【モバイル版】「Ryzen」シリーズ・世代別の特徴比較【最新版】

Ryzenシリーズ世代別比較 モバイル版

モバイル版の「Ryzenシリーズ」の世代別の特徴比較です。

基本的に最新のものから数世代くらいをピックアップして載せていこうと思います。現在掲載しているのは、Ryzen AI 300 / Ryzen 8000 / Ryzen 7000 / 6000 の4シリーズです。

注意

掲載の情報は記事執筆時点(2024年11月時点)のものです。ご覧になっている際には異なっている可能性があるため注意してください。また、本記事の内容はモバイル端末向けRyzenに限った話であり、デスクトップ向けやCoreとは異なる点も注意してください。

はじめに

本題に入る前にいくつかの項目について先に触れています。

省電力モデルが対象

本記事ではモバイル版で最も主流な省電力モデル(デフォルトTDP:15W~30W)に焦点を当てて見ていきます(例:Ryzen 7 8840U)。35W以上の末尾Hについては対象外となっているため注意してください(ただし、電力面以外の仕様はほとんど同じです)。

Ryzenの頭の数字は世代番号ではない点に注意

モバイル版のRyzenを見る上でまず注意しなければならないのは、従来は世代番号として扱われてきた頭の数字が世代番号ではなくなっている点です。これは始めに覚えておいた方が良いです。要するに、同じRyzen 7000シリーズでも新しいアーキテクチャのモデルと古いモデルが混在しています。

Ryzenの命名規則のポイント(Ryzen 7000 / 8000)
接頭数字(先頭の数字)は対象年を表す
7000シリーズは2023年、8000シリーズは2024年向けのモデルといった感じ
世代は下から2桁目で見分けることができる
たとえば、Ryzen 7 7840Uなら「4」で「Zen 4」を表す
ただし、「Ryzen AI 300シリーズ」の登場などでこの上記の命名規則も廃止となるかも
Ryzen 7000以降は上述の命名規則で統一されるのかと思いきや、全く異なる名前のシリーズが出てきたので、もう正直命名規則で判断するのは止めても良いと思うレベル

Ryzen 7000シリーズから命名規則が変更されており、たとえば、「Ryzen 7000シリーズは2023年向けモデル」で「Ryzen 8000シリーズは2024年向けモデル」といった感じになっています。

そして、7000/8000シリーズでは「下から2桁目の数字が世代番号となっています。たとえば、「Ryzen 7 7840U」の場合は下から2桁目は「4」なので、「Zen 4」アーキテクチャで、「Ryzen 7 7730U」なら「Zen 3」といった形です。また、最後の数字が5となっている場合は改良版となっていて、たとえば「Ryzen 7 7735U」なら「Zen 3+」といった感じです。

しかし、Ryzen 7000シリーズからはこの命名規則(ターゲット年数)で統一するのかと思いきや、2024年半ばに「Ryzen AI 300シリーズ」という全く異なる命名規則を採用したりなど、正直もう命名規則を気にするのは止めた方が良いレベルで統一感が無くなってしまっています

常にPC市場を観察している人でなければ、CPU名だけで世代やグレードを見分けるのは困難になっているので、ベンチマークや仕様を個別に調べるのが良いかなと思います。

内蔵GPU「Vega」は古くAV1対応がないため注意

Ryzenの内蔵GPUの一つである「Vega」は「AV1」映像コーデックに対するデコード機能を持たない点に注意が必要です「AV1」映像コーデックはロイヤリティフリーかつ圧縮率が高いということで、各動画サイトでも採用率が急増している将来性が特にあると言われている映像コーデックです。

AV1で圧縮された動画を観る際には、GPUにAV1のハードウェアデコード機能が無いと非常に効率が悪いので、今から新規で購入するPCでは出来ればデコードに対応しておきたいですのですが、「Vega」は「AV1」のハードウェアデコード機能がないのがちょっと微妙です(Vegaが2017年初登場の古いアーキテクチャ採用のGPUであることが起因)。

コーデックとAV1については下記に補足説明を載せておくので、興味がある方はそちらも良ければご覧ください。

映像コーデックの概要と「AV1」について

コーデックという圧縮の方式のことで、その方式で圧縮(エンコード)した映像を見るには符号化・解凍(デコード)という処理が必須になるのですが、GPUがその方式のハードウェアデコード機能を持っていると、効率良く処理ができるという感じになります。

動画やPCなどに詳しくない方は深く意識したことが無い方も多いと思いますが、映像データはデータ量が膨大なので、動画サイト内では動画は圧縮して保存されており、逐一観る側が解凍して観ています。ただし、その膨大な映像データの解凍をCPUで直に処理するのは、ものすごく高負荷な処理となるため好ましくないので、GPUのデコード機能を使って処理するのが一般的となっています。

しかし、先に触れた通り、「Vega」ではAV1のデコードがサポートされていません。2024年8月現在では各動画サイトで「AV1のみ」の動画というのはほとんどないため、現状では困ることはまずありませんが、今後はどうなるかはわかりません。

現在では、市場のGPUの多くが「AV1」デコードをサポートしているので、明らかに劣る面です。その分、「Vega」搭載のRyzenは安価なため、当初の費用を節約することができるのはメリットですが、PCを購入から3~5年は使うことを考えると、やはりグラボ増設の難しいノートPCでは始めからAV1デコードには対応しておくことをおすすめしたいです。

ただし、先にも触れた通り今後もしばらくはAV1以外のコーデックでの提供が続くとも思いますし、現状で必須かと言われるとそうでもありません。あくまでリスク回避優先の参考意見として聞いて頂ければ幸いです。

それに、GPUのコーデック対応(ハードウェアデコード機能)が無い場合にも、CPUで処理することで動画を観ることは可能です。FHD以下程度の画質であれば、最新の高性能CPU(6コア~)なら大体ゴリ押しは可能なレベルかと思います。ただし、特に高画質の動画ファイルはデータ量が膨大であり、デコード機能無しで処理するにはCPUに大きな負荷が掛かります。特にノートPCのようなモバイル端末にとっては、消費電力の増加によってバッテリー持ちに影響が出ますし、発熱の増加によって冷却が追いつかなくなったり、PCの寿命に影響を与えることも考えられます。

そのため、長く使いたいノートPCでは「Vega」は避けた方が良い、というのが個人的な意見ということを述べています。

また、ビデオカードを搭載している場合には話は別(ビデオカード側のGPUのAV1対応を見る必要がある)なので、上記はあくまでCPUの内蔵GPUの話であることを踏まえて考えてくださいませ。

AFMF(ゲームのフレーム生成機能)もVegaは非対応

Ryzenの内蔵GPUのゲーム性能を重視したい方は、「AFMF」というフレーム生成機能が非常に魅力的なのですが、これもVegaでは対応していません

AFMF(AMD Fluid Motion Frames):ドライバ動作で手軽に使えるフレーム生成機能

「AFMF」は、AMDの「RDNA 2」以降のアーキテクチャのGPUで対応しているゲームのフレーム生成機能です。モバイル版Ryzenだと「Radeon 600M~」で対応しています(※ただし、Ryzen Z1など一部は対応状況に違いがあるので注意)

AFMFはゲーム外からフレームを挿入することによってフレームレートを底上げしますが、ドライバによる動作となっており、ゲーム側の対応や設定が必要なく気軽に使えるのが強みです。AMD製品の公式のUIソフトから該当機能を事前にオンにしておくだけで利用することができます。

そのため、ゲームが用途に含まれるなら是非対応しておきたい機能です。しかし、前述のように古いVega搭載のRyzenでは対応していないので注意が必要です。非常に軽いゲームなら無くても困ることはありませんが、やや重めのゲームにも対応しておきたいならかなり重視しても良い項目だと思います。

簡易比較表

本記事で取り扱うRyzen 6000~8000シリーズの主要モデルについての簡易比較表です。末尾U省電力モデル限定です。

この後にも色々と触れていきますが、細かく知りたい訳でなく各モデル同士の比較を自分でしたいという場合には下記の表だけでも正直十分かなと思いますので、先に載せておきます。評価については搭載製品の価格なども考慮した筆者の主観によるものなので、参考程度に見てください。

Ryzen 6000~AI 300の簡易比較表
Ryzenの主流モデル(2024年10月時点)
CPU評価
Cinebench
R23 Multi
世代コアスレッドクロック
定格 – 最大
TDP内蔵GPU
Ryzen AI 9 HX 370
4.75
22246
Zen 5
Zen 5c
12
(4+8)
242.0 – 5.1 GHz
2.0 – 3.3 GHz
28W~54WRadeon 890M
Ryzen AI 9 365
4.75
19189
Zen 5
Zen 5c
10
(4+6)
202.0 – 5.0 GHz
2.0 – 3.3 GHz
28W~54WRadeon 880M
Ryzen 7 8840U
4.75
13450
Zen 48163.3 – 5.1 GHz28WRadeon 780M
Ryzen 7 7840U
4.75
12884
Zen 48163.3 – 5.1 GHz28WRadeon 780M
Ryzen 7 7730U
4.0
11490
Zen 38162.0 – 4.5 GHz15W~28WRadeon RX Vega 8
Ryzen 7 6800U
4.5
10779
Zen 3+8162.7 – 4.7 GHz15W~28WRadeon 680M
Ryzen 5 8640U
4.25
10675
Zen 46123.5 – 4.9 GHz28WRadeon 760M
Ryzen 5 7640U
4.25
10675
Zen 46123.5 – 4.9 GHz28WRadeon 760M
Ryzen 7 7735U
4.5
10085
Zen 3+8162.7 – 4.75 GHz28WRadeon 680M
Ryzen 5 7535U
4.25
9814
Zen 3+6122.9 – 4.55 GHz28WRadeon 660M
Ryzen 5 8540U
4.25
9632
Zen 46123.2 – 4.9 GHz28WRadeon 740M
Ryzen 5 7530U
3.75
9284
Zen 36122.0 – 4.5 GHz15W~28WRadeon RX Vega 7
Ryzen 5 6600U
4.25
8977
Zen 3+6122.9 – 4.5 GHz15W~28WRadeon 660M
Ryzen 3 7335U
3.75
?
Zen 3+483.0 – 4.3 GHz15W~28WRadeon 660M
Ryzen 5 7520U
3.5
5149
Zen 2482.8 – 4.3 GHz8W~15WRadeon 610M
Ryzen 3 7330U
3.0
?
Zen 3482.3 – 4.3 GHz15W~28WRadeon RX Vega 6
Ryzen 3 7320U
3.25
?
Zen 2482.4 – 4.1 GHz8W~15WRadeon 610M
ベンチマークスコアの参考:notebookcheck, CPU-Monkey, TopCPU

命名規則や世代について

Ryzen 7000シリーズ以降は命名規則が変更となっているので、AMD公式が発表した命名規則について表にまとめたものを下記に示しておきますので、参考までにご覧ください。※Ryzen AI 300シリーズの登場で変更となった可能性があるため参考までに

Ryzen 7000以降の命名規則
モデル市場区分アーキテクチャ上下英字/TDP
千の位百の位十の位一の位末尾
Ryzen 9
Ryzen 7
Ryzen 5
Ryzen 3
Athlon
9:2025年
8:2024年
7:2023年
9:Ryzen 9
8:Ryzen 7 / 9
7:Ryzen 7
6 / 5:Ryzen 5
4 / 3:Ryzen 3
2:Athlon Gold
1:Athlon Silver
1:Zen / Zen+
2:Zen 2
3:Zen 3 / Zen 3+
4:Zen 4
5:Zen 5
0:下位
5:上位
HX:55W+
HS:~35W+
U:15W~28W
C:15W~28W
(Chromebook向け)
e:9W

以下からは各シリーズ別に見ていきます。

ベンチマークスコア

対抗製品となるInteのCoreシリーズの主流モデルも含めたベンチマークスコアです。参考にご覧ください。オレンジ色のバーがRyzenで、青色のバーがCoreとなっています。

マルチコア性能

Cinebench R23 Multi
CPUスコア
Ryzen AI 9 HX 370
22246
Ryzen AI 9 365
19189
Core Ultra 7 155H
14654
Core Ultra 9 288V
13401
Ryzen 7 8840U
12972
Ryzen 7 7840U
12884
Core Ultra 5 125H
11293
Core Ultra 7 258V
11196
Core i7-1360P
10997
Core i5-1340P
10921
Core Ultra 7 165U
10797
Ryzen 5 8640U
10675
Ryzen 5 7640U
10675
Core Ultra 7 256V
10580
Ryzen 7 6800U
10297
Ryzen 7 7735U
10085
Ryzen 7 7730U
9908
Core Ultra 5 226V
9867
Ryzen 5 8540U
9635
Core 7 150U
9670
Core i7-1260P
9603
Core 5 120U
9114
Core i7-1355U
9071
Core i5-1335U
8349
Core Ultra 5 125U
8320
Core i5-1240P
8273
Ryzen 5 7530U
8081
Ryzen 5 6600U
8018
Core i7-1255U
7904
Core i5-1235U
7634
Core 3 100U
6553
Core i3-1315U
6187
Core i3-1215U
5802
参考:CPU-Monkey , notebookcheck , TopCPU

シングルコア性能

Cinebench R23 Single
CPUスコア
Core Ultra 9 288V
1967
Ryzen AI 9 HX 370
1953
Ryzen AI 9 365
1926
Core 7 150U
1904
Core Ultra 7 258V
1886
Core Ultra 7 256V
1886
Core 5 120U
1881
Core i7-1360P
1821
Core i7-1355U
1794
Core Ultra 5 226V
1780
Core i7-1260P
1778
Core i7-1255U
1775
Core 3 100U
1760
Ryzen 7 8840U
1755
Core Ultra 7 155H
1749
Ryzen 5 8640U
1743
Ryzen 5 8540U
1743
Ryzen 7 7840U
1719
Core i5-1340P
1710
Core Ultra 5 165U
1706
Core i5-1335U
1685
Core Ultra 5 125H
1683
Core Ultra 5 125U
1679
Core i5-1240P
1663
Core i3-1315U
1663
Core i5-1235U
1649
Core i3-1215U
1633
Ryzen 5 7640U
1552
Ryzen 7 7735U
1490
Ryzen 7 6800U
1480
Ryzen 7 7730U
1435
Ryzen 5 7530U
1428
Ryzen 5 6600U
1425
参考:CPU-Monkey , notebookcheck , TopCPU

内蔵GPU性能(ゲーム)

Time Spy Graphics(DX12)
GPU名称
搭載CPUの例
スコア
Intel Arc 140V
Core Ultra 7 258V 等
4118
Radeon 890M
Ryzen AI 9 HX 370 等
3581
Iris Xe 8コア (128EU)
Core Ultra 7 155H 等
3446
Intel Arc 130V
Core Ultra 5 226V 等
3242
Radeon 880M
Ryzen AI 9 365 等
3190
Iris Xe 7コア (112EU)
Core Ultra 5 125H 等
3108
Radeon 780M
Ryzen 7 8840U 等
2779
Radeon 680M
Ryzen 7 6800U 等
2400
Radeon 760M
Ryzen 5 8640U 等
2116
Iris Xe 4コア (64EU)
Core Ultra 7 165U 等
1766
Iris Xe G7 96EU (~1400MHz)
Core i7-1260P 等
1756
Iris Xe G7 96EU (~1300MHz)
Core i7-1165G7 等
1589
Radeon 660M
Ryzen 5 6600U 等
1558
Radeon 740M
Ryzen 5 8540U 等
1534
Iris Xe G7 96EU(-950MHz)
Core i7-1250U 等
1270
Iris Xe G7 80EU(-1300MHz)
Core i5-1240P 等
1244
Radeon RX Vega 8
Ryzen 7 7730U 等
1173
Radeon RX Vega 7
Ryzen 5 7530U 等
1054
UHD Xe 64EU
Core i3-1220P
1049
Iris Xe G7 80EU(-850MHz)
Core i5-1230U
941
Radeon RX Vega 6
Ryzen 3 5300U
839
UHD G4 48EU
Core i3-1115G4
646
参考:3DMark , CPU-Monkey , notebookcheck

電力効率(CPU)

Cinebench R15 Multi 外部モニター
CPU
スコア
Ryzen AI 9 HX 370(33W)
54.9
Ryzen 7 7840U
48.0
Ryzen 7 6800U
40.2
Core Ultra 7 155H
31.5
Core Ultra 5 125H
30.0
Ryzen 5 6600U
29.9
Ryzen 7 7730U
29.0
Ryzen 5 7530U
28.8
Core i7-1260P
28.4
Core i5-1240P
28.4
Core i7-1355U
27.7
Core i7-1360P
25.5
Core i7-1255U
25.0
Core i5-1235U
24.4
Core i3-1215U
17.4
参考:notebookcheck

各シリーズ

Ryzen AI 300シリーズ

Ryzen AI 300シリーズの基本情報
Ryzen AI 300シリーズ(2024年6月時点)
アーキテクチャZen 5 + Zen 5c
プロセス4nm(TSMC)
コア
10~12コア
スレッド
20~24スレッド
内蔵GPU(iGPU)
Radeon 800M (RDNA 3.5)
対応メモリDDR5

Ryzen AI 300の主流モデル
CPU評価
Cinebench
R23 Multi
世代コアスレッドクロック
定格 – 最大
デフォルトTDP内蔵GPU
Ryzen AI 9 HX 370
4.75
22246
Zen 5
Zen 5c
12
(4+8)
242.0 – 5.1 GHz
2.0 – 3.3 GHz
28W~54WRadeon 890M
Ryzen AI 9 365
4.75
19189
Zen 5
Zen 5c
10
(4+6)
202.0 – 5.0 GHz
2.0 – 3.3 GHz
28W~54WRadeon 880M
ベンチマークスコアの参考:notebookcheck , CPU-Monkey , Top CPU

Ryzen AI 300:高性能NPU(AIユニット)と小型コア「Zen 5c」採用の最新鋭CPU

Ryzen AI 300シリーズは、2024年6月発表されたシリーズで、CPUアーキテクチャには「Zen 5」が採用されています。

残念ながら、2024年8月時点では非常に高価な10コア以上のハイエンドモデルのみの投入となっているため、予算重視の場合には選択肢から外れる点に注意です。

特徴としては、まず名前に「AI」と含まれていることからも分かる通り、50TOPS~の高いAI処理性能を誇るNPUを搭載しています。これにより、Windowsに統合されたAI機能を使うためのCopilot+ PCの要件「40TOPS」をクリアしました。

また、小型コアの「Zen 5c」を採用したのもポイントです。高性能な「Zen 5」コアと小型の「Zen 5c」コアの2種類を採用という形になっています。

これにより、8コアから中々増やせなかったコア数を増やすことに成功し、最上位モデルでは12コアを搭載します。また、他の主要CPUとは異なり、小型コアでも1コア2スレッドのSMTを採用しているため、コア数の割に微妙な性能ということもなく、マルチスレッド性能は非常に優れています。

最上位モデルは12コア24スレッドとなり、最大54Wとは思えない非常に優れたマルチスレッド性能を発揮し、効率も非常に優れているため、マルチスレッド性能の効率を重視するなら非常に強力なCPUシリーズとなっています。

また、内蔵GPUには「RDNA 3.5」アーキテクチャ採用がされており、前世代の「RDNA 3」から少し向上したことが伺えます。しかも、前世代まではGPUのCU(コンピューティングユニット)数は最大12(Radeon 780M)でしたが、Ryzen AI 300シリーズでは最大16CUの「Radeon 890M」が採用されており、該当モデルでは更に一段高いグラフィック性能を発揮します。ゲームのベンチマークでは「GeForce GTX 1650」を少し上回るスコアを記録するなど、少し前のエントリーグラボ並みの性能を発揮します。

ゲームのフレーム生成機能である「AFMF」の登場などもあり、前世代の時点で重いゲームにも対応できる性能を持っていましたが、それが更に強化されています。

さすがにまだ重量級ゲームを高い設定&高fpsでプレイというのは厳しいものの、高いレベルを求めなければ割と不自由なく対応できるようになったかなと思います。

総合的に見て、各種性能が全体的に大きく底上げしつつ、高いAI性能も備えた、2024年時点で最新鋭の超高性能CPUです。

搭載PCがものすごく高価なので、おすすめできる人は限られますが、AIとグラフィック性能も含めた出来るだけ高い性能と優れた電力面を兼ね備えたPCが欲しい場合には非常におすすめできるCPUだと思います。

Ryzen 8000シリーズ

Ryzen 8000シリーズの基本情報
Ryzen 8000シリーズ(2024年3月時点)
アーキテクチャZen 4
プロセス4nm(TSMC)
コア
4~8コア
スレッド
8~16スレッド
内蔵GPU(iGPU)
Radeon 700M (RDNA 3)
対応メモリDDR5

Ryzen 8000の主流モデル
CPU評価
Cinebench
R23 Multi
世代コアスレッドクロック
定格 – 最大
デフォルトTDP内蔵GPU
Ryzen 7 8840U
4.75
13450
Zen 48163.3 – 5.1 GHz28WRadeon 780M(12CU)
Ryzen 5 8640U
4.25
10675
Zen 46123.5 – 4.9 GHz28WRadeon 760M(8CU)
Ryzen 5 8540U
4.0
9632
Zen 4
Zen 4c
6123.2 – 4.9 GHz28WRadeon 740M(4CU)
ベンチマークスコアの参考:notebookcheck , CPU-Monkey , Top CPU

Ryzen 8000:2024年4月時点ではZen 4モデルのみ。非常に優れた内蔵GPUと効率が魅力

Ryzen 8000シリーズは、2024年をターゲットにしたシリーズです。2024年4月時点では「Zen 4」モデルしか登場しておらず、モデル数は非常に少ないです。基本的には「Ryzen 7040」のAI処理性能とIPCが向上した以外は同様のCPUです。

「Zen 4」は内蔵GPUに「RDNA 3」アーキテクチャの「Radeon 700Mシリーズ」を採用しているため、内蔵GPUにしては非常に優れたグラフィック性能を持つのが魅力です。Ryzen 7 8840U搭載の「Radeon 780M(12CU)」の場合、ゲームのベンチマークでは「GeForce GTX 1650」を少し下回る程度のスコアを示しており、重めのゲームや動画編集も可能なレベルに達しています。

ただし、Ryzen 5ではGPUもコア数が削減されている点に注意です。「Ryzen 5 8640U」の「Radeon 760M(8CU)」なら、性能低下率は小さめですが、「Ryzen 5 8540U」の「Radeon 740M(4CU)」ではGPUのコア数がRyzen 7の3分の1しかないので、グラフィック性能は高くはないレベルになる点には注意です。重い処理は無理なレベルになります。

また、「Ryzen 5 8540U」は8640Uや8840Uと違ってNPU(Ryzen AI)を搭載しないというデメリットもあるので、出来れば「Ryzen 5 8640U」以降のモデルがおすすめです。効率も非常に優れていますし、ビデオカード搭載機と違って薄型・軽量化・バッテリー性能にも障害がないので、モバイル性能にも優れた様々な用途に使えるノートPCが欲しい場合には非常に魅力的です。

価格が全体的にやや高価なのはネックですが、それでも競合製品である「Core Ultra シリーズ1 H(Core Ultra 7 155H 等)」よりはやや安価なので、総合コスパは優れていると思います。

2024年4月現在では搭載機は少ないですが、思ったよりも安い機種も多くておすすめできます。

また、「Ryzen 5 8540U」に関しても、効率は非常に優れていますし、内蔵GPUもVegaよりは高性能かつAV1サポートもあるので、安価なら「Ryzen 5 7530U」よりは優れた選択肢なので覚えておくと良いかもです。

Ryzen 7000シリーズ

Ryzen 7000シリーズの基本情報
Ryzen 7000シリーズ
アーキテクチャZen 2 ~ Zen 4
プロセス4nm~7nm(TSMC)
コア
Zen 2以外:4~8コア
Zen 2:2~4コア(Ryzen 5まで)
スレッド
Zen 2以外:8~16スレッド
Zen 2:4~8スレッド(Ryzen 5まで)
内蔵GPU(iGPU)
Radeon 700M (RDNA 3)
Radeon 600M (RDNA 2)
Radeon RX Vega
対応メモリZen 2, 3+, 4:DDR5
Zen 3:DDR4

Ryzen 7000の主流モデル
CPU評価
Cinebench
R23 Multi
世代コアスレッドクロック
定格 – 最大
デフォルトTDP内蔵GPU
Ryzen 7 7730U
4.0
11470
Zen 38162.0 – 4.5 GHz15WRadeon RX Vega 8
Ryzen 7 7735U
4.5
10085
Zen 3+8162.7 – 4.75 GHz28WRadeon 680M(12CU)
Ryzen 5 7535U
4.25
9814
Zen 3+6122.9 – 4.55 GHz28WRadeon 660M(6CU)
Ryzen 5 7530U
3.75
8479
Zen 36122.0 – 4.5 GHz15WRadeon RX Vega 7
Ryzen 5 7520U
3.5
5149
Zen 2482.8 – 4.3 GHz8W~15WRadeon 610M(2CU)
Ryzen 3 7335U
3.75
?
Zen 3+483.0 – 4.3 GHz28WRadeon 660M(6CU)
Ryzen 3 7330U
3.0
?
Zen 3482.3 – 4.3 GHz15WRadeon RX Vega 6
Ryzen 3 7320U
3.25
?
Zen 2482.4 – 4.1 GHz8W~15WRadeon 610M(2CU)
ベンチマークスコアの参考:notebookcheck、CPU-Monkey

記事執筆時(2023年2月)にはRyzen 7000シリーズは市場にまだほとんど登場していませんが、末尾U(TDP:15W~28W)の今後主流になると思われるモデルの主要な仕様を雑に並べています。同シリーズ内での比較にお使いください。

未登場の状態でもアーキテクチャはほとんどが既存のものなので、性能や価格に大体の推測が出来ます。そのため、それを基に評価も先駆けて掲載しています。後に変更となるかもしれませんので、参考程度にご覧ください。未掲載のZen 4モデルは詳細な仕様が判明次第掲載します。

Ryzen 7000:Zen 2~Zen 4 が混在するカオスなシリーズ

Ryzen 7000シリーズは2023年をターゲットにしたRyzenです。注意すべき点はアーキテクチャ的には古いものも多数となっており、内部的には新しいとは限らない点に注意です。

CPUのアーキテクチャが「Zen 2 / Zen 3 / Zen 3+ / Zen 4」と4つが混在しているのに加え、内蔵GPUについても「Vega / RDNA 2 / RDNA 3」の3つが混在しているという、非常に混沌としたシリーズになっています。

しかも、後述の命名規則が複雑かつ分かりにくく、場合によってはRyzen 5よりもRyzen 3の方が高性能だったりなどのケースもあり得ます。Ryzen 7000シリーズを選択する際には名前には要注意です。

基本的には、下から2桁目(十の位)がZenの世代を表しているので、そこを見ると分かり易いです。まとめると下記のようになります。

シリーズアーキテクチャモデル内蔵GPU
Ryzen 7020Zen 2(Mendocino)Athlon~Ryzen 5Radeon 610M(RDNA 2)
Ryzen 7030Zen 3(Barcelo-R)Ryzen 3~Ryzen 7Radeon RX Vega
Ryzen 7035Zen 3+(Rembrant-R)Ryzen 3~Ryzen 9Radeon 600Mシリーズ(RDNA 2)
Ryzen 7040Zen 4(Phoenix)Ryzen 3~Ryzen 9Radeon 700Mシリーズ(RDNA 3)
Ryzen 7045Zen 4(Dragon Range)Ryzen 5~Ryzen 9Radeon 700Mシリーズ(RDNA 3)

2024年時点では、新しいアーキテクチャと言えるのはZen3 +かZen 4採用のものに限られます。特に内蔵GPU性能はZen 3+以降とそれ以前でかなり差があるので、内蔵GPU性能重視なら「Ryzen 7035 / 7040 / 7045」のどれかを選ぶようにしましょう。

内蔵GPUも高い「Zen 3+(7035)」か「Zen 4(7040)」モデルがおすすめ

Ryzen 7000シリーズでの一番のおすすめは、「Zen 3+(7035)」もしくは「Zen 4(7040)」採用のモデルです。Ryzen 7 7735UやRyzen 7 7840Uなどですね。

特に魅力なのは内蔵GPU性能です。Zen 3+以降で採用される「RDNA 2 / RDNA 3」アーキテクチャの内蔵GPU性能は、それ以前と比べて飛躍的に性能が向上しており、やや重めのゲームや動画編集もビデオカード無しで一応対応できるレベルにまで到達しています。

ビデオカード搭載機と違って薄型・軽量化・バッテリー性能にも障害がないので、モバイル性能にも優れた様々な用途に使えるノートPCが欲しい場合には非常に魅力的です。効率も優れており、非常に汎用性に優れた優秀なCPUです。Zen 4モデルではAI処理用のNPUも搭載します(Ryzen AI)。将来性を考えても魅力的な仕様です。そのため、基本的には下2桁が「35 / 40 /45」のモデルを選ぶのを最優先としたいです。

しかし、実はCPUのマルチスレッド性能に関してはZen 3以降では実はどれも大差がないです。そのため、グラフィック性能を重視しないマルチスレッド性能コスパ重視なら、安価な「Zen 3(7030)」モデルも、やや古い世代ながら非常に強力です。なのですが、内蔵GPUが古いVegaのものとなっているため、グラフィック性能が低いだけでなくAV1というコーデックへのサポートが無いため、将来性的にはやや微妙な選択という点に注意が必要です。AV1デコード機能がないと、AV1形式でエンコードされた高画質動画を観る際などに、ネックとなる可能性があります。

最後に、一番古いアーキテクチャの「Zen 2」採用モデルですが、これは正直少し罠っぽいモデルです。なぜかというと、Ryzen 5でもコア数が4だからです。ここしばらく「Ryzen 5 = 6コア」のモデルしかなかった中で、いきなり4のモデルが出るのはさすがにどうかなと思います。当然マルチスレッド性能は他のRyzen 5よりも明らかに低く、おまけにグラフィック性能も低いです。Web閲覧やオフィス程度の軽作業なら十分な性能ではありますが、コスパ的にはあまり良くはないです。

ただし、内蔵GPUには古いVegaではなく「RDNA 2」の「Radeon 610M」が採用されている点は評価できます。CU数が2と少なく処理性能は低いものの、元々CPUのコア数的に軽作業前提のCPUですから、新しいコーデックに対応している上に最適化が続く「RDNA 2」採用は嬉しいです。また、コア数が少なくTDPが低く設定されているため省電力性は高く、GPUもCU数が少なくCU数が少ないのも消費電力削減に貢献すると思われますから、長寿命バッテリーを魅力に思う場合には非常に優れています。そのため、重い処理を考慮しないのであればVega採用の「Zen 3」モデルよりは「RDNA 2」の内蔵GPU搭載の「Zen 2」モデルの方がおすすめです。

各モデルについての所感は以上です。最後に改めて結論を載せておくと、基本的には「Zen 3+」か「Zen 4」モデル(Ryzen 7 7735U、7840U 等)を選ぶのが無難です。強力な内蔵GPUと効率による汎用性で将来性にも優れる優秀なCPUです。

しかし、価格はやや高価ではあるので、マルチスレッド性能コスパのみを見るなら「Zen 3」モデル(Ryzen 7 7730U)が一番良いです。内蔵GPUがVegaなので、AV1デコードに対応しない点は注意ですが、そこを割り切れるなら悪くない選択肢です。

Ryzen 6000シリーズ

Ryzen 6000シリーズの基本情報
Ryzen 6000シリーズ
アーキテクチャZen 3+
プロセス6nm(TSMC)
コア
Ryzen 7 / 9:8コア
Ryzen 5:6コア
スレッド
Ryzen 7 / 9:16スレッド
Ryzen 5:12スレッド
内蔵GPU(iGPU)
Radeon 600M (RDNA 2)
対応メモリDDR5
Ryzen 6000シリーズの主流モデル
CPU評価Cinebench R23 Multi世代コアスレッドクロック
定格 – 最大
TDP内蔵GPU
Ryzen 7 PRO 6860Z
4.5
11822
Zen 3+8162.7 – 4.75 GHz15W~28WRadeon 680M(12CU)
Ryzen 7 PRO 6850U
4.5
10779
Zen 3+8162.7 – 4.7 GHz15W~28WRadeon 680M(12CU)
Ryzen 7 6800U
4.5
10779
Zen 3+8162.7 – 4.7 GHz15W~28WRadeon 680M(12CU)
Ryzen 5 PRO 6650U
4.25
8977
Zen 3+6122.9 – 4.5 GHz15W~28WRadeon 660M(6CU)
Ryzen 5 6600U
4.25
8977
Zen 3+6122.9 – 4.5 GHz15W~28WRadeon 660M(6CU)
ベンチマークスコアの参考:notebookcheck、CPU-Monkey

Ryzen 6000:Zen 3+のみのため一番手放しでおすすめできるけど、搭載製品が少ない

Ryzen 6000シリーズは2022年発表のシリーズです。複数のアーキテクチャが混在する5000および7000シリーズと異なり「Zen 3+」のみの構成となっているため分かり易いです。

プロセスは前世代までの7nmから6nmへとわずかに微細化されました。進歩ではありますが大きな差ではないので、ここはそこまで気にする部分でもないかなと思います。

また、「Zen 3」や「Zen 2」から変わった最も大きい点は、内蔵GPUのアーキテクチャが「Vega」から「RDNA 2」に変わったことです。「Vega」は初出が2017年の古いアーキテクチャということもあり、最新のものと比べると電力効率やAV1対応の点で明らかに劣るのが弱点でしたが、「RDNA 2」では電力効率および性能が格段に向上し、AV1デコードにも対応しています。特にモバイル端末にとっては非常に大きな向上となりました。

Ryzen 7以降で搭載される内蔵GPU「Radeon 680M」のゲーミング性能は「GTX 1050 Ti(モバイル版)」にも匹敵するレベルとなったのがポイントです。重いゲームはやはり快適とは言えないまでも、特に重い部類のものでなければ動作自体は大体可能というレベルの性能に達しました。従来は内蔵GPUで重い3Dゲームはプレイすることが不可能というのが常識でしたが、それを覆す非常に革新的な内蔵GPUとなりました。これで電力効率も非常に優れていますから、モバイル端末向けとしては非常に素晴らしいです。

また、このことに目を付けられて、Steam Deckなどを代表とする「ゲーミングUMPC」というNintendo Switchのようなポータブルゲーミングデバイスが多数登場しています。ただし残念なのは、思ったほどノートPCでの採用が無かったことです。2023年2月に、AMDのCEOから需要低下を避けて価格を維持するためにチップの供給を制限していたと明かされたこともあり、供給についてはAMDの匙加減ではあります。とはいえ、現状はPC以外にも需要がありチップが流れてしまっているためノートPCでの採用が少ないのは確かだと思うため、今後の供給の動きも気になるところです。

「Ryzen 5000 / 7000」と異なりアーキテクチャが一律で「Zen 3+」という良いものである「Ryzen 6000シリーズ」は一番手放しでおすすめできるのですが、そもそも選択肢に挙げることが難しいのが非常に残念です。

とはいえ、採用製品が全くない訳でもないので、各CPUの見極めが厳しいと感じる方は「Ryzen 6000シリーズ」に絞って探してみるのも一つの手かなと思います。

ちなみに、内蔵GPUの性能は高いものの、内蔵のため専用のビデオメモリ(VRAM)を持たないため、データ量の多い動画編集などではまだ単体のGPU(グラボ)には基本劣る点は注意です。データ量の多い動画編集をメイン用途とするなら、やはりグラボ搭載機をおすすめします。とはいえ、Ryzen 6000からはDDR5メモリにも対応して帯域幅も向上しているため、高速なDDR5メモリを大容量搭載すれば、エントリーレベルのグラボで出来ることくらいなら出来るとは思います。

PRO版は主に企業向けの機能が追加されているだけで、物理的には基本同じで性能も同等なので、実質的に「Ryzen 7 6800U」と「Ryzen 7 6600U」の2モデルという感じになります。

仕様的にほぼ最新と言っても良い「Zen 3+」採用で、内蔵GPUもRadeon 600Mシリーズ(RDNA 2)となっており良いので、どちらもおすすめできるモデルです。ただし、上述の問題もあって採用製品が思ったより少ないため、そもそも選択肢に挙がってこないのが残念なところです。

とはいえ、全くない訳でもないので、Ryzen 5000や7000で優れたモデルを見極めたり探すのが面倒という人は、Ryzen 6000を探すと失敗は無いかなと思います。特に「Ryzen 7 6800U」は処理性能が高いのはもちろん、電力効率も対抗の第12世代Coreよりも明らかに優れているため、バッテリー性能重視なら非常におすすめです。


といった感じで記事は以上になります。必要があれば色々と修正・加筆を行う予定なので、何か気になった点やこうした方が良いなどあればコメントで教えて頂けると幸いです。

8 COMMENTS

BMS

判りやすい解説で参考になりました。
海外系の自動翻訳の比較ベンチマークは直ぐに見つかるけど、Ryzenは細かい型番があり、どれがどれだか判りにくくて困っていました。
メーカーサイトも表示される内容がバラバラだし。

10万円台のビジネスモデルだと、ほぼRyzen 5一択。
7530uが多数を占める中、あえて8540uにする意味あるのか、選んでからも少し心配していましたが、こちらを見て選択は間違ってなかったと確信できました。

コア数の力押しで、少しでもゲームできるように割り切った7530uの方がいいのか、zen4でCPU性能重視の8540uがいいのか。
ゲームはしないから、少しでも長く使えそうな8540uにしたとはいえ、AV1は何故かエンコードだけでデコードに対応していないのが気になるところ。
日常ではデコードのほうが重要だと思うのだけど。

返信する
とねりん:管理人

コメントありがとうございます。励みになります。

AV1デコードは現状は無くても困らない部分ではあるので、中々評価が難しい部分ですね。
また、ゲーム性能は「Ryzen 5 7530U」の「RX Vega 7」よりも「Ryzen 5 8540U」の「Radeon 740M」の方が1.5倍ほど高性能となっているので、ゲームでも8540Uの方が上なので、大丈夫です。
更に、8540Uの「Radeon 740M」を含むRadeon 600M以降(RDNA 2~)では「AFMF」というゲームのフレーム生成機能に対応しており、フレームレートを底上げできたりするので、実質のゲーム性能はもっと高くなったりします。

最後に置いていたゲームのベンチマークの位置とか、参考程度にしか触れていなかったAFMFの説明とかもっと分かり易いところに置いた方が良かったなと反省しています…。
一応取り急ぎですが、ベンチマークスコアを上の方に移しておいたので、興味があればご覧くださいませ。

返信する
牽牛星

早速の修正と御返事、ありがとうございました。

ひろき

PCについての知識が豊富ではないので、とねりんさんの記事を読んで、いつも勉強させていただいています。

今回はyoutubeの映像コーデックのAV1への移行状況の見通しについて、とねりんさんの見立てをお聞きしたく、コメントしました。

昨年ノートPCを買い換えた後、本記事で映像コーデックのことを知りました。
調べたところ、そのPCの内蔵GPUがRadeon Vega 8でした。(CPUはRyzen7 5800Hです)
youtubeで動画をよく見るので、AV1への移行が急速に進むことを懸念しております。
(最低でも5年はそのノートPCを使いたいと思っているので)
8K動画などは移行されているという指摘を見ましたし、当然のことながら、今後は4KやFHDでも移行が進んでいくのは避けられませんよね。
私はだいたいFHDで視聴しているのですが、移行はどのぐらいのスピードや年数で進んでいくとお考えでしょうか?

予見が難しいことは承知で質問しております。
ご回答よろしくお願いいたします。

返信する
とねりん:管理人

ご覧いただきありがとうございます。記事内での私の書き方が悪かったかもしれませんので、始めに少し補足しておこうと思います。

まず、FHD/60p程度の動画であれば、AV1デコードに対応していなくても「Ryzen 7 5800H」クラスの高性能CPUなら、CPUのみで十分ゴリ押しできるレベルだと思います。そのため、視聴が困難ということにはならないので、その点は安心して良いかと思います。
見返すと、AV1デコードが無いと論外みたいな文章になっていたので、後で修正しておこうと思います。

ただし、CPUにとっては重い処理になりますので、それなりの使用率となり消費電力と発熱が増加すると思われます。最近ではPCで動画を観ることは日常的な人が多いと思いますが、その際に常に高負荷な処理が要求されるのは、特にモバイル端末にとっては好ましくないので、事前に知っておいて少しの追加費用で対応できるならしといた方が良いよねって感じで触れたかった次第でした。

前置きが長くなりましたが、本題のAV1の移行状況についてです。
正直なところ、見当が付きません。YouTubeなどの主要動画サイトの匙加減次第ですから、申し訳ないですが、具体的な年数については参考になる回答はできないかと思います。

ただ、少なくともこれからすぐには急激に移行が進むことはなく、数年は深く気にする必要はない状況が続くとは思っています。一番の理由は、スマホやAppl製品での対応がほとんど進んでいないためです。

まずApple側ですが、Macで搭載されるAppleのプロセッサの最新は現在「Apple M2」ですが、このSoCではAV1に対応していません。また、Apple製品の標準ブラウザである「Safari」でもAV1が現状では正式サポートされていません。

スマホに関しても、Android向けのSoCとしてはQualcommのSnapdragonのシェアがかなりの割合を占めますが、SnapdragonでAV1対応をしているのは、現状最近出たハイエンドSoCである「Snapdragon 8 Gen 2」だけで、現在のAndroidユーザーのほとんどが対応していません。

上記のような状況がある中、無理やりAV1移行が進められることはさすがにないと思うので、少なくともそこがある程度対応するまでは、全体として急激に進むことはない気はしています。時間的余裕はそれなりにあるとは思います。5年絶対持つとは言い切れませんが、今めちゃくちゃ後悔するほどではないと思います。

ただ、最近Apple製品の標準ブラウザである「Safari」のベータ版ではAV1対応がされたとのニュースもあるので、Appleも一応普及に向けて下地は作り始めようとしている感じはありますし、SnapdragonでもAV1対応製品が出たというのは事実なので、少しずつ進んでいくことは確実なのかなとは感じています。そのため、今購入するならやはりAV1対応製品がおすすめかなというのが私見という感じですね。

煮え切らない回答で申し訳ありませんが、以上が回答になります。

返信する
ひろき

お早い回答ありがとうございます。
やはりとねりんさんに質問して良かったです。
懸念が少し解消されました。
数年の猶予はあるということで、気にしすぎることはないですね。

スマホやApple製品での対応が進んでいないのは、意外でした。
しかしながら、対応した製品が出始めている以上は、トレンドとしては徐々に移行されていくのが確実なのですね。
ど素人の考えで恐縮ですが、スマホでの対応がある程度進めば、急速に移行が進むのだろうなと思います。

数年は気にすることがないと分かっただけでも安心できました。
丁寧な回答ありがとうございました。

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