【モバイル版】「Core」シリーズ・世代別の特徴比較【最新版】

モバイル版の「Core」シリーズの世代別の特徴比較です。

基本的に最新のものから2~3世代くらいをピックアップして載せていこうと思います。現在主要シリーズとして掲載しているのは、Core Ultra シリーズ2(Lunar Lake)/ Core Ultra シリーズ1(Meteor Lake)/ 第13世代(Raptor Lake)/ 第12世代(Alder Lake)の4つです。

注意

掲載の情報は記事執筆時点(2024年10月時点)のものです。ご覧になっている際には異なっている可能性があるため注意してください。また、本記事の内容はモバイル端末向けCoreに限った話であり、デスクトップ向けやRyzenとは異なる点も注意してください。

はじめに

本題に入る前に触れておきたいことについて触れています。

本記事では省電力モデルを見ていく

本記事ではモバイル版で最も主流な省電力モデルを対象としています。デフォルトのTDP(TDP PL1)が15W~28Wのモデルです。35W以上の末尾にHが付くモデルや、10W未満のモデルについては対象外としているため注意してください。

NPU(AIプロセッサ)は「Ultra」が付くモデルで搭載

Coreシリーズは「Ultra」と付くモデル(例:Core Ultra 7 155H)では、AI処理用のNPUが搭載されています。これによりオフラインでもAI処理を行うことが可能となっています。

また、Windows 11では「Copilot+」と呼ばれるAI機能が統合されることとなり、これはローカル動作となるため、NPUが必要になります。ここで問題なのが、Copilot+の最低動作要件が40TOPSと比較的高めになっている点です。

「Core Ultra シリーズ1(例:Core Ultra 7 155H)」は最高で13TOPSとなっており、性能が足りていないため、性能を十二分には発揮できない可能性があります。40TOPSは他のプロセッサの数値を含んでも良いらしいのでNPU単体で届いている必要がある訳ではないですが、Core Ultra シリーズ1の場合はCPUとGPUの最大性能を足してようやく若干超えるかもって程度なので、基本的にはしっかり要件を満たしたいならGeForce等のビデオカード搭載が必要となる点に注意が必要です。

SoC単体でCopilot+の要件を満たしたい場合は、「Core Ultra シリーズ2(NPU単体で40~48TOPS)」以降を検討する必要があります。とはいえ、IntelによるとMeteor LakeのNPUでも多数のアプリケーションで活躍できるように調整を頑張ったらしいので、意外となんとかなる可能性もありますし、従来のオンラインでのチャットボット利用で十分ならNPUを搭載している必要すらないので、個人の用途次第かなと思います。

命名規則:「Core i」は第13世代までは上2桁が世代番号で、その後は「i」が「Ultra」になり番号もリセット

Coreシリーズを見る上で知っておくと便利なのは世代の見分け方です。ただし、最近の命名規則やブランド刷新により前ほど簡単には見分けにくくなった点に注意です。

以前は単純だったのですが、現在ではやや複雑になり「簡単だから覚えて」とは言いにくくなってしまいました。

第13世代以前の「Core i」に関しては、シンプルに番号の上から2桁が世代番号となっています。「Core i7-1255U」なら12世代という感じですね。

ただし、第13世代の次の世代からは命名規則が変わっています

まず「Core i」の「i」部分が消えて、新しい世代は「Core Ultra」という名前になりました(例:Core Ultra 7 155H)。そして、Ultraの無い「Core」というモデルもあり、こちらは2024年時点では既存の世代(アーキテクチャ)を利用したものとなっています(例:Core 7 150U)。そのため、Ultraの付かないモデルは発売時期から見ると実質的には旧世代に当たる点は注意が必要です。

また、世代番号がリセットされて「1」からにもなっている点に注意してください。時系列的には第14世代という位置づけでも「Core Ultra 7 155H」と、世代番号は1になっています。

第13世代以前が市場から消えればそこまで複雑でもありませんが、「Core i」と混在する内は我慢する必要があります。

Coreの世代の見分け方

・「Core i」は数字の上から二桁を見る(第13世代まで)
・その次からは「Core Ultra」へとブランドが移行し、世代番号も「1」からのリスタート
(Ultraが無い場合は旧世代アーキテクチャ)

Core Ultra 7 155H → Core Ultra シリーズ1
Core i7-1360P → 第13世代 Core
Core i7-1255U → 第12世代 Core

また、世代が新しい方が基本的に高性能です。とはいえ、最近では世代番号が更新されていてもアーキテクチャは前世代のものを再利用した、実質リネーム版だったりすることも多くなってきたので、CPU名だけで判別するのが難しくなってしまっています。

以前はCPU名さえ覚えれば相対的な性能の序列が判っていたので覚えることをおすすめしていましたが、少なくとも「Core i」と「Core Ultra」が混在する内は、CPUを個別に見るのが正解な気がします。そのため、CPUの命名規則は興味のある方以外は深く気にしない方が良いかもしれないです。

簡易比較表

本記事で取り扱うCoreシリーズの主要モデルについての簡易比較表です。デフォルトTDPが28W以下の省電力モデルが対象です。

細かい仕様や性能などはこの後に触れていきますが、大まかな性能だけを知りたい場合には下記の表だけでも正直十分かなと思います。評価については価格も考慮した筆者の主観によるものなので、参考程度に見てください。

2024年の主要Coreシリーズ(Lunar Lake~Alder Lake)の簡易比較表
簡易比較表
CPU評価
Cinebench
R23 Multi
コアスレッドクロック
定格 – 最大
TDP内蔵GPU
Core Ultra 7 155H
4.25
14654
16
(6P+8E+2LPE)
22
P:1.4 – 4.8 GHz
E:0.9 – 3.8 GHz
LP E:0.7 – 2.5 GHz
28W~115WIris Xe 8コア(128EU)
Core i7-1370P
3.75
13159
14
(6P+8E)
16
P:1.9 – 5.2 GHz
E:1.4 – 3.9 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 96EU
Core Ultra 7 258V
4.75
12308
8
(4P+4E)
16
P:3.7 – 4.8 GHz
E:2.2 – 3.7 GHz
17W~37WArc 140V
Core Ultra 5 135H
4.25
12173
14
(4P+8E+2LPE)
18
P:1.7 – 4.6 GHz
E:1.2 – 3.6 GHz
LP E:0.7 – 2.5 GHz
28W~115WIris Xe 8コア(128EU)
Core i7-1280P
3.75
11685
14
(6P+8E)
16
P:1.8 – 4.8 GHz
E:1.3 – 3.6 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 96EU
Core Ultra 5 125H
4.25
11293
14
(4P+8E+2LPE)
18
P:1.2 – 4.5 GHz
E:0.7 – 3.6 GHz
LP E:0.7 – 2.5 GHz
28W~115WIris Xe 7コア(112EU)
Core i7-1360P
3.75
10997
12
(4P+8E)
16
P:2.2 – 5.0 GHz
E:1.6 – 3.7 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 96EU
Core i5-1340P
4.0
10921
12
(4P+8E)
16
P:1.9 – 4.6 GHz
E:1.4 – 3.4 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 80EU
Core Ultra 7 165U
4.0
10797
12
(2P+8E+2LPE)
14
P:1.7 – 4.9 GHz
E:1.2 – 3.8 GHz
LP E:0.7 – 2.1 GHz
15W~57WIris Xe 4コア(64EU)
Core 7 150U
4.0
9670
10
(2P+8E)
12
P:1.8 – 5.4 GHz
E:1.2 – 4.0 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 96EU
Core i7-1260P
3.75
9603
12
(4P+8E)
16
P:2.1 – 4.7 GHz
E:1.5 – 3.4 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 96EU
Core 5 120U
4.0
9114
10
(2P+8E)
12
P:1.4 – 5.0 GHz
E:0.9 – 3.8 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 80EU
Core i7-1355U
3.75
9071
10
(2P+8E)
12
P:1.7 – 5.0 GHz
E:1.2 – 3.7 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 96EU
Core i5-1335U
4.0
8349
10
(2P+8E)
12
P:1.3 – 4.6 GHz
E:0.9 – 3.4 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 80EU
Core Ultra 5 125U
4.0
8320
12
(2P+8E+2LPE)
14
P:1.3 – 4.3 GHz
E:0.8 – 3.6 GHz
LP E:0.7 – 2.1 GHz
15W~57WIris Xe 4コア(64EU)
Core i5-1240P
4.0
8273
12
(4P+8E)
16
P:1.2 – 4.4 GHz
E:1.7 – 3.3 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 80EU
Core i7-1255U
3.75
7904
10
(2P+8E)
12
P:1.7 – 4.7 GHz
E:1.2 – 3.5 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 96EU
Core i5-1235U
4.0
7634
10
(2P+8E)
12
P:1.3 – 4.4 GHz
E:0.9 – 3.3 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 80EU
Core i7-1250U
3.75
7402
10
(2P+8E)
12
P:1.1 – 4.7 GHz
E:0.8 – 3.5 GHz
9W~29WIris Xe Graphics 96EU
(~950MHz)
Core i5-1230U
4.0
7264
10
(2P+8E)
12
P:1.0 – 4.4 GHz
E:0.7 – 3.3 GHz
9W~29WIris Xe Graphics 80EU
(~850MHz)
Core 3 100U
3.5
6553
6
(2P+4E)
8
P:1.2 – 4.7 GHz
E:0.9 – 3.3 GHz
15W~55WUHD Xe Graphics 64EU
Core i3-1315U
3.5
6187
6
(2P+4E)
8
P:1.2 – 4.5 GHz
E:0.9 – 3.3 GHz
15W~55WUHD Xe Graphics 64EU
Core i3-1215U
3.5
5802
6
(2P+4E)
8
P:1.2 – 4.4 GHz
E:0.9 – 3.3 GHz
15W~55WUHD Xe Graphics 64EU
参考:CPU-Monkey , notebookcheck , TopCPU
GPU性能(3DMark TimeSpy Graphics)
内蔵GPU(搭載CPU)スコア
Arc 140V
(Core Ultra 7 258H 等)
4118
Iris Xe 8コア
(Core Ultra 7 155H 等)
3446
Iris Xe 7コア
(Core Ultra 5 125H 等)
3108
Iris Xe 4コア
(Core Ultra 7 165U 等)
1766
Iris Xe 96EU
(Core i7-1355U 等)
1589
Iris Xe 80EU
(Core i5-1335U 等)
1131
参考:3DMark , notebookcheck , TopCPU

コアについて

Eコア(高効率コア)に注目

現在のCoreシリーズの性能を見る上で非常に重要なのは、Eコアの存在です。

第12世代Coreシリーズ(Alder Lake)から、従来の高性能コア(Pコア)に加え、低消費電力と小型化に特化した効率コア(Eコア)が追加されました。更に、Core Ultra シリーズ1(Meteor Lake)からはLP Eコア(低電力Eコア)という更に省電力に特化したコアも追加されるなど、最近のコアではものすごくEコアを重視しています。

ただし、EコアはPコアにコアあたりの性能は劣る点は注意が必要です。そのため、コア数に惑わされずに内訳を見ることが重要となっています。下記に各コアのざっくりとした説明もまとめとして改めて載せています。

PコアとEコア
Pコア(高性能コア)
Pコアは処理性能を重視した従来のコアです。高い処理性能を持ちますが、大きめのサイズでコストが高い点と、高いクロックによって消費電力・発熱が大きめなのが弱点です。ただし、電力効率に関してはEコアよりも少し良いので、基本的にはPコアの数が多い方が良いCPUです。
Eコア(高効率コア)
Eコアは効率に特化したコアです。Pコアよりもかなり小型で、少ない消費電力で動くことに特化しています。サイズが小さいため多数搭載しやすいのと、コストも少なくて済むのがメリットです。ただし、1コアで2スレッド動作となるハイパースレッディングに対応していないこともあり、処理性能は最新のPコアと比べると大幅に低い点に要注意です。第12世代CoreのEコアは第6世代のCore(1スレッド)に近いパフォーマンスと言われています。そのため、基本的に1Pコアよりも2Eコアの方が低性能です。
LP Eコア(低電力Eコア):Core Ultra 200から廃止された名称
Core Ultra 100から追加された低電力版のEコアです。LP EコアのポイントはSoCタイルに配置されている点です。他のCPUコアはコンピュートタイルに配置されており、利用する際にはSoCタイルとコンピュートタイル(CPU)との通信が必要となりますが、LP EコアはSoCタイルに配置されるため、コンピュートタイル(メインのCPUコア)との通信が要りません。そのため、LP Eコアのみで事足りる処理の場合には、SoCタイルのみで処理を完結できるというのがポイントです。その場合には消費電力はごくわずかで済むはずです。Core Ultra 200からはEコアが全てこのLP Eコアと同質のものとなったため、LP Eコアという名称が消えてEコアのみに統一されたので、事実上1世代のみで廃止になった名称です。

上記の異なる特徴を持つコアを持つこととなったため、従来のようにコア数でざっくり性能を測るということが難しくなっている点に要注意です。PコアとEコアの内訳を知ることが大切となります。各モデルのコア構成を下記の表にまとめているので見ていきましょう。

Coreシリーズのコアの内訳
Coreシリーズのコアの内訳
世代モデルコアスレッド
PコアEコアLP E合計
Core Ultra 200V
(TDP:17W~37W)
例:Core Ultra 7 258V
全モデル4488
Core Ultra 100H
(TDP:28W~115W)
例:Core Ultra 7 155H
Core Ultra 7
6
82
16
22
Core Ultra 5482
14
18
Core Ultra 100U
(TDP:15W~57W)
例:Core Ultra 5 125U
Core Ultra 7
2
82
12
14
Core Ultra 52821214
第13世代【P】
(TDP:28W~64W)
例:Core i7-1360P
Core i7
6
4
80
14
12
20
16
Core i54801216
Core i32801012
Coreシリーズ1
第13世代【U】
(TDP:15W~55W)
例:Core 5 120U
Core i7-1355U
Core 7/i72801012
Core 5/i52801012
Core 3/i324068

第12世代と第13世代はコア数は基本同じで性能差も小さいので、差を深く気にする必要はありませんが、第11世代以下はPコアのみとはいえコア数が大きく減るため性能が格段に低いです。出来れば第12世代以降を選ぶことを意識しましょう。

シリーズ別の所感

記事後半では仕様値などを踏まえてやや細かい部分も見ていきますが、その前に各シリーズのざっくりとした所感を載せておこうと思います。そんなに詳しく知りたい訳ではなく、要点だけ手短に知りたい人はこちらを参考にしてください。

また、Core UltraのIntelによるシリーズ名は「Core Ultra シリーズ1」といった感じらしいですが、分かりにくいのでCore Ultra 100みたいな感じで表記しています。

シリーズ別の所感
Core Ultra 200V(Core Ultra 7 258V 等):電力面が格段に改善し、高性能NPUを搭載

「Core Ultra 200V」は、Core Ultraの第2世代のシリーズです。NPU性能が飛躍的に向上してCopilot+の要件をNPU単体で満たした他、プロセスの大幅微細化やコア仕様の刷新により電力効率が大幅に向上したのが魅力です。元々優れていた内蔵GPUも更に性能を伸ばしました。

CPUのコア・スレッド数は、全モデル8コア8スレッド(4P+4E)です。前世代からはコア数は大きく削減された上に、ハイパースレッディンツグ(1コア=2スレッド)もなくなりました。

Eコアの性能は前世代より格段に向上したものの、やはりコアの減り方が凄いので、最大のマルチスレッド性能は前世代から向上していません。しかし、その代わりに電力面が大幅に改善しました。ここ数年のCoreは他の競合モデル(Ryzen、Apple Mシリーズ)に電力面で劣っているのがノートPC向けのSoCとしては大きな弱点でしたが、そこが改善されたのは嬉しいです。

また、NPU(AI用のプロセッサ)の性能が飛躍的に向上したのもポイントです。前世代は最大13TOPSだったのに対し、40~48TOPSとなっています。これにより、WindowsのAI機能「Copilot+」のローカル動作要件である40TOPSをNPU単体で満たすことになり、搭載PCは「Copilot+ PC」を名乗ることができます。オンラインのチャットボットで十分な場合には必要ない部分ですが、次世代のAI機能を存分に使いたい人には魅力的な仕様です。

前世代から引き続き内蔵GPU性能が優れているのも大きな強みです。「Arc 130V(7コア)」か「Arc 140V(8コア)」が搭載されています。GPUのコア数は下位モデルでも大差ないので、全モデルで優れたグラフィック性能を期待できます。やや重めのゲームや動画編集に対応できるレベルです。

更に、GPUにもAIエンジン「XMX」が搭載されるようになりました。XMXも単体で53~67TOPSと高性能です。ゲームのアップスケーリングなどでも活躍を期待することができます。

そして、先にも触れましたが、これだけの性能向上がありながら、電力面も優れています。Core Ultra 9以外のベース電力は17Wに設定されており、最大でも37Wです。前世代の主流モデルが28W~64Wだったことを考えると、その数値だけでも格段に改善していることがわかります。

新世代なのにCPU性能が向上しないという異例のシリーズではありますが、他の面で多数の大幅な改善が見られ、特にノートPC向けのプロセッサとしては実用性に非常に優れたシリーズとなっていると思います。

最後に価格ですが、物凄く高価です。発売直後の2024年10月時点だと、搭載PCは最安でも約17万円となっており、過去に類を見ないほど高額さです。ベースのプロセス面でもコスト増加が予想される上、高性能なNPUを2つも搭載しているので仕方ないとは思いますが、高性能なゲーミングノートが普通に購入できますし、最新のGeForceならAI性能も高いので、総合性能コスパという意味では発売時の価格では正直良くないです。

Core Ultra 100H(Core Ultra 7 155H 等):内蔵GPUも含めて非常に高性能な上位モデル

「Core Ultra 100H」は、初代Core Ultraの性能重視モデルです。内蔵GPU性能も高く、汎用性に優れた強力なCPUです。最近注目のNPU(AI処理用のユニット)も搭載しています。AI処理性能は最大13TOPSと高くはないですが、それでもIntelによると多くのアプリケーションで活用できる予定らしいです。

CPUのコア・スレッド数は、Core Ultra 7は16コア22スレッド、Core Ultra 5が14コア18スレッドとなっています。Pコアの数が「7」の方が2個多く、マルチスレッド性能がやや高くなっています。8個のEコア、2個のLP Eコアは共通です。

そして、Core Ultra Hの最大の魅力は内蔵GPU性能です。改良されたアーキテクチャとTSMC製の5nmプロセスによって、前世代から飛躍的な性能向上を遂げています。最上位モデルの性能は「GeFoce GTX 1650」に匹敵するレベルであり、重めのゲームも動かせるレベルまで到達しています。4Kや高fpsや重量級ゲームを意識しないなら、ビデオカード無しでもグラフィック用途にも一通り対応できるレベルとなっているため、汎用性が格段に向上しました。

GPUのコア数は、Core Ultra 5 135H以上は「8コア」、125H以下は「7コア」となっています。中途半端な分け方が分かりにくいですが、7コアモデルでも思ったより性能低下率は小さいようなので、深く気にする必要はないかなと思います。

少し注意する必要があるのは、この「H」モデルは標準の電力設定が高めの28W~115Wなので、高負荷時には消費電力や発熱が大きい点です。省電力運用をしたいなら、端末側で設定を変更する必要があるので忘れないようにしましょう。

また、Core Ultra 100ではNPUが搭載されます。

最後に価格ですが、やはり高価です(2024年10月時点)。Core Ultra 125Hの安価なモデルでも16GBメモリで12万円台~です。とはいえ、前述のCore Ultra 200Vよりは格段に安価でGPU性能は大差ないです。携帯ゲーム機では10万円を切るモデルもありますし、ビデオカード搭載機よりは発熱やバッテリー持続時間も大幅に良く、薄型モデルもあるということで、薄型軽量で高めのグラフィック性能を備えていつつコスアもそこそこのPCが欲しい場合には魅力的です。

Core Ultra 100U(Core Ultra 7 150U 等):Hモデルよりは性能が大きく落ちるので注意

「Core Ultra 100U」は、初代Core Ultraの省電力モデルです。HモデルよりもCPU・GPUともにコアが削減されており、性能も大きく低下している点に要注意です。新時代を彷彿とさせる「Core Ultra」ブランドですが、基本性能的には前世代の末尾Uよりも若干良い程度です。ただし、NPUやLP Eコアの搭載で一応差別化は出来ています。AI処理性能は最大13TOPSと高くはないですが、それでもIntelによると多くのアプリケーションで活用できる予定らしいです。

CPUのコア・スレッド数はCore Ultra 7と5のどちらも共通で12コア14スレッドです。2個のPコア、8個のEコア、2個のLP Eコアが含まれます。コア数自体は多いですが、Pコアが2つしかない上、超低性能なLP Eコアも2つ含むので、処理性能はそこまで高くはありません。

GPUには、5と7で共通でコア数は「4」です。Hモデルでは「7~8」でしたから、グラフィック性能は大きく低下します。ここがCore Ultra Uの最も微妙な点です。刷新されたアーキテクチャとプロセスのおかげで、4コアでも前世代のXe Graphics(96EU)並みの性能があるため、重くない処理なら快適に行えますが、末尾Hのように重めのゲームや動画編集に対する対応力は大きく劣る点は注意です。

最後に価格ですが、高価です。2024年10月時点では、最安で末尾Hモデルよりは2~3万円ほど安い約10万円台~程度となっています。相対的に安く見えますが、第13世代以前と比べると格段に高価です。NPUやLP Eコアの差はあるものの、現状は恩恵がよくわからない部分ですし、どちらも低性能です。個人的には、そこのために大きな費用追加をするくらいなら、安さ重視で旧世代を選ぶか、多少高価でも末尾H(125H、155H等)を選択して、前世代から確実な向上を得る方がお得感があるかなと思います。

第12,13世代【P】(Core i7-1360P 等):CPU性能コスパは今でも高いので、在庫処分価格に注目

第12,13世代の末尾P(TDP:28W~64W)モデルはやや性能重視モデルです。8個のEコアに加え、Core i5以降では4~6個のPコアを搭載しています。末尾Uモデルよりも多くのコアを搭載し、消費電力もやや多いです。

2024年現在ではCore Ultra(Meteor Lake)の登場で旧世代となりましたが、Meteor Lakeではマルチスレッド性能の向上率は少しだったので、今でもCPU性能およびコスパは良いです。Core Ultraが高価なこともありますし、在庫処分価格に注目のシリーズとなっていると思います。

ただし、TDPが28W~と高いため消費電力は多く、効率もあまり良くない点はデメリットです。現状では他の競合CPUたちに劣る10nmプロセス採用のため、電力面ではやや劣ります。

第12,13,Core 100【U】(Core 7 150U、Core i7-1355U 等):最も安価で軽作業用なら高コスパ

第12,13世代の末尾Uおよび、Core シリーズ1(TDP:15W~55W)モデルは、性能は高くないものの比較的安価で省電力なのが魅力のシリーズです。アーキテクチャは旧世代となりましたが、最新シリーズでも「Core プロセッサー シリーズ1(Core 7 150U等)」として、2024年でも現役として続投されることとなりました。「Core 7 150U」などと聞くと、今までと名前が大きく変わっているので違うCPUという印象を受けますが、ハードウェア面では第13世代と同じRaptol Lakeという点に注意です。

Core 5/i5以上では、2個のPコアと8個のEコアを搭載しています。Pコアが2つしかないので性能は高くないですが、軽作業には十分な性能があります。

Core Ultraや末尾Pモデルと比べると大幅に安く、7万円台程度からでも多数の製品が選べるのが強みです。軽い処理さえ快適なら良いという場合におすすめのシリーズです。

以下から各シリーズごとに仕様などの表も交えてもう少し詳しく見ていきます。

各シリーズ

Core Ultra シリーズ2(Lunar Lake)

Core Ultra シリーズ2(Lunar Lake)について見ていきます。

Core Ultra シリーズ2(Lunar Lake)
Core Ultra シリーズ2
コードネームLunar Lake
プロセス3nm(I/O以外)、6nm(I/O)
コア
8コア
Pコア:4コア
Eコア:4コア
スレッド
8スレッド
Pコア:4スレッド
Eコア:4スレッド
内蔵GPU(iGPU)
Arc 100V(Xe2)
140V:8コア
130V:7コア
TDP
30W~37W(Core Ultra 9)
17W~37W
対応メモリDDR5
発表時期2024年9月


Meteor Lakeの主要モデル
CPU評価
Cinebench
R23 Multi
コアスレッドクロック
定格 – 最大
TDP内蔵GPUXMX
GPU AI engine
NPU
Core Ultra 7 268V
4.75
?
8
(4P+4E)
8
P:3.7 – 5.0 GHz
E:2.2 – 3.7 GHz
17W~37WArc 140V(8コア)~66TOPS~48TOPS
Core Ultra 7 258V
4.75
12308
8
(4P+4E)
8
P:3.7 – 4.8 GHz
E:2.2 – 3.7 GHz
17W~37WArc 140V(8コア)~64TOPS~47TOPS
Core Ultra 5 236V
4.75
?
8
(4P+4E)
8
P:3.5 – 4.7 GHz
E:2.1 – 3.5 GHz
17W~37WArc 130V(7コア)~53TOPS~40TOPS
Core Ultra 5 226V
4.75
?
8
(4P+4E)
8
P:3.5 – 4.5 GHz
E:2.1 – 3.5 GHz
17W~37WArc 130V(7コア)~53TOPS~40TOPS
参考:CPU-Monkey , notebookcheck , TopCPU


GPU性能(3DMark TimeSpy Graphics)
内蔵GPU(搭載CPU)スコア
Arc 140V(Core Ultra 7 258V 等)
4118
Arc 130V(Core Ultra 5 228V 等)
?
参考:3DMark , notebookcheck , TopCPU

おすすめモデル
  • 全モデル:Core Ultra 7以降の方がGPUとAI性能が少し高いけど、基本性能差はわずか

内蔵GPUが非常に強力(AIエンジンまで搭載)

まず触れたいのは内蔵GPUです。全モデル、内蔵GPUとしては非常に優れたグラフィック性能を持っています。

Core Ultra 5で搭載する「Arc 130V(7コア)」でもゲームのベンチマークで「GeForce GTX 1650」に匹敵するレベルの性能を発揮しており、Core Ultra 7 / 9で搭載の「Arc 140V(8コア)」では「RTX 3050 4GB」より少し下のくらいの性能です。

少し前の安さ重視ゲーミングノート並みの性能を持っているため、内蔵ながら重めのゲームや動画編集にも対応できます(特に重いものは厳しいけど)。

省電力性も以前よりも良くなっているので、薄型軽量ノートでも優れたグラフィック性能をしっかりと発揮することができます。モバイルノート一台であらゆる処理をこなしたい人には非常に魅力的です。

更に、Core Ultra 200VではGPUにもAIエンジン「XMX」搭載されることとなったのも注目です。しかも、その性能は53~67TOPSで高性能です。AIを重視したい場合にも魅力的です。

高性能NPUでCopilot+要件を満たす

Core Ultra 200Vでは、NPU性能が前世代の最大13TOPSから40TOPS以上へと飛躍的に向上しました。

WindowsのAI機能である「Copilot+」のローカル動作要件「40TOPS」を全モデルでNPUのみで満たすことができており、搭載PCでは「Copilot+ PC」を呼称することができます。

更に、前述のようにGPU側にもAIエンジンが搭載されており、そちらも高性能です(53~67TOPS)。プロセッサ全体では100TOPS以上のAI性能を誇ります。

競合モデルである「Ryzen AI 300」「Snapdragon X Elite」「Apple M3 / M4」ではGPU側にAIエンジンが搭載されないため、ライバルよりも格段に高いAI性能となっており、明らかな優位性を手に入れることになりました。

CPU性能は前世代と大差ないけど、省電力性は大幅改善

CPUのコア数は8(4P+4E)となっており、前世代の最大16コアからがっつり減りました。その上、1コア=2スレッドを実現するハイパースレッディングが廃止されたため、スレッド数もコア数と同じ8です。

Eコアの性能が格段に向上したものの、やはりコア数やスレッド数の大きな削減があったため、前世代の上位クラスと比較すると性能は向上しているとは言えないレベルです。ベンチマークを見ると、少し下がっていることが多かったりします。

その代わり、電力面が大幅に改善しているのがポイントです。コア数ががっつり減ったことで消費電力が減りますし、プロセスが3nmへと大幅に微細化されたことと、Eコアは前世代でいうLP Eコアと同様のものになった上で性能が格段に向上したことなどが要因です。電力面の改善は、モバイル向けのプロセッサとしては非常に魅力的です。

性能にしても、前世代から下がるケースまで散見されるのは異例ではありますが、モバイル端末としては十分高性能で困ることはほとんど無いと思います。むしろ、8コア8スレッドで16コアと勝負になるレベルの性能まで仕上げているのは凄いとも言えます。

このように、最大性能では良い印象とは言えないですが、ノートPCとしての実用性を考えた場合には理に叶っていて、個人的には好印象なのがCore Ultra 200のCPUです。

残念なところ:価格があまりにも高い

Core Ultra 200Vの性能は、CPUの最大性能という点を除けばかなり好印象ですし、高いAI性能を持つため、将来性を考えてAIを重視したい人は多いと思います。

そのため、凄くおすすめしたいシリーズではありますが、2024年10月時点では搭載PCの価格があまりに高いのが難点です。

最安でも17万円~となっており、前世代のCore Ultra 100Hの発売時価格よりも4万円ほど高いです。全体的な仕様やAIエンジンの明らかな強さを見るとコストは高いのは間違いないので、ある程度仕方ないのはわかりますが、さすがに高いです。

非常に優れた実用性能で薄型軽量に対応できるのは非常に魅力的ですが、高性能なゲーミングノートを普通に検討できる価格なので、性能コスパという意味では悪いのは要注意です。AI性能もGeForceがあればネックではありません。そのあたりも考慮して検討することになります。

Core Ultra シリーズ1(Meteor Lake)

Core Ultra シリーズ1(Meteor Lake)について見ていきます。

Core Ultra シリーズ1(Meteor Lake)
Core Ultra シリーズ1
コードネームMeteor Lake
プロセス7nm(CPU)、5nm(GPU)
コア
12~16コア
Pコア:2~6コア
Eコア:8コア
LP Eコア:2コア
スレッド
14~22スレッド
Pコア:1コア2スレッド
Eコア:1コア1スレッド
内蔵GPU(iGPU)
Iris Xe Graphics(Xe LPG)
8コア(128EU)
7コア(112EU)
4コア(64EU)
TDP
【H】28W~115W
【U】15W~57W
対応メモリDDR5
発表時期2023年12月


Meteor Lakeの主要モデル
CPU評価
Cinebench
R23 Multi
コアスレッドクロック
定格 – 最大
TDP内蔵GPUNPU
Core Ultra 7 155H
4.25
14654
16
(6P+8E+2LPE)
22
P:1.4 – 4.8 GHz
E:0.9 – 3.8 GHz
LP E:0.7 – 2.5 GHz
28W~115WIris Xe 8コア(128EU)~13TOPS
Core Ultra 5 135H
4.25
12173
14
(4P+8E+2LPE)
18
P:1.7 – 4.6 GHz
E:1.2 – 3.6 GHz
LP E:0.7 – 2.5 GHz
28W~115WIris Xe 8コア(128EU)~13TOPS
Core Ultra 5 125H
4.25
11293
14
(4P+8E+2LPE)
18
P:1.2 – 4.5 GHz
E:0.7 – 3.6 GHz
LP E:0.7 – 2.5 GHz
28W~115WIris Xe 7コア(112EU)~13TOPS
Core Ultra 7 165U
4.0
10797
12
(2P+8E+2LPE)
14
P:1.7 – 4.9 GHz
E:1.2 – 3.8 GHz
LP E:0.7 – 2.1 GHz
15W~57WIris Xe 4コア(64EU)~13TOPS
Core Ultra 5 125U
4.0
8320
12
(2P+8E+2LPE)
14
P:1.3 – 4.3 GHz
E:0.8 – 3.6 GHz
LP E:0.7 – 2.1 GHz
15W~57WIris Xe 4コア(64EU)~13TOPS
参考:CPU-Monkey , notebookcheck , TopCPU


GPU性能(3DMark TimeSpy Graphics)
内蔵GPU(搭載CPU)スコア
Iris Xe 8コア(Core Ultra 7 155H 等)
3446
Iris Xe 7コア(Core Ultra 5 125H 等)
3108
Iris Xe 4コア(Core Ultra 7 165U 等)
1766
Iris Xe 96EU(Core i7-1355U 等)
1589
Iris Xe 80EU(Core i5-1335U 等)
1131
参考:3DMark , notebookcheck , TopCPU

おすすめモデル
  • 末尾Hモデル全般:125H、135H、155H 等(内蔵GPU性能重視)

末尾Hの内蔵GPUが非常に強力

Core Ultra シリーズ1で注目すべきなのはやはり、末尾Hモデルの内蔵GPU性能です。5nmへのプロセス微細化とアーキテクチャの改良により、前世代から飛躍的に性能が向上しています。

上位の8コアGPUモデルでは、ゲームのベンチマークで「GeForce GTX 1650」に匹敵するレベルの性能を発揮しており、ビデオカード無しでも重めのグラフィック処理を一通り行える領域に達しました(特に重いものはさすがにまだ厳しいけど)。

従来のノートPCでは重めのゲームや動画編集をするにはビデオカードが必須でしたが、本体の大型化・発熱と消費電力の増加(バッテリー消耗)がモバイルデバイスでは大きなデメリットでした。その懸念が格段に改善されるのは非常に魅力的です。

CPU性能も、Pコアが最低4コア搭載されており、加えて8個のEコアと2個のLP Eコアがあり、合計コア数は14~16コアです。Eコアを多数含むものの、最終的な性能は高性能なので、重めの処理でも使うことが出来るのも良いです。

Core Ultraでは他にもNPUやLP Eコアの追加などの変化もありますが、一番の魅力はやはり内蔵GPUかなと思います。

ただし、「H」モデルは標準の消費電力が多めなので、省電力運用をしたい場合には後から調整する必要があることが基本という点には注意する必要があります。

末尾UはHよりもコアが削減されているので注意

Core Ultraを見る際に一つ注意しなければならないのは、末尾です。「Core Ultra H」の場合はどのモデルでも前世代よりも格段に高い内蔵GPU性能を持ち、CPU性能も高いですが、「Core Ultra U」の場合はCPUもGPUもコア数が削減されており、前世代から大きな向上とはなっていない点は要注意です

まずGPUのコア数が「U」の場合は4つしかなく、7~8コアの「H」よりも性能は大きく劣ります。4コアでも前世代のCore i7並みの性能があるので、軽い処理なら十分に行えますが、重めのゲームや動画編集などへの対応力は大きく低下するので注意が必要です。

CPUに関しても「U」ではPコアが2つしか搭載されていません。こちらも4~6コアの「H」と比べると性能差は大きいです。CPU性能を重視したいなら適さない仕様です。

「U」モデルにも消費電力が少なめというメリットはあるものの、前世代からの向上率がイマイチで、処理性能の割には高価です。この文章を書いているのが発売直後から高価ということもあるので、今後の値動き次第ですが、少なくとも発売開始直後時点では「Core Ultra U」を選ぶなら、安さ重視で前世代品(Raptol Lake)を選ぶか、予算を追加して「H」を選ぶ方が良く見えます。

高性能ではないけど、NPU搭載

「Core Ultra」からはAI用のNPUが搭載されます。このシリーズ1のNPU性能は最大13TOPSとなっており高性能ではありませんが、それでも多数のアプリケーションで活用できることが示唆されているので、旧世代のCPUに対しては明確な差になります。

Coreシリーズ1・第13世代・12世代Core

モバイル版の第13世代Coreと第12世代Coreは、世代こそ分かれているものの、コア数は基本同じで性能差も小さいです。アーキテクチャも大きな変更が無いので、一括で紹介します。

また、Core プロセッサーシリーズ1(Core 7 150U 等)は第13世代(Raptol Lake)と内部仕様が同じものなので、こちらも併せて紹介しています。

Coreシリーズ1 および 第13・12世代Coreシリーズ(Raptol Lake & Alder Lake)
第12世代Coreシリーズ
コードネームCore シリーズ1・第13世代:Raptor Lake
第12世代:Alder Lake
プロセス10nm
コア
6~14コア
Pコア:2~6コア
Eコア:4~8コア
スレッド
8~20スレッド
Pコア:1コア2スレッド
Eコア:1コア1スレッド
内蔵GPU(iGPU)
Iris Xe Graphics
Core i7:96EU
Core i5:80EU
UHD Xe Graphics
Core i3:64EU
TDP
末尾P:28W~64W
末尾U:15W~55W , 9W~29W
対応メモリDDR4、DDR5
発表時期Coreシリーズ1:2024年1月
第13世代:2023年1月
第12世代:2022年4月


Raptol Lake 、 Alder Lakeの主流モデル
CPU評価
Cinebench
R23 Multi
コアスレッドクロック
定格 – 最大
TDP内蔵GPU
PコアEコアコア計
Core i7-1370P
3.75
13159
681416
P:1.9 – 5.2 GHz
E:1.4 – 3.9 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 96EU
Core i7-1280P
3.75
11685
681416
P:1.8 – 4.8 GHz
E:1.3 – 3.6 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 96EU
Core i7-1360P
3.75
10997
481216
P:2.2 – 5.0 GHz
E:1.6 – 3.7 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 96EU
Core i5-1340P
4.0
10921
481216
P:1.9 – 4.6 GHz
E:1.4 – 3.4 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 80EU
Core 7 150U
4.0
9670
281012
P:1.8 – 5.4 GHz
E:1.2 – 4.0 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 96EU
Core i7-1260P
3.75
9603
481216
P:2.1 – 4.7 GHz
E:1.5 – 3.4 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 96EU
Core 5 120U
4.0
9110
281012
P:1.4 – 5.0 GHz
E:0.9 – 3.8 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 80EU
Core i7-1355U
3.75
9071
281012
P:1.7 – 5.0 GHz
E:1.2 – 3.7 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 96EU
Core i5-1335U
4.0
8349
281012
P:1.3 – 4.6 GHz
E:1.2 – 3.7 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 80EU
Core i5-1240P
4.0
8273
481216
P:1.2 – 4.4 GHz
E:1.7 – 3.3 GHz
28W~64WIris Xe Graphics 80EU
Core i7-1255U
3.75
7904
281012
P:1.7 – 4.7 GHz
E:1.2 – 3.5 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 96EU
Core i5-1235U
4.0
7634
281012
P:1.3 – 4.4 GHz
E:0.9 – 3.3 GHz
15W~55WIris Xe Graphics 80EU
Core i7-1250U
3.75
7402
281012
P:1.1 – 4.7 GHz
E:0.8 – 3.5 GHz
9W~29WIris Xe Graphics 96EU
(~950MHz)
Core i5-1230U
4.0
7264
281012
P:1.0 – 4.4 GHz
E:0.9 – 3.3 GHz
9W~29WIris Xe Graphics 80EU
(~850MHz)
Core 3 100U
3.5
6553
2468
P:1.2 – 4.7 GHz
E:0.9 – 3.3 GHz
15W~55WUHD Xe Graphics 64EU
Core i3-1315U
3.5
6187
2468
P:1.2 – 4.5 GHz
E:0.9 – 3.3 GHz
15W~55WUHD Xe Graphics 64EU
Core i3-1215U
3.5
5802
2468
P:1.2 – 4.4 GHz
E:0.9 – 3.3 GHz
15W~55WUHD Xe Graphics 64EU
参考:CPU-Monkey , notebookcheck , TopCPU


GPU性能(3DMark TimeSpy Graphics)
内蔵GPU(搭載CPU)スコア
Iris Xe 8コア(Core Ultra 7 155H 等)
3446
Iris Xe 7コア(Core Ultra 5 125H 等)
3108
Iris Xe 4コア(Core Ultra 7 165U 等)
1766
Iris Xe 96EU(Core i7-1355U 等)
1589
Iris Xe 80EU(Core i5-1335U 等)
1131
参考:3DMark , notebookcheck , TopCPU

おすすめモデル
  • 末尾P全般:1340P 1360P 等(性能コスパ性能重視)
  • Core i5の末尾U(安さ・コスパ重視)

Eコアが追加され、11世代以前よりもマルチスレッド性能が飛躍的に向上

第12世代Coreシリーズから、省スペースと低消費電力に特化したEコアが追加されました。その小型さから、従来のPコアよりも圧倒的に少ないスペースで多くのコアを搭載することが可能になりました。このEコアを大量追加することによりコア数が一気に増え、マルチスレッド性能が飛躍的に向上しました。

第11世代では省電力モデルでは4コアが最高でしたが、第12世代では最大14コア(6P+8E)となりました。1世代の差とは思えないほどの性能向上を果たし、今までは性能コスパで明らかに劣っていたRyzenとの差を一気に縮めることになりました。

2023年現在では第11世代Coreも市場でまだ少し見掛けられますが、性能差が圧倒的なので、よほど安値でない限りは第12,13世代を選ぶことをおすすめします。

ただし、内蔵GPUは第11世代と同じ「Xe」のため性能はほぼ同じです。Core i3のEU数が少し増えた点は変わりましたが、Core i5とCore i7はクロックがわずかに上昇しただけなので、性能はほとんど変わりません。そのため、相変わらず重いゲームや動画編集は厳しいため、GeForceなどの単体のGPU(ビデオカード)の搭載が推奨です。

しかし、第12世代からはメモリにDDR5が使えるようになり、高速なDDR5メモリ搭載時には内蔵GPUは大きめの性能向上も期待できると思いますので、軽めのゲームやFHD以下の動画編集くらいなら比較的快適に行える可能性もあります。

世代間による差は小さいため、特に気にしなくてもOK

モバイル版の「Alder Lake」と「Raptol Lake」は、コア数や機能性は基本同じで、性能差は小さいです。たとえば、Core i5-1235UとCore i5-1335Uの性能差は小さいです。ベンチマーク上は差が出ることもありますが、基本的にクロックによる差であり、コアの質自体は実はほとんど同じです。

そのため、同価格ならRaptol Lake(第13世代以降)の方が優先ですが、第12世代の方が安ければそちらを優先しても構いません。

コスパ重視ならU(TDP:15W~)がおすすめ

第12、13世代Coreの主流モデルは末尾U(TDP:15W~)末尾P(TDP:28W~)の二つがあります。

Core i5 / i7で見ると、末尾Uが10コア12スレッド(2P + 8Eコア)で、末尾Pが12コア16スレッド(4P + 8Eコア)という感じになっています。

どちらもコスパは良くておすすめですが、末尾Uの方がコア数が少なく、価格が安い傾向があるため、コスパ重視なら末尾Uをおすすめします。性能も軽い処理なら十分な性能があります。

Pコア数で勝る末尾Pはマルチスレッド性能が少し高いですが、電力制限がネックとなるため、思ったほどは末尾Uに対して性能の優位性も感じられなかったりします。

処理性能重視の場合や、CPU以外の部分で優位性が感じられる場合、末尾Uと同額の場合などには優先されると思いますが、安さとコスパを重視するなら末尾Uの方が有力になる可能性が高いと思います。

Core i3も性能が底上げされ、安さ重視なら有力に

第12世代Coreから全モデルにEコアが追加されて性能が底上げされた影響で、Core i3も前世代までのような低性能感が一気に無くなっているのもポイントです。

前世代までのCore i3は「2コアCPU」という低性能感が拭えない仕様でしたが、第12世代からは末尾Uでも6コア8スレッドなので、軽い処理には十分な処理性能を持つようになりました。

Core i3モデルは標準のメモリ、SSDの容量が少ないことが多いのがネックではありますが、軽作業前提で予算を節約するPCを求めている場合には、おすすめできるCPUとなっています。

ベンチマークスコア

上述でもベンチマークスコアを載せていましたが、その他の項目なども含めて参考に載せています。RyzenだけでなくCoreの主流モデルも載せています。オレンジ色のバーがRyzenで、青色のバーがCoreとなっています。

マルチコア性能

Cinebench R23 Multi
CPUスコア
Ryzen AI 9 HX 370
22246
Ryzen AI 9 365
19189
Core Ultra 7 155H
14654
Ryzen 7 8840U
12972
Ryzen 7 7840U
12884
Core Ultra 7 258V
12308
Core Ultra 5 135H
12173
Core Ultra 5 125H
11293
Core i7-1360P
10997
Core i5-1340P
10921
Core Ultra 7 165U
10797
Ryzen 5 8640U
10675
Ryzen 5 7640U
10675
Ryzen 7 6800U
10297
Ryzen 7 7735U
10085
Ryzen 7 7730U
9908
Ryzen 5 8540U
9632
Core 7 150U
9670
Core i7-1260P
9603
Core 5 120U
9114
Core i7-1355U
9071
Core i5-1335U
8349
Core Ultra 5 125U
8320
Core i5-1240P
8273
Ryzen 5 7530U
8081
Ryzen 5 6600U
8018
Core i7-1255U
7904
Core i5-1235U
7634
Core 3 100U
6553
Core i3-1315U
6187
Core i3-1215U
5802
参考:CPU-Monkey , notebookcheck , TopCPU

シングルコア性能

Cinebench R23 Single
CPUスコア
Core Ultra 7 258V
1991
Ryzen AI 9 HX 370
1953
Ryzen AI 9 365
1926
Core 7 150U
1904
Core 5 120U
1881
Core i7-1360P
1821
Core i7-1355U
1794
Core i7-1260P
1778
Core i7-1255U
1775
Core 3 100U
1760
Ryzen 7 8840U
1755
Core Ultra 7 155H
1749
Ryzen 5 8540U
1743
Ryzen 5 8640U
1719
Core i5-1340P
1710
Core Ultra 5 165U
1706
Core Ultra 5 135H
1692
Core i5-1335U
1685
Core Ultra 5 125U
1679
Ryzen 7 7840U
1677
Core Ultra 5 125H
1664
Core i5-1240P
1663
Core i3-1315U
1663
Core i5-1235U
1649
Core i3-1215U
1633
Ryzen 5 7640U
1552
Ryzen 7 7735U
1490
Ryzen 7 6800U
1480
Ryzen 7 7730U
1442
Ryzen 5 7530U
1428
Ryzen 5 6600U
1425
参考:CPU-Monkey , notebookcheck , TopCPU

内蔵GPU性能(ゲーム)

Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
搭載CPUの例
スコア
Arc 140V (8コア)
Core Ultra 7 258V 等
4118
Radeon 890M
Ryzen AI 9 HX 370 等
3581
Iris Xe 8コア (128EU)
Core Ultra 7 155H 等
3446
Radeon 880M
Ryzen AI 9 365 等
3402
Iris Xe 7コア (112EU)
Core Ultra 5 125H 等
3108
Radeon 780M
Ryzen 7 8840U 等
2805
Radeon 680M
Ryzen 7 7735U 等
2400
Radeon 760M
Ryzen 5 8640U 等
2116
Iris Xe 4コア (64EU)
Core Ultra 7 165U 等
1766
Iris Xe G7 96EU (~1400MHz)
Core i7-1260P
1756
Iris Xe G7 96EU (~1300MHz)
Core i7-1165G7
1589
Radeon 660M
Ryzen 5 6600U
1558
Radeon 740M
Ryzen 5 8540U 等
1534
Iris Xe G7 96EU(-950MHz)
Core i7-1250U
1270
Iris Xe G7 80EU(-1300MHz)
Core i5-1240P
1244
Radeon RX Vega 8
Ryzen 7 5700U
1173
Radeon RX Vega 7
Ryzen 5 5500U
1054
UHD Xe 64EU
Core i3-1220P
1049
Iris Xe G7 80EU(-850MHz)
Core i5-1230U
941
Radeon RX Vega 6
Ryzen 3 5300U
839
UHD G4 48EU
Core i3-1115G4
646
参考:3DMark , CPU-Monkey , notebookcheck

電力効率(CPU)

Cinebench R15 Multi 外部モニター
CPU
スコア
Ryzen 7 7840U
48.0
Ryzen 7 6800U
40.2
Core Ultra 7 155H
31.5
Core Ultra 5 125H
30.0
Ryzen 5 6600U
29.9
Ryzen 7 7730U
29.0
Ryzen 5 7530U
28.8
Core i7-1260P
28.4
Core i5-1240P
28.4
Core i7-1355U
27.7
Core i7-1360P
25.5
Core i7-1255U
25.0
Core i5-1235U
24.4
Core i3-1215U
17.4
参考:notebookcheck

グラフを見ても分かる通り、特にマルチスレッド性能が第12世代以降と第11世代とで圧倒的に差がある点に要注意です。Core i7などの肩書きに惑わされず、世代をちゃんと確認するようにしましょう。

余談にはなりますが、上記の表見ても分かる通り、内蔵GPU性能および電力効率では最新のRyzen(Zen 3+以降)の方が有利です。各アプリケーションの対応などを考えるとCoreの方が魅力だとは思いますが、マルチに活躍できるモバイルPC向けのCPUとしては2023年時点ではRyzenの方が一段上の印象です。

ただし、Ryzenは内蔵GPUがVegaの場合には、AV1映像コーデックのデコード機能がないため、Vega搭載のRyzenよりはCoreの方がおすすめです。

結局どれが良い?【選ぶ際の優先順位】

最後に、「結局どれを選ぶのが良いか」という点について筆者の主観を載せておこうと思います。予算や製品の価格、その他の仕様などによって前後する可能性も高いため、参考までにご覧ください。対象は省電力モデル(TDP PL1:15~28W)で、ゲーミングノートやクリエイターノートなどは含まない場合という点に留意してご覧ください。

対象は「Meteor Lake」と「Raptol Lake」のCoreです(2024年10月時点の主流シリーズ)。

Coreの優先順位の目安(2024年10月時点)

内蔵GPU重視

GPU性能
Core Ultra(256V以降)、Core Ultra(238V以下)
Core Ultra(135H以降)、Core Ultra(125H以下)
Core i7(U/P)、Core 7 100U
Core i5(U/P)、Core 5 100U
Core i3 / Core 3 100U
※同列内は左が優先

CPUコスパ重視

CPU性能コスパ
Core i5 / Core 5 100U、Core i5(P)
Core i7(P)、Core i7 / Core 7 100U
Core Ultra 100U、Core Ultra 100H
Core i3 / Core 3 100U、Core Ultra 200V
※同列内は左が優先

総合性能重視

総合性能
Core Ultra 7/9 200V、Core Ultra 5 200V
Core Ultra 7 100H
Core Ultra 5 100H
Core i7(P)、Core i5(P)
Core i7 / Core 7 100U、Core i5 / Core 5 100U
Core i3/Core 3 100U
※同列内は左が優先

ざっくりまとめるとこんな感じです。ただ、実際にはどの要素も価格を考慮しつつの判断になると思うので、参考程度に見てください。


といった感じで記事は以上になります。必要があれば色々と修正・加筆を行う予定なので、何か気になった点やこうした方が良いなどあればコメントで教えて頂けると幸いです。

2 COMMENTS

第12世代Core i5(P)と第12世代Core i7(U)ではどちらの方がよいでしょうか?
性能面はCore i5(P)の方がコア数が多く、また価格面もCore i5(P)の方がi7やRyzen7と比較して安い印象を受けます。

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とねりん:管理人

内蔵GPU(グラフィック)の性能は第12世代のCore i7-Uの方が少し高いですが、CPUとしての処理性能はCore i5-Pの方が少し高いです。
性能的には大差はないですね。

Core i5はメモリやSSDの容量がCore i7の標準より低いことが多いので、そこも考慮しての価格次第での選択になると思います。

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