Intelの第12世代プロセッサ「Alder Lake」の「Core i7-12700」「Core i5-12400」のざっくり評価記事です。K付きよりも消費電力が抑えられており、価格も少し安く扱い易いのが特徴のK無しモデルです。次世代のRyzenが登場するまではコスパ重視の王者となりそうなモデルの実力を見ていきたいと思います。
本記事の内容は記事執筆時点(2022年1月26日)のものとなります。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
掲載の価格は、主にAmazonや価格.comを参考にしたおおよその市場価格です。
簡易比較表
簡易比較表です。今回扱うのは「Core i7-12700」と「Core i5-12400」ですが、同時に発表されたCore i9のK無しモデルも参考までに載せています。
Core i9 | Core i7 | Core i5 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
12900 | 12900F | 12700 | 12700F | 12400 | 12400F | ||
コア数 | 16(8P + 8E) | 12(8P + 4E) | 6(6P) | ||||
スレッド数 | 24(16P + 8E) | 20(16P + 4E) | 12(12P) | ||||
動作 クロック | Pコア | 2.4GHz | 2.1GHz | 2.5GHz | |||
Eコア | 1.8GHz | 1.6GHz | – | ||||
TB時最大 | Pコア | 5.0GHz | 4.8GHz | 4.4GHz | |||
Eコア | 3.8GHz | 3.6GHz | – | ||||
TB Max3.0時 | 5.1GHz | 4.9GHz | – | ||||
キャッシュ メモリ | L2 | 14MB | 12MB | 7.5MB | |||
L3 | 30MB | 25MB | 18MB | ||||
対応メモリ(最大) | DDR5-4800 / DDR4-3200 | ||||||
GPU | Intel UHD Graphics 770 | – | Intel UHD Graphics 770 | – | Intel UHD Graphics 730 | – | |
TDP | PL1 | 65W | |||||
PL2 | 202W | 180W | 117W | ||||
対応ソケット | LGA1700 | ||||||
対応チップセット | Intel 600シリーズチップセット(Z690 等) |
※価格は2022年1月26日時点での参考価格です。
CPU名 | コア スレッド | クロック 定格 / 最大 | TDP PL1 | TDP PL2 | iGPU | L3 キャッシュ | 参考価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Core i9-12900K | 16(8+8) /24 | 3.2 / 5.2GHz 2.4 / 3.9GHz | 125W | 241W | UHD 770 | 30MB | 約73,980円 |
Core i9-12900KF | 16(8+8) /24 | 3.2 / 5.2GHz 2.4 / 3.9GHz | 125W | 241W | 無し | 30MB | 約 69,800円 |
Ryzen 9 5950X | 16/32 | 3.4 / 4.9GHz | 105W | 142W | 無し | 64MB | 約 112,800円 |
Core i7-12700K | 12(8+4) /20 | 3.6 / 4.9GHz 2.7 / 3.8GHz | 125W | 190W | UHD 770 | 25MB | 約 50,980円 |
Core i7-12700KF | 12(8+4) /20 | 3.6 / 4.9GHz 2.7 / 3.8GHz | 125W | 190W | 無し | 25MB | 約 48,500円 |
Core i7-12700 | 12(8+4) /20 | 2.1 / 4.8GHz 1.6 / 3.6GHz | 65W | 180W | UHD 770 | 25MB | 約 46,480円 |
Core i7-12700F | 12(8+4) /20 | 2.1 / 4.8GHz 1.6 / 3.6GHz | 65W | 180W | 無し | 25MB | 約 43,800円 |
Ryzen 9 5900X | 12/24 | 3.7 / 4.8GHz | 105W | 142W | 無し | 64MB | 約 76,800円 |
Core i5-12600K | 10(6+4) /16 | 3.7 / 4.9GHz 2.8 / 3.6GHz | 125W | 150W | UHD 770 | 20MB | 約 39,000円 |
Core i5-12600KF | 10(6+4) /16 | 3.7 / 4.9GHz 2.8 / 3.6GHz | 125W | 150W | 無し | 20MB | 約 37,000円 |
Core i9-11900K | 8/16 | 3.5 / 5.3GHz | 125W | 251W | UHD 750 | 16MB | 約 65,980円 |
Ryzen 7 5800X | 8/16 | 3.8 / 4.7GHz | 105W | 142W | 無し | 32MB | 約 61,800円 |
Core i5-12400 | 6/12 | 2.5 / 4.4GHz | 65W | 117W | UHD 730 | 18MB | 約 27,800円 |
Core i5-12400F | 6/12 | 2.5 / 4.4GHz | 65W | 117W | 無し | 18MB | 約 23,800円 |
Ryzen 5 5600X | 6/12 | 3.7 / 4.6GHz | 65W | 76W? | 無し | 32MB | 約 41,800円 |
Core i5-11400 | 6/12 | 2.6 / 4.4GHz | 65W | 154W | UHD 730 | 12MB | 約 22,500円 |
処理性能
各処理性能をベンチマークスコアで見ていきます。今回使用されたGPUは「Radeon RX 6900 XT」です。2022年1月現在では非常に高性能なハイエンドGPUです。メモリは「DDR4-3200 CL14」が使用されています。第12世代のIntelプロセッサではより高速なDDR5も使用することができますが、今回のテストでは従来と同じDDR4メモリが採用されています。
また、参考までにということで使用電力をTDP PL1の値である65Wに制限した際のスコアも同時に掲載しています。
その他の細かい環境や設定等については、お手数ですが冒頭の参考リンク先の記事を参照してください。
シングルスレッド性能
シングルスレッド性能は、1コアでの処理性能を表します。シングルスレッド性能が高いと、軽い処理に掛かる時間が短くなる(サクサク動く)他、全コア稼働時にも当然影響がありますので、ほぼ全ての処理に対して有利に働きます。
今回は、Cinebench R23というベンチマークソフトで測定された数値で見ていきます。レンダリングのベンチマークテストです。
CPU名称 | スコア |
---|---|
Core i7-12700KF | 1949 |
Core i5-12600K | 1917 |
Core i7-12700 | 1883 |
Core i5-12400 | 1710 |
Core i5-12400 65W | 1709 |
Core i7-11700K | 1602 |
Ryzen 7 5800X | 1589 |
Core i5-11600K | 1537 |
Ryzen 5 5600X | 1527 |
Ryzen 7 3700X | 1305 |
Core i7-10700K | 1292 |
Core i5-10600K | 1273 |
Ryzen 5 3600 | 1236 |
Core i5-12400でも前世代のハイエンドを上回る性能
シングスレッド性能は、第12世代のCore i5では下位モデルとなる「Core i5-12400」でも前世代の「Core i7-11700K」を上回るスコアとなっています。大幅な向上です。シングルスレッド性能はゲーミング性能への影響も大きい傾向があるので、Core i5でもかなりゲーミング性能はかなり向上していることが推測されます。実際、Core i5の下位モデルでもゲーム単体なら前世代のハイエンドに匹敵する性能があります(後述)。
「Core i7-12700」と「Core i5-12400」との比較では、最大クロックが約1割の差ということで、スコアも約1割の差となっています。やや大きめの差です。
マルチスレッド性能
マルチスレッド性能は、CPUの全コア稼働時の処理性能を表します。マルチスレッド性能が高いと、動画のソフトウェアエンコード(CPUエンコード)やレンダリングなど、膨大な量の処理に掛かる時間が短くなる他、複数タスクでのパフォーマンスが向上するなどのメリットがあります。
今回は、Cinebench R23というベンチマークソフトで測定された数値で見ていきます。
CPU名称 | スコア |
---|---|
Core i7-12700KF | 22784 |
Core i7-12700 | 21407 |
Core i5-12600K | 17375 |
Ryzen 7 5800X | 15583 |
Core i7-11700K | 14823 |
Core i7-10700K | 12532 |
Ryzen 7 3700X | 12267 |
Core i5-12400 | 12023 |
Core i5-12400 65W | 11621 |
Core i5-11600K | 10792 |
Ryzen 5 5600X | 10629 |
Ryzen 5 3600 | 9030 |
Core i5-10600K | 8783 |
高効率コアが追加された「Core i7-12700」は前世代のCore i7の1.4倍以上の性能
マルチスレッド性能は、やはり高効率コアが追加された12コアの「Core i7-12700」の飛躍的な向上が目を惹きます。「Core i7-11700K」と比較しても約1.44倍の向上となっており、非常に大きな向上率です。表にはありませんが、前世代のCore i9も軽々を上回る性能となっています。前世代のCore i9を大きく上回るマルチスレッド性能のCPUを、大幅に安く、しかもやや少ない電力で利用することが可能になりました。
また、K付きの「Core i7-12700KF」との差が約6.4%しか無い点も印象的です。価格差も小さいので妥当な差と見る事もできますが、従来ではK付きとはもう少し差が大きかったので、気になった点です。
「Core i5-12400」は「Ryzen 7 3700X」に近い性能となっています。前世代の「Core i5-12600K」と比較すると、約13.1%の向上となります。表にはありませんが、先代の「Core i5-11400」との比較では2割近い差になると思われます。「Core i5-12400」は高効率コアの追加が無かったため、Core i7と比べれば控えめに見える向上率となっています。とはいえ、前述のシングルスレッド性能を見ても分かる通り、コアあたりの性能は大きく向上していますし、13%以上という向上率自体は小さくはありません。一つ前の第10世代→第11世代では向上率が小さかったことを考えると、大きな向上と表現しても良いレベルだと思います。
ゲーミング性能
この項目でのゲーミング性能は、実際にゲームを起動した際のFPS数を見ていきます。
今回は10種類のゲームで測定したFPSの幾何平均を見ていきます。使用されたGPUは「Radeon RX 6900 XT」です。その他の設定はウルトラ(可能な限り最高の設定)です。測定に使用されたゲームタイトルやその他の環境は、お手数ですが記事冒頭のリンクからご確認お願いします。
CPU名称 | fps |
---|---|
Core i7-12700KF | 214 |
Core i7-12700 | 213 |
Core i5-12600K | 201 |
Ryzen 7 5800X | 201 |
Ryzen 5 5600X | 195 |
Core i7-11700K | 185 |
Core i5-12400 | 184 |
Core i5-12400 65W | 181 |
Core i7-10700K | 173 |
Core i5-11600K | 167 |
Core i5-10600K | 165 |
Core i5-11400F | 161 |
Core i5-10400F | 159 |
Ryzen 5 5600G | 157 |
Ryzen 7 3700X | 155 |
Ryzen 5 3600 | 142 |
前世代から大きな向上(14%~)
1080pゲーミングでは、前世代から大きなfps向上となっています。「Core i5-12400」と「Core i5-11400F」との比較では約14.3%の向上で、「Core i7-12700」と「Core i7-11700」との比較では約15.1%の向上となっています。100fps以上が基本となることが多い1080pで10%を上回る向上率なので、10fps以上のアップが期待できるということになります。ハイエンドGPUなら20fps以上の向上も珍しくないと思います。凄く大きいです。
また、「Core i5-12400」と「Core i7-11700K」がほぼ同じfpsとなっていることがわかります。第12世代のCore i5は、下位モデルでも前世代のハイエンド級のゲーミング性能ということです。コア数は負けているため、マルチスレッド性能が重要なゲームや処理を並行する際には異なる結果になるとは思いますが、ゲーミング単体であれば前世代(第11世代)のハイエンドモデルより「Core i5-12400」の方が圧倒的にコスパが良いという点は、まだ第11世代のCPUが市場に残っているうちは留意しておいて損はない点かと思います。
関連して、「Core i7-12700」は前世代のCore i9を大きく上回るマルチスレッド性能およびゲーミング性能を持つため、第11世代のCore i9(例:Core i9-11900K)を選ぶくらいなら「Core i7-12700」を選んだ方が良いというのも、同様に留意しておいて損は無いと思います。
その他
消費電力・電力効率
ざっくりとした消費電力と電力効率を見ていきます。「Blender Open Data」を実行した際のもので、CPUの全コア稼働時のものです。数値はシステム全体のものとなっていますが、基本CPUのみで行う処理となっているので、ほとんどがCPUの使用電力となっているはずです。
電力効率は上述のベンチマークで掛かった時間と使用電力から算出した総消費電力の参考値になります。ただし、元の電力がCPUだけのものでないので、効率も完全なCPUのものとはなっていない点に注意です。
消費電力・電力効率、共に数値が低いほど良い点に注意してご覧ください。
CPU名称 | 消費電力 |
---|---|
Ryzen 5 5600X | 149W |
Core i5-12400 65W | 154W |
Core i5-12400 | 162W |
Ryzen 5 3600 | 165W |
Ryzen 7 3700X | 172W |
Core i5-10600K | 177W |
Core i5-12600K | 217W |
Core i5-11600K | 224W |
Ryzen 7 5800X | 225W |
Core i7-10700K | 227W |
Core i7-12700 | 246W |
Core i7-12700KF | 279W |
Core i7-11700K | 291W |
CPU名称 | 総消費電力(参考値) |
---|---|
Core i7-12700 | 16.1 |
Ryzen 7 3700X | 16.9 |
Core i7-12700KF | 17.7 |
Ryzen 5 5600X | 17.9 |
Core i5-12600K | 18.2 |
Core i5-12400 65W | 18.3 |
Ryzen 7 5800X | 18.7 |
Core i5-12400 | 19.1 |
Core i7-10700K | 21.5 |
Ryzen 5 3600 | 22.2 |
Core i5-10600K | 24.4 |
Core i7-11700K | 24.6 |
Core i5-11600K | 26.6 |
「Core i7-12700」の消費電力は普通に多いので注意
「Core i7-12700」の消費電力は、システムの総使用電力とはいえ246Wと非常に多くなっています。最大限性能を発揮させたいならかなり冷却性能の高いクーラーが必要となりますし、電源容量にも注意を払わなければなりません。「Core i7-12700KF」との差は33Wとなっています。やや少なくはなっているものの、大幅に減っている訳ではない点に注意です(その代わり、性能も大差ない)。
また、第12世代のK無しモデルから、付属クーラーが従来より刷新されています。従来よりもヒートシンクが少し大きくなり、色も黒くてクールな感じになっています。ただし、詳しく性能を見るまでもなく、「Core i7-12700」の高負荷時(180W動作時)には明らかに力不足です。従来よりは多少マシになったかもしれませんが、最大限性能を発揮させたいなら別途クーラーの用意が必須な点は変わらないです。
余談です。本来はK無しモデルではTDP PL2には持続時間に制限があるのですが、別サイトのレビュー記事によると、12700ではマザーボードによって(Z690?)その制限がない(要するにK付きと同じ動き)となっているという指摘がされていたりもするので、場合によっては上記ほど消費電力が多くならない可能性もあります(参考:https://www.techspot.com/review/2391-intel-core-i7-12700/)。言われてみれば確かに、最大消費電力が180Wで、しかも時間制限付きのCPUにしては多すぎる消費電力です。ただし、他のレビュー記事やPassMarkのベンチマークスコアなどを見ても12700Kと大差ないスコアとなっていることが多く、PL2の制限時間が発生していないのが基本のような印象を受けるので、そういう仕様という可能性も高いかもしれません。
「Core i5-12400」はCore i7よりも大幅に省電力
「Core i5-12400」の消費電力は「Core i7-12700」よりも圧倒的に少ないです。その差は84Wとなっています。「Core i7-12700」は12cm×1ファン1基の空冷では力不足感のある仕様だと思いますが、「Core i5-12400」なら必要十分そうな印象なので、かなり違いがあります。電源も単純に100W程度少ないものを選ぶことが可能となります。CPU自体の価格差(約2万円)に合わせて、クーラーと電源を考慮すると、3万円前後くらいの節約になるのではないかと思います。大きな費用差です。
Core i5は従来通りのコア仕様(6コア)なのに対し、Core i7は高効率コア追加による12コアとなっており、マルチスレッド性能差が非常に大きい点は気になりますが、価格面では未だにK無しのCore i5は非常に強いことが伺えます。
電力効率は「Core i7-12700」が特に良い
電力効率は「Core i7-12700」が特に良いです。今回リストしたCPUの中ではトップとなっています。特に電力効率の良い「Ryzen 9 5900X」や「Ryzen 9 5950X」には劣るかもしれませんが、前世代のCoreシリーズよりは明らかに改善しています。
「Core i5-12400」の電力効率も悪くはなく、Ryzenを含む旧世代のCPUよりは基本上回っていることが見て取れます。コア数の差で前世代のCore i7以上にはまだマルチスレッド性能では届いていませんが、ゲーミング性能は前世代のハイエンドクラスですし、コスパ・電力面では旧世代の全てのCPUを上回るものになっていると思います。
まとめ
ざっくりと見てきましたが、評価をまとめています。
Core i7-12700
「Core i7-12700」は各種処理性能は前世代のCore i9を大幅に上回るほど高く、「Core i7-12700K」と比較しても性能差は小さめです。電力効率も良く、コスパ・効率重視の人に非常に魅力的なCPUとなっていると思います。
特に、高効率コアが追加され12コアとなったおかげで、飛躍的に向上したマルチスレッド性能は魅力的です。4万円台のCPUとは思えない性能です。従来のK無しのCore i7は、K付きのCore i7やCore i9にはハイエンド用途ではやや劣る印象もありましたが、第12世代ではボトルネックの発生しにくさも大きくアップしているので、ハイエンド用途でも選び易くなったと思います。
ただし、消費電力は多めなので注意です。TDP(PL1)の65Wに惑わされないようにする必要があります。一応、従来からヒートシンクが大型化されたクーラーが付属しますが、消費電力を見る限りは付属クーラーや12cmファン1基では不安が残ります。空冷なら14cmファン搭載か、12cmファン×2など、少し性能が高めのクーラー推奨です。水冷でもやりすぎではないと思います。
- K付きとあまり変わらない性能で少し安価
- 非常に優れたシングルスレッド性能
- 12コアによる非常に優れたマルチスレッド性能
- 非常に優れたゲーミング性能(Core i9にもわずかな差)
- 非常に優れたコスパ
- 優れた電力効率
- やや高価(4万円台)
- 消費電力は多い
- 付属クーラーは刷新されたけど、明らかに力不足
Core i5-12400
「Core i5-12400」は前世代からコア数は変わらなかったものの、コアあたりの性能が大幅に向上しました。マルチスレッド性能やゲーミング性能も底上げされ、ゲーミング性能も、単体なら前世代のCore i7やCore i9に匹敵するレベルまで向上しています。
Core i7以上と比べると消費電力も圧倒的に少なく、本体の価格差だけでなく、クーラーや電源の費用も節約することが可能になっています。第12世代でも、低価格でコスパ重視なら非常に強力な選択肢です。
ただし、Core i5(K付き)以上では全モデルで高効率コアが追加されましたが、「Core i5-12400」では追加がありませんでした。これにより、Core i7の12コアに対しコア数は6も負けています。追加された高効率コア自体の性能は従来のコアよりは低いものの、6コア差は大きく、総合的なマルチスレッド性能は大きく負ける形になっています。安さは魅力ですが、マルチスレッド性能が重要な処理を頻繁に行うようなら、今まで以上にCore i7の方がおすすめになると思います。
- 安価(2万円台)
- 優れたシングルスレッド性能
- 2万円台ながら大体のことがこなせる優れたマルチスレッド性能
- 優れたゲーミング性能前世代のCore i7やCore i9並み(ゲーミング単体での平均)。
- 非常に優れたゲーミングコスパ
- 比較的少ない消費電力
- 悪くない電力効率
- 高効率コアの追加が無く(6コアのみ)、上位モデルに大きく劣るマルチスレッド性能
- ゲーミング性能が同世代の上位モデルに劣る
「Core i7-12700」は性能もコスパも非常に強力
「Core i7-12700」は4万円台(Fなら前半)ながら12コアを搭載する高コスパCPUです。K付き(Core i7-12700K)との性能差も小さいのに少し安価で、非常に魅力的だと思います。総合コスパは第12世代でトップクラスの良さだと思います。
ただし、K無しという見掛けよりは消費電力が多い点は注意が必要です。とはいえ、電力効率は良いですし、むしろ性能がK付きと大して変わらないならそれくらい全然許せるレベルです。
4万円台という価格は「Core i5-12400(F)」よりは2万円程度高くはなるものの、そちらは高効率コアの追加がなく、マルチスレッド性能が大きく落ちてしまうので、前世代までよりもCore i7の方がコスパは強めになっている印象です。前世代までは予算を少しでも抑えたいならCore i5でも、という感じでしたが、第12世代では予算を抑えたい場合でも、重い処理が用途にあるならCore i7をおすすめしたいレベルのコスパの良さと性能差だと思います。
「Core i5-12400」は相変わらず低価格機用として強力。だけど、上位モデルとの性能差は気になる
「Core i5-12400」は、2万円台という価格ながら前世代のCore i7やCore i9に匹敵するゲーミング性能を持つのが魅力です。コアあたりの性能が前世代から大幅に向上したため、コア数は変わらない(6コア)ものの、マルチスレッド性能も底上げされています。
従来と相変わらず、低価格でコスパ重視なら筆頭候補となる強力な選択肢です。
ですが、気になるのは上位モデルとの性能差です。Core i5(K付き)以上のモデルでは高効率コアが追加されているため、マルチスレッド性能差がかなり大きくなっています。Core i7とのコア数は6です。
価格は大幅に安いため差別化はできていますし、この「Core i5-12400」でも従来のハイエンドクラスのゲーミング性能はありますし、大体のことはこなせるマルチスレッド性能があるので良いじゃんとも言えますが、それを考慮しても少し気になる性能差があります。
扱い自体は従来と変わらない「低価格コスパ特化CPU」ですが、選択の際にはちょっと考えても良いかもしれません。
2022年後半まではコスパ重視CPUとして無難な選択肢になりそう
どちらも非常に魅力的なコスパの「Core i7-12700」「Core i5-12400」でした。対抗となるであろう「Ryzen 7000シリーズ(Zen4)」は、2022年後半投入予定なので、少なくともそれまではコスパ重視CPUとして無難な選択肢としての地位を保ち続けるのかなと思います。
といった感じで、記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。