【最新版】ノートPC向け「Core」と「Ryzen」の違いを比較

IntelとAMDの主流CPUシリーズの「Coreシリーズ」と「Ryzenシリーズ」ざっくり比較・解説しています。ノートPC向けの最新と1つ前の世代(2024年2月時点)のものを対象としています。

※Ryzen 8000シリーズと新アーキテクチャ「Meteor Lake」採用の「Core Ultra シリーズ1」はまだ搭載製品が少なく高価なため、ある程度市場に製品が出揃ろうまでは前世代もメイン世代として扱っています。

注意
  • 掲載の情報は記事更新時点(2024年2月19日)でのものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

性能スコア等の参考

はじめに

ノートPC向けの最新世代と1つ前の世代が対象(メインは最新世代)

本記事はPCの主流CPUの「IntelのCoreシリーズ」と「AMDのRyzenシリーズ」の各種のノートPC向けの最新世代と1つ前の世代のものを対象としています。

ただ、2024年現在での最新シリーズはそれぞれ、Intelは「Core Ultra シリーズ1」、AMDは「Ryzen 8000シリーズ」となりますが、双方とも2024年1月時点では搭載製品が少ない上に高価で選択肢に入れ辛いので、ある程度製品が出揃うまでは一つ前の「第13世代Core iシリーズ」および「Ryzen 7000シリーズ」も主要シリーズとして併せて掲載しています。

主流の省電力モデル(TDP:15W~28W)が対象

ノートPC向けのCoreおよびRyzenシリーズには、ベース電力設定(TDP PL1)を基に大きく分けて主流の省電力モデル(TDP:15W~28W)超省電力モデル(TDP:10W未満)性能重視モデル(TDP:35W以上)の3種類がありますが、本記事でメインで扱うのは最も採用率が高いと思われる「主流の省電力モデル(TDP:15W~28W)」です。また、ここでいうTDPはPL1(1段階目の制限)となっており、実際の最大消費電力とは異なる点は注意してください。

他の2モデルについては詳しくは触れませんが、記事後半に補足として付け足す形にしているので気になる方は参考までにご覧ください。

簡易比較表

細かい数値を見ていく前に「Core」と「Ryzen」の競合シリーズ同士の各性能についての簡易比較表を載せています。「なんとなく各シリーズの特徴を掴めれば」といった感じのかなりざっくりとした比較になります。

最新世代を含む現在の主要シリーズ

2024年2月時点での主要シリーズの簡易比較表です。従来は最新シリーズのみの表で紹介するのですが、記事執筆時点では最新世代の搭載製品が少なくて高価なために、旧世代の方が市場ではまだ主流ということもあり掲載を継続しています。

Core Ultra シリーズ1 Ryzen 8000/7000(Zen 4) Core シリーズ1 第13世代Core i Ryzen 7000(Zen 3+以下)
H
(例:Core Ultra 7 155H)
U
(例:Core Ultra 7 155U)
8040
(例:Ryzen 7 8840U)
7040
(例:Ryzen 7 7840U)
U
(例:Core 7 150U)
P
(例:Core i7-1360P)
U
(例:Core i7-1355U)
7035
(例:Ryzen 8 7735U)
7030
(例:Ryzen 7 7730U)
7020
(例:Ryzen 5 7520U)
ノード 7nm 4nm 10nm 6nm 7nm 6nm
アーキテクチャ Pコア:Redwood Cove
Eコア:Crestmont
Zen 4 Pコア:
Eコア:
Pコア:Raptol Cove
Eコア:Gracemont
Zen 3+ Zen 3 Zen 2
コア数 14~16 コア
P:4~6コア
E:8コア
LP E:2コア
12 コア
P:2コア
E:8コア
LP E:2コア
6~8 コア 6~10 コア
P:2コア
E:4~8コア
10~14 コア
P:2~6コア
E:8コア
6~10 コア
P:2コア
E:4~8コア
4~8 コア 4コア
※Ryzen 5も4コア
スレッド数 18~22スレッド 14スレッド 12~16スレッド 8~12 スレッド 12~20 スレッド 8~12 スレッド 8~16 スレッド 8 スレッド
マルチコア性能
Cinebench R23

~15000

~13450

~13159

~8830

~11400?

~11490

~5149
シングルコア性能
Cinebench R23

~1779

~1815

~1815

~1793

~1500?

~1442

~1171
内蔵GPU性能
3DMark Time Spy
Graphics

~3318

~2754

~1805

~1628

~2400

~1330

~515
AV1デコード
※内臓GPU
×
TDP 28W~115W 15W~57W 28W 15W~55W 28W~64W 15W~55W 28W 15W 8W~15W
電力効率・省電力性
Thunderboltへの対応 Thunderbolt4 Thunderbolt4 USB4
(Thunderbolt3相当)
Thunderbolt4 Thunderbolt4 Thunderbolt4 USB4
(Thunderbolt3相当)
× ×
AI用のユニット / ×
※Ryzen 9/7のみ〇
× × × × × ×

Ryzen 7000が複数のアーキテクチャ混在する複雑なシリーズとなっているため、少し見難くなっています。第13世代Coreは第12世代にかなり近い仕様となっており、実用的にはほぼ変わりません。

Core 第13世代 Ryzen 7000
P
(例:Core i7-1360P)
U
(例:Core i7-1355U)
7035
(例:Ryzen 7 7735U)
7030
(例:Ryzen 7 7730U)
7020
(例:Ryzen 5 7520U)
ノード 10nm 6nm 7nm 6nm
アーキテクチャ Pコア:Raptol Cove
Eコア:Gracemont
Zen 3+ Zen 3 Zen 2
コア数 10~14 コア
P:2~6コア
E:8コア
6~10 コア
P:2コア
E:4~8コア
4~8 コア 4コア
※Ryzen 5も4コア
スレッド数 12~20 スレッド 8~12 スレッド 8~16 スレッド 8 スレッド
マルチコア性能
Cinebench R23

~13159

~8830

~11400?
~◎
~11490

~5149
シングルコア性能
Cinebench R23

~1815

~1793

~1500?

~1442

~1171
内蔵GPU性能
3DMark Time Spy
Graphics

~1805

~1628

~2400

~1330

~515
AV1デコード
※内臓GPU
×
TDP 28W~64W 15W~55W 28W 15W 8W~15W
電力効率・省電力性
Thunderboltへの対応 Thunderbolt4 Thunderbolt4 USB4
(Thunderbolt3相当)
× ×

Core 第12世代 Ryzen 6000
P (例:Core i7-1260P) U (例:Core i7-1255U)
プロセス 10nm 10nm 6nm
コア数 10~14 コア
P:2~6コア
E:8コア
6~10 コア
P:2コア
E:4~8コア
6~8 コア
※Ryzen 3未発表
スレッド数 12~20 スレッド 8~12 スレッド 12~16 スレッド
マルチコア性能
Cinebench R23

~11480

~7385

~10297
シングルコア性能
Cinebench R23

~1739

~1775

~1480
内蔵GPU性能
3DMark Time Spy Graphics

~1784

~1784

~2400
AV1デコード
※内臓GPU
TDP 28W~64W 15W~55W 15W~28W
電力効率
Thunderboltへの対応 Thunderbolt4 Thunderbolt4 USB4
(Thunderbolt3相当)

Core 第11世代 Ryzen 5000
プロセス 10nm 7nm
コア数 2~4 コア 4~8 コア
スレッド数 4~8 スレッド 8~16 スレッド
マルチコア性能
(Cinebench R23)

3236~5175

5522~8154
シングルコア性能
(Cinebench R23)

1312~1439

424~553
内蔵GPU性能
(3DMark Time Spy Graphics)

646~1589

733~1173
AV1デコード
(内臓GPUの)
×
TDP 15W~64W 15W~25W
電力効率
Thunderboltへの対応 Thunderbolt4 ×

要点や注意点

各比較に入る前に、知っておいた方が良いかもしれない仕様の要点や注意点について軽く触れています。

まず知っておいた方が良いのは、第12世代以降のCoreは異種コア混合仕様となっている点です。

従来のCPUでは、各コアはクロックや質の違いはあれど、物理的な設計は基本同じ1種類のコアを採用しているのが基本でしたが、第12世代以降のCoreでは「高性能コア(Pコア)」と「高効率コア(Eコア)」という、異なるコアが混在する仕様となっています。また、Coreは「Meteor Lake」からはLP Eコア(低電力Eコア)というコアも導入しており、少し複雑な設計になっています。

そして、EコアはPコアと比べると、コアあたりの性能が大幅に劣る点がポイントです。その代わり、Pコアよりもサイズが格段に小さく、低消費電力稼働に向いてるメリットがあります。

Eコアにもメリットはありますが、コア自体の質はPコアの方が優れているので、高負荷な処理前提ならPコアが多いモデルを選ぶ方が適している点は覚えておいて損はないかと思います。

また、頻発している訳ではありませんが、複数の異種コアを持つCPUでは、コアの割り振りが適切に行われないとパフォーマンスが低下する可能性もあるので、ベンチマークスコア等が同等なら基本的には1種類のコアのみを採用するRyzenの方が安定すると思われます。

タイトルの通りです。高負荷時のワットパフォーマンスはCoreよりもRyzenの方が優れています

主な理由としては、2024年1月時点ではプロセス面の微細化や最適化がIntelのCoreの方が遅れている現状があることが特に大きいと考えられます。

Coreも「Meteor Lake」でようやく7nmに到達して、以前よりは大幅な改善が見られたため、大きなデメリットというほどではなったものの、まだ若干劣っている印象ですし、未だに市場に残る「第13,12世代Core iシリーズ」に関してはRyzenに大きく劣っているので、基本的にはやはり効率面はRyzen優位と考えた方が無難です。

ただ、前述のようにCoreも「Core Ultra」に関しては大差ではないくらいになっているので、Coreでワットパフォーマンスの優れたCPUを求める場合にはそこを狙って探すのも選択肢です。

まず「AV1(AOMedia Video 1の略)」というのは、映像コーデック(映像の圧縮の方式)の一つで、現在特に将来性があると言われている映像コーデックです。高い圧縮率かつロイヤルティーフリーな点が評価されており、採用が進んでいる方式で、YouTubeでも採用が増えています。

このAV1でエンコード(圧縮・符号化)された動画を観る際には、AV1のデコード(複合化)を行う必要がありますが、今回比較するCPUシリーズの中では唯一、Ryzen 7000シリーズのVega搭載モデル(Zen 3/7030モデル)のみ内蔵GPUに「AV1」のハードウェアデコード機能がないため、注意が必要です。Vegaが古いアーキテクチャのGPUのため、性能および機能面でやや遅れていることが原因です。

一応、GPUにデコード機能がなくてもCPUで対応することは可能なので、必須という訳ではありませんが、デコード処理はCPUにとっては非常に高負荷な処理で効率も悪いため、GPUに任せる方が望ましいです。

とはいえ、2024年1月現在ではFHD以下の動画のほとんどはAV1でなくても対応可能であるため、正直無くてもそこまで困らない部分ではあります。

これは、AV1の圧縮率の高さは魅力なものの、エンコードやデコードの負荷が大きい上、対応できないデバイスがまだ多いため、動画サイト側が4Kなどの超高画質動画のみでの対応が現状では主流なためです。

とはいえ、AV1対応デバイスの普及率は高まっていきますし、デバイスやプロセッサの性能が上がれば負荷の高さも問題なくなってきます。将来的にはAV1が主流になっていくとは思います。

それにはまだ時間が掛かるでしょうから、AV1対応をどれだけ重視するかは個人の判断にはよりますが、現状でもあって困るものではないので、個人的にはYouTubeをよく視聴する方が長期利用を見据えた将来性を考えるなら「Vega」は避けた方が無難だと思っています。

高機能なドッキングステーションや、eGPU(外付けグラボ)、高速なデータ移動が必要な用途などで使いそうな場合には、USB Type-Cを用いた超高速なUSB通信「Thunderbolt4」や「USB4(Thunderbolt3相当)」への対応もチェックしておくと安心です。

「Thunderbolt」について軽く説明しておくと、ThunderboltではないUSBだと、機能や給電能力・通信速度などがバラバラですが、Thunderboltと明記されている場合には総じて高い性能が保証されている、と捉えて貰えれば分かり易いか思います(機能面はこれはUSB Type-Cで利用できるオルタネートモードというものを利用)。

Thunderbolt 4の便利な機能ざっくり(一部)
  • 高機能なドッキングステーションを利用可能
  • eGPU接続(外付けの単体GPU)
  • 超高速な通信
  • 超高画質な映像の入出力(4K等)

このThunderbolt 4ですが、Coreでは第11世代から対応可能なのに対し、Ryzenでは最新の8000シリーズでも対応していません。そのため、Thunderboltが必須ならCore一択になります。

とはいえ、Ryzen 6000~8000の「Zen 3+以降」ではUSB4には対応しており、これにはThunderbolt 3相当のコントローラが統合されています。eGPUも利用可能となっており、完全互換ではないですがある程度は機能を利用できるので、Thunderboltの機能をフル活用しようとしない限りはUSB4があれば困ることはあまりないと思います。

ただし、「Zen 2以下のアーキテクチャ採用のRyzen」ではThunderboltには完全に非対応となっているため、必要な方は要注意です。

各モデルごとの比較【最新世代】

CoreシリーズとRyzen シリーズは、Core Ultra 7 と Ryzen 7といったように、各モデルナンバーごとに対抗製品が存在します。価格帯も大体同じくらいです。この項目ではその両者を比較していきます。

下記の表では各項目を☆で評価していますが、これは相対的な差を比較したものであり、たとえば☆2だから低性能とは限らない点に留意です。また、記事執筆時点では各最新モデルの搭載製品が少なくベンチマークサンプルが少ないため、一部は筆者による推定値となっている点も留意してください(推測値の場合は明記しています)。


Core 7 と Ryzen 7

Core Ultra 7 / Core 7 / Core i7およびRyzen 7はモバイル版の主流CPUにおける上級モデルです。両者高い性能を持っています。

その代わりに、搭載製品の価格は高いです。高級機を中心に採用されます。ほとんどが10万円を超えるレベルです。

また、Core側には主流モデルよりもPコアが2つ多いモデルがありますが(1370Pなど)、価格的にも仕様的にも主流モデルとしてはやや特殊な立ち位置と判断し、勝手ながら相対評価には含めていませんのでご了承ください。

以下、簡易比較表です。

Core 7 と Ryzen 7
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
内蔵GPU 省電力性
Core Ultra 7(シリーズ1)
16コア(6P+8E+2LP E)
22スレッド
155H 等
4.5
4.5
4.75
3.5

Ryzen 7(Zen 4)
8コア16スレッド
7840U/8840U 等

4.5
4.5
4.5
4.0
Core i7(第13世代-P)
12コア(4P+8E)
16スレッド
※14コアモデル除く
4.25
4.5
3.75
3.25
Core 7(シリーズ1)
Core i7(第13世代-U)
10コア(2P+8E)
12スレッド
150U/1355U 等
4.0
4.5
3.75
3.5

Ryzen 7(Zen 3+)
8コア16スレッド
7735U/6800U 等

4.5
4.25
4.25
4.0
Ryzen 7(Zen 3)
8コア16スレッド
7730U 等
4.25
4.0
3.25
4.0

Core i7とRyzen 7の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU PassMark
スコア
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP 内蔵GPU
Ryzen 7 7840U 25394 8/16 3.3 / 5.1GHz 28W Radeon 780M
Core Ultra 7 155H 22778 16/22
(6P+8E+2LP E)
P:1.4 / 4.8GHz
E:0.9 / 3.8GHz
28W – 115W Arc 8コア GPU
Core i7-1370P 22496 14/20
(6P+8E)
P:1.9 / 5.2GHz
E:1.4 / 3.9GHz
28W – 64W Iris Xe Graphics G7 96EU
Ryzen 7 7735U 21260 8/16 2.7 / 4.75GHz 28W Radeon 680M
Ryzen 7 6800U 20795 8/16 2.7 / 4.7GHz 15W – 28W Radeon 680M
Core i7-1360P 19815 12/16
(4P+8E)
P:2.2 / 5.0GHz
E:1.6 / 3.7GHz
28W – 64W Iris Xe Graphics G7 96EU
Ryzen 7 7730U 19208 8/16 2.0 / 4.5GHz 15W Radeon RX Vega 8
Core i7-1355U 15842 10/12
(2P+8E)
P:1.7 / 5.0GHz
E:1.2 / 3.7GHz
15W – 55W Iris Xe Graphics G7 96EU
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core Ultra 7 155H
13817
Ryzen 7 7840U
12758
Ryzen 7 7730U
11490
Ryzen 7 7735U
11400?
Core i7-1360P
10882
Ryzen 7 6800U
10721
Core i7-1355U
8830

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i7-1360P
1815
Core i7-1355U
1793
Core Ultra 7 155H
1743
Ryzen 7 7840U
1673
Ryzen 7 7735U
1510?
Ryzen 7 6800U
1503
Ryzen 7 7730U
1442

3D Mark Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
(搭載CPUの例)
スコア
Intel Arc 8コア GPU
(Core Ultra 7 155H 等)
3446
Radeon 780M
(Ryzen 7 7840U 等)
2779
Radeon 680M
(Ryzen 7 7735U 等)
2400
Iris Xe G7 96EU (~1400MHz)
(Core i7-1260P 等)
1756
Radeon RX Vega 8
(Ryzen 7 7730U 等)
1173

Core Ultra 7やZen 4は魅力的だけど高価。実用コスパならZen 3+や第13世代Pか

Core UltraやZen 4は強力だけど高価なので、実質コスパ的にはZen 3+や第13世代-P

「7」モデルは実質的なところでいうと、「Ryzen 7 7735U」などのZen 3+モデルか、「Core i7-1360P」などの第13世代-Pあたりが有力かなと思います。

性能だけでいえば、「Core Ultra 7」や「Ryzen 7 7840U」などのZen 4モデルも非常に魅力的ですが、2024年2月時点では製品数が少ない上に非常に高価なので、実用コスパではまだ微妙です。

ただし、Core UltraとRyzen(Zen 4)はNPUを搭載しており、AI処理性能が高く効率も良いので、そちらを魅力に感じるなら強力です。

また、従来はもっと詳しく全体的な話を文章でまとめていたのですが、Core Ultraの登場でかなり複雑な様相を呈しているため、ここからは主要CPUについてそれぞれ触れていくスタイルに変更していますので、下記からそれぞれご覧ください。

Core Ultra 155H:非常に優れた内蔵GPUは魅力的だけど、まだ高すぎる(2024年2月時点)

様々な刷新のあったCore Ultra(Meteor Lake)です。特に注目なのはやはりGPUです。「Arc 8コア GPU」は内蔵にしては非常に高性能で、モバイル版のGTX 1650に匹敵する性能があります。軽めのゲームなら非常に快適ですし、重めのゲームも動作は普通に可能なレベルにまで到達しています。動画編集なども、FHD以下の簡単なものなら普通にこなせるレベルになっているので、Core Ultra 7においてはエントリーレベルのビデオカードはほぼ不要になったと思います。

ただし、CPUとしての性能自体は前世代から大して向上していない点に注意です。155Hは合計16コアなので強力に見えますが、その内10コアはEコアです。しかも、その内2つは低電力用のLP Eコアであり、性能はPコアと比べると低いので、性能向上には大して貢献していません。ただし、プロセス面やLP Eコアの搭載を考えると、前世代よりは効率は改善している可能性があるので、そちら目的なら意味はなくはないです。

とはいえ、2024年2月時点では価格は登場したばかりということもあって高価(安いものでも16万円~)なので、CPU性能コスパはまだ悪いです。内蔵GPU性能は非常に魅力的ですが、価格を考えれば普通にビデオカード搭載のゲーミングノートやクリエイターノートが検討できるので、実用コスパとしてはまだ微妙です。AI用コアやLP Eコアの追加などの違いもありますが、現状では恩恵をそこまで感じにくい部分ですし、素晴らしいCPUですが、現状のコスパを考えれば一般の人で有力になるケースはまだほとんどないかなと思っています。

ただ、性能自体は強力で、特にAI処理性能の効率は良いので、そこを魅力に感じれば多少高価でも価値はあるかもしれません。

Ryzen 7(Zen 4):全体的にすごく良いけど、搭載製品が少なく高い

Core Ultra 7(Meteor Lake)の対抗モデルは「Ryzen 7(Zen 4)」です。「Ryzen 7 7840U」「Ryzen 8840U」が主なCPUになると思う他、携帯ゲーム機向けですがほぼ同一のものとして「Ryzen Z1 Extreme」もあります。

こちらも内蔵にしては非常に高性能なGPU「Radeon 780M」を搭載しているのが特に魅力です。「Core Ultra 7 155H」には少し劣るものの、内蔵としては十分な性能で、実用的には大差ありません。軽めのゲームは快適で、重めのゲームも動作は可能です。

CPUは8コア16スレッドで、Coreと違いEコアはありません。そのため、16コアの「Core Ultra 155H」と比較してもマルチスレッド性能は同等レベルです。それだけ見ると同等に見えますが、RyzenはCoreよりも高負荷時のワットパフォーマンスが良いことも魅力です。そのため、バッテリー容量にもよりますが、バッテリー駆動で重めの処理を想定する場合には基本的にRyzenの方がおすすめです。上述の特徴説明でも挙げましたが、これは現状のCoreとRyzenの共通の傾向なので覚えておくと良いです。

「Core Ultra 7 155H」との差を見ると、内蔵GPU重視なら若干Core Ultra 7、効率重視ならRyzen 7(Zen 4)という感じになります。

なのですが、2024年2月時点では「Core Ultra」と「Ryzen 7(Zen 4)」のどちらとも搭載製品数や価格面で難があります。末尾Hのゲーミング・クリエイター向けのものはそこそこありますが、そちらに供給量が割かれているためか、一般ユーザー向けの省電力用は数があまり出ていない印象です。そのため、どちらが良いというよりも、どちらでも良いからコスパの良い製品が出たら有力みたいな感じになると思います。

ただ、性能自体は強力ですし、特にAI処理性能の効率は良いです。Ryzen 8000シリーズ(Zen 4)に関しては、7000シリーズやCore Ultraよりも更にAI性能が大幅アップしているので、そこを魅力に感じれば多少高価でも価値はあると思います。

Ryzen 7(Zen 3+):優れた内蔵GPUが魅力で、価格も高すぎない

実質的に見れば現状一番良さそうなのが「Ryzen 7(Zen 3+)」です。主なCPUは「Ryzen 7 7735U」「Ryzen 7 6800U」などです。

Zen 3+モデルの魅力は、全体的に高い性能と機能性を備えつつ、Zen 4やCore Ultraよりは安価な点です。Zen 4やCore Ultra 7は、2024年2月時点では安くても15~16万円くらいを見ないといけませんが、Zen 3+は安いものなら10万円台のものもありますし、13万円前後からは選択肢が割と多いです。

性能自体はCore Ultra 7やZen 4にはやや劣るものの、内蔵GPU「Radeon 680M」も十分高性能な部類であり、軽いゲームは非常に快適ですし、重いゲームも設定を調整すれば大体動作はするレベルです。また、ワットパフォーマンスは最新世代と大して変わらないレベルの良さです。価格の安さを考えれば、実用コスパは現在の市場でも特に優れていると思います。

ただし、こちらも採用機種は多くはないのが難点です。Core Ultra 7やZen 4ほどではないですが、購入したいときにお得な製品があるかによって評価が変わってくるとは思います。

Core i7-1360P:優れたマルチスレッド性能と豊富な選択肢

第13世代の末尾Pモデルです。主なCPUは「Core i7-1360P」で先代の「Core i7-1260P」なども同等レベルの性能です。このモデルの魅力は、搭載機種が多いためお得な製品を選び易いためコスパが良い点です。

CPUは基本12コアで、4P+8Eという構成です。効率はそこまで良くありませんが、最大性能はZen 3+以下のRyzen 7と同等レベルです。搭載製品が多いおかげでセール品なども選び易いので、実質コスパは基本少し上回ります。ただし、Core i5-Pも同じコア構成なので、CPU性能コスパを重視するならCore i5の方が良かったりします。

内蔵GPUは「Iris Xe Graphics(96EU)」となっており、Zen 3+以上のRyzen 7やCore Ultra 7と比べるとやや劣ります。とはいえ、内蔵にしては高めの性能ではあるので、軽いゲームや簡単な動画編集など、ライトユーザー向けのグラフィック処理に使うには困ることはあまりないです。重い処理を意識しないなら意外とネックでもありません。

それよりも気になるデメリットは、10nmという少し遅れたプロセス設計のため、高負荷時の発熱や消費電力が多い点です。高負荷時のワットパフォーマンスはRyzenと比べると明らかに劣るので、高負荷な処理を日常的に行う場合や、バッテリー駆動で重い処理をしたい場合にはネックとなる点は注意が必要です。

ただし、基本低負荷な処理しかしないという場合には、内蔵GPU性能差も含め、意外と上位製品と実用性は大差ないので、価格の安さや製品の豊富さで上回る第13世代Coreはまだ有力だと思います。

Core i7-1355U:性能はやや劣るが、一段安価で非常に豊富な選択肢

第13世代の末尾Uモデルです。主なCPUは「Core i7-1355U」などで、先代の「Core i7-1255U」などもほぼ同等の性能な他、「Core Ultra 7(Meteor Lake)シリーズ1」とほぼ同時に発表された「Core シリーズ1」の「Core 7-150U」も中身はほぼ同様のものになります。

Pコア(高性能コア)が2つだけの10コア(2P+8E)という構成なので、CPUの処理性能は他の7モデルよりも一段低い点に注意が必要ですが、その代わりに価格は他モデルよりも安い上、搭載製品が豊富なのが大きな魅力です。そこそこの性能を持ちつつの安さ重視の場合には魅力的なモデルです。ただし、Core i5-Uもコア構成が同じなので、CPU性能コスパはそちらの方が少し良かったりします。

CPU性能が他の競合モデルよりも低めなのはやはり気になりますが、内蔵GPUは価格の割には優れている方なので、その点はそこまでネックでないのは良いです。価格的には「Zen 3以下のRyzen」と競合することになりますが、Zen 3以下のRyzenはVega搭載のために性能が低い上にAV1対応面での不利もあるので、そこと比べると性能や機能面では上回るのは明らかな優位性です。単純なCPU性能コスパではRyzen 7にはどのモデルにも勝てませんが、性能以外の将来性や弱点の少なさを考えるならCore i7-Uの方が良く、無難な選択だと思います。

Ryzen 7(Zen 3):CPU性能コスパはダントツだけど、GPUがVegaなのがネック

最後に触れるのが「Zen 3モデルのRyzen 7」です。主なCPUは「Ryzen 7 7730U」など。

このモデルの魅力は価格の安さとCPU性能コスパの良さです。やや古いアーキテクチャ&プロセスということもあって、現状の7モデルの中では一番安価に販売されている印象です。「Ryzen 7 7730U」は安いものだと16GBメモリ搭載でも8万円前後からの販売があるレベルです(2024年2月時点)。

それでいて、CPU性能は普通に高い上にワットパフォーマンスも悪くないので、CPU性能コスパは明らかに良いです。7モデルに限らず、全ノートPCで見ても良いレベルです。やはりコスパは正義なので、コスパ重視志向の人にとっては非常に魅力的だと思います。

しかし、ネックなのは内蔵GPUです。古い「Vega」を採用しているため性能は低いですし、AV1デコードのサポートがないのが特に致命的だと思います。現状では困ることはほぼ無い面ではあるものの、4Kなどの高画質動画を観る際にはネックになることもありますし、将来性的には気になる部分です。

Core(第13世代)だとCPU性能コスパは多少劣ることにはなりますが、ライトユーザーなら困ることはほぼ無いレベルだと思いますし、内蔵GPU性能はVegaよりは高く、AV1デコード機能もあります。

そのため、ぱっと見のコスパは実際凄く良いですが、GPUと実用性では少しの性能の高さはそこまで影響が無い点を考慮すると、個人的には一番おすすめではないのがこの「Zen 3 の Ryzen 7」かなというのが正直な所感です。

ただし、CPU性能コスパが良いのは間違いないので、出来るだけ安価でCPU面を重視したいなら強力な選択肢です。


Core 5 と Ryzen 5

Core Ultra 5 / Core 5 / Core i5およびRyzen 5はモバイル版主流CPUにおける中級モデルです。いわゆるミドルレンジに区分されます。

搭載製品は幅が広く、価格重視の安価なものから、コスパやパフォーマンス重視のやや高価なものまでさまざまな製品が発売されます。また、中級とはいっても現在では十分に高性能で数年前のデスクトップ版のハイエンドCPUを上回る性能を持っている点もポイントです。

Core 5 と Ryzen 5
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
内蔵GPU 省電力性
Core Ultra 5(シリーズ1)
14コア(4P+8E+2LP E)
18スレッド
125H 等
4.25
4.25
4.5
3.5
Ryzen 5(Zen 4)
6コア12スレッド
7640U 等
4.0
3.5
4.0
4.0
Core i5(第13世代-P)
12コア(4P+8E)
16スレッド
1340P 等
4.25
4.25
3.5
3.25
Core i5(第13世代-U)
10コア(2P+8E)
12スレッド
1335U 等
4.0
4.25
3.5
3.5
Ryzen 5(Zen 3+)
6コア12スレッド
7535U / 6600U 等
4.0
3.5
4.0
4.0
Ryzen 5(7030/Zen 3)
6コア12スレッド
7530U 等
4.0
3.5
3.25
4.0
Ryzen 5(7020/Zen 2)
4コア8スレッド
7520U 等
3.25
3.0
3.0
3.75

Core i5とRyzen 5の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU PassMark
スコア
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP 内蔵GPU
Core Ultra 5 125H 23000? 14/18
(4P+8E+2LP E)
P:1.2 / 4.5GHz
E:0.7 / 3.6GHz
28W – 115W Arc 7コア GPU
Ryzen 5 7640U 21619 6/12 3.5 / 4.9GHz 28W Radeon 760M
Core i5-1340P 21060 12/16
(4P+8E)
P:1.9 / 4.6GHz
E:1.9 / 3.4GHz
28W – 64W Iris Xe Graphics G7 80EU
Core i5-1335U 18389 10/12
(2P+8E)
P:1.3 / 4.6GHz
E:0.9 / 3.4GHz
15W – 55W Iris Xe Graphics G7 80EU
Ryzen 5 6600U 17259 6/12 2.9 / 4.5GHz 15W – 28W Radeon 660M
Ryzen 5 7735U 16670 6/12 2.9 / 4.55GHz 28W Radeon 660M
Ryzen 5 7530U 15951 6/12 2.0 / 4.5GHz 15W Radeon RX Vega 7
Ryzen 5 7520U 9657 4/8 2.8 / 4.3GHz 8W – 15W Radeon 610M
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i5-1340P
10921
Ryzen 5 7640U
10675?
Core i5-1335U
8915
Ryzen 5 6600U
8491
Ryzen 5 7530U
8081
Ryzen 5 7520U
5149

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i5-1340P
1710
Core i5-1335U
1685
Ryzen 5 7640U
1552
Ryzen 5 6600U
1457
Ryzen 5 7530U
1349
Ryzen 5 7520U
1171

3D Mark Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
(搭載CPUの例)
スコア
Arc 8コア GPU
(Core Ultra 5 135H 等)
3446
Arc 7コア GPU
(Core Ultra 5 125H 等)
?
Radeon 660M
(Ryzen 5 7535U 等)
1558
Iris Xe G7 80EU(-1300MHz)
(Core i5-1340P 等)
1244
Radeon RX Vega 7
(Ryzen 5 7530U 等)
1054
Radeon 610M
(Ryzen 5 7520U 等)
515

コスパも良く機種が豊富なCore i5安定

結論から言うと、「5」モデルはコスパも良く製品数が非常に豊富なCore i5が安定の選択肢というのが私の所感です。2024年2月時点では「Ryzen 5 7530U」も安くてコスパが良いため人気ですが、GPU性能がやや低い上にAV1デコード機能もない点が少し気になるので、そこを割り切れるならという感じだと思っており、安定という意味ではやはりCore i5かなと思います。

また、従来はもっと詳しく全体的な話を文章でまとめていたのですが、Core Ultraの登場でかなり複雑な様相を呈しているため、ここからは主要CPUについてそれぞれ触れていくスタイルに変更していますので、下記からそれぞれご覧ください。

Core Ultra 5 125H/135H:内蔵GPU性能重視ならありだけど、5モデルにしてはかなり高価

様々な刷新のあったCore Ultra(Meteor Lake)の5モデルです。Core Ultra 7と比べるとコア数やクロック面が少し削られてはいるものの、価格差を考えればむしろコスパは「5」の方が良さそうなレベルです。7で増えるコア分も、省電力運用なら大して活きない部分なので、コスパ重視なら「5」の方がおすすめです。

特に注目なのはやはりGPUです。Core Ultra「5」でも内蔵にしては非常に高い性能のGPU「Arc」が搭載されています。125Hだと7コア、135Hだと8コアと異なる点で差がありますが、実用性的にはそこまで変わらないレベルなので、安さの方が重要になると思います。

135Hの「Arc 8コア GPU」の場合はモバイル版のGTX 1650に匹敵する性能があり、軽めのゲームなら非常に快適ですし、重めのゲームも動作は普通に可能なレベルにまで到達しています。7コアモデルだと少し性能は低下するものの、実用性としては大差はないと思います。どちらも強力です。

CPUはPコアが4つだけなので、価格を考えれば低いですが、重い処理を前提とする訳でなければ十分な性能だと思います。

2024年2月時点での価格は、安いものだと125H搭載で13万円程度からとなっており、Core Ultra 7より数万円安いです。それでいて、内蔵GPUの実用性的にはそこまで差がないので、内蔵GPU性能重視ならコスパは「Core Ultra 5」の方が少し良いです。

ただ、5モデルとしてはかなり高価であり、Zen 3+のRyzen 7(7735U等)と競合してしまいます。GPU性能だけなら負けていませんが、CPU性能やワットパフォーマンスでは少し分が悪いです。とはいえ、大きな差ではないので、Intelが良いという場合にはおすすめできるレベルです。

Ryzen 5 (Zen 3+/Zen 4):搭載製品が少なすぎる

一応触れておきますが、Ryzen 5の Zen 3+ および Zen 4 モデル(Ryzen 5 7640Uや7535U)は搭載製品が少なすぎて、性能以前の問題です。わずかにある搭載品もほとんどが割高なので、実質的に検討の余地がほぼないので、割愛させていただきます。

Ryzen 5(Zen 3):安価で高コスパだけど、GPUがVegaな点に注意

Zen 3モデルのRyzen 5です。主なCPUは「Ryzen 5 7530U」など。

このモデルの魅力は安くて高性能でCPUコスパが非常に良い点です。やや古いアーキテクチャ&プロセスということもあってか価格が安く、そのコスパは凄いです。16GBメモリ搭載で6万円台の製品が結構あるレベルです。

Core i5-1335Uなどと競合する形ですが、そちらは16GBメモリ搭載の場合は安くても7万円台中盤くらいからなので、平均で1万円程度は安い感じです。それでいてCPU性能は同等レベルなので、コスパは勝っています。

ただし、気になるのは内蔵GPUです。古い「Vega」を採用しているため性能は低いですし、AV1デコードのサポートがありません。軽いゲームもややネックになる可能性があるレベルですし、AV1に関しては現状では困ることはほぼ無い面ではあるものの、4Kなどの高画質動画を観る際にはネックになることもありますし、将来性的には気になる部分です。

ぱっと見の安さとコスパの良さは非常に魅力的で飛びつきたくはなりますが、出来るだけ長く使いたいなら個人的には誰でもおすすめという感じではないモデルだと思っています。

Core i5-1340P:CPUコスパの良さと豊富な搭載製品

第13世代の末尾Pモデルです。主なCPUは「Core i5-1340P」などで、先代の「Core i5-1240P」なども同等レベルの性能です。

このモデルの魅力はCPU性能コスパが良いことと、搭載製品が豊富なのでお得な製品を探し易い点です。

CPUは合計12コア(4P+8E)で、Core i7-Pとも基本同じ構成です。7モデルと比べると価格が安く、コスパが良いのが最大の魅力です。

内蔵GPUは「Iris Xe Graphics 80EU」となっており、軽い処理には十分な性能があります。Core i7の96EUのものと比べるとやや性能は劣るものの、「Ryzen 5 7530U」のVegaよりは高性能かつAV1デコード機能もあるので、一段上の性能です。

「Ryzen 5 7530U」と比べると一段高価なために候補外にされがちだと思いますが、最大性能や内蔵GPUでは少し上回っており、特に内蔵GPUのAV1デコードの対応は後からではどうしようもない部分なので、出来るだけ長く使いたいPCを選ぶなら「Ryzen 5 7530U」よりはこちらの方がおすすめです。また、CPUに高い性能を求めないなら、下で説明している「Core i5-1335U」の方が少し安いので、そちらも有力です。

Core i5-1335U:安価でそこそこの性能で、内蔵GPU性能コスパも良い

第13世代の末尾Uモデルです。主なCPUは「Core i5-1335U」などで、先代の「Core i5-1235U」などもほぼ同等の性能な他、「Core Ultra 5(Meteor Lake)シリーズ1」とほぼ同時に発表された「Core シリーズ1」の「Core 5-130U」も中身はほぼ同様のものになります。

このモデルの魅力は安価で非常に豊富な搭載製品がある点と、Vega搭載のRyzenよりも内蔵GPU性能が高く、AV1デコード機能もある点です。

「Ryzen 5 7530U」よりは少し高価ではあるものの、十分安価でコスパが良いのがまず魅力で、搭載製品も非常に多いのでセール品などからも探し易いです。

CPUはPコアが2つだけの10コア(2P+8E)なので処理性能はやや低めなので重い処理には向きませんが、軽作業には十分な性能があります。この価格帯のCPUは基本は軽作業が前提ですから思ったよりはネックにならないと思います。

そして、特に良いのは内蔵GPUです。「Iris Xe Graphics 80EU」が搭載されており、価格を考えれば意外とコスパは良いです。「Ryzen 5 7530U」のVegaよりはやや高性能で、AV1デコード対応もあるので一段上の仕様です。将来性を考えるとこの点が大きいかなと思います。

やはりCPU性能コスパと安さの点では「Ryzen 5 7530U」に負けるために第2候補にされそうな印象がありますが、軽作業前提のPCなら個人的にはこちらの方がおすすめです。

Ryzen 5 7520U(Zen 2):4コアで性能が一段低いので注意

基本的にはおすすめしないのが、Zen 2の「Ryzen 5 7520U」です。

Ryzen 5は従来から基本的に6コアですが「Ryzen 5 7520U」は4コアCPUとなっており、罠っぽい存在です。アーキテクチャもZen 2で古いこともあり、マルチスレッド性能は最近の5モデルとしては明らかに低いです。そのため、基本的にはおすすめしません。

GPUも「Radeon 610M」となっており、コアが2つだけの低性能なものです(660Mや680Mは4~8コア)。CPUとGPUのどちらも低性能で、Ryzen 5に位置付けるのはどうなんだろうと思うCPUです。

一応良い点はあり、価格は安くはありますし、電力設定が8W~15Wと非常に省電力ですし、AV1デコードやLPDDR5に対応しているため、非常に軽い処理に限るならば安い分優位性はあります。とはいえ、他の5シリーズが遥かに高い性能を持ち、価格差も劇的なものではないので、基本的にはおすすめはしないモデルです。


Core 3 と Ryzen 3

Core 3 / Core i3およびRyzen 3は主流CPUにおける下位モデルです。ただし、もっと低性能なモデルもあるため最低性能という訳ではありません。いわゆるミドルレンジ下位~ロークラス上位くらいに区分されます。搭載PCの価格は比較的安いです。
価格の安さが魅力のモデルのため、上位モデルと比べると性能は高いとは言えないレベルですが、Web閲覧やOffice作業などの軽作業であれば十分な性能は持っています。その安価さのおかげで、特に重い作業をしないのであればコスパは悪くないですし、最近ではCPUの性能は全体的に底上げされているので、モバイル版であれば以前のハイエンドCPUにも匹敵する性能を持っています。

とはいえ、Core 5シリーズRyzen 5との性能差が大きい割には価格差が意外と小さいので、「3を買うなら、少し予算をプラスして5を買った方がお得」という印象が強いため、人気は低めです。メモリやSSDの標準容量が少ないことが多い点も選びにくい理由の一つです。

Core i3 と Ryzen 3
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
内蔵GPU
消費電力
発熱
Core i3(第13世代-U)
6コア8スレッド
1215U 等
3.75
4.0
3.25
3.5
Ryzen 3(7035/Zen 3+)
4コア8スレッド
7335U 等
3.25
3.25
3.0
3.5
Ryzen 3(7030/Zen 3)
4コア8スレッド
7330U 等
3.25
3.25
3.0
3.5
Ryzen 3(7020/Zen 2)
4コア8スレッド
7320U 等
3.0
3.0
3.0
3.5

Core i3とRyzen 3の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU PassMark
スコア
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP 内蔵GPU
Core i3-1220P 15651 10/12
(2P+8E)
P:1.5 / 4.4GHz
E:1.1 / 3.3GHz
28W – 64W UHD Graphics Xe 64EU
Core i3-1315U 13798 6/8
(2P+4E)
P:1.2 / 4.5GHz
E:0.9 / 3.3GHz
15W – 55W UHD Graphics Xe 64EU
Ryzen 3 7335U ? 4/8 3.0 / 4.3GHz 28W Radeon 660M
Ryzen 3 7330U 11013 4/8 2.3 / 4.3GHz 15W Radeon RX Vega 6
Core i3-1215U 11603 6/8
(2P+4E)
P:1.2 / 4.4GHz
E:0.9 / 3.3GHz
15W – 55W UHD Graphics Xe 64EU
Ryzen 3 7320U 9268 4/8 2.6 / 4.0GHz 8W – 15W Radeon 610M
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i3-1220P
8801?
Core i3-1215U
5802
Ryzen 3 7335U
?
Ryzen 3 7330U
?
Ryzen 3 7320U
?

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i3-1220P
1685?
Core i3-1215U
1581
Ryzen 3 7335U
?
Ryzen 3 7330U
?
Ryzen 3 7320U
?

Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
(搭載CPUの例)
スコア
Radeon 660M
(Ryzen 5 7535U 等)
1558
UHD Xe 64EU
(Core i3-1220P 等)
1049
Radeon RX Vega 6
(Ryzen 3 5300U 等)
839
Radeon 610M
(Ryzen 5 7520U 等)
515

正直影が薄いモデル。「5」の方がコスパが良くて人気

「3」モデルは、正直影が薄いです。メーカー側も力をそこまで入れていない印象です。

ノートPCでは、ディスプレイやキーボードなどのCPU以外のコストが掛かることもあり、CPUの安さを特化しても総合コスパを良くしにくいので、5未満の低グレード品はコスパが悪くなりがちなので、需要も低めです。

IntelとAMDも「3」モデルは性能の割には高めで、供給量も少ない印象です。最新シリーズでも、Intelは「Core Ultra」に3を含めませんでしたし、Ryzenも従来から3モデルの投入には消極的です。Ryzen 3はカタログスペック上は一応ラインナップされてはいるものの、市場にはほとんど出回ることはなく、ほとんど紙の上だけでの存在となっています。

内部的な話になりますが、半導体の有効活用や利益率や需要的に、3モデルを売ってもメーカー側としても多分あまり美味しくないのかなと思います。

また、従来はもっと詳しく全体的な話を文章でまとめていたのですが、Core Ultraの登場でかなり複雑な様相を呈しているため、ここからは主要CPUについてそれぞれ触れていくスタイルに変更していますので、下記からそれぞれご覧ください。

Core i3:Core i5より大幅に安いなら全然アリだけど、ほとんど無い

第13世代のCore i3は、実は性能コスパは良く、Core i5よりも大幅に安いなら全然アリな選択肢です。

コア数を見ると、末尾Uが6コア(2P+4E)で末尾Pが10コア(2P+8E)です。低価格・低性能モデルにしては多いです。Pコアの数はCore i5/i7の末尾Uモデルと同じ2つなので、処理性能は思ったよりも高いです。軽作業なら十分快適なので、安さ重視なら選択肢に入ります。

内蔵GPUもコア数こそ少ないものの、AV1デコードには対応しており、動画視聴などには十分です。安価なCPUのものとしては十分及第点です。

ですが、やはり問題は実際の製品です。Core i5の方が圧倒的に採用製品が多いのでお得な製品が探し易いですし、Core i5よりも大幅に安い製品が中々無いです。Core i5の安い製品を探す方が楽だし、コスパも結局そちらの方が良いことが基本なので、最終的にCore i3が選ばれるのは稀かなと思います。

Ryzen 3:悪くはないけど、基本Core i3の方が良い

Ryzen 3のコア数は共通で4コア8スレッドです。マルチスレッド性能はCore i3の方が少し勝りますが、元々軽作業前提のCPUなので、思ったほどはネックではないかもしれません。

ただし、価格がCore i3より安いという訳でもなく、内蔵GPU性能も基本Core i3の方が上なので、総合的に見てCore i3の方が有利です。

一応、Zen 3+とZen 4モデル(Ryzen 3 7335UやRyzen 3 7440U)なら、内蔵GPU性能が一段高くなるので有利になりますが、搭載製品がほとんどないので、評価するかは難しいところです。Ryzen 5やRyzen 7ですらZen 3+以降は供給量が限られている印象がありますから、Ryzen 3にまで回る可能性は低そうですし、期待するのも無駄に思えてしまいます。

そのため、基本的にはCore i3の選ぶ方が良いですが、出来れば少し予算を追加してCore i5やRyzen 5を選ぶ方が良いかなと思います。

用途・予算別おすすめ

最後にここまでの内容を踏まえて、用途・予算別に分けておすすめモデルを紹介しています。

10万円台前半くらいで高コスパなら「Ryzen 7 7735U」はおすすめ

10万円台前半くらいの、多少高額でも良いので総合性能の高さで選ぶなら、「Ryzen 7 7735U」(Ryzen 7のZen 3+モデル)はおすすめです。

現在では「Core Ultra 7」や「Ryzen 7 7840U(Zen 4)」などもあり、そちらの方が少し高性能ではありますが、登場してから日が浅い上に供給量が少ないため、価格が非常に高価でコスパ的にはそこまで良くなく、性能差も小さいので、比較的高コスパな製品もある「Zen 3+のRyzen 7」は丁度良い選択肢だと思います。

8コア16スレッドによるCPU性能は高く、ワットパフォーマンスも良いですし、内蔵GPUの「Radeon 680M」の性能の高さも魅力です。軽いゲームなら非常に快適ですし、重めのゲームも設定などを調整すれば動作は可能なことが多いです。FHD以下なら動画編集等もある程度対応できますし、汎用性が非常に高いです。

搭載製品は多くはないものの、セールで基本10万円台で販売されている「HP Pavilion Aero 13」がある他、13万円程度からは「ASUS Zenbook 15 OLED」や「Lenovo Yoga 7 Gen 8」などもあり、高級感も保った高コスパ機が中心なので、意外と選択には困らないかなと思います。

「Core Ultra 5」も内蔵GPU性能コスパ重視なら注目

上と同じく10万円台前半くらいでいえば、「Core Ultra 5」もおすすめです。更新時点の2024年2月では登場から日が浅くて高価ですが、それでも13万円~14万円の製品がいくつか見受けられます。

特に魅力なのはやはり内蔵GPU性能です。「Radeon 680M/780M」と同等か少し上の性能があり、軽いゲームなら非常に快適ですし、重めのゲームも動作は基本できるレベルです。FHD以下なら動画編集等もある程度対応できますし、汎用性が非常に高いです。

今後はもう少し安くなり、搭載製品も増えるであろうことを考えると有力になる期待を持つことができます。

7~9万円くらいでコスパ重視ならCore i5が無難

7~9万円くらいの中価格帯でコスパ重視で選ぶなら、やはり安定はCore i5です。

総合性能だけで言えば「Ryzen 5のZen 3+モデル」も有力ですが、採用製品が少ないので実質的に候補外としています。「Ryzen 5 7530U(Zen 3)」がコスパで目立つようにも見えますが、GPUがVegaでやや性能が低くてAV1デコードが無い点が少し気になるので、将来性や機能性も考えるとCore i5が無難です。

また、Core i5はどの時期でも搭載製品が非常に豊富で、セール品なども候補にしやすく、お得な製品が選び易い点も大きなメリットです。一応より優れた候補になりうるCPUがあるので一択とまでは言えませんが、非常に無難な選択肢です。

安さとCPU性能コスパ特化なら「Ryzen 5 7530U」だけど、GPUのVegaは微妙な点に注意

2024年2月現在の売り上げランキングなどでも上位によく見掛けるのが「Ryzen 5 7530U」です。

実際、CPU性能コスパはかなり良いです。16GBメモリを搭載しつつ6万円台の機種が複数存在し、これは最新のCore i5では中々難しいので、安さで利点があります。

ただし、GPUのVegaが少し微妙な点は注意です。古いものなので性能がやや低い他、AV1デコードにも対応しておらず、現在でも最低限という感じの仕様なので、将来的にはちょっと気になります。現状の軽作業用のPCなら困ることはほぼ無い部分ではあるものの、長めの使いたいという場合にはおすすめはし辛い要素なので、そこを割り切れる人ならという感じで選ぶことになります。

その他のモデル

本記事では省電力モデルに焦点を当てて見ていきましたが、その他にも「性能重視モデル(末尾H)」や「超省電力モデル(廉価モデル)」があります。主要シリーズという感じではないので、ざっくりとにはなりますが下記で少し触れています。

性能重視モデル(TDP:35W~)

良い点
  • 処理性能が高い

悪い点
  • 消費電力が多い(バッテリー持続時間も短くなる)
  • 発熱が多い
  • 発熱処理のため、PCが大型化する傾向がある
  • 価格が高い(ビデオカード搭載機が中心のため)

ビデオカードを搭載したゲーミング・クリエイターノートPCによく採用されるのが性能重視モデルです。モバイル版ではCPU名の末尾にHが付く事が特徴です(Core / Ryzen 共通)。

主流モデルのTDP(PL1)が主に15W~28Wなのに対し、性能重視モデルはTDPが35W以上となっており、高負荷時の消費電力と発熱が増加しています。より多い電力を使えるようにしたおかげで性能を引き上げているモデルになります。

そのため、大きめの冷却ファンなどの冷却機能を搭載することが前提となるため、搭載機はやや大型化してしまう傾向があります。

基本処理性能が高い以外には良い点が無く、デメリットとして消費電力や発熱の増加が追加される感じですが、これがモバイル端末ではかなり痛い点は重々理解しておく必要があると思います。基本的にはどうしても重いゲームや動画編集などの重い処理を持ち運んでしたいという人向けのシリーズとなっています。

性能重視モデルの一部を表に簡単にまとめています。複数の仕様のコアを持つ場合のクロックは、高性能コアのものとなっています。

CPU名称 PassMark
コア
スレ
ッド
TDP
定格
クロック
最大
クロック
Ryzen 9 7945HX
58786
16 32 55W – 75W 2.5GHz 5.4GHz
Core i9-13980HX
48690
24 32 55W – 157W 2.2GHz 5.6GHz
Ryzen 9 7845HX
46800
12 24 55W – 75W 3.0GHz 5.2GHz
Core i9-13900HX
46670
24 32 55W – 157W 2.2GHz 5.4GHz
Core i9-12950HX
36058
16 24 55W – 157W 2.5GHz 5.0GHz
Core i9-12900HX
35595
16 24 55W – 157W 2.3GHz 5.0GHz
Core i7-12800HX
35079
16 24 55W – 157W 2.0GHz 4.8GHz
Core i9-13900H
32440
14 20 45W – 115W 2.6GHz 5.4GHz
Core i7-13700H
31350
14 20 45W – 115W 2.4GHz 5.0GHz
Core i9-12900HK
30213
14 20 45W – 115W 2.5GHz 5.0GHz
Core i7-12800H
28816
14 20 45W – 115W 2.4GHz 4.8GHz
Core i7-12700H
27411
14 20 45W – 115W 2.3GHz 4.7GHz
Core i7-12650H
24600
10 16 45W – 115W 2.3GHz 4.7GHz
Ryzen 9 6900HX
24589
8 16 45W – 54W 3.3GHz 4.9GHz
Ryzen 9 6900HS
24340
8 16 35W – 54W 3.0GHz 4.6GHz
Ryzen 7 6800HS
24189
8 16 35W – 54W 3.2GHz 4.7GHz
Ryzen 9 5900HX
23522
8 16 45W – 54W 3.3GHz 4.6GHz
Ryzen 7 6800H
23496
8 16 45W – 54W 3.2GHz 4.7GHz
Core i9-11980HK
23473
8 16 45W – 65W 2.6GHz 5.0GHz
Core i5-13500H
23092
12 16 45W – 115W 3.5GHz 4.7GHz
Ryzen 9 5900HS
22528
8 16 35W – 54W 3.3GHz 4.6GHz
Ryzen 9 5980HS
22499
8 16 35W – 54W 3.0GHz 4.8GHz
Ryzen 7 5800H
22002
8 16 45W – 54W 3.2GHz 4.4GHz
Core i5-12500H
21557
12 16 45W – 115W 2.5GHz 4.5GHz
Core i5-12450H
17903
8 12 45W – 115W 2.0GHz 4.4GHz


超省電力モデル(TDP:~10W)

良い点
  • 消費電力・発熱が少ない
  • 発熱が少なく、ファンレスにしやすい(静音化・薄型化しやすい)

悪い点
  • 処理性能が低い
  • 高負荷時にすぐにクロックが下がってしまう
  • 最大性能が低いのに価格は安くなく、コスパが悪い(上位モデルを電力制限して使った方がお得感がある)

薄型軽量のPCやタブレットに適しているのが、TDP(PL1)が10W未満の超省電力モデルです。2024年1月時点ではRyzen側では該当モデルが実質ないため、Core側が独占している形になります。以下の説明もCoreのみの説明となります。

TDP(PL1)が主流モデルでは15W~28Wなのに対し、超省電力モデルのTDPは10W未満となっており、消費電力と発熱が大幅に抑えられています。そのおかげで、搭載する冷却用のファンを小型化することができ、ファンレス運用も他モデルより比較的容易になっています。これにより静音化・薄型化しやすいことが大きなメリットです。

ただし、電力制限が厳しいために処理性能もかなり制限されます。そのため、高負荷な作業を前提とする場合には向きません。軽作業前提の非常に使い勝手の良いCPUという感じです。

一見すると普通に魅力的な印象も受けると思いますが、TDP15W~28Wのモデルとコア数などが変わらないことが多く、製造コストがほとんど変わりません。

それなのに電力制限のせいで性能も制限されているため、要するに主流モデルと比べて最大性能が低いにも関わらず、価格はほぼ変わらないので、コスパが良くないことが多いです。正直、このモデルを採用するくらいなら、TDPが15W~28Wの主流モデルの標準の電力制限を引き下げて使った方が見栄えもコスパも良いので、10W以下のモデルは採用率が低めです。

メーカー側もそれを恐らくわかっているため、超省電力モデルはCoreよりも下位シリーズの低性能モデルが中心です。

超省電力モデルの一部を表に簡単にまとめています。Ryzenには該当モデルが記事更新時点(2024年1月)では存在しないようなので、Coreのみです。複数の仕様のコアを持つ場合のクロックは、高性能コアのものとなっています。

CPU名称 PassMark
コア
スレ
ッド
TDP
定格
クロック
最大
クロック
Core i7-1250U
12774
10 12 9W – 29W 1.1GHz 4.7GHz
Core i5-1230U
11440
10 12 9W – 29W 1.0GHz 4.4GHz
Core i3-1210U
11087
6 8 9W – 29W 1.0GHz 4.4GHz
Core i7-1160G7
10997
4 8 7W – 15W 2.1GHz 4.4GHz
Core i5-1130G7
10482
4 8 7W – 15W 1.8GHz 4.0GHz
Core i7-10510Y
5623
4 8 7W 1.2GHz 4.5GHz
Intel N100
5622
4 4 6W 1.8GHz 3.4GHz
Core i5-10210Y
4900
4 8 7W 1.0GHz 4.0GHz
Core i3-10110Y
3639
2 4 7W 1.0GHz 4.0GHz
Pentium Silver N6000
3037
4 4 6W 1.1GHz 3.0GHz
Core m3-8100Y
2898
2 4 5W 1.1GHz 3.4GHz
Celeron N4100
2463
4 4 6W 1.1GHz 2.4GHz
Pentium 4425Y
1721
2 4 6W 1.7GHz



それでは、内容はここまでとなります。ご覧いただきありがとうございました。

6 COMMENTS

Ruru

はじめまして。
現在、NECのVALUESTAR Gという一体型PCを10年以上使用しており、そろそろ買い替えを考えています。
スペースの問題と個人的な好みから、デメリットは承知の上で次もまた一体型PCにしたいと思い、HPのRyzen 5 5625UのPCに目星をつけていました。
検討の中でこちらのサイトにたどり着き勉強させていただきましたところ、本ページの「要点や注意点」にある「YouTubeをよく視聴する方が長期利用を見据えた将来性を考える」がまさに自分に当てはまり、「Vega」は避けた方が無難、とあったため、Ryzen 5 5625Uはやめるべきかと悩んでいます。

使用用途は主にYouTube視聴とブラウジングで、特にYouTubeはTV代わりに一日中流しっぱなしのため、消費電力や音が気になります。
また次も出来るだけ長く使用したいと考えており、用途に対してオーバースペックかもしれませんが買うなら性能のよいものを、予算10万円強で探しています。

検討したのがHP Pavilionシリーズの以下3機種なのですが、やはりRyzenは避けてCore i5のほうがいいでしょうか…?
なお3機種とも悩んでる間に生産終了となり、最近アウトレットに出たためまた悩み始めました。
・Core i5-12400T /16GB(8GB×2)/256GB SSD + 2TB HDD
・AMD Ryzen 5 5625U /16GB(8GB×2)/256GB SSD + 2TB HDD
・AMD Ryzen 7 5825U /16GB(8GB×2)/512GB SSD + 2TB HDD
特にCore i5-12400Tの256GBとRyzen 7 5825Uの512GBの比較で優劣をご教示いただければ幸いです。
Ryzen 5との比較ではCore i5が無難と記事中にはありましたが。。(ちなみにそのあとの「第13,12世代のCore i5」の後は文章がないのでしょうか?)

長文申し訳ございません。どうぞよろしくお願いいたします。

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とねりん:管理人

はじめまして。
総評のCore i5の部分抜けちゃってましたね…。申し訳ありません。後で改めて書いておきます。

本題ですが、やはり個人的な意見としては、内蔵GPU利用で長期利用を見据えたPCを今購入するならAV1デコードには対応しておいた方が良いと思うので、Ryzen 5 5625UなどのVega搭載Ryzenはおすすめではないです。
GPUの再生支援が無くても全く観れないということではないですが、かなり高負荷で発熱や消費電力増加に繋がるため、長期利用を見据えると好ましくないです。

また、候補機についてはHPの同機種に何かこだわりや特別な魅力を感じた訳ではないなら、
LenovoのIdeaCentre AIOやDELLのInspiron 24 オールインワンなどの方がコスパは良いように見えるので、ご覧になっていないならチェックしてみると良いかもしれません。

Core i5-12400Tの256GBとRyzen 7 5825Uの512GBの比較についてですが、
まずCPU性能はRyzen 7 5825Uの方が少し上ですが、実用性を左右するほどではないと思います。
GPUは、Core i5-12400Tはデスクトップ向けのCPUで、本記事に載せているようなモバイル版のCore i5のGPUと比べると性能が劣る点に注意です。
それを踏まえた上でGPU性能ですが、Ryzen 7 5825Uの方が高く、ベンチマークスコアはおおよそ2倍程度と大幅に高いです。
とはいえ、どちらも低性能なので重いグラフィック処理は厳しく、ライトな用途に限るなら恐らく差はほとんど感じられないとは思います。
そして、Ryzen側はAV1デコード機能が無いので、実用性はCore i5-12400Tの方が少し上かなという感じです。
ただ、GPUの処理性能自体はRyzen 7 5825Uの方が高くはあるので、軽いゲームなどを用途に入れるならRyzenの方が上になると思います。

ストレージ容量については、HDDが2TB付いてくるものの、やはりSSDが256GBは心許ないです。
大きなデータを保存せず、SSDはほぼOS動作用ということなら問題はないと思いますが、ストレージ容量は耐久性にも影響するので、SSD容量も出来るだけ活用しつつ長期間使いたいなら256GBは微妙かなと思います。

また、最後に少しお聞きしたいのですが、最近ではミニPCと呼んだりする、小さめの弁当箱くらいの大きさでコスパの良いPCが結構出ているのですが、それ+ディスプレイとケーブル1,2本という形は満足できない感じでしょうか?

液晶一体型もメリットはありますし、デメリットも理解しているようなので絶対止めろと言う気はないですが、機械的なデメリットを抜きにしても、やはり選択肢が少ないこともあってコスパ的に劣ることが多いのがネックだったりするので、ミニPC許容できるならコスパは大きく改善できると思います。

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Ruru

さっそくのお返事ありがとうございます。
やはりVega搭載Ryzenは避けたほうが良いのですね。。
LenovoやDELLも見てはいたのですが、個人的にLenovoはあまり好きではなく、DELLの口コミで画面がガビガビする・音響がよくないというのを見てHPに絞っていました。

Core VS Ryzenの比較もありがとうございます。
ストレージ容量については、Ryzenを避けたところでSSD256GBはどうなのか?と私も気になっていたところでした。やはり心許ないのですね。
今使用している機種がCドライブ852GBと謎に大容量で、買い替えるのにそれより少ない512GBになるのはどうなのか?と思い、SSD+HDDだったりSSD1TBなどで探していると選択肢がほとんどなく。。
HDDがなくても、SSD512GBあれば長く使えるものでしょうか?今のPCは画像や動画をため込んで300GBほど使っています。

ミニPCやモニター裏にくっつけられる形のものも少し見ていて、このくらいの省スペースであれば必ずしも一体型でなくてもよいと考えています。
ただ、HPと同等くらいのスペックでミニPC+モニター(+スピーカー)で10万弱のコスパのものが私では見つけられず、それならHPの一体型でいいのではと思ってしまって。。
ミニPCのメーカーも聞きなれないものが多く、初心者にセッティングできるのかも不安で、変に一体型に固執しているところがあります。

改めての用途と希望ですが、
・YouTube視聴・ブラウジング(ゲームもやってみたいが出来なければ諦める)
・Switchを繋げるためHDMI入力が欲しい
・DVD鑑賞・CD取り込みのため光学ドライブを外付け予定
・省スペースで長く使いたい
上記の要件で予算10万弱で、おすすめのミニPCや構成がありましたらご教示いただきたいです。
質問というよりわがままな相談になってしまいました、すみません。。

返信する
とねりん:管理人

Vega搭載Ryzenも処理性能自体のコスパは良いですし、現状はAV1動画が主流って訳でもないので、一概に悪いって訳ではないんですけどね…。あくまで私的な意見ですが、おすすめはできないかなと思います。

ストレージの寿命について明確なことを言うのは難しいですが、メイン機としての長期利用でSSD512GBだけは安心とは言えない容量だと思いますし、容量に不安を抱えたまま長期利用するのも微妙かなと思います。

一応、ミニPC自体が小型化に特化しているため、長期利用でも安心と断言まではできませんが、おすすめの製品があって、

Minisforum UM773 SE/ Lite
https://store.minisforum.jp/collections/all-product/products/minisforum-um773-lite
【SEの構成】
Ryzen 7 7735HS/16GB/512GB ¥67,980
Ryzen 7 7735HS/32GB/512GB ¥74,380
Ryzen 7 7735HS/32GB/1TB ¥77,580

上記の商品などいかがでしょうか?
ミニPCですがポート類は豊富ですし、プラス2~3万円使えればモニターやスピーカーも高いものでなければ揃えられると思います。
また、筐体の蓋の裏にSATAのSSD/HHDを増設することが可能になっているので、ストレージ面の懸念も軽減されると思います。

性能についても、CPUの性能も候補に挙がっていた「Core i5-12400T」や「Ryzen 7 5825U」より高性能ですし、
内蔵GPUに関しては現状ではかなり高性能な部類なので、ゲームも軽めのものなら快適なはずです。

返信する
Ruru

お返事ありがとうございます!
おすすめミニPC拝見しました。桜色にちょっと驚きましたがw こんなにコンパクトでコスパ良いものがあるんですね。確かにこれなら予算内に収まりそうです。ゲームができるのも魅力的です。
ただ如何せん初心者なもので、セッティングやトラブル時のサポート面に不安があります。。
中華メーカーの評判も良し悪しのようですし…(Minisforumは大丈夫そうですが)
ですがこちらで伺わなければ考えもしなかった選択肢なので、とても参考になりました。

Vega搭載Ryzenの件やストレージ容量についてアドバイスを参考にし、ミニPCも視野に入れてもう少し検討しようと思います。
素人質問に丁寧にお答えいただき、ありがとうございました!大変助かりました。

返信する
とねりん:管理人

セールで値下がりしているのを少し前に見まして、実は今回の相談を貰ったときに良さそうだなと思っていました。
シンプルな黒っぽいやつも選択できるかと思うので、桜がちょっと…という場合はそちらでも良いと思います(黒の方が少し安いです)。
あと、仰っていたようなモニター裏にも取り付けられるよう、VESAマウンタが付属しているらしいので、実質液晶一体型みたいな使い方も可能だと思います。

確かに、Minisforumが台頭してきたのはここ数年ということもあり、サポート面の不安は拭えないかと思います。
ただ、国内の代理店はあるメーカーでこのコスパの良さは他では中々ないと思うので、それを考慮しても魅力が勝つかなと思いました。

お力添えできたなら幸いです。また何かありましたらお気軽にお尋ねください。

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