「Core i9-14900K」「Core i7-14700K」「Core i5-14600K」ざっくり評価【性能比較】

Intelの第14世代Coreプロセッサー「Raptor Lake Refresh」の初登場3製品、「Core i9-14900K」「Core i7-14700K」「Core i5-14600K」の評価記事です。

前世代からアーキテクチャの変更はないリフレッシュ版となっていますが、どの程度の変化があるのかを海外レビューを参考に見ていきます。

注意

本記事の内容は記事執筆時点(2023年10月18日)のものとなります。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。

掲載の価格は、主にAmazonや価格.comを参考にしたおおよその市場価格です。

簡易比較表

前世代や競合モデルとの簡易比較表を見ていきます。

前世代との比較(第14世代と第13世代)

まずは今回登場した第14世代と、前世代の第13世代をざっくり比較しながら見ていきたいと思います。主な仕様を下記の表にまとめています。

とはいえ、冒頭でも触れた通り、第14世代は第13世代「Raptor Lake」のリフレッシュ版であり、マイクロアーキテクチャやハードウェアシステム仕様などは同じのため、従来の世代更新と比べると見る項目は少ないです。マザーボードのチップセットも新しく追加されず、600/700番台が引き続き現役です。

今回の3モデルにおける主な変更は、全モデル共通で先代よりもクロックがわずかに向上、Core i7のEコアが4つ追加、Core i9に機能追加といった感じです。

第14世代Core(K)
第13世代Core(K)
※13900KS除く
アーキテクチャ Raptor Lake Refresh Raptor Lake
ノード 10nm 10nm
ソケット LGA1700 LGA1700
コア/スレッド
合計
i9:24/32
i7:20/28
i5:14/20
i9:24/32
i7:16/24
i5:14/20
Pコア
6~8 コア
i7/i9:8コア
i5:6コア
6~8 コア
i7 / i9:8コア

i5:6コア
Eコア
8~16 コア
i9:16コア
i7:12コア
i5:8コア
8~16 コア
i9:16コア
i5 / i7:8コア
PBP (TDP/PL1) 125W 125W
MTP (TDP/PL2)
i7 / i9:253W
i5:181W
i7 / i9:253W
i5:181W
Pコアクロック
(ベース/最大)
【Core i9】
3.2GHz / 6.0GHz
【Core i7】
3.4GHz / 5.6GHz
【Core i5】
3.5GHz / 5.3GHz
【Core i9】
3.0GHz / 5.8GHz
【Core i7】
3.4GHz / 5.4GHz
【Core i5】
3.5GHz / 5.1GHz
Eコアクロック
(ベース/最大)
【Core i9】
2.4GHz / 4.4GHz
【Core i7】
2.5GHz / 4.3GHz
【Core i5】
2.6GHz / 4.0GHz
【Core i9】
2.2GHz / 4.3GHz
【Core i7】
2.5GHz / 4.2GHz
【Core i5】
2.6GHz / 3.9GHz
L2キャッシュ
Core i9:32MB
Core i7:28MB
Core i5:20MB
Pコアあたり2MB
4Eコアあたり4MB
Core i9:32MB
Core i7:24MB
Core i5:20MB
Pコアあたり2MB
4Eコアあたり4MB
L3キャッシュ
Core i9:36MB
Core i7:33MB
Core i5:24MB
Core i9:36MB
Core i7:28MB
Core i5:24MB
内蔵GPU UHD 770
※末尾Fは無し
UHD 770
※末尾Fは無し
メモリ(定格最大)
DDR5-5600
DDR4-3200
DDR5-5600
DDR4-3200

おおまかなCPU仕様の違いは以上のような感じになっています。

やはり注目はCore i7のEコアが4つ追加された点です。価格はこの後見ていきますが、米国での希望小売価格は全製品前世代と同じなので、コスパの向上を期待することができます。ただし、ゲームではPコアの性能が重要なので、その点で優位性が得られるという訳ではない点は注意です。

しかし、正直言うとその他の点での違いは非常に小さいです。

Pコアのクロックの向上があるのでゲーム面でもわずかな改善が見られるとは思いますが、100MHz~200MHzと差は小さいので、大幅な向上は期待できませんし、そもそもK付きはオーバークロックが可能ですから、知識のある人からすれば前世代をオーバークロックするのとほぼ変わらず、新たに購入するメリットが無さすぎます。

このように、明らかにCore i7以外は前世代から変化で非常に小さいため、Intelは最上位のCore i9では前世代との違いを持たせるために機能を2つほど追加しています。ただ、この後一応触れますが、そこまで魅力はないように感じます。

一つ目は「Intel Application Optimization (APO) 」と呼ばれるもので、「Intel Dynamic Tuning Technology(DTT)」というフレームワークを利用した拡張機能で、各ゲームに対する最適化を行い、パフォーマンスを向上させる機能です。発売時では「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」で13%、「Metro Exodus」では 16%の向上が得られるとしていますが、発売時ではこの二つのタイトルのみ対応で、ソフトウェアアップデートを通じて更に多くのタイトルへ対応する予定ではあるものの、発売時に2つしか対応していないというのが気になるところです。タイトルを多数追加することにやる気がないか、最適化の作業が物凄く膨大なのですぐに多くのタイトルへ適用できないかのどちらかだと思われますが、どちらにせよ自分がプレイするタイトルが対応すると断定できない内は魅力はないかなと感じます。

二つ目は「Extreme Tuning Utility (XTU)」と呼ばれるもので、いわゆるAIアシスト機能です。ローカライズされたAIディープラーニングネットワークを使用して、最適な自動パフォーマンスチューニング設定をするものらしいです。最大性能を上げる訳ではなく、得られる効果も不明瞭なので、こちらも正直魅力はあまり感じないかなという印象です。

変化が小さすぎる世代更新に対して、ソフトウェアアップデートだけで無理やり優位性を持たせようとした結果のものに感じる印象です。

Core i5に関してはクロックのわずかな向上のみという、ほとんど変化がない仕様になっていますが、こちらは競合のRyzenで手薄になっている価格・性能帯ということがあり、特に何もしなくても需要を維持できるという考えかもしれません。

何にせよ、結局のところ物理的な基本仕様が第13世代と同一で、チップセットも維持される以上、コア追加以外での優位性を持たせることが難しいので、Core i7以外は競争力を大幅に上げることは無さそうな感じがします。

価格比較(登場時)

登場時の価格を見ていきます。第13世代については、カッコで記事執筆時点(2023年10月18日)も併せて記載しています。

第14世代 第13世代
()は現在のおおよその市場価格
Core i9 14900K:109,800円
14900KF:105,800円
13900K:105,800円
(9万円前後)
13900KF:102,800円
(8.7万円前後)
Core i7 14900K:78,800円
14900KF:74,800円
13700K:74,800円
(6.5万円前後)
13700KF:71,800円
(約6.1万円)
Core i5 14900K:59,800円
14900KF:55,800円
13600K:57,800円
(5万円前後)
13600KF:54,800円
(4.6万円前後)

前世代から若干値上がりした他、発売時はやや高価なのでCore i7以外は前世代の方がコスパは良さそう

米国での希望小売価格(MSRP)は前世代と全く一緒なのですが、日本では円安が進行していることもあり、発売時価格で見ても前世代から若干値上がりしています。

値上がり幅は、Core i7とCore i9で3,000円~4,000円、Core i5で1,000円~2,000円となっています。

また、CPUはいつも発売直後はやや高価な傾向あるため、市場価格で見ると第13世代の方が明らかに安価です。第14世代の発売時点の市場価格で見ると、Core i5とCore i7で約1万円~約1.3万円、Core i9では約1.8万円~約2万円もの差があります。

Eコアが追加されたCore i7はまだしも、Core i5とCore i9はコア数と構成は全く同じで、ハードウェアシステム面も同じですから、この価格差では正直論外です。詳しい性能はこの後見ていきますが、基本的に微増程度なので、1万円以上安いなら第13世代の方が明らかに良いです(Core i7以外)。

第14世代を検討するなら、価格が落ち着くまで待った方が良いと思いますが、そうなると第13世代がわずかに値下げされる可能性も考えられますし、大幅な改善が見込まれる第15世代の発売も近付くので…安くなったとしても買い時ではなく、より安い第13世代にするか第15世代を待った方が良いかもしれないように感じるのが本音です。

処理性能

各処理性能をベンチマークスコアを海外レビューを参考に見ていきます。使用されたメモリは、DDR5に対応しているモデルでは「DDR5-6000 CL36」で、DDR4の場合は「DDR4-3600 CL14」か「DDR4-3400 CL14」となっています。

ゲームのテストで使用されたGPUは「RTX 4090」となっています。

その他の細かい環境や設定等については、お手数ですが冒頭の参考リンク先の記事を参照してください。


マルチスレッド性能

マルチスレッド性能は、CPUの全コア稼働時の処理性能を表します。マルチスレッド性能が高いと、動画のソフトウェアエンコード(CPUエンコード)やレンダリングなど、膨大な量の処理に掛かる時間が短くなる他、複数タスクでのパフォーマンスが向上するなどのメリットがあります。

今回は、Cinebench R23というベンチマークソフトで測定された数値で見ていきます。

Cinebench R23 Multi
CPU名称 スコア
Core i9-14900K
38746
Ryzen 9 7950X
38036
Core i9-13900K
37263
Ryzen 9 7950X3D
35769
Core i7-14700K
34805
Core i7-13700K
30770
Ryzen 9 7900X
29242
Core i9-12900K
27422
Ryzen 9 5950X
25869
Core i5-14600K
23983
Core i5-13600K
23847
Core i7-12700K
22801
Ryzen 9 5900X
21552
Ryzen 7 7700X
19901
Ryzen 7 7700
18710
Ryzen 7 7800X3D
18475
Core i5-12600K
17648
Ryzen 5 7600X
15143
Ryzen 7 5800X
15038
Ryzen 7 5800X3D
14514
Core i5-13400F
14311
Ryzen 7 5700X
13583
Core i5-12400F
11801
Ryzen 5 5600X
11250
参考:TechPowerUp

マルチスレッド性能は、Eコアの増えたCore i7は前世代から約13%向上するが、Core i5とCore i9は微増レベル

マルチスレッド性能は、Eコアが8コアから12コアに増量した「Core i7-14700K」はやや向上していますが「Core i5-14600K」と「Core i9-14900K」は微増レベルです。

まず、Eコア増量で注目のCore i7から見ていくと、前世代の13700Kから約13.1%の向上が見られます。劇的な変化とまではいきませんが、Core i9にも大きく迫る性能となりました。ベースの設定価格は据え置きなのでCore i9よりは2~3万円ほど安価で、後述のゲーム性能でも大した差がないので、実用コスパは高いです。特別高いマルチスレッド性能を求めないけど高性能なCPUが欲しい場合のコスパ重視の選択肢として魅力的だと思います。

次にCore i9を見てみると、前世代の13900Kから約4%の向上が見られます。若干の向上です。13900KではRyzen 9 7950Xとほぼ同等だったのがわずかに上回りましたが、差は非常に小さく、特別優位性があるとも感じられないレベルです。日本では価格も若干向上していることもあって、13900Kとコスパ的にも実用性的にもほとんど変わらないレベルかと思いますので、特筆する点は正直ないです。

Core i5も同様で、前世代の13600Kから約0.6%の向上となっていて、ほぼ変わりません。価格上昇はCore i7やCore i9よりも小さめですが、性能向上も小さめなので、コスパもやはりほとんど変わらない印象です。ただし、元々競合モデルが少ない価格・性能帯のCPUなので、これでも需要はある程度保たれるのではないかと思います。

このように、第14世代Coreはアーキテクチャが変わらないため、コアが増量されていないとほとんど変わらない性能です。そのため、Eコアが8→12コアになったCore i7はコスパ重視の選択肢として台頭してくる可能性を感じますが、他については価格が第13世代と同等レベルにならない限りは最優先の選択肢とはならないと思います。


シングルスレッド性能

シングルスレッド性能は、1コアでの処理性能を表します。シングルスレッド性能が高いと、軽い処理に掛かる時間が短くなる(サクサク動く)他、全コア稼働時にも当然影響がありますので、ほぼ全ての処理に対して有利に働きます。

今回は、Cinebench R23というベンチマークソフトで測定された数値で見ていきます。レンダリングのベンチマークテストです。

Cinebench R23 Single
CPU名称 スコア
Core i9-14900K
2339
Core i9-13900K
2261
Core i7-14700K
2174
Core i7-13700K
2116
Core i5-14600K
2072
Ryzen 9 7950X
2037
Ryzen 9 7950X3D
2036
Ryzen 9 7900X
2033
Core i9-12900K
2028
Core i5-13600K
2002
Ryzen 7 7700X
1993
Core i7-12700K
1944
Ryzen 5 7600X
1959
Ryzen 7 7700
1917
Core i5-12600K
1906
Ryzen 7 7800X3D
1817
Core i5-13400F
1796
Core i5-12400F
1710
Ryzen 7 5800X
1567
Ryzen 7 5700X
1509
Ryzen 5 5600X
1505
Ryzen 7 5800X3D
1476
参考:TechPowerUp

シングルスレッド性能はクロック上昇分の3%前後のわずかな向上

シングルスレッド性能は基本的にクロック上昇分のわずかな向上です。アーキテクチャもハードウェア仕様も同じなので、仕方ない部分です。

先代からの上昇率は3%前後で、Core i9/i7/i5でそれぞれ、3.4%、2.7%、3.5%となっています。実用性や魅力に大きな影響を与える差ではないですが、ゲーム性能ではわずかな向上が見られる可能性はあります。


ゲーミング性能

この項目でのゲーミング性能は、実際にゲームを起動した際のFPSを見ていきます。内蔵GPUの性能ではなく、高性能なグラフィックボードを使用した際の性能である点に注意してください。

今回は11種類のゲームで測定したFPSの幾何平均を見ていきます。使用されたGPUは「GeForce RTX 4090」で、その他の設定はウルトラ(可能な限り最高の設定)です。測定に使用されたゲームタイトルやその他の環境は、お手数ですが記事冒頭のリンクからご確認お願いします。

11種類のゲームでの幾何平均fps(1080p)
CPU名称 スコア
Ryzen 7 7800X3D
266.3
Core i9-14900K
260.2
Core i9-13900K
256.1
Ryzen 9 7950X3D
252.6
Core i7-14700K
252.2
Core i7-13700K
247.3
Core i5-14600K
237.0
Ryzen 7 7700X
234.5
Ryzen 9 7900X
232.8
Core i5-13600K
232.2
Ryzen 7 7700
231.2
Ryzen 9 7950X
230.8
Ryzen 5 7600X
229.8
Core i9-12900K
226.3
Core i7-12700K
216.9
Ryzen 7 5800X3D
213.1
Core i5-12600K
201.5
Ryzen 9 5950X
193.3
Ryzen 9 5900X
192.8
Core i5-13400F
189.3
Ryzen 7 5800X
188.9
Ryzen 7 5700X
186.9
Ryzen 5 5600X
185.0
Core i5-12400F
181.6
Core i9-11900K
172.0
Ryzen 7 5700G
156.2
Core i5-11400F
138.0
参考:TechPowerUp

11種類のゲームでの幾何平均fps(1440p)
CPU名称 スコア
Ryzen 7 7800X3D
243.3
Core i9-14900K
243.2
Core i9-13900K
239.9
Core i7-14700K
236.5
Ryzen 9 7950X3D
233.4
Core i7-13700K
233.0
Core i5-14600K
225.4
Core i5-13600K
223.1
Ryzen 7 7700X
220.2
Ryzen 9 7900X
219.8
Ryzen 9 7950X
218.0
Ryzen 7 7700
217.9
Core i9-12900K
217.6
Ryzen 5 7600X
216.9
Core i7-12700K
209.9
Ryzen 7 5800X3D
202.4
Core i5-12600K
195.1
Ryzen 9 5950X
187.4
Ryzen 9 5900X
186.9
Core i5-13400F
184.9
Ryzen 7 5800X
183.3
Ryzen 7 5700X
181.2
Ryzen 5 5600X
179.7
Core i5-12400F
177.7
Core i9-11900K
170.3
Ryzen 7 5700G
154.5
Core i5-11400F
137.2
参考:TechPowerUp

11種類のゲームでの幾何平均fps(4K)
CPU名称 スコア
Core i9-14900K
170.8
Core i9-13900K
170.2
Ryzen 7 7800X3D
169.9
Core i7-14700K
169.4
Core i7-13700K
168.8
Ryzen 9 7950X3D
168.8
Core i5-14600K
166.9
Core i5-13600K
166.1
Core i9-12900K
165.6
Ryzen 7 7700X
164.2
Ryzen 9 7950X
163.5
Ryzen 9 7900X
163.3
Ryzen 7 7700
163.2
Core i7-12700K
163.0
Ryzen 5 7600X
163.0
Ryzen 7 5800X3D
162.6
Core i5-12600K
160.4
Core i5-13400F
157.2
Ryzen 9 5950X
155.3
Ryzen 9 5900X
154.8
Core i5-12400F
154.4
Ryzen 7 5800X
153.5
Ryzen 7 5700X
152.6
Ryzen 5 5600X
151.9
Core i9-11900K
146.4
Ryzen 7 5700G
136.7
Core i5-11400F
129.3
参考:TechPowerUp

1080pで2%前後のわずかな向上

ゲーム性能もわずかな向上です。1080pでの先代と比較したときの向上率は、14900Kは約1.6%。14700Kは約2%、14600Kは約2.1%となっており、おおよそ2%前後の向上です。

1440pでは、14900Kは約1.4%、14700Kは約1.5%、14600Kは約1%となっており、4Kでは0.4%~0.5%のごくわずかな向上でした。

トップクラスのゲームCPUとしての地位は保てていますが、RyzenのX3Dモデルに対して優位性があると言い切れるレベルではないので、162Wという少なめの電力で最高クラスのゲーム性能を発揮するRyzen X3Dモデルの方が魅力は感じる点は変わらない印象です。

ただ、性能だけ見ればほぼ同等ですし、特に日本ではIntelの方が信頼感で選ばれることが多いと思われるため、需要的には次世代が登場するまでは持続できるかなとは思います。

消費電力や効率

消費電力

消費電力を見ていきます。非常に高負荷なレンダリングソフト「Blender」による消費電力と、ゲーミング時平均(1080p/12タイトル)による消費電力の二つを見ていきます。

消費電力(Blender CPUのみ)
CPU名称 消費電力
Ryzen 5 5600X
61W
Ryzen 7 5700X
61W
Core i5-12400F
64W
Core i5-13400F
65W
Core i5-12600
67W
Ryzen 7 7800X3D
77W
Ryzen 7 7700
82W
Ryzen 7 5800X3D
90W
Ryzen 5 7600X
115W
Ryzen 9 5950X
117W
Core i5-12600K
121W
Ryzen 7 5800X
125W
Ryzen 9 5900X
126W
Ryzen 7 7700X
138W
Ryzen 9 7950X3D
140W
Core i7-12700K
167W
Core i5-14600K
174W
Core i5-13600K
189W
Ryzen 9 7900X
200W
Core i9-12900K
244W
Core i7-13700K
252W
Ryzen 9 7950X
254W
Core i9-13900K
276W
Core i7-14700K
279W
Core i9-14900K
282W
参考:TechPowerUp

消費電力(13ゲーム1080p平均)
CPU名称 消費電力
Core i5-12400F
38W
Core i5-13400F
43W
Ryzen 5 5600X
45W
Ryzen 7 5700X
48W
Ryzen 7 7800X3D
49W
Core i5-12600
51W
Ryzen 7 5800X3D
52W
Ryzen 7 7700
56W
Ryzen 9 7950X3D
56W
Core i5-12600K
59W
Ryzen 7 7700X
62W
Ryzen 5 7600X
66W
Ryzen 7 5800X
68W
Core i7-12700K
74W
Core i5-14600K
76W
Ryzen 9 5900X
85W
Ryzen 9 7900X
86W
Ryzen 9 7950X
89W
Ryzen 9 5950X
89W
Core i5-13600K
89W
Core i9-12900K
98W
Core i7-13700K
107W
Core i7-14700K
132W
Core i9-13900K
143W
Core i9-14900K
144W
参考:TechPowerUp

消費電力はCore i7がやや上昇、Core i5が減少

消費電力はCore i9は前世代とほぼ同等ですが、他2モデルで若干の動きがありました。

レンダリング時の消費電力を見てみると、まず14700Kは、Eコアが4つ増えた影響か、先代の252Wから279Wへと少し上昇しています。

冷却要件が若干厳しくなり、大型の簡易水冷はやはり必須に近いと感じる点や、Eコア4つ追加分で30W近くも電力が多く消費されるのは、効率的にもどうなのかなと感じるのが懸念点です。

また、少し奇妙に感じるのは、MTPは変わらない253Wのはずなのに14700Kはそのラインを結構がっつり超えている点です。Core i9では「Thermal Velocity Boost」という状況に応じて少しクロックを盛る機能が標準搭載されているので、多少超えることに違和感はないですが、Core i7ではこれがないはずなので、253Wを大きく超えるのは少し奇妙にも感じます。センサーの精度などにも影響される部分ではあるのであり得ない話ではないですが、少し気になりました。

次に14600Kですが、先代の189Wから174Wになり、やや消費電力が減少しています。わずかな減少ではありますが、Core i7以降と違って空冷運用も多いCPUだと思うので、少しでも下がるのは嬉しいところです。MTPの181Wを下回るということは、標準設定なら高負荷時でも若干の余力があるということなので効率が向上していることが伺えますし、わずかながら各性能も向上していますし、価格が13600Kとほぼ同等になるなら取って代わることになると思います。

14900Kの消費電力は先代との差はごくわずかで同等でした。高負荷時には280Wも使用する、相変わらずの超高消費電力CPUです。ゲーム時にはそこまではいきませんが、他CPUと比べると多く、高負荷運用を前提とするなら大型の簡易水冷は必須級のCPUだと思います。

電力効率(ワットパフォーマンス)

電力効率を見ていきます。レンダリングおよびゲーミング時の効率です。

各テストで得られたスコアを消費電力で割って算出した、1Wあたりのスコアで見ていきます。ただし、効率が悪かったとしても、レンダリングなどの処理量が決まっているスコアでは高性能な方が処理を早く終えることが出来るため優位性がありますし、ゲームにおいても高いfpsを得ているので、効率が悪いから一概にダメという訳ではない点を留意です。

電力効率(Cinebench Multi)
CPU名称 1Wあたりのスコア
Ryzen 9 7950X3D
253.3
Ryzen 7 7800X3D
232.7
Ryzen 7 7700
231.6
Core i5-13400F
228.3
Ryzen 7 5700X
223.0
Ryzen 9 5950X
221.1
Core i5-12400F
188.2
Ryzen 5 5600X
186.3
Core i5-12600
178.3
Ryzen 9 5900X
169.7
Ryzen 9 7950X
158.4
Ryzen 7 5800X3D
157.1
Ryzen 9 7900X
152.2
Core i5-12600K
148.7
Ryzen 7 7700X
146.9
Core i5-14600K
145.3
Core i9-14900K
139.0
Core i7-12700K
138.6
Ryzen 5 7600X
136.2
Core i9-13900K
130.5
Core i7-14700K
126.2
Core i5-13600K
125.1
Core i7-13700K
121.4
Ryzen 7 5800X
116.9
Core i9-12900K
110.8
参考:TechPowerUp

電力効率(13ゲーム1080p平均)
CPU名称 1Wあたりのfps
Ryzen 7 7800X3D
5.16
Core i5-12400F
4.55
Ryzen 9 7950X3D
4.33
Core i5-13400F
4.26
Ryzen 7 7700
4.05
Ryzen 7 5800X3D
3.94
Ryzen 5 5600X
3.83
Ryzen 7 5700X
3.64
Ryzen 7 7700X
3.65
Core i5-12600
3.59
Ryzen 5 7600X
3.25
Core i5-12600K
3.24
Core i5-14600K
3.03
Core i7-12700K
2.78
Ryzen 9 7900X
2.63
Ryzen 7 5800X
2.62
Core i5-13600K
2.50
Ryzen 9 7950X
2.47
Core i7-13700K
2.22
Core i9-12900K
2.19
Ryzen 9 5900X
2.14
Ryzen 9 5950X
2.06
Core i7-14700K
1.87
Core i9-14900K
1.78
Core i9-13900K
1.74
参考:TechPowerUp

効率は変わらずRyzenには劣る

ワットパフォーマンスについては、まず相変わらずRyzen 7000シリーズには劣る状況が続きます。アーキテクチャとシリコンが変わらない上、元々の差が大きいのでこれは仕方ないです。

X3Dモデルにはマルチスレッドで1.8倍~2倍、ゲーム時には1.7倍~2.9倍という圧倒的な差がある点も変わらず、3D V-Cacheの無い普通のXモデルに対しても、基本的にやや劣ります。

しかし、少し良さそうに見えるのは「Core i5-14600K」で、前項で触れた少し減少した消費電力のおかげなのか効率も思ったよりも向上しており、特にゲーム時には14700Kや14900Kよりも明らかに良いです。ゲームメインで空冷運用を考えたい場合には、中々魅力的な選択肢になるかもしれません。

温度

CPUの温度を見ていきます。非常に高負荷なレンダリングソフト「Blender」動作時と、ゲーミング時(Cyberpunk 2077)の二つの温度を見ていきます。基準温度は25℃で、動作から10分後の定常状態の温度となっています。

冷却システムは、CPUクーラーに「NH-U14S」が使用されています。14cmファン1基の空冷クーラーとなっており、空冷としては高めの冷却性能ですが、240mm以上の水冷やハイエンド空冷にはやや劣るクーラーとなっています。

レンダリング時の温度(Blender)
CPU名称 温度
Core i5-13400F
48.6℃
Ryzen 9 7900
54.4℃
Core i9-11900K
58.2℃
Core i9-10900K
64.3℃
Ryzen 9 5950X
64.8℃
Core i5-12600K
73.6℃
Ryzen 7 5800X3D
78.7℃
Ryzen 7 7800X3D
82.3℃
Core i7-12700K
82.5℃
Ryzen 9 7950X3D
86.4℃
Core i5-14600K
86.6℃
Core i5-13600K
91.6℃
Core i9-14900K
93.8℃
Ryzen 9 7950X
96.9℃
Ryzen 9 7900X
97.1℃
Core i7-14700K
98.3℃
Core i9-13900K
102.2℃
Core i7-13700K
103.1℃
Core i9-12900K
106.3℃
参考:TechPowerUp

ゲーム時の温度(Cyberpunk 2077)
CPU名称 温度
Core i5-13400F
49.8℃
Core i7-12700K
60.6℃
Core i5-12600K
61.5℃
Core i9-11900K
61.9℃
Ryzen 7 7800X3D
64.6℃
Core i5-14600K
64.8℃
Ryzen 9 7900
67.5℃
Core i9-10900K
69.2℃
Ryzen 7 5800X3D
71.5℃
Core i5-13600K
71.6℃
Core i9-12900K
71.8℃
Ryzen 9 5950X
72.6℃
Ryzen 9 7950X3D
73.0℃
Core i7-13700K
74.5℃
Ryzen 9 7900X
80.6℃
Core i7-14700K
80.8℃
Core i9-14900K
81.3℃
Core i9-13900K
87.3℃
Ryzen 9 7950X
95.9℃?
参考:TechPowerUp

先代よりも少し温度が低くなっている

CPU温度は先代よりも低めになっている傾向が見られました。良い意味で予想外の点です。物理的な主要な仕様は前世代と同じなはずなのに、このような変化が起きる原因はわかりませんが、IHSの接触が改善されているか、単純にセンサー測定の問題が考えられます。

ただ、理由は何にせよCore i5-14600K以外は消費電力や効率は大して改善している訳ではないので、必要な冷却要件や電源容量に変化がある訳ではない点には注意してください。とはいえ、温度が低く保たれるのは良いことです。

まず14900Kを見てみると、13900Kと比較してレンダリング時には-8.4℃、ゲーム時には-6℃となっており、大きめの改善が見られました。前世代では突出した高温で印象が悪さは否めなかったですが、14900Kなら高性能な水冷クーラーを用意すれば高負荷時でも90℃以下に保つことが可能そうに見えるのは嬉しいと思います。

14700Kは、Eコア追加されて消費電力も少し増えていたこともあってか、他2モデルと違って温度面でもそこまで変わりません。13700Kと比較すると、レンダリング時には-4.8℃、ゲーム時には+6.3℃となっており、消費電力でも見られたように状況によっては悪化している可能性もあります。

14600Kを13600Kと比較すると、レンダリング時には-5℃、ゲーム時には-6.8℃となっていました。14600Kに関しては消費電力や効率でも若干の改善が見られたので、この結果にも納得がいきます。特に嬉しいのはゲーム時の温度で、14700Kや14900Kが80℃を超えているのに対し、大幅に低い64.8℃となっています。

レンダリング時でも平均で90℃未満となっており、14cmファン1基の空冷クーラーでも高負荷運用が十分に見えるのは優位性になるかもしれません。

まとめ

ざっくりと各性能を見てきました。最後に評価をまとめています。

Core i9-14900K(F)

良い点
  • どの性能を見ても現状トップクラスの超高性能CPU(マルチスレッド、シングルスレッド、ゲーム)
  • 既存の600/700シリーズのマザーボードで利用可能(価格もAMD 600シリーズよりも安い傾向)
  • 13900Kよりも冷却効率が向上?
  • DDR5とDDR4メモリに両対応
  • PCIe 5.0のサポート
  • APOでゲームパフォーマンスが改善する可能性がある
  • XTUによるAIアシスト機能

気になる点
  • 先代からの向上率が低い
  • 非常に高価(登場時10万円台後半)
  • 非常に多い消費電力(MTP:253W)
  • 非常に多い発熱で冷却要件が非常に高い(高負荷運用ではハイエンド水冷必須級)
  • 電力効率がRyzenよりも悪い(ゲーム時のX3Dには大敗)
  • AVX512命令セットに未対応
  • M.2スロットでPCIe 5.0利用時にはPCIeの5.0(GPU)はx8動作
  • APOは発売時に2つのゲームしかサポートしておらず、今後の展開も不明瞭

Core i7-14700K(F)

良い点
  • 先代からEコアが4つ追加され、非常に優れたマルチスレッド性能(20コア28スレッド)
  • Core i9とほぼ同等のゲーミング性能
  • Eコアが追加されたけど希望小売価格は据え置きで、優れたマルチスレッド性能コスパ
  • 既存の600/700シリーズのマザーボードで利用可能(価格もAMD 600シリーズよりも安い傾向)
  • DDR5とDDR4メモリに両対応
  • PCIe 5.0のサポート

気になる点
  • 非常に高価(登場時7万円台)
  • 非常に多い消費電力(MTP:253W)
  • 非常に多い発熱で冷却要件が非常に高い(高負荷運用ではハイエンド水冷必須級)
  • 電力効率がRyzenよりも悪い(ゲーム時のX3Dには大敗)
  • AVX512命令セットに未対応
  • M.2スロットでPCIe 5.0利用時にはPCIeの5.0(GPU)はx8動作

Core i5-14600K

良い点
  • Core i7以降と比べると安価(5万円台)
  • 優れたマルチスレッド性能(14コア20スレッド)
  • 優れたゲーミング性能で優れたゲーミングコスパ
  • 先代から消費電力と温度が若干改善
  • ゲーム時のワットパフォーマンスはK付きのCore i7以降よりも大幅に優れる
  • 既存の600/700シリーズのマザーボードで利用可能(価格もAMD 600シリーズよりも安い傾向)
  • DDR5とDDR4メモリに両対応
  • PCIe 5.0のサポート

気になる点
  • 先代とほとんど変わらない性能
  • 多めの消費電力と発熱(空冷運用可能だが高性能なものが必要)
  • ゲーム時の効率はRyzen 7000 X3Dモデルには大きく劣る
  • AVX512命令セットに未対応
  • M.2スロットでPCIe 5.0利用時にはPCIeの5.0(GPU)はx8動作

Core i9-14900K:性能は先代とほぼ同じだけど、APOとXTUが追加

「Core i9-14900K」は合計24コア(8P+16E)を備え、マルチスレッド・シングルスレッド・ゲームのどの方面から見ても記事執筆時点(2023年10月)でトップクラスの性能を持つハイエンドCPUです。

しかし、第14世代は第13世代のリフレッシュモデルで、14900Kは先代の13900Kと同じコア構成を維持しておりクロックがわずかに向上しただけです。そのため、処理性能は微増程度で、改善はわずかです。ほぼ同じCPUと評しても良いと思います。

ただし、一応ヒートスプレッダに何らかの改善があったのか、同じCPUクーラーで同じ消費電力でも温度が少し低下している状況が見受けられる点は一応嬉しい点です。消費電力自体は変わらず、温度も非常に高いことは変わらないので、必要な冷却要件は変わらないものの温度が低く保たれるのは安心感があります。

価格について、米国での希望小売価格は先代の13900Kと同じですが、日本では恐らく円安が進行しているせいで、13900Kの登場時価格よりも3,000円~4,000円ほど高い設定となっていました。それに加え、発売直後から少しの間はやや高価な状況が続くため、検討するにしても少し待った方が得策です。

しかし、そもそも13900Kでも性能差はわずかなので、わざわざ待って14900Kを購入するよりも、やや価格低下も見られれそうな13900Kで良い感は強めです。仮に同額になるとしたらさすがに14900Kの方が良いですが、その場合でも優位性はわずかなので、そこまで損にも感じないです。

Intelは、恐らくその小さすぎる差を正当化するために「APO」と「XTU」という機能を追加したのが14900Kのポイントです。

まず「APO(Intel Application Optimization)」は各ゲームごとにゲームスレッドのスケジューリングなどを最適化してゲームパフォーマンスを向上させる機能です。発売時には「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」と「Metro Exodus」の二つのゲームのみをサポートし、向上率はそれぞれ13%と16%と言われています。ハードウェアの変更なく、しかもGPUではなくCPUからのアプローチでfpsが10%以上も向上するというのは、信じられないレベルの向上率なので、使えるなら非常に強力な機能です。

ただし、発売時に二つのゲームしか対応しておらず、今後の見通しも不明瞭です。自分がプレイしたいタイトルが対応しているかを断定できないので、正直なところ魅力としてはそこまでかなという印象です。

次に「XTU」ですが、これはAIアシスト機能で、オーバークロック可能なCPUでAIが最適なパフォーマンスチューニングをしてくれる機能らしいですが、こちらはAPO以上に効果が不明瞭ですし、機能の拡張というよりは設定に詳しくない初心者向けの機能に見えるので、こちらも正直魅力はあまり感じません。

このように、ポイントは二つの機能ですが、少なくとも現状では追加された二つの機能ともにそこまで魅力を感じれるものではないです。一応温度面での少しの改善はありますが、結局先に述べた通り、市場で安い方を選べば良さそうに見えます。

Core i7-14700K:Eコアが追加され、より強力になったマルチスレッド性能コスパ

第14世代の初投入の3製品の中で、最も注目なのがこの「Core i7-14700K」です。

14900Kと14600Kはコア構成が先代と全く同じでしたが、14700KはEコアが8コア→12コアと増量されたおかげでマルチスレッド性能がやや向上しました。

合計コアは20(8P+12E)で28スレッドです。それでいて、米国の希望小売価格は13700Kから据え置きなので、性能コスパは他モデルよりは大きめに向上しています。

残念ながら、日本では恐らく円安のせいで先代よりも価格が3,000円~4,000円ほど高価になっているため、Intelが想定した通りのコスパにはなっていないと思いますが、それでもマルチスレッド性能は先代より約13%と大きめに向上しており、Core i9よりは安価に手に入れることは出来るのは強みです。発売直後はやや高価なので特別良さは感じられないものの需要はあるレベルだと思います。

しかし、追加されたのはEコアのみで、他の性能はクロック向上による微増程度なので、ゲームメインの場合などにはそこまで恩恵はない点は注意が必要な他、Eコア追加による弊害か、消費電力は13700Kよりも少し増えている結果があることは留意しておいて損はないかなと思います。

14900Kや14600Kよりは選ぶ意味を見出せるCPUだとは思いますが、13700Kでも大体の人はマルチスレッド性能に不満は感じないと思われ、Eコア追加による性能向上を喜ぶ層は実質的に少ないであろうことを考えると、14700KFが発売時74,800円~という価格はさすがに高く、13700KFが記事執筆時点で約6.1万円~という価格であることを考えると、大きな魅力を感じれるほどではないので、価格がどれだけ下がるか次第だと思います。

Core i5-14600K:先代と性能はほぼ変わらないが、電力面が若干改善

「Core i5-14600K」は14コア(6P+8E)を備えた高性能CPUです。

ただし、第14世代は第13世代のリフレッシュ版であり、この14600Kは先代の13600Kと同じコア構成を維持しているため、性能は微増レベルで、実用性はほぼ変わりません。そのため、基本的には14世代にこだわる必要はなく、市場で安い方を選択すれば良いです。

しかし、14600Kの向上は、クロック向上により性能がわずかに向上した他に、電力・温度面が若干改善しているのは一応ポイントです。

先代では高負荷時にはMTPの181Wと同じか少し超えるくらいの消費電力でしたが、14600Kではそれを少し下回る数値を記録しており、標準設定なら高負荷時でもやや余裕があることを伺える結果でした。

温度も若干の改善が見られ、高負荷時には先代よりも-5℃~-7℃程度の低い結果となっていました。計測のブレやセンサー精度の可能性も考えられますが、温度については消費電力での改善が見られなかった14900Kと14700Kでも若干改善している傾向があったので、何らかの改善がある可能性が高そうですし、14600Kのみに関していえばそもそも消費電力自体も若干減っていたので、温度が若干低下することも不思議ではありません。

また、14700Kや14900Kと違い、14600Kは最大181WのCPUなので空冷運用が出来るのも強みです。その強みが先代よりも若干ながら強化されたのは意外と嬉しい要素だと思います。

それに、元々13600Kや14600Kの価格帯は、Ryzenでまともな競合相手が居ないので、処理性能的にはほぼ変わらないにしても、一定の需要は維持できるCPUであると思います。特に、高いゲーミング性能を持ちつつ、熱すぎず空冷運用できるCPUとしては、Ryzen 7 7800X3Dよりも安価ということもあって思ったよりも魅力のあるCPUだと個人的には思います。


といった感じで、記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。

5 COMMENTS

たこやき

返信ありがとうございます!

おぉ~ 無印7700と比較しても更に省電力かつ冷却性に優れるんですね

「表に無印7600が加わってれば際立って目立ったのでは・・・?」と惜しい気持ちが・・・(笑)

返信する
とねりん:管理人

いえ、先ほどの話はRyzen 5 7600の話ですね。また、7500Fも7600も7700も標準の電力設定は同じなので、省電力性や冷却性はほぼ変わらないはずです。
マルチスレッド効率に関しては、Ryzen 7 7700の方が恐らく少し良くなると思います。

返信する
たこやき

いつもお世話になってます!
NEXTGEAR JG-A5A8X(Ryzen7500F+Radeon7800XT)を使っているのですが無印7600が載ってなく7700の参照データ数も控えめだったので質問させてくださいm(–)m

FF15の4Kベンチを10分以上回したRyzen7500Fの状態が ※CPU使用率は28~42%、GPUは100%※

・最大温度 51℃
・消費電力 35~42w

と非常に優秀?な気がするのですが、温度と消費電力はRyzen無印7600と一緒と考えて良いのでしょうか?
また、これが正常、平常なのでしょうか?

ケースファンとCPUクーラーはカスタマイズしてもらってケースファンは6基でクーラーはCooler Master Hyper 212 EVOという物で、2014年発売の12cmファン×1基で現在5000円程なので特に良いものではなさそうです

返信する
とねりん:管理人

はじめまして。追記がありましたが、特に影響なさそうなのでこちらで。

Ryzen 5 7500Fは7600の内蔵GPUがなくなり、クロックがわずかに下がった感じのCPUなので、同等の性能と見て問題ないです。また、測定値はどの数値も正常に見えます。
Cooler Master Hyper 212 EVOは高性能なクーラーではありませんが、7500Fが最大消費電力が約88Wの省電力なCPUなので、ケースファンが6基あるなら排熱性は十分すぎるくらいですね。

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