6月25日(日本時間)にマイクロソフトから次世代Windowsの「Windows 11」が発表されました。ざっくりと見ていきたいと思います。細かいことは、下記の参考URLのFAQ等で詳しく書かれていますので、気になる方はそちらを参照ください。
参考 新しい Windows 11 OS へのアップグレードMicrosoft
- リリースの時期は2021年後半
- Windows 10から無料でアップグレード可能Intelは第8世代、AMDはZen+(第2世代)以降対応(2021年6月26日時点)。ただし、Insider Preview版ではIntelは第7世代、AMDはZen(初代)も対応となっているので今後緩和される可能性大?
- デザインやUI面が刷新
- Andoroidアプリが実行可能に
リリースの時期は2021年後半で、Windows 10は無料アップグレード
リリース日については2021年後半としており、具体的な日付は発表されませんでした。アップデートは2021年後半から2022年にかけて行う予定のようです。
また、Windows 10 PCは無料アップグレードが予定されています。Windows 7/8/8.1→Windows 10の時と同じような形ですね。最新版のWindows 10を実行しており、ハードウェア要件や仕様の最小要件を満たしていれば利用可能とされています。
追記:発表当初の公式のサポートCPUは、Intelは第8世代以降、AMDはZen+以降のCPU(2021年6月26日時点)となっていました。しかし、その後登場したInsider Preview版ではIntelは第7世代以降、AMDはZen(初代)以降となっているため、今後緩和される可能性ももしかしたらあるかもしれません。(参考:Intelの対応プロセッサ / AMDの対応プロセッサ)サポートCPUが新しいものに限定される理由は、どうやらセキュリティ強化や脆弱性への対応が限定らしく、古いCPUでこれに対応するには負荷が増えてしまうためという問題があるためのようです。Windows 11ではセキュリティ強化にも力を入れる方針のようなので、その方針がどうなるかというところだと思われ、当初予定になかったCPUがサポートされるにしても、負荷の上昇などに繋がる可能性が高いかもしれません。
性能面以外で気を付ける必要があるのは、UEFI セキュアブートやTPMが有効でないといけない点です。Windows 10では有効が必須ではないものでしたが、Windows 11ではセキュリティ面を強化する意味合いなのか標準で利用するらしいなので、有効が必須となっているようです。
追記:Insider Preview版ではTPMについては必須とはなっていないようです。また、元々Windows 11を初期導入するメーカーPCについてはメーカー側で無効にすることも可能だったみたいということもあり、もしかしたらTPMは必須の要件ではなくなるか、回避する方法が出てくるかもしれません。
要件を満たしているかどうかを判定するアプリが公式HPから配布されているので、事前に確認しておくと良いと思います。(公式HPの互換性の確認という青背景のところからダウンロードできます)
基本要件については下記にざっとまとめています。
プロセッサ | 1 ギガヘルツ (GHz) 以上で 2 コア以上の64 ビット互換プロセッサ または System on a Chip (SoC) |
RAM | 4 GB |
ストレージ | 64 GB 以上の記憶装置 |
システムファームウェア | UEFI、セキュア ブート対応 |
TPM | トラステッド プラットフォーム モジュール (TPM) バージョン 2.0 |
グラフィックスカード | DirectX 12 以上 (WDDM 2.0 ドライバー) に対応 |
ディスプレイ | 対角サイズ 9 インチ以上で 8 ビット カラーの高解像度 (720p) ディスプレイ |
インターネット接続とMicrosoftアカウント | Home版のデバイスのセットアップ時:インターネット接続とMicrosoft アカウント Windows 11 Home の S モードを解除:インターネット接続 更新プログラムのインストールや一部の機能のダウンロードと使用:インターネット アクセス |
参考リンクではその他の各機能ごとの固有の要件も細かく記載されていますので、気になる方はご覧ください。
Windows 10と11はどこが違う?
公式のFAQを見ると、
Windows 10 と Windows 11 はどこが違うのですか?
Windows 11 は Windows 10 と同じパワーとセキュリティを備えていますが、デザインを刷新し、装いが新たになりました。また、新しいツールやサウンド、アプリが加わりました。細部にまでこだわったデザインです。これらが統合され、お使いの PC に新たなエクスペリエンスをお届けします。
とあります。
FAQでは多くのことが参考ページなども一緒にたくさん記載されていますが、それらをざっと見ると、基本的にWindows 10で出来ることはWindows 11でも出来るということがほぼ一貫して説明されています。また、パワー(パフォーマンスのこと?)とセキュリティは同じというのは基本設計は同じということだと思うので、移行の際のトラブル等のリスクも比較的小さいのかなという印象を受けます。
もちろん細かな機能追加や改善は多くあると思いますが、FAQで答えているように、デザイン・UI面での刷新がメインなのかなという印象です。
デザインについて
スタートメニューのライブタイルが廃止され、シンプルなランチャーとなりました。
macOSやChromeOSに似たデザインです。Windows 10よりもモダンで落ち着いた雰囲気になっていると思います。また、最近使用したファイルやアプリが表示されるようになっており、作業の効率アップが期待できると思います。Windows 10でもよく使うアプリを表示させることは出来ましたが、結構雑に端に置かれるだけだったと思うに対し、サンプル画像ではメニューボタンの近くに配置されています。
また、ウィンドウ関連でも機能が追加されたことが発表されています。Windows 10ではウィンドウ配置は同じ領域をユーザー側で上手いこと使う感じでした。一つ一つサイズ変更を行って配置したり、一部のキー操作や設定を記憶して、その都度それを実行する感じです。
Windows 11では、いくつかの異なる(好みで設定可能っぽい?)ウィンドウレイアウトからそれを選択して素早くウィンドウ配置を行うことが可能になっているようです。この新機能が「スナップレイアウト機能」です。恐らく始めからいくつかのよく使われそうな配置が登録されていると思うので、特に難しい設定も必要なく便利に使えるのではないかと思います。
また、ウィンドウの配置を記憶して再利用することが出来る「スナップグループ」という機能もあるようです。
各マイクロソフト関連アプリとの親和性がアップ?
Windows 11では、各マイクロソフト関連アプリとの親和性が高まっているものがあるようです。
たとえば、チャットやビデオ通話機能を持つMicrosoft Teamsアプリはタスクバーと直接統合し、直接アクセスすることが可能となっているようです。他アプリがどうかはわかりませんが、サブディスプレイなどが無い環境では結構有難い気がします。
また、Windows 10ではスタートメニューに表示されていた天気やメモ等のウィジェットも、スタートメニューから切り離されて利用できる様子があります。以前のライブタイル形式より一つ一つが大きく、モダンなデザインとなっています。
Androidアプリが実行可能に
Windows 11ではAndroidoアプリが実行可能になるようです。マイクロソフト関連アプリの普及を進めるという点ではどちらかというとマイナスだと思うので正直意外でした。デザイン面も含め、AppleやGoogleサービスやデバイスを使用しているユーザーとの境界を小さくしようという試みなのでしょうか。正直消費者にとってはそうしてくれる方がありがたいので良い傾向だと思います。ただし、ダウンロードはAmazon Appstore経由となるっぽい?ので、使いたいアプリがそこにある必要があるかもしれません。
機能の変更や削除
Windows 11ではWindows 10に出来ることは基本的に出来るという主張がされていますが、一部機能(大体不評だったり使用率が低かったと思われるもの)が廃止されたりしています。参考:Windows 11 のシステム要件、機能、デバイスの要件について
公式ページに記載されている主なものを下記にまとめています。
- スタートメニュー関連
- 名前付きグループやアプリのフォルダーには対応しなくなり、レイアウトは現状ではサイズ変更できない
- Windows 10からアップグレードしたときピン留めしてあったアプリとサイトは以降されない
- ライブタイルは使用不可に(ウィジェットが代用)
- タスクバー関連
- Peopleはタスクバーから削除
- アップグレード前にカスタマイズしたアイコンを含む一部のアイコンは、アップグレード後にはシステムトレイに表示されなくなる
- 位置は画面下部にのみ
- アプリはタスクバーエリアをカスタマイズできなくなる(アプリ側からタスクバーにアクセスする事が不可能になるということ?)
- プリインストールアプリの変更(新しいWindows 11ではプリインストールされなくなっている。アップグレードでは削除されない)
- 3Dビューアー
- Windows 10 向けの OneNote
- ペイント3D
- Skype
- その他
- Cortanaは標準起動ではなくなり、タスクバーへのピン留めもされなくなる
- ニュースと関心事項はタスクバーから削除され、ウィジェットが代わりに同様の機能を提供
- ロック画面の簡易ステータスと関連設定の削除
- タブレットモードは廃止され、キーボードの着脱に対応する新しい機能が追加
- デスクトップの壁紙は、Microsoftアカウントでサインインした場合でもデバイス間での移動はできない
- Internet Explorerは無効に(Microsoft EdgeのIEモードの利用を推奨)
- 数式入力パネルの削除(オンデマンドでのみインストール。OneNote等のアプリ内での数式手書き入力はこの変更の影響を受けない)
- SモードはWindows 11 Home Editionでのみ利用可能に
- Skype今すぐ会議はChatに置き換え
- Snipping Toolは利用できるけど、Windows 10での旧デザインと機能は、切り取り&スケッチアプリのデザインと機能に置き換え
- タイムラインは廃止(Microsoft Edgeで一部の同様機能を利用可能)
- Wallet廃止
- タッチキーボードは18インチ以上のモニター画面ではキーボードのレイアウトをドッグ/アンドッグできなくなる
あとがき
Windows 11についての情報をざっくり見ましたが、個人的には全体的に好印象でした。シンプルでモダンなデザインは良いと思いますし、UI面も使い易くなりそうな気がします。また、Androidアプリ対応も、ユーザーにとってはデメリットはないことなのでどうなるか楽しみです。
ただし、最初の発表ではほぼ全てのPCで無料アップグレードが利用出来るのかと思いきや、サポートCPUはIntelは第8世代、AMDはZen+(第2世代)以降ということで、そこまで古くないPCでも対象外となる可能性があるのは少し残念です(追記:その後登場したInsider Preview版ではIntelは第7世代、AMDはZen【初代】以降となっているため、今後緩和されるかもしれません)。後に対応範囲が拡大する可能性もあると思いますし、Windows 10ベースのOSみたいなので、Windows 10のままでもそこまで困る事は無いかもしれませんが、初期からWindows 10が搭載されていたような世代のPCには対応して欲しかった気はしました。
タスクバー横に出来ないのが痛い
システムファームウェア UEFI、セキュア ブート対応は、そこまで問題なし。
TPM トラステッド プラットフォーム モジュール (TPM) バージョン 2.0が、面倒ですね。調べ方Win+R tpm.msc と入力エンター、有効になっていなければ、UEFI(BIOS)に入って設定の必要があります。
UEFI(BIOS)設定なので自己責任でどうぞ。