「Windows 11」でのゲーミングパフォーマンス低下について【2021年10月8日時点】

先日利用可能になった「Windows 11」について報告されているゲーミングパフォーマンスが低下する問題についてざっとまとめています。

報告されている問題は主に2つ(2021年10月8日時点)

報告されている問題は主に下記の二つです。

問題まとめ
  • VBS/HVCI 有効で約5%のゲーミングパフォーマンス低下
  • AMD CPUで最大15%性能が低下する可能性(→10月下旬に修正パッチ提供済み)

また、ゲーミングパフォーマンスが低下するという見出しになっていますが、ゲームで特に大きな影響があるというだけで、他の一般的なアプリケーションでもパフォーマンスが低下する可能性があります。

VBS/HVCI 有効で約5%の低下

まず一つ目は、「VBS(Virtualization-based security)」と呼ばれるメモリに関する機能が原因で起こる問題です。「VBS」は、Windows 11での様々なセキュリティサービスを有効化するために、安全なメモリ領域をメモリ内に作成する機能です。Windows 11の必須要件として話題になったTPMもVBSを利用した機能の一つです。このVBSそのものに加え、「VBS」を利用した機能の一つである「HVCI」と呼ばれる機能もパフォーマンスに影響を与えると言われています。

この機能はWindows 10からWindows 11に無料アップグレードした場合には自動的には有効にならないようですが、マイクロソフトはOEM(PC製造メーカー)に対しては有効にすることを推奨しているようです。

実際にVBSおよびHVCIのオンとオフの両方でパフォーマンスを比較されたものが下記になります。5つのゲームでのfps比較です。詳細なテスト内容が知りたい場合は参考リンクをご覧ください。

VBSとHVCIによるゲームでのfps低下(幾何平均)
ベースライン
:VBSオフ
Core i7-11700K Core i7-10700K Ryzen 7 5800X Ryzen 7 3800X
VBS 有効 -4.9% -5% -4% -4.1%
HVCI 有効 -5.6% -5.7% -3.3% -4.1%

全体的に5%前後の低下が見られます。あまり大きな差ではないように見えます。とはいえ、ゲームでのfps低下は極力抑えたいというのが大抵のゲーマーの意識だと思うので、好ましくはありません。テストは1080pによる高性能PCによるテストなので、より高い設定やより低性能で古いCPUでは結果が異なる可能性はありますが、パフォーマンスが低下することは明らかなようです。

ただし幸いなことに、VBSおよびHVCIは無効化することが可能です。いくつか方法があるようですが、簡単で一般的だと思われるのが下記の方法です。「システム情報」の「仮想化ベースのセキュリティ」が始めから無効になっていることが確認できれば、特に対応する必要はありません。

「VBS/HVCI」無効化の方法
  1. Windows(スタート)の検索バーから「コア分離」と入力して検索
  2. 「コア分離」という項目が出ると思うので選択(もし使用するアプリを尋ねられたらWindowsセキュリティを選択)
  3. 「メモリ整合性」をオフにする(始めからオフの場合は6へ)
  4. PCを再起動する
  5. 「システム情報」の「仮想化ベースのセキュリティ」が無効になっていればOK(有効の場合は6へ)
  6. 「レジストリ」を開く(簡単な方法:Windows + Rから「regedit」でOKを選択)
  7. 「HKEY_LOCAL_MACHINE \ System \ CurrentControlSet \ Control \ DeviceGuard」に移動
  8. 「EnableVirtualizationBasedSecurity」を「0」に設定
  9. PCを再起動する

メモリ整合性をオフにするだけだと、HVCIが無効でもVBSは有効になったままの可能性があるため少し長めの説明になっています。

VBSおよびHVCIを有効にすることでセキュリティは強まっていると思うので、一概にオフにすることを推奨はできませんが、一般の人のほとんど今まで利用してこなかったセキュリティだと思われるので、あまり抵抗ない気はします。よく効果のわからないセキュリティ機能のためにfpsを下げたくない人はオフにすると良いと思います。

AMD CPUで最大15%性能が低下する可能性(10月下旬に修正パッチ提供済み)

二つ目は、AMD CPUをWindows 11で使用する際に一部のアプリケーションで最大15%パフォーマンスが低下する可能性がある問題です。AMDが発表し、10月中(今月中)に修正パッチを提供する予定です。要約すると下記のような感じです。

Windows 11でAMD CPUで最大15%のパフォーマンス低下
  • 測定された機能的なL3キャッシュ遅延が最大3倍に増加する可能性
    • メモリサブシステムのアクセス時間に敏感なアプリケーションが影響を受ける可能性がある
    • 影響を受けるアプリは3%~5%程度のパフォーマンス低下が予想され、eSportsで一般的に使用されるゲームでは10%~15%の外れ値が発生する可能性がある
  • UEFI CPPC2(優先コア機能)が期待通りに機能しない可能性
    • 低スレッドパフォーマンスが重要なアプリケーションでパフォーマンスが低下する場合がある
    • パフォーマンスへの影響は、65WTDP・8コア以上のプロセッサでより発生しやすい可能性がある

VBSとは別の問題だとAMDが回答しているようですが、上述のVBSのテスト結果ではAMD CPUの方が性能が大きく低下している様子はありませんでした。「外れ値」や「可能性がある」という言い方が多用されていることから、常に発生する問題ではなく局所的な問題なのかもしれません。もしくはIntel側も何らかの性能低下を受けているという可能性も一応あるかもしれません。

AMDはこの問題に対して、「該当の問題が発生している人でもWindows 10を引き続き使用することができる」という趣旨の発言をしています。上述のVBSの問題もありますし、ゲームをする人はWindows 11の利用(アップグレード)はまだ待った方が賢明かもしれません。

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