2021年9月23日にマイクロソフトによるSurfaceブランドの新製品についての発表があったので、発表された製品について、先代機と比較しながらざっくりまとめています。「Surface Pro 8」「Surface Go 3」「Surface laptop Studio」の3モデルについて見ていきたいと思います。
本記事の内容は記事執筆時点のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
また、PC関連のSurface新製品は基本「Windows 11」と「Microsoft Office Home & Business 2021」を標準搭載していますが、毎回触れるのも冗長だと思うので省略しています。
Surafce Pro 8
「Surface Pro」シリーズはSurfaceシリーズの主力モデルです。今回発表された「Surface Pro 8」は「Surface Pro 7」の後継機になります。
- 13インチの2 in 1タブレット
- 2021年11月1日発売予定
- 価格は148,280円~(発表日時点)
- CPUがIntel第11世代プロセッサに
- 画面サイズが12.3→13インチになり
- リフレッシュレートが最大120Hzに
- ベゼルが狭くなって見た目がよりスタイリッシュに
- バッテリー駆動時間が長くなった(最大10.5時間→最大16時間)
- USB Type-Aポートが無くなり、Thunderbolt4×2(USB-C)×2に
Surface Pro 8 | Surface Pro 7 | |
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2in1タイプ | セパレート | セパレート |
価格 | ¥148,280~ | ¥93,280~ |
CPU | Core i7-1185G7 Core i5-1135G7 Core i3-1115G4(企業等向け) | Core i7-1065G7 Core i5-1035G4 Core i3-1005G1 |
メモリ | 8GB LPDDR4X 16GB LPDDR4X 32GB LPDDR4X | 4GB LPDDR4X 8GB LPDDR4X 16GB LPDDR4X |
ストレージ (SSD) | 128GB 256GB 512GB 1TB | 128GB 256GB 512GB 1TB |
GPU | 【CPU内蔵】 Iris Xe G7 96EU Iris Xe G7 80EU | 【CPU内蔵】 Iris Plus G7 Iris Plus G4 UHD G1 |
画面 | 13インチ 120Hz 2880 x 1920 (267PPI) タッチ対応 | 12.3インチ 60Hz 2736 x 1824 (267PPI) タッチ対応 |
バッテリー駆動時間 | 最大16時間 | 最大10.5時間 |
主な端子 | USB Type-C(USB4.0/Thunderbolt4)×2 3.5mmヘッドフォンジャック | USB Type-A ×1 USB Type-C×1 microSDXC カード リーダー 3.5mmヘッドフォンジャック |
無線機能 | Wi-Fi 6: 802.11ax Bluetooth 5.1 5G対応(企業等向け) | Wi-Fi 6: 802.11ax Bluetooth 5.0 |
重量 | 889g | i3、i5:775g i7:790g |
カメラ | 背面:10MP (4Kビデオ対応) 前面:5MP | 背面:8MP (FHDビデオ対応) 前面:5MP |
本体サイズ | 287 x 208 x 9.3 mm | 292 x 201 x 8.5 mm |
Surface Pro 8では、まずCPUが最新モデル(Intel第11世代)になりました。そして、個人向けのCore i3モデルが廃止されました(発表時点)。発表では先代の2倍以上の速度とか言っていたみたいですが、これはGPU性能を併せて考えた総合性能としての評価なので注意です。Intelの第10世代・第11世代では、CPUのコア・スレッド数は変わらないので、CPUだけではそこまでの性能差はありません。おおよそ2割~3割くらいの向上のはずです。グラフィック性能は大きく強化されていますがCPU性能は大きく変わらない点は注意です。
画面は先代の12.3インチから13インチへと大きくなりました。ベゼル幅も狭くなったので、画面サイズが大きくなりましたが本体の縦横サイズはほぼ同じです。先代機ではiPad Proなどと比べるとベゼルがやや厚かったのが、競合製品としては気になる点だったと思うので、ビジュアルを重視する人にとっては地味に大きいと思います。解像度も少し向上しましたが、これは画面が大きくなった分のため、PPIは同じで画面の精細さは変わりません。ただ、リフレッシュレートが最大120Hzへと強化されています。スペック的に重いゲームなどは厳しいですが、先代機より滑らかな映像を表示することが可能になっています。
インターフェース面では、先代ではUSB Type-AとCが一つずつあったのが、Pro 8ではUSB Type-Aが廃止され、USB4.0/Thunderbolt4に対応したUSB Type-Cが二つになりました。コスト的には間違いなく高くなっていますが、ユーザー面からすると良い人と悪い人が少し分かれそうです。また、自分が仕様表を確認した限りでは、先代ではSDカードに対応していましたが、Pro 8ではSDカードの記載が無くなっているので、対応しなくなっているかもしれません(要確認)。Pro 8からはSSDが簡単に交換可能になった(保証の範囲外にはなると思われる)という仕様変更があるため、ストレージ増強に関しては対応ができると思いますが、SDカードが使えなくなっていたら、主にクリエイターなどは不便に感じる部分があるかもしれません。
バッテリー駆動時間は、先代の最大10.5時間から最大16時間へと大幅に向上しています。先代はバッテリー持ちが良いとは言えないくらいだったのが、Pro 8では良いレベルになっています。
背面カメラの画素数は、先代の8MPから10MPへとわずかに向上し、ビデオが4K対応になっています。
その他はぱっと見での大きな仕様変更はあまり無いと思いますが、サイズ変更に伴い、タイプカバーの互換性が無くなった点に注意です。Surface Pro Xと同じ13インチモデル用のものが必要になります。
Surface Pro 8は、個人向けのCore i3モデルが無くなったことにより最低価格も大幅に上がったこともあり、全体的に「今風の高級デバイス」というのを意識した感じの仕上がりになっていると思います。ただし、iPadではビデオ通話等を意識して強化された前面カメラの性能は先代から変わらないっぽいのが少し残念です。
Surafce Go 3
「Surface Go」シリーズは安価で軽量なモデルです。処理性能は高くありませんが、軽量で持ち運びに適しており、手頃な価格で手に入れる事が出来るのが魅力です。
- 10.5インチの2 in 1タブレット
- 2021年10月5日発売予定
- 価格は65,780円~(発表日時点)
- CPUが新しい世代のものに(性能は微増程度)
- バッテリー駆動時間が少し伸びた(最大10時間→最大11時間)
- 筐体は同じもので、サイズも重量も同じ
Surface Go 3 | Surface Go 2 | |
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2in1タイプ | セパレート | セパレート |
価格 | ¥65,780~ | ¥57,800~ |
CPU | Core i3-10100Y Pentium Gold 6500Y | Core i3-8100Y Pentium Gold 4425Y |
メモリ | 4GB 8GB | 4GB 8GB |
ストレージ (SSD) | SSD:128GB eMMC:64GB | SSD:128GB eMMC:64GB |
GPU | CPU内蔵 (UHD 615) | CPU内蔵 (UHD 615) |
画面 | 10.5インチ 1920×1280 タッチ対応 | 10.5インチ 1920×1280 (220PPI) タッチ対応 |
バッテリー駆動時間 | 最大11時間 | 最大10時間 |
主な端子 | USB Type-C×1 MicroSDXCカードリーダー 3.5mmヘッドフォンジャック | USB Type-C×1 MicroSDXCカードリーダー 3.5mmヘッドフォンジャック |
無線 | Wi-Fi 6 LTE Bluetooth 5.0 | Wi-Fi 6 LTE Bluetooth 5.0 |
重量 | Wi-Fi:544g LTE:553g | Wi-Fi:544g LTE:553g |
カメラ | 背面:8MP 前面:5MP | 背面:8MP 前面:5MP |
サイズ | 245 x 175 x 8.3 mm | 245 x 175 x 8.3 mm |
Surface Go 3での変更はほぼCPUのみ
「Surface Go 3」のハード面での変更点はほぼCPUのみです。筐体やディスプレイ仕様は、カタログスペックを見る限り全く同じです。イメージ画像を見ても全く同じに見えます。
CPUは新しくはなるものの、処理性能は正直微増程度です。ただし、恐らく電力効率が少し上昇しているおかげで、バッテリー駆動時間が1割ほど伸びているようです。
CPUが変わったものの、その新CPU自体の性能がほとんど変わらないので、正直何も変わっていないレベルだと思います。一応、標準付属のOfficeが2019年版から2021年版にアップグレードしているので、そこに価値を感じるなら変化はあると思いますが、そうでなければ、登場時より少し値下がりしたSurface Go 2で良いような気もします。
Surafce Laptop Studio
「Surface Laptop Studio」は今回初登場のモデルです。14.4インチのタッチ対応のノートPCで、画面を手前にスライドできる特殊なヒンジが採用されており、素早くタブレットモードへと移行することが可能になっています。位置付けはハイエンドモデルのようで、今までハイエンドモデルだった「Surface Book」に取って代わる可能性があるかもしれません。
- 画面を手前にスライドできる特殊なヒンジ採用のタッチ対応の14.4インチノートPC
- 外部GPU(RTX 3050 Ti)搭載可能なハイエンドモデル
- リフレッシュレート最大120Hz
- 2022年前半発売予定
- バッテリー駆動時間が長い(最大19時間)
- 日本での価格は不明(米では約1600ドルから)
Surface Laptop Studio | |
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2in1タイプ | 画面を手前にスライド |
価格 | 不明(米では約1600ドルから) |
CPU | Core i7-11370H Core i5-11300H |
メモリ | 16GB LPDDR4X 32GB LPDDR4X |
ストレージ (SSD) | 256GB 512GB 1TB 2TB |
GPU | Iris Xe G7 80EU (Core i5) RTX 3050 Ti (Core i7) |
画面 | 14.4インチ 120Hz 2400×1600 (201PPI) タッチ対応 |
バッテリー駆動時間 | Core i5:最大19時間 Core i7:最大18時間 |
主な端子 | USB Type-C(Thunderbolt4)×2 3.5mmヘッドフォンジャック |
無線 | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.1 |
重量 | Core i5:1742.9g Core i7:1820.2g |
サイズ | 323.28 x 228.32 x 18.94 mm |
RTX 3050 Tiモデルもあるハイエンドモデル
「Surface Laptop Studio」は特殊なヒンジを採用し、画面を手前にスライドさせることができるノートPCです。また、外部GPUに「RTX 3050 Ti」を搭載したモデルもあるハイエンドモデルです。
CPUにはTDPが35Wのやや性能重視よりモデルの「Core i5-11300H」「Core i7-11370H」が採用されており、省電力モデルよりも高い処理性能となっています。ただし、コア数は4と多くないです。
GPUはCore i5モデルではCPU内蔵のものとなりますが、Core i7モデルではRTX 3050 Tiモデルを搭載モデルとなり、高いグラフィック性能を発揮します。動画編集や重めのゲームにも対応可能です。筐体画像を見ると、底面の近くに広めに排熱用の穴があり、排熱もしっかりしている事が伺えるので、ゲーミングノートのように高負荷な処理をガンガンやる事も想定しているように見えます。
ディスプレイは14.4インチのタッチ対応で、解像度は2400×1600です。リフレッシュレートは最大120Hzとなっており、重いゲームを結構滑らかに楽しむことも出来ます。
バッテリー駆動時間は最大19時間と長いです。バッテリー容量が多い他、他モデルよりPPIが低め(1インチあたりのピクセル数)なことでバッテリー寿命を延ばしていると思われますが、公称の駆動時間は軽めの一般作業時を想定したものなので、CPUとGPUの性能的に高負荷時にはそこまで長くバッテリーは持たないと思うので一応注意です。
外部接続端子には、こちらもSurface Pro 8と同様にUSB Type-Aがありません。そして、Thunderbolt4に対応したUSB Type-Cが二つ搭載されています。また、SDカードスロットは搭載されていないようです。クリエイターなど、SDカードスロットが欲しい方は注意です。
重量は1.8kg前後となっており、サイズの割には重めです。最近のPCの中ではモバイル性能は低めです。厚さも18.94mmと結構あるので、見た目はカジュアル感もありますが、結構どっしり感のあるPCになると思います。
今までにないPCなので評価が難しいですが、モバイル性能は高くないながら、高性能かつ対応範囲の広いPCだと思います。
その他
その他の発表された製品については詳しく触れませんが、凄くざっくりと載せておくので、興味があればチェックしてみてください。
- Surface Pro X:Wi-Fiのみ対応モデル追加Arm版SoCを搭載したSurface Pro Xは、今まではLTE対応モデルのみでしたが、Wi-Fiのみのモデルが追加されるようです。価格は不明ですが、LTE対応モデルの最安値が142,780円(記事執筆時点)なので、これよりは安くなると思います。
- Surface Duo 2:背面カメラが追加折りたたみ式の2画面のAndroidスマホです。「Surface Duo」の後継機です。SoCには「Snapdragon 888」が採用されたハイエンドモデルです。先代では背面カメラが無かったのが、トリプルカメラが追加されます。
- Surface Slim Pen 2:紙のような書き心地のペンSurface Pro 8、Surface Laptop Studio、Surface Pro Xなどでの利用が想定されたスタイラスペンです。マイクロソフトのペン用のプロセッサの「Microsoft G6」とペンに組み込まれている触覚機能が作動することで、紙のような書き心地を実現するらしいです。
- Ocean Pacific Mouse:環境へ配慮したマウス製品の一部に海洋プラスチックをリサイクルした素材を使用する他、梱包品は100%リサイクル可能という環境に優しいBluetoothマウス。特に機能性などを売りにした商品ではないようす。米では約25ドル。
- Surface Adaptive Kit:目の不自由な人のためのシール目の不自由な人がSurfaceを使い易くするためのシールです。キーの位置を確認したり、キックスタンドを簡単に開いたり、本体を持ち易くするなどのシールがあるようです。