NVIDIA「GeForce RTX 4090」FE版のざっくり性能比較・評価です。遂に登場する「RTX 40シリーズ」の初モデルのレビューが解禁されたので、その実力を見ていきたいと思います。
本記事の情報は記事執筆時点(2022年10月12日)のものです。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
仕様
まずは主要な仕様を表にまとめて載せています。
簡易比較表
※価格は2022年10月12日時点での北米での希望小売価格です。
GPU | シェーダー ユニット数 |
メモリタイプ メモリ容量 |
メモリ転送速度 メモリ帯域幅 |
レイトレ用 ユニット数 |
ダイサイズ | 消費電力 (TGP等) |
北米 参考価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
RTX 4090 | 16384 | GDDR6X 24GB |
21.0Gbps 1008GB/s |
128基 | 608㎟ | 450W | 1,599ドル |
RTX 3090 Ti | 10752 | GDDR6X 24GB |
21.0Gbps 1008GB/s |
84基 | 628.4㎟ | 450W | 1,499ドル |
RTX 3090 | 10496 | GDDR6X 24GB |
19.5Gbps 936GB/s |
82基 | 628.4㎟ | 350W | 1,299ドル |
RX 6950 XT | 5120 | GDDR6 16GB |
18Gbps 576GB/s |
80基 | 519㎟ | 335W | 949ドル |
RX 6900 XT | 5120 | GDDR6 16GB |
16Gbps 512GB/s |
80基 | 519㎟ | 300W | 699ドル |
RTX 3080 Ti | 10240 | GDDR6X 12GB |
19Gbps 912GB/s |
80基 | 628.4㎟ | 350W | 1,099ドル |
RTX 3080 10GB | 8704 | GDDR6X 10GB |
19Gbps 760GB/s |
68基 | 628.4㎟ | 320W | 699ドル |
RX 6800 XT | 4608 | GDDR6 16GB |
16Gbps 512GB/s |
72基 | 519㎟ | 300W | 599ドル |
RTX 3070 Ti | 6144 | GDDR6X 8GB |
19Gbps 608GB/s |
48基 | 392㎟ | 290W | 599ドル |
RX 6800 | 3840 | GDDR6 16GB |
16Gbps 512GB/s |
60基 | 519㎟ | 250W | 549ドル |
RTX 3070 | 5888 | GDDR6 8GB |
14Gbps 448GB/s |
46 | 392㎟ | 220W | 499ドル |
RX 6750 XT | 2560 | GDDR6 12GB |
18Gbps 432GB/s |
40 | 336㎟ | 250W | 419ドル |
RTX 3060 Ti | 4864 | GDDR6 8GB |
14Gbps 448GB/s |
38 | 392㎟ | 200W | 399ドル |
RX 6700 XT | 2560 | GDDR6 12GB |
16Gbps 384GB/s |
40 | 336㎟ | 230W | 379ドル |
Arc A770 16GB | 4096 | GDDR6 16GB |
17.5Gbps 560GB/s |
32 | 406㎟ | 225W | 349ドル |
Arc A770 8GB | 4096 | GDDR6 8GB |
16Gbps 512GB/s |
32 | 406㎟ | 225W | 329ドル |
RTX 3060 | 3584 | GDDR6 12GB |
15Gbps 360GB/s |
28 | 276㎟ | 170W | 329ドル |
RX 6650 XT | 2048 | GDDR6 8GB |
17.5Gbps 288GB/s |
32 | 237㎟ | 180W | 299ドル |
RX 6600 XT | 2048 | GDDR6 8GB |
16Gbps 256GB/s |
32 | 237㎟ | 160W | – |
Arc A750 | 3584 | GDDR6 16GB |
16Gbps 512GB/s |
28 | 406㎟ | 225W | 289ドル |
RTX 3050 | 2560 | GDDR6 8GB |
15Gbps 224GB/s |
20 | 276㎟ | 130W | 249ドル |
RX 6600 | 1792 | GDDR6 8GB |
14Gbps 224GB/s |
28 | 237㎟ | 132W | 239ドル |
GTX 1660 SUPER | 1408 | GDDR6 6GB |
14Gbps 336GB/s |
– | 284㎟ | 125W | 229ドル |
RX 6500 XT | 1024 | GDDR6 4GB |
18Gbps 144GB/s |
16 | 107㎟ | 107W | 169ドル |
GTX 1650 GDDR6 | 896 | GDDR6 4GB |
12Gbps 192GB/s |
– | 200㎟ | 75W | 149ドル |
RX 6400 | 768 | GDDR6 4GB |
16Gbps 128GB/s |
12 | 107㎟ | 53W | 149ドル |
Arc A380 | 1024 | GDDR6 6GB |
15.5Gbps 186GB/s |
8 | 157㎟ | 75W | 129ドル? |
「GeForce RTX 4090」は「RTX 40シリーズ」におけるハイエンドモデルで、発表されているモデルの中では最上位です。アーキテクチャは「Ada Lovelace」で、TSMCの4nmプロセスに基づいており、前世代のSamusung 8nmから微細化されています。
「RTX 4090」では「AD102」が使用され、主要なハードウェア仕様は、CUDAコア数は16,384、RTコアは128、Tensorコアは512などとなっています。ちなみに、「AD102」の最大数はCUDAコアが18,432、RTコアが142、Tensorコアが568となっており、RTX 4090ではまだ少しの余裕があるので、今後RTX 4090 Tiのような上位モデルが投入される余地が残されています。
VRAMの仕様はバス幅384bitの24GB GDDR6Xとなっており、速度は21Gbpsです。前世代で最上位の「RTX 3090 Ti」と同じ仕様となっており、「RTX 3090」と比べても速度がわずかに上がっているのみなので、VRAMだけ見ればさほどスペックアップはしていません。ただし、十分すぎるほどハイエンドな仕様です。また、L2キャッシュが前世代の最大6MBから最大72MBと大幅に増えているため、実効メモリ帯域幅は向上している可能性も高いです。
「Ada Lovelace(RTX 40シリーズ)」では、レイトレーシング用の「RTコア」が第3世代に、DLSS用の「Tensorコア」も第4世代へと更新されており、機能が追加されている点も注目です。
レイトレーシング用の「RTコア」は第3世代へと更新されており、「Shader Execution Reordering」などの新機能が追加され、性能が向上しています。
同社のアップスケリーング技術である「DLSS」用の「Tensor」コアも第4世代へと更新されており、新しく発表され対応する「DLSS 3」では中間フレームを作成することで負荷を大幅に軽減する機能が追加されており、性能が格段向上しているとNVIDIAは主張しています。
そして最後に、気になる「GeForce RTX 4090」の価格ですが、北米での希望小売価格は1,599ドル~となっています。現在の「RTX 3090 Ti」の設定よりも高いのは100ドルだけ(+6.67%)ですが、後から登場のため円安の影響を存分に受ける上に需要のある「RTX 4090」と、元々需要が高いとは言えず在庫処分価格の「RTX 3090 Ti」との価格差は100ドル程度では恐らく済まないことが予想されます。
実際、NVIDIA公式サイトに掲載されている想定実売価格は298,000円~となっており、今では20万円以下で購入できる「RTX 3090 Ti」とは大きな差があります。
とはいえ、前世代と違い80番台と性能に大きな差がありますし、プロセス微細化などの恩恵で電力効率も格段に向上していることが予想されますから、重い処理を日常的に行う人にとっては、従来より高くてもコスパ面でも需要を感じることが出来る可能性はあると思います。
前置きが長くなりましたが、次から実際の性能を見ていきたいと思います。
ゲーミング性能
ゲーミング性能は、言葉の通りゲームをする際のパフォーマンスの性能です。実際にゲームを動作させた際の平均FPS数を見ていきます。今回は25種類のゲームでのデータを基に見ていきます。設定は基本的に最高品質です。使用されたCPUは「Ryzen 7 5800X」となっています。
また、OSはWindows 10が使用されているため、Windows 11で報告例のあるゲーミングパフォーマンスが低下する問題は発生していません。その他のスペックなどの詳細は、お手数ですが記事上部の参考リンクを参照お願いします。
1080p(1920×1080)
FHD(1920×1080)です。最低限の解像度という感じですが、2022年現在では最も主流な解像度です。ハイエンドGPUを使用していても、特にFPSやTPSでは出来るだけ高いFPSを維持するためにこの設定にするのが主流だと思います。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 |
215.5
|
RX 6950 XT |
184.0
|
RTX 3090 Ti |
181.7
|
RX 6900 XT |
175.5
|
RTX 3090 |
172.0
|
RTX 3080 Ti |
170.2
|
RX 6800 XT |
168.8
|
RTX 3080 10GB |
158.0
|
RX 6800 |
150.4
|
RTX 3070 Ti |
140.3
|
RTX 3070 |
134.5
|
RX 6700 XT |
130.8
|
RTX 3060 Ti |
121.1
|
RX 6600 XT |
106.9
|
Arc A770 16GB |
98.8
|
RTX 3060 |
94.8
|
RX 5700 XT |
93.2
|
RTX 2070 |
92.9
|
Arc A750 |
92.7
|
RX 6600 |
91.8
|
RTX 2060 6GB |
79.2
|
RTX 3050 |
69.2
|
GTX 1660 Super |
66.1
|
RX 6500 XT |
47.6
|
素晴らしいパフォーマンスだけど、1080pでは過剰性能感が強く、実用コスパが怪しい
1080pゲーミングでは「RTX 3090 Ti」を約18.6%上回る結果でした。非常に高性能です。重めのゲームが中心かつ最高設定でも200fps超えを達成しており、1080pではどのゲームでも最高設定で快適にプレイすることが可能となっています。そのパフォーマンスは素晴らしいですが、正直過剰性能感が強いです。
また、従来よりも遥かに高性能なこのクラスのGPUを1080pで使うとなるとフレーム数が多すぎて、CPUがボトルネックになる可能性が高くなったり、システム側が最適化されていない可能性もあり、既存GPUと比較するにはやや向かない印象を受けました。
よって、過剰性能すぎる1080pでは実売想定価格が高すぎることもあり、実用コスパ的には正直微妙だと思います。パフォーマンス自体は素晴らしいですが、1080pならこの「RTX 4090」ほどの性能がなくても、たとえば「RTX 3080」でも十分なパフォーマンスが得られます。「RTX 3080」なら半額未満で導入することができ、想定価格でいえば20万円近くも節約することが出来るため、実用的なコスパを考えれば「RTX 4090」は過剰性能すぎて予算を大きく無駄にすることになる可能性が高いです。
下位モデルとの性能差がどうなるかはわかりませんが、1080pすらもうハード性能的には時代遅れとなってくる気配を少し感じました。
1440p(2560×1440)
WQHD(2560×1440)です。4Kは重すぎるけど、1080pよりはキレイな映像で楽しみたいという場合や、1080pでは少し性能を持て余してしまう場合に利用する解像度です。現在の主流解像度は1080pですが、GPU性能が全体的に大幅に向上してきているため、徐々にこの1440pが主流解像度に切り替わっていく気がします。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 |
199.9
|
RTX 3090 Ti |
155.1
|
RX 6950 XT |
150.3
|
RTX 3090 |
143.2
|
RX 6900 XT |
142.5
|
RTX 3080 Ti |
141.6
|
RX 6800 XT |
135.9
|
RTX 3080 10GB |
128.8
|
RX 6800 |
120.6
|
RTX 3070 Ti |
111.1
|
RTX 3070 |
105.6
|
RX 6700 XT |
99.6
|
RTX 3060 Ti |
92.1
|
Arc A770 16GB |
79.4
|
RX 6600 XT |
76.9
|
Arc A750 |
73.9
|
RTX 3060 |
70.8
|
RX 5700 XT |
70.3
|
RTX 2070 |
69.6
|
RX 6600 |
64.9
|
RTX 2060 6GB |
58.6
|
RTX 3050 |
51.1
|
GTX 1660 Super |
48.5
|
RX 6500 XT |
32.2
|
1440pではRTX 3090 Tiを約29%上回る
1440pでは「RTX 3090 Ti」よりも約29%上回る結果となっていました。
重いゲームが中心かつ最高設定の1440pで約200fpsという驚異的な平均fpsを記録しており、新世代のハイエンドGPUの実力の凄さが見えます。主流解像度が1440pへと切り替わる時期も近いのかなと感じさせられます。
注目は1080pとの差で、1080pから平均fpsがわずか約7.3%しかfpsが低下していません。「RTX 3090 Ti」ですら約14.6%のfps低下が見られたのに大幅に低下率が低くなっています。
何にせよ、現環境では「RTX 4090」なら1440pでも高い負荷とはいえず、fpsは1080pから10%も低下しないという超高性能GPUとなっています。
4K(3840×2160)
「超高解像度の代名詞」ともいえる解像度の4K(3840×2160)です。非常に繊細で綺麗な映像になりますが、その負荷の大きさから高いFPSを出す事が難しいためTPSやFPSなどの対人競技ゲームで利用されることはまずないです。処理性能でも敷居が高いだけでなく、高リフレッシュレートの4Kモニターが非常に高価ということもあり、2022年現在では競技性の高いゲームではあまり利用されません。フレームレートよりもグラフィックのキレイさや臨場感が重要なゲームを中心に需要のある解像度です。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 |
152.7
|
RTX 3090 Ti |
104.3
|
RX 6950 XT |
93.2
|
RTX 3090 |
93.0
|
RTX 3080 Ti |
92.3
|
RX 6900 XT |
87.0
|
RX 6800 XT |
81.8
|
RTX 3080 10GB |
81.0
|
RX 6800 |
71.3
|
RTX 3070 Ti |
67.4
|
RTX 3070 |
63.2
|
RX 6700 XT |
55.7
|
RTX 3060 Ti |
54.6
|
Arc A770 16GB |
48.8
|
Arc A750 |
44.6
|
RTX 3060 |
41.4
|
RTX 2070 |
40.7
|
RX 6600 XT |
40.3
|
RX 5700 XT |
39.2
|
RX 6600 |
33.9
|
RTX 2060 6GB |
32.1
|
RTX 3050 |
29.1
|
GTX 1660 Super |
26.2
|
RX 6500 XT |
14.9
|
4Kでも驚くほど高いfpsを維持し、RTX 3080の1080pに匹敵するfps
4Kでは更に驚異的なfpsを記録しています。平均fpsは152.3fpsとなっており、繰り返しの説明となり申し訳ないですが、重いゲームが中心かつ最高設定という中でこの結果です。4K最高設定すら大体のゲームで高fpsで快適といえる性能です。
「RTX 3090 Ti」と比較するとその差は約46.4%と圧倒的に上回る性能を発揮しています。また、152.3fpsというのは1080pでの「RTX 3080 10GB」の158fpsに近い数値であり、前世代のハイエンドGPUの1080pでのfpsに、4Kで匹敵するというとんでもない高性能さとなっています。
テストされたゲーム全てで60fpsを超えており、ほとんどのゲームで100fps以上です。4K最高設定で重いゲームでも100fps以上を基本達成できるのは驚異的です。
しかも、これはDLSSやFSRなどのアップスケーリング技術無しでの結果なので、まだ伸び代があるというのが恐ろしいです。
1080pを1440pへと置き換えるどころか、4Kすらも設定やタイトルによっては十分すぎるfpsを得る事が可能になってしまいました。
電力関連
消費電力
ゲームプレイ時(高負荷時)の平均消費電力を見ていきます。低い方が良い数値となります。測定に使用されたゲームは「Cyverpunk 2077」で、解像度は「2560×1440」です。
GPU名称 | 消費電力(W) |
---|---|
RTX 3090 Ti |
445W
|
RTX 3090 |
355W
|
RTX 3080 Ti |
354W
|
RTX 4090 |
346W
|
RX 6950 XT |
341W
|
RTX 3080 10GB |
318W
|
RX 6900 XT |
302W
|
RTX 3070 Ti |
298W
|
RX 6800 XT |
292W
|
RTX 2080 Ti |
265W
|
Arc A770 16GB |
232W
|
RX 6800 |
223W
|
RX 6700 XT |
221W
|
RTX 3070 |
220W
|
RX 5700 XT |
210W
|
Arc A750 |
203W
|
RTX 3060 Ti |
199W
|
RTX 2070 |
192W
|
RTX 3060 |
183W
|
RTX 2060 6GB |
164W
|
RX 6600 XT |
160W
|
RTX 3050 |
139W
|
GTX 1660 Super |
125W
|
RX 6600 |
120W
|
RX 6500 XT |
101W
|
Arc A380 |
78W
|
GTX 1650 |
74W
|
RX 6400 |
51W
|
GTX 1630 |
49W
|
GPU名称 | 消費電力(W) |
---|---|
RTX 4090 / RT有効 |
476W
|
RTX 4090 / RT無効 |
404W
|
RTX 4090 / RT有効 + DLSS Quality |
355W
|
RTX 4090 / RT有効 + DLSS Perfornmance |
276W
|
思ったよりも遥かに少なく、RT無しだと346W程度
良い意味で予想と違ったのは消費電力です。「RTX 4090」のTGP(グラフィックスの最大消費電力を表す仕様値)は450Wとなっており、「RTX 3090 Ti」と同等でめちゃくちゃ多いことが予想されていましたが、実際にはレイトレーシング無しでは平均346W程度となっており、想像よりも圧倒的に少なかったです。
タイトルの違いや局所的には346W以上の電力を消費する場面もありますが、450Wという設定よりは明らかに少ない電力での動作が見られました。GPUにまだ電力的な余裕があることが伺えます。
300W台後半クラスという消費電力自体は非常に多いハイエンドGPUであることは間違いないものの、その性能向上率を考えれば少なく感じます。
レイトレーシング使用時には非常に多い消費電力だけど、DLSSを使用すると減少
TGPなどの設定やTDP表記にある程度余裕を持たせることは考えられるものの、さすがに+50W~100Wは盛りすぎなので、それだけの電力を消費するシーンがあるということですが、その一つはレイトレーシング時です。レイトレーシング使用時には450Wを超える電力消費も見られました。
ただし、DLSS有効時には消費電力が大幅に減少し、設定によっては300W以下での動作も確認できます。アップグレードされたTensorコアとDLSS技術によって、効率が格段に向上していることが伺えます。
ワットパフォーマンス
ゲームプレイ時のワットあたりのパフォーマンス(fps数)を見ていきます。ゲーミング時の消費電力と1440pゲーミング時の平均fpsを用いて、1Wあたりのfpsを算出して電力効率としています。
ただし、「RTX 4090」は非常に高性能なGPUであり、低負荷なゲームだとボトルネックが出ている可能性が出ることも否定できずにやや不公平な比較となる可能性があるため、低負荷なゲームも含めた複数ゲームの効率と、非常に高負荷なゲーム「Cyberpunk 2077」の1440p/Ultra設定での効率の2つを見ていきます。
注意点として、消費電力は「Cyberpunk 2077」のみで測定したものに対し、後者の平均ゲームでのfpsは複数ゲーム平均なので、厳密には正確な電力効率とは言えません。ただ、最大負荷時の消費電力はゲーム毎に大きな差は出ない事が多いので、概ね許容範囲の値が得られると思います。
GPU名称 | 1Wあたりのfps |
---|---|
RTX 4090 |
0.387
|
RX 6800 |
0.301
|
RX 6600 |
0.276
|
RX 6900 XT |
0.273
|
RX 6800 XT |
0.266
|
RTX 3070 |
0.263
|
RX 6950 XT |
0.255
|
RTX 3060 Ti |
0.249
|
RX 6600 XT |
0.246
|
RTX 3090 |
0.235
|
RTX 3080 Ti |
0.235
|
RX 6700 XT |
0.231
|
RTX 3080 10GB |
0.228
|
Arc A750 |
0.227
|
Arc A770 16GB |
0.214
|
RTX 3090 Ti |
0.210
|
RTX 3070 Ti |
0.204
|
RTX 3060 |
0.204
|
RTX 2070 |
0.204
|
RTX 2060 6GB |
0.202
|
RTX 3050 |
0.191
|
RX 5700 XT |
0.179
|
GPU名称 | 1Wあたりのfps |
---|---|
RTX 4090 |
0.578
|
RX 6600 |
0.541
|
RX 6800 |
0.541
|
RX 6600 XT |
0.481
|
RTX 3070 |
0.480
|
RX 6900 XT |
0.472
|
RX 6800 XT |
0.465
|
RTX 3060 Ti |
0.463
|
RX 6700 XT |
0.451
|
RX 6950 XT |
0.441
|
RTX 3080 10GB |
0.405
|
RTX 3090 |
0.403
|
RTX 3080 Ti |
0.400
|
GTX 1660 Super |
0.388
|
RTX 3060 |
0.387
|
RTX 3070 Ti |
0.373
|
RTX 3050 |
0.368
|
Arc A750 |
0.364
|
RTX 2070 |
0.363
|
RTX 2060 6GB |
0.357
|
RTX 3090 Ti |
0.349
|
Arc A770 16GB |
0.342
|
RX 5700 XT |
0.335
|
RX 6500 XT |
0.319
|
非常に優れた電力効率で、負荷のゲーム&高設定では前世代のGPUを圧倒
予想よりも遥かに少なかった消費電力も大きく、「RTX 4090」の電力効率は前世代GPUよりも非常に優れていました。
特に、非常に高いパフォーマンスを要求する「Cyberpunk 2077」の1440p/Ultra設定での効率は非常に良く、前世代の全てのGPUを圧倒しています。次点である「RX 6800」を約28.6%も突き放してのトップの数値となっています。効率的には悪かった「RTX 3090 Ti」と比較すると約1.84倍も優れた効率となっており、微細化された4nmプロセスの恩恵は絶大です。
恐らくCPUのボトルネックにより、fpsが伸び悩む1440p以下の軽めのゲームを含む複数ゲーム平均での比較では前世代を圧倒するほどの効率の良さではありませんでしたが、やや不利な条件での効率比較でも、前世代GPUとの比較ではトップでした。土台から非常に効率的なGPUであることが十分に伺える結果となっていました。
レイトレーシング・DLSS性能
レイトレーシング性能(単体)
まずはDLSSを使用しないレイトレーシング単体でのパフォーマンスを見ていきます。8種類のゲームでの幾何平均fpsを見ていきます。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 |
152.7
|
RTX 3090 Ti |
124.4
|
RTX 3090 |
114.9
|
RTX 3080 Ti |
114.7
|
RTX 3080 |
103.1
|
RX 6950 XT |
97.1
|
RX 6900 XT |
92.4
|
RX 6800 XT |
88.3
|
RTX 3070 Ti |
86.7
|
RTX 3070 |
82.1
|
RX 6800 |
77.1
|
RTX 3060 Ti |
72.2
|
Arc A770 16GB |
64.3
|
RX 6700 XT |
61.4
|
Arc A750 |
59.8
|
RTX 3060 |
55.7
|
RX 6600 XT |
46.9
|
RTX 2060 6GB |
42.3
|
RTX 3050 |
40.1
|
RX 6600 |
40.1
|
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 |
137.4
|
RTX 3090 Ti |
96.2
|
RTX 3090 |
86.3
|
RTX 3080 Ti |
85.6
|
RTX 3080 |
74.8
|
RX 6950 XT |
70.4
|
RX 6900 XT |
66.8
|
RX 6800 XT |
66.4
|
RTX 3070 Ti |
61.9
|
RTX 3070 |
58.6
|
RX 6800 |
54.8
|
RTX 3060 Ti |
51.5
|
Arc A770 16GB |
46.5
|
Arc A750 |
42.5
|
RX 6700 XT |
42.1
|
RTX 3060 |
38.5
|
RX 6600 XT |
31.5
|
RTX 3050 |
27.3
|
RTX 2060 6GB |
26.8
|
RX 6600 |
26.8
|
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 |
90.1
|
RTX 3090 Ti |
55.3
|
RTX 3090 |
48.2
|
RTX 3080 Ti |
47.9
|
RTX 3080 |
41.9
|
RX 6950 XT |
38.8
|
RX 6800 XT |
36.6
|
RX 6900 XT |
36.0
|
RX 6800 |
29.1
|
Arc A770 16GB |
25.1
|
RTX 3070 Ti |
23.8
|
RTX 3070 |
22.9
|
RX 6700 XT |
21.8
|
RTX 3060 |
20.3
|
Arc A750 |
19.8
|
RTX 3060 Ti |
19.6
|
RTX 3050 |
11.6
|
RX 6600 XT |
10.7
|
RTX 2060 6GB |
10.1
|
RX 6600 |
9.6
|
レイトレーシングでも前世代のハイエンドGPUの通常動作並みの優れた性能
レイトレーシング性能も非常に高性能です。「RTX 3090 Ti」と比較すると、4Kでは約63%という驚異的な性能向上率となっています。
そのfpsは前世代のハイエンドGPUの通常動作(ラスタライズ)並みとなっています。やはり無効時よりは3~4割と大きめのfps低下が見られるものの、特に1440p以下においては現状ではCPUのボトルネックも感じるほどの性能であったこともあってか、「fps低いな~」と感じるほどではないレベルに留まっています。
「RTX 4090」クラスの高性能さだと、軽めのゲームではモニターやゲームのfpsやリフレッシュレート上限に達してしまうことも多いと思うので、そういう場合にはレイトレを使わないと逆にもったいないということが割とよくありそうなレベルの高性能さになりました(消費電力を節約したいなら別だけど)。
レイトレーシング + DLSS性能
次に、レイトレーシングとDLSSを使用した場合のパフォーマンスを見ていきます。タイトルは「Control」です。DLSSとレイトレーシングの両方に対応したゲームが現状少ないため、単一タイトルでの結果となっています。タイトルによって多少の差が生まれるかもしれない点に注意してください。結果はレイトレーシングのみ有効なものと、DLSSも有効にしたものの2種類載せており、DLSSを有効にしたことによってどれだけパフォーマンスが向上するかをわかるようにしています。
DLSSはGeForce RTXシリーズのTensorコアが必要となるため、RadeonやArc等の別メーカーのGPUでは利用できないため、結果にも含まれていません。
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 DLSS |
192.2(+0.6%)
|
RTX 4090 |
191.0
|
RTX 3090 Ti |
116.8
|
RTX 3090 |
104.4
|
RTX 3080 Ti |
101.9
|
RTX 3080 |
91.4
|
RTX 3070 Ti |
73.0
|
RTX 3070 |
67.8
|
RTX 3060 Ti |
59.7
|
RTX 3060 |
45.6
|
RTX 2060 6GB |
34.9
|
RTX 3050 |
34.3
|
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 DLSS |
188.0(+42.5%)
|
RTX 4090 |
131.9
|
RTX 3090 Ti |
78.3
|
RTX 3090 |
68.7
|
RTX 3080 Ti |
68.0
|
RTX 3080 |
60.4
|
RTX 3070 Ti |
46.8
|
RTX 3070 |
43.6
|
RTX 3060 Ti |
37.8
|
RTX 3060 |
28.7
|
RTX 2060 6GB |
21.7
|
RTX 3050 |
20.0
|
GPU名称 | 平均FPS |
---|---|
RTX 4090 DLSS |
117.1(+72%)
|
RTX 4090 |
68.1
|
RTX 3090 Ti |
40.3
|
RTX 3080 Ti |
34.5
|
RTX 3090 |
34.4
|
RTX 3080 |
32.1
|
RTX 3070 Ti |
23.2
|
RTX 3070 |
21.4
|
RTX 3060 Ti |
18.3
|
RTX 3060 |
13.9
|
RTX 2060 6GB |
10.7
|
RTX 3050 |
9.1
|
高解像度だと大きなfpsアップ
レイトレーシング時にDLSSを使用すると、1440p以上では大きなfps向上が確認できました。4Kでは70%以上も向上が見られ、DLSS使用時にはレイトレーシング無効時とも大差ないfpsを得ることが可能になっています。前述では消費電力が減るという結果もあったので、利用できる場合にはかなり有益だと思います。
また、1080pではほとんど変わらないことから、やはり1080pのような低負荷時には恐らくCPU等がボトルネックとなっている感じがありました。GPUのせいとは言えない部分ですが、少なくとも現環境では1080pではその性能を活かしにくいようです。
まとめ
GeForce RTX 4090
- RTX 3090 Tiを大幅に上回る高いパフォーマンス(4Kで1.4倍以上)
- 非常に大容量で高性能なVRAM(24GB GDDR6Xで1008GB/s)
- 1440pや4Kでも非常に高いパフォーマンス(4K最高設定でも100fps超えが基本で、平均では150fps超え)
- 前世代より優れた電力効率(高負荷なゲーム・処理の場合には特に)
- アップスケーリング無しでも非常に優れたレイトレーシング性能
- DLSS 3に対応(メインのGPUコアに頼らずフレーム生成)
- レイトレーシング無効時にはTGPより大幅に少ない消費電力
- AV1のデコードおよびエンコードをサポート
- 高すぎる価格(NVIDIAの日本での想定価格は298,000円~)
- 非常に多い消費電力
- 非常に大型
驚異的な性能で前世代GPUを圧倒。4Kの敷居を大幅に下げる
「RTX 40シリーズ」発表されているモデルの中では最上位のハイエンドモデル「RTX 4090」ですが、驚異的な性能で前世代を圧倒する超高性能GPUでした。事前発表によりある程度の予想はできたものの、実際に登場するとやはり驚きを隠せないレベルの高性能さでした。
恐らくはCPUによるボトルネックで低負荷な1080pでは思ったより性能が伸び悩んだものの、それでも約2割という大きな向上でしたし、4Kでは平均で約46.4%という大きな向上を遂げています。
この向上により、4K最高設定においてもほとんどのゲームで100fps以上を記録し、平均では150fps以上という従来からすると規格外の性能です。これは前世代のハイエンドGPUの1080pにも大きくは劣らないレベルのfpsとなっており、4Kの敷居を格段に下げることとなっています。今までの常識を塗り替えるレベルの性能です。
レイトレーシング・DLSS性能も大幅に向上
また、世代が更新されたレイトレーシング用のコア第3世代「RTコア」およびDLSS用の「Tensorコア」とDLSS 3も注目で、レイトレーシング性能およびDLSS性能も大幅に向上しています。
アップスケーリング無しのレイトレーシングでも、非常に優れたパフォーマンスを発揮し、4Kと同じく敷居がかなり下がっています。1440p以下の平均では130fpsを上回る高いfpsを出すことができ、ほとんどのゲームでは144fpsは超えるため、前世代からは考えられないほど快適です。
レイトレーシングでも4Kは素晴らしい性能で、「RTX 3090 Ti」と比較すると1.6倍以上のパフォーマンスを発揮しており、驚異的な性能向上率です。一段どころではないレベルの向上です。
しかも、DLSS使用時にはfpsが大きく引き上げられ、レイトレーシングによるfps低下を大幅に抑えることができます。DLSS 3では単なる性能向上ではなくメインのGPUコアに頼らずに中間フレームを作成する機能が追加されていることも大きく、負荷を格段に軽減しつつアップスケーリングが可能になっていることがポイントです。DLSS 3が発表されて間もないために対応タイトルは少ないですが、増えてくれば非常に有益になると思います。
ただし、超高性能な「RTX 4090」のDLSS使用時の性能を活かすには、同時に超高性能なモニターも必要となる点に注意が必要です。超高額GPUに加え、超高額なモニターが必要となるため導入費用は凄まじいことになります。「RTX 4090」を検討する時点で予算よりも性能という人だと思うので、問題ない場合もあるかもしれませんが、少なくとも一般の人には色んな意味で無縁の話になりそうです。
レイトレ無効時には消費電力が思ったよりも少なく、電力効率も格段に向上
4nmプロセスへと微細化となった恩恵か、電力効率も向上しています。
電力面でまず嬉しい誤算だったのが、レイトレーシング未使用時には思ったより少ない消費電力だったことです。TGPでは450Wと非常に多い消費電力が懸念されましたが、レイトレーシング未使用時の平均では350W程度となっており、遥かに少ないです。
そのおかげでもあり、4K最高設定の重いゲームでは前世代の最高効率のGPUを約30%も上回る高い効率を発揮し、非常に優れた電力効率となっていました。
軽いゲームも含む1080pゲーミング時には、恐らくボトルネックのせいで印象的と言えるほどの値ではなかったのは残念でしたが、それでも前世代GPUよりは優れた効率でした。不利な場面でも前世代の最高効率モデルに匹敵する効率です。
もちろんこれから出てくる下位モデルの方が効率がもっと良くて、「RTX 4090」の効率は「RTX 40シリーズ」の中では良くは無かったということになる可能性もありますが、前世代のRTX 30シリーズでは、高性能なVRAMを備えたハイエンドモデルの効率が総じて微妙だったので、性能も含め「RTX 4090」は前世代よりは遥かに選ぶ価値を感じる90番台に仕上がっているなと感じました。
問題は高すぎる価格
性能面では間違いなくあらゆる面で前世代を凌駕しており本当に素晴らしいですし、電力面も思ったほどはネックではなかったですが、やはり問題は価格です。
北米での希望小売価格は1,599ドルとなっており、値下がりした「RTX 3090 Ti」と100ドルしか変わらない設定ですが、NVIDIAの日本の公式サイトに掲載されている想定価格は298,000円~となっており、めちゃくちゃ高価です。
言わずもがな、このクラスのGPUは予算度外視で性能を追求する人向けですが、GPU単体のお金だけで高性能なゲーミングPCが買えちゃうレベルです。
その性能の高さとCUDAコア数から予想される下位モデルとの性能差が大きいと思われることから、前世代の「RTX 3090」や「RTX 3090 Ti」よりは個人的に大きく価値を感じますが、やはりその高額さはネックです。
上述の性能を見てきてもわかる通り、4Kの性能は非常に魅力的ですが、1080pにおいては明らかに過剰性能気味です。仮にGPUだけ手に入れても、当面はCPUやモニターのボトルネック問題に直面することが基本になると思います。恐らく、現状の一般人のほとんどは1080pゲーミングが快適なら十分だと感じていると思うので、そういう意味では無駄に高い性能と価格のGPUとなってしまうとも言えます。4Kに魅力を感じる人でも、「RTX 4090」の性能を活かすには4Kでも120Hz~144Hz以上クラスの非常に高価なモニターが必要となってしまいます。
1080pをメインとするなら、現在では10万円台で購入できる「RTX 3080」でも1080pゲーミングなら十分に快適と言えるパフォーマンスですし、何なら6万円程度で購入できるようになった「RTX 3060 Ti」や「RX 6700 XT」でも十分だと感じる人も多いと思います。20万円以上節約しても1080pでのゲーミングは十分快適と考えると、「RTX 4090」ほどのGPUを導入することに大きな価値を見出せる人は少ないのかなと思います。
とはいえ、そのズバ抜けた性能は間違いないので、とにかく高い性能が欲しい人にとっては非常に魅力的であり、重い処理を日常的に行う用途の場合には電力効率も良い「RTX 4090」は生産性でも価値があります。ここまではゲームに焦点を当てて見てきましたが、「RTX 40シリーズ」はAV1のエンコードに対応した上にエンコーダ仕様も強化されている点もあります。クリエイティブ用途でも圧倒的なモデルです。
やはり一般消費者向けとは言えないモデルですが、一部のユーザーにとっては前世代の「RTX 3090/3090 Ti」よりも実用面でも強力な最上位クラスのGPUとして、満足できる仕上がりになっているのかなと思います。
それに、1080pゲーミングなどで問題なのは、恐らくGPU自体の面でなくその他の面のボトルネックのよるものが大きいので、そこでの評価は今後良くなる可能性があります。実売価格が高価すぎるので、それでも一般消費者向けとは言い難いかもしれませんが、高くてもその分高い性能が得られるならOKという人には選択肢に入るかもしれませんから、まだポテンシャルのあるモンスターGPUでした。
といった感じで、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。