【ノートPC向け】「Core i」と「Ryzen」の違いを比較【解説】

IntelとAMDの主流CPUシリーズのCore i シリーズRyzenシリーズの違いについてざっくり解説しています。本記事ではノートPC向けの最新世代(2021年6月時点)のものを対象としています。

注意
  • 掲載の情報は記事更新時点(2021年6月2日)でのものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
  • 記事更新時点(2021年6月2日)の Ryzenの最新世代は Ryzen 5000(第4世代)ですが、まだ搭載製品が少ないため前世代のRyzen 4000(第3世代)も含めて扱っています。

はじめに

ノートPC向けの最新世代CPUが対象

本記事はPCの主流CPUの、IntelのCore i シリーズとAMDのRyzenシリーズ各種のノートPC向けの最新世代のものを対象としています。
現在(2021年6月)の最新は「Core i」は第11世代で、「Ryzen」は第4世代(5000番台)です。ただし、Ryzenは5000シリーズについては一部が前世代と同じアーキテクチャ採用な上に、記事更新時点ではまだあまり普及していないため、前世代のRyzen 4000シリーズも主流CPUとして扱っています。

主流の省電力モデル(TDP:15W)をメインに見ていきます

ノートPC向けのCore iおよびRyzenには、大きく分けて主流の省電力モデル(TDP:15W)超省電力モデル(TDP:10W未満)性能重視モデル(TDP:35W~)の3種類がありますが、本記事でメインで扱うのは「主流の省電力モデル(TDP:15W)」です。

他の2モデルについては記事後半に補足として付け足す形にしています。

超ざっくり比較

まずは、細かい数値を見ていく前に「Core i」「Ryzen」の各性能についてざっくりとした比較を載せています。「なんとなく各シリーズの特徴を掴めれば」といった感じのかなりざっくりとした比較なので、飛ばしても構いません。通常のTDPが15Wのモデルが対象です。

Core i 第11世代 Ryzen 4000 / 5000
マルチ性能
(コア数)

(2~4コア)

(4~8コア)
シングル性能
(Cinebench R20)

(504~567)

(424~553)
価格
内蔵GPU
(3DMark Time Spy Graphics)

(646~1589)

(733~1173)
Wi-Fi 6 対応率
(2021年3月時点の筆者調べ)
対応率:約89% 対応率:約74%
Thunderboltへの対応 ×
用途と相性
Core i 第11世代 Ryzen 4000 / 5000
軽作業
(Web・Office等)

下位モデルでも十分な性能ですが、Core i3だけは2コアなのでマルチタスクがやや苦手です。

下位モデルでも十分な性能です。
静止画の編集
(RAW現像等含む)

Core i3は2コアなので、RAW現像等のマルチスレッド性能が重要な処理では少し不安があります。Core i5以上なら必要十分な性能になると思います。

最低でも4コアで、Core i5よりも比較的安価なRyzen 5でも6コアあるので、RAW現像も十分こなせます。
動画編集
解像度の低い動画(FHD以下)の簡単な編集ならできますが、内蔵GPUでは4Kなどの高画質動画の編集は厳しいです(データ量の多い動画では専用のビデオメモリがある事が重要)。4Kなどの高画質動画編集をしたい場合には外部GPU搭載機をおすすめします。
一応、上位モデルの「Xe Graphics G7」搭載のモデルなら一応4Kの編集もできないことは無いと思いますが、処理に時間は掛かります。
×
解像度の低い動画(FHD以下)の簡単な編集ならできますが、内蔵GPUでは4Kなどの高画質動画の編集は厳しいです(データ量の多い動画では専用のビデオメモリがある事が重要)。4Kなどの高画質動画編集をしたい場合には外部GPU搭載機をおすすめします。
また、Ryzen APU(内蔵GPU使用)はAdobe Premiere等の一部の動画編集ソフトの4K等の高解像度動画の書き出しが遅い(要するに相性が良くない)点があるため注意です。外部GPUを利用する場合にはRyzenでも問題ないです。
ゲーム
内蔵にしては優れた性能のGPUを搭載しているため、軽いゲームなら快適に動くはずです。上位の「Xe Graphics G7」搭載モデルなら多少重いゲームでも低設定なら割と動かせます。
予算的に厳しければ内蔵GPUも無くはない選択肢に出来るレベルだとは思いますが、やはりがっつりゲームをやりたいならゲーミングPCをおすすめします。

内蔵にしては優れた性能のGPUを搭載しているため、軽いゲームなら快適に動くはずです。重いゲームも上位モデルなら低fpsで動作させることは可能だと思いますが、快適とは言えないと思います。
重めのゲームをやりたいならゲーミングPCをおすすめします。

※画像や動画編集については機種のディスプレイ性能(色域や解像度)も重要なので注意。また、各処理の性能はソフトによっても多少異なるため、上記は一般的な見方として参考までにご覧ください


まずは処理性能面のざっくり比較です。Core iはシングルスレッド性能と内蔵グラフィック性能で少し有利で、Ryzenはマルチスレッド性能で有利です。

ざっくり性能比較(第11世代Core iと第3,4世代Ryzen)
  Core i
Ryzen
マルチスレッド性能
(コア数)

(2~4コア)

(4~8コア)
シングルスレッド性能
(Cinebench R20)

(504~567)

(424~553)
内蔵グラフィック性能
(3DMark Time Spy Graphics)

(646~1589)

(733~1173)

※同モデルナンバー内での比較(Core i7とRyzen 7等)
※2021年3月現在で最新のCPU

  • シングルスレッド性能
    1スレッド(1コア)あたりの性能です。シングルスレッド性能が高いと、軽い処理の速さ(レスポンス)が良くなる他、基本的にどのような用途でも有利に働くため非常に重要です。
  • マルチスレッド性能
    CPUの全コア稼働時の処理性能です。マルチスレッド性能が高いと、動画エンコードやレンダリングなどの膨大な処理を必要とする作業で特に有利になる他、複数の処理を並行して行う場合などでも有利です。
どちらも良さがある

シングルスレッド性能と内蔵グラフィック性能はCore iの方がやや有利で、マルチスレッド性能はRyzenが有利です。ただし、グラフィック処理に関してはCPUのマルチスレッド性能が重要なものもあるので、そういう処理の場合にはRyzenの方がやや有利になります。

双方良さがあり、一概にどちらが良いとは言えない感じです。総合的に見て良いバランスだと思います。

価格についてのざっくり比較です。全体的にRyzen搭載機の方が価格が少し安くなっています。

価格.comで各CPU搭載のノートPCの最安値を絞り込み検索した結果が下記になります。メモリが最低8GB、ストレージがSSDが256GB以上あるものです。

最安値比較(第11世代Core iと第3,4世代Ryzen)
  Core i Ryzen
Core i7 / Ryzen 7
82,042円~
66,202円~
Core i5 / Ryzen 5
54,980円~
50,362円~
Core i3 / Ryzen 3
44,980円~
59,000円~
(製品数少ない)
Ryzenの方が少し安い

搭載PCの価格はRyzenの方が少し安いです。CPUにも以外にも違いあるので厳正な比較ではありませんが、最安値では7モデルで約16,000円、5モデルで約5,000円ほどの価格差がありました。特に、Ryzen 7のお得感がかなり際立っています。

内蔵GPU性能の比較です。ゲームのベンチマークテストでの性能では基本的にCore iが少し有利です。ゲーム以外では違う結果となる可能性もある点や、CPUのマルチスレッド性能も大きく求められるゲームではRyzenの方がやや有利となる可能性がある点に注意してください。またこれは共通ですが、CPUの内蔵GPUはメインメモリの速度の影響も大きく受けます。

動画編集については、CoreもRyzenも内蔵にしては優れた性能のGPUを持つため、FHD(1920×1080)以下の解像度のものなら簡単な処理はこなすことが可能です。しかし、4Kのようなデータ量の多い高解像度の動画では、専用のビデオメモリがあるということが重要なので、内蔵GPUでは厳しいことに注意してください。

3D Mark Time Spy Graphics のスコアです。

Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
(搭載CPUの例)
スコア
Iris Xe Graphics G7 (96EU)
(Core i7-1165G7)
1589
Radeon RX Vega 8
(Ryzen 7 4800U / 5700U 等)
1173
Iris Xe Graphics G7 (80EU)
(Core i5-1135G7)
1131
Radeon RX Vega 7
(Ryzen 7 4700U / Ryzen 5 5500U)
1045
Radeon RX Vega 6
(Ryzen 5 4500U)
854
Radeon RX Vega 5
(Ryzen 3 4300U)
733
UHD Graphics G4
(Core i3-1115G4)
646
Core i(Xe)の方が少し有利だけど、どちらも高性能

GPUの性能はCore i側の方が少し有利で、特に Core i7搭載のXe Graphics G7が頭一つ抜ける形になっています。このXe Graphics G7は重めのゲームでも解像度1920×1080(フルHD)の低設定なら30~60fpsくらいで動作できるくらいの性能を持っています。以前は重いゲームは外部GPU(ビデオカード)が無いとまともなプレイは不可能というのが普通だったので、これは凄い進歩です。未だに外部GPUの需要が大きい点は変わりませんが、雰囲気を知るためにプレイするというのが可能になっているのは地味に大きいです。

対する Ryzenの内蔵GPUの性能はやや劣りますが、こちらも高性能です。また、ゲームを含むグラフィック処理の中には、CPUのマルチスレッド性能が重要になるものもあるので、その場合にはRyzenが有利になる場合もあります。

総合的に見て、やはりGPU自体の性能が高いCore iの方がやや有利ではあると思うものの、両方高性能です。

処理性能には直接関係ない部分でもやや違いがあります。特に需要の大きそうな2つだけ紹介しています。

Wi-Fi 6

Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)は、Wi-Fiの最新版です。2021年現在ではまだ一つ前のWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)の方が一般的ですが、徐々にWi-Fi 6が普及しつつあります。Wi-Fi 6では通信速度の向上だけでなく、スリープ時の電力消費を抑える技術遅延の減少など、多くの利点が増えたので、新しく端末を買うなら対応しておいて損はない部分です。

第11世代のCore iではチップセット(PCH)レベルでWi-Fi 6に対応しているため、対応が比較的容易なのに対し、Ryzen(4000)では従来のようにLANカード側で対応する必要があるため、採用率が若干低いです。記事執筆時(2021年3月25日)に価格.comの掲載製品を基に調べたところ、搭載製品でのWi-Fi 6の対応率は、第11世代Core iは約89%、Ryzenは約74%でした。特にRyzenの安価なモデルでは削減されていることも多いので、注意が必要です。

Thunderbolt

Thunderbolt は、USB Type-Cで利用できるオルタネートモードというもので利用できる技術の一つです。従来のUSB Type-Cでは、基本的にUSB通信と電源に関する接続しかできませんが、オルタネートモードでは本来対応している以外の通信が利用できるようになります。具体的には、超高速な通信や大容量の電力移動が主です。下記にThunderbolt対応で出来るようになることの一部をざっとまとめています。

Thunderboltの便利な機能ざっくり(一部)
  • 超高速な通信
  • 超高画質な映像の入出力(4K等)
  • eGPU接続(外付けの単体GPU)

このThunderboltですが、第11世代のCore iシリーズではCPU自体に機能が内蔵されているのに対し、Ryzenでは対応がされていません。

CPUだけでなくPC本体側でも対応が必要なので、Core iでも対応率が100%という訳でなく、記事執筆時(2021年3月25日)に価格.comの掲載製品を基に調べたところでは約44%程度でしたが、Ryzenでは0%でした。

Thunderboltに対応していなくても、USBの基本機能は使えるので、多くの一般の人は困ることはないと思いますが、Thunderboltがもし使いたい場合には必然的にCore iシリーズ対応端末を選ぶ必要があります。

各モデルごとの比較【最新世代】

Core i シリーズとRyzen シリーズは、Core i7 と Ryzen 7といったように、各モデルナンバーごとに対抗製品が存在します。そのため、各対抗製品同士を比較することによって、両者の差をより分かり易く知る事ができます。

以下から最新シリーズ(第11世代のCore iと第3,4世代Ryzen)の主流製品をざっくりと比較しながら見ていきます。


Core i7 と Ryzen 7

Core i7およびRyzen 7はモバイル版の主流CPUにおける上級モデルです。両者高い性能を持っています。

その代わりに、搭載製品の価格は高いです。高級機を中心に採用されます。搭載製品の価格は2021年6月時点でCore i7は約9万円~、Ryzen 7は約7万円~といった感じになっていますが、主流の最高モデルということもあり、10万円を大幅に超えるような製品も珍しくありません。

第11世代「Core i7」と第3,4世代「Ryzen 7」
Core i7(第11世代)
マルチスレッド性能
(4.0)
シングルスレッド性能
(4.5)
内蔵GPU性能
(5.0)
価格
(1.5)

Ryzen 7(第3,4世代)
マルチスレッド性能
(5.0)
シングルスレッド性能
(4.0)
内蔵GPU性能
(4.5)
価格
(2.5)

Core i7とRyzen 7の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU PassMark
スコア
コア/
スレッド
動作クロック
(最大)
TDP 内蔵GPU
Ryzen 7 5800U 19276 8/16 1.9GHz(4.4GHz) 15W Radeon RX Vega 8
Ryzen 7 5700U 17467 8/16 1.8GHz(4.3GHz) 15W Radeon RX Vega 8
Ryzen 7 4800U 17343 8/16 1.8GHz(4.2GHz) 15W Radeon RX Vega 8
Ryzen 7 4700U 14024 8/8 2.0GHz(4.1GHz) 15W Radeon RX Vega 7
Core i7-1185G7 11500 4/8 3.0GHz(4.8GHz) 15W Xe Graphics G7(96EU)
Core i7-1165G7 10989 4/8 2.8GHz(4.7GHz) 15W Xe Graphics G7(96EU)
Cinebench R20 Single
CPU名称 スコア
Core i7-1185G7
567
Core i7-1165G7
563
Ryzen 7 5800U
553
Ryzen 7 5700U
492
Ryzen 7 4800U
476
Ryzen 7 4700U
465
Cinebench R20 Multi
CPU名称 スコア
Ryzen 7 5800U
3479
Ryzen 7 5700U
3378
Ryzen 7 4800U
3259
Ryzen 7 4700U
2624
Core i7-1185G7
2214
Core i7-1165G7
1999
3D Mark Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
(搭載CPUの例)
スコア
Iris Xe Graphics G7 (96EU)
(Core i7-1165G7,1185G7)
1589
Radeon RX Vega 8
(Ryzen 7 4800U,5700U 等)
1173
Radeon RX Vega 7
(Ryzen 7 4700U / Ryzen 5 5500U)
1045

Core i7は4コア、Ryzen 7は8コアという仕様になっているため、マルチスレッド性能はRyzen 7の方が大幅に高いです。そのため、高負荷な処理を行うならRyzen 7の方が基本的に有利になります。ただし、Core i7の方がシングルスレッド性能はやや高いです。そのため、そこまで負荷の大きくない処理やシングルスレッド性能が重要な処理ではCore i7の方がやや有利になります。

内蔵GPUの処理性能は、Core i7搭載のXe Graphics G7(96EU)の方が高いです。2021年3月時点では、内蔵GPUでは頭一つ抜けた処理性能を発揮しています。ゲームでいえば、比較的重いゲームですらそこそこ動かせるレベルです。各種ソフトへの最適化もIntelの方が優れている印象もあるので、内蔵GPUはCore i7の方が大きめに優位という印象です。とはいえ、RyzenのRadeon RX Vegaも内蔵としては高い処理性能を持ち、コアの数ではRyzenの方が大幅に優位なので、グラフィック処理でもマルチスレッド性能が重要なものではRyzen側が優位に立つケースもあります。

棲み分けは出来ている印象ですが、やはりコア数差とRyzen 7の方がやや安いことなどの面を考慮すると、コスパ的にはRyzen 7の方がやや有利という印象です。


Core i5 と Ryzen 5

Core i5およびRyzen 5はモバイル版主流CPUにおける中級モデルです。いわゆるミドルレンジに区分されます。

搭載製品は幅が広く、価格重視の安価なものから、コスパやパフォーマンス重視のやや高価なものまでさまざまな製品が発売されます。また、中級とはいっても現在では十分に高性能で、「可・不可」でいえば不可能な事はないレベルの高性能さです。数年前のデスクトップ版のハイエンドCPUに匹敵するレベルの性能を持っています。

第11世代「Core i5」と第3世代「Ryzen 5」
Core i5(第11世代)
マルチスレッド性能
(3.5)
シングルスレッド性能
(4.5)
内蔵GPU性能
(4.0)
価格
(3.0)
Ryzen 5(第3,4世代)
マルチスレッド性能
(4.0)
シングルスレッド性能
(3.5)
内蔵GPU性能
(3.5)
価格
(3.5)

Core i5とRyzen 5の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU PassMark
スコア
コア/
スレッド
動作クロック
(最大)
TDP 内蔵GPU
Ryzen 5 5600U 14784 6/12 2.3GHz(4.2GHz) 15W Radeon RX Vega 7
Ryzen 5 5500U 13885 6/12 2.1GHz(4.0GHz) 15W Radeon RX Vega 7
Ryzen 5 4600U 13729 6/12 2.1GHz(4.0GHz) 15W Radeon RX Vega 6
Ryzen 5 4500U 11120 6/6 2.3GHz(4.0GHz) 15W Radeon RX Vega 6
Core i5-1135G7 9989 4/8 2.4GHz(4.2GHz) 15W Xe Graphics G7(80EU)
Cinebench R20 Single
CPU名称 スコア
Ryzen 5 5600U
536
Core i5-1135G7
513
Ryzen 5 5500U
458
Ryzen 5 4600U
447
Ryzen 5 4500U
447
3D Mark Cinebench R20 Multi
CPU名称 スコア
Ryzen 5 5600U
3067
Ryzen 5 5500U
2616
Ryzen 5 4600U
2544
Ryzen 5 4500U
2219
Core i5-1135G7
1784
3D Mark Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
(搭載CPUの例)
スコア
Iris Xe Graphics G7 (80EU)
(Core i5-1135G7)
1131
Radeon RX Vega 7
(Ryzen 5 5500U等)
1054
Radeon RX Vega 6
(Ryzen 5 4500U等)
854

Core i5は4コア、Ryzen 5は6コアという仕様のため、マルチスレッド性能はRyzen 5の方が高いです。高負荷な処理を行うならRyzen 5の方が基本的に有利になります。ただし、Core i5の方がシングルスレッド性能はやや高いです。そのため、そこまで負荷の大きくない処理やシングルスレッド性能が重要な処理ではCore i5の方が有利になります。

ちなみに、第11世代のCore i5は4コア8スレッドという仕様ですが、これは同世代のCore i7と同じ仕様です。後述する内蔵グラフィック性能などでは多少差がありますが、実はCPUの処理性能は大きく変わりません。CPU処理性能から見たコスパはCore i5の方が良いです。

また、中級モデルであるCore i5とRyzen 5ですが、その処理性能は十分高負荷な作業にも耐えうるレベルの高性能さです。なのですが、メモリが標準で8GBしか搭載されないケースが多いため、標準で16GBメモリが多いCore i7やRyzen 7が優先されやすいです。近年では薄型・小型化が進んでいる影響もあり、メモリの増設ができない機種が多いことも痛いです。メモリ容量を大して必要としない処理であれば問題ないですが、大容量のメモリが欲しいなら消去法で7となってしまいます。

次にCore i5とRyzen 5の内蔵GPUの処理性能は、Core i5搭載のXe Graphics G7(80EU)の方がやや高いです。Core i7搭載のものよりは実行ユニット(EU)が減らされている上に最大クロックも引き下げられているために性能は大きめに低下していますが、それでも性能自体は十分に高性能です。前世代の最高性能GPUであるIris Plus Graphics G7(Core i7-1065G7等に搭載)を大きく上回ります。ただし、Ryzen 5のRadeon RX Vegaも内蔵にしては高性能なGPUを持っており、Core i7より大きく性能が低下したCore i5との差はそこまで大きくない印象です。

搭載PCの価格がRyzen 5の方が全体的に少し安いため、コスパはRyzen 5の方がわずかに有利な印象ですが、大した差はないので好みや用途で選ぶと良いと思います。


Core i3 と Ryzen 3

Core i3およびRyzen 3は主流CPUにおける下位モデルです。ただし、もっと低性能なCeleronやPentiumがあるため、最下層という訳ではなく、いわゆるミドルレンジ下位くらいに区分されます。搭載PCの価格は安く、安価な製品を中心に採用されます
価格の安さが魅力のモデルなので性能は高いとは言えないレベルですが、Web閲覧やOffice作業などの軽作業であれば十分な性能は持っています。その安価さのおかげで、特に重い作業をしないのであればコスパは悪くないです。

とはいえ、Core i5Ryzen 5との性能差が大きい割には価格差が意外と小さいため、「3を買うなら、少し予算をプラスして5を買った方がお得」という印象が強いため、人気は低めです。

第11世代「Core i3」と第3世代「Ryzen 3」
Core i3(第11世代)
マルチスレッド性能
(2.0)
シングルスレッド性能
(4.5)
内蔵GPU性能
(3.0)
価格
(4.5)
Ryzen 3(第3,4世代)
マルチスレッド性能
(3.0)
シングルスレッド性能
(3.0)
内蔵GPU性能
(3.0)
価格
(4.0)

Core i3とRyzen 3の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU PassMark
スコア
コア/
スレッド
動作クロック
(最大)
TDP 内蔵GPU
Ryzen 3 5400U 12367 4/8 2.6GHz(4.0GHz) 15W Radeon RX Vega 6
Ryzen 3 5300U 10642 4/8 2.6GHz(3.8GHz) 15W Radeon RX Vega 6
Ryzen 3 4300U 8046 4/4 2.7GHz(3.7GHz) 15W Radeon RX Vega 5
Core i3-1115G4 6422 2/4 3.0GHz(4.1GHz) 15W UHD Graphics G4
Cinebench R20 Single
CPU名称 スコア
Core i3-1115G4
504
Ryzen 3 5300U
441
Ryzen 3 4300U
424
Cinebench R20 Multi
CPU名称 スコア
Ryzen 3 5300U
2058
Ryzen 3 4300U
1501
Core i3-1115G4
961
Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
(搭載CPUの例)
スコア
Radeon RX Vega 5
(Ryzen 3 4300U)
733
UHD Graphics G4
(Core i3-1115G4)
646

Core i3は2コア、Ryzen 3は4コアという仕様です。コアの数が2倍も違うため、マルチスレッド性能はRyzen 3の方が大幅に高いです。高負荷な処理を前提としたモデルではありませんが、Ryzen 3ならある程度高負荷な処理にも対応できるのに対し、Core i3ではちょっと厳しいので注意が必要です。

ただし、シングルスレッド性能はCore i3の方がやや高いため、軽作業ではCore i3の方が少し有利になると言えます。とはいえ、2コアはさすがにきつい印象があるので、個人的には軽作業しか行わない場合でもRyzen 3の方をおすすめしたいです。

内蔵GPUですが、上位モデルと比べると、双方ともユニット数が少し削減されてしまってはいるものの、高画質な動画を観るくらいなら全く問題無いレベルです。軽いゲームにも対応できると思います。重いグラフィック処理は厳しいです。

総合的評価はRyzen 3の方が上です。ただし、Ryzen 3は搭載製品が2021年6月時点では少ないため、選択肢の幅が狭いです。Core i3の方が搭載製品が多く、安くて良い製品を選択することができる可能性が高いため、実際購入することを考えるとCore i3の方が良いかもしれません。

ただ、どちらにせよ、正直なところ予算を少しプラスしてCore i5かRyzen 5にした方がコスパは良いケースがほとんどだと思います。本当にサブ機として軽作業しかしないという場合には3が適しているケースもあるとは思いますが、ある程度長期間使うメイン機として購入するなら、より上位のモデルをおすすめします。

結局どっちが良い?

最後に「どっちが良いか?」という点について個人的なおすすめを述べています。あくまで参考までにご覧ください

マルチスレッド性能・コスパで選ぶならRyzen

全モデル共通でRyzenの方がマルチスレッド性能は大幅に高いです。高負荷なマルチスレッド処理を前提とするならRyzenの方が適しています。また、搭載機の価格も全体的にRyzenの方が少し安いため、コスパでもRyzenの方が有利です

特に、Ryzen 7搭載機の価格は7~8万円台のものも結構あって、上位モデルとは思えないほど安くてコスパが良い製品が多くて魅力的です。

ただし、10万円を超えるような高級機ではRyzenよりもCore i採用機の方が多い傾向があります。少ない選択肢からRyzenを選ぶよりは、多い選択肢からCore iを選んだ方がお得になることも多いと思うので、高級機が欲しい場合にはコスパ重視でもCore iも検討すると良いです。

内蔵GPU性能やシングルスレッド性能重視ならCore i

内蔵GPU性能とシングルスレッド性能は、Core iの方が高いです。マルチスレッド性能差ほど大きな差ではありませんが、汎用性や安定性を高める部分なので個人的評価は高いです。グラフィック処理に関してはRyzenが有利になるケースもありますが、最適化の関係でIntelの内蔵GPUの方が安定している印象もあるため、総合的に見てやはりCore iの方が優位だと個人的に思っています。

特にCore i7の内蔵GPUのXe Graphics G7(96EU)は、重いゲームですらある程度動かせるレベルの高性能さです。さすがにゲーミングノートPC等のビデオカード搭載機の性能には大きく負けますが、従来なら雰囲気や使用感を知るために実際に起動して確認することすら無理だったのが可能になっているのは凄く大きいと思います。

その他のモデル

上述の主流の省電力モデル以外のモデルにも、凄くざっくりと触れています。

性能重視モデル(TDP:35W~)

良い点
  • 処理性能が高い
悪い点
  • 消費電力が多い(バッテリー持続時間も短くなる)
  • 発熱が多い
  • 発熱処理のため、PCが大型化する傾向がある
  • 価格が高い(ビデオカード搭載機が中心のため)

ゲーミングノートPCによく採用されるのが性能重視モデルです。モバイル版ではCPU名の末尾にHが付く事が特徴です(Core i / Ryzen 共通)。

主流モデルのTDPが15Wなのに対し、性能重視モデルはTDPが35W以上となっており、高負荷時の消費電力と発熱が大幅に増加しています。より多い電力を使えるようにしたおかげで性能を引き上げているモデルになります。そのため、やや大きめの冷却ファンなどを搭載することが前提となるため、搭載機はやや大型化してしまう傾向があります。

基本的には処理性能が高い以外には良い点が無く、デメリットである消費電力や発熱の増加がモバイル端末ではかなり痛いため、どうしても持ち運んで重いゲームをしたいという人向けだと思います。

性能重視モデルの一部を表に簡単にまとめています。Core iの第11世代とRyzen 5000の性能重視モデルはまだ数が少ないので、それぞれ前世代のものも含めて載せています。使える電力が多いと電力効率の良い Ryzenの7nmプロセスが有利なのか、性能もコスパもRyzenが有利です。また、ビデオカードが搭載されることが基本なので、内蔵GPU性能はあまり重視されません。

CPU名称 PassMark
コア
スレ
ッド
TDP
定格
クロック
最大
クロック
Core i9-11980HK
24929
8 16 45W 2.6GHz 5.0GHz
Ryzen 9 5900HX
24083
8 16 45W 3.3GHz 4.6GHz
Ryzen 9 5980HS
24069
8 16 35W 3.0GHz 4.8GHz
Core i7-11850H
23609
8 16 45W 2.5GHz 4.8GHz
Ryzen 9 5900HS
23057
8 16 35W 3.3GHz 4.6GHz
Core i7-11800H
22135
8 16 45W 2.3GHz 4.6GHz
Ryzen 7 5800H
21443
8 16 45W 3.2GHz 4.4GHz
Ryzen 9 4900H
20587
8 16 45W 3.3GHz 4.4GHz
Ryzen 9 4900HS
19874
8 16 35W 3.0GHz 4.3GHz
Ryzen 7 4800H
19217
8 16 45W 3.0GHz 4.2GHz
Ryzen 7 4800HS
18808
8 16 35W 2.9GHz 4.2GHz
Core i9-10980HK
17249
8 16 45W 2.4GHz 5.3GHz
Core i9-10885H
16305
8 16 45W 2.3GHz 5.3GHz
Core i7-10870H
16080
8 16 45W 2.2GHz 5.0GHz
Core i7-10875H
15999
8 16 45W 2.3GHz 5.1GHz
Ryzen 5 4600H
15121
6 12 45W 3.0GHz 4.3GHz
Ryzen 5 4600HS
14999
6 12 35W 3.0GHz 4.0GHz
Core i7-11375H
13285
4 8 35W 3.3GHz 5.0GHz
Core i7-11370H
13010
4 8 35W 3.3GHz 4.8GHz
Core i7-10750H
12879
6 12 45W 2.6GHz 5.0GHz
Core i5-10400H
8939
4 8 45W 2.6GHz 4.6GHz
Core i5-10300H
8522
4 8 45W 2.5GHz 4.5GHz

超省電力モデル(TDP:~10W)

良い点
  • 消費電力が少ない
  • 発熱が少なく、ファンレスにしやすい
悪い点
  • 処理性能が低い
  • 高負荷時にすぐにクロックが下がってしまう
  • 最大性能が低いのに、価格は安くない

薄型軽量のPCやタブレットに適しているのが、TDPが10W未満の超省電力モデルです。

主流モデルのTDPが15Wなのに対し、超省電力モデルのTDPは10W未満となっており、消費電力と発熱が抑えられています。そのおかげで、搭載する冷却用のファンを小型化することができ、ファンレス運用も他モデルより比較的容易になっています。消費電力が少ないことにより搭載するバッテリー容量も少なくすることが出来る点も、軽量化にプラス要素として働きます。

ただし、電力制限がきつくなっているために処理性能は低くなっており、高負荷な作業を前提とする場合には向きません。最新の上位モデルのものなら、チップの性能自体はそれなりに高負荷な作業にも耐えうるものですが、処理が長い時間になる場合にはサーマルスロットリングというCPUの温度が規定値より高くなった場合にクロックを急激に下げて冷却を図る機能が頻発する可能性が高く、思ったより処理に時間が掛かったり、動作が不安定になる可能性があるため注意が必要です。

また、一見モバイル端末に非常に適しているようにも見える本モデルですが、CPUの最大性能が低いにも関わらず、CPUの価格がTDPが15Wのモデルと基本ほぼ変わらないために採用例は少なめです。このモデルを採用するくらいなら、メーカー側でTDPが15Wのモデルの電力制限をきつくして使った方がコスパが良く、使い勝手も良いと考えてられていると思われます。

超省電力モデルの一部を表に簡単にまとめています。Ryzenには該当モデルが記事更新時点(2021年3月)では存在しないようなので、Core iのみです。数が非常に少ないので、少し前の世代のモデルやCore iより下位のモデルも一部載せています。

CPU名称 PassMark
コア
スレ
ッド
TDP
定格
クロック
最大
クロック
Core i7-1160G7
10997
4 8 9W 2.1GHz 4.4GHz
Core i5-1130G7
10482
4 8 9W 1.8GHz 4.0GHz
Core i7-10510Y
5623
4 8 7W 1.2GHz 4.5GHz
Core i5-10210Y
4900
4 8 7W 1.0GHz 4.0GHz
Core i3-10110Y
3639
2 4 7W 1.0GHz 4.0GHz
Core i5-8200Y
3070
2 4 5W 1.3GHz 3.9GHz
Core m3-8100Y
2898
2 4 5W 1.1GHz 3.4GHz
Pentium Silver N5030
2707
4 4 6W 1.1GHz 3.1GHz
Pentium Silver N5000
2594
4 4 6W 1.1GHz 2.7GHz
Celeron N4100
2463
4 4 6W 1.1GHz 2.4GHz

それでは、内容はここまでとなります。ご覧いただきありがとうございました。

性能スコアなどの参考

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