォーマンスを比較しています。数値が低い方が良い点に注意です。各GPUの価格は、記事執筆時点のおおよその市場最安値価格です。ラスタライズとレイトレーシング時の両方を見ていきます。

元のゲーミング性能の解像度は1440pを用いています。4Kなどではやや結果が異なる可能性がある点に注意です。


1フレームあたりの価格(ラスタライズ)

まずはラスタライズ性能のコスパです。上述の1440pゲーム時の性能と現在の市場価格を基に、1フレームあたりの価格を算出し、コスパとして比較しています。

1fあたりの価格(1440p@RT無し)
GPU名称1フレームあたりの価格参考価格
Arc A580
571
¥24,800
RX 6600
706
¥28,800
Arc A770 16GB
729
¥39,800
RX 7600
744
¥36,980
RTX 4060
756
¥41,980
RX 7700 XT
780
¥62,980
RX 7800 XT
796
¥75,800
RTX 3060 12GB
800
¥39,980
Arc B580
811
¥49,800
RTX 4060 Ti 8GB
821
¥57,800
RTX 3050 8GB
832
¥28,800
Arc B570
842
¥44,980
RTX 3080 10GB
890
¥84,800
RTX 4070
923
¥86,800
RX 7900 XT
943
¥116,800
RX 6800 XT
962
¥89,800
RTX 4060 Ti 16GB
976
¥69,280
RTX 4070 SUPER
1015
¥109,980
RX 7900 XTX
1083
¥154,800
RTX 4070 Ti SUPER
1140
¥142,800
RTX 4080 SUPER
1165
¥169,800
RTX 4090
1808
¥323,800
RTX 5090
1816
¥393,800
参考:TechPowerUp

コスパは非常に悪い

価格が圧倒的な高さなので仕方ありませんが、コスパは非常に悪いです。「RTX 4090」とほぼ同じです。4Kでの算出ならもう少しマシにはなりますが、それでも非常に悪いのは変わりません。

コスパを求めるGPUではないので当たり前ではありますが、少なくとも消費者レベルでは需要は予算が潤沢な人以外では選択肢に入らないことが基本です。


1フレームあたりの価格(レイトレーシング)

次にレイトレーシング時のコスパを見ていきます。DLSSやFSR等のアップスケーリング技術は使用していない場合のものになります。

1fあたりの価格(1440p@RT)
GPU名称1フレームあたりの価格参考価格
Arc A580
925
¥24,800
Arc A770 16GB
1188
¥39,800
Arc B580
1258
¥49,800
RTX 3060 12GB
1351
¥39,980
Arc B570
1371
¥44,980
RTX 4060
1510
¥41,980
RTX 4060 Ti 16GB
1546
¥69,280
RX 7700 XT
1559
¥62,980
RTX 3050 8GB
1591
¥28,800
RTX 4060 Ti 8GB
1661
¥57,800
RTX 4070 Ti SUPER
1828
¥142,800
RTX 4080 SUPER
1862
¥169,800
RX 7900 XT
1887
¥116,800
RX 7600 XT
1917
¥50,800
RX 7900 XTX
2190
¥154,800
RX 7600
2465
¥36,980
RTX 5090
2787
¥393,800
RTX 4090
2946
¥323,800
参考:TechPowerUp

レイトレーシングでもコスパは悪い

コスパに関してはレイトレーシングでも悪いです。ラスターよりは少し差が縮まってはいるものの、最下位クラスという立ち位置は変わっていません。

ただし、レイトレーシングの高解像度&高設定で高いパフォーマンスを期待できるGPUは「RTX 5090」以外にほとんどないという利点があるため、コスパを度外視しても選ぶ理由は一応あるかなと思います。

AI・クリエイティブ用途

比較の最後は、AI・クリエイティブ用途でのパフォーマンスを見ていきます。

一般的な動画編集等の基準性能としてFP32(単精度浮動小数点演算)の理論演算性能、「Blender」におけるGPUレンダリング性能、「Blackmagic RAW 」によるビデオフレームのデコード速度、「MLPerf Client」におけるAI性能、「Procyon」ベンチマークを用いたAIイラスト生成ソフト「Stable Diffusion」の性能をそれぞれ見ていきたいと思います。

また、ここのテストは上述までとは異なるテストシステムを使用した海外レビュー(HotHardware)を参考にしています。「Ryzen 7 9800X3D」と「DDR5-6000 CL28 32GB(16GBx2)」が使用されています。他の条件について気になる方は上述の参考リンクをご覧ください。

理論演算性能(FP32)

FP32(単精度浮動小数点演算)は、理論演算性能を示す一つの指標です。単位はTFLOPS(テラフロップス)を用います。実際のテストから算出するものではなく、シェーダーユニット数(対応の演算器の数)とクロックから計算した、理論上の処理性能を表します。製品によってクロックが異なるので、下記の表の数値と異なる可能性がある点に注意です。

一般的な動画編集においてのクリエイティブ性能は、このFP32とVRAMの性能(データ量が多い処理の場合)によって比例する傾向があります。実際「Premiere Pro CC」や「Davinci Resolve」などの主要な動画編集ソフトでの編集やプレビュー速度はある程度比例する傾向があるので、まず参考に見ていこうと思います(完全に一致する訳ではないので注意)。

FP32(単精度浮動小数点演算)
GPU名称FP32(TFLOPS)
RTX 5090
32GB 1792GB/s
104.8
RTX 4090
24GB 1008GB/s
82.58
RX 7900 XTX
24GB 960GB/s
61.42
RTX 4080 SUPER
16GB 736.3GB/s
52.22
RX 7900 XT
20GB 800GB/s
51.48
RTX 4080
16GB 716.8GB/s
48.74
RX 7900 GRE
16GB 576GB/s
45.98
RTX 4070 Ti SUPER
16GB 672GB/s
44.10
RTX 4070 Ti
12GB 504GB/s
40.09
RX 7800 XT
16GB 624GB/s
37.32
RTX 4070 SUPER
12GB 504GB/s
35.48
RX 7700 XT
12GB 432GB/s
35.17
RTX 3080
10GB 760GB/s
29.77
RTX 4070
12GB 504GB/s
29.15
RX 7600 XT
16GB 288GB/s
22.57
RTX 4060 Ti
8GB / 16GB  288GB/s
22.06
RTX 3070 Ti
8GB 608GB/s
21.75
RX 7600
8GB 288GB/s
21.75
RX 6800 XT
16GB 512GB/s
20.74
RTX 3070
8GB 448GB/s
20.31
Arc A770 16GB
16GB 560GB/s
17.20
RTX 3060 Ti
8GB 448GB/s
16.20
RX 6800
16GB 512GB/s
16.17
RTX 4060
8GB 272GB/s
15.11
Arc B580
12GB 456GB/s
13.67
RX 6700 XT
12GB 384GB/s
13.21
RTX 3060 12GB
12GB 360GB/s
12.74
Arc B570
10GB 380GB/s
11.52
RX 6600 XT
8GB 256GB/s
10.61
RTX 3050
8GB 224GB/s
9.10
RX 6600
8GB 224GB/s
8.93

ゲーム性能ほどではないけど、理論性能コスパも悪い

「RTX 5090」のFP32(単精度浮動小数点演算)の理論性能は驚異の100TFLOPS超えです。凄まじい性能です。そして、やはり価格が高すぎるので、理論性能コスパも当然悪いです。

「RTX 4090」からの向上率は約27%となっており、価格の増加率の25%とほぼ一致するため、コスパは同等レベルです。

ただし、理論性能ではボトルネックなどを考えないため、上述の1440p以下のゲーム性能コスパよりは悪くない立ち位置です。

ゲームにおいても、CPUの性能向上やゲーム側の最適化が進めば理論性能と同じくらいの差に近付いていくと思うので、将来的にはコスパが少し改善される未来が見える指標にはなっているかもしれません。


Blender(GPUレンダリング)

「Blender」は定番の人気レンダリングソフトです。「Blender 4.3」を用いた「Blender Benchmark」の3つのテスト結果の幾何平均を総合スコアとし、比較していきます。

「Blender 4.3」では、Nvidia Optix、Intel OpenAPI、AMD HIPをサポートしており、それぞれが最善の性能が出せる方法で計測されています。しかし、それぞれの最適化には差があり、メインのGPUコアでも幅広い用途に対応できる「Nvidia Optix」が特に高い性能を出すため、現状ではBlenderのレンダリングは基本的にGeForce一強です。

Blender Benchmarks(4.3.0)
GPU名称総合スコア(幾何平均)
RTX 5090
4769
RTX 4090
3503
RX 7900 XTX
1324
参考:HotHardware

Blenderのレンダリングは「RTX 4090」を約36.1%上回る

BlenderのGPUレンダリング性能では「RTX 4090」を約36.1%も上回りました。

シェーダーユニット数が重要な処理なので、非常に強力です。重いレンダリング処理を日常的に大量に行うのであれば、十分に価値を感じられるGPUだと思います。


MLPerf Client(AI性能)

「MLPerf Cliend」ベンチマークは、MLCommonsによって設計された、AI性能を測るベンチマークです。ここでは4つのワークロードの幾何平均のスコアを見ていきます。

幅広い環境で使えるONNX(DirectML)をサポートしていますが、Intelでは専用のOpenVINOパスも取得できるようです。

MLPerf Client 総合スコア(幾何平均)
GPU名称総合スコア(幾何平均)
RTX 5090
244.68
RTX 4090
176.57
RX 7900 XTX
127.44
参考:HotHardware

ONNX(DirectML)でも圧倒的な性能で、RX 7900 XTXの2倍近い性能

Tensorコアに最適化されていない場合のAI処理(ONNX)でもその性能は非常に優れています。「RTX 4090」と比較すると約38.6%上回り、「RX 7900 XTX」と比較すると約92%も上回ります。

本来なら重いAI処理ではVRAM容量もネックとなることが多いですが、32GBを搭載する「RTX 5090」ではそこも懸念する必要がほとんど無いため、AIにおいては価格の高さを考慮しても魅力を感じられると思います。


Blackmagic RAW(デコード速度)

「Blackmagic RAW Speed Test」はRAW画像のデコード速度を測定するCPU/GPUのベンチマークです。処理にはCPUも使用されますが、基本的にGPUの方が重要度は高いです。

また、圧縮率が低い場合にはシステムメモリの帯域幅の影響を受けやすくなり、GPU毎の差がでにくくなります。そのため、CPUおよびメモリの影響を小さくするため、高い圧縮率(12:1)での8Kおよび4Kのテストでのデコード速度(1秒あたりのフレーム数)を見ていきます。

Blackmagic RAW 4.3.1 デコード速度(8K/12:1)
GPU名称スコア
RTX 5090
251
RTX 4090
202
RX 7900 XTX
108
参考:HotHardware
Blackmagic RAW 4.3.1 デコード速度(4K/12:1)
GPU名称スコア
RTX 5090
1005
RTX 4090
810
RX 7900 XTX
433
参考:HotHardware

「RTX 4090」を約24%上回るRAWデコード速度

RAWのデコード速度テストでは、「RTX 4090」を約24%上回る性能となっていました。非常に優れたメディアエンジン性能です。

しかし、このような処理は基本CPU処理も同時に多少必要だったり、圧縮率が低くなるとメモリの影響が大きくなったりなどして、ハイエンドGPUほどボトルネックになり易く恩恵を受けにくくなることもありますし、高すぎる価格もネックでコスパも良くはないので、4K以上の解像度でよほど高い圧縮率で常用している訳ではない限りは実用コスパは悪くなると思います。


Procyon Stable Diffusion(AIイラスト生成)

現在、AIイラストソフトで人気のある「Stable Diffusion」での画像生成性能をUL Procyonの「AI Image Generation Benchmark」を用いて比較しています。

「Stable Diffusion XL」は1024×1024の高負荷なテストとなっています。XLではVRAM容量の要求度が高くなるため、特にVRAMが8GB以下のようなGPUではパフォーマンスが極端に低下したり、テストそのものが不可能なケースが基本となります。

ベンチマークではFP32、FP16、INT8といったデータ型のオプションがありますが、今回はFP16でのテストになっています。

また、各社のGPUにはAIの推論性能を高めるために特化したAPIとして、Tensor RT(NVIDIA)、Open VINO(Intel)、ROCm(AMD)といったものがありますが、2024年12月時点ではROCm(AMD)は現状Windowsでのネイティブ動作に対応していません(Linux前提で、WSLを用いてWindows上でLinuxを動作させて使用することは一応可能だけど)。

そして、ProcyonがWindowsを前提としたベンチマークであるため、サポートしているのはTensor RT、Open VINO、汎用のDirect ML(ONNX)の3つとなっており、AMD製のGPU(Radeon等)のみ汎用のDirect ML(ONNX)を使わざるを得ず、低めの性能となっている点に注意が必要です。

※しかし、記事執筆時点ではRTX 50(Blackwell)がベンチマークがTensorRTコア向けに更新されていないため、ONNXでの測定値の掲載となっています。

Procyon Stable Diffusion XL 総合スコア(1024×1024)
GPU名称スコア
RTX 4090(Tensor RT)
5073
RTX 5090(ONNX)
5073
RTX 4090(ONNX)
3985
RX 7900 XTX(ONNX)
1458
参考:HotHardware

TensorRT無しでも「RTX 4090」並みの生成速度

Stable DiffusionにおけるAI画像生成テストは、記事執筆時点ではBalckwellのTensorRTがサポートされていないため、正確な結果を得ることができないのが残念です。

しかし、代わりに汎用のONNX(DirectML)でテストしてみても非常に優れた性能を発揮し、「RTX 4090(TensorRT)」と同等です。

ONNX同士の比較では約27.3%上回る結果となっており、コアの増加率とほぼ一致します。

まとめ

GeForce RTX 5090

良い点
  • あらゆる面でダントツの圧倒的な処理性能
  • 4Kレイトレーシングなどの超高負荷処理でも高いパフォーマンス
  • 32GB VRAM(1792GB/s)
  • 高負荷時の電力効率が非常に良い
  • DLSS 4のマルチフレーム生成対応で、非常に優れた向上率
  • 非常に優れたメディアエンジン

気になる点
  • 高すぎる価格(想定価格:約40万円~)
  • 消費電力がものすごく多い(TGP:575W)
  • アイドル時・ビデオ再生時の消費電力が多い
  • 非常に大型(消費電力の割には小さめではあるとは思うけど)
  • フルHDでは負荷が軽すぎて、パフォーマンスが制限されることが多い(今後CPUの向上等で改善する可能性は有)

RTX 5090:圧倒的な性能と消費電力と価格のウルトラハイエンドGPU

「RTX 5090」は32GB VRAMを搭載し、「RTX 4090」をも大きく上回る性能を持ち、価格は1,999ドル(国内想定価格:約40万円~)で、TGPは575Wという、あらゆる面で圧倒的なウルトラハイエンドGPUです。

「RTX 4090」と比較すると各コア類が約32.8%多くなっており、他要素がボトルネックにならない前提であれば、大体35%~39%程度の性能向上が見られました。

「RTX 5090」の登場前でも圧倒的な性能だった「RTX 4090」を更に大幅に上回る性能という、とんでもないGPUです。

「RTX 4090」が元々圧倒的な性能なので差が伝わりにくいかもしれませんが、「RTX 4070 Ti SUPER」と比較して4Kゲームで約2倍の性能になっていると聞くと、その凄さがより伝わり易いかもしれません。

しかし、あまりの高性能さのせいで、フルHDゲームでは他の要素が大きなボトルネックとなり性能が伸び悩むという弱点がある点は注意が必要です。1440pですらボトルネックをやや大きめに感じるレベルなど、凄いGPUとなっています。

大体の人のゲーミングモニターはフルHDもしくは1440pであろうことを考慮すると、レイトレーシングを前提として考えるのが性能を活かす上で妥当という感じのGPUとなのかなと思います。

ボトルネック面は今後は改善していく可能性こそあるものの、現状では性能を持て余すケースが多くて扱いも評価も難しいGPUだと思います。

また、ゲーム以外のクリエイティブ用途やAI関連の処理でも当然高性能です。

他要素がボトルネックになりにくい場合のGPUレンダリングやAI性能テストでは、「RTX 4090」をおおよそ36%~39%上回るという圧倒的な性能が見て取れました。

更に恐ろしいのが、登場直後ではBlackwellに対応・最適化していないAI関連ソフトが多いため、Tensorコア込みでの性能を測るテストでの比較がほぼ無い状態でこれだけの差があったことです。

NVIDIAの公表値を信じるなら、「RTX 5090」のTensorコアのAI処理性能は「RTX 4090」の約2.54倍という驚異的な向上率となっているので、更に性能差が広がる可能性があります。

このように、処理性能ではとにかく圧倒的なのが「RTX 5090」ですが、気になるのはやはり消費電力と価格です。

まず消費電力ですが、性能を考えれば575Wという消費電力の多さは仕方ないにしても、電力効率で向上が見られなかったのが残念です。4Kゲームでの効率は非常に優れていたものの、前世代の「RTX 4090」~「RTX 4070 SUPER」とほぼ同水準でした。

考えられる要因としては、製造プロセスが恐らく微細化されておらず「TSMC 5nm」のままだと言われている点があります。

「RTX 5090」はコア数やVRAMが圧倒的すぎるので、例外的な数値になっている可能性は一応考えられるものの、少なくとも前世代からプロセスで大幅な改善には至ってはいないというのは有力になったかなと思います。

とはいえ、電力面で向上が無かったとしても、そもそも前世代の時点で競合よりも明らかに優れた効率を発揮していて、その水準を維持しているのなら悪くはないです。要するに、電力面で向上が無かったのは残念だけど、別に悪い訳ではないです。

次に価格です。国内想定で約40万円~という高額さになっています。この価格はコア数や状況を考えれば良心的ではあるものの、そもそも「RTX 5090」ほどの性能が必要な人はごくわずかであり、ほとんどの人にとってはオーバースペックなので、40万円では選択肢に入らないことがほとんどです。

更に、噂によると40万円という価格すら“その価格で売ったという実績”を作るためのいわゆる”アリバイ価格”だという話があったりもします。

AI性能(Tensorコアの理論性能)に関しては価格を考えても十分に正当化できるレベルの飛躍的な向上があるので、DLSS 4やニューラルレンダリングのことを考えるならRTX 5090の魅力も当然非常に大きいものの、使用感や対応状況がまだ不明瞭なので評価もし辛い点です。

それに、DLSS 4のマルチフレーム生成やニューラルレンダリングによるフレームレート向上は、むしろやや低性能なGPUだからこそ恩恵を感じやすい部分なので、そういう意味ではコアをたくさん積んだ「RTX 5090」を導入するのは損をしているようにも感じられてしまうので、色んな意味で評価が難しいGPUだなと思いました。

といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。

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