モバイル版の「Ryzenシリーズ」の世代別の特徴比較です。
基本的に最新のものから数世代くらいをピックアップして載せていこうと思います。現在掲載しているのは、Ryzen AI 300 / Ryzen 8000 / Ryzen 7000 / 6000 の4シリーズです。
はじめに
本題に入る前にいくつかの項目について先に触れています。
省電力モデルが対象
本記事ではモバイル版で最も主流な省電力モデル(デフォルトTDP:15W~30W)に焦点を当てて見ていきます(例:Ryzen 7 8840U)。35W以上の末尾Hについては対象外となっているため注意してください(ただし、電力面以外の仕様はほとんど同じです)。
Ryzenの頭の数字は世代番号ではない点に注意
モバイル版のRyzenを見る上でまず注意しなければならないのは、従来は世代番号として扱われてきた頭の数字が世代番号ではなくなっている点です。これは始めに覚えておいた方が良いです。要するに、同じRyzen 7000シリーズでも新しいアーキテクチャのモデルと古いモデルが混在しています。
Ryzen 7000シリーズから命名規則が変更されており、たとえば、「Ryzen 7000シリーズは2023年向けモデル」で「Ryzen 8000シリーズは2024年向けモデル」といった感じになっています。
そして、7000/8000シリーズでは「下から2桁目の数字が世代番号」となっています。たとえば、「Ryzen 7 7840U」の場合は下から2桁目は「4」なので、「Zen 4」アーキテクチャで、「Ryzen 7 7730U」なら「Zen 3」といった形です。また、最後の数字が5となっている場合は改良版となっていて、たとえば「Ryzen 7 7735U」なら「Zen 3+」といった感じです。
しかし、Ryzen 7000シリーズからはこの命名規則(ターゲット年数)で統一するのかと思いきや、2024年半ばに「Ryzen AI 300シリーズ」という全く異なる命名規則を採用したりなど、正直もう命名規則を気にするのは止めた方が良いレベルで統一感が無くなってしまっています。
常にPC市場を観察している人でなければ、CPU名だけで世代やグレードを見分けるのは困難になっているので、ベンチマークや仕様を個別に調べるのが良いかなと思います。
内蔵GPU「Vega」は古くAV1対応がないため注意
Ryzenの内蔵GPUの一つである「Vega」は「AV1」映像コーデックに対するデコード機能を持たない点に注意が必要です。「AV1」映像コーデックはロイヤリティフリーかつ圧縮率が高いということで、各動画サイトでも採用率が急増している将来性が特にあると言われている映像コーデックです。
AV1で圧縮された動画を観る際には、GPUにAV1のハードウェアデコード機能が無いと非常に効率が悪いので、今から新規で購入するPCでは出来ればデコードに対応しておきたいですのですが、「Vega」は「AV1」のハードウェアデコード機能がないのがちょっと微妙です(Vegaが2017年初登場の古いアーキテクチャ採用のGPUであることが起因)。
コーデックとAV1については下記に補足説明を載せておくので、興味がある方はそちらも良ければご覧ください。
AFMF(ゲームのフレーム生成機能)もVegaは非対応
Ryzenの内蔵GPUのゲーム性能を重視したい方は、「AFMF」というフレーム生成機能が非常に魅力的なのですが、これもVegaでは対応していません。
簡易比較表
本記事で取り扱うRyzen 6000~8000シリーズの主要モデルについての簡易比較表です。末尾U省電力モデル限定です。
この後にも色々と触れていきますが、細かく知りたい訳でなく各モデル同士の比較を自分でしたいという場合には下記の表だけでも正直十分かなと思いますので、先に載せておきます。評価については搭載製品の価格なども考慮した筆者の主観によるものなので、参考程度に見てください。
CPU | 評価 | Cinebench R23 Multi | 世代 | コア | スレッド | クロック 定格 – 最大 | TDP | 内蔵GPU |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | 22246 | Zen 5 Zen 5c | 12 (4+8) | 24 | 2.0 – 5.1 GHz 2.0 – 3.3 GHz | 28W~54W | Radeon 890M | |
Ryzen AI 9 365 | 19189 | Zen 5 Zen 5c | 10 (4+6) | 20 | 2.0 – 5.0 GHz 2.0 – 3.3 GHz | 28W~54W | Radeon 880M | |
Ryzen 7 8840U | 13450 | Zen 4 | 8 | 16 | 3.3 – 5.1 GHz | 28W | Radeon 780M | |
Ryzen 7 7840U | 12884 | Zen 4 | 8 | 16 | 3.3 – 5.1 GHz | 28W | Radeon 780M | |
Ryzen 7 7730U | 11490 | Zen 3 | 8 | 16 | 2.0 – 4.5 GHz | 15W~28W | Radeon RX Vega 8 | |
Ryzen 7 6800U | 10779 | Zen 3+ | 8 | 16 | 2.7 – 4.7 GHz | 15W~28W | Radeon 680M | |
Ryzen 5 8640U | 10675 | Zen 4 | 6 | 12 | 3.5 – 4.9 GHz | 28W | Radeon 760M | |
Ryzen 5 7640U | 10675 | Zen 4 | 6 | 12 | 3.5 – 4.9 GHz | 28W | Radeon 760M | |
Ryzen 7 7735U | 10085 | Zen 3+ | 8 | 16 | 2.7 – 4.75 GHz | 28W | Radeon 680M | |
Ryzen 5 7535U | 9814 | Zen 3+ | 6 | 12 | 2.9 – 4.55 GHz | 28W | Radeon 660M | |
Ryzen 5 8540U | 9632 | Zen 4 | 6 | 12 | 3.2 – 4.9 GHz | 28W | Radeon 740M | |
Ryzen 5 7530U | 9284 | Zen 3 | 6 | 12 | 2.0 – 4.5 GHz | 15W~28W | Radeon RX Vega 7 | |
Ryzen 5 6600U | 8977 | Zen 3+ | 6 | 12 | 2.9 – 4.5 GHz | 15W~28W | Radeon 660M | |
Ryzen 3 7335U | ? | Zen 3+ | 4 | 8 | 3.0 – 4.3 GHz | 15W~28W | Radeon 660M | |
Ryzen 5 7520U | 5149 | Zen 2 | 4 | 8 | 2.8 – 4.3 GHz | 8W~15W | Radeon 610M | |
Ryzen 3 7330U | ? | Zen 3 | 4 | 8 | 2.3 – 4.3 GHz | 15W~28W | Radeon RX Vega 6 | |
Ryzen 3 7320U | ? | Zen 2 | 4 | 8 | 2.4 – 4.1 GHz | 8W~15W | Radeon 610M |
命名規則や世代について
Ryzen 7000シリーズ以降は命名規則が変更となっているので、AMD公式が発表した命名規則について表にまとめたものを下記に示しておきますので、参考までにご覧ください。※Ryzen AI 300シリーズの登場で変更となった可能性があるため参考までに
モデル | 年 | 市場区分 | アーキテクチャ | 上下 | 英字/TDP |
---|---|---|---|---|---|
千の位 | 百の位 | 十の位 | 一の位 | 末尾 | |
Ryzen 9 Ryzen 7 Ryzen 5 Ryzen 3 Athlon | 9:2025年 8:2024年 7:2023年 | 9:Ryzen 9 8:Ryzen 7 / 9 7:Ryzen 7 6 / 5:Ryzen 5 4 / 3:Ryzen 3 2:Athlon Gold 1:Athlon Silver | 1:Zen / Zen+ 2:Zen 2 3:Zen 3 / Zen 3+ 4:Zen 4 5:Zen 5 | 0:下位 5:上位 | HX:55W+ HS:~35W+ U:15W~28W C:15W~28W (Chromebook向け) e:9W |
以下からは各シリーズ別に見ていきます。
ベンチマークスコア
対抗製品となるInteのCoreシリーズの主流モデルも含めたベンチマークスコアです。参考にご覧ください。オレンジ色のバーがRyzenで、青色のバーがCoreとなっています。
マルチコア性能
CPU | スコア |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | 22246 |
Ryzen AI 9 365 | 19189 |
Core Ultra 7 155H | 14654 |
Core Ultra 9 288V | 13401 |
Ryzen 7 8840U | 12972 |
Ryzen 7 7840U | 12884 |
Core Ultra 5 125H | 11293 |
Core Ultra 7 258V | 11196 |
Core i7-1360P | 10997 |
Core i5-1340P | 10921 |
Core Ultra 7 165U | 10797 |
Ryzen 5 8640U | 10675 |
Ryzen 5 7640U | 10675 |
Core Ultra 7 256V | 10580 |
Ryzen 7 6800U | 10297 |
Ryzen 7 7735U | 10085 |
Ryzen 7 7730U | 9908 |
Core Ultra 5 226V | 9867 |
Ryzen 5 8540U | 9635 |
Core 7 150U | 9670 |
Core i7-1260P | 9603 |
Core 5 120U | 9114 |
Core i7-1355U | 9071 |
Core i5-1335U | 8349 |
Core Ultra 5 125U | 8320 |
Core i5-1240P | 8273 |
Ryzen 5 7530U | 8081 |
Ryzen 5 6600U | 8018 |
Core i7-1255U | 7904 |
Core i5-1235U | 7634 |
Core 3 100U | 6553 |
Core i3-1315U | 6187 |
Core i3-1215U | 5802 |
シングルコア性能
CPU | スコア |
---|---|
Core Ultra 9 288V | 1967 |
Ryzen AI 9 HX 370 | 1953 |
Ryzen AI 9 365 | 1926 |
Core 7 150U | 1904 |
Core Ultra 7 258V | 1886 |
Core Ultra 7 256V | 1886 |
Core 5 120U | 1881 |
Core i7-1360P | 1821 |
Core i7-1355U | 1794 |
Core Ultra 5 226V | 1780 |
Core i7-1260P | 1778 |
Core i7-1255U | 1775 |
Core 3 100U | 1760 |
Ryzen 7 8840U | 1755 |
Core Ultra 7 155H | 1749 |
Ryzen 5 8640U | 1743 |
Ryzen 5 8540U | 1743 |
Ryzen 7 7840U | 1719 |
Core i5-1340P | 1710 |
Core Ultra 5 165U | 1706 |
Core i5-1335U | 1685 |
Core Ultra 5 125H | 1683 |
Core Ultra 5 125U | 1679 |
Core i5-1240P | 1663 |
Core i3-1315U | 1663 |
Core i5-1235U | 1649 |
Core i3-1215U | 1633 |
Ryzen 5 7640U | 1552 |
Ryzen 7 7735U | 1490 |
Ryzen 7 6800U | 1480 |
Ryzen 7 7730U | 1435 |
Ryzen 5 7530U | 1428 |
Ryzen 5 6600U | 1425 |
内蔵GPU性能(ゲーム)
GPU名称 搭載CPUの例 | スコア |
---|---|
Intel Arc 140V Core Ultra 7 258V 等 | 4118 |
Radeon 890M Ryzen AI 9 HX 370 等 | 3581 |
Iris Xe 8コア (128EU) Core Ultra 7 155H 等 | 3446 |
Intel Arc 130V Core Ultra 5 226V 等 | 3242 |
Radeon 880M Ryzen AI 9 365 等 | 3190 |
Iris Xe 7コア (112EU) Core Ultra 5 125H 等 | 3108 |
Radeon 780M Ryzen 7 8840U 等 | 2779 |
Radeon 680M Ryzen 7 6800U 等 | 2400 |
Radeon 760M Ryzen 5 8640U 等 | 2116 |
Iris Xe 4コア (64EU) Core Ultra 7 165U 等 | 1766 |
Iris Xe G7 96EU (~1400MHz) Core i7-1260P 等 | 1756 |
Iris Xe G7 96EU (~1300MHz) Core i7-1165G7 等 | 1589 |
Radeon 660M Ryzen 5 6600U 等 | 1558 |
Radeon 740M Ryzen 5 8540U 等 | 1534 |
Iris Xe G7 96EU(-950MHz) Core i7-1250U 等 | 1270 |
Iris Xe G7 80EU(-1300MHz) Core i5-1240P 等 | 1244 |
Radeon RX Vega 8 Ryzen 7 7730U 等 | 1173 |
Radeon RX Vega 7 Ryzen 5 7530U 等 | 1054 |
UHD Xe 64EU Core i3-1220P | 1049 |
Iris Xe G7 80EU(-850MHz) Core i5-1230U | 941 |
Radeon RX Vega 6 Ryzen 3 5300U | 839 |
UHD G4 48EU Core i3-1115G4 | 646 |
電力効率(CPU)
CPU | スコア |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370(33W) | 54.9 |
Ryzen 7 7840U | 48.0 |
Ryzen 7 6800U | 40.2 |
Core Ultra 7 155H | 31.5 |
Core Ultra 5 125H | 30.0 |
Ryzen 5 6600U | 29.9 |
Ryzen 7 7730U | 29.0 |
Ryzen 5 7530U | 28.8 |
Core i7-1260P | 28.4 |
Core i5-1240P | 28.4 |
Core i7-1355U | 27.7 |
Core i7-1360P | 25.5 |
Core i7-1255U | 25.0 |
Core i5-1235U | 24.4 |
Core i3-1215U | 17.4 |
各シリーズ
Ryzen AI 300シリーズ
Ryzen AI 300シリーズ(2024年6月時点) | |||
アーキテクチャ | Zen 5 + Zen 5c | ||
---|---|---|---|
プロセス | 4nm(TSMC) | ||
コア | 10~12コア | ||
スレッド | 20~24スレッド | ||
内蔵GPU(iGPU) | Radeon 800M (RDNA 3.5) | ||
対応メモリ | DDR5 |
CPU | 評価 | Cinebench R23 Multi | 世代 | コア | スレッド | クロック 定格 – 最大 | デフォルトTDP | 内蔵GPU |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | 22246 | Zen 5 Zen 5c | 12 (4+8) | 24 | 2.0 – 5.1 GHz 2.0 – 3.3 GHz | 28W~54W | Radeon 890M | |
Ryzen AI 9 365 | 19189 | Zen 5 Zen 5c | 10 (4+6) | 20 | 2.0 – 5.0 GHz 2.0 – 3.3 GHz | 28W~54W | Radeon 880M |
Ryzen AI 300:高性能NPU(AIユニット)と小型コア「Zen 5c」採用の最新鋭CPU
Ryzen AI 300シリーズは、2024年6月発表されたシリーズで、CPUアーキテクチャには「Zen 5」が採用されています。
残念ながら、2024年8月時点では非常に高価な10コア以上のハイエンドモデルのみの投入となっているため、予算重視の場合には選択肢から外れる点に注意です。
特徴としては、まず名前に「AI」と含まれていることからも分かる通り、50TOPS~の高いAI処理性能を誇るNPUを搭載しています。これにより、Windowsに統合されたAI機能を使うためのCopilot+ PCの要件「40TOPS」をクリアしました。
また、小型コアの「Zen 5c」を採用したのもポイントです。高性能な「Zen 5」コアと小型の「Zen 5c」コアの2種類を採用という形になっています。
これにより、8コアから中々増やせなかったコア数を増やすことに成功し、最上位モデルでは12コアを搭載します。また、他の主要CPUとは異なり、小型コアでも1コア2スレッドのSMTを採用しているため、コア数の割に微妙な性能ということもなく、マルチスレッド性能は非常に優れています。
最上位モデルは12コア24スレッドとなり、最大54Wとは思えない非常に優れたマルチスレッド性能を発揮し、効率も非常に優れているため、マルチスレッド性能の効率を重視するなら非常に強力なCPUシリーズとなっています。
また、内蔵GPUには「RDNA 3.5」アーキテクチャ採用がされており、前世代の「RDNA 3」から少し向上したことが伺えます。しかも、前世代まではGPUのCU(コンピューティングユニット)数は最大12(Radeon 780M)でしたが、Ryzen AI 300シリーズでは最大16CUの「Radeon 890M」が採用されており、該当モデルでは更に一段高いグラフィック性能を発揮します。ゲームのベンチマークでは「GeForce GTX 1650」を少し上回るスコアを記録するなど、少し前のエントリーグラボ並みの性能を発揮します。
ゲームのフレーム生成機能である「AFMF」の登場などもあり、前世代の時点で重いゲームにも対応できる性能を持っていましたが、それが更に強化されています。
さすがにまだ重量級ゲームを高い設定&高fpsでプレイというのは厳しいものの、高いレベルを求めなければ割と不自由なく対応できるようになったかなと思います。
総合的に見て、各種性能が全体的に大きく底上げしつつ、高いAI性能も備えた、2024年時点で最新鋭の超高性能CPUです。
搭載PCがものすごく高価なので、おすすめできる人は限られますが、AIとグラフィック性能も含めた出来るだけ高い性能と優れた電力面を兼ね備えたPCが欲しい場合には非常におすすめできるCPUだと思います。
Ryzen 8000シリーズ
Ryzen 8000シリーズ(2024年3月時点) | |||
アーキテクチャ | Zen 4 | ||
---|---|---|---|
プロセス | 4nm(TSMC) | ||
コア | 4~8コア | ||
スレッド | 8~16スレッド | ||
内蔵GPU(iGPU) | Radeon 700M (RDNA 3) | ||
対応メモリ | DDR5 |
CPU | 評価 | Cinebench R23 Multi | 世代 | コア | スレッド | クロック 定格 – 最大 | デフォルトTDP | 内蔵GPU |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 8840U | 13450 | Zen 4 | 8 | 16 | 3.3 – 5.1 GHz | 28W | Radeon 780M(12CU) | |
Ryzen 5 8640U | 10675 | Zen 4 | 6 | 12 | 3.5 – 4.9 GHz | 28W | Radeon 760M(8CU) | |
Ryzen 5 8540U | 9632 | Zen 4 Zen 4c | 6 | 12 | 3.2 – 4.9 GHz | 28W | Radeon 740M(4CU) |
Ryzen 8000:2024年4月時点ではZen 4モデルのみ。非常に優れた内蔵GPUと効率が魅力
Ryzen 8000シリーズは、2024年をターゲットにしたシリーズです。2024年4月時点では「Zen 4」モデルしか登場しておらず、モデル数は非常に少ないです。基本的には「Ryzen 7040」のAI処理性能とIPCが向上した以外は同様のCPUです。
「Zen 4」は内蔵GPUに「RDNA 3」アーキテクチャの「Radeon 700Mシリーズ」を採用しているため、内蔵GPUにしては非常に優れたグラフィック性能を持つのが魅力です。Ryzen 7 8840U搭載の「Radeon 780M(12CU)」の場合、ゲームのベンチマークでは「GeForce GTX 1650」を少し下回る程度のスコアを示しており、重めのゲームや動画編集も可能なレベルに達しています。
ただし、Ryzen 5ではGPUもコア数が削減されている点に注意です。「Ryzen 5 8640U」の「Radeon 760M(8CU)」なら、性能低下率は小さめですが、「Ryzen 5 8540U」の「Radeon 740M(4CU)」ではGPUのコア数がRyzen 7の3分の1しかないので、グラフィック性能は高くはないレベルになる点には注意です。重い処理は無理なレベルになります。
また、「Ryzen 5 8540U」は8640Uや8840Uと違ってNPU(Ryzen AI)を搭載しないというデメリットもあるので、出来れば「Ryzen 5 8640U」以降のモデルがおすすめです。効率も非常に優れていますし、ビデオカード搭載機と違って薄型・軽量化・バッテリー性能にも障害がないので、モバイル性能にも優れた様々な用途に使えるノートPCが欲しい場合には非常に魅力的です。
価格が全体的にやや高価なのはネックですが、それでも競合製品である「Core Ultra シリーズ1 H(Core Ultra 7 155H 等)」よりはやや安価なので、総合コスパは優れていると思います。
2024年4月現在では搭載機は少ないですが、思ったよりも安い機種も多くておすすめできます。
また、「Ryzen 5 8540U」に関しても、効率は非常に優れていますし、内蔵GPUもVegaよりは高性能かつAV1サポートもあるので、安価なら「Ryzen 5 7530U」よりは優れた選択肢なので覚えておくと良いかもです。
Ryzen 7000シリーズ
Ryzen 7000シリーズ | |||
アーキテクチャ | Zen 2 ~ Zen 4 | ||
---|---|---|---|
プロセス | 4nm~7nm(TSMC) | ||
コア | Zen 2以外:4~8コア Zen 2:2~4コア(Ryzen 5まで) | ||
スレッド | Zen 2以外:8~16スレッド Zen 2:4~8スレッド(Ryzen 5まで) | ||
内蔵GPU(iGPU) | Radeon 700M (RDNA 3) Radeon 600M (RDNA 2) Radeon RX Vega | ||
対応メモリ | Zen 2, 3+, 4:DDR5 Zen 3:DDR4 |
CPU | 評価 | Cinebench R23 Multi | 世代 | コア | スレッド | クロック 定格 – 最大 | デフォルトTDP | 内蔵GPU |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 7730U | 11470 | Zen 3 | 8 | 16 | 2.0 – 4.5 GHz | 15W | Radeon RX Vega 8 | |
Ryzen 7 7735U | 10085 | Zen 3+ | 8 | 16 | 2.7 – 4.75 GHz | 28W | Radeon 680M(12CU) | |
Ryzen 5 7535U | 9814 | Zen 3+ | 6 | 12 | 2.9 – 4.55 GHz | 28W | Radeon 660M(6CU) | |
Ryzen 5 7530U | 8479 | Zen 3 | 6 | 12 | 2.0 – 4.5 GHz | 15W | Radeon RX Vega 7 | |
Ryzen 5 7520U | 5149 | Zen 2 | 4 | 8 | 2.8 – 4.3 GHz | 8W~15W | Radeon 610M(2CU) | |
Ryzen 3 7335U | ? | Zen 3+ | 4 | 8 | 3.0 – 4.3 GHz | 28W | Radeon 660M(6CU) | |
Ryzen 3 7330U | ? | Zen 3 | 4 | 8 | 2.3 – 4.3 GHz | 15W | Radeon RX Vega 6 | |
Ryzen 3 7320U | ? | Zen 2 | 4 | 8 | 2.4 – 4.1 GHz | 8W~15W | Radeon 610M(2CU) |
記事執筆時(2023年2月)にはRyzen 7000シリーズは市場にまだほとんど登場していませんが、末尾U(TDP:15W~28W)の今後主流になると思われるモデルの主要な仕様を雑に並べています。同シリーズ内での比較にお使いください。
未登場の状態でもアーキテクチャはほとんどが既存のものなので、性能や価格に大体の推測が出来ます。そのため、それを基に評価も先駆けて掲載しています。後に変更となるかもしれませんので、参考程度にご覧ください。未掲載のZen 4モデルは詳細な仕様が判明次第掲載します。
Ryzen 7000:Zen 2~Zen 4 が混在するカオスなシリーズ
Ryzen 7000シリーズは2023年をターゲットにしたRyzenです。注意すべき点はアーキテクチャ的には古いものも多数となっており、内部的には新しいとは限らない点に注意です。
CPUのアーキテクチャが「Zen 2 / Zen 3 / Zen 3+ / Zen 4」と4つが混在しているのに加え、内蔵GPUについても「Vega / RDNA 2 / RDNA 3」の3つが混在しているという、非常に混沌としたシリーズになっています。
しかも、後述の命名規則が複雑かつ分かりにくく、場合によってはRyzen 5よりもRyzen 3の方が高性能だったりなどのケースもあり得ます。Ryzen 7000シリーズを選択する際には名前には要注意です。
基本的には、下から2桁目(十の位)がZenの世代を表しているので、そこを見ると分かり易いです。まとめると下記のようになります。
シリーズ | アーキテクチャ | モデル | 内蔵GPU |
---|---|---|---|
Ryzen 7020 | Zen 2(Mendocino) | Athlon~Ryzen 5 | Radeon 610M(RDNA 2) |
Ryzen 7030 | Zen 3(Barcelo-R) | Ryzen 3~Ryzen 7 | Radeon RX Vega |
Ryzen 7035 | Zen 3+(Rembrant-R) | Ryzen 3~Ryzen 9 | Radeon 600Mシリーズ(RDNA 2) |
Ryzen 7040 | Zen 4(Phoenix) | Ryzen 3~Ryzen 9 | Radeon 700Mシリーズ(RDNA 3) |
Ryzen 7045 | Zen 4(Dragon Range) | Ryzen 5~Ryzen 9 | Radeon 700Mシリーズ(RDNA 3) |
2024年時点では、新しいアーキテクチャと言えるのはZen3 +かZen 4採用のものに限られます。特に内蔵GPU性能はZen 3+以降とそれ以前でかなり差があるので、内蔵GPU性能重視なら「Ryzen 7035 / 7040 / 7045」のどれかを選ぶようにしましょう。
内蔵GPUも高い「Zen 3+(7035)」か「Zen 4(7040)」モデルがおすすめ
Ryzen 7000シリーズでの一番のおすすめは、「Zen 3+(7035)」もしくは「Zen 4(7040)」採用のモデルです。Ryzen 7 7735UやRyzen 7 7840Uなどですね。
特に魅力なのは内蔵GPU性能です。Zen 3+以降で採用される「RDNA 2 / RDNA 3」アーキテクチャの内蔵GPU性能は、それ以前と比べて飛躍的に性能が向上しており、やや重めのゲームや動画編集もビデオカード無しで一応対応できるレベルにまで到達しています。
ビデオカード搭載機と違って薄型・軽量化・バッテリー性能にも障害がないので、モバイル性能にも優れた様々な用途に使えるノートPCが欲しい場合には非常に魅力的です。効率も優れており、非常に汎用性に優れた優秀なCPUです。Zen 4モデルではAI処理用のNPUも搭載します(Ryzen AI)。将来性を考えても魅力的な仕様です。そのため、基本的には下2桁が「35 / 40 /45」のモデルを選ぶのを最優先としたいです。
しかし、実はCPUのマルチスレッド性能に関してはZen 3以降では実はどれも大差がないです。そのため、グラフィック性能を重視しないマルチスレッド性能コスパ重視なら、安価な「Zen 3(7030)」モデルも、やや古い世代ながら非常に強力です。なのですが、内蔵GPUが古いVegaのものとなっているため、グラフィック性能が低いだけでなくAV1というコーデックへのサポートが無いため、将来性的にはやや微妙な選択という点に注意が必要です。AV1デコード機能がないと、AV1形式でエンコードされた高画質動画を観る際などに、ネックとなる可能性があります。
最後に、一番古いアーキテクチャの「Zen 2」採用モデルですが、これは正直少し罠っぽいモデルです。なぜかというと、Ryzen 5でもコア数が4だからです。ここしばらく「Ryzen 5 = 6コア」のモデルしかなかった中で、いきなり4のモデルが出るのはさすがにどうかなと思います。当然マルチスレッド性能は他のRyzen 5よりも明らかに低く、おまけにグラフィック性能も低いです。Web閲覧やオフィス程度の軽作業なら十分な性能ではありますが、コスパ的にはあまり良くはないです。
ただし、内蔵GPUには古いVegaではなく「RDNA 2」の「Radeon 610M」が採用されている点は評価できます。CU数が2と少なく処理性能は低いものの、元々CPUのコア数的に軽作業前提のCPUですから、新しいコーデックに対応している上に最適化が続く「RDNA 2」採用は嬉しいです。また、コア数が少なくTDPが低く設定されているため省電力性は高く、GPUもCU数が少なくCU数が少ないのも消費電力削減に貢献すると思われますから、長寿命バッテリーを魅力に思う場合には非常に優れています。そのため、重い処理を考慮しないのであればVega採用の「Zen 3」モデルよりは「RDNA 2」の内蔵GPU搭載の「Zen 2」モデルの方がおすすめです。
各モデルについての所感は以上です。最後に改めて結論を載せておくと、基本的には「Zen 3+」か「Zen 4」モデル(Ryzen 7 7735U、7840U 等)を選ぶのが無難です。強力な内蔵GPUと効率による汎用性で将来性にも優れる優秀なCPUです。
しかし、価格はやや高価ではあるので、マルチスレッド性能コスパのみを見るなら「Zen 3」モデル(Ryzen 7 7730U)が一番良いです。内蔵GPUがVegaなので、AV1デコードに対応しない点は注意ですが、そこを割り切れるなら悪くない選択肢です。
Ryzen 6000シリーズ
Ryzen 6000シリーズ | |||
アーキテクチャ | Zen 3+ | ||
---|---|---|---|
プロセス | 6nm(TSMC) | ||
コア | Ryzen 7 / 9:8コア Ryzen 5:6コア | ||
スレッド | Ryzen 7 / 9:16スレッド Ryzen 5:12スレッド | ||
内蔵GPU(iGPU) | Radeon 600M (RDNA 2) | ||
対応メモリ | DDR5 |
CPU | 評価 | Cinebench R23 Multi | 世代 | コア | スレッド | クロック 定格 – 最大 | TDP | 内蔵GPU |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 PRO 6860Z | 11822 | Zen 3+ | 8 | 16 | 2.7 – 4.75 GHz | 15W~28W | Radeon 680M(12CU) | |
Ryzen 7 PRO 6850U | 10779 | Zen 3+ | 8 | 16 | 2.7 – 4.7 GHz | 15W~28W | Radeon 680M(12CU) | |
Ryzen 7 6800U | 10779 | Zen 3+ | 8 | 16 | 2.7 – 4.7 GHz | 15W~28W | Radeon 680M(12CU) | |
Ryzen 5 PRO 6650U | 8977 | Zen 3+ | 6 | 12 | 2.9 – 4.5 GHz | 15W~28W | Radeon 660M(6CU) | |
Ryzen 5 6600U | 8977 | Zen 3+ | 6 | 12 | 2.9 – 4.5 GHz | 15W~28W | Radeon 660M(6CU) |
Ryzen 6000:Zen 3+のみのため一番手放しでおすすめできるけど、搭載製品が少ない
Ryzen 6000シリーズは2022年発表のシリーズです。複数のアーキテクチャが混在する5000および7000シリーズと異なり「Zen 3+」のみの構成となっているため分かり易いです。
プロセスは前世代までの7nmから6nmへとわずかに微細化されました。進歩ではありますが大きな差ではないので、ここはそこまで気にする部分でもないかなと思います。
また、「Zen 3」や「Zen 2」から変わった最も大きい点は、内蔵GPUのアーキテクチャが「Vega」から「RDNA 2」に変わったことです。「Vega」は初出が2017年の古いアーキテクチャということもあり、最新のものと比べると電力効率やAV1対応の点で明らかに劣るのが弱点でしたが、「RDNA 2」では電力効率および性能が格段に向上し、AV1デコードにも対応しています。特にモバイル端末にとっては非常に大きな向上となりました。
Ryzen 7以降で搭載される内蔵GPU「Radeon 680M」のゲーミング性能は「GTX 1050 Ti(モバイル版)」にも匹敵するレベルとなったのがポイントです。重いゲームはやはり快適とは言えないまでも、特に重い部類のものでなければ動作自体は大体可能というレベルの性能に達しました。従来は内蔵GPUで重い3Dゲームはプレイすることが不可能というのが常識でしたが、それを覆す非常に革新的な内蔵GPUとなりました。これで電力効率も非常に優れていますから、モバイル端末向けとしては非常に素晴らしいです。
また、このことに目を付けられて、Steam Deckなどを代表とする「ゲーミングUMPC」というNintendo Switchのようなポータブルゲーミングデバイスが多数登場しています。ただし残念なのは、思ったほどノートPCでの採用が無かったことです。2023年2月に、AMDのCEOから需要低下を避けて価格を維持するためにチップの供給を制限していたと明かされたこともあり、供給についてはAMDの匙加減ではあります。とはいえ、現状はPC以外にも需要がありチップが流れてしまっているためノートPCでの採用が少ないのは確かだと思うため、今後の供給の動きも気になるところです。
「Ryzen 5000 / 7000」と異なりアーキテクチャが一律で「Zen 3+」という良いものである「Ryzen 6000シリーズ」は一番手放しでおすすめできるのですが、そもそも選択肢に挙げることが難しいのが非常に残念です。
とはいえ、採用製品が全くない訳でもないので、各CPUの見極めが厳しいと感じる方は「Ryzen 6000シリーズ」に絞って探してみるのも一つの手かなと思います。
ちなみに、内蔵GPUの性能は高いものの、内蔵のため専用のビデオメモリ(VRAM)を持たないため、データ量の多い動画編集などではまだ単体のGPU(グラボ)には基本劣る点は注意です。データ量の多い動画編集をメイン用途とするなら、やはりグラボ搭載機をおすすめします。とはいえ、Ryzen 6000からはDDR5メモリにも対応して帯域幅も向上しているため、高速なDDR5メモリを大容量搭載すれば、エントリーレベルのグラボで出来ることくらいなら出来るとは思います。
PRO版は主に企業向けの機能が追加されているだけで、物理的には基本同じで性能も同等なので、実質的に「Ryzen 7 6800U」と「Ryzen 7 6600U」の2モデルという感じになります。
仕様的にほぼ最新と言っても良い「Zen 3+」採用で、内蔵GPUもRadeon 600Mシリーズ(RDNA 2)となっており良いので、どちらもおすすめできるモデルです。ただし、上述の問題もあって採用製品が思ったより少ないため、そもそも選択肢に挙がってこないのが残念なところです。
とはいえ、全くない訳でもないので、Ryzen 5000や7000で優れたモデルを見極めたり探すのが面倒という人は、Ryzen 6000を探すと失敗は無いかなと思います。特に「Ryzen 7 6800U」は処理性能が高いのはもちろん、電力効率も対抗の第12世代Coreよりも明らかに優れているため、バッテリー性能重視なら非常におすすめです。
といった感じで記事は以上になります。必要があれば色々と修正・加筆を行う予定なので、何か気になった点やこうした方が良いなどあればコメントで教えて頂けると幸いです。
判りやすい解説で参考になりました。
海外系の自動翻訳の比較ベンチマークは直ぐに見つかるけど、Ryzenは細かい型番があり、どれがどれだか判りにくくて困っていました。
メーカーサイトも表示される内容がバラバラだし。
10万円台のビジネスモデルだと、ほぼRyzen 5一択。
7530uが多数を占める中、あえて8540uにする意味あるのか、選んでからも少し心配していましたが、こちらを見て選択は間違ってなかったと確信できました。
コア数の力押しで、少しでもゲームできるように割り切った7530uの方がいいのか、zen4でCPU性能重視の8540uがいいのか。
ゲームはしないから、少しでも長く使えそうな8540uにしたとはいえ、AV1は何故かエンコードだけでデコードに対応していないのが気になるところ。
日常ではデコードのほうが重要だと思うのだけど。
コメントありがとうございます。励みになります。
AV1デコードは現状は無くても困らない部分ではあるので、中々評価が難しい部分ですね。
また、ゲーム性能は「Ryzen 5 7530U」の「RX Vega 7」よりも「Ryzen 5 8540U」の「Radeon 740M」の方が1.5倍ほど高性能となっているので、ゲームでも8540Uの方が上なので、大丈夫です。
更に、8540Uの「Radeon 740M」を含むRadeon 600M以降(RDNA 2~)では「AFMF」というゲームのフレーム生成機能に対応しており、フレームレートを底上げできたりするので、実質のゲーム性能はもっと高くなったりします。
最後に置いていたゲームのベンチマークの位置とか、参考程度にしか触れていなかったAFMFの説明とかもっと分かり易いところに置いた方が良かったなと反省しています…。
一応取り急ぎですが、ベンチマークスコアを上の方に移しておいたので、興味があればご覧くださいませ。
「Dragon Ridge」は「Dragon Range」の誤りではありませんか。
その通りです。ご指摘感謝します。
修正いたしました。
早速の修正と御返事、ありがとうございました。
PCについての知識が豊富ではないので、とねりんさんの記事を読んで、いつも勉強させていただいています。
今回はyoutubeの映像コーデックのAV1への移行状況の見通しについて、とねりんさんの見立てをお聞きしたく、コメントしました。
昨年ノートPCを買い換えた後、本記事で映像コーデックのことを知りました。
調べたところ、そのPCの内蔵GPUがRadeon Vega 8でした。(CPUはRyzen7 5800Hです)
youtubeで動画をよく見るので、AV1への移行が急速に進むことを懸念しております。
(最低でも5年はそのノートPCを使いたいと思っているので)
8K動画などは移行されているという指摘を見ましたし、当然のことながら、今後は4KやFHDでも移行が進んでいくのは避けられませんよね。
私はだいたいFHDで視聴しているのですが、移行はどのぐらいのスピードや年数で進んでいくとお考えでしょうか?
予見が難しいことは承知で質問しております。
ご回答よろしくお願いいたします。
ご覧いただきありがとうございます。記事内での私の書き方が悪かったかもしれませんので、始めに少し補足しておこうと思います。
まず、FHD/60p程度の動画であれば、AV1デコードに対応していなくても「Ryzen 7 5800H」クラスの高性能CPUなら、CPUのみで十分ゴリ押しできるレベルだと思います。そのため、視聴が困難ということにはならないので、その点は安心して良いかと思います。
見返すと、AV1デコードが無いと論外みたいな文章になっていたので、後で修正しておこうと思います。
ただし、CPUにとっては重い処理になりますので、それなりの使用率となり消費電力と発熱が増加すると思われます。最近ではPCで動画を観ることは日常的な人が多いと思いますが、その際に常に高負荷な処理が要求されるのは、特にモバイル端末にとっては好ましくないので、事前に知っておいて少しの追加費用で対応できるならしといた方が良いよねって感じで触れたかった次第でした。
前置きが長くなりましたが、本題のAV1の移行状況についてです。
正直なところ、見当が付きません。YouTubeなどの主要動画サイトの匙加減次第ですから、申し訳ないですが、具体的な年数については参考になる回答はできないかと思います。
ただ、少なくともこれからすぐには急激に移行が進むことはなく、数年は深く気にする必要はない状況が続くとは思っています。一番の理由は、スマホやAppl製品での対応がほとんど進んでいないためです。
まずApple側ですが、Macで搭載されるAppleのプロセッサの最新は現在「Apple M2」ですが、このSoCではAV1に対応していません。また、Apple製品の標準ブラウザである「Safari」でもAV1が現状では正式サポートされていません。
スマホに関しても、Android向けのSoCとしてはQualcommのSnapdragonのシェアがかなりの割合を占めますが、SnapdragonでAV1対応をしているのは、現状最近出たハイエンドSoCである「Snapdragon 8 Gen 2」だけで、現在のAndroidユーザーのほとんどが対応していません。
上記のような状況がある中、無理やりAV1移行が進められることはさすがにないと思うので、少なくともそこがある程度対応するまでは、全体として急激に進むことはない気はしています。時間的余裕はそれなりにあるとは思います。5年絶対持つとは言い切れませんが、今めちゃくちゃ後悔するほどではないと思います。
ただ、最近Apple製品の標準ブラウザである「Safari」のベータ版ではAV1対応がされたとのニュースもあるので、Appleも一応普及に向けて下地は作り始めようとしている感じはありますし、SnapdragonでもAV1対応製品が出たというのは事実なので、少しずつ進んでいくことは確実なのかなとは感じています。そのため、今購入するならやはりAV1対応製品がおすすめかなというのが私見という感じですね。
煮え切らない回答で申し訳ありませんが、以上が回答になります。
お早い回答ありがとうございます。
やはりとねりんさんに質問して良かったです。
懸念が少し解消されました。
数年の猶予はあるということで、気にしすぎることはないですね。
スマホやApple製品での対応が進んでいないのは、意外でした。
しかしながら、対応した製品が出始めている以上は、トレンドとしては徐々に移行されていくのが確実なのですね。
ど素人の考えで恐縮ですが、スマホでの対応がある程度進めば、急速に移行が進むのだろうなと思います。
数年は気にすることがないと分かっただけでも安心できました。
丁寧な回答ありがとうございました。