Intelの第9世代プロセッサ「Coffee Lake Refresh-S」のCPU「Core i9」「Core i7」の性能比較をしています。
要点だけ知りたいという方は、目次から「まとめ」だけ見ても良いかも。
第9世代の「Core i9」「Core i7」
第9世代のCore i9
第8世代までは、Intelの主流CPUの中の最高性能モデルは「Core i7」でしたが、Intelの主流CPUに「Core i9」が初登場しました。これからの、Intelの主流CPUの最高性能は「Core i9」になるようです。コア数が8でスレッド数が16という仕様になっています。
ベンチマークスコアは、前世代の「Core i7 8700K」と比較して25%程向上していますが、今までのCore i7に無かったような仕様や機能がある訳でもないので、従来のCore i7の立ち位置に近い様に感じるのが、第9世代のCore i9です。
ただ、値段が主流CPUとしては異常なくらい高いです(2018年11月時点で約7万円)。「Core i9」という括りをわざわざ設けた理由は、恐らく経営戦略的なものか、今後に向けての布石として新しい区分を作っておきたかったというところでしょうか。
要点だけまとめると、「第9世代のCore i9」はマルチスレッド性能こそ高いものの価格が非常に高く、コスパはあまり良くなさそうです。
一般CPUとしては少し難しそうかなという印象です。
第9世代のCore i7
第8世代の6コア12スレッドから、8コア8スレッドという仕様変更になりました。ハイパースレッディングを利用していない形ですね。
Core i9が8コア16スレッドなので、これからのCore i7はコア=スレッドのCPUになるのかもしれません。性能面は従来より上がってはいますが、コアとスレッドの仕様的には降格とも捉えられる変更となりました。
価格は、現時点(2018年11月時点)ではCore i7は「Core i7 9700K」しか出ていないですが、従来より若干高めとなっています。
性能は第8世代のCore i7より上昇はしているものの、コア数の増加と最大クロック周波数の上昇を考えると、技術的な向上はほぼ無しと言っても良さそうなレベルと言われても仕方ない印象です。
簡易比較表
第9世代のCore i9/7の簡易比較表です。
【簡易比較表】
CPU名 | ベンチマーク | コア(スレッド) | TDP | 定格クロック | TB時最大 | コスパ | 参考価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Core i9 9900K | 20500 | 8(16) | 95W | 3.6GHz | 5.0GHz | 0.293 | 70,000円 |
Core i7 9700K | 17400 | 8(8) | 95W | 3.6GHz | 4.9GHz | 0.316 | 55,000円 |
Core i5 9600K | 13900 | 6(6) | 95W | 3.7GHz | 4.6GHz | 0.397 | 35,000円 |
Core i7 8700K | 16100 | 6(12) | 95W | 3.7GHz | 4.7GHz | 0.335 | 48,000円 |
Core i7 8700 | 15250 | 6(12) | 65W | 3.2GHz | 4.6GHz | 0.347 | 44,000円 |
Core i5 9600K | 13900 | 6(6) | 95W | 3.7GHz | 4.6GHz | 0.397 | 35,000円 |
Core i5 8600K | 12800 | 6(6) | 95W | 3.6GHz | 4.3GHz | 0.376 | 34,000円 |
Core i5 8500 | 12100 | 6(6) | 65W | 3.0GHz | 4.1GHz | 0.417 | 29,000円 |
Core i5 8400 | 11700 | 6(6) | 65W | 2.8GHz | 4.0GHz | 0.418 | 28,000円 |
※ベンチマークスコアはPASSMARKのベンチマークスコアを参考にした目安の値。
※参考価格は、価格.comの2018年11月時点での最安値価格。
第8世代のCPUと比較してみると、買い替えたいと思うほどの魅力は正直ありませんでした。
ベンチマークスコア自体は向上しているものの、コスパは良くないし、特別な機能なども無いので魅力は少ないです。
1コア(1スレッド)あたりの性能の向上が少ない分、コスパが重視される中でコスパもそこまで良くないのは割と致命的です。
まだ発売から日が浅いので、価格が大幅に下がる可能性もありますが、少なくとも現時点(2018年10月末)では、第8世代CPUの方が全体的にコスパが良いです。
また、全体的にクロック周波数・コア数が増えているため、発熱の問題も第8世代より注意が必要だと考えられ、扱いにくさが気になります。
シングルスレッド性能
シングルスレッド性能が高いと、軽い処理の処理速度が速くなる他、マルチスレッド(コア)処理に対しての最適化が不十分なアプリケーションに対する処理速度が速くなります。
大きなメリットは上記に挙げたものが主ですが、ほぼ全ての処理に対して有利に働くので、重要視される事が多いです。
今回は、Cinebench R15というソフトで測定した数値を見ていきます。
【Cinebench R15 Single】
CPU名称 | スコア |
---|---|
Core i9 9900K | 221 |
Core i7 9700K | 218 |
Core i7 8086K | 217 |
Core i7 8700K | 203 |
Core i5 9600K | 201 |
Core i5 8400 | 177 |
Core i9 とCore i7 どちらも非常に高いシングルスレッド性能
シングルスレッド性能は、どちらも第8世代から大幅に向上しています。また、ベンチマークスコアでは、Core i7とCore i9で大きな差がありましたが、シングルスレッド性能差はわずかとなっています。
Core i9 9900Kは8コア16スレッドという仕様から、このシングルスレッド性能の高さは凄いです。ハイパースレッディングテクノロジー利用の16スレッドでも、シングルスレッド処理に対する最適化がしっかり行われています。Intel製CPUの大きな魅力である「シングルスレッド性能の高さ」は未だ健在です。
マルチスレッド性能
マルチスレッド性能が高いと、マルチタスクの処理やエンコードの速度などが速くなります。簡単にいうとCPU全体の全力のパフォーマンスを表します。
シングルスレッド性能と同じく、Cinebench R15というソフトで測定した数値を見ていきます。
【Cinebench R15 Multi】
CPU名称 | スコア |
---|---|
Core i9 9900K | 2063 |
Core i7 9700K | 1515 |
Core i7 8086K | 1421 |
Core i7 8700K | 1411 |
Core i5 9600K | 1074 |
Core i5 8400 | 949 |
マルチスレッド性能は、Core i9が大幅に上回る
Core i9 9900KがCore i7 9700Kより約25%上回る数値を出し、大きく上回っています。「Core i9」という名を冠しているだけあって、CPU全体のパフォーマンスはさすがです。
対するCore i7 9700Kも、8スレッドというスレッドの少なさで1500を超える数値を出しており、こちらも素晴らしいです。
上述したシングルスレッド性能の高さもありますし、両者とも非常に効率の良い処理が行われているという印象を受けます。
コア数の増加やクロック周波数の引き上げを考慮すると飛躍的な向上とは言えないですが、主流CPUの中ではトップクラスなのは間違いなく、魅力的です。
特にCore i9のマルチスレッド性能は、他の主流CPUを大きく突き放しトップとなっており驚異的です。価格が高い上コスパが悪いため万人におすすめ出来るCPUではないですが、出来るだけ高いマルチスレッド性能を求めるのなら「Core i9 9900K」は有力候補となるでしょう。
ゲーミング性能
ゲーミング性能は、言葉の通りゲームする際のパフォーマンスの性能です。
主に実際にゲームを起動してみた際のFPS数で比較されます。
今回は、10種類の人気ゲームでFPS数を測定した平均FPS数(相乗平均)の数値を見ていきます。
使用されたGPUは「Geforce GTX 1080 Ti」となっています。
【総合ゲーミング性能】
CPU名称 | FPS |
---|---|
Core i9 9900K | 120.7 |
Core i7 9700K | 119.2 |
Core i7 8086K | 116.1 |
Core i7 8700K | 115.7 |
Core i5 9600K | 115.2 |
Core i5 8400 | 111.3 |
性能差はわずか、コスパで見ればCore i7一択か
マルチスレッド性能には約25%の差がある「Core i9 9900K」と「Core i7 9700K」を比較しても、FPSの差はほとんどありませんでした。
今回の測定に用られているGPUは「GeForce GTX 1080 Ti」という超高性能なハイエンドGPUですが、Core i7でもその性能をほぼ最大限活かす事が出来る性能を持っているため、Core i9でも差がほぼ無かったと推測されます。
そのため、単純にゲーミング性能のコスパを考えるのであれば、Core i7が圧倒的優位です。ゲーム以外の一般的な用途は、「Core i7 9700K」でも間違いなくオーバースペックなので、ゲーミング用途メインならCore i9を選ぶ理由はほぼ無いと思います。
お金に余裕があって予算を気にしないとか、少しでも高いマルチスレッド性能を求める特殊な用途に使うでない限りは、あえてCore i9を購入する必要性は薄そうという印象でした。
まとめ
安定はやっぱりCore i7
第9世代Core i7は各項目で非常に高い性能を発揮し、マルチスレッド性能以外ではCore i9にすら勝るとも劣らない実力を発揮しています。
特にゲーミング性能とシングルスレッド性能では、Core i9とほぼ同等の性能を発揮しており、実際の使用感はCore i9と変わらないと言っても過言ではないです。
マルチスレッド性能は、Core i9と比較して約25%と大幅に負けてはいるものの、数値自体はCore i7でも十分に高いものです。多くの人にとって、両者の差を実際の使用で感じる事は無いでしょう。
マルチスレッド性能は、Core i9と比較して約25%と大幅に負けてはいるものの、数値自体はCore i7でも十分に高いものです。多くの人にとって、両者の差を実際の使用で感じる事は無いでしょう。
上記の事から、「第9世代の安定択はCore i7」としたいと思います。
Core i9は、少しでも高いマルチスレッド性能を求める人向け
「Core i9 9900K」は各項目でトップの数字を叩き出しており、主流CPUとしてはあらゆる面で現状トップのCPUといえるでしょう。当然魅力的です。しかし、やはり本体価格の高さによるコスパの悪さが致命的です。コスパが少し悪いだけならまだしも、実売価格が7万円(2018年11月時点)はやはり高すぎます。
また、「ゲーミング性能」に関して「Core i7 9700K」とほぼ変わらない点も結構大きいです。
経済的に凄く余裕がある、もしくはCPU主体の高負荷な作業を日常的に行う場合であれば、価格の高さやコスパの悪さに目を瞑ってCore i9を買う価値は十分あります。
ですが、上記ような場合以外では、基本的に「Core i7 9700K」を購入した方が良いと思われます。
ですが、上記ような場合以外では、基本的に「Core i7 9700K」を購入した方が良いと思われます。
それでは、記事はここまでです。ご覧いただきありがとうございました。
記事は執筆者の好みでイチオシも変わってしまう典型的な例ですね
ゲームや通常の使い方なら確かにi7で十分であり、i9の必要は無いと思います
ただ、かなり否定的なi9 9900Kを購入しましたが、
GPUにはNVIDIA Quadro P5000を選択、3D-CADでi7では操作する都度
形状破堤しないように最初から手順にそって計算しなおし、再描画されると
複雑になればなるほど、十数秒待たされてしまう時間が勿体ない
書かれているように、特殊な使い方と言ってしまえばそれまでですが
そのような人にもお勧め出来ないと言う一文は自分目線が正しいと主張してるようで気になりますね
該当の一文に関しては、少し言い過ぎたかもしれません。申し訳ありません、少し書き換えておきました。
ただ、参考のリンクとして載せている海外のサイトでも「Core i9を選んだ方が良いケースは稀で、Core i9を選ぶ価値が十分あるケースでも、他のCPUと比較すると余分な予算を使う事になる」という風に触れられています。当時の各指標や数値を見れば明らかです(現在では価格が下がり多少改善している)。この点に関しては、私個人の偏見ではなく比較的一般的な見解だと思います。Core i9 9900Kの良さについても触れてはいますし、一方的に貶める意図はありません。その点はご理解頂けると幸いです。
噛みつき過ぎ
あなたみたいな設計者なら著者の意図もCPUの性能も目的もはっきり分かるでしょうに…