中国製ミッドレンジタブレット「Teclast M30」のレビューです。GearBest等の海外通販で2万円未満で買う事ができる、格安の大容量ストレージ搭載が魅力のタブレットです。他の同じサイズの主要タブレットと比較をしています。
- 掲載の価格やその他情報は、記事執筆時点(2019年10月4日時点)のものであり、現在は異なる場合があります。ご注意ください。
- Teclast M30は海外製の製品で輸入機器となるので、技適については自己責任でよろしくお願いいたします。
性能比較
今回見ていく「Teclast M30」と、2019年10月4日時点の価格.comのタブレットランキング(同サイズ帯)で上位の製品とを比較しています。1位が「Apple iPad 10.2インチ 32GB(2019年秋モデル)」で、2位「Huawei MediaPad T5」となっていたのでこれらと比較していきます。
全体的な比較
まずはカタログスペックを見ながら、全体的な比較をざっくりしています。iPadには128GBもありますが、価格が約5万円とさすがに比較できる差じゃないので除外しています。
機種 | Teclast M30 | MediaPad T5 | iPad 第7世代 10.2インチ 2019秋 Wi-Fiモデル(32GB) |
---|---|---|---|
価格 (2019/10/4 時点) | 64GB:17,921円 128GB:19,461円 | 16GB:17,914円 32GB:21,379円 | 32GB:38,270円 |
販売ページ | 128GB:GearBest | 32GB:Amazon | 32GB:Amazon |
OS | Android 8.0 | Android 8.0 | iPadOS |
CPU | Helio X27 | Kirin 659 | Apple A10 |
RAM | 3GB / 4GB | 2GB / 3GB | 3GB |
ストレージ | 64GB / 128GB | 16GB / 32GB | 32GB |
画面サイズ | 10.1インチ | 10.1インチ | 10.2インチ |
解像度 | 1920×1200 (64GB) 2560×1620 (128GB) | 1920×1200 | 2160×1620 |
液晶パネル | IPS | IPS | IPS |
バッテリー容量 | 7,500 mAh | 5,100 mAh | 8,227 mAh |
Wi-Fi | 802.11 b / g / n / ac | ||
Bluetooth | 4.2 | ||
背面カメラ | 5.0 MP | 5.0 MP | 8.0 MP |
前面カメラ | 2.0 MP | 2.0 MP | 1.2 MP |
重量 | 約600g | 465g | 483g |
サイズ | 240 x 170 x 9 mm | 243 x 164 x 7.8 mm | 250.6 x 174.1 x 7.5 mm |
Teclast M30 概要
OSはAndroid 8.0です。発売時期からすると、なぜ9.0じゃないのか感は正直否めないですが、使用感的の差は大きくは無いと思うので良しとします。
価格:安い
2019年10月現在では、ほぼ常時セール中で2万円以下の価格となっており、10インチ以上のタブレットPCとしてはかなり安い部類です。同価格帯で日本で人気の製品はHuawei のMediaPadと同じくらいの価格です。少し上の価格帯では4万円あたりからiPadがたちはだかります。
CPU:価格相応
CPUはHelio X27を採用しています。上の表にも記載した、Huaweiの対抗製品「MediaPad T5」搭載のCPU「Kirin 659」より若干上くらいの性能です。普段使いでスペック不足を感じる事はほぼ無いかと思います。実機を実際に使いましたが、思っていたより快適でした。ハイエンドCPUではないので、重い3Dゲームを快適にプレイする事はちょっと厳しいですが、2万円未満の機種にそこまで求めるのは酷ですね。2万円未満という価格を考えればX27は十分な性能です。
RAMとストレージ:コスパかなり良し
RAMは64GBモデルが3GB、128GBモデルが4GBとなっています。価格差的に128GBの方が魅力的なので、そちら基準で話していきたいと思います。
表に並べた対抗製品と比較すると、RAMの4GBもストレージ128GBも、トップとなっています。特にストレージ容量の多さは圧倒的で、SDカード等の外部ストレージに頼らなくとも良い人がほとんどだと思います。実質的な費用削減に繋がりますから、コスパ的に〇です。RAMに関しては、Androidでは3GBと4GBの差はあまりなさそうな気はしますが、多いに越した事はないですね。こちらも〇。
ディスプレイ:2Kの高解像度
ディスプレイは10.1インチのIPS液晶で、解像度が「2560 x 1620 (2K)」となっています。2万円未満でこの解像度は破格の安さです。他に見た事がないです。10インチ台の解像度あたりのコスパではぶっち切りのトップとなるでしょう。ただし、解像度が上がると、バッテリー消費が多くなったり激しい動きの描写の負荷が大きくなったりという側面もあるので、一概に良いとは言い切れません。とはいえ、バッテリー容量は7,500mAhと十分に確保されているので問題無さそうですし、メリットの方が大きそうです。
重量:ちょっと重い
最後に、一番気になったのが重量です。他の同サイズ帯の主流製品は大体500gを切っていますが、M30は約600gあります。本体の厚みが他の製品より若干分厚くなっている事が最大の要因でしょうか。私はタブレットやスマホは基本置いて使うので気にしないですが、手で持ち上げながらよく使う人にとってはちょっと辛い部分かもしれません。その他のコスパの良さを考えれば、全然許せる欠点だとは思いますが、留意はしておきましょう。
MediaPad T5との比較
Teclast M30 の方が全面的に優位
MediaPad T5は、記事執筆時点(2019年10月4日)で価格.comのタブレットランキングで2位の製品ですが、Teclast M30に軽さと薄さ以外で全面的に負けています。カタログスペックを見る限り、個人的にはTeclast M30一択レベルだと感じます。32GBモデルに関しては発売時期もそんなに変わらないのに、かなり差をつけられてしまっています。
iPadとの比較
ストレージを除き iPadの方が基本上だが、価格は高い
言わずと知れたiPadは、記事執筆時点(2019年10月4日)で価格.comのタブレットランキングで1位の製品です。iPadとの比較で一番気になるのはやはり価格です。32GBモデルでも、2万円近くiPadの方が高いです。
性能面では、総合的に見るとiPadの方が高いです。価格差が凄いので当たり前ではありますね。特に大きい違いは、CPUの性能差と重量面です。CPUは2~3割ほどiPadの方が性能が良いです。RAMは1GB少ないのですが、これだけCPUの性能差があれば1GBくらいならカバーできます。重量は、iPadの方が大容量のバッテリーを搭載していながら約120gも軽く、大きな差があります。また、iPadの方が1.5mmくらい薄いです。数字で見るより割と大きな差です。
とはいえ、価格差が非常に大きいです。コスパは間違いなくTeclastの方が良いので、重量面を気にしないのであれば、Teclast M30の方が個人的には魅力的に見えます。重量面を重視したい方でも、この価格差は少し迷うレベルではないでしょうか。
CPU性能
Geekbench 5のスコアを見ていきます。RAMは全て3GBで揃えていますが、機種やその他の条件までは限定できていないので、参考までにご覧ください。
シングルコア性能
CPU | Geekbench 5 |
---|---|
A10 Fusion | 744 |
Helio X27 (実機で測定) | 199 |
Kirin 659 | 189 |
シングルコア性能は、iPadのA10が圧倒的に高いです。サクサク動く要因ですね。iPadの最大の魅力、人気の要因もこれです。ここに関しては他機種では到底太刀打ちできず、予算は多少嵩んでもサクサク動いて欲しいというなら、iPad一択となります。他2つはほぼ差がありません。
マルチコア性能
CPU | Geekbench 5 |
---|---|
A10 Fusion | 1327 |
Helio X27 (実機で測定) | 1024 |
Kirin 659 | 854 |
A10はシングルコア性能こそ高いもののコア数自体は少ないので、マルチコア性能は圧倒的というほどは高くありません。何なら、マルチコア性能比のコスパは悪い部類です。価格を考えれば、コスパトップはHelio X27となりそうです。
実機レビュー
128GBモデルの方は実機レビューがたくさんあり、64GBモデルのベンチマークの方が価値があるかと思って64GBモデルにしてみました。が、やっぱり128GBの方がお得なので、購入するとしたら128GBをおすすめします。ただ、RAMとストレージと解像度だけの差で、ベンチマークスコア以外はほとんど差はないので、あんまり気にせず見て貰えたらと思います。※香港(中国)の海外通販サイト「GearBest」様よりサンプルを提供していただきました。
外観
まずは外観などをざっと見ていきます。カメラの画質も悪くキレイに撮れなかったですが、ご容赦お願いします。
付属品です。クイックユーザーガイドと注意書き等の書類、SIMカード取り出しツール、USBとType-Cの変換ケーブル、ACアダプターです。ACアダプターがCタイプで日本で使えないものでしたが、128GBの方はどうやら日本でも使えるAタイプのものが付属しているらしいので、問題無いでしょう。ちなみに上記の付属品の画像は、Teclast M30のカメラを使用して撮影しました。画素数は少なめな上シングルカメラですが、思ったよりキレイに撮れました。
前面です。画面には事前に保護フィルムが貼ってありました。テカテカの光沢フィルムで、結構映り込み・反射します(撮影時に苦労しました)。価格安いので贅沢はいえないですが、ベゼル幅は少し太めに感じます。
背面です。ボディはメタリック調となっています。質感はマットなタイプで、触り心地はさらさらとした感じです。個人的には好きなタイプです。
本体の左側面です。左から、SIMカード挿入口(デュアルSIM対応)、Type-C、3.5mmイヤホンジャックとなっています。スマホと違って活躍する場面は少なそうですが、この価格で性能を落とさずにデュアルSIM対応も何気に珍しいです。
本体右側面は、何もありません。
本体上部です。左から、ボリュームキー、パワー(電源)ボタンがあり、小さい穴がリセットボタンとマイクという形になっています。
本体の底面です。スピーカーが二つ搭載されています。
ベンチマーク
Teclast M30 RAM:3GB のベンチマークスコアをAntutuとGeekbench 5の二つで測定しました。
Antutu
GPUスコア:25552
RAMが3GB版を使用したので、スコアに影響があるかと思いましたが、大差は無いみたいでした。対抗製品のMediaPad T5のKirin 659は、総合スコアが85,000点、GPUスコアが13,000点あたりが平均っぽいので、そちらは完全に上回っています。価格を考えれば十分な性能です。
ただし、iPadのA10のスコアは総合21,000以上、GPU70,000以上あたりのようなので、完全に負けています。iPadには遠く及びません。価格差を考えれば当然ですが、かなり大きめの差がついています。
Geekbench 5
Multi-Core:1024
記事前半部でも触れたGeekbench 5です。シングルで199、マルチで1024という結果になっています。MediaPad T5のKirin 659よりは少し上の性能となっていますが、iPadのA10にはシングルコアでは大敗してしまっています。
使ってみての所感
実機を実際に触って使ってみての正直な感想です。
この安さでこの性能はコスパが非常に良い
自分は重いゲーム等をモバイル端末ではやらないので、性能に対しての不便はありませんでした。快適です。長期間利用している訳ではないので、強みである大容量ストレージの恩恵はまだ感じていませんが、その分他機種より高いという訳ではないので、デメリットにはならないでしょう。また、バッテリー持ちが非常に良く、Youtubeで動画を観るくらいであれば、かなり長い使用が可能のようでした。試しに2時間くらい流してみたところ、15%くらいしか消費しませんでした。さすがの7,500mAh。2万円以下という価格では素晴らしい出来だと感じました。また、あまり触れていませんでしたが、デュアルSIMカードにも対応しています。
唯一気になるのは、やはり重量です。私はどこかに重量を預けて使うような使い方が基本ですし、外出時に持ち歩くことはしないので、さほど気になりませんでしたが、用途によっては気になる方も居そうです。こんな記事を書いておいて恥ずかしながら、私は他タブレットを現在所有していないので、差というものは具体的にはわからないですが、iPadやMediaPadと比べて120~130g重いというのは結構大きい差だと思うので、使用感に大きな差が出る可能性も低くないです。
ただ、全体的な所感としては十分すぎるほど良いです。ぶっちゃけ価格の安さと基本スペックの高さを考えれば、多少の欠点は許せます。軽さを重視する人でなければ概ね満足できると思います。
総評
最後に総評です。カタログスペックと、実際使ってみた所感も合わせて評価しています。
まずは、軽く良い点と悪い点のおさらいです。
Teclast M30 良い点
- 価格が安い
- 大容量ストレージ(128GB)
- RAMが平均以上(4GB)
- 大容量バッテリー搭載(7,500 mAh)
- 2K(2560×1620)の高解像度
Teclast M30 悪い点
- やや重い(約600g)
- iPadよりかなり安いが、性能はストレージ以外ほぼ負ける
- 海外通販で買うのが面倒・不安
次に、人気の対抗製品との簡易比較おさらいです。
評価項目 | Teclast M30 | MediaPad T5 | iPad 10.2インチ 2019秋モデル |
---|---|---|---|
コスパ | ◎ | 〇 | 〇 |
価格の安さ | 〇 | 〇 | △ |
ストレージ | ◎ | 〇 | 〇 |
性能 | 〇 | △ | ◎ |
重量 | △ | 〇 | 〇 |
2万円以下の低価格とは思えない基本性能を持つ、良コスパのミッドレンジタブレット
低価格ながら大容量ストレージ搭載で基本スペックが全体的に高く、コスパが非常に良い。だけど、重量はやや重い。iPadよりはストレージ以外は基本負けているけど、約2万円も安い、端的にいうとこんな感じですね。私がコスパが大好き人間なので、かなり魅力的に感じます。
また、CPU(Soc)の性能は価格を考えれば十分に及第点ではあるものの、ハイエンドCPUではないので、重めのゲームをするのはちょっと厳しいです。普段使いには困る事はほぼないくらいには快適ですが、ヘビーな使い方も検討されている方には注意が必要です。
最後に、改めて製品のカタログスペックを貼っておきます。
Teclast M30 4GB/128GB
スペック表 | |||
OS | Android 8.0 | ||
---|---|---|---|
CPU | Helio X27(10コア) | ||
RAM | 4GB | ||
ストレージ | 128GB | ||
画面サイズ | 10.1インチ | ||
パネル | IPS | ||
解像度 | 2560×1600 | ||
バッテリー容量 | 7500mAh | ||
Wi-Fi | 802.11 b / g / n / ac | ||
カメラ | 背面:5.0MP 前面:2.0MP | ||
サイズ | 240 x 170 x 9 mm | ||
重量 | 約600g | ||
価格 | 18,691円(2019年10月7日時点) | ||
販売サイト | GearBest |
また、類似モデルとして「Teclast T30」という製品も発売されています。価格が若干高くなって解像度が1920×1080になった代わりに、CPU(SoC)が強化され、ゲームなどへの対応力が高くなっています。よければチェックしてみてください。
Teclast T30 4GB/64GB
スペック表 | |||
OS | Android 9.0 | ||
---|---|---|---|
CPU | MTK Helio P70(8コア) | ||
RAM | 4GB | ||
ストレージ | 64GB | ||
画面サイズ | 10.1インチ | ||
パネル | IPS | ||
解像度 | 1920×1080(FHD) | ||
バッテリー容量 | 8000mAh | ||
Wi-Fi | 802.11 b / g / n / ac | ||
カメラ | 背面:8.0MP 前面:5.0MP | ||
サイズ | |||
重量 | 0.56 kg | ||
価格 | 21,989円(2019年10月7日時点) | ||
販売ページ | GearBest |
関連リンク・注意事項
- GearBest Teclast M30 – 香港(中国)の海外通販サイトの商品ページ。スマホ・タブレット等のガジェット類が安い。利用方法は良ければ下記リンクを参考に。 海外通販「GearBest」紹介【ざっくり解説】
- Amazon Teclast M30 – 中国の通販サイトで買うよりも4,000円~5,000円程度高いですが、Amazonでも輸入品が販売されています。
- 技適はグレー日本で無線通信を行う機器には技適の取得と技適マークの付与が義務付けられています。Teclast M30は本体裏面に技適マークはありますが、認証番号の併記はありません。分解したら利用している通信モジュールが技適認証済のもので問題ない可能性もあるので何とも言えませんが、技適のない機器の使用は違法行為となるので、自己責任でお願いいたします。
- 海外通販は届くのに時間が掛かる海外通販で購入する場合はやはり時間が掛かります。今回の自分の場合は2週間程でした。急ぎの場合には注意してください。
- SIMカードの利用は厳しそう日本版ではないので、モバイルネットワークは対応範囲が狭いです。docomoのものは対応していないと公式が言っていますし(Amazonにて)、モバイル回線での使用はちょっと難しそうです。
それでは、本記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。
日本の技適マークついてなければ違法じゃないんですか?
技適マークについては、記事の最後の注意事項に記載していますので、そちらをご覧ください。