Intelの第8世代CPU「Coffee Lake-S」の「Core i5」と「Core i3」の性能比較をしています。
要点だけ知りたいという方は、目次から「まとめ」だけ見ても良いかも。
第8世代のCore i5とCore i3
第8世代のCPUが登場するまでは、物凄く簡単にまとめると、
Core i5は中性能中価格、Core i3はCore i5より性能と価格がワンランク低い
といった位置付けでした。
ただ、Intel製のCPUは、現在(2018年7月)最新の第8世代のCPUになってから、性能が大幅に向上しました。
そのため、従来のCore iシリーズの認識を改める必要がある可能性が出てきました。
第8世代のCore i5
第7世代のCore i5から、コア数が4から6に増え、性能はなんと1.5倍~1.6倍向上しました。
ゲーミング性能に至っては、同じ第8世代のCore i7に匹敵するものを持っています。
1世代前までの、「Core i5は中性能」というイメージは間違いになったと言っても過言ではないです。
また、市場価格が従来のCore i5よりも少し安くなっており、驚異的にコスパの良いCPUとなっています。
ゲーミングPC市場やCPU市場では、未だにCore i7が取り沙汰される事が多いですが、負けず劣らず優秀なCPUです。
Core i7より約10000円~20000円も安い割には、実際のパフォーマンスとしてはそこまで大きな差はありません。
第8世代のCore i3
第7世代のCore i3から、コア数が4に増えましたが、スレッド数は第7世代と変わらず4のままとなっています。
ハイパースレッディングテクノロジー(疑似的に1コアを2コアに見せ、1コア=2スレッドを実現する技術。)を使用しない仕様になりました。
性能はCore i7やi5と同じく大幅に向上し、第7世代のCore i5に匹敵する性能となりました。
ゲーミング性能に関しても大幅に向上し、最新ゲームをプレイするためのCPUとして選択肢と入れても良いレベルになりました。
ただし、TDP(消費電力の目安の指標)はやや上昇しています。
簡易比較表
第8世代のCore i5/3の簡易比較表です。
CPU名 | ベンチマーク | コア(スレッド) | TDP | 定格クロック | TB時最大 | コスパ | 参考価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Core i5 8600K | 12800 | 6(6) | 95W | 3.6GHz | 4.3GHz | 0.434 | 29,500円 |
Core i5 8500 | 12100 | 6(6) | 65W | 3.0GHz | 4.1GHz | 0.515 | 23,500円 |
Core i5 8400 | 11700 | 6(6) | 65W | 2.8GHz | 4.0GHz | 0.571 | 20,500円 |
Core i3 8350K | 9500 | 4(4) | 91W | 4.0GHz | – | 0.452 | 21,000円 |
Core i3 8300 | 8800 | 4(4) | 62W | 3.7GHz | – | 0.533 | 16,500円 |
Core i3 8100 | 8100 | 4(4) | 65W | 3.6GHz | – | 0.578 | 14,000円 |
※ベンチマークスコアはPASSMARKのベンチマークスコアを参考にした目安の値。
※参考価格は、価格.comの2018年7月時点での最安値価格。
コスパは全製品良いですが、末尾Kのモデルだけは少し劣っています。
Core i3とCore i5の末尾Kモデルを購入するのであれば、ワンワンク上(Core i3ならCore i5)のモデルにした方が良さそうです。
コスパの数値自体は非常に近く、「予算と用途に合わせて」としか言えない感じはします。
ただ、性能自体はCore i5自体の方が高く、ワットパフォーマンス(消費電力あたりの性能)はCore i5の方が高いです。
そのため、若干ではありますがCore i5の方がお得感はあるといったところです。
シングルスレッド性能
シングルスレッド性能が高いと、軽い処理の処理速度が速くなる他、マルチスレッド(コア)処理に対しての最適化が不十分なアプリケーションに対する処理速度が速くなります。
大きなメリットは上記に挙げたものが主ですが、ほぼ全ての処理に対して有利に働くので重要視される事が多いです。
今回は、Cinebench R15というソフトで測定した数値を見ていきます。
【Cinebench R15 Single】
シングルスレッド性能は、ほぼ変わらず
若干Core i5の方が高くはなりましたが、差はほとんどないという結果でした。
特別重い処理でない場合は、双方のパフォーマンスは変わらないと言っても良いでしょう。
マルチスレッド性能
マルチスレッド性能が高いと、マルチタスクの処理やエンコードの速度などが速くなります。簡単にいうとCPU全体の全力のパフォーマンスを表します。
シングルスレッド性能と同じく、Cinebench R15というソフトで測定した数値を見ていきます。
【Cinebench R15 Multi】
マルチスレッド性能は、Core i5が大きく上回る
Core i5がCore i3の約1.5倍のスコアを出し、大きく上回る結果となっています。
第7世代からはCore i3も大きくスコアを伸ばしましたが、Core i5も大きくスコアを伸ばし、両者の差は変わらないままといった感じでした。
Core i5に関しては、参考に載せている第7世代Core i7とほぼ同じ数値を記録しており、重いマルチタスク処理やエンコード処理も任せられそうです。
それに対し、Core i3の数値は低くはないものの、上記のような処理を任すには少し頼りないです。
ゲーミング性能
ゲーミング性能は、言葉の通りゲームする際のパフォーマンスの性能です。
主に実際にゲームを起動してみた際のFPS数で比較されます。
今回は、20種類の人気ゲームでFPS数を測定した平均FPS数の数値を見ていきます。
使用されたGPUは「Geforce GTX 1080 Ti」となっています。
【総合ゲーミング性能】
CPU名称 | FPS |
---|---|
Core i7 8700K(参考) | 113.8 |
Core i5 8400 | 110.9 |
Core i7 7700K(参考) | 110.5 |
Core i3 8100 | 99.4 |
Core i7 4770K(参考) | 92.1 |
ゲーミング性能は、Core i5が圧倒的な良さ・Core i3も高い数値を記録
ゲーミング性能もやはり、Core i5がCore i3を大きく上回る数値でした。
Core i5の数値は、同じ世代のCore i7にも迫っている非常に高いゲーミング性能が確認できました。驚異的なコスパです。
また、Core i5に劣るものの、Core i3のゲーミング性能も予想を遥かに上回る良い数値でした。
結構前の世代のものですが、ベンチマークスコアでは大きく上なはずの「Core i7 4770K」を上回るゲーミング性能を発揮しています。
まとめ
圧倒的すぎるコスパのCore i5が安定
1世代前のCore i7に匹敵する高いシングルスレッド・マルチスレッド・ゲーミング性能…従来のCore i5よりも安い価格…
第8世代のCore i5のコスパが圧倒的に良すぎます。
Core i3のコスパも非常に良く、リーズナブルな価格も魅力的です。ただ、Core i5のコスパがあまりに良すぎます。
これから先に必要スペックが上昇する可能性を考えると少しでも良い性能のものを選ぶべきという意見もありますし、
約7000円プラスでここまでの性能を得られるのであれば、Core i5を選んでおいて損はないかなと思います。
少しでも予算を抑えたい、という人はCore i3でも十分
Core i5の性能の高さとコスパの良さで隠れていますが、第8世代のCore i3も非常に優秀なCPUです。
シングルスレッド性能なら、Core i5やCore i7にも肉薄したものを持っています。
マルチスレッド性能も低くはなく、動画エンコードなども少し時間が掛かるだけでこなせます。
ゲーミング性能も高く、設定を落とす等の工夫をすれば、最新のゲームでも十分快適にプレイできるだけのものを持っています。
正直、そこまでPCにこだわりの無い人からみれば、「こっちのが安定じゃん感」もある程優秀です。
実際「現時点」ではそれも間違いではないと思います。
ただ、購入後に様々なアプリケーションの要求スペックが上がった際に、割とすぐ「器用貧乏CPU」となってしまう可能性もはらんでいる点は頭に入れておきましょう。
それでは、記事はここまでです。ご覧いただきありがとうございました。