CPUとは?
本記事で取り扱うCPUとはPC(パソコン)のパーツの一つです。PCにおいて最も重要なパーツと言っても過言ではないパーツになります。
名前のCPUは「Central Processing Unit(セントラル プロセッシング ユニット)」の略称で、直訳すると「中央処理装置」となります。翻訳通り、PCのシステムの中心となって処理を行うパーツとなっており、PCの頭脳とよく例えられます。PCの核とも言えるパーツとなっており、CPUの性能がPC全体に影響を及ぼすため、PCの性能を決定付ける非常に重要なパーツとなっています。
CPUの性能が高いほど、動作は快適で重い処理もこなせるようになり、CPUの性能が低いほど、動作はもっさりして重い処理が厳しくなります。このように、PCの使用感を非常に大きく左右するパーツなので、慎重に選ぶ必要があります。
CPUはPCの性能を大きく左右しますが、画像・動画処理に関しては主に別のユニット(GPU)が担当しています。そのため、グラフィック性能のメインはCPUではなくGPUとなる点に注意です。CPUが高性能でもグラフィック性能が高いとは限りません。
性能・仕様について
次に、CPUの重要となる仕様について説明しています。
- コア:核となる部品
CPUのメインの処理を行う核となる部品です。コア数が多いほどCPU全コアでの処理の能力が上がり、複数の処理を並行して行う場合(例:ゲーム配信)や膨大な量のデータ処理(例:レンダリング)で有利になります。
- スレッド:仕事の単位
コアが行う仕事の単位です。ざっくり分かり易くいうと、システム上で認識するコア数といった感じ。
- クロック(動作周波数):データ処理の速度
CPUのデータ処理の速度を示す指標です。単位はHz(ヘルツ)。
- TDP(熱設計電力):おおまかな消費電力
消費電力のおおまかな目安となる値です。単位はW(ワット)。実際の消費電力を示している訳ではないので注意。あくまで目安。
- ベンチマークスコア:性能を数値化したもの
CPUの処理性能を数値化したものです。専用のソフトを用いて測定します。様々な種類があり、測れる性能の傾向などが異なります。有名なソフトはPassMarkやCinebenchなど。
- プロセスルール:配線の太さ
CPUの配線の太さです。単位はnm(ナノメートル)。細いほどより複雑な設計が可能になるため効率化が図れる他、消費電力の面でも有利です。
コア:CPUの核となる部品
CPUのコアは、処理を実際に行う部品です。コアはCPUの性能に直結する部品となっているため非常に重要で、核ともいえる部分です。
コアが処理を行う訳なので、コアの数が出来るだけ多い方がCPU全体としては高性能となります。コア数を増やすというのはCPUの性能を向上する最も効果的かつ手っ取り早い方法です。そのため、現在では処理性能を上げるために一つのCPUの中に複数のコアが存在する「マルチコア」が主流となっています。
2022年現在では8コアなども当たり前になっており、年が経つにつれてコア数がどんどん増加しています。1コアあたりの性能も向上してはいますが、コア数を増やすよりも性能の向上率は小さく、技術的にも難しいため、CPUの性能向上のカギは、どれだけコアを省電力で小さくして一つのCPUの中にたくさん収められるかという感じになっています。
ただし、CPUのコア数が増えるというのは、電力を消費する部品が増える、熱源が増えるということでもあります。そのため、コア自体の仕様にもよりますが、コア数が増えるほど発熱と消費電力が多い傾向があります。また、単純に部品を多く採用するということはコストが増えることでもあります。コア数が多いほどCPU自体の価格も高い傾向があります。
このように、コアを増やすことは性能を向上させる反面、デメリットもあるので一概にコア数が多いほど良いCPUとは言えない点に注意です。特に、重い処理を想定していないユーザーは、適度なコア数の安価なCPUの方が実用性もコスパも良くなる可能性が十分にあります。
多コア化のメリット
- CPUの全体性能の向上
コアの数を増やすとCPUの全体性能(CPUの全コアでの処理性能)が高くなります。この性能が高いと、多数の処理を並行して行う場合や、膨大な量のデータ処理などで特に有利になります。コアを増やす大きなメリットです。
多コア化のデメリット
- 発熱が多くなる
コアはその小さい中で膨大な処理を行うため高負荷時には大きく発熱します。PCにとって熱は天敵なので発熱量が増える事は好ましくありません。また、CPUには温度が規定値より高くなるとクロックが下がる安全機能(サーマルスロットリング)があるため、排熱能力を上げにくいモバイル端末では特に、発熱の多いCPUを使用していると処理速度が低下する事が頻発する可能性があります。デスクトップの場合でも、熱対策のためにより良いCPUクーラーが求められたり、PCケースのエアフローなども気を付けなければいけない度合いが強くなります。
- 消費電力が多くなる
発熱と同じく、コアが増えると消費電力が多くなります。モバイル端末ではバッテリー持ちに影響しますし、デスクトップでも電源ユニットの容量などに気を遣わなければいけなくなります。
- 製造コストが高くなる
コア数が多い方が製造コストは当然高くなり、CPU自体の価格も基本的に高くなります。多コアによる恩恵をあまり得られないほどの軽作業しか行わないのなら多コアCPUをあえて選ぶのは余計な出費になるかもしれない上、上述のデメリットも無駄に受けることになります。
スレッド:コアが行う仕事の数
CPUの仕様を見る際、「8コア16スレッド」や「8C16T」など、スレッドという仕様を目にすることがあります。
コアと一緒に表記されているためややこしいですが、このスレッドとは、コアのようなパーツのことではありません。簡単にいうと、CPUのコアが行う仕事の単位を指します。
スレッド数が多いほど仕事の手数が多くなり、作業を効率的に分担できるため、重い処理での処理に掛かる時間が短くなります。特にエンコードやレンダリングなどの膨大な量の処理や、マルチタスクの処理などで有利に働きます。
このスレッドは、原則は1コアにつき1スレッドで「1コア=1スレッド」で、1つのコアが1つの仕事を担当するという形です。しかし、この使い方だと、たとえば10の仕事がある場合でも8つのコアで対応しなければならずに効率が悪くなるケースが考えられますし、10などでなく、細かな大量の処理が発生した場合でも仕事の手数が少ないと効率が悪いです。
そこで出てきた技術が「同時マルチスレッディング(SMT)」です。これは「疑似的に1コアを複数コア(2コア)に見せる事で、1コアで2スレッドを処理する」という技術です。現在ではこの技術を使用したCPUが数多くあります(例:8コア16スレッド)。仕組み的には「システム上で認識するコア数」と表現した方がわかりやすいかもしれません。また、IntelではSMTではなくハイパースレッディング(HT)と呼称しています。
このように、1コアを2コアとして扱うことで、コアの性能を最大限活かしつつ、効率よく処理を行うことができるため、非常に有益です。単純にCPUの最大性能を押し上げることにも繋がるので、コスパ面でもプラスです。
ただし、1コアを2コアとして扱うということは、コアあたりの負荷が重くなるため、消費電力の上昇が懸念される点に注意です。
同時マルチスレッディング(SMT)は、1コアで複数スレッド処理を実現する技術です。コアの物理的な仕様を変えずに性能を上げることが出来る非常に有益な技術です。ただしデメリットとして、未使用時より高負荷時の消費電力や発熱が増加したり、1スレッドあたりの処理能力は落ちるなどがあります。とはいえ、基本的に低負荷時には問題にならないものですし、コアの物理的な仕様を変えずに性能を上げれるというのは非常に魅力的なので、無いよりは絶対あった方が良い有益な技術です。ちなみにハイパースレッディングというのはCPUの大手メーカー「Intel」の商標で、PCにおけるCPUが長期間「Intel」製CPUがほぼ一強状態だったために普及しましたが、他メーカー製CPUだとこの名前は使えないため、同様の技術の広義的な名前であるSMT(Simultaneous Multi-Threading、同時マルチスレッディング)と呼ばれます。
ベンチマークスコア:CPU性能を数値化したもの
CPUの性能は非常に重要です。しかし、CPUの仕様には性能を分かりやすく可視化した項目がありません。
そこで便利なのが、ベンチマークスコアです。ベンチマークスコアは、PCの処理性能を測る専用のソフトを用いて処理性能を数値化したものです。この数値を見ることで、CPUの性能をある程度知ることができるのでCPUを選ぶ際には必見です。
CPUでは「PassMark」や「Cinebench」などのベンチマークソフトが特に有名なので、選ぶ際には参考にしましょう。本ブログでもまとめた記事があるので、良ければ参考にしてみてください。


また、一口にCPUの性能といっても、実は単純に一つのスコア(性能)で示すのは難しく、用途や条件で異なります。下記にざっくりと各種性能についてもまとめているので、良ければご覧ください。
一口にCPUの性能といっても、実は大きく分けて「マルチスレッド性能」「シングルスレッド性能」「ゲーミング性能(高性能GPU使用時)」と3種類の性能あります。
特にこれらに触れることなくベンチマークスコアのみが記載されている場合は「マルチスレッド性能」の場合が一般的です。「マルチスレッド性能」は主に、重い処理をする際に重要となる性能です。
参考に、各種性能についての説明をまとめているので良ければご覧ください。
CPUの各種性能のざっくりとした説明です。
- マルチスレッド性能
CPU全体(全コア)での処理性能。マルチスレッド性能が高いと、単純に重い処理を行う際に有利になるのはもちろん、複数の処理を並行して行う際や膨大なデータ量の処理の際に特に役立ちます。
- シングルスレッド性能
1スレッド(1コア)の処理性能。シングルスレッド性能が高いと、軽い処理のレスポンスが良くなる(サクサク動く)他、基本的にどんな処理に関しても有利に働く汎用性の高い性能です。マルチスレッド性能が多少高くても、シングルスレッド性能が低いと評価が低かったりします。
- ゲーミング性能(外部GPU)
高性能なグラボ(外部GPU)搭載時のゲームパフォーマンスです。平均FPS数などで表されます。ゲームにおける描画処理の中心は基本的にGPUになりますが、ゲームではソフト内の圧縮されたデータを解凍するなどの処理が大量に発生し、その処理は基本的にCPUが行うため、CPUにもGPUが処理できるフレーム数に対して負けないくらいの処理性能が必要になります。具体的には、ゲーミング性能はIPC(1クロックあたりの処理命令数)やシングルスレッド性能が重要と言われています。
動作周波数(動作クロック):データ処理の速度
動作周波数(動作クロック)は、CPUのデータの処理の速度を示すものです。GHzという単位で表されます。
クロックが高いほど処理の速度が速いということなので、高い性能を発揮する事が可能になりますが、クロックを上げるほどコアの負荷が大きくなり、消費電力や発熱が増加するというデメリットがあります。
また、クロック以外でもIPC(クロックあたりの命令数)や、レイテンシ(遅延)など性能を左右する項目はたくさんあるため、動作クロックが高いから性能が高いとは限らない点も留意しておきましょう。
周波数を上げるメリット
- 性能が上がる
周波数が上がるという事はデータ処理の速度が上がるという事なので、当然処理能力が上がります。大きなメリットです。
周波数を上げるデメリット
- 発熱・消費電力が多くなる
データ処理の速度が上がると負荷が増えるため、発熱や消費電力が多くなります。サーマルスロットリングといった安全機能はあるものの、無理にクロックを上げ過ぎると故障や逆に性能低下のリスクが出てきます。
一部のCPUには、「オーバークロック(略称:OC)」という、本来の仕様よりも動作周波数を引き上げる機能が使えるものがあります。これを利用すると、CPUの性能を従来より引き上げる事が可能です。しかし、想定されていない発熱の増加が発生する可能性があるため、故障のリスクが高まります。上級者向けの機能で、基本的に推奨されません。
TDP(熱設計電力):消費電力のおおまかな目安
ここまで「消費電力」という言葉を何度も出しましたが、実際のCPUの消費電力に関わる主な仕様がTDPです。
TDP(Thermal Design Powerの略)は、直訳すると熱設計電力で、大体の消費電力や発熱量の目安として扱われます。単位はW(ワット)です。TDPの数値を見て、CPUクーラーの冷却性能はこれくらいあった方が良いとか、電源ユニットの容量はこれ以上はあった方が良いとかの判断基準にします。
ただし、難しいのは、一番に表記されているTDPの数値は基本最大消費電力を表したものではないことには注意が必要です。たとえば、TDPが65WのCPUだからといって最大の消費電力が65Wではないという事です。CPUによって異なりますが、実際の最大消費電力は、大体TDPの1.5倍~2倍程度になることが多いです。
そのため、あくまで大まかな目安や、同世代の他CPUとの相対的な比較として用いる必要があります。
もう少しだけ詳しくTDPについて触れています。先に一番に表記されているTDPが最大消費電力ではないということを書きましたが、これはどういうことかというと、現在の新しいCPUでは、基本的に負荷や熱状況などに応じて、稼働状況(電力制限)が切り替わるためです。
要するに、現在の多くのCPUでは複数のTDPが設定されているのが一般的です(PL1やPL2などと呼び分ける)。第一段階のリミッター(PL1)があって、余裕がある場合に条件付きで更に緩いリミッター(PL2~)まで引き上げられる(引き下げられる?)という感じが多いです。
一般的にCPUの仕様として一番に表記される「TDP」というのは第一段階のリミッター値(PL1)です。この数値は、負荷がそこまで重くない場合や、CPUの熱や電力状況が制限値を超えている場合のものとなるので、十分に冷却性や電力が確保されている場合では大きな意味を持たない数値となっています。
そのため、出来るだけ正確なCPUの最大消費電力を知りたい場合には、TDP PL2の数値を調べるか、実測レビューを参考にする必要がある点に注意が必要です。
余談になりますが、PCにはCPUの他にも消費電力が非常に多いパーツに「GPU」というものがあります。このGPUにもTDPが示されていますが、こちらはCPUと違って最大消費電力とほぼ一致しているため、念のため注意です(2022年現在)。
プロセスルール:配線の太さ
プロセスルールとは、CPUの半導体の回路の配線の幅を指します。単位はnm(ナノメートル)。ルールというと何かの決まりや規定を想像してしまいますが、単純に配線の幅と捉えた方が分かり易いです。外国では一般的に「プロセスサイズ」と呼んでおり、そちらの方が直感的で分かり易いと思います。
端的にいうと、プロセスルールは小さいほど良いです。デメリットは基本的にありません。配線の幅が細くなると、より細かな回路設計が可能な他、トランジスタ等の部品を配置するスペースもより大きく取る事ができます。更には消費電力も少なくなるなど、良い事尽くめです。ただし、単位がnmと非常に小さいですから、それを更に微細化するのは並大抵のことではありません。その代わり、実現さえ出来れば大きな強みとなります。
2019年9月現在では、Intel製のCore iシリーズは14nmが主流で、AMD製のRyzen シリーズは7nmが主流です。プロセスルールという点ではAMDが優位に立っており、実際にAMDが7nmの実現に成功した第3世代Ryzenを機に、AMDがIntelを性能面で追い抜いたという状況になっています。
内蔵GPU
パーツが持つ役割は別種のものになりますが、CPUの含む機能(パーツ)として重要なものの一つに「内蔵GPU」があります。
GPUとは画像処理に特化したプロセッサです。CPUの画像処理特化版と考えると分かりやすいと思います。GPUは重いグラフィック処理では特に重要な他、単純にディスプレイ・モニターに映像を表示するためにも必須のパーツです。そのため、利便性やコスト面を加味して、CPUにはGPUが内蔵しているものがあります。CPUにGPUが内蔵している場合には、別途GPUのことを気にすることは必須ではありませんが、CPUがGPUを内蔵していない場合には別途GPUが必須となります。グラフィックボード・ビデオカード(以下:グラボ)と呼ばれる別のパーツに搭載されている分離GPUを利用することが基本です。また、CPUにGPUが内蔵されている場合でも、内蔵GPUは現状(2021年末時点)では重い3Dゲームや動画編集に扱うには不十分な性能のため、重いグラフィック処理をしたいならグラボを搭載することを検討する必要があります。
グラボは内蔵GPUよりも基本的に大幅に高性能ですが、PCパーツの中でも特に高価な上、消費電力や発熱が多いなどのデメリットがあります。高性能なグラフィック性能を必要としないならば、それらのデメリットを抱えてまでグラボを導入することは好ましくありません。特に、モバイル端末ではバッテリー持続時間や重さ、スペース面も重要となるので、グラボを搭載することは大きなデメリットになります。
そのような時に活躍するのがCPUの内蔵GPUです。処理性能自体はグラボ(分離GPU)には基本的に大幅に劣るものの、追加費用が要らず、発熱や消費電力も少ない上にCPUと一括で管理することが出来るため便利です。モバイル端末ではほとんどがこの内蔵GPUを利用しており、グラボを利用しているのはゲーミングPCやクリエイターPCといった一部の機種に限られます。
近年では内蔵GPUの性能が大幅に向上していることもあり、以前よりも注目度が増しています。以前は、重いゲームや重めの動画編集をするならグラボは必須という感じでしたが、今では内蔵GPUでも高性能なものならある程度なら動作が可能なレベルになっています。
- 追加費用が要らない
- 消費電力が少ない
- 幅広い用途に最適化(多くのAPIに対応)
- 重い処理(重い動画編集やゲームなど)をしないなら十分な性能
- 単体のGPUと比べると性能が大幅に低い
- メモリが基本的にCPUと共有のため、低速で使える容量も少ない
補足:内蔵GPUの性能
内蔵GPUの性能はグラボ(分離GPU)と比べると基本的には大幅に劣ります。これは主に、メモリ・スペース・発熱などで制約があるためです。そのため、内蔵GPUでは重いゲームやデータ量の多い高解像度の動画編集などを快適に行うのは現状厳しいのが一般的です。
ですが逆に言えば、今では内蔵GPUでも大抵は軽いゲームや動画鑑賞、簡単な画像編集などをするには十分な性能を持っています。重いグラフィック処理を必要としない人なら十分と言える性能です。
その上、最近では内蔵GPUの性能もかなり向上しているため、上位のものなら重いゲームも動かせるぐらいの性能があります(fps自体は低いので快適とは言い難いけど)。内蔵GPUは専用のビデオメモリを持たないのが基本のため、高解像度の動画やゲームでは分離GPUよりも大幅に不利な点はあるものの、高いレベルを求めなければ使える領域に突入しています。
また、これは現状は例外的ですが、内蔵GPUでも分離GPU並みの高性能さを実現しているものも出てきています。Apple M1シリーズなどが挙げられ、これは大きいGPUをCPUと同一チップ上に実装し、高速なメモリも統合することで、内蔵GPUでも分離GPU並みの高性能を実現しています。
内蔵GPUについては、下記の記事でもう少しだけ詳しく解説しているので、気になる方はご覧ください。

他パーツとの関連性
CPUはPCの中心の存在なので、全てのパーツと関係があると言えますが、ここでは特に関係の深いパーツとその関連性をざっくり説明しています。
メモリー

グラフィックボード/GPU

(C) NVIDIA RTX 3070 FE版
GPUは画像処理に特化したプロセッサです。CPUの画像処理専門バージョンというと分かり易いかもしれません。このGPUは、CPUみたいな中心的な役割は果たさないものの、ディスプレイに映像を表示させるために必須な非常に重要なプロセッサです。一般的なPCでは、CPUの内蔵GPUかグラフィックボードやビデオカードなどと呼ばれるパーツどちらかで利用しています。ちなみに、高画質な3Dゲームなどをしたい場合には、グラフィックボードを利用する事がほぼ必須となっています。
GPUはCPUと異なる役割(画像処理)を担当していますが、GPUが処理を行うためのデータをアプリケーション内から持ってきたりするのはCPUが行いますし、最終的に画像を表示するアプリケーション自体はCPUが動作させています。そのため、仮に物凄く高性能なGPUを利用していたとしても、そのGPUが処理できる膨大なデータ量についていける性能をCPUが持っていなければ、活かす事ができない事があります。特にゲームは、基本的にソフト内の大量の圧縮された画像などを解凍して利用するという感じの処理が多く行われるため、CPUの性能も少なからず関わってきます。このような「CPUの性能の低さが原因でGPUの性能を活かしきれない」ことを「ボトルネック」と呼びます。このボトルネックが少ないCPUがゲーミング性能が高いCPUという訳です。高性能なGPUを活かすためには、高性能なCPUが必須となる訳です。
下記に、上記で触れた事も含めて留意事項をまとめています。
- ボトルネック
CPUの性能の低さが原因で、GPUの性能を活かしきれないこと。ゲーミング性能が高いCPUはボトルネック問題の小さいCPUのことです。
- 内蔵グラフィック(CPUの内蔵GPU)
CPUにはGPUを内蔵しており、別途グラフィックボード等を用意しなくても良いものがあります。Intel製の主流CPUは、ほとんどがGPUを内蔵しています。ただし、内蔵GPUは、グラフィックボード等に搭載される単体GPUより性能は大きく劣るため、高画質の3Dゲーム等を動作させるのは難しいです。(2019年9月時点)
GPUについては、下記でもう少しだけ詳しく説明しています。良ければご覧ください。

CPUクーラー
CPUはその小さなユニットの中で膨大な量の処理を行うため、高負荷時には大きく発熱します。そのため、発熱の多いCPUでは冷却しながらの使用が必須です。その際に利用するのが「CPUクーラー」です。
高性能なクーラーを採用すると、CPUが常に全力で稼働しやすくなりますし、電力効率も良くなるというデータもあるので(要確認)、高性能で発熱の多いCPUを採用する場合にはCPUクーラーも出来るだけ高性能なものを採用することが望ましいです。
CPU自体にクーラーが付属しているモデルもあるため、別途の用意が必須という訳ではありませんが、付属のクーラーは基本的に性能が低く、安価な別売りクーラーより劣ることが多いので、静音性や冷却性にこだわりたいなら別のものを採用するのをおすすめします。
また、そもそもTDPが95W以上のモデルではクーラーが付属しないことが基本なので、クーラーは別途の用意が必須となっています。BTOパソコンや既製品のPCでは当然何かしらのクーラーが始めから取り付けられることにはなりますが、初期採用のものだとあまり良くない安価なものが採用されていることも結構多いので、要チェックです。
次に、CPUクーラーの仕様面の話に入りますが、CPUの冷却方式は、大きく分けて「空冷式」と「水冷式」の2種類があります。下記からそれぞれについて軽く説明しています。
空冷式CPUクーラー

良い点
- 安価
- こまめなメンテナンスが要らない
悪い点
- 冷却能力が外気温に左右される
- 大型のものはケースやメモリの高さによっては使えない
簡易水冷式CPUクーラー

良い点
- 空冷を上回る高い冷却能力
悪い点
- 空冷よりやや高価
- ラジエーターを別箇所に設置しないといけない
- 高負荷での継続使用で冷却能力が落ちる可能性
- トラブル発生率が空冷よりは高く、液漏れ時のリスクが非常に大きい(確率は非常に低いけど)
本格水冷も、冷却液を使って冷却するという図式は簡易水冷と同じです。ただし、本格水冷は自由度が高く、CPUだけでなく他パーツも一緒に冷やしたりなどができます。その代わり、導入は非常に難しく上級者向けです。しっかりと管理できるのであれば、簡易水冷は本格水冷の劣化という考えの人も居ます。
まとめ
最後に、特に重要そうな項目をまとめています。
- CPUはPCの頭脳とも呼ばれる重要なパーツ
CPUはPCの中央処理装置であり、CPUの性能がPC全体のパフォーマンスに影響するため非常に重要です。
- コア・スレッドが多い方が高負荷な処理や複数タスクの並行処理で有利
CPU処理の行うコア数が多い方が、より多くの処理を並列して行うのに有利です。
- TDPは消費電力の大まかな目安(あくまで目安)
CPUの消費電力の基準として提示されているかにように思えるTDPですが、これはあくまで目安という点に注意です。たとえば、TDP125WのCPUなら最大125Wまでしか消費しないという意味ではありません。ものによっては300Wに届くようなCPUすらあります。
- 内蔵GPUは軽いグラフィック処理なら十分な性能だけど、重い処理は厳しい
CPUにはGPUを内蔵しているものが多くあります。その場合には別途GPU(グラボ)が必須ではありません。内蔵GPUの性能は近年急激に向上していることもあり、基本的に軽いグラフィック処理なら十分な性能です。ただし、未だに重いグラフィック処理(重いゲームや動画編集)は荷が重い点には注意です。
- CPUの作業場はメモリ
PCのメモリはCPUの作業場になります。出来るだけ高速で容量が多い方が、CPUがより性能を発揮しやすいです。特に動画・画像編集ソフトなどはメモリを大量に消費する傾向があるので、注意しておくと良いかもしれません。
- ゲーミングPCではボトルネックに注意
ボトルネックとは、ざっくり言うと「CPU性能の低さが原因で、GPUが性能を最大限発揮できない」という問題のことです。そのため、高性能なGPUを搭載する場合には、CPU性能もそれに見合ったものが必要となる点に注意が必要です。
記事はここまでです。ご覧いただきありがとうございました。