【比較】Windows 10の主要ブラウザに性能差はあるのか【2021年4月版】

Windows 10で使うブラウザをベンチマークやRAM使用量などで比較しています。元々シェアの多い「Google chrome」と「Firefox」の2つに、最近評判の良い「Microsoft Edge(Chromium版)」を加えた主要3ブラウザについて見ていきます。

※記事掲載当初、Edgeではデフォルトのホーム画面の検索ボックスのエンジンをBingから変えることができないのが弱点という旨の記載していましたが、アドレスバーの検索エンジンをGoogleにして移動する設定することで対応が可能でした。お詫びして訂正いたします。

注意
  • 本記事の内容は記事執筆時点(2021年4月21日)のものであり、ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
  • 各テスト結果は使用デバイスや環境によって異なるため、あくまで参考程度にご覧ください。

はじめに

はじめにざっと対象ブラウザとベンチマークについての簡単な説明を載せています。

また、本記事はベンチマークとRAM使用量といったテスト結果だけを見るものになります。UIや機能等でも使用感は大きく変わると思われるため、本記事のテスト結果だけでブラウザの良し悪しは測れないということを触れておきたいと思います。軽い気持ちで見て頂けると幸いです。

対象ブラウザ
  • Google Chrome
    言わずと知れたGoogle開発のブラウザ。Windows以外でも様々なプラットフォームで利用されており、特にChrome OSでは主軸要素なので利用がほぼ必須となっている他、Androidでもほとんどの端末で標準ブラウザとなっています。Chromiumというオープンソースのウェブブラウザのプロジェクトのソースコードを基に開発されています。使用エンジンは「Blink」。最近では不安定とかRAM使用量が多い等の不満を多く見掛けるようになったので、その辺りの確認も含めて見ていきます。
  • Microsoft Edge
    マイクロソフト開発のブラウザ。以前は独自のエンジンを採用していましたが、今ではGoogle Chromeと同じChromiumを利用したブラウザとなっています。使用エンジンは「Blink」。2014年にIEからEdgeになってからはそこまで悪いブラウザでは無かったのですが、わざわざChromeから乗り換えるほどのものでも無かったのかシェアはイマイチ伸びませんでしたが、Chromium版になって以降シェアが伸びています。
  • Mozilla Firefox
    Mozilla開発のオープンソースのブラウザ。ChromeやEdgeと異なるというエンジンが使用されています(レンダリングはGecko、JavaScriptはSpiderMonkey)。ChromeやEdgeよりも登場が早かかったために、それなりのシェアを誇っていますが、開発元的に他デバイスやOSの標準にまずならなそうなので、よほどブラウザの性能や機能自体に魅力が無ければメリットを感じにくそうな印象のあるブラウザ。

使用ベンチマーク
  • HTML5 TEST
    HTML5の機能にどれぐらい対応しているかを測るテスト。
  • Basemark Web 3.0
    WebGLやCSSなどさまざまな描写を実行するベンチマーク。
  • WebXPRT 3
    HTML5ベースとJavaScpritベースの6つのシナリオを実行してパフォーマンスをスコア化するベンチマーク。
  • ARES-6
    JavaScriptの最新機能の実行時間を測定するベンチマーク。スコアが低いほど良い。
  • Speedometer
    Webアプリの応答性を測定するベンチマーク。
  • JetStream 2
    JavaScriptとWebassemblyのベンチマーク。

各テスト結果

各ブラウザのテストです。対象ブラウザやベンチマークテストは上述の通りですが、各テスト共通の設定等だけ軽く触れて、さくっと結果を見ていきます。

補足説明
  • ブラウザは全て記事執筆時点(2021年4月21日)で64ビット版の最新バーションを使用
    バージョンはChromeは「90.0.4430.85」、Edgeは「90.0.818.42」、Firefoxは「88.0」となっています。
  • ハードウェアアクセラレーションはオン
  • 拡張機能は全てオフ


RAM使用量

各ブラウザを起動しているときのRAM使用量の測定です。「タブ1のみ」「タブ10」「タブ1でウィンドウ2」の3パターンで測定しました。ウィンドウ2つのときは画面を左右半分ずつ表示です。デフォルトの初期ページだと負荷に差があるかもしれないので、ページはGoogleの検索ページ「https://www.google.com/」に統一し、アクティブウィンドウにした状態で測定しました。また、どのブラウザも起動直後はRAM使用量が跳ね上がるため、使用量がある程度落ち着くまで待ってから測定しています。

RAM使用量比較
タブ1 タブ10 ウィンドウ2
Chrome 140 MB 463 MB 222 MB
Edge 175 MB 462 MB 231 MB
Firefox 495 MB 1075 MB 547 MB

ChromeとEdgeは似た結果で、Firefoxは一段悪い結果

エンジンが同じこともあってか、ChromeとEdgeは似た結果となっています。RAM使用量が多いという話もよく聞くChromeも悪い結果ではありませんでした。わずかながら、Edgeよりも優れた結果となっています。

似た結果の2つに対して大きく悪い結果となっているのがFirefoxです。各パターンでChromeとEdgeの倍以上のRAMを使用しています。RAMが8GB以下のようなPCでは結構影響がありそうです。ただし、タブ10枚でも600 MB程度の差なので、RAMを16GB以上搭載しているようなPCではそこまで気にならないと思います。


ベンチマーク

各ベンチマークテストのスコアを測定しています。

ベンチマーク結果
HTML5 TEST WebXPRT 3 Basemark Web 3.0 ARES-6 Speedometer JetStream 2
Chrome 528 / 555 207 1159.07 24.83 ms 111 108.077
Edge 528 / 555 209 1223.94 22.14 ms 124.2 130.033
Firefox 513 / 555 267 790.23 46.45 ms 92.1 77.277

Edgeが5項目でトップ

ベンチマークテストでは、6項目中5項目でEdgeがトップとなっていました(HTML5 TESTはChromeと同率)。同じエンジンのChromeもやはり同じスコア傾向となっていますが、全体的にわずかに劣る結果となっています。ただし、正直わざわざ乗り換えるほどの差ではない気がします。

一方で全体的にあまり良くない結果となっているのがFirefoxです。ただし、WebXPRT 3では一段良いスコアとなっています。他はJavaScriptメインのテストとなっているのに対し、WebXPRT 3ではHTML5やCSSのテストを多く含むため、FirefoxはHTML5やCSSでやや強いのかもしれません。

まとめ

実際のパフォーマンスは体感出来る程の差はない

このような検証記事を出しておいてこんなことを言うのもあれですが、今回3つのブラウザを触ってみて思ったのは、正直どのブラウザでも体感出来る程の性能差はなかったということです。ベンチマークスコアでは差が目に見えて明らかになりますが、一番悪いスコアのブラウザ(今回でいえばFirefox)でも、実際に使ってみると十分サクサク動いて快適です。

実用性として性能差を見出すのは正直無駄にも感じるので、各ブラウザの機能や設定を眺めた上で、利用しているサービス、デバイス等の使用状況から、最も親和性が高いものを選ぶのが良いと思います。

以下、もう少しまとめが続きますが、上述のことを念頭に置いて参考までにご覧ください。

EdgeとChromeは良く似た性能のブラウザだけど、Edgeが若干有利か

同じオープンソースプロジェクト(Chromium)が基ということもあってか、Microsoft EdgeとGoogle Chromeは各テストでもよく似たスコア傾向となっていました。また、ChromeはRAM使用量が多いという声をよく聞きますが、今回テストした感じではそういう状況は見受けられませんでした。

ベンチマークスコアでは総合的にEdgeがわずかに良い結果となっていますが、体感できるほどの差とは思えないですし、正直どちらも描写の速度や応答速度面ではほとんど変わらないと思います。

ただ、今回の検証ではUIや機能等は扱いませんでしたが、各ブラウザの設定や機能等はざっと見ました。その結果、やはりEdgeとChromeは似ていると思いましたが、一つ気になることがありました。EdgeやFirefoxではツールバー右(アドレスバーの右の部分)に履歴ボタンやスクリーンショットボタンなどを配置できるカスタマイズ機能がありますが、私が確認した限りではChromeだけ出来ませんでした(拡張機能等を使えばもしかしたら出来るかもしれませんが)。

Chromeではショートカットキー等を使用しない限り、各操作をメニューバーを経由して行う必要があります。元々活用していない人にはそこまで利点ではないかもしれませんが、私はFirefoxで結構重宝させて頂いていた部分なので気になりました。

ベンチマークスコアでもわずかながらEdgeの方が有利の印象でしたし、上述のカスタマイズ性の部分も含め、性能や機能性ではEdgeの方が若干有利というのは個人的な印象です。

ちなみにその他の設定等については差はほとんど無いように感じました。設定の場所等は多少異なりますが、同じ機能を探せばどちらにもどこかしらに大体あるという印象です。セキュリティやプライバシーで差があるというレビューも見たことがあったので、設定を確認しましたが、項目自体はかなり似通っており、差があるようには見えませんでした。内部的なものは違うのかもしれませんが、少なくともぱっと見は同じように見えました。

Firefoxはテストではちょっと悪い結果だけど、カスタマイズ等ではやや有利

Firefoxは各テストでChromeとEdgeに対して悪い結果となっていました。一部のテストでは大きくリードしていたりもしますし、実際に使用してみると遅いという印象は無いのですが、ベンチマークスコアやRAM使用量的には劣るということになっています。応答速度やRAM使用量を重視したり、低スペックなPCで使用する場合には向かないのは否めない気がしました。

ただし、今回の検証で扱わなかったUIや機能性等の面では個人的にはChromeやEdgeより若干上な印象です。上述のツールバー右のカスタマイズの点もありますし、拡張機能の豊富さについても、以前ほどの圧倒的感が無くなっただけで数自体は上だと思います。それらを有効活用できる人なら魅力的なブラウザになり得ると思います。

ブラウザの性能的にはChromeとEdgeはほぼ互角、他デバイスでの利用状況に合わせて

ChromeとEdgeは同じエンジンのブラウザということもあり、ブラウザ単体としてははほぼ同じレベルのものだと思います。テストの結果もそれを裏付けていたと思います。

そのため、どちらを選ぶかというのは他デバイスで使うサービス・ブラウザでどちらを使うとということになると思います。

モバイル端末向けChromeやGoogle関連サービスをよく使うならChromeの方が良いですし、モバイル端末向けEdgeやMicrosoft関連サービスをよく使うならEdgeの方が良いという感じですね。当たり前すぎることですけど、結局そうなると思います。

ただし、やはり上記のケースに当てはめると、Chromeの方が無難という人が多い気がします。これはやはり、ChromeはAndroidで標準ブラウザとなっている事が多い点と、Chromebook(Chrome OS)では利用が避けられない点が大きいです。ブラウザ自体の性能が変わらないならあえて乗り換える必要もないと思うので、だったらデバイスとプラットホーム事情的にChromeの方が良さそうという感じです。ブラウザの移行自体は意外とすぐ簡単に終わるとは思いますが、メリットがあるかわからないことをあえてやりたい人は居ないと思います。


思ったよりもまとめが長くなりましたが、以上になります。またブラウザ業界で大幅な変更があれば、似たような検証をするかもしれません。

2 COMMENTS

uomasa

Microsoft edgeはデフォルトの検索エンジンをGoogleやYahooに変えることできますよ。
Edgeを起動し、edge://settings/searchにアクセスします。次に、「アドレス バーで使用する検索エンジン」の
「Bing(推奨、既定値)」をクリックして、GoogleやYahooなどに変更します。そして、Edgeを再起動します。そうするとGoogleやYahooで検索できるようになっているはずです。

返信する
とねりん:管理人

情報ありがとうございます。

その情報は知っていたのですが、そこを設定してもデフォルトのホーム画面(最近見たサイトとか表示できるやつ)の検索ボックスからだとなぜかBingからの検索になってしまっていました。
なのですが、今見るとその下の「新しいタブでの検索、検索ボックスまたはアドレスバーを使用する」という部分を「アドレスバー」に設定することで普通にできました…。調査不足で申し訳ありません。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です