「GeForce RTX 30」と「Radeon RX 6000」シリーズのざっくり評価まとめ【2022年5月版】

2022年5月時点での最新世代のデスクトップ向けの単体GPU(グラボ)の筆者による評価の一覧です。具体的には、NVIDIAの「GeForce RTX 30シリーズ」とAMDの「RX 6000 シリーズ」の2つについて見ていきたいと思います。ただし、上記以外でも今でも主流となっている旧世代のGPUも一部あるので、そちらも含めています。出来るだけ客観的な視点を意識していますが、筆者の主観による評価ではあるため参考程度にしてください。

Intel製のGPUや次世代も近付いている中で微妙な時期ではありますが、ラインナップもほぼ全て出揃った現在の世代のGPUについて振り返りも兼ねて見ていきたいと思います。

注意

本記事の内容は記事執筆時点(2022年5月20日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

主要スペックと性能

主要スペック(仕様)

まずはざっくりと「RTX 30シリーズ」と「RX 6000シリーズ」の仕様を載せています。

簡易比較表

※日本円での価格は2022年5月20日時点でのおおよその市場最安値となっています(筆者調べ)。

GPU価格
(MSRP)
コア数メモリ容量
メモリバス幅
メモリ速度
メモリ帯域幅
レイトレ用
ユニット数
ダイ
サイズ
TDP
RTX 3090 Ti279,800円
1,999ドル
10,75224GB
384bit
21.0Gbps
1008GB/s
84628.4㎟450W
RTX 3090250,000円
1,499ドル
10,49624GB
384bit
19.5Gbps
936GB/s
82628.4㎟350W
RX 6950 XT185,900円
1,099ドル
5,12016GB
256bit
18Gbps
576GB/s
80約519㎟335W
RX 6900 XT164,800円
999ドル
5,12016GB
256bit
16Gbps
512GB/s
80約519㎟300W
RTX 3080 Ti167,000円
1,199ドル
10,24012GB
384bit
19Gbps
912GB/s
80628.4㎟350W
RTX 3080 12GB145,800円
?ドル
8,96012GB
384bit
19Gbps
912GB/s
70628.4㎟350W
RTX 3080124,800円
699ドル
8,70410GB
320bit
19Gbps
760GB/s
68628.4㎟320W
RX 6800 XT129,800円
649ドル
4,60816GB
256bit
16Gbps
512GB/s
72519㎟300W
RX 6800114,800円
579ドル
3,84016GB
256bit
16Gbps
512GB/s
60519㎟250W
RTX 3070 Ti88,800円
599ドル
6,1448GB
256bit
19Gbps
608GB/s
48392㎟290W
RTX 307089,000円
499ドル
5,8888GB
256bit
14Gbps
448GB/s
46392㎟220W
RX 6750 XT96,800円
549ドル
2,56012GB
192bit
18Gbps
432GB/s
40336㎟250W
RX 6700 XT87,800円
479ドル
2,56012GB
192bit
16Gbps
384GB/s
40336㎟230W
RTX 3060 Ti73,800円
399ドル
4,8648GB
256bit
14Gbps
448GB/s
38392㎟200W
RX 6650 XT67,100円
399ドル
2,0488GB
128bit
17.5Gbps
288GB/s
32237㎟180W
RX 6600 XT56,800円
379ドル
2,0488GB
128bit
16Gbps
256GB/s
32237㎟160W
RX 660045,800円
329ドル
1,7928GB
128bit
14Gbps
224GB/s
28237㎟132W
RTX 306057,800円
329ドル
3,58412GB
192bit
15Gbps
360GB/s
28276㎟170W
RX 6500 XT25,980円
199ドル
1,0244GB
64bit
18Gbps
144GB/s
16107㎟107W
RX 640023,000円
149ドル
7684GB
64bit
16Gbps
128GB/s
12107㎟53W

性能(ベンチマークスコア)

GPUの各種性能やベンチマークスコアを表でまとめています。この後の評価の根幹となる部分です。ソート出来るので、気になる項目があれば使ってください。

補足事項等

コスパ:1円あたりのベンチマークスコアです。そのままだと小数点以下の桁数が多くて見にくいので、100を掛けて調整しています。

電力効率:1Wあたりのベンチマークスコアです。

スコアの参考:https://www.3dmark.com/

基本情報
GPUDirectX12性能
(3DMark Time Spy Graphics)
レイトレーシング性能
(3DMark Port Royal)
市場価格
(2022/5/20時点)
TDP
スコアコスパ電力効率スコアコスパ電力効率
RTX 3090 Ti21,9778.048.814,8445.433.0¥274,800450W
RTX 309019,9328.356.913,6415.739.0¥239,800350W
RTX 3080 Ti19,60811.856.013,2978.038.0¥165,800350W
RX 6950 XT22,23612.466.410,9366.132.6¥179,800335W
RX 6900 XT20,33612.367.810,3656.334.6¥164,800300W
RTX 3080 12GB18,85512.953.912,4508.535.6¥145,800350W
RTX 3080 10GB17,69214.455.311,5649.436.1¥122,800320W
RX 6800 XT18,79214.562.69,5457.431.8¥129,800300W
RX 680015,45613.561.87,7836.831.1¥114,800250W
RTX 3070 Ti14,82517.051.18,87110.230.6¥86,980290W
RTX 307013,78916.762.78,30210.037.7¥82,800220W
RX 6750 XT13,49215.254.06,4477.325.8¥88,800250W
RX 6700 XT12,57415.854.75,9417.525.8¥79,580230W
RTX 3060 Ti11,89317.059.56,97810.034.9¥69,800200W
RX 6650 XT9,74615.554.14,6007.325.6¥62,800180W
RX 6600 XT9,69818.060.64,4078.227.5¥53,800160W
RTX 30608,86716.752.25,1579.730.3¥52,980170W
RX 66008,06518.861.13,7798.828.6¥42,980132W
RTX 2060 12GB7,99616.143.54,4438.924.1¥49,800184W
RTX 2060 6GB7,66117.547.94,1529.526.0¥43,800160W
GTX 1660 Ti6,40317.453.41,6544.513.8¥36,800120W
RTX 30506,27814.648.33,6058.427.7¥42,980130W
GTX 1660 SUPER6,12215.449.01,5663.912.5¥39,800125W
RX 6500 XT4,97518.646.54831.84.5¥26,800107W
RX 64003,496?13.866.0¥21,98053W
GTX 1650 GDDR63,66913.648.9¥26,98075W

ざっくり評価一覧

本題です。2022年5月時点での主要GPUの評価をまとめています。基本的に最新世代のものを載せていますが、旧世代のものでも今でも新品で販売のある主要なものについては載せています。また、評価は最新世代のGPU基準です。そのため、たとえば△だったとしても旧世代のGPUと比べると全然悪くないという可能性もある点に注意です。

GPU名の下の数字は性能スコアとなっています。1つ目の「DX12」は3DMark Time Spy Graphics Scoreのもので、DirectX 12の1440pでのスコアとなっておりWindowsで主要なゲーム用APIのものとなっています。2つ目の「RT」は3DMark Port Royalのもので、DirectX Raytracingでのスコアとなっており、レイトレーシング性能を表すものになります。

評価GPU
TDP
性能スコア
概要
RTX 3090 Ti
TDP:450W
DX12:21977
RT:14844
RTX 30シリーズの最上位モデルです。各コア数が最も多いのはもちろんですが、最大の強みはメモリに24GB、384bit、21Gbpsの超高性能GDDR6Xが採用されている点です。これによりどんな用途でもボトルネックが発生しにくく、メモリ量が重要な用途では無類の強さを誇ります。
その性能はどの方面から見ても素晴らしいですが、まず価格が30万円前後~とめちゃくちゃ高価なのでコスパはかなり悪いです。それだけでなく、TDPも450Wと規格外になっており消費電力がとんでもなく多くて電力効率も良くないです。
予算度外視としても、RTX 3090やRX 6900 XTとめちゃくちゃ差がある訳でもないので、効率面を劇的に悪化させてまであえて選ぶ必要は正直無いかなという最上級モデルとなっています。
RTX 3090
TDP:350W
DX12:19932
RT:13641
RTX 30シリーズのハイエンドモデルです。RTX 3090 Tiの登場によって最上位ではなくなりましたが、メモリが24GBな点は同じですし、効率面ではこちらの方がマシなので、予算度外視の高性能モデルを求めている場合でもこちらの方がおすすめです。当然ながら性能は非常に高性能です。
とはいえ、こちらもTDPは350Wとなっており消費電力はめちゃくちゃ多くて電力効率は良くはなく、価格も約25万円~と非常に高価で、コスパは悪いです。RTX 3090 Tiと比べればマシというだけで、効率や予算を考えるならおすすめはできないモデルです。
RX 6950 XT
TDP:335W
DX12:22236
RT:10936
RX 6000シリーズの最上位モデルです。RX 6900 XTのメモリとクロックを若干強化したモデルとなっています。
16GBメモリを搭載し、基本性能はRTX 3090 Tiにすら勝るものを持ちながら、価格は約18万円~と大幅に安いのが魅力です。とはいえ非常に高額で効率面も良くはないので、やはり予算度外視のハイエンドモデルです。
注意点としてはまず、レイトレーシング性能はRTX 3090 TiどころかRTX 3080にすら若干劣るレベルな点があります。その他、TDPは335Wとなっており非常に多く、RTX 3090 Tiよりはマシなものの電力効率も悪めです。しかも、レビュー等ではTDPよりもやや多い消費電力が確認されていたりもするので、RX 6900 XTでいいじゃん感があるモデル。
RX 6900 XT
TDP:300W
DX12:20336
RT:10365
RX 6000シリーズのハイエンドモデルです。レイトレーシング面を除けばRTX 3090に匹敵する性能がありながら、約16万円~と圧倒的に安いのが魅力です(RTX 3090は約25万円~)。また、電力効率も優れている点も魅力です。
やはり10万円台後半の価格ながらRTX 3080にも劣るレイトレーシング性能というのが気になるところではあるものの、電力効率が非常に優れているため、そこを重視するなら予算度外視でなくても選択肢に入りそうなハイエンドGPUです。
RTX 3080 Ti
TDP:350W
DX12:19608
RT:13297
RTX 3080 Tiは、RTX 3090のメモリが24GBから12GBへと減った感じのハイエンドGPUです。
特にゲームにおいては24GBのメモリというのは正直オーバースペック過ぎてコストの無駄遣い感が強かったので、ゲーマー向けにそこを削減して価格を安くした感じのモデルです。そのため、ゲーミング性能に関してはRTX 3090とほぼ同じです。
とはいえ、TDPは350W据え置きで非常に多いままの上、価格もRTX 3090よりは安くなったとは約17万円~とRTX 3080より大幅に高価です。価格の差ほどはRTX 3080よりも優位性を感じられないので、正直中途半端な存在となっていると思います。
RTX 3080 12GB
TDP:350W
DX12:18855
RT:12450
RTX 3080 12GBモデルは、RTX 3080 10GBとRTX 3080 Tiの中間の価格帯のハイエンドGPUです。
名前を聞くと10GBモデルからメモリが強化されただけにも見えますが、メモリは容量だけでなくバス幅も広くなっているため帯域幅も広くなっている他、メインのGPUのコアもわずかに増えています。性能差はわずかながらメモリ以外でも全体的に10GBモデルよりも高性能となっています。
とはいえ、価格は10GBモデルよりも大幅に高くなっている割には性能向上は小さいためコスパは悪く、消費電力も増えたため電力効率も少し悪化しています。これを選ぶなら10GBモデルで良いかなという印象です。
RTX 3080 10GB
TDP:320W
DX12:17692
RT:11564
RTX 3080はハイエンドの中ではコスパが良くて安いのが魅力の人気GPUです。
これ以上のモデルだとコスパが一気に悪化してしまうので、コスパを妥協しない場合のハイエンドとしては丁度良いモデルです。
効率面は良コスパのミドルレンジモデルと比べると劣るものの、ハイエンドの中ではバランスが良くて目立った欠点がないのが嬉しいです。
メモリ容量は10GBとなっています。ハイエンドにしては少ない気はするものの、現状のゲーミングでは基本十分な容量となっていますし、高速かつバス幅の広いメモリなので、ミドルレンジ以下のモデルよりは圧倒的に高性能です。
RX 6800 XT
TDP:300W
DX12:18792
RT:9545
RX 6800 XTはハイエンドの中で特に効率面で優れるGPUです。
レイトレーシング性能はやはり対抗のRTX 3080には劣るものの、RTX 3070よりは高性能でRX 6000シリーズの中ではコスパは良い方で、RTXの中でもコスパの良くないものよりは少し良かったりします。
RTX 3080と比べるとどうしてもレイトレ性能差が気になってしまうため選択しにくさはあると思いますが、16GBメモリの利点はありますし、レイトレ以外の効率面では勝っていますから、メモリ容量と電力効率を重視する場合にはおすすめのハイエンドモデルです。
RX 6800
TDP:250W
DX12:15456
RT:7783
RX 6800はハイエンド下位くらいの印象のGPUです。価格の割には明らかに多い16GBメモリを搭載しており、メモリ性能コスパ的な面で考えればダントツのモデルです。電力効率も非常に優れていてコスパもハイエンド帯からすると良い方です。余談ですが、マイニング効率が凄く良かったらしく、長らくマイナーや転売の人の買い占め対象となっていて、一般人からすると存在を忘れるレベルで見ないGPUでした。今ではマイニング需要が減ったこともあってか、普通に見掛けます。
効率的にも悪くなく、メモリに関しては普通にハイエンド級なので非常に魅力的に見えますが、少し下の価格帯の「RTX 3070」が非常に強力なので、相対的に評価を下げている印象です。
基本性能とメモリ性能はこちらの方が上ですが、RTX 3070の方がレイトレーシング性能は少し上ながら安価で、コスパと電力効率が非常に優れています。総合コスパならRTX 3070ですし、更に予算も減らしたい場合なら、尚更RTX 3070の方が魅力的です。
ただし、レイトレーシング差は小さめですし、メモリ容量は倍の16GBですから十分強みは感じれるGPUです。
RTX 3070 Ti
TDP:290W
DX12:14825
RT:8871
RTX 3070 Tiはコスパに非常に優れるGPUです。RTX 3070(無印)の上位という位置付けながら、価格はRTX 3070とほぼ同等で性能は少し高いので、コスパが非常に優れています。
ただし、TDPが290Wとなっており、性能の割には消費電力が多いです。そのため電力効率が良くない点は注意です。そもそも恐らく、このデメリットがあって安くなったと思われます。
コスパ最重視で高性能GPUが欲しいなら強力ですが、手放しでおすすめできる感じのGPUではない印象です。
RTX 3070
TDP:220W
DX12:13789
RT:8302
RTX 3070はあらゆる面で非常に優れた効率の高コスパGPUです。
性能も前世代のハイエンドクラスはあるのでハイエンド用途でも使えますし、価格もハイエンド帯よりは安いので特に人気のGPUです。
「とにかく高性能を」という訳でなければ、1、2を争うレベルの無難なGPUという印象です。
その良さと人気のせいで高騰下の中でも特に希望小売価格よりも大きく高くなってしまっている点が痛いですが、それでもまだ効率面ではトップレベルの良GPUです。
ただし、メモリ容量は8GBと価格の割にはやや少ないため、メモリ容量が重要なハイエンド用途を前提としている場合にはやや不向きな点には注意です。
RX 6750 XT
TDP:250W
DX12:13492
RT:6447
RX 6700 XTのメモリとクロックを若干強化したモデルとなっています。単体で見ると悪くはないですが、RTX 3070の方が明らかに良いです。
RTX 3070よりも少し高価なのに基本性能が少し負けている上、レイトレーシング性能では大きく負けます。性能で負けるのに消費電力はやや多くて電力効率でも負けます。
この価格で12GBメモリを搭載している点は魅力にも見えますが、メモリのバス幅が192bitとなっており、RTX 3070の256bitよりも劣っています。メモリ帯域幅はわずかに負けており、有利とは言えなかったりします。
RX 6700 XT
TDP:230W
DX12:12574
RT:5941
10万円未満で12GBメモリを搭載しているのが魅力のモデルですが、メモリバス幅が192bitとなっている点が価格の割には低く、帯域幅は「RTX 3060 Ti /3070」に負けているのでメモリ面でも実は強力じゃないです。
単体で見ると悪くはないGPUですが、対抗の「RTX 3060 Ti /3070」が効率面で強すぎるため、あえて選ぶ必要はない印象のGPUです。
レイトレを抜きにしたコスパでも良くはないので、よほど市場価格より安くならない限りは選択肢に入らないと思います。
RTX 3060 Ti
TDP:200W
DX12:11893
RT:6978
RTX 3060 Ti は、RTX 3070と並ぶ非常に効率的な高コスパGPUです。
RTX 3070よりはコア数が少なく低性能なものの、メモリ仕様は同じです。RTX 3070は価格の割には容量が少ない印象でしたが、RTX 3060 Tiの価格帯なら8GBは妥当な容量ですし、逆にこの価格帯ではバス幅256bitが優れている部類に入ります。同価格帯の他GPUよりも明らかにメモリ帯域幅が広く優秀です。
それでいて基本性能コスパも普通に良く、電力効率も良いです。人気が理由がすぐわかる、RTX 3070と並んで「とにかく高性能を」という訳でなければ、1、2を争うレベルの無難なGPUという印象です。
ただし、やはりRTX 3070と同じくその人気のせいで希望小売価格よりも大きく高価になってしまっている点は痛いです。それでもまだ総合コスパはトップレベルの良さですが、値動きには注意したいところです。
RX 6650 XT
TDP:180W
DX12:9746
RT:4600
RX 6600 XTのメモリとクロックをわずかに強化したモデルです。
その差は微強化といったレベルになっており、価格差も小さいです。わざわざ後発で市場に出す意味があったのかと正直疑問を感じるGPUです。
ただし、元のRX 6600 XTが非常にコスパの良いGPUだったこともあり、6650 XTもコスパに優れたGPUになっています。
ですが、消費電力が少し増加したことにより、コスパや各効率はわずかに悪化しており、優れたGPUですがRX 6600 XTでいいじゃん感が強いGPUです。同額で電力効率重視じゃないならこっちでも良いかもくらいの立ち位置です。
RX 6600 XT
TDP:160W
DX12:9698
RT:4407
RX 6600 XTはレイトレを除く1440p以下なら非常にコスパと電力効率の良いGPUです。
その性能の割には安くて消費電力が少ないです。128bitとバス幅の狭いメモリが惜しいですが、非常に効率的なGPUです。
ただしレイトレーシング性能は低く、上位モデルですがRTX 3060 Tiと比べるとかなり大きく負けています(ベンチマークでは1.5倍くらい違う)。
この価格・性能帯ではレイトレはあまり重視されない傾向もある点を考慮すると、かなりニーズに合ったGPUであると思いますが、PC全体で考えると2万円程度プラスすれば基本性能もレイトレ性能もグッと上がるRTX 3060 Ti の方が明らかにお得に見えますし、安さを考慮するにしても、若干基本性能が落ちてもレイトレとメモリ性能で勝るRTX 3060(無印)の方が無難に見えるため、意外と第一選択肢にはならない感じのGPU。
RX 6600
TDP:132W
DX12:8065
RT:3779
RX 6600 はレイトレを除く1080p以下なら非常にコスパと電力効率が良いGPUです。
シンプルに、RX 6600 XTの価格を安くした分の性能と消費電力が下がった感じの下位GPUとなっています。
その性能の割には価格は安くて消費電力が少ないです。
記事執筆時点(2022年5月中旬)で約4万円台中盤からとなっており、人気のRTX 3060 Tiなどよりも大幅に安価です。その安さながら特別重くないゲームで1080pの144fpsくらいを目指すのであれば十分な性能を持っているのが魅力です。
TDPも同価格・性能帯のGPUより明らかに少ない132Wとなっており、電力効率も非常に優れています。
レイトレーシング性能が低いのは気になるものの、この価格帯ならどのGPUでも大した性能は出ないですし、RTX 3060よりも安くてRTX 3050より高性能なので、出来るだけ低価格で1080pゲーミングPCを求めるなら非常に丁度良いGPUだと思います。
RTX 3060
TDP:170W
DX12:8867
RT:5157
RTX 3060はやや安価な価格帯なのにメモリを12GBも搭載しているのが魅力のGPUです。
この価格帯で12GBメモリは明らかに多く、メモリ容量重視の用途で出来るだけ安く済ませたいなら非常に魅力的でコスパの良いGPUとなています。ゲームではVRChatで一番コスパの良いGPUとして有名だと思います。
ただし、バス幅は上位GPUよりは基本低い192bitな上に、転送速度も15Gbpsと速くないので、メモリ容量は負けていなくても上位GPUには帯域幅では基本負ける点は注意です。たとえば256bit 8GBのRTX 3070よりも帯域幅はやや大きく狭いです。メモリだけでも有利とは言えない点は注意です。
また、基本性能の割には消費電力も少し多めで電力効率も良くはなく、コスパもレイトレ以外は「RX 6600 / RX 6600 XT」と比べると劣ります。総合コスパ的なところだと、やや高価にはなりますがRTX 3060 Tiが非常に強力なのでそちらをおすすめします。
そのため、メモリの強みはあるし悪くないけど、最適となるのはメモリ容量を重視する場合か安価でもレイトレをある程度使いたいという場合になる点に注意です。
RTX 2060 12GB
TDP:184W
DX12:7996
RT:4443
RTX 2060 12GBモデルは、従来メモリは6GBだったRTX 2060のメモリを増量したモデルです。
この価格帯で12GBメモリは魅力的に見えますが、少し上にRTX 3060があり、そちらの方が各種性能が少し高い上に消費電力も少ないので良いです。
RTX 2060 6GBと比べても、メモリが増量されたとはいえバス幅が192bitのままなので帯域幅は変わらず、速度も今となってはやや低速な14Gbpsです。基本性能はわずかな向上なのに、価格はやや向上し消費電力が増えて電力効率は少し悪化しています。
安くてメモリ容量が多いGPUが欲しいならRTX 3060の方が良いし、出来るだけ安くレイトレや快適な1080pゲーミングを実現したいならRX 6600やRTX 2060 6GBで良いので、あえて選ぶ必要性は感じないGPUです。
ただし、発売から値下がりが続いているので、RTX 2060と同額くらいになれば選択肢に入るかもしれません。
RTX 2060 6GB
TDP:160W
DX12:7661
RT:4152
RTX 2060 6GBは、今では旧世代のミドルレンジGPUです。
比較的安価かつコスパの良かった旧世代GPUを半導体やGPUの供給不足を解消するためとして、未だに生産と販売が続けられている感じのモデルになります。
4万円台前半からという価格の割には性能が高く、旧世代となった今でもコスパは比較的良いです。そのコスパと安価さが魅力です。
ただし、旧世代ということもあり電力効率は最新世代よりも悪めな点は留意です。同じTDPのRX 6600 XTの方が基本性能は1.2倍以上となっています。
GPUが特に高騰していた上に低価格帯のラインナップが揃っていなかった時期には良かった時期もあったかもしれませんが、今では同価格帯でもRX 6600の方が明らかに良いので、第一候補にはならなさそうな気がします。
RTX 3050
TDP:130W
DX12:6278
RT:3605
RTX 3050は記事執筆時点(2022年5月)時点でのRTX 30シリーズの最下位モデルです。
性能はRTX 2060よりもやや低く、その割には消費電力はそれなりなので、コスパも電力効率もあまり良くはないモデルです。
低価格にしてはメモリが8GBと多いものの、128bitとバス幅が狭いため帯域幅が狭いです。RTX 2060の方が優れています。
同価格帯ではRX 6600が効率面で優秀すぎるため第一候補にはならないですが、レイトレコスパは良いので、レイトレ含め出来るだけ安価に幅広く対応したい場合には悪くはないモデルです。
GTX 1660 Ti
TDP:120W
DX12:6403
RT:1654
GTX 1660 Tiは旧世代のミドルレンジGPUです。
レイトレにハードウェア対応していないためレイトレ性能は最新GPUに圧倒的に劣りますが、それ以外は今でも悪くないコスパと性能のミドルレンジGPUです。
とはいえ、わずかに高価なRTX 2060やRX 6600の方がコスパが良いので、あえて選ぶ必要性は無い印象です。
GPUの品薄が深刻だった時にはある程度の需要があったかもしれませんが、今では微妙な立ち位置のGPUだと思います。
GTX 1660 SUPER
TDP:125W
DX12:6122
RT:1566
GTX 1660 SUPERは、Tiとほぼ同等の性能の旧世代のミドルレンジGPUです。
価格も性能もかなり近いので、説明は1個上を参照。
×RX 6500 XT
TDP:107W
DX12:4975
RT:483
RX 6500 XTは上位モデルと異なり6nmプロセス製造のエントリーモデルです。
わずかながら主流モデルよりも微細化されたプロセスに期待させられますが、正直性能は期待外れです。
まず処理性能以前にデメリットがたくさんあります。ざっというと、「AV1デコード非対応」「VP9、H.264、H.265エンコード非対応」「PCIe 3.0だと性能が低下」「レイトレーシングが使い物にならない」といった感じです。
コーデックに関してはCPUが高性能ならさほど問題にはならないとも言えますが、他の最新GPUなら当たり前に搭載している機能がなくCPU負荷が増えるというのは好ましくないです。
映像コーデック対応が壊滅的な上、基本性能も高くないのにレイトレーシング性能は嘘だろってレベルで低いです。
その微妙さのせいで発売後すぐに値崩れし、数少ない適正予想価格を下回るという事態になっており、その安さのおかげで1080pゲーミングでのコスパはかなり良好となっています。ただし、電力効率が悪いので、1080pのライト層のゲーミング用としてもおすすめし難いレベルの出来になっています。
GTX 1650 GDDR6
TDP:75W
DX12:3669
RT:ー
GTX 1650は旧世代のエントリーモデルGPUです。
旧世代の下位モデルなので当然性能は低いです。ですが、TDPは75Wで補助電源が必要ない点は嬉しいですし、メモリに関しては元のGDDR5からアップグレードされたGDDR6モデルがあり、バス幅が192bitと価格の割にはメモリ性能は高めです。
今となっては性能も電力効率もコスパも悪くて良いGPUとは言えないですが、補助電源不要で価格の割には良いメモリ搭載という点は評価できます。
出来るだけ安くクリエイティブ用途やゲームに使えるレベルのGPUが欲しいなら今でも需要があると思います。
とはいえ、何とかもう少し出してRX 6600かRTX 2060にした方がコスパ的には良いとは思います。
RX 6400
TDP:53W
DX12:3496
RX 6400は、6500 XTと同じ6nmプロセス製造のエントリーモデルです。記事執筆時点(2022年5月)ではRX 6000シリーズの最下位モデルになります。
6500 XTと同じ「AV1デコード非対応」「VP9、H.264、H.265エンコード非対応」「PCIe 3.0だと性能が低下」「レイトレーシングが使い物にならない」といったデメリットを抱えているため、その時点で評価的にはかなりマイナスです。
ただし、こちらは電力効率に関しては非常に良く、補助電源の要らない53WというTDPの上に1スロットモデルもある点は評価できます。
電源に少し余裕があれば、他に何の用意も必要なく導入することが可能です。
性能は低く、重めのゲームは低fpsで何とかってレベルですが、グラボ未搭載のその辺のPCでも雑に採用できる可能性があるのは需要があるかもしれないです。

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