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【最新版】ノートPC向け「Core i」と「Ryzen」の違いを比較

IntelとAMDの主流CPUシリーズのCoreシリーズRyzenシリーズの違いについてざっくり解説しています。ノートPC向けの最新世代と1つ前の世代(2023年6月時点)のものを対象としています。

注意
  • 掲載の情報は記事更新時点(2023年6月6日)でのものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

性能スコア等の参考

はじめに

ノートPC向けの最新世代と1つ前の世代が対象(メインは最新世代)

本記事はPCの主流CPUの、IntelのCoreシリーズAMDのRyzenシリーズの各種のノートPC向けの最新世代と1つ前の世代のものを対象としています。
現在(2023年6月時点)の対象は「Core」は第13世代および第12世代で、「Ryzen」は7000シリーズおよび6000シリーズです。

ですが、4つ全てについて細かく比較すると長くなってしまうので、メインの比較は最新世代の2つ(第13世代Core vs Ryzen 7000)として見ていきます。

主流の省電力モデル(TDP:15W~28W)が対象

ノートPC向けのCoreおよびRyzenシリーズには、大きく分けて主流の省電力モデル(TDP:15W~28W)超省電力モデル(TDP:10W未満)性能重視モデル(TDP:35W以上)の3種類がありますが、本記事でメインで扱うのは最も採用率が高いと思われる「主流の省電力モデル(TDP:15W~28W)」です。また、ここでいうTDPはPL1(1段階目の制限)となっており、実際の最大消費電力とは異なる点は注意してください。

また、他の2モデルについては詳しくは触れませんが、記事後半に補足として付け足す形にしているので気になる方は参考までにご覧ください。

簡易比較表

細かい数値を見ていく前に「Core」と「Ryzen」の各性能についての簡易比較表を載せています。

対象は最新世代である「第13世代Core」と「Ryzen 7000」です。「なんとなく各シリーズの特徴を掴めれば」といった感じのかなりざっくりとした比較になります。また、表の後ろに旧世代の比較も載せている(ボタンで表示)ので、興味があればご覧ください。

Ryzen 7000が複数のアーキテクチャ混在する複雑なシリーズとなっているため、少し見難くなっています。

Core 第13世代 Ryzen 7000
P
(例:Core i7-1360P)
U
(例:Core i7-1355U)
7035
(例:Ryzen 7 7735U)
7030
(例:Ryzen 7 7730U)
7020
(例:Ryzen 5 7520U)
プロセス 10nm 6nm 7nm 6nm
アーキテクチャ Pコア:Raptol Cove
Eコア:Gracemont
Zen 3+ Zen 3 Zen 2
コア数 10~14 コア
P:2~6コア
E:8コア
6~10 コア
P:2コア
E:4~8コア
4~8 コア 4コア
※Ryzen 5も4コア
スレッド数 12~20 スレッド 8~12 スレッド 8~16 スレッド 8 スレッド
マルチコア性能
Cinebench R23

~13159

~8830

~11400?
~◎
~11490

~5149
シングルコア性能
Cinebench R23

~1815

~1793

~1500?

~1442

~1171
内蔵GPU性能
3DMark Time Spy
Graphics

~1805

~1628

~2400

~1330

~515
AV1デコード
※内臓GPU
×
TDP 28W~64W 15W~55W 28W 15W 8W~15W
電力効率・省電力性
Thunderboltへの対応 Thunderbolt4 Thunderbolt4 USB4
(Thunderbolt3相当)
× ×

Core 第12世代 Ryzen 6000
P (例:Core i7-1260P) U (例:Core i7-1255U)
プロセス 10nm 10nm 6nm
コア数 10~14 コア
P:2~6コア
E:8コア
6~10 コア
P:2コア
E:4~8コア
6~8 コア
※Ryzen 3未発表
スレッド数 12~20 スレッド 8~12 スレッド 12~16 スレッド
マルチコア性能
Cinebench R23

~11480

~7385

~10297
シングルコア性能
Cinebench R23

~1739

~1775

~1480
内蔵GPU性能
3DMark Time Spy Graphics

~1784

~1784

~2400
AV1デコード
※内臓GPU
TDP 28W~64W 15W~55W 15W~28W
電力効率
Thunderboltへの対応 Thunderbolt4 Thunderbolt4 USB4
(Thunderbolt3相当)

Core 第11世代 Ryzen 5000
プロセス 10nm 7nm
コア数 2~4 コア 4~8 コア
スレッド数 4~8 スレッド 8~16 スレッド
マルチコア性能
(Cinebench R23)

3236~5175

5522~8154
シングルコア性能
(Cinebench R23)

1312~1439

424~553
内蔵GPU性能
(3DMark Time Spy Graphics)

646~1589

733~1173
AV1デコード
(内臓GPUの)
×
TDP 15W~64W 15W~25W
電力効率
Thunderboltへの対応 Thunderbolt4 ×

要点や注意点

各比較に入る前に、知っておいた方が良いかもしれない仕様の要点や注意点について軽く触れています。

まず知っておいた方が良いのは、第13,12世代CoreはRyzenや従来のCoreと異なるコア構成をしている点です。

従来のCPUでは、各コアはクロックや質の違いはあれど、物理的な設計は基本同じ1種類のコアを採用しているのが基本でしたが、第12世代以降のCoreでは「高性能コア(Pコア)」と「高効率コア(Eコア)」という、2種の異なるコアが混在する仕様となっています。

後の比較でも載せますが、参考にここでも各モデルのコア構成を下記の表にまとめておくので見てみましょう。

第13~12世代のモバイル版のCoreのコア構成
Core i7 Core i5 Core i3
末尾P 6P + 8E(=14コア)
4P + 8E(=12コア)
4P + 8E(=12コア) 2P + 8E(10コア)
末尾U 2P + 8E(=10コア) 2P + 8E(=10コア) 2P + 4E(6コア)
Pコア:高性能コア。従来のコアと同じと捉えてOK。
Eコア:高効率コア。非常に小型で低消費電力に特化したコア。ただし、コアあたりの性能はPコアに劣るため注意。

Pコア(高性能コア)は従来のコアと捉えて構わないですが、問題はEコアの方です。Eコアは低消費電力および省スペース化に特化したコアとなっており、重要なのはEコアの性能がPコアよりも大きく劣る点です。ハイパースレッディング(1コアで2スレッド処理)にも対応しないため、コア数の見栄えの割にはマルチスレッド性能は伸びません。そのため、合計コア数だけで処理性能を測るのが従来よりも難しくなっています。今まで以上にベンチマークスコアを参考にすることが大事となっています。

タイトルの通りです。第13,12世代CoreシリーズはRyzen 7000と比べると高負荷の消費電力が多く、電力効率が悪いです。下記の表に電力設定をまとめていますが、一目瞭然の差があることがわかると思います。そのため、高負荷な処理を前提とする場合には、Coreでないといけない理由がない限りはRyzenの方がおすすめです。

CPUシリーズ TDP
第13世代Core-P 28W~64W
第13世代Core-U 15W~55W
Ryzen 7000(Zen 3+) 28W
Ryzen 7000(Zen 3) 15W
Ryzen 7000(Zen 2) 8W~15W

※モデルによって異なる可能性があります。

幸い低負荷時の消費電力はどちらも少ないため、重い処理をあまりしない前提なら深く気にする必要はありません。ただし、やはり総合的な電力面ではRyzenの方が優位なのは覚えておいて損はないと思います。

今回比較するCPUシリーズの中では唯一、Ryzen 7000シリーズの7030モデルのみ内蔵GPUに「AV1」のハードウェアデコード機能がないため、注意が必要です。これはVegaという古いアーキテクチャのGPUを採用していることが原因です。

AV1(AOMedia Video 1の略)は映像コーデック(映像の圧縮の方式)の一つで、高い圧縮率かつロイヤルティーフリーな点が評価されており、採用が進んでいる方式です。YouTubeでも採用が増えており、現在最も将来性があると言われている映像コーデックです。

AV1でエンコードされた動画を観る際にはデコードを行う必要がありますが、これが高負荷な処理となるため、GPUのハードウェアデコードがあると快適になるため良いです。GPUにAV1のデコード機能が泣いた場合には見れない訳ではなく、CPUが直に処理を行うこともできますが、CPUにとっては非常に高負荷な処理となるため好ましくないです。非常に効率が悪い作業で、電力面でも良くありません。そのため、YouTubeをよく視聴する方が長期利用を見据えた将来性を考えるなら「Vega」は避けた方が無難かもしれません。

eGPU(外付けグラボ)や高速なデータ移動が必要な用途で使いそうな場合には、USB Type-Cを用いた超高速なUSB通信「Thunderbolt4」や「USB4」への対応もチェックしておくと安心です。

軽く説明しておくと、「Thunderbolt 4」はこれはUSB Type-Cで利用できるオルタネートモードというもので利用できる技術の一つです。簡単に言うと、従来のUSBでは行えない超高速・大容量通信を可能にします。よくピックアップされる機能は、外部GPUとの接続です。グラボを搭載したeGPUボックスと接続することで、外付けHDDのような感じで高性能なGPUを利用することができます。

Thunderbolt 4の便利な機能ざっくり(一部)
  • eGPU接続(外付けの単体GPU)
  • 超高速な通信
  • 超高画質な映像の入出力(4K等)

このThunderbolt 4ですが、Coreでは第11世代から対応しているのに対し、Ryzenでは7000シリーズも含め対応していません。

ただし、Ryzen 6000シリーズおよびRyzen 7000(Zen 3+)ではUSB4には対応しており、これにはThunderbolt 3相当のコントローラが統合されているため、eGPUも利用可能となっており、完全互換ではないですがある程度は機能を利用できます。

ただし、Zen 3未満のアーキテクチャ採用のRyzenではThunderboltには完全に非対応となっているため、必要な方は要注意です。

ただし、Thunderboltは必要となる人の割合はさほど多くないと思われる機能のため、クリエイター用途以外なら基本気にする必要はないかなと思います。

各モデルごとの比較【最新世代】

Core i シリーズとRyzen シリーズは、Core i7 と Ryzen 7といったように、各モデルナンバーごとに対抗製品が存在します。価格帯も大体同じくらいということもあり、よく悩まれる両者を各対抗製品同士を比較します。

各項目では評価を☆形式で載せていますが、あくまで相対的な差を比較したものであり、たとえば☆2だから低性能とは限らない点に留意です。また、記事執筆時点では各最新モデルの搭載製品が少なくベンチマークサンプルが少ないため、一部は筆者による推定値となっている点も留意してください(推測値の場合は明記しています)。


Core i7 と Ryzen 7

Core i7およびRyzen 7はモバイル版の主流CPUにおける上級モデルです。両者高い性能を持っています。

その代わりに、搭載製品の価格は高いです。高級機を中心に採用されます。主流の最高モデルということもあり、10万円を大幅に超えるような製品も珍しくありません。

また、第12,13世代のCore i7には14コアモデル(例:Core i7-1370P)も存在しますが、価格的にも仕様的にも主流モデルとしてはやや特殊な立ち位置と判断し、勝手ながら相対評価には含めていませんのでご了承ください。

以下、簡易比較表です。

Core i7 と Ryzen 7
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
内蔵GPU 省電力性
Core i7(第13世代-P)
※14コアモデル除く
4.25
4.5
4.0
3.25
Core i7(第13世代-U)
4.0
4.5
4.0
3.5
Ryzen 7(7035/Zen 3+)
Ryzen 7(6000シリーズ)
※ほぼリネーム版
4.5
4.0
4.5
4.25
Ryzen 7(7030/Zen 3)
4.25
3.75
3.5
4.0
Core i7(第12世代-P)
※14コアモデル除く
4.0
4.5
4.0
3.0
Core i7(第12世代-U)
3.75
4.5
4.0
3.25

Core i7とRyzen 7の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU PassMark
スコア
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP 内蔵GPU
Core i7-1370P 22496 14/20
(6P+8E)
P:1.9 / 5.2GHz
E:1.4 / 3.9GHz
28W – 64W Iris Xe Graphics G7 96EU
Ryzen 7 7735U 21260 8/16 2.7 / 4.75GHz 28W Radeon 680M
Ryzen 7 6800U 20795 8/16 2.7 / 4.7GHz 15W – 28W Radeon 680M
Core i7-1280P 20381 14/20
(6P+8E)
P:1.8 / 4.8GHz
E:1.3 / 3.6GHz
28W – 64W Iris Xe Graphics G7 96EU
Core i7-1360P 19815 12/16
(4P+8E)
P:2.2 / 5.0GHz
E:1.6 / 3.7GHz
28W – 64W Iris Xe Graphics G7 96EU
Ryzen 7 7730U 19208 8/16 2.0 / 4.5GHz 15W Radeon RX Vega 8
Core i7-1260P 17162 12/16
(4P+8E)
P:2.1 / 4.7GHz
E:1.5 / 3.4GHz
28W – 64W Iris Xe Graphics G7 96EU
Core i7-1355U 15842 10/12
(2P+8E)
P:1.7 / 5.0GHz
E:1.2 / 3.7GHz
15W – 55W Iris Xe Graphics G7 96EU
Core i7-1255U 13264 10/12
(2P+8E)
P:1.7 / 4.7GHz
E:1.2 / 3.5GHz
15W – 55W Iris Xe Graphics G7 96EU
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Ryzen 7 7730U
11490
Ryzen 7 7735U
11400?
Core i7-1360P
10882
Ryzen 7 6800U
10721
Core i7-1260P
9603
Core i7-1355U
8830
Core i7-1255U
7385

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i7-1360P
1815
Core i7-1355U
1793
Core i7-1260P
1778
Core i7-1255U
1775
Ryzen 7 7735U
1510?
Ryzen 7 6800U
1503
Ryzen 7 7730U
1442

3D Mark Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
(搭載CPUの例)
スコア
Radeon 680M
(Ryzen 7 6800U 等)
2400
Iris Xe G7 96EU (~1400MHz)
(Core i7-1260P 等)
1756
Radeon RX Vega 8
(Ryzen 7 7730U 等)
1173

Ryzen 7のZen 3+モデルが最良、第13世代Coreは次点だけど悪くはない

7モデルは、Ryzen 7の「Zen 3+」モデルが最良です。具体的には、主流モデルだと「Ryzen 7 7735U」と「Ryzen 7 6800U」の二つです。

8コア16スレッドのCPUが優れた電力効率と性能を誇るだけでなく、内蔵GPUの「Radeon 680M」が内蔵にしては非常に高性能なのが魅力です。ゲーム性能では「GeForce GTX 1050 Ti(モバイル版)」というビデオカードに匹敵するレベルの性能を発揮し、軽いゲームなら非常に快適に動作しますし、重いゲームでも設定を落とせば動作は可能なものが結構あるレベルです。

価格も特別高価ではなく、Core i7と同等か少し安いレベルです。汎用性が非常に高くて素晴らしくイチオシです。ただし、供給が少ないのか、採用機種が少ないのが難点です。

次点が第13世代と第12世代のCore i7です。主要モデルのコア数を見ると、末尾Uが10コア(2P+8E)で末尾Pが12コア(4P+8E)なので、コア数に差がある点に注意ですが、正直重い処理を頻繁にする訳じゃないならどちらでも大差ないかなという印象です。Eコアが活きない高負荷時には、どちらもあまり効率が良くないCPUなので、コア数が増えても思ったほど性能が伸びません。とはいえ、どちらも非常に優れた性能を持ち、少し重い処理もいける高性能さです。普段使いなら十分すぎる性能です。

内蔵GPUには「Iris Xe Graphics(96EU)」を搭載しており、「Radeon 680M」にはやや劣るものの、重いグラフィック処理しないなら十分な性能と機能性を備えます。

第13世代では第12世代よりも性能と効率がわずかに向上し、ほぼ向上が無かったRyzen 7000との差もわずかながら縮まった印象ですし、豊富な機種と信頼性の高いIntelのCore i7は十分有力な選択肢です。

そして最後に、正直一番おすすめではないのがRyzen 7の「Zen 3」モデル(例:Ryzen 7 7730U)です。

CPU自体の性能と効率はCoreにも劣らない素晴らしいものを持ちますが、問題はGPUです。古い「Vega」GPUを搭載しているため、性能が他の7モデルよりもやや劣る上、AV1デコードにも対応していないので、正直長く使うPCとしては避けたい印象です。

他のモデルよりもやや安価というメリットはあるものの、Ryzen 7なのでそれなりの金額はするので、やはり「Vega」搭載はちょっと嫌だなと思います。

一応、CPU自体が高性能なので、AV1動画も1080pくらいまでならCPU処理でゴリ押せる性能はあると思いますが、効率の悪い処理となり電力消費が増しますし、場合によってはファン稼働音や発熱も気になると思います。

価格次第では全く無しではないと思いますが、その場合でも自分ならCore i5を選択する方が無難かなと思いそうです。

といった感じで、7モデルは最良は「Ryzen 7 7735U / Ryzen 7 6800U(Zen 3+モデル)」で、そうでなければCoreが良いという結論です。


Core i5 と Ryzen 5

Core i5およびRyzen 5はモバイル版主流CPUにおける中級モデルです。いわゆるミドルレンジに区分されます。

搭載製品は幅が広く、価格重視の安価なものから、コスパやパフォーマンス重視のやや高価なものまでさまざまな製品が発売されます。また、中級とはいっても現在では十分に高性能で数年前のデスクトップ版のハイエンドCPUを上回る性能を持っている点は留意しておきましょう。

Core i5 と Ryzen 5
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
内蔵GPU
消費電力
Core i5(第13世代-P)
4.25
4.25
3.5
3.25
Core i5(第13世代-U)
4.0
4.25
3.5
3.5
Ryzen 5(7035/Zen 3+)
Ryzen 5(6000シリーズ)
※ほぼリネーム版
4.0
3.5
4.0
4.0
Ryzen 5(7030/Zen 3)
4.0
3.5
3.25
4.0
Ryzen 5(7020/Zen 2)
3.25
3.0
3.0
3.75
Core i5(第12世代-P)
4.0
4.25
3.5
2.75
Core i5(第12世代-U)
3.75
4.25
3.5
3.0

Core i5とRyzen 5の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU PassMark
スコア
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP 内蔵GPU
Core i5-1340P 21060 12/16
(4P+8E)
P:1.9 / 4.6GHz
E:1.9 / 3.4GHz
28W – 64W Iris Xe Graphics G7 80EU
Core i5-1335U 18389 10/12
(2P+8E)
P:1.3 / 4.6GHz
E:0.9 / 3.4GHz
15W – 55W Iris Xe Graphics G7 80EU
Core i5-1240P 18222 12/16
(4P+8E)
P:1.7 / 4.4GHz
E:1.2 / 3.3GHz
28W – 64W Iris Xe Graphics G7 80EU
Ryzen 5 6600U 17259 6/12 2.9 / 4.5GHz 15W – 28W Radeon 660M
Ryzen 5 7735U 16670 6/12 2.9 / 4.55GHz 28W Radeon 660M
Ryzen 5 7530U 15951 6/12 2.0 / 4.5GHz 15W Radeon RX Vega 7
Core i5-1235U 14122 10/12
(2P+8E)
P:1.3 / 4.4GHz
E:0.9 / 3.3GHz
15W – 55W Iris Xe Graphics G7 80EU
Ryzen 5 7520U 9657 4/8 2.8 / 4.3GHz 8W – 15W Radeon 610M
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i5-1340P
10921
Core i5-1335U
8915
Core i5-1240P
8473
Ryzen 5 6600U
8491
Ryzen 5 7530U
8081
Core i5-1235U
7589
Ryzen 5 7520U
5149

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i5-1340P
1710
Core i5-1335U
1685
Core i5-1240P
1663
Core i5-1235U
1649
Ryzen 5 6600U
1457
Ryzen 5 7530U
1349
Ryzen 5 7520U
1171

3D Mark Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
(搭載CPUの例)
スコア
Radeon 660M
(Ryzen 5 7535U 等)
1558
Iris Xe G7 80EU(-1300MHz)
(Core i5-1340P 等)
1244
Radeon RX Vega 7
(Ryzen 5 7530U 等)
1054
Radeon 610M
(Ryzen 5 7520U 等)
515

機種が豊富なCore i5が安定

5モデルではCore i5が安定の選択だと思います。

Core i5はコスパ重視の安めの機種から高級機まで幅広い機種で採用されるので、その選択肢の広さがまず大きなメリットです。また、コア数がCore i7の主要モデルと同じのため、CPUの処理性能はCore i7と大して変わりません。性能の割には安くてコスパも優れており、選択肢も広いので非常に安定の選択肢です。

7では効率でRyzen 7がやや大きめにリードしていましたが、5では電力面でもあまり差がないのもCore i5安定の理由の一つです。

Ryzen 5もZen 3+モデル(例:Ryzen 5 7535U)に関してCore i5よりも少し高評価でおすすめできるモデルなのですが、Core i5よりも採用製品が少ないため、実質的にCore i5の方がコスパが良くお得な機種を見つけることが出来る可能性が高いため、その点も考慮するとやはりCore i5が安定かなと思います。

Core i5のコア数を見ると、Core i7の主要モデルと同じく、末尾Uが10コア(2P+8E)で末尾Pが12コア(4P+8E)なので、コア数に差がある点に注意です。ただし、重い処理を頻繁にする訳じゃないならどちらでも大差ないかなという印象です。Eコアが活きない高負荷時には、どちらもあまり効率が良くないCPUなので、コア数が増えても思ったほど性能が伸びないためです。

Ryzen 5は基本的に6コア12スレッドでCore i5と同じくらいのマルチスレッド性能を発揮しますが、Zen 2モデル(例:Ryzen 5 7520U)のみ4コアとなっておりコア数が少ない上、CPUも古いアーキテクチャでコア自体の性能もやや低めな点に注意が必要です。処理性能を重視するなら避けましょう。

内蔵GPUには、Core i5は共通で「Iris Xe Graphics (80EU)」を搭載しています。Core i7の96EUモデルと比べるとやや性能が劣るものの、機能的には同じなので、重い処理をしないなら実用性もほぼ変わらないと思います。

GPUで気を付ける必要があるのは、Ryzen 5の「Vega」搭載モデルで、これは出来れば避けたいです。具体的にはZen 3モデルの「Ryzen 5 7730U」です。前世代の「Ryzen 5 5625U」なども同様です。

「Vega」は古いGPUなので性能がやや劣るだけでなく、AV1のハードウェアデコード機能がないため、将来性的に微妙です。価格的には少し安価な傾向があるため魅力的ですが、出来れば少し予算を追加してCore i5かZen 3+モデルを検討することをおすすめします。

他モデルは避けるべきというほどではなく、むしろZen 3+モデル(例:Ryzen 5 7535U)は「Radeon 660M」を搭載しており、Core i5のGPUよりもやや高性能かつ機能性も十分なので、魅力的な機種があるなら最有力です。

Zen 2モデル(例:Ryzen 5 7520U)は、「Radeon 610M」を搭載しており、性能は他モデルと比べると半分以下と低いですが、AV1デコードには対応しているので無しではないです。軽いゲームなども意識するならやや微妙ですが、ゲームはせずに動画などのメディア鑑賞が主のライトな使い方なら悪くないです。

5モデルについては以上のような感じです。

細かいことを言えば、「Ryzen 5 7535U」などのZen 3+モデルがやや優位ですが、採用数などを考えるとCore i5が安定という認識が一番無難だと思います。


Core i3 と Ryzen 3

Core i3およびRyzen 3は主流CPUにおける下位モデルです。ただし、もっと低性能なCeleronやPentiumがあるため、最低性能という訳ではなく、いわゆるミドルレンジ下位くらいに区分されます。搭載PCの価格は比較的安いです
価格の安さが魅力のモデルのため、上位モデルと比べると性能は高いとは言えないレベルですが、Web閲覧やOffice作業などの軽作業であれば十分な性能は持っています。その安価さのおかげで、特に重い作業をしないのであればコスパは悪くないですし、最近ではCPUの性能は全体的に底上げされているので、モバイル版であれば以前のハイエンドCPUにも匹敵する性能を持っています。

とはいえ、Core i5Ryzen 5との性能差が大きい割には価格差が意外と小さいため、「3を買うなら、少し予算をプラスして5を買った方がお得」という印象が強いため、人気は低めです。

Core i3 と Ryzen 3
総合ざっくり評価
CPU名
マルチ
スレッド
シングル
スレッド
内蔵GPU
消費電力
発熱
Core i3(第13世代-U)
3.75
4.0
3.25
3.5
Ryzen 3(7035/Zen 3+)
3.25
3.25
3.0
3.5
Ryzen 3(7030/Zen 3)
3.25
3.25
3.0
3.5
Ryzen 3(7020/Zen 2)
3.0
3.0
3.0
3.5
Core i3(第12世代-P)
3.5
4.0
3.25
3.25
Core i3(第12世代-U)
3.25
3.75
3.25
3.5

Core i3とRyzen 3の人気モデルを一部抜粋して比較しています。

主要スペック
CPU PassMark
スコア
コア/
スレッド
動作クロック
定格/最大
TDP 内蔵GPU
Core i3-1220P 15651 10/12
(2P+8E)
P:1.5 / 4.4GHz
E:1.1 / 3.3GHz
28W – 64W UHD Graphics Xe 64EU
Core i3-1315U 13798 6/8
(2P+4E)
P:1.2 / 4.5GHz
E:0.9 / 3.3GHz
15W – 55W UHD Graphics Xe 64EU
Ryzen 3 7335U ? 4/8 3.0 / 4.3GHz 28W Radeon 660M
Ryzen 3 7330U 11013 4/8 2.3 / 4.3GHz 15W Radeon RX Vega 6
Core i3-1215U 11603 6/8
(2P+4E)
P:1.2 / 4.4GHz
E:0.9 / 3.3GHz
15W – 55W UHD Graphics Xe 64EU
Ryzen 3 7320U 9268 4/8 2.6 / 4.0GHz 8W – 15W Radeon 610M
Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i3-1220P
8801?
Core i3-1215U
5802
Ryzen 3 7335U
?
Ryzen 3 7330U
?
Ryzen 3 7320U
?

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i3-1220P
1685?
Core i3-1215U
1581
Ryzen 3 7335U
?
Ryzen 3 7330U
?
Ryzen 3 7320U
?

Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
(搭載CPUの例)
スコア
Radeon 660M
(Ryzen 5 7535U 等)
1558
UHD Xe 64EU
(Core i3-1220P 等)
1049
Radeon RX Vega 6
(Ryzen 3 5300U 等)
839
Radeon 610M
(Ryzen 5 7520U 等)
515

実質的にCore i3安定

3モデルも基本的に5と同じ傾向で、Core i3が安定だと思います。3モデルはCoreもRyzenも採用が少ないですが、やはりCore i3の方がまだ多いですし、性能面でも大きな差がないので、Core i3が安定です。

スペックだけを見ればRyzen 3のZen 3+モデル(例:Ryzen 3 7335U)が一段高い内蔵GPU性能を持つため優位なのですが、従来からRyzen 3は採用機種が少ない上、Ryzen 5やRyzen 7でさえも採用が少ないZen 3+モデルとなると、ほとんど市場に出回らなさそうな気がするので、実質的にCore i3安定かなと思っています。

コア数を見ると、Core i3は末尾Uが6コア(2P+4E)で末尾Pが10コア(2P+8E)です。低性能モデルにしては良いコア数で、軽作業なら快適です。Pモデルの方がEコアが4つも多いために性能が大きいので、性能重視なら出来ればPモデル(例:Core i3-1220P)が良いですが、前世代の第12世代から採用がほとんど見られないため、実質的には無いモデルとして扱います。現状のモバイル版のCore i3は基本6コア8スレッドです。

Ryzen 3のコア数は共通で4コア8スレッドで、マルチスレッド性能はCore i3の方が少し勝りますが、同等と言っても良いレベルなので、CPU性能での差は無いと見て良いです。

GPUについては、Core i3は共通で「UHD Xe (64EU)」が搭載されています。Core i5やCore i7には劣るものの、機能性は同じですし、ゲームも軽いものならできるレベルの性能なので、ライトユーザーの実用性的には十分だと思います。

RyzenのGPUは5と7と同じく、「Vega」が搭載のZen 3モデル(例:Ryzen 3 7730U)は避けたいです。ただし、Ryzen 3ではCPU性能でAV1デコードをゴリ押せるほどの力がないので、上位モデル以上に気を付けて避けたいです。

他モデルについては、Zen 3+モデル(例:Ryzen 3 7335U)ではまさかの、Ryzen 5と同じ「Radeon 660M」が搭載されているため、安価な3モデルにおいては頭一つ抜けたグラフィック性能を発揮します。重いゲームなどが出来る訳ではないので、格段に使用感が向上する訳ではないものの、軽いゲームなどをしたい人には魅力的かもしれません。ただし、採用モデルは少ないです。

Zen 2モデル(例:Ryzen 3 7320U)では「Radeon 610M」が搭載されており、他モデルよりも性能が明らかに低いです。ただし、AV1デコードには対応しており、メディア鑑賞に必要な最低限の性能は備えています。価格も安価なので、安さ重視でとりあえず使えるように置いておきたいPC用などには悪くない選択肢になるかもしれません。

3については以上です。個人的にはそもそもCore i3を選ぶなら機種も豊富なCore i5モデルからお得なモデルを探した方がお得だと思っていたりしますが、5万円を下回るような機種でCore i3が8GBメモリ以上で採用されていれば、安さ重視の人には悪くないかなと思います。

用途・予算別おすすめ

最後にここまでの内容を踏まえて、用途・予算別に分けておすすめモデルを紹介しています。

性能重視なら、Ryzen 7のZen 3+モデル(Ryzen 7 7735U 等)が最適

多少高額でも良いので総合性能の高さで選ぶなら、Ryzen 7のZen 3+モデルが最適です(例:Ryzen 7 7735U、Ryzen 7 6800U)。

CPU自体が高性能なのはもちろんですが、それだけなら処理性能はCore i7と大差ありません。大きな魅力は電力効率の良さとグラフィック性能の高さです。

Zen 3+のRyzen 7は、Coreの10nmよりも微細化が進んだ6nmプロセスを採用している上、効率に優れたZen 3+ CPUとRDNA 2 GPUを採用しています。これにより、性能の割には消費電力と発熱が少ないのがまず大きな強みです。

第13世代Coreと比べてバッテリー駆動時間が長くできるため、薄型・軽量機でも採用がしやすいです。実際に「Ryzen 7 7735U」はHPで人気の軽量モバイルノート「HP Pavilion Aero 13」にも採用されています。13.3インチで957gという超軽量PCを、比較的安価に実現しています。

更に、内蔵GPU「Radeon 680M」が内蔵の割には高性能なのも大きいです。モバイル版の「GeForce GTX 1050 Ti」に匹敵する性能があるため、軽いゲームは非常に快適ですし、重いゲームも設定を下げれば動作は基本できるレベルです。専用のビデオメモリはないため、動画編集等は低画質か短いのものでないとやはり厳しめですが、内蔵GPUとしては出来ることの幅が広くて魅力的です。

供給数の問題なのか、採用製品が少ないのが欠点ではありますが、現状のモバイル向けの省電力CPUとしては非常に魅力的なのが「Zen 3+」のRyzen 7です。

ただ、第13世代Core i7も採用製品が非常に多くて、幅広い機種からお得なものを探すことが出来る点は強みで、性能も普通に高性能です。実質的にはZen 3+ Ryzen一強ともなってはいない点は留意です。

コスパ重視の中価格ならCore i5が無難

コスパ重視で選ぶなら、やはり安定はCore i5です。

総合性能だけで言えば「Ryzen 5のZen 3+モデル」も有力ですが、採用製品が少ないです。また、Ryzen 5では他の「Vega」搭載モデルを避けたいという事情もありますので、結果的にはCore i5から選ぶ方が楽だし無難だと思います。

第13,12世代のCore i5はマルチスレッド性能は競合のRyzen 5と同等レベルで、内蔵GPU性能もRyzen 5のVega相手なら同等な上AV1デコード機能もあります。電力効率は若干負けるものの、現状の市場のRyzen 5の多くに対して優位性がありますし、仮に「Zen 3+」相手でも大きくは劣らないので、失敗したくないならCore i5は凄く安定の選択肢です。

安さ特化ならCore i3は魅力的だけど、お得な製品少なめ

安さ特化なら、Core i3は魅力的です。

以前は2コア4スレッドだったために低性能感も否めなかったCore i3ですが、第12世代以降はEコアが追加されたことにより、普通に高性能と言えるレベルに変貌を遂げています。第11世代以前のCore i7よりも高性能だったりします。

価格はもちろんCore i5よりも安いので魅力的なのですが、実際にPC全体のコスパを考えるとお得な製品が少なめです。

これは、モバイル版ではディスプレイやキーボードの必要コストもあり、そのコストも下げられる限界がありますから、CPUだけ安くしても全体としてはさほど安くはならない事が大きいと思います。

少し高価でも、コスパ重視のCore i5モデルの方が明らかにコスパが良いケースが多いので、最終的にはあまり有力とはならないことが多いです。

あるとしても、Microsoftやサムスンなど、メーカーの特徴としてディスプレイ性能などをほぼ全機種で高くしているメーカーのタブレット機が多い印象で、メイン機として採用できる機種は少ない印象です。

その他のモデル

本記事では省電力モデルに焦点を当てて見ていきましたが、その他にも「性能重視モデル(末尾H)」や「超省電力モデル(廉価モデル)」があります。それも、凄くざっくりとですが、下記で触れていますので、参考程度にご覧ください。

性能重視モデル(TDP:35W~)

良い点
  • 処理性能が高い

悪い点
  • 消費電力が多い(バッテリー持続時間も短くなる)
  • 発熱が多い
  • 発熱処理のため、PCが大型化する傾向がある
  • 価格が高い(ビデオカード搭載機が中心のため)

ゲーミングノートPCによく採用されるのが性能重視モデルです。モバイル版ではCPU名の末尾にHが付く事が特徴です(Core / Ryzen 共通)。

主流モデルのTDP(PL1)が主に15W~28Wなのに対し、性能重視モデルはTDPが35W以上となっており、高負荷時の消費電力と発熱が増加しています。より多い電力を使えるようにしたおかげで性能を引き上げているモデルになります。

そのため、大きめの冷却ファンなどの冷却機能を搭載することが前提となるため、搭載機はやや大型化してしまう傾向があります。また、恐らくはどうせ大型化するならということで、搭載製品の多くが単体のGPU(グラボ)を搭載しており、高性能なゲーミングノートやクリエイターノートでの採用が中心となっています。

基本的には処理性能が高い以外には良い点が無く、デメリットである消費電力や発熱の増加がモバイル端末ではかなり痛いです。据え置きならデスクトップの方が良いですから、どうしても重いゲームや動画編集などの重い処理を持ち運んでしたいという人向けのシリーズとなっています。

性能重視モデルの一部を表に簡単にまとめています。複数の仕様のコアを持つ場合のクロックは、高性能コアのものとなっています。

CPU名称 PassMark
コア
スレ
ッド
TDP
定格
クロック
最大
クロック
Ryzen 9 7945HX
58786
16 32 55W – 75W 2.5GHz 5.4GHz
Core i9-13980HX
48690
24 32 55W – 157W 2.2GHz 5.6GHz
Ryzen 9 7845HX
46800
12 24 55W – 75W 3.0GHz 5.2GHz
Core i9-13900HX
46670
24 32 55W – 157W 2.2GHz 5.4GHz
Core i9-12950HX
36058
16 24 55W – 157W 2.5GHz 5.0GHz
Core i9-12900HX
35595
16 24 55W – 157W 2.3GHz 5.0GHz
Core i7-12800HX
35079
16 24 55W – 157W 2.0GHz 4.8GHz
Core i9-13900H
32440
14 20 45W – 115W 2.6GHz 5.4GHz
Core i7-13700H
31350
14 20 45W – 115W 2.4GHz 5.0GHz
Core i9-12900HK
30213
14 20 45W – 115W 2.5GHz 5.0GHz
Core i7-12800H
28816
14 20 45W – 115W 2.4GHz 4.8GHz
Core i7-12700H
27411
14 20 45W – 115W 2.3GHz 4.7GHz
Core i7-12650H
24600
10 16 45W – 115W 2.3GHz 4.7GHz
Ryzen 9 6900HX
24589
8 16 45W – 54W 3.3GHz 4.9GHz
Ryzen 9 6900HS
24340
8 16 35W – 54W 3.0GHz 4.6GHz
Ryzen 7 6800HS
24189
8 16 35W – 54W 3.2GHz 4.7GHz
Ryzen 9 5900HX
23522
8 16 45W – 54W 3.3GHz 4.6GHz
Ryzen 7 6800H
23496
8 16 45W – 54W 3.2GHz 4.7GHz
Core i9-11980HK
23473
8 16 45W – 65W 2.6GHz 5.0GHz
Core i5-13500H
23092
12 16 45W – 115W 3.5GHz 4.7GHz
Ryzen 9 5900HS
22528
8 16 35W – 54W 3.3GHz 4.6GHz
Ryzen 9 5980HS
22499
8 16 35W – 54W 3.0GHz 4.8GHz
Ryzen 7 5800H
22002
8 16 45W – 54W 3.2GHz 4.4GHz
Core i5-12500H
21557
12 16 45W – 115W 2.5GHz 4.5GHz
Core i5-12450H
17903
8 12 45W – 115W 2.0GHz 4.4GHz


超省電力モデル(TDP:~10W)

良い点
  • 消費電力が少ない
  • 発熱が少なく、ファンレスにしやすい

悪い点
  • 処理性能が低い
  • 高負荷時にすぐにクロックが下がってしまう
  • 最大性能が低いのに、価格は安くない(上位モデルを電力制限して使った方がお得感がある)

薄型軽量のPCやタブレットに適しているのが、TDP(PL1)が10W未満の超省電力モデルです。2023年6月時点ではRyzen側では該当モデルが実質ないため、Core側が独占している形になります。以下の説明もCoreのみの説明となります。

TDP(PL1)が主流モデルでは15W~28Wなのに対し、超省電力モデルのTDPは10W未満となっており、消費電力と発熱が大幅に抑えられています。そのおかげで、搭載する冷却用のファンを小型化することができ、ファンレス運用も他モデルより比較的容易になっています。消費電力が少ないことにより、搭載するバッテリー容量も少なくすることが出来る点も軽量化にプラス要素として働きます。

ただし、電力制限がきつくなっているために処理性能は低くなっており、高負荷な作業を前提とする場合には向きません。軽作業前提の非常に使い勝手の良いCPUという感じです。

一見すると普通に魅力的な印象も受けると思いますが、消費電力の上下に関わらず、たくさんの処理を行うPCではコア(スレッド)は必要となりますから、製造コストがほとんど変わりません。そのことを考慮すると、超省電力CPUというのは、の最大性能が低いにも関わらず、コア数が主流モデルと変わらないためにCPUの価格はTDPが15Wのモデルとほぼ変わらないので、コスパが良くないことが多いです。恐らくそれが理由で、採用数もCore i5などよりも少なめの印象です。このモデルを採用するくらいなら、TDPが15Wの主流モデルの電力制限を強くして使った方がコスパが良い気がします。

メーカー側もそれを恐らくわかっているため、超省電力モデルは恐らく質がそこまで良くないダイを用いた、低性能モデルが中心です。第13世代Coreでは最初の発表時には追加がなく、低性能なEコアのみを用いた「Intel N」シリーズが追加されました。

超省電力モデルの一部を表に簡単にまとめています。Ryzenには該当モデルが記事更新時点(2023年6月)では存在しないようなので、Coreのみです。複数の仕様のコアを持つ場合のクロックは、高性能コアのものとなっています。

CPU名称 PassMark
コア
スレ
ッド
TDP
定格
クロック
最大
クロック
Core i7-1250U
12774
10 12 9W – 29W 1.1GHz 4.7GHz
Core i5-1230U
11440
10 12 9W – 29W 1.0GHz 4.4GHz
Core i3-1210U
11087
6 8 9W – 29W 1.0GHz 4.4GHz
Core i7-1160G7
10997
4 8 7W – 15W 2.1GHz 4.4GHz
Core i5-1130G7
10482
4 8 7W – 15W 1.8GHz 4.0GHz
Core i7-10510Y
5623
4 8 7W 1.2GHz 4.5GHz
Intel N100
?
4 4 6W 1.8GHz 3.4GHz
Core i5-10210Y
4900
4 8 7W 1.0GHz 4.0GHz
Core i3-10110Y
3639
2 4 7W 1.0GHz 4.0GHz
Pentium Silver N6000
3037
4 4 6W 1.1GHz 3.0GHz
Core m3-8100Y
2898
2 4 5W 1.1GHz 3.4GHz
Celeron N4100
2463
4 4 6W 1.1GHz 2.4GHz
Pentium 4425Y
1721
2 4 6W 1.7GHz



それでは、内容はここまでとなります。ご覧いただきありがとうございました。

6 COMMENTS

Ruru

はじめまして。
現在、NECのVALUESTAR Gという一体型PCを10年以上使用しており、そろそろ買い替えを考えています。
スペースの問題と個人的な好みから、デメリットは承知の上で次もまた一体型PCにしたいと思い、HPのRyzen 5 5625UのPCに目星をつけていました。
検討の中でこちらのサイトにたどり着き勉強させていただきましたところ、本ページの「要点や注意点」にある「YouTubeをよく視聴する方が長期利用を見据えた将来性を考える」がまさに自分に当てはまり、「Vega」は避けた方が無難、とあったため、Ryzen 5 5625Uはやめるべきかと悩んでいます。

使用用途は主にYouTube視聴とブラウジングで、特にYouTubeはTV代わりに一日中流しっぱなしのため、消費電力や音が気になります。
また次も出来るだけ長く使用したいと考えており、用途に対してオーバースペックかもしれませんが買うなら性能のよいものを、予算10万円強で探しています。

検討したのがHP Pavilionシリーズの以下3機種なのですが、やはりRyzenは避けてCore i5のほうがいいでしょうか…?
なお3機種とも悩んでる間に生産終了となり、最近アウトレットに出たためまた悩み始めました。
・Core i5-12400T /16GB(8GB×2)/256GB SSD + 2TB HDD
・AMD Ryzen 5 5625U /16GB(8GB×2)/256GB SSD + 2TB HDD
・AMD Ryzen 7 5825U /16GB(8GB×2)/512GB SSD + 2TB HDD
特にCore i5-12400Tの256GBとRyzen 7 5825Uの512GBの比較で優劣をご教示いただければ幸いです。
Ryzen 5との比較ではCore i5が無難と記事中にはありましたが。。(ちなみにそのあとの「第13,12世代のCore i5」の後は文章がないのでしょうか?)

長文申し訳ございません。どうぞよろしくお願いいたします。

返信する
とねりん:管理人

はじめまして。
総評のCore i5の部分抜けちゃってましたね…。申し訳ありません。後で改めて書いておきます。

本題ですが、やはり個人的な意見としては、内蔵GPU利用で長期利用を見据えたPCを今購入するならAV1デコードには対応しておいた方が良いと思うので、Ryzen 5 5625UなどのVega搭載Ryzenはおすすめではないです。
GPUの再生支援が無くても全く観れないということではないですが、かなり高負荷で発熱や消費電力増加に繋がるため、長期利用を見据えると好ましくないです。

また、候補機についてはHPの同機種に何かこだわりや特別な魅力を感じた訳ではないなら、
LenovoのIdeaCentre AIOやDELLのInspiron 24 オールインワンなどの方がコスパは良いように見えるので、ご覧になっていないならチェックしてみると良いかもしれません。

Core i5-12400Tの256GBとRyzen 7 5825Uの512GBの比較についてですが、
まずCPU性能はRyzen 7 5825Uの方が少し上ですが、実用性を左右するほどではないと思います。
GPUは、Core i5-12400Tはデスクトップ向けのCPUで、本記事に載せているようなモバイル版のCore i5のGPUと比べると性能が劣る点に注意です。
それを踏まえた上でGPU性能ですが、Ryzen 7 5825Uの方が高く、ベンチマークスコアはおおよそ2倍程度と大幅に高いです。
とはいえ、どちらも低性能なので重いグラフィック処理は厳しく、ライトな用途に限るなら恐らく差はほとんど感じられないとは思います。
そして、Ryzen側はAV1デコード機能が無いので、実用性はCore i5-12400Tの方が少し上かなという感じです。
ただ、GPUの処理性能自体はRyzen 7 5825Uの方が高くはあるので、軽いゲームなどを用途に入れるならRyzenの方が上になると思います。

ストレージ容量については、HDDが2TB付いてくるものの、やはりSSDが256GBは心許ないです。
大きなデータを保存せず、SSDはほぼOS動作用ということなら問題はないと思いますが、ストレージ容量は耐久性にも影響するので、SSD容量も出来るだけ活用しつつ長期間使いたいなら256GBは微妙かなと思います。

また、最後に少しお聞きしたいのですが、最近ではミニPCと呼んだりする、小さめの弁当箱くらいの大きさでコスパの良いPCが結構出ているのですが、それ+ディスプレイとケーブル1,2本という形は満足できない感じでしょうか?

液晶一体型もメリットはありますし、デメリットも理解しているようなので絶対止めろと言う気はないですが、機械的なデメリットを抜きにしても、やはり選択肢が少ないこともあってコスパ的に劣ることが多いのがネックだったりするので、ミニPC許容できるならコスパは大きく改善できると思います。

返信する
Ruru

さっそくのお返事ありがとうございます。
やはりVega搭載Ryzenは避けたほうが良いのですね。。
LenovoやDELLも見てはいたのですが、個人的にLenovoはあまり好きではなく、DELLの口コミで画面がガビガビする・音響がよくないというのを見てHPに絞っていました。

Core VS Ryzenの比較もありがとうございます。
ストレージ容量については、Ryzenを避けたところでSSD256GBはどうなのか?と私も気になっていたところでした。やはり心許ないのですね。
今使用している機種がCドライブ852GBと謎に大容量で、買い替えるのにそれより少ない512GBになるのはどうなのか?と思い、SSD+HDDだったりSSD1TBなどで探していると選択肢がほとんどなく。。
HDDがなくても、SSD512GBあれば長く使えるものでしょうか?今のPCは画像や動画をため込んで300GBほど使っています。

ミニPCやモニター裏にくっつけられる形のものも少し見ていて、このくらいの省スペースであれば必ずしも一体型でなくてもよいと考えています。
ただ、HPと同等くらいのスペックでミニPC+モニター(+スピーカー)で10万弱のコスパのものが私では見つけられず、それならHPの一体型でいいのではと思ってしまって。。
ミニPCのメーカーも聞きなれないものが多く、初心者にセッティングできるのかも不安で、変に一体型に固執しているところがあります。

改めての用途と希望ですが、
・YouTube視聴・ブラウジング(ゲームもやってみたいが出来なければ諦める)
・Switchを繋げるためHDMI入力が欲しい
・DVD鑑賞・CD取り込みのため光学ドライブを外付け予定
・省スペースで長く使いたい
上記の要件で予算10万弱で、おすすめのミニPCや構成がありましたらご教示いただきたいです。
質問というよりわがままな相談になってしまいました、すみません。。

返信する
とねりん:管理人

Vega搭載Ryzenも処理性能自体のコスパは良いですし、現状はAV1動画が主流って訳でもないので、一概に悪いって訳ではないんですけどね…。あくまで私的な意見ですが、おすすめはできないかなと思います。

ストレージの寿命について明確なことを言うのは難しいですが、メイン機としての長期利用でSSD512GBだけは安心とは言えない容量だと思いますし、容量に不安を抱えたまま長期利用するのも微妙かなと思います。

一応、ミニPC自体が小型化に特化しているため、長期利用でも安心と断言まではできませんが、おすすめの製品があって、

Minisforum UM773 SE/ Lite
https://store.minisforum.jp/collections/all-product/products/minisforum-um773-lite
【SEの構成】
Ryzen 7 7735HS/16GB/512GB ¥67,980
Ryzen 7 7735HS/32GB/512GB ¥74,380
Ryzen 7 7735HS/32GB/1TB ¥77,580

上記の商品などいかがでしょうか?
ミニPCですがポート類は豊富ですし、プラス2~3万円使えればモニターやスピーカーも高いものでなければ揃えられると思います。
また、筐体の蓋の裏にSATAのSSD/HHDを増設することが可能になっているので、ストレージ面の懸念も軽減されると思います。

性能についても、CPUの性能も候補に挙がっていた「Core i5-12400T」や「Ryzen 7 5825U」より高性能ですし、
内蔵GPUに関しては現状ではかなり高性能な部類なので、ゲームも軽めのものなら快適なはずです。

返信する
Ruru

お返事ありがとうございます!
おすすめミニPC拝見しました。桜色にちょっと驚きましたがw こんなにコンパクトでコスパ良いものがあるんですね。確かにこれなら予算内に収まりそうです。ゲームができるのも魅力的です。
ただ如何せん初心者なもので、セッティングやトラブル時のサポート面に不安があります。。
中華メーカーの評判も良し悪しのようですし…(Minisforumは大丈夫そうですが)
ですがこちらで伺わなければ考えもしなかった選択肢なので、とても参考になりました。

Vega搭載Ryzenの件やストレージ容量についてアドバイスを参考にし、ミニPCも視野に入れてもう少し検討しようと思います。
素人質問に丁寧にお答えいただき、ありがとうございました!大変助かりました。

返信する
とねりん:管理人

セールで値下がりしているのを少し前に見まして、実は今回の相談を貰ったときに良さそうだなと思っていました。
シンプルな黒っぽいやつも選択できるかと思うので、桜がちょっと…という場合はそちらでも良いと思います(黒の方が少し安いです)。
あと、仰っていたようなモニター裏にも取り付けられるよう、VESAマウンタが付属しているらしいので、実質液晶一体型みたいな使い方も可能だと思います。

確かに、Minisforumが台頭してきたのはここ数年ということもあり、サポート面の不安は拭えないかと思います。
ただ、国内の代理店はあるメーカーでこのコスパの良さは他では中々ないと思うので、それを考慮しても魅力が勝つかなと思いました。

お力添えできたなら幸いです。また何かありましたらお気軽にお尋ねください。

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