発売から少し経ってしまいましたが、低価格高コスパが魅力の「Core i5-13400F」を、性能を見ながらざっくり評価していきます。
遂にCore i5の下位モデルでもEコアが追加され、合計10コアとなりマルチスレッド性能が格段に向上した格安CPUの実力を見ていきましょう。
本記事の内容は記事執筆時点(2023年3月8日)のものとなります。ご覧になっている際には異なる可能性があるため注意してください。
掲載の価格は、主にAmazonや価格.comを参考にしたおおよその市場価格です。
概要
第13世代だけど、コア仕様はほぼ第12世代?
「Core i5-13400(F)」についてまず触れたいのは、コア仕様的には第12世代「Alder Lake」とほぼ同じに見えることです。
それは、L2キャッシュ量を見るとわかります。第13世代「Raptor Lake」の「Core i5-13600K(F)」以降では、Pコアあたり2MBのL2キャッシュを持ちますが、「Core i5-13400(F)」ではPコアあたり1.25MBしか持っておらず、これは前世代の「Alder Lake」の仕様と一致します。
要するに、第13世代「Raptor Lake」のコードネームでラインナップされていますが、実質的には前世代と同様の仕様であるということです。
詳しい性能は後に見ていきますが、この違いがハイエンドGPU使用時のゲーミング性能において顕著に表れており、「Core i5-13600K(F)」以降とは明らかに異なる仕様のCPUであることを確認することができます。
ほぼ自作専用だけど「Core i5-13500」の方がコスパは上
「Core i5-13400(F)」を語る上で無視できないのが「Core i5-13500」の存在です。
「Core i5-13400(F)」は10コア(6P+4E)で3万円前後のCPUであるのに対し、「Core i5-13500」はEコアを4つ多く持つ14コア(6P+8E)CPUでありながら、現在約3.6万円で購入することができます。
約4,000円~6,000円の費用追加で、Eコアを4つ追加できるため、コア単価が非常に安く、コスパが物凄く優れています。「Core i5-13400(F)」に限らず、その他の主要CPUと比較しても優れたコスパです。
安さを大きく損なうほどではなくコスパが向上するため、シンプルに「Core i5-13500」を選ぶ方が良いと言えますが、問題は「Core i5-13500」がほぼ自作専用のCPUであることです。従来から、Core i5の500番台はBTOや既製品のPCで標準採用されることがほとんどないCPUとなっており、実際記事執筆時点でも「Core i5-13500」が採用されているPCはほとんど見掛けません。
そのため、ほぼ自作専用のCPUとなっており、既製品PCに組み込むにはカスタマイズ性を重視したBTOで選択するか、フルカスタマイズするしかないという状況です。
このように、「Core i5-13500」は「Core i5-13400(F)」の代替案として非常に強力ですが、実質的には選べる消費者は少ないと思われるため、本記事でもこの冒頭に触れるに留めておきたいと思います。無視して話を進めるのも難しい状況なので、始めに触れておきました。
簡易比較表
同世代の他CPUとの比較
同世代の他の候補となりそうなCPUとの仕様比較です。
Core i5-13400(F) | Core i5-13600K(F) | Core i7-13700(F) | |
---|---|---|---|
コードネーム | Raptor Lake | Raptor Lake | Raptor Lake |
プロセス | 10nm | 10nm | 10nm |
ソケット | LGA1700 | LGA1700 | LGA1700 |
コア合計 | 10コア | 14コア | 16コア |
Pコア | 6コア | 6コア | 8コア |
Eコア | 4コア | 8コア | 8コア |
スレッド | 16スレッド | 20スレッド | 24スレッド |
PBP(TDP PL1) | 65W | 125W | 65W |
MTP(TDP PL2) | 148W(F) 154W | 181W | 219W |
クロック (定格 – 最大) | P:2.5 – 4.6GHz E:1.8 – 3.3GHz | P:3.5 – 5.1GHz E:2.6 – 3.9GHz | P:2.1 – 5.2GHz E:1.5 – 4.1GHz |
L2キャッシュ | 9.5MB Pコアあたり1.25MB 4Eコアあたり2MB | 20MB Pコアあたり2MB 4Eコアあたり4MB | 24MB Pコアあたり2MB 4Eコアあたり4MB |
L3キャッシュ | 20MB | 24MB | 30MB |
Tjunction max(最大温度) | 100℃ | 100℃ | 100℃ |
内蔵GPU ※末尾Fは無し | UHD 730 | UHD 770 | UHD 770 |
対応メモリ (定格最大) | DDR5-4800 DDR4-3200 | DDR5-5600 DDR4-3200 | DDR5-5600 DDR4-3200 |
参考価格 ※2023年3月8日時点 | 32,700円(無印) 28,100円(F) | 45,980円(K) 43,480円(KF) | 55,480円(無印) 51,890円(F) |
価格が安く、低価格ゲーミングPCで非常に強力
「Core i5-13400(F)」の魅力はやはり安さです。前世代のコア仕様を引き継ぐとはいえ、10コア(6P+4E)で3万前後は安いです。前世代の6Pコアのみの頃と比べるとマルチスレッド性能は大きく向上しています。前世代から若干の値上がりは残念ですが、性能向上が大きいためコスパは向上しており、十分に競争力があります。
他の候補モデルと比較してみると、「Core i5-13600K」よりも約1.5万円も安く購入することができます。消費電力や発熱も少し低いため、その利点もあります。Core i7と比較するとその差は約2.5万円まで広がり、予算に大きな影響を与えます。後のゲーミング性能差が気になる方が多いとは思いますが、たとえば「RTX 3060 Ti / 3070」レベルのGPUくらいなら、「Core i5-13400(F)」と上位CPUでもfps差は基本大して出ないので、ゲーム単体での性能をミドルレンジクラスのGPUで考えるなら、単純な節約です。非常に優れたゲーミングコスパと言えます。
ただし、仕様だけを見ると、やはり同世代の上位CPUには劣る部分も目立ちます。先にも触れた通り、まずキャッシュ量に大きな差があります。L2キャッシュは9.5MB、L3キャッシュは20MBとなっていますが、「Core i5-13600K」はL2が20MB、L3が24MBと大きく向上しています。RTX 4090レベルのハイエンドGPUと併用時には両者ではゲーミング性能に大きな差が出ますが、これは恐らくキャッシュ量も大きく影響していると思われます。「Core i5-13400(F)」に10万円超えるレベルのGPUを組み合わせようと思う人はあまり居ないとは思いますが、そういう使い方には向かないCPUとなっている点には注意です。
既存モデルとの比較
※価格は2023年3月8日時点でのおおよその市場価格です。CPU名のリンクはAmazonへの商品リンクです。
CPU名 | コア | スレッド | クロック 定格 / 最大 | TDP (PL1 – PL2) | iGPU | L3 キャッシュ | 参考価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 9 7950X3D | 16 | 32 | 4.2 / 5.7GHz | 120W – 162W | RDNA 2(2CU) | 128MB | 111,800円 |
Ryzen 9 7950X | 16 | 32 | 4.5 / 5.7GHz | 170W – 230W | RDNA 2(2CU) | 64MB | 89,980円 |
Core i9-13900K | 24 (8P+16E) | 32 | 3.0 / 5.8GHz 2.2 / 4.3GHz | 125W – 253W | UHD 770 | 36MB | 81,580円 |
Core i9-13900KF | 24 (8P+16E) | 32 | 3.0 / 5.8GHz 2.2 / 4.3GHz | 125W – 253W | 無し | 36MB | 79,780円 |
Ryzen 9 7900X | 12 | 24 | 4.7 / 5.6GHz | 170W – 230W | RDNA 2(2CU) | 64MB | 71,740円 |
Ryzen 9 7900 | 12 | 24 | 3.7 / 5.4GHz | 65W – 88W | RDNA 2(2CU) | 64MB | 69,800円 |
Core i7-13700K | 16 (8P+8E) | 24 | 3.4 / 5.4GHz 2.5 / 4.2GHz | 125W – 253W | UHD 770 | 30MB | 57,980円 |
Core i7-13700KF | 16 (8P+8E) | 24 | 3.4 / 5.4GHz 2.5 / 4.2GHz | 125W – 253W | 無し | 30MB | 56,580円 |
Core i7-13700 | 16 (8P+8E) | 24 | 2.1 / 5.2GHz 1.5 / 4.1GHz | 65W – 219W | UHD 770 | 30MB | 55,480円 |
Core i7-13700F | 16 (8P+8E) | 24 | 2.1 / 5.2GHz 1.5 / 4.1GHz | 65W – 219W | 無し | 30MB | 51,900円 |
Core i9-12900KS | 16 (8P+8E) | 24 | 3.4 / 5.5GHz 2.5 / 4.0GHz | 150W – 241W | UHD 770 | 30MB | 79,800円 |
Core i9-12900K | 16 (8P+8E) | 24 | 3.2 / 5.2GHz 2.4 / 3.9GHz | 125W – 241W | UHD 770 | 30MB | 75,980円 |
Ryzen 9 5950X | 16 | 32 | 3.4 / 4.9GHz | 105W – 142W | 無し | 64MB | 78,800円 |
Core i5-13600K | 14 (6P+8E) | 20 | 3.5 / 5.1GHz 2.6 / 3.9GHz | 125W – 181W | UHD 770 | 24MB | 45,970円 |
Core i5-13600KF | 14 (6P+8E) | 20 | 3.5 / 5.1GHz 2.6 / 3.9GHz | 125W – 181W | 無し | 24MB | 43,480円 |
Ryzen 7 7700X | 8 | 16 | 4.5 / 5.4GHz | 105W – 142W | RDNA 2(2CU) | 32MB | 48,490円 |
Ryzen 7 7700 | 8 | 16 | 3.8 / 5.3GHz | 65W – 88W | RDNA 2(2CU) | 32MB | 53,800円 |
Core i7-12700K | 12 (8P+4E) | 20 | 3.6 / 4.9GHz 2.7 / 3.8GHz | 125W – 190W | UHD 770 | 25MB | 52,580円 |
Core i7-12700 | 12 (8P+4E) | 20 | 2.1 / 4.9GHz 1.6 / 3.6GHz | 65W – 180W | UHD 770 | 25MB | 45,980円 |
Ryzen 9 5900X | 12 | 24 | 3.7 / 4.8GHz | 105W – 142W | 無し | 64MB | 47,540円 |
Ryzen 5 7600X | 6 | 12 | 4.7 / 5.3GHz | 105W – 142W | RDNA 2(2CU) | 32MB | 35,580円 |
Ryzen 5 7600 | 6 | 12 | 3.8 / 5.1GHz | 65W – 88W | RDNA 2(2CU) | 32MB | 37,500円 |
Core i5-12600K | 10 (6P+4E) | 16 | 3.7 / 4.9GHz 2.8 / 3.6GHz | 125W – 150W | UHD 770 | 20MB | 41,980円 |
Core i5-13500 | 14 (6P+8E) | 20 | 2.5 / 4.8GHz 1.8 / 3.5GHz | 65W – 154W | UHD 770 | 24MB | 35,880円 |
Core i5-13400 | 10 (6P+4E) | 16 | 2.5 / 4.6GHz 1.8 / 3.3GHz | 65W – 154W | UHD 730 | 20MB | 32,780円 |
Core i5-13400F | 10 (6P+4E) | 16 | 2.5 / 4.6GHz 1.8 / 3.3GHz | 65W – 148W | 無し | 20MB | 28,280円 |
Ryzen 7 5800X3D | 8 | 16 | 3.4 / 4.5GHz | 105W – 142W | 無し | 96MB | 53,000円 |
Ryzen 7 5800X | 8 | 16 | 3.8 / 4.7GHz | 105W – 142W | 無し | 32MB | 42,200円 |
Ryzen 7 5700X | 8 | 16 | 3.4 / 4.6GHz | 65W – ?W | 無し | 32MB | 30,980円 |
Core i5-12400 | 6 | 12 | 2.5 / 4.4GHz | 65W – 117W | UHD 730 | 18MB | 26,480円 |
Ryzen 5 5600X | 6 | 12 | 3.7 / 4.6GHz | 65W – ?W | 無し | 32MB | 28,900円 |
処理性能
各処理性能をベンチマークスコアを海外レビューを参考に見ていきます。使用されたメモリは、DDR5に対応しているモデルでは「DDR5-6000」で、その他は「DDR4-3600」となっています。また、使用されたGPUは「GeForce RTX 4090」となっています。
また、今回は電力制限を解除(TDP PL1=PL2)にした場合のスコアも載せて比較しています。
その他の細かい環境や設定等については、お手数ですが冒頭の参考リンク先の記事を参照してください。
マルチスレッド性能
マルチスレッド性能は、CPUの全コア稼働時の処理性能を表します。マルチスレッド性能が高いと、動画のソフトウェアエンコード(CPUエンコード)やレンダリングなど、膨大な量の処理に掛かる時間が短くなる他、複数タスクでのパフォーマンスが向上するなどのメリットがあります。
今回は、Cinebench R23というベンチマークソフトで測定された数値で見ていきます。
CPU名称 | スコア |
---|---|
Ryzen 9 7950X | 38096 |
Core i9-13900K | 37263 |
Ryzen 9 7950X3D | 35769 |
Core i7-13700K | 30770 |
Ryzen 9 7900X | 29242 |
Core i9-12900K | 27422 |
Ryzen 9 5950X | 25869 |
Core i5-13600K | 23847 |
Core i7-12700K | 22801 |
Ryzen 9 5900X | 21552 |
Ryzen 7 7700X | 19901 |
Ryzen 7 7700 | 18710 |
Core i5-12600K | 17648 |
Core i5-13400F / PL解除 | 15723 |
Ryzen 5 7600X | 15143 |
Ryzen 7 5800X | 15038 |
Ryzen 7 5800X3D | 14514 |
Core i5-13400F | 14311 |
Ryzen 7 5700X | 13583 |
Core i5-12400F | 11801 |
Ryzen 5 5600X | 11250 |
先代から約21%向上したマルチスレッド性能
マルチスレッド性能は、先代である「Core i5-12400F」と比較して約21.3%向上しています。追加された4つのEコアによって大きく向上しています。モデル的には競合となる「Ryzen 5 7600(X)」とも近い性能となっていますが、価格が「Core i5-13400(F)」の方が安いためコスパでは勝っています。
性能および価格的には、旧世代ですが「Ryzen 7 5700X」と競合するような立ち位置となっています。ただし、DDR5対応など最新プラットフォームでの利点もあるので、「Ryzen 7 5700X」との二択なら有利です。
ただし、候補の一つである「Core i5-13600K」と比較してみると約66.6%も上回られてしまうなど、性能自体は上位CPUと比べると圧倒的に劣るため、高負荷なマルチスレッド処理を前提とするなら適しているとは言い難いです。とはいえ、第11世代のCore i9並みの性能なので、性能自体は十分高性能であると言えるため、特に重いCPU処理に重点を置く訳でなければ問題にはならないかなと思います。
また、電力制限を解除すると性能が約10%向上します。消費電力や発熱については後述しますが、元の最大設定がマイルドであり、制限を解除しても大したネックにはならないので、マルチスレッド性能を重視する使い方をするならPL解除で通常利用するのも全然アリだと思います。
シングルスレッド性能
シングルスレッド性能は、1コアでの処理性能を表します。シングルスレッド性能が高いと、軽い処理に掛かる時間が短くなる(サクサク動く)他、全コア稼働時にも当然影響がありますので、ほぼ全ての処理に対して有利に働きます。
今回は、Cinebench R23というベンチマークソフトで測定された数値で見ていきます。レンダリングのベンチマークテストです。
CPU名称 | スコア |
---|---|
Core i9-13900K | 2261 |
Core i7-13700K | 2116 |
Ryzen 9 7950X | 2037 |
Ryzen 9 7950X3D | 2036 |
Ryzen 9 7900X | 2033 |
Core i9-12900K | 2028 |
Core i5-13600K | 2002 |
Ryzen 7 7700X | 1993 |
Core i7-12700K | 1944 |
Ryzen 5 7600X | 1959 |
Ryzen 7 7700 | 1917 |
Core i5-12600K | 1906 |
Core i5-13400F | 1796 |
Core i5-13400F / PL解除 | 1792 |
Core i5-12400F | 1710 |
Ryzen 7 5800X | 1567 |
Ryzen 7 5700X | 1509 |
Ryzen 5 5600X | 1505 |
Ryzen 7 5800X3D | 1476 |
先代から5%のわずかな向上で、最新世代の他CPUには一段劣る
先述の通り「Core i5-13400(F)」のPコアは前世代と同様のものであるため、シングスレッド性能の向上はクロック上昇分のわずかな向上といった感じです。先代の12400Fと比較すると約5%だけ向上しています。
第13世代の上位やRyzen 7000ではシングルスレッド性能に大きな向上があっため、最新の他CPUと比較すると分かり易く沈む形になっています。Eコア追加などで誤魔化せたマルチスレッド性能と違い、差が浮き彫りになってしまっています。
とはいえ、その差はCore i9を除けば10%台くらいなので、めちゃくちゃ大きい訳ではないです。特にシングルスレッド性能やクロックが重要な処理に使う場合を除けば、実用性的にはほぼ変わらない範囲だと思います。
ゲーミング性能
この項目でのゲーミング性能は、実際にゲームを起動した際のFPSを見ていきます。内蔵GPUの性能ではなく、高性能なグラフィックボードを使用した際の性能である点に注意してください。
今回は12種類のゲームで測定したフレームレート(FPS)の平均を見ていきます。使用されたGPUは「GeForce RTX 4090」です。2023年時点では圧倒的な性能を誇るハイエンドGPUとなっています。ただし、超高性能なGPUを使用することはCPUにおける詳細なボトルネック差を測定するには最適ですが、実際にはこのクラスのGPUを使用する人は一般の人はほとんど居らず、より低い性能のGPUが使用されることが多いと思います。低性能なGPUではCPUに要求される性能も低くなり、その場合にはこのテストほどCPUによる差が顕著には出ない可能性が高い点に注意してください。本テストは、あくまで市場で最高レベルのハイエンドGPUを使用した場合のものです。
その他の設定のついては、基本ウルトラ(可能な限り最高の設定)です。測定に使用されたゲームタイトルやその他の環境は、お手数ですが記事冒頭のリンクからご確認お願いします。
CPU名称 | スコア |
---|---|
Core i9-13900K | 250.5 |
Ryzen 9 7950X3D | 247.1 |
Core i7-13700K | 241.7 |
Ryzen 7 7700X | 227.7 |
Core i5-13600K | 227.0 |
Ryzen 9 7900X | 226.1 |
Ryzen 7 7700 | 224.5 |
Ryzen 9 7950X | 224.2 |
Ryzen 5 7600X | 222.9 |
Core i9-12900K | 221.0 |
Core i7-12700K | 211.5 |
Ryzen 7 5800X3D | 207.1 |
Core i5-12600K | 196.4 |
Ryzen 9 5950X | 187.7 |
Ryzen 9 5900X | 187.2 |
Core i5-13400F / PL解除 | 185.8 |
Core i5-13400F | 184.6 |
Ryzen 7 5800X | 183.3 |
Ryzen 7 5700X | 181.4 |
Ryzen 5 5600X | 179.3 |
Core i5-12400F | 177.0 |
Core i9-11900K | 167.8 |
Ryzen 7 5700G | 151.9 |
Core i5-11400F | 135.0 |
CPU名称 | スコア |
---|---|
Core i9-13900K | 235.4 |
Ryzen 9 7950X3D | 229.3 |
Core i7-13700K | 228.4 |
Core i5-13600K | 218.4 |
Ryzen 7 7700X | 214.5 |
Ryzen 9 7900X | 214.1 |
Core i9-12900K | 212.8 |
Ryzen 9 7950X | 212.4 |
Ryzen 7 7700 | 212.2 |
Ryzen 5 7600X | 210.9 |
Core i7-12700K | 205.0 |
Ryzen 7 5800X3D | 197.2 |
Core i5-12600K | 190.5 |
Ryzen 9 5950X | 182.2 |
Ryzen 9 5900X | 181.8 |
Core i5-13400F | 180.5 |
Core i5-13400F / PL解除 | 180.1 |
Ryzen 7 5800X | 178.2 |
Ryzen 7 5700X | 176.1 |
Ryzen 5 5600X | 174.3 |
Core i5-12400F | 173.3 |
Core i9-11900K | 166.2 |
Ryzen 7 5700G | 150.4 |
Core i5-11400F | 134.2 |
CPU名称 | スコア |
---|---|
Core i9-13900K | 168.1 |
Core i7-13700K | 166.8 |
Ryzen 9 7950X3D | 166.7 |
Core i5-13600K | 164.1 |
Core i9-12900K | 163.5 |
Ryzen 7 7700X | 162.0 |
Ryzen 9 7950X | 161.3 |
Ryzen 9 7900X | 161.2 |
Core i7-12700K | 160.9 |
Ryzen 7 7700 | 160.8 |
Ryzen 5 7600X | 160.5 |
Ryzen 7 5800X3D | 159.8 |
Core i5-12600K | 158.1 |
Core i5-13400F | 154.6 |
Core i5-13400F / PL解除 | 154.2 |
Ryzen 9 5950X | 152.2 |
Ryzen 9 5900X | 151.7 |
Core i5-12400F | 151.5 |
Ryzen 7 5800X | 150.4 |
Ryzen 7 5700X | 149.1 |
Ryzen 5 5600X | 148.4 |
Core i9-11900K | 143.8 |
Ryzen 7 5700G | 133.6 |
Core i5-11400F | 126.7 |
ハイエンドGPUで使うと、上位CPUには大きく劣るゲーミング性能
ゲーミング性能は、先代と比較して1080pで約4.3%、1440pで約4.2%、4Kで約2%のfps向上が確認できました。微増といった感じですね。
また、ゲーミング性能はキャッシュ量に敏感であることが最近確認されていますが、前世代と同じコア仕様を維持している「Core i5-13400(F)」はキャッシュ量が最新の他CPUと比べると明らかに少ないため、向上率が低い点に注意です。試しに「Core i5-13600K」と比較してみると、1080p時には約18.7%も低いfpsとなっており、大きく劣ることが確認できます。
とはいえ、実際には「Core i5-13400F」をRTX 4090クラスのGPUと使うことはまずないと考えられ、もっと低い性能のGPUなら差は小さいことが予想されるため、実質的には気にする意味もあまり無い部分かもしれません。CPUのゲーミング性能としては現状では高いとは言えませんが、予算重視ユーザーによっての実用性的な意味ではマイナスになるほどではないです。
ただし、ハイエンドGPUで使うなら「Core i5-13600K(F)」以上の方が良いのは間違いないので、覚えておきましょう。
消費電力と効率
消費電力
消費電力を見ていきます。非常に高負荷なレンダリングソフト「Blender」によるマルチスレッド処理時の消費電力と、ゲーミング時平均(1080p/13タイトル)による消費電力の二つを見ていきます。
CPU名称 | 消費電力 |
---|---|
Ryzen 5 5600X | 61W |
Ryzen 7 5700X | 61W |
Core i5-12400F | 64W |
Core i5-13400F | 65W |
Core i5-12600 | 67W |
Ryzen 7 7700 | 82W |
Core i5-13400F / PL解除 | 86W |
Ryzen 7 5800X3D | 90W |
Ryzen 5 7600X | 115W |
Ryzen 9 5950X | 117W |
Core i5-12600K | 121W |
Ryzen 7 5800X | 125W |
Ryzen 9 5900X | 126W |
Ryzen 7 7700X | 138W |
Ryzen 9 7950X3D | 140W |
Core i7-12700K | 167W |
Core i5-13600K | 189W |
Ryzen 9 7900X | 200W |
Core i9-12900K | 244W |
Core i7-13700K | 252W |
Ryzen 9 7950X | 254W |
Core i9-13900K | 276W |
CPU名称 | 消費電力 |
---|---|
Core i5-12400F | 38W |
Core i5-13400F | 43W |
Core i5-13400F / PL解除 | 43W |
Ryzen 5 5600X | 45W |
Ryzen 7 5700X | 48W |
Core i5-12600 | 51W |
Ryzen 7 5800X3D | 52W |
Ryzen 7 7700 | 56W |
Ryzen 9 7950X3D | 56W |
Core i5-12600K | 59W |
Ryzen 7 7700X | 62W |
Ryzen 5 7600X | 66W |
Ryzen 7 5800X | 68W |
Core i7-12700K | 74W |
Ryzen 9 5900X | 85W |
Ryzen 9 7900X | 86W |
Ryzen 9 7950X | 89W |
Ryzen 9 5950X | 89W |
Core i5-13600K | 89W |
Core i9-12900K | 98W |
Core i7-13700K | 107W |
Core i9-13900K | 143W |
非常に省電力で、高負荷な処理でも60W台に留まる
最も良い意味で意外だったのが消費電力です。非常に省電力です。
Blenderでの高負荷なレンダリング処理時でも65Wに留まっており、安価なCPUクーラーでも冷却が容易なレベルです。電源も容量を少ないものを選択することができるため、クーラーや電源の面で更なる予算節約ができるのは強みです。
標準設定でMTP(TDP PL2)に148Wという前世代を超える値が設定されているため、Eコア追加により前世代よりも消費電力や発熱が増えたのだと予想していましたが、ほぼ変わらないという結果でした。素晴らしいです。
電力制限を解除した場合には、マルチスレッドの高負荷時に消費電力が20Wほど増えますが、それでも約86Wと少ない消費電力です。クーラーや電源の見直しが必要なほどではないため十分実用的です。
電力効率(ワットパフォーマンス)
電力効率を見ていきます。レンダリングおよびゲーミング時の効率です。
各テストで得られたスコアを消費電力で割って算出した、1Wあたりのスコアで見ていきます。ただし、効率が悪かったとしても、レンダリングなどの処理量が決まっているスコアでは高性能な方が処理を早く終えることが出来るため優位性がありますし、ゲームにおいても高いfpsを得ているので、効率が悪いから一概にダメという訳ではない点には留意です。
CPU名称 | 1Wあたりのスコア |
---|---|
Ryzen 9 7950X3D | 253.3 |
Ryzen 7 7700 | 231.6 |
Core i5-13400F | 228.3 |
Ryzen 7 5700X | 223.0 |
Ryzen 9 5950X | 221.1 |
Core i5-12400F | 188.2 |
Ryzen 5 5600X | 186.3 |
Core i5-13400F / PL解除 | 185.0 |
Core i5-12600 | 178.3 |
Ryzen 9 5900X | 169.7 |
Ryzen 9 7950X | 158.4 |
Ryzen 7 5800X3D | 157.1 |
Ryzen 9 7900X | 152.2 |
Core i5-12600K | 148.7 |
Ryzen 7 7700X | 146.9 |
Core i7-12700K | 138.6 |
Ryzen 5 7600X | 136.2 |
Core i9-13900K | 130.5 |
Core i5-13600K | 125.1 |
Core i7-13700K | 121.4 |
Ryzen 7 5800X | 116.9 |
Core i9-12900K | 110.8 |
CPU名称 | 1Wあたりのfps |
---|---|
Core i5-12400F | 4.55 |
Ryzen 9 7950X3D | 4.33 |
Core i5-13400F / PL解除 | 4.29 |
Core i5-13400F | 4.26 |
Ryzen 7 7700 | 4.05 |
Ryzen 7 5800X3D | 3.94 |
Ryzen 5 5600X | 3.83 |
Ryzen 7 5700X | 3.64 |
Ryzen 7 7700X | 3.65 |
Core i5-12600 | 3.59 |
Ryzen 5 7600X | 3.25 |
Core i5-12600K | 3.24 |
Core i7-12700K | 2.78 |
Ryzen 9 7900X | 2.63 |
Ryzen 7 5800X | 2.62 |
Core i5-13600K | 2.50 |
Ryzen 9 7950X | 2.47 |
Core i7-13700K | 2.22 |
Core i9-12900K | 2.19 |
Ryzen 9 5900X | 2.14 |
Ryzen 9 5950X | 2.06 |
Core i9-13900K | 1.74 |
非常に優れた電力効率
消費電力が予想よりも少なかったため、電力効率も非常に優れています。
マルチスレッド処理時には、少し古いですが、効率では定評のある「Ryzen 9 5950X」や「Ryzen 7 5700X」などと肩を並べるレベルの良さを発揮しています。しかし、「Core i5-13400F」はゲーミング時にも非常に優れた効率を発揮する点で上回っており、安価なゲームCPUとしても優秀な点では少し上回ります。
記事執筆時点では、マルチスレッド処理とゲーミングでの両方で「Core i5-13400F」を超えるCPUは「Ryzen 9 7950X3D」の一つだけとなっており、市場内でも屈指の効率の良いCPUであることが伺えます。
先代も効率の良いCPUではありましたが、マルチスレッド性能の低さから省電力なRyzenにはやや劣るのが否めませんでしたが、10コアとなった「Core i5-13400F」では遂にマルチスレッド性能でも同等以上の勝負が出来るようになりました。
また、電力制限を解除した場合にはマルチスレッド処理時の効率が大きく低下するためその点は注意が必要です。元が非常に優れているため、低下しても良い部類ではあるので、性能を重視したい場合には解除状態でも良いと思いますが、特に性能を重視する訳ではなければやはり標準設定で使う方が良さは活きるかなと思います。
温度
CPUの温度を見ていきます。非常に高負荷なレンダリングソフト「Blender」動作時と、ゲーミング時(Cyberpunk 2077)の二つの温度を見ていきます。基準温度は25℃で、動作から10分後の定常状態の温度となっています。
冷却システムは、CPUクーラーに「NH-U14S」が使用されています。14cmファン1基の空冷クーラーとなっており、空冷としては高めの冷却性能ですが、ハイエンドCPUでよく利用される240mm以上の水冷クーラーなどのハイエンドクーラーにはやや劣る冷却性能のクーラーとなっています。
CPU名称 | 温度 |
---|---|
Core i5-13400F | 49℃ |
Core i5-12400F | 51℃ |
Ryzen 7 5700X | 53℃ |
Core i5-13400F / PL解除 | 58℃ |
Ryzen 5 5600X | 64℃ |
Ryzen 9 5950X | 65℃ |
Ryzen 9 5900X | 67℃ |
Ryzen 7 7700 | 70℃ |
Core i5-12600K | 74℃ |
Ryzen 7 5800X3D | 79℃ |
Core i7-12700K | 83℃ |
Ryzen 9 7950X3D | 86℃ |
Ryzen 7 5800X | 87℃ |
Core i5-13600K | 92℃ |
Ryzen 5 7600X | 96℃ |
Ryzen 9 7900X | 97℃ |
Ryzen 9 7950X | 97℃ |
Ryzen 7 7700X | 98℃ |
Core i9-13900K | 102℃ |
Core i7-13700K | 103℃ |
Core i9-12900K | 106℃ |
CPU名称 | 温度 |
---|---|
Core i5-12400F | 49℃ |
Core i5-13400F | 50℃ |
Core i5-13400F / PL解除 | 50℃ |
Ryzen 7 5700X | 59℃ |
Core i7-12700K | 61℃ |
Core i5-12600K | 62℃ |
Ryzen 5 5600X | 64℃ |
Ryzen 7 5800X | 69℃ |
Ryzen 7 5800X3D | 72℃ |
Core i5-13600K | 72℃ |
Core i9-12900K | 72℃ |
Ryzen 7 7700 | 73℃ |
Ryzen 9 7950X3D | 73℃ |
Ryzen 9 5950X | 73℃ |
Ryzen 9 5900X | 74℃ |
Ryzen 9 7950X | 75℃ |
Ryzen 7 7700X | 75℃ |
Core i7-13700K | 75℃ |
Ryzen 9 7900X | 81℃ |
Core i9-13900K | 87℃ |
Ryzen 5 7600X | 90℃ |
発熱が少なく非常に扱いやすい
消費電力が少ないため、発熱も非常に少ないです。
このクラスのCPUにとっては高性能な14cmファン1基の空冷クーラーが搭載されている点は留意ですが、高負荷なマルチスレッド処理時とゲーミング時ともに約50℃となっており、CPUの発熱は非常に少ないことが伺えます。かなりの余裕があるので、12cmファンへと変更したとしても、冷却は十分に間に合うレベルです。
先代からEコアが4つ追加され、マルチスレッド性能も大きく向上しているのにも関わらず発熱や消費電力はほぼ同じ水準です。カタログスペックを見る限りは各仕様は前世代のAlder Lakeと同様なのですが、この向上の説明が付かないので、実は完全に同じという訳でもないのかもしれません。
電力制限を解除した場合、マルチスレッド処理時には58℃まで温度が上昇しますが、それでも十分発熱は少ないレベルです。性能を重視したい場合には十分実用的ですし、クーラーも基本的にそのままで大丈夫なはずです。
まとめ
ざっくりと各性能を見てきました。最後に評価をまとめています。
Core i5-13400F
- 安価(約2.9万円:2023年3月時点)
- 優れたコスパ
- 圧倒的な電力効率の良さ
- 非常に低消費電力&低発熱で扱いやすい
- DDR4とDDR5メモリの両方をサポート
- ハイエンドGPU利用時にはCore i5-13600K以降に大きく劣るゲーム性能
- 上位モデルに圧倒的に劣るマルチスレッド性能
- AVX512命令セットに非対応
- Fモデルは内蔵GPU無し
Core i5-13400F:安価で電力効率に優れる、低価格PC市場で非常に競争力のあるCPU
「Core i5-13400F」は安価で競争力のある低価格CPUです。現在の他の最新CPUは従来よりも軒並み高価となっていることもあり、一段高い費用が要求されるため、「Core i5-13400F」の安価さは予算重視の消費者にとって非常に魅力的です。
ライバルとなるRyzenを見ると、最新世代では「Ryzen 5 7600(X)」が約3.5万円から現在販売されていますが、3万円を下回る「Core i5-13400F」の方が安価です。それでいて、Ryzen 5の6コアよりも多い10コア(6P+4E)を搭載しており、マルチスレッド性能は同等なのでコスパでは勝っています。
RTX 4090クラスのハイエンドGPUと併用した場合のゲーム性能は「Ryzen 5 7600(X)」がやや有利にはなりますが、この価格帯のCPUが10万円以上のハイエンドGPUと組み合わせられることがほぼ無いため、実質的にあまり問題にはなりません。
旧世代ながら、近い性能で現在約3万円ちょっとから購入できる「Ryzen 7 5700X」の方が競合相手としては近い印象ですが、ゲーム性能では「Core i5-13400F」の方が少し優位な他、旧世代のRyzen 5000シリーズと異なりDDR5メモリも利用できる優位性があるため、二択なら「Core i5-13400F」が明らかに優勢です。
また、「Core i5-13400F」は発熱と消費電力が少なく、電源やクーラー費用も節約することができるのも魅力です。「Core i5-13400(F)」のカタログスペックを見ると、実は前世代の「Alder Lake」と同様の仕様のCPUであることが分かるため、先代からEコアの追加による電力面での悪化を想像していましたが、実際には電力面はほぼ維持しつつもマルチスレッド性能は大きく強化されており、良い意味で予想外でした。ゲーミング性能やシングルスレッド性能もクロックの上昇分でわずかながら向上していますし、先代から純粋な上位互換CPUとして仕上がっています。
更に、その消費電力の少なさのおかげで、「Core i5-13400F」は電力効率も非常に優れています。その非常に優れた電力効率は、マルチスレッド処理時、ゲーミング時の両方で2023年3月時点でトップクラスの数値となっており、わずかながら電力料金の節約にも貢献します。
といったように「Core i5-13400F」は、3万円クラスの競争力のある価格で、コスパや効率で他CPUよりも一歩優れる魅力的なCPUです。ほぼ自作専用の「Core i5-13500」といった例外的な強力な候補は居るものの、BTOや既製品PCでは低価格帯を席捲することになりそうな気がします。
といった感じで、記事は以上になります。ご覧いただきありがとうございました。