今更感もありますが、PlayStation5(PS5)の性能や出来ること、ゲーミングPCとの比較についての記事です。
本記事の内容は記事執筆時点(2021年10月14日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。記事内で触れているハード面についての仕様は旧モデルとなった「CFI-1000」および「CFI-1100」のものとなっています。2022年9月15日より発売が開始された新モデルについては多少異なるため注意してください(ただし、ベンチマークスコアが多少変わるだけで、実用性はほぼ変わりません)。
また、PS5はカスタム仕様が非常に多いので、本記事の内容も憶測や不明瞭なことを多分に含みます。あくまで参考程度にしかならないと思うのであらかじめご了承ください。
ざっくり比較
まずは、双方の違いを見ていきたいと思います。
ゲーミングPCとの簡易比較表
一つ目は、PS5とゲーミングPCのどちらを選ぶのが適しているかをまとめた表です。主に予算や用途についての比較です。
PS5が適している場合 | ゲーミングPCが適している場合 |
---|---|
出来るだけ安く済ませたい (5万円前後:凄く安い) | 経済的に余裕がある (安くて12万円~:めっちゃ高い) |
重いグラフィック処理はゲームしかしない | ゲーム以外のことも一つのPCでやりたい |
PSの独占タイトルをプレイしたい | 費用の多さやコスパよりも性能を重視したい |
120を超えるfpsを体験したい | |
ビジネス用途でも使いたい | |
キーボード・マウスでゲームがしたい |
まとめると、「ほぼゲーム専用でいいから安く済ませたい人はPS5」、「PS5より高性能でゲーム以外のことも出来るなら高くても良い人ならゲーミングPC」という感じになると思います。
やはりPS5を選ぶ大きなメリットは圧倒的な安さとゲーミングコスパの良さです。ゲーミングPCではPS5のゲーミング性能を5万円前後で実現することは絶対に不可能です。
対して、ゲーミングPCを選ぶメリットは汎用性と最大ゲーミング性能の高さです。PS5はビジネス用途など、ゲーム以外の用途では使い勝手が悪いですが、PCなら多種多様な用途に対応できるソフトを使用することができます。また、ゲーミングにおいてもPS5は最大fpsが120となっているため、120fpsより高いfpsを出したいならゲーミングPCが必須になります。
大まかな特徴は上記の通りですが、下記からもう少し詳しく見ていきます。
次に、もう少し詳しめに表にまとめた比較を見ていきます。各項目を〇とか△とかで評価して比較しています。比較するゲーミングPCの性能は、PS5と同等くらいのものと仮定としています。
PlayStation5 | ゲーミングPC | |
---|---|---|
価格 | 非常に安価 (5万円前後) | 非常に高価 (PS5並みの性能:15万円~) |
ゲーム性能 | 〇 (重いゲームも快適) | △~◎ (PS5未満の性能のもの有) |
フレームレート ※モニターにも依存します | 最大120fps (しかも未対応タイトル多い) | 処理性能で出せる限り (モニターが現状最大360fps程度) |
オンライン利用料金 | 一部有料(12か月:5,143円) ※主に有料ゲーム | 基本無料 |
ゲームタイトル数 | 〇 | ◎ |
PS独占タイトル | 〇 | × |
Webブラウジング | ×※1 | 〇 |
動画・配信の視聴 | 〇 | 〇 |
ライブ配信 | 〇 | 〇 |
動画投稿 | △ | 〇 |
簡単な動画編集 | 〇 | 〇 |
高度な動画編集 | × | 〇 |
PCソフト | × | 〇 |
複数ディスプレイ出力 | × | 〇 |
コントローラー | 〇 | 〇 |
マウス・キーボード | △ | 〇 |
チーター | 〇 | ×~〇 |
サイズ | 〇 | ×~△ |
通話 | △→〇※2 | 〇 |
表を見てまず気付くことは、PS5の方が対応範囲がやや狭いことです。初期費用とゲームミングコスパは圧倒的に強いPS5ですが、その代わり、出来ることはゲーミングPCの方が明らかに多く、汎用性では劣ることがわかります。
対してPS5の優位性を探してみても、価格を除けばPS5の独占タイトルのプレイくらいしかないので、そのタイトルに興味がない人にとっては上位互換といえる存在になっていると思います。
また、PS5とPCのどちらでも対応している用途でも、PS5では使用するソフトは特定されていることが基本です。PCは同じ用途でもたくさんのソフトから好きなものを選べるため、そこでも柔軟性や自由度の差があります。また、PS5ではWebブラウザの利用がサポートされていない点も非常に大きいです。
たとえば、ゲーミングPCでは動画や配信の視聴、Web閲覧、SNSをブラウザ一つの中で行うことができますが、PS5ではそれぞれ対応したアプリから操作する必要があります。
しかも、PS5はマルチディスプレイに対応していないので、複数のアプリを一つの画面上で切り替えながら操作することになり、効率が悪いです。PCならディスプレイが仮に一つでもウィンドウサイズを調整して複数同時に表示したりすることも慣れれば簡単です。
そのため、PS5は他の機器(スマートフォンや他のPCなど)補助的に使用することを避けられないため、頻繁に扱う場合には不便さが際立ってしまうと思います。
ゲーミングコスパは圧倒的に強いPS5ですが、それ以外はゲーミングPCどころか安いPCにも劣ることも多いのは注意が必要です。
それぞれの要点
ここまではPS5とゲーミングPCを並べての比較でしたが、次はそれぞれ個別に見ていきたいと思います。まずは、PS5の特徴からです。
PS5の特徴
本題に入る前に、PS5の仕様表を下記に載せておきます。ただ、カスタム仕様が多すぎて、PCに詳しい人が見たとしても正直よくわからないという感じになっています。興味がある方だけご覧ください。
PlayStation5 | |
---|---|
価格(税込) | 通常版:54,978円 デジタル版:43,978円 |
CPU | AMD Ryzen “Zen2” ・8コア/16スレッド ・最大3.5GHz(可変クロック) |
GPU | AMD Radeon RDNA based graphics engine |
SSD | SSD 825GB PCIe 4.0(実行空き容量 約667GB) 拡張:NVMe M.2 SSDスロット×1 ・Type 2230/2242/2260/2280/22100 対応 |
映像出力 | 4K/120Hz 8K/60Hz(HDMI 2.1) 対応解像度:720p(HD), 1080i, 1080p(FHD), 2160p(4K) |
光学ドライブ | ※デジタル・エディションでは非搭載 Ultra HD Blu-ray(読込専用) |
通信 | 【有線】 ・ 10BASE-T, 100BASE-TX, 1000BASE-T 【無線】 ・ IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax (Wi-Fi 6) ・Bluetooth 5.1 |
主な付属品 | DualSense ワイヤレスコントローラー1台 DualSense用充電ケーブル(USB Type C to A) HDMIケーブル(HDMI 2.1規格によるUltra High Speed互換) 電源コード ベース(縦・横置き用スタンド) |
- ゲーミングPCよりも大幅に安価で、圧倒的なゲーミングコスパ
- 高いゲーミング性能(ただし最大120fps)
- 一般的なゲーミングPCより小型
- コントローラーが付属
- 独占タイトルがプレイできる
- 動画の配信や視聴は可能(主要プラットフォーム)
- PCでは必ず搭載ではないその他機能が付属・無線機能(Wi-Fi6, Bluetooth5.1)・BDドライブ(通常版のみ)
- チーターが居ない
- ゲーム以外の出来ることがPCより少ない・Webブラウジング・動画編集・多数のインディーゲーム・複数ディスプレイ出力・その他多数のPC用ソフト 等
- 最大120fpsな上、対応タイトルが少ない(2021年10月時点)
- ゲームでのキーボードやマウスの使用はゲーム側で許されている場合のみ
- 有料ゲームのオンラインプレイにPS Plusへの加入が必要(12ヶ月:5,143円)
PS5の魅力は価格の安さと圧倒的なゲーミングコスパの良さです。4Kも視野に入る程のゲーミング性能がありながら、価格は通常版でも5万円台中盤という安さです。もしゲーミングPCで同等のゲーミング性能を持つPCを買おうとしたら、最低でも15万円くらいは必要になります(2021年10月時点)。総ゲームタイトル数はPCには劣るものの、話題作のほとんどはプレイ可能な上に独占タイトルもあります。「ゲーミングコスパ」に限ればゲーミングPCを圧倒的に上回ります。
また、「PS5はゲーム専用機」というイメージが強い人は多いは思いますが、動画やライブ配信の視聴やライブ配信自体もPS5上からできます。YouTubeはもちろん、Twitch、Amazon Prime ビデオ、hulu、Netflixなどが利用できます。
そのため、ゲームやシンプルな動画や配信関連のことに限ればゲーミングPCとPS5は大差ないと言えると思います。となると価格の圧倒的に安いPS5の有利です。
ですが、それが良いところと言えるかは正直微妙です。なぜなら、PS5で出来ることのほとんどはゲーミングPCでも出来るためです。何なら、その上でゲーミングPCは出来る事がもっと多いです。
PS5の最大のデメリットはここで、出来るだけことの幅がPCと比べて大きく劣る点です。PS5では多数のPCソフトが利用できません。主要なものはPS5向けにアプリケーションが提供されているものもあるものの、PS5ではWebブラウジングができないというのが凄く大きいです。
PS5でも可能な、「動画・配信の視聴」「Web検索」「SNS」なども、PCであれば一つのブラウザ上から行うことができますが、PS5ではそれぞれ対応したアプリから操作する必要があり、やや不便です。更に、ブラウザからの利用を前提としたサービスも利用できないことがほとんどな点も不便です。
このように、PS5はPCソフトの多様性の点で個人の趣味用途以外での使い道がほとんどないのに、Webブラウジングという個人の用途として非常に大きな要素を欠いているのはかなり致命的です。
ブラウザに関しては、一応裏技的な方法でできないことも無いようですが、私が調べた方法だと、多数のリンクを経由する等の面倒な作業を毎回やらなければならないので実用的ではないと思いました。
また、他にも利便性という観点で個人的に重要視しているのは、あまり触れられないですが「マルチディスプレイ(複数ディスプレイでの画面の拡張)」への対応です。PS5ではマルチディスプレイに現状は対応していません。
マルチディスプレイの主な活用方法は、メインモニターとサブモニターの二つを用意し、片方はゲーム画面を映して、もう片方は情報サイトやSNSを表示したり、配信者の場合にはコメントや配信画面を映したりなどです。他の作業でも非常に便利です。
PS5も今後のアップデートで利用できるようになる可能性は0ではないと思いますが、現状無いのが個人的にはかなり致命的だと思いますし、仮にできても結局ブラウザやPCソフトが利用できない限りは実用性はPCには大きく劣るのは否めないので、どっちにしろPCには敵わないです。
といったことから、PS5の費用の安さを除いた優位性は独占タイトルのプレイくらいです。ですが、現状PS5の独占タイトルは数が少ない上、そもそもPS5の供給自体が間に合っていないため独占などをしてしまってはそのゲーム自体の流行の妨げになったしまっており、メリットと言えるかすら微妙なラインです。そのため、「ゲーミングPCの下位互換」と言われることもあり、価格面を無視すればこれはほぼその通りだと思います。
そして、ほぼ唯一の価格面での優位も、実はぱっと見よりは良くない可能性があることは留意しておいた方が良いです。これは、PS5は基本的に有料ゲームのオンラインプレイには「PlayStation Plus」というものに加入して利用権を得る必要があり、購入後にも継続費用が必要になるためです。価格は下記のようになっています。
※2021年10月時点 | PS Plus 加入料金 |
---|---|
12ヶ月 | ¥5,143 |
3ヶ月 | ¥2,150 |
1ヶ月 | ¥850 |
12ヶ月分だと1ヶ月あたり約500円ほどなので高くはないですが、PCではこのような料金は基本発生しません。基本プレイ無料のゲームでは関係がない場合が基本なので、必ず必要という訳ではありませんが、PCよりは制約がある点はマイナスです。
PS5もPS4のように少なくとも5年以上は現役が続くと想定すると、継続利用には総額2万5,000円ほど追加費用が必要になります。それを含めてもPS5の方が大幅に安価ですし、ゲーミングコスパが良い点は揺るぎませんが、上述のデメリットなども踏まえると「思ったよりお得でもないかも?」という感じは否めないと思います。
また、実はゲームプレイに関しても注意点があります。細かいものはいくつかありますが、特に痛いのがフレームレートの上限です。PS5は最大120fpsを強調してはいるものの、実は対応タイトルが非常に少ないです。発売から2年近く経った今でも29しかありません(2022年7月28日時点)。しかも、そのほとんどが1080p以下の低解像度限定となっています。対応タイトル状況は下記にまとめています。
Borderlands 3 (1080p で 120 FPS をサポート)
黒い砂漠オンライン( 120 FPS 対応、解像度は現在不明)
Bright Memory Infinite (120 FPS 対応)
Call of Duty: Black Ops Cold War (低解像度で 120 FPS をサポート)
Call of Duty: Vanguard (低解像度で 120 FPS をサポート)
Call of Duty: Warzone (より低い動的解像度で 120 FPS をサポート)
Centipede Recharged (ネイティブ 4K で 120 FPS をサポート)
Destiny 2 (クルーシブルの試合では低解像度で 120FPS をサポート)
デビル メイ クライ V: スペシャル エディション(1080p で 120FPS をサポート)
Dirt 5 (低解像度で 120 FPS をサポート)
DOOM Eternal (解像度 1584p で 120 FPS をサポート)
Fortnite (低解像度で 120 FPS をサポート)
Ghostrunner (低解像度で 120 FPS をサポート – 解像度は現在不明)
Gunborg (スケーラブル 4K で 120 FPS をサポート)
Jumanji: The Video Game (スケーラブルな 4K 解像度で 120 FPS をサポート)
Knockout City (動的 4K 解像度で 120 FPS をサポート)
Monster Boy And The Cursed Kingdom (ネイティブ 4K で 120 FPS をサポート)
仁王コレクション (仁王 1、仁王 2、および両方のゲームの DLC は、低解像度で 120 FPS をサポートします)
Olli Olli World (低解像度で 120 FPS で実行)
Quake (4K 解像度で 120 FPS で実行)
Rainbow Six Siege (低解像度で 120 FPS をサポート)
バイオハザード 2 (低解像度で 120 FPS をサポート)
バイオハザード 3 (低解像度で 120 FPS をサポート)
Resident Evil 7: Biohazard (低解像度で 120 FPS をサポート)
ロケット リーグ (より低い動的解像度で 120 FPS をサポート)
Rogue Company (ダイナミック 4K 解像度で 120 FPS をサポート)
The Touryst (ネイティブ 4K で 120 FPS をサポート)
Tony Hawk’s Pro Skater 1 + 2 (1080p で 120 FPS をサポート)
Uncharted: Legacy Of Thieves コレクション (120 FPS で 1080p をサポート)
引用:https://www.psu.com/news/all-ps5-games-that-support-120-fps-the-smoothest-games-on-playstation-5/
このように、PS5は折角高いゲーミング性能を持っているのに、多くのゲーマーが最も重視するであろうフレームレートという点では高い性能を出せるケースが意外と少なく、活かすのはまだ難しい状況です。安くてゲーミングコスパは圧倒的だからPS5は良い!とだけ考えて購入するとガッカリするかもしれないので注意が必要です。
また、処理性能以外の面でもPCに劣る点があります。デバイスです。PS5ではゲーム操作はコントローラーのみに限定されているケースが多いのもデメリットの一つです。ゲーミングPCではコントローラーとキーボード・マウスどちらでも使えることが多いため劣っています。どちらが良いなどはここでは触れませんが、ゲームタイトルやジャンルによって向き不向きはやはりあるのは事実ですし、選択肢は多いに越したことはないです。
といったように、PS5は安さでは圧倒的に優位な反面、多様性ではゲーミングPCには大きく劣ります。安さとコスパは非常に強力な要素なので、PS5を選ぶ価値は十分あるとは思いますが、何も考えずに買うと後悔しそうな要素は結構あるので、経済的に余裕があって、ゲームや動画視聴以外でも活用したい方にはゲーミングPCの方が向いていると思います。
PS5は、あくまでレベルの高い映像エンタメ要素を格安で楽しむことができるもの、と割り切った運用が必要になります。
ゲーミングPCの特徴
ゲーミングPCの特徴について見ていきます。
- ゲーム以外でも多数の用途に対応・Webブラウジング・動画編集・多数のインディーゲーム・複数ディスプレイ出力・その他多数のPC用ソフト 等
- 高いゲーミング性能(120fps超えも可能)
- プレイできるゲームタイトルが非常に多い(特に海外ゲーム)
- 通話や音声関連設定がPS5より楽
- ゲームはキーボード・マウスとコントローラーどっちでも使える
- PS5より圧倒的に高い(同等性能なら約16万円~)
- ディスプレイ以外の周辺機器も別途揃える必要があるマウス・キーボード等
- 設置スペースが必要(デスクトップ)
- 人気の対戦ゲームではチーターが居る可能性がある
- CS機の独占タイトルをプレイできない(後から追加されるケースあり)
ゲーミングPCの魅力は、ゲームに限らず用途の幅が非常に広い点です。CS機(たとえばPSやSwitch)の独占タイトルをプレイできないという点以外では、PS5に劣っている点は基本無く、ほぼ上位互換と呼べると思います。
PS5でも重いゲーム以外はスマホや安価なPCで済ますことが出来るので、重い動画編集など以外は変わらないという意見もあるかもしれません。ただ、ゲーミングPCのように一台に全てが集約されているのは想像以上に便利です。
ゲーミングPCを所持していれば何をするにしてもゲーミングPCからすることができるので、とりあえずゲーミングPCの電源を入れれば他に手作業や操作場所の変更は必要ありません。対して、PCやスマホを補完する形でPS5を運用する場合には、PCソフトを使いたいならPCを、ゲームをするならPS5を、みたいな感じで操作場所や電源のオンオフを一々考えなければいけないのは想像以上に面倒です。
また、上述のようにゲーミングPCではマルチディスプレイ(画面の拡張)が可能なので、作業の効率化や短縮を図ることもできます。PS5では届かない痒い所にも手が届くのがゲーミングPCです。
更に、ゲームプレイ面でもPS5よりは有利です。PS5では最大120fpsしか出ない(しかも現状は大体60fps)ため、120fps超えも普通に出来るゲーミングPCの方が優位です。
そんな機能面では優位なゲーミングPCの非常に大きなデメリットは、非常に高価な点です。PS5と同等のゲーミング性能のPCとなると、少なくとも16万円以上くらいはするので(2021年10月時点)、その差は10万円以上です。非常に大きな差です。
誰しもがこれから先ずっと重いゲームを日常的にやるという訳ではないと思いますし、そのグラフィック性能を存分に活用しないならゲーミングPCの価格は物凄く勿体なく感じると思います。
重いゲームもやってみたいけどがっつりやるかはわからない、という人も居ると思いますし、そういう人の場合は出来るだけ初期投資は少なくしたいのが本音だと思います。そういう人にとってはゲーミングPCの価格は大きなネックであり、逆にPS5の価格は非常に魅力的です。
更に、ゲーミングPCではモニター以外の入力機器(マウス・キーボード)も基本別途の用意が必要になります。500円~1,000円くらい安価そうなものが付属しているケースもありますが、折角高額なゲーミングPCを購入したのにそれで満足する人はほとんど居ないと思います。PS5ではコントローラーが一台付属しているため、必須ではありません。
いくらゲーミングPCの多様性が優れていたとしても、その高性能なゲーミング性能(GPU性能)を活かさないなら宝の持ち腐れで、別そこまで高価なものでなく良かったとなりかねない点は注意です。
ゲーミングPCとの価格比較
よくある比較です。近いゲーミング性能のPCと価格を比較してみたいと思います。
結論からいうと、PS5に近い性能のゲーミングPCは安くても14万円くらいします(2022年8月27日時点)。
一応、こんな感じのパーツ構成にしたらそうなったというのを下記に載せておきます。ドスパラ等でテキトーに引っ張ってくることも考えたのですが、Wi-Fiとかストレージとかの仕様をコスパ良く近づけるのがBTOだと難しかったので、各パーツを1つ1つ選んで自作PC構成を考える感じでの比較になりました。
PS5比較用構成
パーツ | スペック | 価格 ※2022年8月27日時点 |
---|---|---|
CPU | Core i5-12400F 6コア12スレッド / 65W | 25,500円 |
メモリー | DDR4 PC4-25600 16GB[8GBx2] | 7,000円 |
SSD | PG3NF2 CSSD-M2B1TPG3NF2 1TB (PCIe Gen4 read:4950MB/s) | 13,300円 |
GPU | Radeon RX 6600 XT | 45,800円 |
マザーボード | ROG STRIX B660-G GAMING WIFI | 22,000円 |
電源 | 650W 80PLUS Bronze | 6,500円 |
CPUクーラー | 虎徹 Mark II Rev.B | 4,000円 |
PCケース | DEEPCOOL CC560 | 7,000円 |
OS | Windows 10 Home 日本語[パッケージ] | 16,000円 |
合計 | 147,100円 |
といった感じで、約15万円程度になりました。やはりPS5よりは圧倒的に高価です。
また一応注意ですが、上記はPS5に近い性能で、出来るだけ安くなるように(だけどコスパもちょっと考慮して)選んでいます。ゲーミングPCでは基本的には低価格帯(15万円以下くらい)よりも中価格帯以上の方が総合コスパが良いので、その点は留意です。PS5と比較するために、あえて安い構成にしているので、おすすめ構成という訳ではないので注意してください。
各パーツ選定の理由については、凄くざっくりとだけ下記に載せるので、興味がある方だけご覧ください。
パーツ選定について軽く触れておこうと思います。
【CPU】
まずCPUです。「出来るだけ安く高いゲーミング性能」という方が重要だと思うので、今回は「Core i5-12400F」採用にしました。コア数は6ですが、マルチスレッド性能もゲーミング性能もPS5搭載のものよりも高性能です。
【GPU】
GPUは「Radeon RX 6600 XT」にしました。PS5のGPUよりは恐らく少し低性能ですが、もうワンランク上の「Radeon RX 6700 XT」や「GeForce RTX 3060 Ti」だと性能も価格も一段高くなってしまうので、安い方を選択しました。CPUにPS5よりゲーミング性能が高いものを採用しているので、トントンでしょうという感じで。
「Radeon RX 6600 XT」でも大体のゲームは1080pなら大体のゲームで120fpsは到達できると思うので、PS5のゲーム体験を大きく下回ることは基本無いと思います。
【その他】
PS5がWi-Fiに対応しているので、マザーボードはWi-Fi 6に標準対応しているものを採用しました。無くても良いならもう少し安くできます。
SSDはPS5に近づけるために一応PCIe 4.0の高速なものを採用していますが、PCIe 3.0の安いものでもゲーミングパフォーマンス的には多分ほとんど変わらないと思います。
BD対応の光学ドライブはさすがにそこそこ高価な上に要らない人も多いと思うので、ちょっとずるいけど省いています。その代わり、PCケースは標準ケースファン多めのものを採用してエアフローを強化してみました。
少し詳しめの比較
ざっくりめの比較を前述しましたが、ここからはもう少し詳しめに性能や価格等について比較していきたいと思います。少し難しい話も出てくるので、興味がある人向けです。
CPU:最新世代よりは低性能な8コアCPU
まずはコンピューターの頭脳と呼ばれるCPUについてです。
公表されているPS5のCPUの仕様はRyzen “Zen2″、8コア/16スレッド、最大3.5GHz(可変クロック)です。一般的には Ryzen 7 3700X と同等の性能という風に言われているようです。
ただし、結論からいうと Ryzen 7 3700X より少し低性能です(推測で1割くらい)。PS5発売当初は、Zen2採用の同じコア数で最も性能の低いデスクトップ用CPUが「Ryzen 7 3700X」だったため、これを比較対象にしていたようですが、後にもっと近いCPUが登場しているので、本記事ではそちらを参考にします。
該当CPUは「AMD 4700S デスクトップキット」というものです。PS5とXbox Seris Xに採用されているものからGPUが無効化された可能性が高いと言われるもので、共通点として、基盤のサイズや形状が近い、PS5と同じZen2アーキテクチャ、普通のPCではCPU用には採用されない「GDDR6メモリ」使用している、などの共通点があり、かなり高い確率で類似品であると思います。
このCPUとPS5やRyzen 7 3700Xの各仕様を下記の表で比較してみましょう。
アーキ テクチャ | コア/ スレッド | 最大 クロック | 対応 メモリ規格 | |
---|---|---|---|---|
AMD 4700S | Zen2 | 8/16 | 4.0GHz | GDDR6 |
Play Station 5 | Zen2 | 8/16 | 3.5GHz | GDDR6 |
Ryzen 7 3700X | Zen2 | 8/16 | 4.4GHz | DDR4 |
正直これだけだけではわからないです。重要なのは実際の性能です。
CinebenchというCPUで主要なベンチマークの結果を下記にまとめています。
CPU名称 | スコア |
---|---|
Ryzen 9 5900X | 639 |
Core i9-11900K | 625 |
Ryzen 7 5800X | 625 |
Core i5-11600K | 602 |
Ryzen 5 5600X | 600 |
Core i9-10900K | 549 |
Core i5-11400F | 541 |
Core i7-10700K | 512 |
Ryzen 7 3700X | 501 |
Ryzen 5 3600 | 487 |
Core i5-10600K | 483 |
AMD 4700S | 451 |
Core i5-10400F | 433 |
CPU名称 | スコア |
---|---|
Ryzen 9 5900X | 9224 |
Core i9-10900K | 6420 |
Ryzen 7 5800X | 6044 |
Core i9-11900K | 5965 |
Core i7-10700K | 4985 |
Ryzen 7 3700X | 4834 |
Ryzen 5 5600X | 4462 |
Core i5-11600K | 4327 |
AMD 4700S | 4275 |
Core i5-11400F | 3954 |
Ryzen 5 3600 | 3746 |
Core i5-10600K | 3601 |
Core i5-10400F | 3188 |
AMD 4700SはRyzen 7 3700Xよりはおおよそ10%ほど低速なことがわかります。また、このAMD 4700Sは実際にPS5に採用されているものよりも最大クロックが少し高いので、PS5はもう少し性能が低くなることが予想されます。
この差がゲーミング性能差としてそのまま反映されるかは別問題ではありますが、旧世代CPUに対してもやや遅れを取る程度の性能のため、最新世代のCPUとの比較だとその差はかなり大きいです。
例として記事執筆時点で最新のRyzenの「Ryzen 7 5800X」と性能を比較してみると、AMD 4700Sの方がマルチスレッド性能は約29%、シングルスレッド性能は約28%も低速です。現状の最新CPUと比べるとかなり低性能なことはほぼ間違いなく、ゲーミング性能も大幅に低いことが予想されます。
また、CPUの性能が高くないということで気になるのがボトルネックです。CPUは旧世代品で今では高性能とは言えないものなのに、GPUは今でも高性能と言えるものが搭載されているので、いわゆるボトルネックが多少発生している可能性が高いと考えられます。ボトルネックとは、簡単にいうと、CPUの性能が低いためにGPUの性能を最大限発揮できない問題です。
ただし、PS5では高速SSDと最適化されたストレージアーキテクチャやメモリコントロールとによってレイテンシが大幅に改善され、ボトルネックが大幅に解消されているらしいという情報があります。実際のところは明確なことはわからないというのが本音です。
後述の実際のゲームでの動作結果を見る限りは、ボトルネック問題が普通のゲーミングPCよりも小さくなっているのは事実かなと思いますが、最新CPUとの性能差を埋めれるほどかは正直怪しい気もします。
API:PS5ではDirectXが使えない
次に、グラフィックスAPIについてです。グラフィック性能の核となるGPUにも関連する部分です。
ゲーミング性能というと、CPUとGPUの性能がまず気になると思いますが、PS5のGPU性能について語る際にまず触れないといけないのは、グラフィックスAPI(シェーダリング言語)です。PS5では一般的なWindows PCで使用されている「DirectX」とは異なるグラフィックスAPIを採用しているためです。
APIというのは、ざっくりいうとゲーム等のアプリケーションを開発をしやすくするための定義や方式のようなものです。特定のAPIを使用することで、開発者はより簡単でシンプルで柔軟に開発をすることが可能なります。機器との相性や今後の開発やアップデート等を考慮しても、出来れば広く浸透しているAPIを使うことが開発者にとっては利点となります。
そして、人気の3Dゲームで現在広く使われているグラフィックスAPIの一つが「DirectX」です。GeForceやRadeon RXなどの一般消費者用のゲーム向けGPUでも、この「DirectX」に対して最適化されています。現在のPCゲームでは最も主流のゲーム用のAPIとなっています。
ですが、実は「DirectX」はマイクロソフトが自社の関連デバイス(主にWindows)で採用しているAPIで、どの機器でも使用できる汎用APIではありません。そのため、独自OSを採用している(Windowsではない)PS5ではDirectXはサポートされていません。ゲーミングPCといえばWindowsというのが一般化しているため知らない人も多いと思います。
PS5が発売から1年近く経つのに、ゲーミングPCとの具体的な性能差が未だにハッキリとしないのは、このグラフィックスAPIが一般的なWindows PCとは異なるためです。土台が違うため、完全に描写の質や負荷を同じにすることが出来ない以上単純比較はできないです。また、後に軽く後述しますが、PS5では頂点パイプラインにプリミティブシェーダという今では珍しいものを採用している点も、比較の難しさに拍車を掛けていると思われます。
PS5の公表GPU仕様は「AMD Radeon RDNA based graphics engine」ですが、わざわざRDNAベースと濁った言い方をしているのは、DirectXをサポートしていない(使えないから)ということと、それに関連した複数の機能が使えなかったり別の形で実装されているためだと考えられます。
またそれに加え、多くのゲームが未だに60fps対応となっており、PS5のゲーミング性能を持ってすれば大体最大fps張り付きとなってしまうため、そもそも最大性能を発揮できる場面が少ない点も性能を比較することが困難な要因の一つとなっています。
そのため、この後GPUの性能予測も行いますが、あくまで参考程度に見て貰えると幸いです。
GPU:RX 5700のクロック向上版?
PS5の公表GPU仕様(取扱説明書参照)は「AMD Radeon RDNA based graphics engine」です。なのですが、実は発売前の発表やAMDのRDNA2アーキテクチャの紹介ページでは、RDNA2ベースのGPUと記載されています。
AMD RDNA™ 2アーキテクチャーは、PlayStation 5やXboxシリーズSとXコンソールなど、次世代PCゲーム・グラフィックスの基盤です。
このように、情報が錯綜していてよくわかりません。ですが、PS5のGPUはユニット構成やクロック等の情報が出ています(公式情報ではないけど)。そのため、この仕様を既存のGPUと比較して、近い性能のGPUをある程度絞ることが可能です。下記が比較してみた簡易比較表です。
Radeon RX 6600 XT | Radeon RX 5700 | PS5 GPU | Radeon RX 6700 XT | |
---|---|---|---|---|
アーキテクチャ | RDNA2.0 | RDNA1.0 | RDNA based | RDNA2.0 |
シェーディング ユニット | 2048 | 2304 | 2304 | 2560 |
TDP | 160W | 180W | 180W | 230W |
クロック(ゲーム時最大) | 2359 MHz | 1625 MHz | 2233 MHz | 2424 MHz |
メモリ仕様 | GDDR6 8GB 128bit , 256GB/s | GDDR6 8GB 256bit , 448GB/s | GDDR6 16GB 256bit , 448GB/s ※CPUと共有 | GDDR6 12GB 192bit , 384GB/s |
TMU | 128 | 144 | 144 | 160 |
ROP | 64 | 64 | 64 | 64 |
CU | 32 | 36 | 36 | 40 |
RTコア | 32 | – | – | 40 |
結論からいうと、PS5のGPUは「Radeon RX 5700をベースにしたもの」である可能性が高いように見えます。シェーディングユニット数が全く同じな上、他のメモリやユニット数などの仕様も酷似しています。
ただし、クロックはRX 5700よりも大幅に上昇(約1.374倍)しているため、「ベースはRadeon RX 5700だけど、元よりも大幅に高い性能」となることが予想されます。他にも、クロックが大幅に上昇しているのにも関わらず、TDP(熱設計電力)が同じのため、電力効率も高まっていそうな印象もあります。物理仕様も全く同じという訳ではなく、ダイサイズが少し大きい点などの違いがあるため、完全に同一のものではないようです。そのため、RDNA1かと言われると断言はできなさそうです。AMD側はRDNA2と紹介している点を考慮すると、大幅な変更を加えずにRDNA2のように再設計したものという可能性もあるのかなと思います。
RDNA2はRDNA1がベースといえますし、ならRDNA1をRDNA2のベースのGPUと表現するのもあながち間違いでは無いとも言えると思うので、ここら辺はもう言い方次第な感じはありますね。PS5のGPUを例えるなら、「強化されたRDNA1」もしくは「機能が削減されているRDNA2」の二択という感じになると思います。
競合機の「Xbox Series X」が完全なRDNA2 GPU搭載を謳っていることもあって、完全なRDNA2じゃないけど、負けないようにちょっと曖昧な言い方にしたのかなという邪推も出来るかもしれません。
少し話が逸れましたが、性能の話に戻ります。PS5のGPUは、パーツ仕様から見ると「Radeon RX 5700」ベースの1.37倍ほど強化されたGPUという見方が出来ると思います。もちろんクロックの上昇分がそのまま性能上昇分に乗っかるとは限らないのは承知していますが、他に材料が無いのでご容赦ください。ベンチマーク結果からGeForceでも近いGPU性能を予測してみましょう。DirectXのものになってしまいますが、これもどうしようも無いのであくまで参考ということで無視してみていきましょう。
CPU名称 | スコア |
---|---|
Radeon RX 6800 XT | 18792 |
GeForce RTX 3080 | 17692 |
Radeon RX 6800 | 15110 |
GeForce RTX 2080 Ti | 14650 |
GeForce RTX 3070 | 13789 |
Radeon RX 6700 XT | 11986 |
GeForce RTX 3060 Ti | 11893 |
GeForce RTX 2080 SUPER | 11642 |
PS5 GPU 予測 (RX5700x1.37) | 11334 |
GeForce RTX 2080 | 11118 |
GeForce RTX 2070 SUPER | 10204 |
Radeon RX 6600 XT | 9698 |
Radeon RX 5700 XT | 9335 |
GeForce RTX 3060 | 8867 |
Radeon RX 5700 | 8248 |
予測値では「RTX 2080」に近い性能となります。PS5のGPUは、そのTFLOPS値から発売当初は「GeForce RTX 2080」相当ではないかと話題になりました。発売前に話題になったTFLOPS値には当然クロックも含まれていますから、当然といえば当然の話ですね。問題は実パフォーマンスが本当にRTX 2080クラスなのかという点です。
海外メディアで発売直後に「アサシンクリードヴァルハラ」の1440pでfps比較をした動画があったため、これを複数シーンでfps数を切り抜き、平均化したものを見てみたいと思います。設定はPS5側は高設定で、PC側は近似設定にしたもののようです。描写の質の差があるため、これもまた厳密な比較ではありませんが、完全に同一にするのは厳しいので目を瞑ってみていきましょう(動画を詳しく見たい方は表下のリンクからどうぞ)。
CPU名称 | スコア |
---|---|
RTX 2080 Ti | 65.0 |
PS5 | 55.7 |
RTX 2070 SUPER | 49.3 |
RTX 2060 SUPER | 44.0 |
参考:https://www.eurogamer.net/articles/digitalfoundry-2020-assassins-creed-valhalla-ps5-vs-pc
「RTX 2080 Ti」と「RTX 2070 SUPER」の中間で、「2070 SUPER寄り」という感じになっています。「RTX 2080」に近いパフォーマンスが得られていることがわかります。単タイトルでの比較なので断言するほどの情報源とも言えないですが、上述の仕様からの予測にも合致しているので、そう遠い性能ではないと思います。
この記事を作成する際には他ブログ等の記事もいくつか参考に読ませて頂いたのですが、RX 5700と同等、もしくはRTX 2060~RTX 3060くらいの評価が多かったです。ですが、それはさすがに低く見積もりすぎだと思いました。
とはいえ、仮にPS5の性能がいくら高かったとしても、上限fpsが低い点がどうしてもネックになります。実際のパフォーマンスは性能ほど高くならないというのも事実なので、RX 5700と同等としても結果的には変わらなさそうなのが、何とも言えないところだとは思いました。どちらにせよ、PS5の具体的な性能については不明瞭な部分が多すぎるので、この記事も含めてあくまで参考程度にするのが良いと思います。
また、その他の機能類については詳しくは触れませんが、まとめて下記に列挙しておきます。
- ハードウェアレイトレーシングに対応PS5はハードウェアレイトレーシングに対応しています。ただし、一般的なGPUと違い専用のRTコアがGPU上にある訳ではなく、シェーダに統合されているらしいです。DirectXをサポートしていない点もありますし、レイトレーシングについてもカスタム仕様となっているため詳細は不明です。
- FSR(AMD FidelityFX Super Resolution)対応いわゆるアップスケーリング技術の一つです。すごくざっくり言うと、4Kのような高解像度の映像をFHDとかの映像を利用して描写することで、普通に4K映像を描写するよりも大幅に負荷を小さくすることが出来るみたいな技術です(自分もよくわかっていないので間違っていたらごめんなさい)。上述のレイトレーシングの負荷がめちゃくちゃ大きくてfpsが下がってしまう問題を解消する技術としても注目されています。AMD製GPUではGeForceで利用できるDLSSが利用できないため(Tensorコアが無いため)、その代替機能として採用されているのがFSRです。やはり専用コアも利用しないFSRの描写の質はDLSSにはやや劣るみたいですが、負荷軽減には大幅に寄与するようです。ちなみに、FSRはオープンソースかつライセンスフリーで利用できる技術です。
- VRS(可変レートシェーディング)にはソフトウェア対応VRSは、ざっくり言うと重要度の低い部分の描写を大雑把に行うことでGPUの負荷を下げ、FPS向上へと繋げる機能です。PS5ではハードウェアでは無くソフトウェア対応となっているらしく、ハードウェアレベルで対応可能なはずのRDNA2ではないのではという議論を加速させる要因の一つになりました。(ゲーム開発が言及したツイート:https://twitter.com/MetroVideoGame/status/1361373728744099860)
- プリミティブシェーダ採用長期間放置されていた頂点パイプラインで、今主流のものと違うものらしいのですが、PS5ではこれをいきなり採用しています。カスタムAPIであることに加え、主流外のシェーダを採用ということで、開発側(特にクロスプラットフォーム対応)が困りそうな要素として懸念されている部分です。高速なSSD(ストレージとメモリのコントローラ)をより活かせるとして採用されたのではという意見もありますが、実際ところはわかりません。
SSD:高速でボトルネックが解消されたSSD
PS5では高速なPCIe 4.0接続の読み込み速度が5.5GB/sの高速なSSDが搭載されています。これにより、HDDが搭載されていたPS4よりも100倍高速になったと主張しています。
5.5GB/sというのは2021年現在の一般的なゲーミングPCのSSDよりも大体速いです。当然HDD搭載機よりは大幅にロード時間が大幅に短縮されます。ただし、この速度はシーケンシャルアクセス速度というものですが、この速度は実はゲームパフォーマンスには大きな影響を与えないというのがPCに多少詳しい人の中では結構有名な話です。
例として、同じSSDでもPCIe接続とSATA接続で速度の差には大きな違いがあります。PS5では「5.5GB/s」のSSDが使用されていますが、SATA SSDは大体「560MB/s」くらいなので、SSD自体としては速度に10倍の差があることになります。ただし、実際のゲーム時のロード時間は誤差レベルしか変わりません。下記が参考動画の一つです。
この変わらなさの原因は、PS5の技術開発プレゼンにて、「SSD自体の速度がどんなに高速になったとしても、いまのゲームにおけるデータアーキテクチャには大きなボトルネックがある」ためだと主張していました(https://www.4gamer.net/games/990/G999027/20200319173/)。
詳しい説明は割愛しますが、PS5ではこのボトルネックを解消できるストレージやメモリのコントローラを採用しているらしいです。これによって単にロード時間が短くなるだけでなく、従来は少し遠い場所では負荷の軽減や描写速度を向上させるために粗いポリゴンを置いたりしていたのが必要無くなることがあるため、グラフィック自体にも影響を与えるという噂もあります。
そのSSDの恩恵かはわかりませんが、実際前述のPS5とPCのfps比較の動画でも、PS5の方が描写が細かい部分があることが指摘されています。そもそも特別な仕様が無くても普通に速いSSD搭載なのは間違いないですし、PS5のストレージ関連はゲーミングPC以上に優れているというのは過言ではない気はしました。
その他
その他の機能についてです。
Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.1
PS5ではWi-Fi 6とBluetooth 5.1に標準で対応しています。PCでも対応のマザーボードを選択したり、後に対応カードを増設したりして対応することは可能ですが、安さ重視のPCでは大体標準では使えません。PC側で実装するにはプラス5,000円くらいを見積もっておく必要があります。PS5の仕様としては無視されがちな部分だと思いますが、地味にコスパ良化に貢献している部分です。
光学ドライブ(通常版)
PS5の通常版ではブルーレイディスクに対応した光学ドライブが搭載されています。今ではもう活用している人は多くないとは思いますが、PCでは標準では搭載されていることはほとんど無いので、利用したい人には嬉しいと思います。
M.2 SSDを増設可能
PS5では内蔵ストレージとは別に、M.2 SSDを増設することが可能です。比較的簡単に増設する事が出来るのは嬉しいと思います。
あとがき
私はこういうあとがき的なのは苦手なのであまり書かないのですが、ぶつ切りで終わるのも変かなと思ったので、少しだけ記事の最後を頂戴しています。
まず、私はPCの情報を主に載せているサイトの人間なので、「PCを優遇して見ているのでは」と思う人が居るかもしれません。これは、出来るだけしないように意識したつもりです。予算に余裕があるならPCの方が良いというのは事実だと思いますが、PS5の安さはやはり圧倒的で魅力的です。ゲーミングPCを買うのが経済的に厳しい学生の人などには特に有難いというのも理解しているつもりです。その他にも余裕が無い人は少なからず居ると思います。
また、別に経済的に苦しい訳でなくても、動画や配信には興味が無く、ゲームもそこまでがっつりやりたい訳ではない人も居ると思います。そういう人の場合には、ゲーミングPCほどの費用を掛けるのは単純に勿体無い感じると思います。確かにゲーミングPCは出来る事が豊富で便利ですが、重いグラフィック処理をゲーム以外にしないなら、スマホや安いノートPC等で補完する事も可能です。ライトゲーマーにとって、多少多様性が低くても十分魅力のあるものになっていると思います。
ただ、そこは認めつつも、ネックになるのはやはり最大fpsです。未だに120fps対応が遅れているのはさすがに大きい弱点だと思います。
発売前は120fps出る前提で考えられていて、それでも1080pだと性能が少し無駄になっちゃうみたいな感じだったのに、その120fpsすら怪しいのは正直残念です。そこだけは出来るだけ早くなんとかして欲しいですね。ただ、新規タイトルについてはさすがに大体対応してくれると思いますし、日が経つにつれて対応タイトルも増えていくと思うので、今だけかもしれないですけれど。
また、出来るだけ安く済ませたい場合でも、ゲーミングPCの方が上位互換に近いというのも留意しておいて損は無いと思います。初期費用は圧倒的に高くはなりますが、他にも出来る事の幅は圧倒的に広いので、色々やりたいならゲーミングPCの方がおすすめです。特に、重い動画編集やビジネス用途などで使うならゲーミングPCでないと厳しい点は要注意です。
といった感じで、「色々と割り切ることが必要」ではありますが、めちゃくちゃ安いPS5は一つの選択肢として優秀だと思いました。
それでは、これで記事は終わりです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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話は逸れますが、将来PSもXBOXもPCの下位互換機扱いが強く意識されるのでは無いかと思います。ハードからソフト重視になり、生産コスパの悪いCS機からは大手は撤退するのでは?と想像してしまいます。そうでなくともCS機は、ハード性能重視から生産コスパ重視の転換があるのではないでしょうか?
PS5については値上がりしてしまったこともありますし、下位互換機扱いが進行する可能性はあると思います。
登場が間近の次世代GPUでは安価なエントリーレベルのGPUでもかなりの性能向上が期待できますから、遅くてもそれらが登場する頃にはコスパ面の優位性も大きく薄れると思います。
以前と違い、ミドルレンジ~エントリーレベルのGPUでも重いゲームを動作できるようになったので、CS機の需要は今のままでは仰る減っていく可能性が高いと思われます。
生産コスパというのはゲーミング性能と価格のコスパ以外での強みを見出す必要があるということだと思いますが、確かにゲーム性能のみならず、Switchのような新たな方向性を見出す必要性は出てくるかもしれません。
RX5700XTだけどまさかps5以下とは・・・
悲しい・・・
わかりきったことであるけど、最大のメリットのコストパフォーマンスを無効化しちゃう転売屋からは買うなってことですね。
ちょっと訳ありでPS5を1ヶ月ほど借りることができ、自分のPCと同タイトルで比較しました。ディスプレイのFPS表示機能なんで、正確ではないんですがPS5の方が同じ120fpsでも、揺らぎというか、ふらつきが多いかな?と思いました。120fps程度だったらピタっと張り付くかなと思ったんですが。
借りた友人は30fpsの人だったんで、ゲームが変わった!ってはしゃいでいましたが、正直な感想としてPCゲームを楽しむ層からすると物足りないな、なんだか遅延も感じるし微妙なものでした。宣伝文句とのギャップはとねりんさんの記事をみて、そういうことかと理解出来ました。
転売屋から購入する層が居るから転売屋が出ちゃいますしね…。
揺らぎとかふらつきに関してですが、質問者様がPS5借りた時期と環境にもよると思いますが、スタッタリングとかテアリングかもしれません。ゲームの切り替わりとディスプレイの更新のタイミングが合わないことによるカクつきとか引き裂けみたいなやつです。対策として有名なのが「G-SYNC」や「FreeSync」などの同期技術ですが、これらにはPS5は対応していません。
その代わりに、結構最近(2022年4月26日)VRRという上記の問題対策の可変リフレッシュレート機能に対応しました。しかし、VRRがHDMI 2.1で導入された機能なので、利用するディスプレイやTVがHDMI 2.1に対応していないと利用できないですし、ゲームタイトルによってはまだ対応していなかったりします。というか、HDMI 2.1対応のディスプレイが出始めたのすら昨年の冬くらいからなので、ディスプレイを最近購入した訳ではないなら対応していない状況でプレイしたのだと思います(ご友人も同様ですが)。
また、PS5はCPUの性能がGPU性能の割には大分低いので、そこで不安定になっている可能性もあるかもしれません。
上記が原因か断言はできませんが、補足事項として書いておくべきでしたね。申し訳ありません。
これ、中々難しい問題で、、
ハードでは記事に書かれているように違いはあると思いますが、PS5はシステムが最適化されているという事なんですよね
Android と iOS で、ある程度古い iOS が搭載された機種でもヌルヌル動くみたいな、、そういった差はあると思います
個人的にはチーターや環境による腕前の違いが出にくいPS5の方が好きではありますが、何せ売れてないですからね、、たくさん売れればゲーム開発も最適化されてきて、もう少し高いクオリティのものも出るとは思うんですけどね
ps5とゲーミングpcの比較を色々拝見しましたが、一番しっくりくる内容でした。
大変参考になりました。
結構勢いで書いた記憶がありましたが、今見返したら色々と雑で見難くて申し訳なかったです(ちょっとだけ修正を加えました)。
こんな読みにくい記事を読んで、好意的なコメントまでくださってありがとうございます。