先日、最安49,800円という価格で非常に優れたコストパフォーマンスを持つAndroidタブレット「Xiaomi Pad 6」が発売されました。
4~5万円のタブレットとしては2021年発売の「iPad 10.2インチ 第9世代」が非常に強力で、長らくほぼ一強に近い地位を保ち続けてきましたが、「Xiaomi Pad 6」はこのiPadにもコスパや性能で十分に渡り合えるものを持つのではないかとして、筆者が細かく比較してみたいと思ったので、本記事では両者の性能について一つずつ比較していきます。
本記事の内容は記事執筆時点(2023年8月11日)のものであり、ご覧になっている祭には異なっている可能性があるため注意してください。また、掲載の価格は全て税込みです。
※記事投稿時に、「バッテリー」項目において推測で「Xiaomi Pad 6」がわずかに有利と思われる、としていましたが、その後調査した結果ほぼ同等かiPadが少し有利っぽいことが判明したので、お詫びして訂正いたします。
各タブレットの簡単な解説
- 高すぎない価格(約49,800円~)
- 優れた処理性能(Apple A13)
- 優れたディスプレイ性能(2160×1620、広めの色域)
- アルミボディ
スペック表 | |
価格 | 49,800円~ |
---|---|
OS | iPad OS |
画面 | 10.2インチ IPS 2160×1620 60Hz sRGB |
SoC | Apple A13(6コア) |
RAM | 3GB |
ストレージ | 64GB / 256GB |
バッテリー容量 | 8626 mAh |
スピーカー | 2スピーカー(下部に2つ) |
カメラ | リア:800万画素 フロント:1200万画素(超広角) |
GPS | Wi-Fi+Cellularモデルで対応 |
寸法(サイズ) | 250.6 x 174.1 x 7.5 mm |
その他 | 3.5mmオーディオ、指紋認証 |
iPad 10.2インチ(第9世代、2021年発売)は、最安5万円以下の高コスパタブレットとして定番の製品です(2023年8月時点)。
記事執筆時点(2023年8月8日)の価格.comのタブレットPCランキングでも1位となっており、発売から約2年間、ほぼ常に1位を維持し続けた超定番の人気タブレットとなっています。人気の理由はやはり、価格の割には優れた基本性能です。
まず、タブレットPCの頭脳であるSoCに「Apple A13」を搭載しており、5万円以下のタブレットとしては他の競合製品よりも高い性能を持っています。そのため、比較的安価ながら軽い処理ならサクサクと動くのが大きな魅力です。
更に、価格の割にはディスプレイ性能も高いです。2160×1620の高解像度と広めの色域を持ち、優れた映像体験を実現できます。
この「処理性能」と「ディスプレイ」という、タブレットでは特に重要な2つのスペックにおいて優れたものを持ちながら最安5万円以下という価格が、他のタブレットではほぼ無かったため、長らく定番とあり続けたという訳です。
また、ボディがアルミニウムで統一されており、優れた質感と放熱性を持つ点も良いです。5万円以下のコスパ重視タブレットやノートPCではほとんどの場合プラスチックな中、その点でも優れています。
2023年現在ではベゼルが厚めで少し野暮ったさを感じる点や、未だにLightningコネクタを採用している点(USB-Cへのアダプターは付属)などはややマイナス面ではあると思うものの、絶対的な基本性能コスパに支えられ、定番となっていたタブレットが10.2インチ iPadです。
ちなみに、2022年には新しい第10世代のものが発売されており、SoCがApple A14になったり、ディスプレイのベゼルやUSB-C採用などで改善が加えられていますが、価格は約68,800円~と10.2インチの第9世代モデルよりも大幅に高くなっていたため、新モデル発売後も旧世代が人気の定番モデルとなっています。
- 高すぎない価格(約49,800円~)
- 優れた処理性能(Snapdragon 870)
- 非常に優れたディスプレイ性能(2880×1800、広色域、最大144Hz)
- 価格の割に優れたストレージとRAM(128GB/6GB or 8GB)
- アルミボディ
スペック表 | |
価格 | 49,800円~ |
---|---|
OS | MIUI for Pad(Android 13ベース) |
画面 | 11インチ IPS 2880×1800 最大144Hz(可変) DPI-P3 |
SoC | Snapdragon 870(8コア) |
RAM | 6GB / 8GB |
ストレージ | 128GB |
バッテリー容量 | 8840 mAh |
スピーカー | 4スピーカー |
カメラ | リア:1200万画素 フロント:800万画素 |
GPS | 非公表(恐らく非対応) |
寸法(サイズ) | 253.95 x 165.18 x 6.51 mm |
その他 | 顔認証 |
Xiaomi Pad 6は、2023年7月27日に発売された高コスパAndroidタブレットです。
価格は上述のiPadと同じ最安49,800円~となっていますが、その価格からは想像できないほど高品質なタブレットとなっており、注目を集めています。
詳細は後に見ていくので、ここでは各性能についてはざっくり見ていきますが、
まず、SoCには「Snapdragon 870」を搭載しており、iPadと同じく5万円以下のタブレットとしては他の競合製品よりも高い性能を持っています。マルチコア性能は今回比較するiPadの「Apple A13」に近いものを持っており、ほぼ同等レベルです。5万円以下でこのクラスのSoCを搭載するAndroidタブレットは貴重ですし、後述するその他の面も普通に優れているため、非常に強力なコスパを持っています。
ディスプレイ性能も非常に高く、11インチで2880×1800の高解像度のDPI-P3対応を謳う高色域の高品質ディスプレイです。更に、リフレッシュレートは最大144Hzで滑らかな描写が可能となっています。ハイエンドタブレットと錯覚するレベルの超高品質ディスプレイとなっており、こちらは10.2インチiPadを上回るレベルなのが驚きです。最安5万円クラスのタブレットとは到底思えないです。
また、10.2インチiPadの最安モデルでは、ストレージは64GB、RAMは3GBとなっているのに対し、Xiaomi Pad 6は最安構成でも128GBストレージと6GB RAMが付属している点もやや優位です。
ボディに関しても、iPadと同じアルミユニボディを採用しており、高い質感と放熱性を備えています。
このように、「Xiaomi Pad 6」は最安5万円のタブレットとしてはあり得ないレベルの高品質タブレットとなっており、ようやく10.2インチiPadを負かす可能性があるタブレットが登場したかもという感じになので、本記事で各項目を一つずつ比較していこうかなと思った次第です。
ちなみに、本機には先代機「Xiaomi Pad 5」があり、こちらも当時は非常に優れたコスパということで注目を集めましたが、円安による影響で大きく値上がりしたことや、背面ボディがプラスチックな点や、純正アクセサリーが日本では未発売だった点などがあり、結局iPadの地位を崩すには至らなかったという事情がありました。
後継機である「Xiaomi Pad 6」ではボディがアルミで統一されたり、純正アクセサリーが日本でも発売されたりなど、先代でのデメリットへの対応が含まれていることもあり、非常に魅力的な一台に仕上がっているように見えたことも、ピックアップして比較していこうと思った要因の一つです。
簡易比較表
Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 | |
---|---|---|
参考価格 ※2023年8月8日時点 | 49,800円~ (8GBモデルは59,800円~) | 49,800円~ |
OS | MIUI 14 for Pad (Android 13ベース) | iPad OS 15 (16.5にも対応) |
画面性能 | 11インチ IPS液晶 解像度:2880×1800 最大 550nits 最大 144Hz 広色域(DPI-P3対応) | 10.2インチ IPS液晶 解像度:2160x1620 最大 500nits 最大 60Hz 広めの色域(sRGB:98%?) |
プロセッサ | Snapdragon 870 | Apple A13 |
RAM | 6GB / 8GB | 3GB |
内蔵ストレージ | 128GB | 64GB / 256GB |
バッテリー容量 | 8840 mAh | 8626 mAh |
Wi-Fi / Bluetooth | Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.2 | Wi-Fi 5 / Bluetooth 4.2 |
重量 | 490g | 487g (Wi-Fiモデル) |
コネクタ | USB Type-C | Lightning |
スピーカー | 4スピーカー | 2スピーカー |
生体認証 | 顔認証 | 指紋認証 |
GPS | × | Wi-Fi+Cellularモデルのみ対応 |
カメラ | 背面:1300万画素 前面:800万画素 | 背面:800万画素 前面:1200万画素 |
イヤホン端子 | × | 3.5mmオーディオ |
防水・防塵 | 非公表 | 非公表 |
寸法(サイズ) | 253.95 mm 165.18 mm 6.51 mm | 250.6 mm 174.1 mm 7.5mm |
スペックは上記のような感じになっています。
この後、項目ごとに分けて触れていくのでここでは特に触れない感じでいきます。
また、OSについても差がありますが、どちらが上と言うのは難しいですし、後から色々改善されたりすることある点なので、特に比較には含めていません。
各項目別の比較
CPU:ほぼ同等でどちらも高性能
CPU性能についてです。SoCには「Xiaomi Pad 6」には「Snapdragon 870(8コア)」、「iPad 10.2インチ(第9世代)」には「Apple A13(6コア)」が搭載されています。各性能について、Geekbench 5.4のスコアを下記にまとめているのでそちらを見てみましょう。
CPU名称 | スコア |
---|---|
Apple M2 | 8962 |
Apple M1 | 7574 |
Core i7-1185G7 | 5571 |
Core i5-1135G7 | 4697 |
Apple A15 | 4640 |
Apple A14 | 4160 |
Core i5-1035G4 | 3986 |
Snapdragon 8 Gen1 | 3581 |
Apple A13 | 3476 |
Snapdragon 870 5G | 3381 |
Apple A12 | 2814 |
Snapdragon 860 | 2657 |
Core i3-1005G1 | 2417 |
Core m3-10100Y | 1889 |
Helio G99 | 1828 |
Snapdragon 730G | 1744 |
Helio G90T | 1715 |
Snapdragon 7c Gen2 | 1630 |
Snapdragon 680 | 1625 |
Snapdragon 662 | 1389 |
MT8183 | 1293 |
Celeron N4100 | 1271 |
Helio P60T(Chromebook) | 926 |
CPU名称 | スコア |
---|---|
Apple M2 | 1925 |
Apple M1 | 1728 |
Apple A14 | 1593 |
Apple A15 | 1590 |
Core i7-1185G7 | 1535 |
Core i5-1135G7 | 1394 |
Apple A13 | 1336 |
Snapdragon 8 Gen1 | 1237 |
Core i5-1035G4 | 1235 |
Core i3-1005G1 | 1141 |
Apple A12 | 1117 |
Snapdragon 870 | 1000 |
Core m3-10100Y | 986 |
Snapdragon 860 | 728 |
Snapdragon 7c Gen2 | 556 |
Snapdragon 730G | 547 |
Helio G90T | 545 |
Helio G99 | 542 |
Celeron N4100 | 405 |
Snapdragon 680 | 379 |
Snapdragon 662 | 314 |
MT8183 | 303 |
Helio P60T(Chromebook) | 263 |
まずマルチコア性能を見てみると、両者とも3400前後のスコアとなっており、ほぼ同等の性能であることがわかります。重めのアプリを使用した場合の快適さはほぼ変わらないです。
一応両者の差としては、「Apple A13」が6コアであるのに対し「Snapdragon 870」が8コアという点があるため、複数のアプリを立ち上げて動作させる場合などにはXiaomi Pad 6の方が若干有利な可能性もありますが、
逆にシングルコア性能では「Apple A13」の方がやや上であり、軽い処理のサクサク感ではやや有利となるはずなので、総合的に見れば、やはりCPU性能は同等レベルと評して良いかと思います。
また、どちらも最安5万円のタブレットに搭載されるSoCとしては非常に高性能で、コスパが良いです。現状の4万以下のタブレットは「Helio G90番台」や「Snapdragon 720G/730G/7c Gen2」などの採用が多く、Surface Go 3でも「Pentium Gold 6500Y」「Core i3-10100Y」が採用されていますが、いずれもマルチコア性能は2000未満(1300~1900程度)であり、今回比較する2機種の方が2倍前後も高性能です。処理性能コスパは圧倒的です。
表を見ると上の性能のものがたくさんあるので、高性能ではないようにも見えると思いますが、上のSoCのほとんどは大型のタブレットやハイエンドタブレットに搭載されるものです。
11インチ以下の小型タブレットやスマートフォンに搭載されるSoCとしては、「Snapdragon 870」も「Apple A13」も未だに上位レベルであり、Web閲覧や一般的なアプリの動作は非常に快適なので、その点は心配しなくても大丈夫です。
ゲーム性能については、この後のGPUの項目で見ていきます。
GPU:iPadが非常に強力で4割も上回る。だけど、Xiaomi Pad 6も価格を考えれば十分強い
次に、GPU性能をまとめています。「GFXBench 5.0 Aztec Ruins Normal Tier offscreen」のfps数です。端末やSoCによって周波数に違いがあったりして性能が多少前後する点に注意です。
GPU | スコア | 搭載SoC例 |
---|---|---|
Apple M1 8コアGPU | 196.9 | Apple M1 |
Adreno 740 | 145 | Snaprdagon 8 Gen2 |
Apple A15 GPU | 112 | Apple A15 |
Adreno 730 | 103 | Snaprdagon 8 Gen1 |
Apple A14 GPU | 89 | Apple A14 |
Apple A13 GPU | 78 | Apple A13 |
Apple A12 GPU | 56 | Apple A12 |
Adreno 650 | 55 | Snaprdagon 870 5G |
Adreno 640 | 40.6 | Snapdragon 860 |
Mail-G76 MP4 | 20.1 | Helio G90T |
Mail-G72 MP3 | 20 | MT8183 / Helio P60T |
UHD Graphics 600 | 19.6 | Celeron N4100 |
Adreno 610 | 19 | Snapdragon 662,680 |
Adreno 618 | 18.1 | Snapdragon 730G,7c Gen2 |
Mali-G57 MP2 | 14.8 | Helio G99 |
結果は「Adreno 650」は約55fps、「Apple A13 GPU」は約78fpsとなっており、iPadの方が約41.8%も高性能です。
iPadのグラフィック性能は価格を考えると破格であり、重めのゲームの快適さなどを重視する場合にはiPadの方が強力なのでおすすめです。OSの違いがあり、サポートとするゲームには多少差がある点には注意ですが、ゲームメインのタブレットを求めるならiPadは未だに一強レベルです。
しかし、10.2インチiPadが強力すぎるだけで、Xiaomi Pad 6のグラフィック性能が欠点という訳ではない点は留意です。現状の5万円以下のタブレットのほとんどは、上述の表で20fps以下のものであるため、55fpsなら倍以上の性能です。軽めのゲームなら十分快適に動作するので、重めのゲームを想定しないならネックとなるほどではないと思う点は考慮しておきましょう。
ディスプレイ:iPadも良い方だけど、Xiaomi Pad 6が強すぎる。液晶なので有機ELにはコントラスト比では負ける点には注意
ディスプレイの性能について見ていきます。タブレットPCでは特に重視される項目の一つです。下記に双方の主要なスペックを並べているので、そちらを参考に比較していきましょう。
Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 | |
---|---|---|
種別 | IPS液晶 | IPS液晶 |
サイズ | 11インチ | 10.2インチ |
解像度 | 2880×1800 | 2160×1620 |
ピクセル密度 | 309 ppi | 264 ppi |
色域 | 広い色域 (DPI-P3対応) | 広めの色域 (sRGB対応) |
輝度 | 最大 550nits | 最大 500 nits |
リフレッシュレート | 最大 144Hz(可変) | 60Hz |
フリッカー | DC調光(公称)なので問題無し | PWMだけど、周波数が非常に高い (40000Hz)ので問題無し |
ディスプレイ性能は上記のようになっています。5万円クラスのタブレットとは思えないハイレベルな戦いですが、「Xiaomi Pad 6」の方がやや上です。
iPad 10.2インチも価格を考えれば十分な高品質なディスプレイですが、Xiaomi Pad 6のディスプレイ性能はどう見てもハイエンド品レベルで、5万円から購入できるタブレットのものとは到底思えないレベルの品質となっています。
まずはサイズですが、Xiaomi Pad 6は11インチと若干大きめです。本来は使用者の用途や好みによる部分ではあると思うのの、双方の重量およびサイズ感がほぼ同じなので、若干ながら大きいXiaomi Pad 6の方が視認性が高くて優位な印象があります。
解像度についてもXiaomi Pad 6の方がやや上となっており、画面の精細さを表すppiも、Xiaomi Pad 6が309ppiで、iPadが264ppiとやや上回っています。ただし、双方とも11インチ以下というサイズの割には高解像度なので、違いはほぼわからないレベルかなとは思います。
色域(色鮮やかさのようなもの)についても、Xiaomi Pad 6の方がやや上です。細かい説明は省きますが、色域を評価するには有名な色空間というものをどれだけカバーできているかというもので評価することが一般的ですが、
これが、Xiaomi Pad 6は「DPI-P3対応」となっているのに対し、iPad 10.2では「sRGB対応」となっています。DPI-P3(Display P3)はAppleが定義したsRGBの上位互換の色空間なので、sRGB止まりのiPadよりもXiaomi Pad 6の方がやや上となっています。
この色域の差については用途によって評価が分かれるところで、sRGB対応でも動画鑑賞などのライトユーザー目線の用途なら十分と言えますが、少しでも精細な色使いにこだわるイラスト制作などのクリエイティブ用途の場合には、Xiaomi Pad 6が優位という感じになると思います。
ただし、今回は双方ともIPS液晶ディスプレイなので触れませんでしたが、黒の表現については有機ELの方が優れているので、高いコントラスト比や黒の表現にこだわりたい方は有機ELの方が良いです。
最大輝度については、Xiaomi Pad 6の方が若干上の550nitsまで対応していますが、基本的には500nitsあれば十分なレベルなので、差というほどのものでは無いかなとは思います。安価なタブレットでは最大輝度が低く300nits程度のものも珍しくないのですが、5万円クラスで500nitsまで対応している双方とも素晴らしいです。
最後にリフレッシュレートですが、Xiaomi Pad 6が144Hzなのに対し、iPad 10.2インチは60Hzなので、ここは明確にXiaomi Pad 6の方が上です。5万円クラスでは本来60Hzがほとんどなので、iPadが悪いという訳ではなく、Xiaomi Pad 6が破格の仕様です。
ただ、このリフレッシュレートの差が使用感を必ず分けるかというとそうでもない点は留意です。なぜかというと、動画サイトなどの動画は現状ほぼ全てが60fps以下ですし、スマホゲームも基本最大60fpsとなっているためです。
一応、リフレッシュレートが高いと、スクロールなどのシステムのアニメーションが滑らかだったり、タッチサンプリングレートというタッチを認識する頻度も高くなったりすることが多いので、全体的に操作が軽快に感じるというのがタブレットでの主な利点です。
使用感は向上するものの、実益があるかというと微妙なところですし、リフレッシュレートが高いとバッテリー消費が大きくなるというデメリットもあります。
Xiaomi Pad 6は使用状況に応じて調整する可変リフレッシュレートらしいので、バッテリー面ではそこまでのデメリットではないですし、高いリフレッシュレートに対応しているというのはメリットですが、大きな評価になるかは人によりそうです。
総評としては、ディスプレイではどの面でも多少 Xiaomi Pad 6の方が上となっているため、ディスプレイを重視するならXiaomi Pad 6の方がおすすめではありますが、iPad 10.2インチも価格を考えれば十分高品質なディスプレイなので、とにかく優れたディスプレイが良いという訳でなければこだわるほどのものではないかなと思います。
RAMとストレージと価格:構成次第だけど、最安値モデルならXiaomi Pad 6が明らかに有利
プロセッサの作業スペースであるRAMと、データを保存するストレージについてです。
タブレットでは基本的にRAMやストレージの増設や換装はできませんし、今回の2機種の場合はSDカードスロットも搭載していないので、始めから必要量を確保しておくことが必要になります。
RAMとストレージによって価格がやや異なるので、価格も含めてここで比較していきたいと思います。
価格 | Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 (Wi-Fiモデル) |
---|---|---|
49,800円 | 6GB / 128GB | 3GB / 64GB |
59,800円 | 8GB / 128GB | |
71,800円 | 3GB / 256GB |
RAMとストレージ構成は上記のような感じです。256GBモデルが無いことを除けば、明らかにXiaomi Pad 6が優位です。
まずRAMから見ていくと、こちらはXiaomi Pad 6が圧倒的に有利です。約5万円の最安モデルでも6GB搭載されており、3GBで統一されているiPadよりも3GBも有利です。その上、1万円の追加費用で8GBモデルまで選ぶことができます。
上述の処理性能はRAM込みの性能なので、iPadは3GBでも単体の処理なら高い処理性能を持ちますが、容量を多く使うアプリや複数アプリを同時起動する際には不安があるので、やはりXiaomi Pad 6の方が有利です。
次にストレージですが、こちらは最安値モデルならXiaomi Pad 6の128GBの方が有利ですが、iPadは256GBモデルがあるのに対しXiaomi Pad 6の方は128GBしかないので、多少高価でも容量が多い方が良い場合にはiPadの方が有利です。
一応互いにメリットはあるものの、やはり基本的には出来るだけ安いモデルを求めて、最安値モデルを検討する人がほとんどだとは思います。最安値モデルに限ればXiaomi Pad 6が明確に有利なので、大半の人にとってはXiaomi Pad 6が魅力的に見えるのではないかと思います。
無線通信機能(Wi-Fi等):宅内利用ならXiaomi Pad 6の方が強いけど、GPS等は対応無し
Wi-FiやBluetooth、モバイル回線やGPSなどの無線機能についてです。各機種の対応状況は下記のようになっています。
Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 | |
---|---|---|
Wi-Fi | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 5 |
Bluetooth | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 4.2 |
GPS | × ※非公表 | Wi-Fi + Cellularモデルで対応 |
モバイル回線 | × | Wi-Fi + Cellularモデルで対応 |
無線機能は全ての項目で違いがあり、少しややこしい事になっています。
まずWi-Fiですが、Xiaomi Pad 6はWi-Fi 6に対応しており、iPadはWi-Fi 5なので、Xiaomi Pad 6の方が優れています。速度自体はWi-Fi 5でも困らないですが、Wi-Fi 6ではルーターへの最大同時接続数が増えたり、複数台接続時の遅延減少や待機時の消費電力を抑える機能などが盛り込まれた機能面が非常に強化された規格になるので、特に家族で同じルーターにたくさんの無線デバイスを接続している場合などには恩恵が結構あったりします。
次にBluetoothですが、こちらもXiaomi Pad 6はBluetooth 5.2に対応しているのに対し、iPadは古いBluetooth 4.2までの対応なので、Xiaomi Pad 6の方が優れています。Bluetooth 4.0以降は下位互換性があるので、デバイスが使用できないなどで困ることは基本ありませんが、4.2と5.2では性能に結構差があり、通信速度や範囲が大幅に向上するため、同額のタブレットとしては気になるところです。
また、さほど普及はしていないものの、Bluetooth 5.2から「LE Audio」という技術が盛り込まれ、「LC3」コーデックを使用することで音声の遅延軽減や品質を落とさずに低ビットレート化が実現しているとされており、遅延の軽減やバッテリー消費が見込める魅力的な機能となっています。
現状では対応機器が少ないため注目されていませんが、非常に魅力的な機能なので、将来性を加味すればあった方が良いと思います。
このように、Wi-FiとBluetoothでは明らかに「Xiaomi Pad 6」の方が有利となっています。iPad 10.2 第9世代は2021年発売モデルということもあり、規格が古いため不利な状況となっています。
しかし、iPadの方が有利な点もあります。それは、Xiaomi Pad 6はGPSについては非公表なので恐らく対応しておらず、モバイル回線対応モデルもないのに対し、iPadはWi-Fi + CellularモデルでGPSやモバイル回線が利用できる点です。
よって、宅内だけでなく色々なところへ持ち出してナビなどとしても使いたい場合などにはiPad一択になります。
ただし、iPadのWi-Fi + Cellularモデルは価格が大幅に上昇(+2万円)するため、性能コスパはかなり悪化してしまう点には注意です。モバイル回線対応モデルの価格が上昇するのは仕方がないですが、さすがに2万円は上がり過ぎです。モバイル回線はともかく、GPSに対応した安価なタブレットは他の選択肢も結構あるので、その点は考慮すべきかなと思います。
総評としては、Wi-FiとBluetoothに関してはXiaomi Pad 6の方が上なので、宅内利用ならXiaomi Pad 6の方が通信環境は良くなりますが、GPSやモバイル回線に対応したモデルがないので、外出時のナビなどとしての利用も視野に入れるなら該当モデルのあるiPad一択になります。
ただし、iPad のWi-Fi + Cellularモデルは価格が急激に上昇(+2万円)するのがネックで、コスパの良さが薄れてしまうため、他機種でも有力なものが増えるという点は留意、という感じです。
バッテリー:ほぼ同等か少しPad有利
※記事投稿時には推測で「Xiaomi Pad 6」がわずかに有利と思われるとしていましたが、その後調査した結果、ほぼ同等かiPadが少し有利のようでした。お詫びして訂正いたします。
バッテリー性能についてです。主にバッテリー容量と、画面およびプロセッサの消費電力によって決まります。タブレットPCは宅内でもバッテリー駆動での使用が基本なので、重要な要素の一つです。
関わる項目を抜き出すと以下のようになります。
Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 | |
---|---|---|
バッテリー容量 | 8840 mAh | 8626 mAh |
公称の駆動時間 | 最大 16 時間 (動画再生) | 最大 10 時間 (Wi-Fi通信、動画再生、 オーディオ再生) |
SoC | Snadragon 870 (7nm) | Apple A13 (7nm) |
画面性能 | 11インチ 2880×1800 最大144Hz(可変) | 10.2インチ 2160×1620 60Hz |
Wi-Fi/Bluetooth | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.2 | Wi-Fi 5 Bluetooth 4.2 |
バッテリー持続時間は、公称値を見る限りはXiaomi Pad 6が大幅に有利に見えますが、テスト環境が同一とは限らないため、あまり参考になりません。
そこで今回は、海外レビューで「Xiaomi Pad 6」と「iPad 第9世代 10.2インチ」をほぼ同じ状況でのバッテリー持続時間の比較したものを見つけることができたので、参考までにそちらを見ていこうと思います。結果は下記のようになっています。
稼働時間 | Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 |
---|---|---|
アイドル(最小輝度) | 35時間54分 | 38時間12分 |
H.264 1080p 動画再生 | 12時間21分 | 14時間58分 |
Wi-Fi | 13時間43分 | 13時間25分 |
上記の表を見ると、アイドル時やローカル動画再生時にはiPadがやや有利で、Wi-Fi時にはXiaomi Pad 6がわずかに有利となっています。
仕様を見る限りはXiaomi Pad 6がやや有利かと思っていましたが、ネット接続が絡まない場合にはiPadが少し有利という結果でした。古い仕様のタブレットとは思えないさすがの効率です。
ただし、Wi-Fi時にはXiaomi Pad 6がわずかに有利へと一転しています。大きな差ではないものの、ネット接続が無い場合にはやや有利から不利まで一転するほどなので何らかの影響がある可能性は高く、やはりWi-FiモジュールがiPadは明らかに古いものが採用されている点の影響が疑われます。
関連して、テストには含まれないBluetoothに接続した状態でのバッテリー駆動時間などもXiaomi Pad側がわずかに有利である可能性もある点は一応留意です。
最後にまとめると、バッテリー性能を総合的に評価するなら両者はほぼ同等か、iPadが若干有利という感じになるかと思います。選択を左右するほどではなかったです。
カメラ:iPadはフロントカメラを重視し、実用性で有利な印象
カメラについてです。タブレットPCではスマートフォンなどよりは重視されない部分ではあり、使用者の用途次第ではあります。
双方のカメラ仕様は以下のようになっています。
Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 | |
---|---|---|
リアカメラ | 1300万画素 f/2.2 4K:30 fps 1,080p:30/60 fps 720p:30 fps | 800万画素 f/2.4 1080p:25/30 fps 720p:30fps |
フロントカメラ | 800万画素 f/2.2 1080p:30fps 720p:30fps | 1200万画素 f/2.4 122°視野角 1080p:25fps/30fps/60fps |
補正などは省いていますが、主なカメラスペックは上記のようになっています。
注目は、iPadはフロントカメラを主役に据えていることです。リアよりも高い1300万画素のカメラを搭載している上、122°の超広角カメラで、1080pのビデオ撮影も60fpsまで対応しています。ここまで明確にフロントカメラを重視しているのは珍しいです。
タブレットPCではスマートフォンとは異なり、リアカメラよりもフロントカメラを用いたビデオ通話が主な利用方法であるとした戦略だと思われます。実際、タブレレットPCではフロントカメラの方が使用率が高いと私も思うので、この仕様は理にかなっていると思います。
対するXiaomi Pad 6のフロントカメラは、800万画素でビデオ撮影も30fpsまでという、一般的な安価な機種のフロントカメラです。明確にiPadの方が良いです。
続いてリアカメラを見ると、こちらはXiaomi Pad 6の方が上です。1300万画素で、4Kや1080p/60fpsにも対応しているのに対し、iPadは800万画素で1080p/30fpsまでの対応となっており、Xiaomi Pad 6の方がスペックは良いです。
まとめると、フロントカメラなら「iPad 10.2 第9世代」、リアカメラなら「Xiaomi Pad 6」という風になります。
ただ、一概にどちらが上とは言えない状況ではありますが、タブレットPCの一般的な利用方法を想定するなら、やはりフロントカメラが高性能なiPadの方が実用性は上かなという印象を個人的には受けます。
リアカメラ性能の高さも強みではあると思いますが、Xiaomi Pad 6はGPSやモバイル回線対応モデルがない、基本的に外出時用としては不向きの機種です。フロントカメラを利用するのは外出時が多いと思いますので、噛み合ってはいない仕様には見えるので、iPadの方がニーズにマッチしたカメラ仕様になっていると思います。
外観と材質:背面はどちらもアルミで素晴らしい質感。ディスプレイ側はiPadのベゼルの厚みが気になる
外観や材質の比較です。
材質は双方ともアルミユニボディを採用しています。ユニは「単一の」という意味で、側面のフレームから背面まで全てがアルミボディで統一されています。
アルミはプラスチックよりも熱伝導率が高いため放熱性に優れており熱が籠りにくい点も良いですし、安価なプラスチックよりは丈夫で、指紋も付きにくく質感も良いです。モバイル端末ではプラスチックよりも上質な素材となっている代わりに少しコストが高い素材です。
双方ともアルミを採用で、5万円クラスのタブレットとしては質感は非常に良くて高級感があります。
次に外観ですが、こちらは好みの部分もあるとは思いますが、Xiaomi Pad 6の方がディスプレイ側の見た目がスマートな印象なので、上だと思います。画像を少し見て見ましょう。
背面の質感に関しては、どちらも高級感があり安っぽさを感じさせず、素晴らしいと思います。カラーは多少異なっており、Xiaomi Pad 6では「グラビティグレー」「シャンパンゴールド」「ミストブルー」の3色なのに対し、iPad 10.2 第9世代は「シルバー」「スペースグレイ」の2色です。
ただし、やはりディスプレイ側は、iPad 10.2 第9世代は上下のベゼルがやや厚いのと、今では古臭さも感じる物理ホームボタンが野暮ったさを感じてしまうのは否めないかなと思います。
また、側面のフレームと背面の境目が、Xiaomi Pad 6ではエッジが効いたものであるのに対し、iPadは丸みを帯びている点でも違いがあります。これは好み次第かなとは思いますが、トレンドはエッジが効いている方だと思われ、最近のiPadやiPhoneも四つ角は丸みを帯びていますが、フレームとの境目はエッジの効いたデザインを採用しています。どちらが良いとか悪いとかいう話ではないですが、Xiaomi Pad 6の方が今風のデザインにはなっていると思います。
スピーカー:音質はどちらも期待できないが、iPadは数と配置も微妙
内蔵のスピーカーについてです。安価なモバイルデバイスでは特にコスト削減のために妥協されやすい項目の一つです。
Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 | |
---|---|---|
スピーカー | 4スピーカー (上下に2つずつ) | 2スピーカー (下部に2つ) |
音質については詳細な評価が難しいので断言まではできませんが、どちらも良くはない可能性が高いと思われます。価格を考えれば仕方ないかなと思います。
まず、iPad 10.2インチについてはレビューがたくさんあるので音質評価も確認することができますが、良くはないという評価が基本です。
Xiaomi Pad 6については発売から間もないために細かいスピーカー音質については判明してないものの、先代の上位モデル「Xiaomi Pad 5 Pro」でも音質は高評価ではないようだったので、その他の面が強化されている「Xiaomi Pad 6」でもスピーカーは同様に良くない可能性が高いのではないかと思っています。
特に、低音は安価なタブレットではほぼ全ての製品がほとんど無いに等しいレベルで表現できていないので、内蔵スピーカーを重視するならそもそも今回比較する2機種では微妙で、高価な上位機種を検討する必要があると思います。
ただ、スピーカーの音質に差がない、もしくはiPadが少し上であると仮定しても、個人的にはXiaomi Pad 6の方が実用性は高いと思います。これはXiaomi Pad 6が優れているというよりは、iPad 10.2インチの欠点です。理由は、スピーカーの数と配置です。
iPad 10.2インチは下部に2つのスピーカーのみを備えるため、縦向きでスピーカー部を下にしてしまうと、音が籠ってしまう可能性があります。それは逆向きにして対応することは可能なものの、結局スピーカーは1側面にしかないため、横向きでは一方向からしか音がでず、ちゃんとしたステレオ再生にならないのも欠点です。
そもそもタブレットPCで内蔵スピーカーを重視しない人も多いと思いますが、重視する場合には気を付けておきましょう。
ただし、iPad 10.2インチでは3.5mmオーディオジャックを備えているのに対し、Xiaomi Pad 6には無いので、オーディオ面でiPadが劣っているとは言い切れない点は注意です。
オプション品(キーボードなど):純正品はXiaomi Padの方が安いが、iPadは他社製品が豊富
キーボードカバーなどのオプション品についてです。
どちらも純正品がいくつか販売されているので、まずはそちらを見てみましょう。
Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 | |
---|---|---|
カバーのみ | 三つ折りスタンドカバー 約3,980円 | iPad(第9世代)用Smart Cover 約8,800円 |
キーボードカバー | キーボードケース 約13,800円 | iPad(第9世代)用Smart Keyboard 約24,800円 |
ペン | Xiaomi スマートペン(第2世代) 約14,800円 | Apple Pencil(第1世代) 約14,880円 |
純正品については上記のような感じ。純正品はやはり価格が全体的に高いです。ポイントや少しの値引きは見られたりはしますが、純正品は人気が高いため、大幅に安くなることはほとんどありません。
それぞれの価格については、ペンはほぼ同額ですが、カバー類についてはXiaomi Pad 6の方が一段安いです。それぞれの質については触れませんが、正直なところAppleの純正オプション品は、ペン以外は価格ほどの価値があるかは微妙なところだと思っているので、オプション品も純正で揃えたい場合にはXiaomi Pad 6の方が安上がりかつコスパは良いと思います。
ただし、各オプション品は他メーカーから互換製品が販売されていたりします。特に、発売から期間経っている上に非常に人気のiPad側は、他メーカーの互換製品も非常に豊富です。純正にこだわらないのであれば、圧倒的に安く済ませることが可能だと思います。
Xiaomi Pad 6は、現状では発売から間もないため他社製品はほとんどないですし、恐らく時間がある程度経ってもiPadほど充実はしないと思うので、とにかく安く済ませたい場合にはiPadの方がやや上かなと思います。
ただ、Bluetoothキーボードなどは互換製品などでなくても基本使えるので、着脱式にこだわらないならどちらも差はないかなと思います。
その他
最後に、上述の項目では触れてなかった点について、軽く触れています。筆者が決め手とするほど重要ではないと思う部分でもあるので、飛ばして貰っても構わないかと思います。
付属品:Xiaomi Pad 6の方が充電が少し速い
充電器などの付属品についてです。どちらも特筆する点は無かったので、おまけ程度に触れています。保証書やマニュアル類を省いた付属品は下記です。
Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 | |
---|---|---|
付属品 | ACアダプター(33W) USB Type-Cケーブル | ACアダプター(20W) Lightning – USB-Cケーブル |
充電用の機器のみ付属しています。Xiaomi Pad 6の方が充電はやや速いですが、スマホよりは充電早く終われって思うものではなく、まとまった時間充電して放置しておくものだと思いますので、そこまで大きな差ではないかなと思っています。
生体認証:Xiaomi Pad 6は顔認証、iPadは指紋認証
指紋認証や顔認証などの生体認証です。
Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 | |
---|---|---|
生体認証 | 顔認証 | 指紋認証 |
それぞれ、Xiaomi Pad 6は顔認証、iPadは指紋認証の対応となっています。
コロナ対策によるマスクを考慮すればXiaomi Pad 6の顔認証がやや不便にも見えますが、上述の通りXiaomi Pad 6は外出時の利用にはやや向かない、宅内用に近いタブレットなので、ネックではないと思います。
そして、個人的にはどちらかしか使えないにしても、使っていく内に慣れていくものだと思っているので、選考の決め手にはならないかなと思っています。
防水・防塵性能:どちらも無し(非公表)
防水・防塵性能についてですが、これは双方とも「非公表」となっているため比較が不可能でした。宅内・外のどちらでもあると嬉しいものなので出来れば比較したかったですが、できませんでした。
ただ、「非公表」というのは、ほぼ間違いなく高い性能じゃないよってことなので、どちらも良くて防滴レベルだと思います。
SDカードスロット:どちらも非搭載なので、適切な内蔵ストレージ容量を選ぶ必要あり
SDカードは双方とも使えないので、主要比較に含めませんでした。双方とも最安値モデルは長く使うモデルとしては容量に少し不安があるので、出来れば搭載していて欲しかった部分ではあります。
まとめ
最後にここまでの内容のまとめと総評です。下記がここまでの内容をざっくりまとめた簡易比較表です。
項目 | Xiaomi Pad 6 | iPad 10.2 第9世代 |
---|---|---|
OS | MIUI for Pad (Android 13ベース) | iPad OS |
CPU性能 | 〇 | 〇 |
GPU性能 | 〇 | ◎ |
ディスプレイ | ◎ | 〇 |
RAMとストレージ | 6GB / 128GB:約5万円 8GB / 128GB:約6万円 | 3GB / 64GB:約5万円 3GB / 256GB:約7.2万円 |
Wi-FiとBluetooth | 〇 | △ |
GPSとモバイル回線 | × | 〇(だけど+2万円) |
バッテリー | 〇 | 〇 |
カメラ | リアカメラ:〇 フロントカメラ:△ | リアカメラ:△ フロントカメラ:◎ |
ケースの素材 | 〇(アルミ) | 〇(アルミ) |
外観 | 背面:〇 前面:〇 | 背面:〇 前面:△(上下のベゼルが厚い) |
スピーカー | 4スピーカー (音質は良くないが数は〇) | 2スピーカー (音質も良くはなく、 配置も数も良くない) |
オプション品 (キーボードカバーやペンなど) | 純正品はiPadより安価 (ペン以外) | 純正品はかなり高価 しかし、他社の互換製品が豊富 |
生体認証 | 顔認証 | 指紋認証 |
3.5mmオーディオ | × | 〇 |
総合コスパはXiaomi Pad 6が上に見える
ここまで一通りのスペックをざっと見てきました。どちらも最安5万円ということを考えれば素晴らしいコスパのタブレットであることは間違いなく、良い勝負と言えます。
それを踏まえて全体的に見た印象ですが、個人的には「Xiaomi Pad 6」の方が総合コスパはわずかに上に見えます。これは、単純に有利な項目の数と、表側の見た目がXiaomi Pad 6の方が上だと思ったためです。ただし、明確にどちらが上と言える差ではなく、違いのある点を見て選ぶレベルのものだと思います。
特に、ゲーム性能においてはiPadが約1.4倍も高性能なので有利ですし、GPSやモバイル回線対応モデルはiPadにしかないため、それらの重視度によって評価は変わると思います。
処理性能は、CPU性能は同等だけど、ゲーム性能でiPad大幅有利
それぞれが有利な面について見ていこうと思います。まずは処理性能です。
処理性能については、CPU性能は同等ですが、GPU性能(主にゲーム)ではiPadが約4割も上回る性能を発揮します。iPadの特に大きな強みです。この性能がたった3GBのRAMの上で発揮されているのが驚きです。この差は非常に大きく、ゲームメインの人ならやはりiPadの方が上であるのは明らかだと思います。
ただ、このような全体の評価でもかなりの影響を与えそうな4割の性能差がありながら、上で総合コスパでXiaomi Pad 6が上としたのは、ゲーム性能の高さは万人にとって恩恵があるものではなく、その他の万人に影響のあるディスプレイなどでXiaomi Pad 6の方が有利な点が多かったためです。
特にタブレットにおいては軽作業の方をメイン用途とする人が多いと思われる市場ということも考慮しました。CPU性能については同等であるため、ゲームを意識しないなら性能による差はほぼありません。むしろ、コア数の多さやRAM容量ではXiaomi Pad 6の方が有利なため、RAMを多く占有する処理やマルチタスク面ではXiaomi Pad 有利な可能性すらあります。
よって、ゲームメインという人にとってはiPadの方が強力なのは間違いないというのは事実ですが、人によっては優位性が大きく変わる点として、各人が用途と照らし合わせて考えるべき要素の一つです。そのような事情もあり、真っ先に触れています。
処理性能以外の基本スペックではXiaomi Pad 6有利が目立つ
上でも軽く触れましたが、Xiaomi Pad 6が総合的にわずかに有利に感じたのは、処理性能以外の基本スペックでXiaomi Pad 6の方がやや有利に見える点が多かったためです。
特に大きい要素としては、まずディスプレイです。Xiaomi Pad 6では「2880×1800、DPI-P3対応、最大144Hz」という、最安5万円とは思えない非常に優れたディスプレイを採用しています。輝度も高く、DC調光なのでフリッカーもありません。ハイエンドのゲーミング・クリエイター機かと思う程の高品質ディスプレイです。
iPad側のディスプレイも価格を考えれば十分高品質ではありますが、Xiaomi Pad 6が破格なため劣るのは否めず、見た目でも上下のベゼルが厚くて古臭い印象を少し受けるのがやや大きめなマイナスポイントかなと個人的には感じています。
ストレージ容量でも、最安値モデル同士の比較だと、Xiaomi Pad 6が128GBなのに対し、iPad 10.2インチ 第9世代は64GBしかありません。ネットサーフィンや動画鑑賞程度なら64GBでも困らないと思いますが、ゲームや多機能なアプリを入れるとなると64GBだと結構怪しいです。どちらもSDカードスロットを持たないため、後の対応も難しいです。
一応、iPad側には256GBモデルもありますが、そちらは公式価格71,800円となっており、64GBモデルから2.2万円も価格が上昇してしまいます。7万円以上でも「Apple A13」を超える性能のタブレットが現状ほとんどないため、競争力があるというのが凄いところではありますが、5万円と7.2万円では評価基準も変わりますし、競合機種も増えるので、本記事で主軸に置いていた5万円クラスのタブレットという基準では、Xiaomi Pad 6の方が有利という結論です。
また、今回比較したiPadは2021年発売モデル(第9世代)ですが、処理性能以外のほとんどのスペックは2020年発売モデル(第8世代)の古い仕様を踏襲しているため、最近のタブレットとしては微妙な細かい点が所々あるのも残念な点です。
上述のベゼルが厚い件や、未だにLightningコネクタ、物理ホームボタンの採用などは一目で分かる点ですし、内部仕様でもWi-Fiモジュールの規格の古さなどは結構気になります。
2021年発売という点を考えればWi-Fi 5については仕方ないかなと思うものの、2023年の5万円クラスのタブレットならWi-Fi 6には対応していて欲しいのが本音です。5→6では、通信速度の向上以外でも魅力の機能が多数追加されたので(待機時の消費電力の減少など)、気になるところです。
また、Bluetooth 4.2というのも気になります。2014年発表の古い規格です。Xiaomi Pad 6の5.2と比べるとかなりの差があり、消費電力の差や遅延、安定性はやはり変わると思われるので、Bluetoothデバイスを利用する人はここも大きめのマイナスポイントになりそうです。
そして、恐らくその古い仕様の規格にも足を引っ張られる形で、バッテリー持続時間もXiaomi Pad 6側が少し有利である可能性が高い点もあります。
また、内蔵スピーカーに関しても、Xiaomi Pad 6も良いというレベルではないかと思いますが、iPad 10.2インチは少し微妙なので注意です。下部に2スピーカーのみとなっているため、スピーカーのある側面を下にして利用してしまうと音が籠ってしまう恐れがありますし、横向き使用時には片方からしか音が聞こえないので、ちゃんとしたステレオサウンドになりません。これはXiaomi Pad 6が優れているというよりは10.2 iPadの欠点というべき部分だと思います。
このように、影響を受ける人が多い処理性能以外の基本スペックでは有利な部分が多いのが、Xiaomi Pad 6が総合的にはわずかに有利とした理由です。
iPadはフロントカメラが主役、3.5mmオーディオジャックもある
ただし、ゲーム性能以外の点でもiPad側が有利な点が少しあります。
特に魅力なのは、iPadはフロントカメラの性能が高いことです。リアカメラよりも性能が高く、主役に据えられています。
1200万画素という高めの画素数に加え、1080p/60fpsまでのビデオ撮影に対応し、超広角カメラで122°という広い視野角まであります。恐らくは、Appleがタブレットはリアカメラよりもビデオ通話などによるフロントカメラの利用シーンが多いと判断したための仕様だと思われます。
私もそうだと思いますし、実際そうなのではないかと思います。現代ではほとんとの人がスマホを持っており、風景などを取るには小型で取り出し易いスマホの方が適しているので、タブレットでリアカメラを使うシーンというのは思ったよりも稀な気がします。そのため、このiPadのフロントカメラの仕様はニーズに沿ったものであり、実用性は高いと思います。
Xiaomi Pad 6はリアカメラの方が重視されており、フロントカメラは30fpsまでの対応の最低限の仕様なので、ここはiPadの戦略勝ちかなという印象です。
また、iPadは3.5mmオーディオジャックがあるのも嬉しいです。Xiaomi Pad 6にはありません。変換ケーブルやアダプターなどは簡単に入手できるため対応はできるものの、ポートが埋まってしまうので充電する際には外さないといけない他、同じイヤホン・ヘッドフォンをPCなどの別機器でも使う場合には基本は3.5mmでの利用になると思いますから、一々変換機器を付けたり外したりするのが面倒です。
このように、痒いところに手が届く仕様ではiPadの方が少し有利な点もあるのは注目です。
GPSとモバイル回線はiPadでしか対応できないが、追加費用2万円
そして、やや評価が難しい点として最後に触れるのが、GPSとモバイル回線に対応できるのがiPadのみという点です。
2023年8月11日時点では「Xiaomi Pad 6」ではモバイル回線やGPSに対応したモデルがないのに対し、iPadはWi-Fi+Cellularモデルで対応することができます。
現在はテザリングも以前よりかなり使いやすくなっていると思うので、SIMでのモバイル回線対応は大きな問題ではないかなとは思うものの、やはりGPSは用途によっては重要です。特に、車載用や旅行などでのナビ用途などではほぼ必須の機能です。
一応Wi-Fiでも位置情報の利用が可能な場合もありますが、精度がGPSと比べるとかなり悪いので、「自分周辺」くらいで良い場合にしか役に立ちません。そのため、なるべく正確な位置情報を必要とする用途で使う場合には、iPadの方が優位となります。
ただし、評価が難しいとした理由の一つが、まず価格です。公式ストアのiPad 10.2インチ 第9世代の64GBモデルのWi-Fi+Cellularモデルの価格は69,800円です。Wi-Fiモデルと比べると、2万円も高価になります。いくら一方的に有利な仕様とはいえ、2万円の価格差があると一概に有利とは言えないです。
加えて、ゲームと同じく万人が恩恵を受ける点ではないというのも、評価が難しいとした理由です。
そして、モバイル回線はまだしも、GPS対応の7万円以下のタブレットということなら選択肢が結構あるのも考慮すべき点です。さすがに処理性能ではiPadには敵うものはほとんどないですが、先にも触れた通りiPad 第9世代は古い仕様も多いので、その他の面では安くても他機種の方が優れている点が多いのも珍しくないです。
そのため、そもそもGPSやモバイル回線対応を必須とするなら、この2機種に絞った比較ではなく、該当機能に対応したモデルの中で有力なものを選定して比較する方が妥当だと思います。
この点に関しては煮え切らない回答となっていることを申し訳なく思いますが、各人の用途や予算によって考えて欲しい部分です。
総評:宅内利用の総合コスパならXiaomi Pad 6の方がやや有利だけど、GPSやゲーム性能を重視する場合には注意
総評としては以上のような感じにして締めたいと思います。
始めにXiaomi Pad 6のスペック表と価格を見た時には「遂に10.2インチiPad超えた!」と思いました。
Snapdraogon 870を5万円で搭載しているだけでも驚きなのに、その上でハイエンド機かと疑うレベルの2.8K 144Hzの超高品質ディスプレイ採用の衝撃は強力でした。
しかし、一つ一つ細かく見ていくと、総合的には確かにXiaomi Pad 6は非常に強力ではあるものの、思った以上にゲーム性能差が大きかったことや、フロントカメラの性能差、GPSが無い点など、痒いところに手が届かないような仕様さが少し残っていたため、一概に有利とも言えない勝負となっていると思います。
ゲーム性能差はあるものの、Snapdragon 870も十分強力ではあるので、宅内利用に限るならばiPadよりもコスパは良いと思いますが、ビデオ通話や外出用などのマルチな使い方を求める場合には、iPadの方が配慮がされていました(ただし、場合によっては2万円クラスの追加費用)。
Xiaomi Pad側は、GPS、もしくはSDカードスロットがあるだけで評価が大きく変わった気もしますが、現状の仕様で5万円でも安すぎて信じられないレベルなので、かなり切り詰めた上でiPadに対して競争力を保つ(同額レベルに収める)仕方のない妥協だったと思われるので、これ以上は贅沢ですね。
白黒をつけるほどの結果にはならなかったのはモヤモヤする感もありますが、これまでは「5万円以下の高コスパタブレットは iPad 10.2インチ一強」というのが正直結論感が強かったですが、それに一石を投じるだけでなく、真っ向から張り合えるタブレットが出たというだけでも凄いことかなと思います。
最近はMediaTek製のSoC搭載の高コスパタブレットも増えてきていて、以前よりは安価で高コスパなタブレットも選択肢が増えているように感じるので、更なるiPad競合タブレットが登場することも期待しつつ、市場動向を見ていきたいなと思います。