Core i5 9400F の凄まじいコスパ【性能比較・評価】

「Core i5 8400」の後継として登場した「Core i5 9400F」の比較・評価記事です(2019年6月更新)。
要点だけ知りたいという方は、目次から「まとめ」だけ見ても良いかも。
※本記事の「Core i5 9400F」の性能スコアは「Core i5 8400」のスコアを3%向上させた推定値です。掲載の価格は、記事更新時点での主に価格.comやAmazon等の最安値となっています。


参考
Core i7 9700KレビューPC Gamer

Core i5 9400F の仕様について

ベースは「Core i5 8400」と全く同じ

「Core i5 9400F」は第9世代のCPUとして登場しましたが、ベースは「Core i5 8400」と全く同じものです。
「Core i5 8400」に以下の変更がなされたものが「Core i5 9400F」となっています。
8400 → 9400F の変更点
  • 動作クロックが僅かに上昇(0.1 GHz)
  • 内蔵GPUが廃止

動作クロックが僅かに上昇(0.1GHz)

「Core i5 9400F」は「Core i5 8400」より、定格・最大クロック周波数共に0.1GHz(100MHz)だけ上昇しています。
ベースが全く同じなため、性能上昇も動作クロックの上昇率と同じ約3~5%っぽいです。ベースが全く同じということで、改めて実測検証をしているサイトがあまりないため推測となりますが、恐らく間違ってないです。
また、後述の本記事の「Core i5 9400F」の性能スコアについては全て「Core i5 8400」の数値を3%足したものとなっています。
カッコで推定値とわかるように明記しておくので、誤解はないと思いますが一応。

内蔵GPUが廃止

「Core i5 8400」は内蔵GPUが利用できましたが、「Core i5 9400F」は内蔵GPUが利用できません。粗悪品のダイを有効利用するためとか、理由は色々ありますが、当然その分安くなるため消費者的には嬉しいです。最近は空前のPCゲームブームといっても良い状況です。増設用のグラボ搭載のゲーミングPC利用者も非常に増えているので、正直内蔵GPUなんか要らないって人もかなり多いですからね。

ただし、QSV(IntelCPUの内蔵GPUによるエンコード)は利用できないので、動画制作などを行いたい方は注意が必要です。QSVを利用したいという方には向かないですし、別途搭載するGPUにエンコーダーやデコーダーが付いているかはチェックしましょう(安価なものでなければ大体大丈夫だけど)。


簡易比較表

「Core i5 9400F」と現在主流のCore i5~9との簡易性能比較表です。
【簡易比較表】
CPU名 ベンチマーク コア(スレッド) TDP 定格クロック TB時最大 コスパ 参考価格
Core i9 9900K 20500 8(16) 95W 3.6GHz 5.0GHz 0.315 65,000円
Core i7 9700K 17400 8(8) 95W 3.6GHz 4.9GHz 0.363 48,000円
Core i7 8700K 16100 6(12) 95W 3.7GHz 4.7GHz 0.366 44,000円
Core i7 8700 15250 6(12) 65W 3.2GHz 4.6GHz 0.391 39,000円
Core i5 9600K 13900 6(6) 95W 3.7GHz 4.6GHz 0.421 33,000円
Core i5 8600K 12800 6(6) 95W 3.6GHz 4.3GHz 0.4 32,000円
Core i5 8500 12100 6(6) 65W 3.0GHz 4.1GHz 0.417 29,000円
Core i5 9400F
12050(推定)
6(6) 65W 2.9GHz 4.1GHz 0.524 23,000円
Core i5 8400 11700 6(6) 65W 2.8GHz 4.0GHz 0.433 27,000円
※ベンチマークスコアはPASSMARKのベンチマークスコアを参考にした目安の値。
※参考価格は、価格.comの2019年2月下旬時点での最安値価格。
一目でわかる圧倒的なコスパの良さ。
もちろん内蔵GPU廃止という部分を含んでの結果ではあるのですが、内蔵GPUが必要ない人(増設用グラボ利用の人)にとっては、ただの圧倒的にコスパの良いCPUです。
仕様的にはもっと早く出せたはずなので、複雑なところもありますが、評価は「素晴らしい」の一言です。

シングルスレッド性能

シングルスレッド性能が高いと、軽い処理の処理速度が速くなる他、マルチスレッド(コア)処理に対しての最適化が不十分なアプリケーションに対する処理速度が速くなります。
大きなメリットは上記に挙げたものが主ですが、ほぼ全ての処理に対して有利に働くので重要視される事が多いです。
今回は、Cinebench R15というソフトで測定した数値を見ていきます。
【Cinebench R15 Single】
CPU名称
スコア
Core i9 9900K 221
Core i7 9700K 218
Core i7 8086K 217
Core i7 8700K 203
Core i5 9600K 201
Core i5 9400F 182(推定)
Core i5 8400 177

2万円台前半とは思えない、非常に高いシングルスレッド性能

Cinebench R15 Singleで180超えを2万円台前半のCPUが到達するとは…。圧倒的なコスパです。
第7世代以前だと4万円クラスのCore i7の上位モデルくらいでしか到達できなかったレベルです。
技術の進歩とコスパの向上速度に驚かされますね。

マルチスレッド性能

マルチスレッド性能が高いと、マルチタスクの処理やエンコードの速度などが速くなります。簡単にいうとCPU全体の全力のパフォーマンスを表します。
シングルスレッド性能と同じく、Cinebench R15というソフトで測定した数値を見ていきます。
【Cinebench R15 Multi】
CPU名称
スコア
Core i9 9900K 2063
Core i7 9700K 1515
Core i7 8086K 1421
Core i7 8700K 1411
Ryzen 5 2600 1316
Core i5 9600K 1074
Core i5 9400F 977(推定)
Core i5 8400 949

マルチスレッド性能は、スレッド数が少ないため控えめ

「Core i5 9400F」も2万円台前半という価格を考えれば十分なマルチスレッド性能です。
ただやはり、6スレッドとスレッド数が少ないため、上位モデルや対抗の「Ryzen 5」相手に大幅に負けてしまっている現状です。
「Core i5 8400」とベースは変わらないので、「Core i5 9400F」も必然的に同じ状況となっています。

ゲーミング性能

ゲーミング性能は、言葉の通りゲームする際のパフォーマンスの性能です。
主に実際にゲームを起動してみた際のFPS数で比較されます。
今回は、10種類の人気ゲームでFPS数を測定した平均FPS数(相乗平均)の数値を見ていきます。
使用されたGPUは「Geforce GTX 1080 Ti」となっています。
【総合ゲーミング性能】
CPU名称
FPS
Core i9 9900K 120.7
Core i7 9700K 119.2
Core i7 8086K 116.1
Core i7 8700K 115.7
Core i5 9600K 115.2
Core i5 9400F 114.6(推定)
Core i5 8400 111.3
Ryzen 5 2600 99.8

「Core i5 8400」でも圧倒的だったコスパが更に向上

まず、CPU全体の性能には絶大な差がある「Core i9 9900K」と「Core i5 8400」を比較しても、FPS数は10も変わりません。
今回の測定に用られているGPUは「GeForce GTX 1080 Ti」という超高性能なハイエンドGPUですが、Core i5でもそのボトルネックとはならないという事がわかるということは、改めて触れておきます。最新ゲームでも「Core i5」で十分対応可能です。
上記の点を踏まえ、ゲーミング性能だけのコスパを考えれば今まで「Core i5 8400」が圧倒的でしたが、「Core i5 9400F」はそれを更に上回ります。めちゃくちゃコスパが良いです。
現状(2019年2月)、単純にゲーミング性能のコスパを考えるのであれば、「Core i5 9400F」が圧倒的で敵無しのトップです。
2万円以上高い「Core i7 9700K」や、4万円以上高い「Core i9 9900K」と比較しても、少ししかゲーミング性能が変わらないって冷静に考えておかしいです。
とはいえ、やはりマルチタスク方面ではマルチスレッド性能がモノを言うので、「Core i5」は不利です。
「ゲーム+何か重めのアプリケーション」という使い方が主なら「Core i7」以上を選ぶ理由は十分あります。
そのことを考慮しても、あまりに値段の差が大きいので「Core i5」を多少我慢して使う、というのも十分賢い選択に見えてしまう程のコスパの良さ。
普通は「目的の用途を十分に満たせる」という事がパーツ選びの最低条件の基本ですが、多少我慢しても使いたくなるレベルのコスパの良さです。

まとめ

最後にまとめです。


Core i5-9400F の良い点

  • 安い(約2万円)
  • コスパがめちゃくちゃ良い(特にゲーミング性能)
  • TDPが65Wで発熱(消費電力)が少なめ

Core i5-9400F の悪い点

  • 内蔵GPUが無効(QSVも利用不可)
  • マルチスレッド性能はCore i7に大きく劣る(マルチタスクにはあまり向かない)

【要点】

  • Core i5 8400 の後継に恥じないコスパの良さ
  • ゲーミング性能コスパが凄まじく良い
  • 内蔵GPU廃止

Core i5 8400 の後継に恥じないコスパの良さ

「Core i5 9400F」は、「Core i5 8400 の後継」という位置に恥じない素晴らしいコスパのCPUです。
価格は「Core i5 8400」よりも安くなったのに、性能は微増しています。
まぁ、内蔵GPU廃止以外は仕様はほぼ同じのため、当たり前ではあるんですけどね。
マルチスレッド性能以外では、Core i7 にも大きな引けは取らない優秀さも据え置きで、2万円台前半。素晴らしいの一言です。

ゲーミング性能のみのコスパが凄まじく良い

ゲーミング性能は、最新のCore i7やCore i9と比較しても少ししか変わらず、コスパがエグい事になっています。
ゲーミング性能のみのコスパであれば、圧倒的トップです。「最新ゲームをしたくてコスパ最重視!」って人は「Core i5 9400F」一択と言っても過言ではないです。
マルチスレッド性能はやや低いため、ゲーム配信などの「ゲーム+重いタスク」という使い方ではやや不安はありますが、それを考慮しても選択肢に入るレベルの魅力があります。

内蔵GPU廃止

コスパがめちゃくちゃ良くて魅力的な「Core i5 9400F」ですが、忘れてはいけないのは「内蔵GPUが廃止されている」点です。「Core i5 9400F」は単体で2万円台前半と低価格で、低価格PCにも使いたくなりますが、グラボが別途必須です。グラボは低性能なものでも設置のスペースや増設の手間が必要ですし、消費電力も増えるため、電源への配慮も必要となります。

また、QSV(IntelCPUの内蔵GPUによるエンコード)は利用できないので、動画制作などを行いたい方は困る方も居るかもしれません。QSVは昔からある機能で、利用者も多く最適化も進んでいます。増設したグラボでハードウェアエンコードが利用できても、あえてQSVを利用しているという方も結構多いと思うので、該当機能を利用したい方にとっては大きな欠点となる可能性はあります。

そのため、「Core i5 8400」の生産がまだ続くのであれば、暫くはそちら主流でいく気はします。CPU自体の性能は大差ないですからね。


それでは、記事はここまでになります。ご覧いただきありがとうございました。

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